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JAIST Repository: イノベーションのタイプと我が国の特徴

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Academic year: 2021

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JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

イノベーションのタイプと我が国の特徴

Author(s)

原, 陽一郎; 黒田, 明生

Citation

年次学術大会講演要旨集, 16: 225-228

Issue Date

2001-10-19

Type

Conference Paper

Text version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/10119/6632

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す

るものです。This material is posted here with

permission of the Japan Society for Science

Policy and Research Management.

(2)

lC13

イノベーションのタイプと 我が国の特徴

0

原 陽一郎 (

長岡大,東レ

経営 所 ) , 黒田明生 ( 東レ経営所 ) 1 . はじめに 本報告は NEDO 委託調査「技術革新システムのモデル 化に関する調査研究」 1) の 成果の 一部であ る。 イノベーションの 古典的な定義「生産手段の 新結合の遂行」に 従えば、 その現れ方は 極 めて多様であ る。 古くからさまざまな 観点からイノベーションの 分類が行われてきた。 講演者らはイノベーションのケーススタディに 基づいて、 イノベーションを 既存企業型 と

く ンチャ一企業型に 分けて、 プラット フ オーム機能の 違いを分析した ( 昨年度 本 会報告 2)) 。 さらに引き続いてケーススタディを 追加し、 多角的視点からイノベーションを 分類するこ とを試みた。 2. 分類の視点 講演者らは対象としたイノベーションの 個々のケースについて、 次の視点でその 特徴を 表すこととした。 ① 開発主体 ( 既存企業 / ベンチャ一企業 ) ② 技術の性格 ( 持続的技術Ⅰ破壊的技術 ) …破壊的技術は 既存の技術体系を 根本から 変 革し、 既存技術を市場から 駆逐する性質のもの。 く クリステンセンの 分類 3) ノ ③ 市場に対する 意義 ( 既存技術の限界突破に よ る製品の高度化

/

新製品に よ る潜在ニ一 ズの 開拓 ) …製品の高度化のケースは 市場ニーズの 方向が明確に 判断できていること が 多く、 初期の顧客の 獲得とその後のコスト、 性能の向上が 普及のキ ー を握る。 潜在 ニーズに対応する 新製品のケースは 市場ニーズを 手探りで確かめながら 展開を図るこ とになる。 ④ 開発のコンセプト ( 一般普及指向…一般生活者への 普及Ⅰ特殊用途指向…特定の 需要 家 ) …一般普及指向の 場合は、 最初の段階からコストに 意識があ り、 コストダウンの 可能,性のあ る要素技術を 選択している 例が多い。 ⑤ 影響力が及ぶ 軸 との関係 ( 製品と市場の っ ながりへの影響力の 強弱 ( 縦軸 コ 、 生産シス テム への影響力の 強弱 ( 横軸 コで 示されるマトリックス 上で、 アーキテクチャル / マ 一 ケターノレポリューショナ ル ノテクニカル・プロバレスと 4 つに分類。 ) … 2 つの軸 はプロダクト・イノベーションとプロセス・イノベーションに 近い概念 くア ハナシ 一 の分類 4) ノ ⑥ 基本コンセプトの 創出から商業化までの 期間 ( 長期Ⅰ短期 ) …キ ー となる要素技術の 種類が多く開発に 時間を要する 場合は長期化。 キ ー となる要素技術が 少なく、 かつほ ぼ揃っていて 容易に入手できる 場合は短期的。

(3)

3 . ケ ー ズスタディによるイノベーションの 特徴付け 図表 1 イノベーションのケースとその 特徴 技術の ア バ チシ イノベーションのケース 開発主体 性格 一の分類

開発期間 クオーツ式腕時計 既存企業 破壊的

A/R

一般 限界突破 長 液晶 ヂィ スプレイ 既存企業 持続的

A/R

一般 限界突破 長 トランジスター、 既存企業 破壊的 A 特殊 限界突破 短 光ファイバー 既存企業 破壊的 R/A 一般 限界突破 長 日本語ワープロ 既存企業 持続的 M 一般 潜在ニーズ 長 高性能炭素繊維 既存企業 破壊的 R 一般 潜在ニーズ 長 集積回路 (IC) ベンチャー 破壊的 A 特殊 限界突破 短 マイクロプロセッサ 一 ベンチャー 持続的 M 特殊 潜在ニーズ 失 一 旦 パソコン ベンチャー 破壊的 M/A 一般 潜在ニーズ 短 バイオ医薬 l ベンチャー持続的

lR/M

l 特殊 限界突破 短 l 台湾半導体産業 ベンチャー l 持続的

lM

特殊 l 潜在ニーズ

@

長 l イタリア・ファッション l ベンチャー l 持続的

lM

- 般 潜在ニーズ 久一 旦 注 1) ァバ ナシ一の分類欄の 略号 A : アーキテクチュア ル 、 R レポリューショナル、 M : マーケタ 二 T : テクニカル・プロバレス 2) は日本の事例 す な れ ち 、 既存企業が開発主体の 場合は、 アーキテクチュア ル であ っても し ボリュー シ ヨ ナ ル の要素が強く ( プロセス・イノベーション 的 ) 、 製品コンセプトは - 般普及指向であ り 、 技術開発の意義は 既存技術の限界突破的であ り、 既存技術の蓄積に 依存することが 多 く、 開発期間が長い 傾向があ る。 一方、 ベンチャ一企業の 場合は、 マーケター 的 要素 ( プ ロダクト・イノベーション 的 ) が 多く、 製品コンセプトは 特殊用途 ( ニッチ市場 ) 指向が 強く、 開発は潜在ニーズ 開拓的であ り、 開発主体における 開発期間は短 い 傾向があ る。 台湾半導体産業とイタリア・ファッション 産業のケースはやや 特殊で、 先端技術の開発 はとくに行われていないが、 新しいビジネス・モデルの 開発がカギとなったマーケター 的 要素の強い例と 見られる。 破壊的技術は 必ずしもべンチャ 一企業型に偏る

訳ではなく、

既存企業が破壊的技術に 挑 戦 する例も多い。 イノベーションを ア ハナシ ー が提示していた 分類の概念図に 重ねて整理したものが 図表 2 であ る。 ベンチャ一企業型イノベーションはタイプ 1 0 破壊的技術的要素の 強いもの ) と タイプ 11 ( 新しいビジネス・コンセプトを 構築し、 市場にインパクトを 与えるもの ) に

分けて示した。

破壊的技術型のイノベーションはアーキテクチュア ルと 領域的に重なると 見られる。

(4)

図表 2 イノベーションのカテゴリー 製品と市場のつながりに 与える影響力 ( プロダクト・イノベーション )

破壊技術的 べ一 ション こ タイプ 1 り

トの 創造 ) へ 、 ソ チヤ一企業型 イ / ベーショ 「タイプ 丁 「

生産システムに 与える影響力 ト ・ + . 一 - 一 [ 強 J ( プロセス・イノベーション )

既存企業型イノベーション

4. 我が国のイノベーションの 特徴 我が国の企業がどのようなタイプのイノベーションを 得意としてきたのか、 また、 欧米 企業はどうかを 知ることを目的に、 1970 年代以降、 世界市場あ るいは世界の 産業界に影響 を 与えたイノベーションの 事例 ( 新製品、 新サービス、 新生産技術等で、 技術開発が直接 関与していないものも 含む ) を 可能な限り挙げ、 そのタイプと 最初に事業化に 成功した 企 業の属する 国 ( 日本と欧米 ) によって分けることを 試みた。 図表 3 タイプ 既存企業型 イ / ベーショ 全一 一べ ヤノ チ イン ン型ョ べ業ン 世界のイノベーションの 分類 事は (1970 年以降、 世界的に生活、 産業へのインパクトが 大きいもの ) 特徴 動機 ヒ 狙い ( ) 内は生産技術、 く ノ 内は デ パイス・材料 日本姥 ( 最初の事業化 ) 欧米 発 * 市場の進化 に対応する "" 旦 "" 化 * 技術、 市場 の過去の蓄 積の活用 * 潜在ニース 0 発掘によ """"" 創造 * ニッチ市場 企業の成長維持、 競争力の確保 く 危機意識 ノ クオーツ・ウオッチ、 NC 工作 桶 棚 、 カッ ス石 、 Ⅹ タ カメラ、 ヘバ ドホンステレオ、 ワープロ、 化 度 用 Ⅰ 4% 、 レンズ げま フィルム、 小型アソンタ、 化度 用 ビデオ; メラ、 nVn 、 折 合併、 デジタル カメラ 丘り テレピ、 く 液晶表示、 炭 帝窩稚 、 半導体レ ーザ、 ボソア セチレント デジタルウオッ テ 、 ジャンボ ジェッ ト援 、 スエ 街 Ⅰ、 脱化 1 、 LSI 、 フ D ッ ピーディスク、 旦 D 、 スーパーコンピュータ、 ,ガストイ グハ 、 パンドエイド 人工腎臓、 バルーンカテーテ ル、 く CCn 、 太陽電池、 光ファイ バーノ、 & 、ス ヤ んジ 宅 ︵ ソフト サーピス カラオケ、 ファミコン 自己実現意欲、 創業者利潤の 求 く夢ノ サソ

ピト 入幕 C 7@ 、 衛星通信、 衛星放 送、 移 働佑妊仁 、 カーナビ、 壷庄デソ /f ティプス、 デ ピッ ドカ一八Ⅹ 竹以 、 M 俺り lA の (CAD 、 CG 、 GP SJ) Sfl@M 、 MPU 、 n.ay- A@. /r@/J>. @;fg│g. コンピ ニ 、 ソフト、 ベンテナ ーキャピタル、 パソコンソフ ト、 ネットビジネス、 ゲノム ビジネス、

(5)

図表 3 に挙げた事例は

一部を除いて、

必ずしも厳密な

検証を行ってはいないが、

我が国 のイノベーションの 特徴を一応はうかがい 知ることができる。 図表 3

からは、 我が国のイノベーションは、

「既存企業型」でハードの 分野においては 件 数 で世界の半分以上を 占める実績を 挙げているが、 サ ー ピス・ソフトの 分野ならびに べン チャ一企業型のイノベーションではほとんど 貢献をしていないことが

読みとれる。 一方、

欧米はサービス・ソフトの 分野ならびにべンチャ 一企業型のイノベーションに 多くの実績 を 挙げていることが 傾向として見られる。

また、 市場との関係、

技術開発の意義にについて 我が国と欧米を

対比させると、

我が国 のイノベーションは

一般普及指向において、

既存技術の限界突破は

比較的少なく、

潜在 ニ 一ズ 開拓型が多い 傾向があ

り、

これもほとんどが 既存企業によるイノベーションであ

る。

これに対して、

欧米はべンチャ 一企業が潜在ニーズ 開拓で実績を 挙げていることが

分かる。

また、

特殊用途指向の 新製品開発は 我が国には比較的少ない 傾向があ

る。

我が国の既存企業の

行ってきたイノベーションは、

全体としてプロダクト・イノベーシ ョンよりもプロセス・イノベーションが 多い傾向があ り、 しかも、 先端技術をべ ー スに 潜 在 ニーズを求めて 大胆かつ攻撃的に 開発を展開してきたと

見ることができる。

これが長期 にわたる円高トレンドの 中にあ

っても、

我が国製造業は 国際市場で競争優位を 維持し得た 最大の原因であ った 5) 。 我が国企業はイノベーションを 支える社内のプラット フ オーム機

能、 すなむち組織能力において、

欧米の企業を 上回っていたと

考えることができる。

以上のように、

我が国はイノベーションの 実績で決して 欧米に劣っていた 訳ではな @ 後追い的であ

ったのでもない。 しかし、

我が国のイノベーションは 既存企業型でハードに 関するものに

大きく偏っており、

ベンチャ一企業の 得意とする新しい 発想に基づく イ / ベ 一 ション、 ソフト・サ ーヒ スに関するイノベーションはあ まり生まれていない。 これに対

して、 欧米、

とくに米国はべンチャ 一企業型のイノベーションを

得意としており、

ソフト・ サービス分野では 世界をリードする 傾向にあ

る。

これは社会システムとしてのプラット フ オーム機能が 優れているためと

考えられる。

5 . 我が国の課題 既存企業型イノベーションは 産業の競争力を 高める効果を

発揮する。 しかし、

新しい産 業

新しい市場を 創り出す カ

は弱い。

成熟に達した 我が国経済の

再活性化のためには、

産業、

新市場の創造が 不可欠であ る。 ベンチャ一企業型のイノベーションを 活発化させる

ことが、 今、 求められている。

このためには 社会システムとしてのプラット フ オーム機能 の 強化を図らなければならない。 参考文献 1) 東レ経営研究所「技術革新システムのモデル 化に関する調査研究」 NED(X 、 平成 12 年 12 月 2) 煉 ら " イノベーション・システムに 関する考察とその 展開 " 研究・技術計画学会学術大会、 2000 年 3) C. クリステンセン「イノベーションのジレンマ」潮沫 社 、 2000 年 4) W. ア バ チ シー「インダストリアル・ルネッサンス」 TBS プリタニカ、 1984 年 5) 原 " 国際競争力と 産業高度化のイノベーション " 慶応経営論集、 17 巻 3 号、 2000 年

図表 2   イノベーションのカテゴリー  製品と市場のつながりに  与える影響力  ( プロダクト・イノベーション  )                     破壊技術的                                          べ一 ション  トの    創造 )  こ  タイプ 1  り  へ 、  ソ  チヤ一企業型 イ  / ベーショ  「タイプ 丁  「              生産システムに 与える影響力  ト ・  +   . 一 ‑ 一            

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