第2学年 道徳科学習指導案
指導者 ○○ ○○ 1 主題名 B-(9) 他者のものの見方や考え方 2 教材名 「おじいさんの贈り物」(日本文教出版別冊:「福岡県中学校道徳教育研究会」) 3 主題設定の理由 ○ 本学級の生徒は、10 月の合唱コンクールに向け、7月の学級合唱曲選びに始まり、係決め、スローガン作成、 学級練習と合唱コンクールに向けての取組を行っている。これは、生徒の表現力や創造性の資質・能力を向上さ せ、学校生活をより豊かで充実したものにすることをねらいとしており、学級全員で協働して取り組むことで、 目標を設定しその達成を目指してやり遂げる経験となるものである。しかし、本学級の生徒は合唱コンクール後の アンケートで、学級としての取組について「よくできた」と答えた生徒が○%、「どちらかと言えばよかった」と答えた 生徒が○%であった。これは、取組についてうまくできたという実感が少なく、互いに学び合い、高めることが十分で なかったと言える。福岡県道徳教育実態調査においても「互いの個性や立場を認め、広い心で他の人の考えに謙虚 に学ぼうとしている」という問いに対し、「よくできている」と答えた生徒は○割弱という結果であった。その要 因として、自分と他者の価値観の違いを認め、異なる考え方を尊重し、自分のものの見方や考え方を広げること ができていないことが考えられる。そのため、学級の仲間や先輩との新たな出会いの中で、見方や考え方の多様 性を実感することが多くなり、徐々にものの見方や考え方が確立するとともに、自分の考えや意見に固執する傾 向が見えてくるこの期に本主題を位置付ける。そして、他者のものの見方や考え方を理解することの大切さが分 かり、相手の考えや立場を尊重していこうとする態度を育てる。このことは、これからの自分の在り方を考える 生徒を育てることも期待できる。 ○ 「寛容」とは、広い心で人の言動を受け入れることであり、寛容の心をもてば、人を許し受け入れてとがめだ てしないで、他者のよい面を積極的に認めようとすることができる。また、自分のものの見方や考え方を広げて 確かなものにしていくためには他者に学ぶことが大切であることに気付くことができれば、他者の助言や忠告に 謙虚に耳を傾けることができる。他者から謙虚に学んでいくことは、よりよい人間としての成長を促すために大 切なことである。生徒は、自己意識が高まっていくにつれ、自分と異なる考えや意見を受け入れることが難しく なってくる。しかし、人間は他者との関わりの中で、他者との違いを素直に受け入れることで、他に学ぶことが でき、それは自己を高めていくことにもつながる。そこで、他者のものの見方や考え方を理解しようとすること で、相手の考えや立場を尊重していこうとする態度を育てたい。 ○ 本教材は、中学2年生のある学級が合唱コンクールに向けて公園で練習していたところを、居合わせたおじい さんがビデオ撮影し、後日そのビデオと手紙が学校に届くという内容である。本主題の指導にあたっては、他者 のものの見方や考え方を理解することの大切さが分かり、相手の考えや立場を尊重していこうとする態度を育て ることをねらいとしている。そのため、きづく段階では、周りの人の言うことや行動に対して「分からない」と 感じた経験を振り返らせ、ねらいとする価値への方向付けを図る。みつめる段階では、まず教材を範読し、吉田 君が山本さんに注意され、練習にやる気をなくしている場面に着目させる。ここでは、自分の体験と重ね合わせ ながら考えさせることで、吉田君の気持ちに共感させるとともに、理由を考えさせ、相手の考えや行動を受け入 れることができない自分に気付かせる。次に、おじいさんの手紙の中で、山本さんの行動の意図が分かり考えの 変わったおじいさんの心情を捉えさせ、他者のものの見方や考え方を理解することの大切さを押さえることで、 ねらいとする価値の追求を行う。さらに、他の人と自分の考えが異なる経験を想起することで、価値の自覚を促 す。そのためには、生徒自身が合唱の取組の中で関わったクラスメイトや先輩の自分と異なる考えや行動に触れ た体験を基に、自分のこととして捉えることが必要である。最後にあたためる場面では、生徒会役員選挙や修学 旅行と結び付けながら、他の人の考えや意見を生かしてよりよい自分を見つけることのよさを押さえ、ねらいと する価値についての道徳的態度を育てる。 4 計画 ○ 事前の体験活動:「合唱コンクール・文化発表会」 ・学年の候補曲の中から学級曲を選択し、自分の学級の実態に合わせてスローガンを作成する。 ・学級の練習計画に沿って、学級曲の練習を行う。また、ブロック合唱練習計画に沿って、3年生の指導の下で ブロック曲の練習を行う。 ・合唱コンクールにおいて、学級曲を発表するとともに、他学級の発表を鑑賞する。 ・文化発表会において、ブロック曲を発表するとともに、他ブロックの発表を鑑賞する。 ○ 本時 体験活動や教材を基に、他者のものの見方や考え方を理解することの大切さが分かり、相手の考えや立場を尊 重していこうとすることについて考える。5 本時 (1)ねらい ① 他者のものの見方や考え方を理解することの大切さが分かり、相手の考えや立場を尊重していこうとする態 度を育てる。 ② 対話活動を通して、道徳的体験を想起するとともに、自分の道徳的課題を見つけ、これからの自分の在り方 を考えられるようにする。 (2)仮説 学習過程の「みつめる段階」の道徳的体験を基にして教材中の一場面を自分のこととして捉える場において、対 話活動を行えば、道徳的価値のよさ(大切にしたい感じ方や考え方)に基づく一面的な考えから、これからの自分 の行いといった将来への憧れをもち、人間的な弱さや困難さを克服しようとする多面的な考えへと自己の考えを深 める内省性が高まった生徒 (3)準備 読み物教材、学習プリント、付箋紙、台紙、マジック、マグネット、掲示用資料 (4)学習指導過程 段階 学習活動 主な発問と予想される生徒の反応 指導上の留意点 き づ く 1.これまでの自分の経験を振り返り、課 題をもつ。 ◯ 周りの人の言うことや行動に対 し、「分からない」と感じた経験を 振り返らせ、めあてを確認する。 み つ め る 2.教材『おじいさんの贈り物』を読み、自 分たちの合唱の取組を基に、吉田君の 心情を捉え、考えを深める。 (1) 教材を部分的に読み進めながら、他 の考えや意見を理解することについて 考える。 ① 自分の体験と重ね合わせながら、吉 田君が練習する気分になれない理由 について考える。(p.1/l.14) ② 山本さんの行動の意図を理解したお じいさんの心情を捉える。(p.3/l.12) ③ ビデオを見たあとの吉田君の気持ち を考える。(p.4/l.18) ・ぼくなりにがんばっている。 ・合唱コンクールは楽しくやりたい。 ・山本さんは注意し、怒ってばっかりだ。 〈おじいさんの視点で〉 ・お嬢さんはなぜあんなに注意している のかな。 ・不満そうな人がいる中でも、一生懸命な のはなぜだろう。 ◯ 発問1では、「似たようなことはな かったか」と尋ねながら、これまで の自分と重ね合わせて考えられる ようにする。 ◯ おじいさんの視点で山本さんに 対する見方を考えさせ、吉田君が 「わからない」と感じたことと比較 し、「わからない」「わかる」に整理 させる。 ◯ おじいさんがわからなかったこと がわかるようなった理由を付箋に 書かせることで、行動の裏側には それぞれのものの見方や考え方 があることに気付かせる。 ◯ グループ内対話で付箋紙を使っ て対話する場を設定することで、 考えを広げさせる。 ◯ 一面的な見方だった吉田君が、 おじいさんの手紙によって気持ち に変化が表れたことを確認する。 めあて 相手の考えを分かるためにはどんなことが大切か考えよう 発問2どうしてうまいのに注意する のか最初は分からなかったというお じいさんが、山本さんのことを分か ることができたのはどのように考え たからでしょうか。 発問1吉田君が「もう練習する気分 にならない」という気持ちになった のは、なぜでしょうか。 ※上記の(1)②における具体的な手立て【グループ内対話】 ◯ グループで対話することで、他者のものの見方や考え方を理解することについて考える。 相手がその考えをもった理由を考えてみることが大切 相手の考えのもとになる信念や背 景を分かろうとすること ◯吉田君は、このあとどのように変 わったでしょうか。
(2) 合唱の取組の体験を振り返りながら、 「相手の考えのもとになるものを分かろ うとすること」について考えを深める。 ① 合唱の取組を想起しながら考える。 ・合唱練習と新人大会とどちらが大事か ・練習でうまくいかないのはリーダーの 責任か ② 修学旅行などの行事を想定して考え る。 ◯ 合唱の取組の感想や自己評価、 写真を使い、体験を想起させる。 ◯ 修学旅行では、他者との意見が 異なる場面が多くなると予想される ため、それを想像させることで、具 体的な場面における自分の姿とし て考えさせる。 ◯ 学習プリントに記入させること で、自分の考えを整理させる。 あ た た め る 3.学習の感想を書き、本時のまとめをす る。 ◯ 他の人の考えや意見を生かして よりよい自分を見つけることのよさ を押さえる。 発問3②「分からないこと」があっ たとき、相手の考えを分かるために 自分が大切にしたいのはどんなこと ですか。 発問3①合唱コンクールや文化発表 会で、自分と他の人の考えや行動が 異なることがありませんでしたか。 ※上記の(2)における具体的な手立て【グループ内対話→自己内対話】 ① 合唱の取組の振り返り(アンケートや感想)を基に、自分と相手の考えが異なると感じた体験を振り返り、これから大 切にしていきたい考えをまとめる。 ② 学習プリントに記入しながら、自分の日常生活を振り返り、自分の考えや行いについて省みる。