幼少の自然体験および日常の生活態度の相違による
理科学習の特徴
著者
岩越 悟志, 八田 明夫
雑誌名
鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要
巻
8
ページ
95-102
別言語のタイトル
Characteristics of Science learning influenced
through exposure to nature of children and in
the daily life style
幼少の自然体験および日常の生活態度の
相違による理科学習の特徴
CharacteristicsofSciencelearninginfluencedthroughexposuretonatureof
childrenandinthedailylifestyle岩越悟志*・八田明夫**
(SatoshiIWAKOS田・AkioHATTA)
キーワード:幼少の自然体験,日常の生活態度,理科学習における言動,
既有知識,時間見本法による授業観察
【 要 約 】
理科学習において,思考力や創造力が低下して いるのは,基盤となる原体験が不足しているから である。そこで,本研究では幼少の自然体験と日 常の生活態度力理科学習において,どの場面で, どのように影響を及ぼしているかを解明していく ことにした。 調査対象は中学1年生(39名),単元「身のま わりの科学」の学習で,時間見本法によって生徒 の言動を観察・分析した。 結果として,生徒の既有知識やその状態を把握 する力は,幼少の自然体験や日常の生活態度によ って影響を受けると考えられ,そのことが,理科 の学習態度に影響していることを明らかにした。 そして,次のように具体的に整理することができ る。①幼少の自然体験が多い生徒や日常,屋外遊び
をしている生徒が,グループの中心となり友達 に指示を出しながら,積極的な活動をしてい る。②幼少の頃に自然体験が少なかった生徒は,実
験開始の時や結果・考察のところで,教師や友 達に援助を求めるという傾向力罷められる。③日常,屋外で遊んでいる生徒は友達から援助
活動を求められやすいという傾向がある。 *吉田町立吉田南中学校 **鹿児島大学教育学部 1 は じ め に 今の生徒には少子化と核家族化等に伴う兄弟姉 妹間や祖父母から学ぶといった生活体験や自然体 験の減少がみられる。その一方,情報機器の普 及・浸透により間接的体験,疑似体験の著しい増 加があげられる。そのことが,理科学習において は,理科離れを引き起こしたり,科学的な思考力 や 表 現 力 を 低 下 さ せ た り し て い る ( 藤 田 , 1 9 9 5 ) 。 これからの高齢化・情報化・国際化等といった 激化する社会に対して,強く生きていく子どもの 育成が今日の課題となる。そのためには,生きて はたらく思考力や創造力といった能力は,これま での知識注入型の授業では培われにくいものであ るので,新しい学習指導の改善が必要となってく る。 小林・雨森・山田(1992)は豊富な原体験を基 盤に知識を学び,科学の方法を習得してはじめて 問題発見・探究型の学習が可能となるとし,幼稚 園や小学校低学年の時期に原体験を豊富に行わせ ることが必要であると述べている。また,渡辺 (1985)は幼児が遊びに満足感をもって終えたと き,その経験は思考や連動機能を形成し,認識が 深まっていくと述べている。 このようなことから,思考力や創造力の基盤と なる原体験が不足していることが,理科学習だけ でなく,「生き方」そのものに影響しているよう に思える。Bartlett.F、C.(1932)は新しい情報を 理解するためには,すでに狸得した知識や概念が鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要第8巻(1998)
必要であり,また,学習した内容を想起する際に
も重要な役割を演ずると述べている(波多野,
1982)。生徒の思考の特徴や思考に影響を与える
要因等は生徒固有のもので類型化することはなか
なか難しいが,大まかな要因をとらえることはで
きると考えている。そこで,本研究では幼少の自然体験の満足度と
日常の生活態度が理科学習のどの場面で,どのよ
うに影響を及ぼしているかを分析し,学習の特徴
を明らかにしたい。そのこと力狸科教育における
指導法の改善につながるし,さらには生涯教育と
いう立場から,これからの学校教育への示唆を与
えるものと考えている。2 仮 説
小谷津(1985)は,生きたパターン認識の説明
体型を築くには生きた単位「認知的生」が必要で
あるとし,幼少期から形成され続けてきた忘れが
たいイメージ(認識の原風景)が一人一人の存在
の記憶の中に組み込まれており,それなくしては
人の認識はあり得ないと述べている。一人一人の
記憶の中に組み込まれたこのような記憶がない
と,人は単なる機械的な記憶に頼って,得た知識
は将来生きて働かない知識になる。ノヴァックと
ゴーウイン(1992)も,学習した知識に関して自
分自身の意味を構築しなければ機械的学習となる
と述べている。結果として機械的な暗記に頼って
しまうのである。幼少の頃に自然体験が豊富であれば,忘れがた
い記憶(エピソード記憶)が多く存在し,ある程
度構造化された概念が形成されていると思われ
る。そのために,現在の理科学習における事象提
示に疑問を持てたり,解決してみたいという学習
意欲が喚起されると考えられる。したがって,授
業での学習の特徴として,下記のような行動を示
すのではないかと考える。①幼少の自然体験が多い生徒は,学習のリー
ダーとして積極的に実験や観察に取り組むので はないか。一方,自然体験の少ない生徒は,自分の考えに自信が持てず,積極的な行動を起こ
しにくいのではないか。②日常の生活態度についても,自然体験の多い
生徒(屋外で遊んでいる生徒)は,自分の考え
をしっかりと表現でき,積極的な活動を行って
いるのではないか。3 方 法
(1)調査対象および実施期間調査対象は鹿児島県の鹿児島大学附属中学校
の1年生で男子19名,女子20名の合計39名の生
徒に対して行った。この調査学級は教職経験10
年以上の理科教師により指導される学級であ
る 。 、調査実施期間は1997年4月~1998年1月の期
間で実施した。 (2)調査単元の設定と学級の実態 ア 調 査 単 元 の 設 定 調査学級の所属する学校は理科教師1人に よって1学級を指導しているのでなく,1.2分野を別々の教師によって指導している。
調査のたびに指導観が大きく変わらないため にも一人の教師について授業分析を進めるこ とにした。そのために1.2分野のどちらかの領域に設定する必要がある。中学1年生に
とって「理科嫌い」が始まるのが1分野の計算問題からであるので,本研究は最初に学習
する1分野の「身のまわりの科学」で調査を 行うことにした。教科書は「新しい科学」(東京書籍,
1997)を使用している。 イ 学 級 の 実 態紙面によるアンケート調査で学級の実態を
とらえると,幼少の頃に自然体験を多くしたと答える生徒は85%と多く,日常,外で遊ん
でいると答えた生徒は31%と少ない,ほとんどがテレビや音楽鑑賞といった余暇の過ごし
方をしている。ここでいう幼少の自然体験が多い生徒と少
ない生徒は,アンケート調査により,次のよ うな既有経験の違いを認めることができる。.①「セミ」という言葉からイメージする風
景を言葉や絵で表現させてみると,自然体
験の多い生徒は虫採りのイメージ風景を自
然体験の少ない生徒より14%も多く表現する。
岩越・八田:幼少の自然体験および日常の生活態度の相違による理科学習の特徴
また,自然の風景画から感じることにつ(3)調査内容と調査方法
いて書いてもらうと,自然体験の多い生徒授業観察として時間見本法を用いて行った。
は川に落ちたエピソードとか,友や家族と時間見本法は時間単位とその間の反応行動をサ
の思い出を書く。一方,自然体験の少ないンプリングする方法である。本研究では授業開
生徒は多い生徒の3倍も無記入が多く出現始から2分間ごとに,教師と生徒の主要な言動
す る 。 を 記 録 す る よ う に し た 。 記 録 す る に 当 た り , 行
②幼少の自然体験の多い生徒は少ない生徒動カテゴリーをEggleston,J・andGalton,M.
に比べて,理科学習への興味・関心が高(1979)の分類表を改善して表1のように作成
く,環境問題への意識も高い等の違いが見した。 られる(岩越,1997)。 表1教師と生徒の発言・行動のカテゴリー - 1教師の発言
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
①
②
③
④
⑤
( 1 ) 意 見 を 求 め る 発 問 既習内容についての発問 事象提示からの疑問と課題設定の理由についての発問 予 想 や 仮 設 に つ い て の 発 問 企画した課題解決の方法についての発問 観察や実験の結果についての発問 結果から考察したことについての発問 観察や実験の考察が予想や仮説との共通点や相違点についての発問 観察や実験から結論づけたことについての発問 新たに解決しなければならない課題についての発問 ( 2 ) 意 見 を 述 べ る 発 言 自然の事物・現象についての発言 学習課題の設定・確認についての発言 予想や仮説についての発言 観察や実験方法についての発言 観察や実験の結果,考察についての発言 考察の一般化についての発言 新たな課題についての発言 ( 3 ) ‘ 情 報 提 供 の 発 言 事象提示から課題発見させるための情報源としての発言 学習課題を設定・確認したり,解決させたりするための情報源としての発言 予想や仮説を検証する方法を企画させるための情報源としての発言 観察や実験を安全・正確に進めていくための情報源としての発言 観察や実験の結果から法則を発見させたり,日常体験と結びつけさせたりするための情報源としての発言2生徒の発言と行動
①
②
③
④
⑤
①
②
③
④
⑤
(1)目的を解決するための行動や意見の発言 自然の葛I物・現象に対して,生活体験や既習内容とを結びつけて,自然の事物・現象を説明したり,疑問を途 べたりするために行動や発言をする。 予想や仮説を解決するための方法を企画するために行動や発言をする。 観察や実験の結果・考察・経 観察や実験の考察が予想や仮説との共通点と相違点を説明するために行動や発言をする。 新たに解決しなければならない問題点をまとめるための行動や発言をする。 ( 2 ) 疑 問 を 解 決 す る た め の 質 問 自然の事物・現象に対して,生活体験や既習内容と結びつけて,自然の事物・現象を説明したり,疑問を述べ たりするための質問をする。 予想や仮説を解決するための方法を企画するための質問をする。 観察や実§ 観察や実§ 新たに解決しなければならない問題点をまとめるための質問をする。 、結果・考察・結論をまとめるための質問をする。 D考察が予想や仮説との共通点と相違点を説明するための質問をする。 §をまとめるために行動や発言をする。鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要第8巻(1998)
表2教師と生徒の発言・行動のカテゴリーを基準に分類したチャックリストの項目
表1の行動カテゴリー分類表を基準にしてチ
ェックリストを作成した。作成に当たっては表
2のように分類を割り当てた。チェックリスト表には教師と生徒の2分間の言動を詳細に記録
し,その主要な言動を分類により分別し,番号
を記入するようにした。教師の言動を記録する
ようにしたのは,授業に占める教師の言動の種
類が生徒の学習に違いを生じるのか。また,教
師の言動により観察者の記録したデータの正確
性のチェックや時間と記録された生徒の言動の
比較確認のためである。観察者は鹿児島大学教育学部の院生の協力を
もらうことにし,観察者1人に対して1人の生
徒を観察するようにした。初回はビデオ等との
比較によりサンプリングのチェックを行った。
授業1の分析(表3)
a 題 材「ロウが状態変化するとき体積や質量が
どうなるか」 b 学 習 展 開ジエチルエーテルの液体から気体になる
変化を事象提示し,ロウの固体から液体に
なる時の質量と体積の変化について考え
た。 c 分 析 結 果・幼少の自然体験が多く日常屋外で遊ん
でいる生徒(Baの生徒)は,既習の内
容を生かしながら論理的に予想を立て
る 。 一 方 , 屋 内 で 遊 ん で い る 生 徒(Cbの生徒)は直接体験を基に思考
し,既習の内容を生かし切れていない。
、日常屋外で遊んでいる生徒は実験の段
階でアの目的を解決するための言動が多
く出現している。、幼少の自然体験が少ない生徒は実験や
考察の初めの段階に教師や友達に質問し
てから行動を起こしている。、幼少の自然体験が少なく日常屋外で遊
んでいる生徒(Caの生徒)は班長であ
ったためアの目的を解決するための言動 が多く出現している。 ア4 結 果 ・ 考 察
(1)授業観察からの生徒と教師の発言・行動の分
析3つの授業観察から,幼少の自然体験の多少
と日常の生活態度の違いにより授業態度に変化
が見られたことが捉えられた。下記に紹介する
3つの授業観察は9月,10月,翌年の1月に実
施したものである。この3つの学習に臨む生徒
や教師の気持ち的な部分は学校行事等によって
違いは生じていただろうが,学習過程は事象提
示,問題発見,実験,結果,考察という一連の
流れをふまえていた。 発言・行動カテゴリーの基準 チ エ ツ ク リ ス 卜 の 分 類 分 類 項 目 分 類 項 目 の 内 容 ‐ 一 一 一 教師の言動 (1)意見を求める発問 (2)意見を述べる発言 (3)情報提供の発言 発 問 説 明 支 援 生徒に意見を求める発問である。教師が事象等の説明を述べる時である。
一 一 一 生徒活動に支援をしている時である。生徒の言動
(1)目的を解決するための行 動や意見の発言 (2)疑問を解決するための質 問 ア 目 的 を 解 決 す る ための言動 ウ 援 助 活 動 (γ:友達へ, 6:友達から) イ 質 問 (α:教師へ, β:友達へ)自分の意志や教師の指示によって行動が行われ
ている場合である。生徒がグループ内で互いに助け合っている場合
である。分からない点を穂極的に聞いている場合であ
る。岩越・八田:幼少の自然体験および日常の生活態度の相違による理科学習の特徴 表 5 題 材 「 光 の 進 み 方 と 像 について調べよう」にお ける教師とグループ別生 徒の言動
表3題材「ロウが状態変化するとき表4題材「赤ワインを沸雌
体積や質量がどうなるか」におけさせて,出てくる物質を
る教師とグループ別生徒の言動調べよう」における教師
とグループ別生徒の言動’
一 一一一○一 一 一 一 一 割 一 一 一 ざ ー ー ー 一ー ー ー = 一 一 一 炉 一 一 一 = 一 一 = 一 L 一 一 曲 d - - - - r - - 一 -- - 一 望 一 一 一 戸 一 一 一 一 一 - 一 隼 一 一 一 → ー 一 一 ℃ 一 一 ■ ■ = ー ー 一 コ 一 一 一 一 ロ ー ー 一 画 一一一一=一一 ■ b - ■ ■ や ■ ■ - ■ ■ ■ L ■ ■ ■ ■ ■ 画 一 一 一 = ■ - - - - □ ー 一 一 I ■ 一 一 一 H 津 灼 剥 一 , 一 一 弐 劇 . 一 』 桝 舛 ~ 牌 、 病 や 索 戸 = 。 匠 1 房 一 + 一 一 白 戸 局 一 一 → 一 一 一 = 一 ‐ ー 画 ■ ■ 一 一 畦 - - - 8 ■ 一 一 一 P レ ー ー ー 巳 ■ー ー 一 吋 武 年 一 弐 ー 一 ・ ー =ー ー ' - - - - - 屯 ~ ー = や - - 両 詔 ? 9 ー ・ ゃ ? 可 一 一 一 一 = 一 一 一 砂 ロ ー ー ー ト ー ー ー 今 守 一 一 百 = - ー 一 画 ー ー ~ 酉 一 一 戸 一.一. ■ 一 一 一 ~ → ー 望 ▲ 寺 一 一 国 一 一 一 ■ ■ = ー 一 も ー ー ‐ 卸 ~ 峰 ← P q = - = 砦ー 霊 一 画 = 一 一 ■ ■ マーーートーー一+門汗.円非宇序一N一 二 一 出 国 〒 ・ 詞 弐 一 一 一 =ー 一 一 一 1 ー 戸 云 一一 一 一 一 一 酷 一 一 一 凸 ・ ー 一 画 → ー = ー 上 = ー ~ 、 口 一 一 四 - - - = 一 一 墨 . ー ー ’ 函 コ ー ー ー ー 一 一 一 一 吟 E ■ ヨ ー ー 寺 - - - ヰ ー ー ー 申 一 旬 B ■ ■ 咽 ■ ■ B ■ P E = 己 。 二 一 一 一 = 一 一 一 一 一 一 一 串 一 一 画 → 一 一 一 画一一一二一一一三一I ■ 0 - ■ ■ 弓 - - F一一一 ~ ー 一 画 = ● 。 = 凸 一 一 一 ぞ 一 一 璽 匡 1 一 一 一 ー------- = 一 一 一 戸 一 一 一 ● ロ ー ー ー マ ー ー ー ■ - ー 一 ー ヨ ー ー ー ヨ ー ー 一 一 - - . 一 ・ ↓ 一 一 一 』 一 一 一 季 l ~ 一 堂 一 U - - - - 、 - - - 凸 一 一 一 今 一 一 一 一 - - ー 一 - - - - L Q - - - 今 一 一 一 。P 一 ー 一 一 一 一 一 国 一 一 一 ゴ ー 一 一 画 ロ ー ー ー 画 一 一 一 - - - - - - = 一 一 - 一 七一 一 一 苧 一 一 一 一 一 = - 一 一 一 一 一 一 一 宮 一 一 F 一 → = ー ・ 一 ● q 一 一 一 - 一 一 一 ー 『 ー ー = ー 酉 一 一 一 一 一 一 = ー 一 一 ■ 一 一 一 三 一 一 一 = ← - . - 斗 竺 寺 ~ r g I ・ = 一 一 詞 ご 痔 画 一 E ~ 野 受 膏 = - - -- - - - - ー ‐ 企 一 一 一 一 一 一 一 ー 一 再 弐 一 一 一 = ー = ~ ■ ■ D 一 一 キ ー ー = や Q ‐ 埠 卓 b 4 宇 曙 ; ~ 郡 一 所 、 宇 掘 ロ ー ー ー ← 一 一 一 ← ■ ■ 一 一 園 一 一 一 ー = 一 一 一 一 一 一 一 R マ ー ■ 一 一 一 令 票 P 一 計 字 一 乗 - 6 一 群 . 一 群 ' 一 一 u 一 ー 一 一 一 E ヨ ー ー ー ー ー ー 一 国 一 一 ■ ~ ー ロ ー ー ー ■ ■ 一 一 一 一 ■ ■ 一 一 一 一 一 一 一 ウ 7 結論 ]︾一△ 】ロ今 q 童 呂 蝉 湧【 引 巽 登 聾 宇 再 一 ・ 脱明 三 一 一 ー 一 一 一 一 吟 ■ 寺 一 一 脱明 |’ ※ 教 師 の 言 動 発侶1…懲見を求める。「~はどう思いますか?」という発問である。 説明…恵見を述べる。「この~は~ということです。」という説明である。 支援…梢報を提供する。「~についてはこうすべきだ。」というように,支援活動である。 ※ 生 徒 の 言 動 ア:目的を解決するための言動…目的を解決するための言動・自分の意志や教師の指示によって行動が行われている蝋合であり,生徒は「書いている か,討鵠しているか,発表しているか,実験等を行っているか」である。 イ:鷺間(α:教師へ,β:友達へ)…質問,教師や友達に対して,分からない点を職極的に棚いている喝合である。 ウ:擾肋活動(72友達へ,6:友達から)…援助活動グループ実験等で助け合っている甥合である。一人で実験を行っている場合はaに分頚する。 空白:無言・・・教師や友達の話を聞いている場合である。 燕A…幼少の自然体験がとても多いc…幼少の自然体験があまり多く雄ぃa・『・日常,屋外で遊んでいる B…幼少の自然体験がまあまあ多いD…幼少の自然体験が少ぱいb…日常,屋内で遊んでいるi
習程学過
象示 耶提鞘
蝿薙 方法 実験蕊
画 2-4 6 8 10 12 1 4 16 1 8 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48 50 52 54 鋼の鋤 説明 脱明'1 説明 説明 説明 支援 説明 説明 発問 発問 発問 支援 支援 支援 発問 脱明 説明 支援 支援 支援 支擾 支擾 説明 挽明 脱明 生 徒 の 言 動 Ab ; : 課 ウ 6 藻 了? : ; 了: 了 Ab ア :、了. ア . ; 了 ウ 7 7 ? 薪; ■ ■ 申 ウ 7 ア ア. ウγ ア : : 了 了 了 Ba 稲 イβ 萩 顕 イβ 認 〒約 ; 霧 酢季甥 . 記 ウ 7 ウ 6 ウ 7 ウ 7 一J 評 h ■ 令 ア 認 Cb 可号 鐙I 輪 覇 イβ イβ ウ 7 ウ 7 イβ イβ 了 イβ イα ウγ ウ 7 了 ◆■申 顕 龍 図 帝 ウ7 イβ 記 赤 イβ ゆ2. ニア ウ 7 ウ 7 ウ 7糖
ア 認 学習 過程時隠 銅の識 生 徒 の 言 動 A b Ba Bb Bb Cd 塞不 事提 問題 発見蕊
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霧 | 鰯鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要第8巻(1998) d 考 察 ・幼少の自然体験の少ない生徒は概念が 構造化されておらず,学校知と生活知が 別々に存在し融合されていないことが推 測できる。 ・日常屋外遊びをしている生徒はグルー プの中心となり積極的に活動する傾向が ある。 ・幼少の頃に自然体験が少なかった生徒 は,実験開始の時や結果・考察のところ で,自分の行動に不安を覚え,教師や友 達に援助や確認を求める傾向がある。 イ授業2の分析(表4) a 題 材 「赤ワインを沸膝させて,出てくる物質 を調べよう」 b 学 習 展 開 赤ワインを沸鵬させ,五感を通して赤ワ インの成分に疑問をもたせた。その後,蒸 留実験を行い,過熱時間とエタノールと水 の体積関係についてグラフで考えた。 c 分 析 結 果 ・個人差はあるが幼少の自然体験が多い 生徒はアの目的を解決するための言動の 出現が多くなっている。 ・幼少の自然体験が多く日常屋内で遊ん でいる生徒(Abの生徒)は班長であっ たため,多少アの活動が増加している。 d 考 察 ・幼少の自然体験が多いほど,実験に積 極的な活動を示す傾向がある。 ・学習の課題設定の段階でアの目的を解 決するための言動が少なかったのは,教 師が生徒間の話し合い活動によって課題 を設定していこうとしたためである。 ウ 授 業 3 の 分 析 ( 表 5 ) a 題 材 「光の進み方と像について調べよう」 b 学 習 展 開 ロウソクの炎をレンズに近づけたり遠ざ けたりすることで,スクリーンに写る像の 大きさはどう変化するかと問題を提議し,
実験を行った。実験結果をもとに像の大小
を求める作図の考え方まで学習した。最後
に牛の目を観察し,2分野の学習につなげ
た。 c 分 析 結 果・幼少の自然体験が少ない生徒(Cbの
生徒)は友達に質問したり,友達への手
助けをしたりする行動が多く出現してい
る。、幼少の自然体験が多い生徒(Ab^Ba
の生徒)は友達に協力を頼む行動が高く
出現している。 d 考 察・幼少の自然体験が多い生徒は,既習事
項を把握しており実験を主体的に行い,
友達に指示を出しながら進めている。逆
に,幼少の自然体験の少ない生徒は指示
されながら実験に参加しているという傾
向がある。 (2)幼少の自然体験と日常の生活態度別による学 習の特徴 教師の言動,学習の流れや教材の種類,生徒 の係分担によって,行動カテゴリーの出現頻度 の種類は変化する。この3つの授業観察でも教 師の言動によって大きく変化していることが分 かる。授業1では日常の生活態度に大きく変化 が出ているのに対して,授業2では幼少の自然 体験の違いにより変化が現れている。その原因 は授業1に比べて授業2には「支援」が多いこ とに影響しているのではないかと思える。つま り,どれだけ生徒主体の学習を進めたかの違い である。いずれにしても,自然体験が豊富な生 徒ほど自分を生かす場が学習に設定されれば, 主体的な活動を展開していけるということであ る。 表 6 に 3 つ の 授 業 を 統 計 学 的 に 処 理 し て み た。データ数の少なさから顕著な差として捉え られないが,何らかの関係があることは示唆し てくれる。例えば,生徒が目的を解決するため に行う言動は幼少の自然体験が多い生徒と日常 の屋外で遊んでいる生徒に多く出現していると いう関係があることが分かる。さらに,幼少の岩越・八田:幼少の自然体験および日常の生活態度の相違による理科学習の特徴
表6幼少の自然体験と日常の生活態度別の行動カテゴリーの平均生起頻度
-一 -ロ- --=- ※ 生 徒 の 言 助 ア:目的を解決するための言動(閲問は除く)イ:圃問(α:教師へ,β:友達へ) ※A…幼少自然体験がとても多いC…幼少の自然体験があまり多くない B…幼少の自然体験がまあまあ多いD…幼少の自然体験が少ない ※統計処理結果の有意性の表示は以下の通り:**:P<.05.*:P<.1 ウ:援助活動(γ:友達へ,6:友達から) a…日常,屋外で遊んでいる b…日常,屋内で遊んでいる5 結 論
生徒が「わかる」ということを実感できるの
は,遭遇した事象を既有知識と照合することで,
説明できたかどうかである。つまり,自分が信じ
ている概念により事象を説明することができた
か,事象を説明するために必要な既有知識を獲得
していたかが問題となる。そこに,学習の興味・
関心が喚起されてくる。そして,学習した内容が
自己概念に包摂されると,分かったという気持ち
をもつことができる。「自分は何がわかり,何は
まだわかっていないのか,何を知らなくてはなら
ないのか」という既有知識の状態を把握すること
が問題解決能力を高めることであり,学習するこ
自然体験が少ない生徒は実験に自ら主体的に取り
組んでいくのでなく,グループの友達からの協力
を求められて行動するという受け身的な学習傾向
が見られる。逆に,授業1から日常屋外遊びをし
ている生徒は実験に主体的に参加し,グループの
友達に実験の指示をしたり協力を求めたりすると
いう能動的な学習傾向がある。このことについて
は5%の有意水準で有意差が認められている。
これらの事実からも,幼少の自然体験や日常の
生活態度から得た既有知識が生徒の問題解決能力
や態度に影響していることが認められる。
上
儒
平
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均
下段 SD() 標準偏差 p■ 全 体 平 均霧需需
幼少の自然体験 が少ない(C・D) 有 意 性 屋外遊びが多い (a) 屋内遊びが多い (b) 有 意 性 全 授 業 ア 目的を解決 するための 言 動 9.35 ( 2 . 8 1 ) 9.64 ( 2 . 9 6 ) 8.83 ( 2 . 4 1 ) 10.8 ( 2 . 3 2 ) 8.75 ( 2 . 7 7 ) イ イα 教師へ質問 0.41 ( 0 . 6 9 ) 0.36 ( 0 . 6 4 ) 0.50 ( 0 . 7 6 ) 0.60 ( 0 . 8 0 ) 0.33 ( 0 . 6 2 ) イβ 友達へ髄間 0.06 ( 1 . 3 9 ) 0.73 ( 0 . 8 6 ) 1.67 ( 1 . 8 9 ) 1.00 ( 0 . 8 9 ) LOS ( 1 . 5 5 ) ウ ウッ 更違への郷 1.88 ( 1 . G 8 ) 1.36 ( 1 . 5 5 ) 2.83 ( 1 . 4 6 ) * 1.40 (!.1)2) 2.08 ( 1 . 8 5 ) ウさ 友達からの 鰻 助 0.41 ( 0 . 6 0 ) 0.55 ( 0 . 6 6 ) 0.17 ( 0 . 3 7 ) 0.60 ( 0 . 4 9 ) 0.33 ( 0 . 6 2 ) 授 業 ( 1 ) ア 目的を解決 するための 言 動 8.29 ( 2 . 7 1 ) 7.25 ( 1 . 7 9 ) 9.67 ( 3 . 0 9 ) 10.3 ( 2 . 8 7 ) 6.75 ( 1 . 0 9 ) * イ イ α 教師へ質問 0.71 ( 0 . 8 8 ) 0.75 ( 0 . 8 3 ) 0.67 ( 0 . 9 4 ) 1.00 ( 0 . 8 2 ) 0.50 ( 0 . 8 7 ) イβ 友達へ質問 0.86 ( 1 . 1 2 ) 0.75 ( 0 . 8 3 ) 1.00 ( 1 . 4 1 ) 0.67 ( 0 . 9 4 ) 1.00 ( 1 . 2 2 ) ウ ウγ 友達への擾助 1.29 ( 1 . 2 8 ) 0.75 1 0 . 4 3 ) 2.00 ( 1 . 6 3 ) 1.33 ( 0 . 4 7 ) 1.25 ( 1 . 6 4 ) ウ 5 友達からの 疑 助 0.29 ( 0 . 4 5 ) 0.50 ( 0 . 5 0 ) 0.00 ( 0 . 0 0 ) 0.67 ( 0 . 4 7 ) 0.00 ( 0 . 0 0 1 * * 上段 M:平均 下段 S D ( ) : 標準偏差 全 休 平 均 幼少の自然体験 が多い(A-B) 幼少の自然体験 が少ない(C・I)) 有 意 性 屋外遊びが多い (a) 屋内遊びが多い (b) 有 意 性 11.4 ( 1 . 6 2 ) 12.0 ( 1 . 2 2 ) 9.00 ( 0 . 0 0 ) * 11.0 (0.00) 12.3 ( 1 . 2 5 ) 0.20 ( 0 . 4 0 ) 0.25 ( 0 . 4 3 ) 0.00 ( 0 . 0 0 ) 0.00 ( 0 . 0 0 ) 0.33 ( 0 . 4 7 ) 0.60 ( 0 . 8 0 ) 0.75 ( 0 . 8 3 ) 0.00 ( 0 . 0 0 ) 1.00 ( 0 . 0 0 ) 0.66 ( 0 . 9 4 ) 1.80 ( 1 . 9 4 ) 1.50 ( 2 . 0 6 ) 3‘00 ( 0 . 0 0 ) 0.00 ( 0 . 0 0 ) 2.00 ( 2 . 1 6 ) 0.60 ( 0 . 8 0 ) 0.0 ( 0 . 8 7 ) 1.00 ( 0 . 0 0 ) O‘00 ( 0 . 0 0 ) 0.67 ( 0 . 9 4 ) 8.80 ( 2 . 7 9 ) 9.70 ( 3 . 3 0 ) 7.50 ( 0 . 6 0 ) 12.0 ( 0 . 0 0 ) 8.00 ( 2 . 5 5 ) 0.20 ( 0 . 4 0 ) 0.00 ( 0 . 0 0 ) 0.50 ( 0 . 5 0 ) 0.00 ( 0 . 0 0 ) 0.25 ( 0 . 4 3 ) 1.80 ( 1 .3)8 0.70 ( 0 . 9 4 ) 3.50 ( 1 . 5 0 ) 2.00 ( 0 . 0 0 ) 1.75 ( 2 . 0 5 ) 2.80 (1.47) 2.00 ( 1 . 4 1 ) 4.00 ( 0 . 0 0 ) 3.00 ( 0 . 0 0 ) 2.75 ( 1 . 6 4 ) 0.40 ( 0 . 4 9 ) 0.70 ( 0 . 4 7 ) 0.00 ( 0 . 0 0 ) 1.00 ( 0 . 0 0 ) 0.25 ( 0 . 4 3 ) 17 11 6 5 12 授 業 ( 2 ) 了 目的を解決 するための 言 動 イ イα 教師へ澗問 イβ 友達へ髄間 ウ ウγ 友達への援 ウが 友達からの 錘 肋 ア 目的を解決 するための 言 動 イ イα 教師へ質問 イβ 友達へ質問 ウ ウ 7 友達への擾助 ウ 6 友達からの 擾 肋 授 業 ( 3 )被験者
鹿 児島大学教 育学部教育実践研究紀要 第8巻(1998> とであ る。 既 有 知 識 や その状 態 を 把 握 す る力 は,幼 少 の 自 然体 験 の 多少 や 日常 の生 活 態 度 に よ って影 響 を受 け る もの で あ る。 そ の ことが,理 科 の学習 態 度 に 影 響 し,学 習行 動 を特 徴 づ け て い る ことを本 研 究 の 授業 観 察 で明 らか に で きた 。 幼少 の 自然体 験 が 多 い生 徒 や 日常屋 外 遊 びを し て い る生 徒 が,グ ル ー プ の中 心 とな り友 達 に指 示 を 出 しなが ら積 極 的 な活動 を す るの は,事 象 と既 有 知 識 を照 合 で き たか らで あ る。 幼 少 の頃,自 然 の 中 で 多 くの 遊 びの 体 験 を通 して,生 きた知識 を 構 築 し,随 時,再 構 成 して き たか らで あ る。 その ことで,今 の 理科 学 習 の 中 で科 学 的 な 見方 や考 え 方 をす る ことが で き るの で あ る。 一 方,幼 少 の頃 に は 自然 体 験 が 少 なか った生 徒 は,実 験開 始 の時 や結 果 ・考 察 の と ころで,教 師や 友 達 に援 助 を求 め るの は,既 有 知 識が 単 な る機 械 的 な記憶 によ る もので あ った り,知 識 の希 薄 や構 成 の 貧弱 さ によ る もの だ った りす る ことが 原 因 で不 安 を 生 じて い るの だ と考 え られ る。 6お わ り に 幼 少 の 自然体 験 や 日常 の生 活態 度 が理 科学 習 に 影 響 して い る傾 向 は 掴 む ことが で きた。 今後 の研 究 の 課題 と して は,ま ず,幼 少 の 自然 体 験 の有 無 につ い て信 頼性 の 高 い指 標 材 料 が な い か思 索 す る こ とで あ る。 次 に,幼 少 の 自然 体 験 に よ って獲 得 され た既 有 知 識が 情 意面 に左 右 して い るの で あれ ば,そ れ を 関知 す るメ タ認 知 の 育成 を図 る学 習 指 導 法 を工 夫 す るこ とで あ る。 その こ とで,思 考 力 や 創 造力 を 高 め る こ とが で き るの で は な いか と考 え られ る。 最 後 に,本 研 究 にあ た って は,鹿 児島 市 附属 中 学 校,吉 田 町吉 田南 中学 校 の先 生方 の御 協 力 を得 ま した ので こ こに深 く感謝 の 意 を 表 します 。 【引 用 文 献 】 理 科 の 教 育,V.44,No.10, p.4-7. 岩 越 悟 志 ・八 田 明 夫(1997):幼 少 の 自 然 体 験 と 日 常 の 生 活 態 度 が 及 ぼ す 理 科 学 習 へ の 影 響 , 鹿 児 島 大 学 教 育 学 部 実 践 研 究 紀 要,V.7, p.153-161. J・D.ノ ヴ ァ ッ ク&D.B.ゴ ー ウ ィ ン(1992):子 ど も が 学 ぶ 新 しい 学 習 法― 概 念 地 図 法 に よ る メ タ学 習 一,220pp.,東 洋 館 出 版 社. 小 林 辰 至 ・雨 森 良 子 ・山 田 卓 三(1992): 理 科 学 習 の 墓 礎 と し て の 原 体 験 の 教 育 的 意 義,日 本 理 科 教 育 学 会 研 究 紀 要,V.33,No.2, p.53-58. 小 谷 津 孝 明(1985):記 憶 と 知 識,認 知 心 理 学 講 座,第2巻,282pp.,東 京 大 学 出 版 会. 波 多 野 誼 余 夫 編(1982):学 習 と 発 達,認 知 心 理 学 講 座,第4巻,238pp.,東 京 大 学 出 版 会. 渡 辺 義 生(1985):幼 児 と 自然,理 科 の 教 育,V.34, to.11,P.9-13.
Eggleston, J.and Galton, M. 1979, Some Characteristics of Effective Science
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