地域振興と地場産品開発の課題 -- マラウイ一村一
品運動 (特集 アフリカ開発の現在)
著者
吉田 栄一
権利
Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア
経済研究所 / Institute of Developing
Economies, Japan External Trade Organization
(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp
雑誌名
アジ研ワールド・トレンド
巻
158
ページ
12-13
発行年
2008-11
出版者
日本貿易振興機構アジア経済研究所
URL
http://hdl.handle.net/2344/00004882
アジ研ワールド・トレンド No.58(2008. )― 2
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吉田栄一
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ア フ リ カ 各 国 に お け る 近 年 の 地 方 分 権 化 と 開 発 権 限 の 委 譲 に と も な い 、 地 方 の 開 発 に つ い て も 様 々 な 政 策 が 実 施 さ れ て い る 。 し か し な が ら 、 そ こ で 展 開 し て い る の は 社 会 開 発 の 事 業 が 中 心 で 、 地 域 経 済 開 発 へ の 取 り 組 み は 限 定 的 で あ る 。 行 政 管 理 の 通 念 か ら す れ ば 、 農 村 開 発 計 画 、 都 市 開 発 計 画 を 含 め た 地 域 開 発 プ ロ グ ラ ム の 策 定 は 地 方 分 権 化 の 推 進 に は 不 可 欠 で あ り 、 そ れ は 全 体 の 政 策 改 革 と セ ク タ ー 別 分 権 化 、 地 域 ご と の 分 野 別 支 援 、 地 方 単 位 の 制 度 構 築 と 並 び 進 め ら れ な け れ ば な ら な い 。 し か し 、 ア フ リ カ 諸 国 の 地 方 分 権 化 に お い て 開 発 が 語 ら れ る 時 に は 、 往 々 に し て 社 会 開 発 と 経 済 開 発 の 視 点 が 混 在 し て お り 、 実 際 の 事 業 は 社 会 開 発 、 つ ま り 保 健 医 療 や 教 育 拡 充 、 コ ミ ュ ニ テ ィ ・ イ ン フ ラ の 整 備 に 偏 っ て い る 。 持 続 的 な 貧 困 緩 和 に は 地 方 の 経 済 開 発 が 必 要 で あ る は ず だ が 、 地 域 単 位 の 経 済 開 発 の 視 点 は 軽 視 さ れ て き た と 言 わ ざ る を 得 な い 。 こ こ で は 、 地 方 分 権 化 の 推 進 と 地 方 開 発 の 議 論 が 進 む マ ラ ウ イ に 注 目 し 、 現 地 で 地 方 開 発 の 手 段 と し て 期 待 さ れ て い る 一 村 一 品 運 動 の 役 割 に つ い て 述 べ て み た い 。●
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論
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注
目
地 方 分 権 化 と 地 方 の 開 発 の 議 論 が 、 社 会 開 発 中 心 に 進 ん だ 中 で 、 地 方 の 経 済 開 発 へ の 取 り 組 み が 進 展 し て い な い の は な ぜ だ ろ う か 。 そ こ に は 民 主 化 を 進 め る 援 助 国 の 戦 略 が あ る 。 つ ま り 政 治 の 分 権 化 と と も に 、 公 共 サ ー ビ ス に 関 す る 権 限 の 地 方 委 譲 も 進 め さ せ よ う と す る 戦 略 で あ る 。 そ の 際 に 社 会 開 発 に 類 す る 公 共 サ ー ビ ス の 効 率 改 善 が 求 め ら れ 、 諸 策 が 実 施 さ れ た の で あ る 。 地 域 開 発 の 政 策 論 議 が 進 ま な い の は 方 法 論 確 立 の 遅 れ に も 原 因 が あ る 。 新 自 由 主 義 的 な 市 場 開 放 路 線 に 多 く の ア フ リ カ 諸 国 が 追 随 し た 結 果 、 地 方 と は い え 経 済 開 発 へ の 政 策 的 介 入 に 懐 疑 的 な 見 方 が 強 ま っ た 。 つ ま り ロ ー カ ル ・ ス ケ ー ル と は い え 、 経 済 開 発 は 市 場 に 委 ね る べ き と い う 考 え で あ る 。 し か し 、 そ の 市 場 の 力 に 委 ね た 結 果 、 ア フ リ カ 諸 国 で も 国 土 の 隅 々 ま で 経 済 の グ ロ ー バ リ ゼ ー シ ョ ン に 飲 み 込 ま れ る こ と に な り 、 今 日 で は 安 価 な 中 国 製 の 日 用 品 や 賞 味 期 限 の 長 い 南 ア フ リ カ 産 の 加 工 食 品 が マ ラ ウ イ の 山 村 に ま で 流 通 す る よ う に な っ て い る 。 マ ラ ウ イ で 全 国 的 に 小 売 業 界 を 独 占 し て き た 元 大 統 領 所 有 の 企 業 P T C ス ト ア チ ェ ー ン は 、 南 ア 資 本 の メ ト ロ 社 の 経 営 参 加 を 受 け い れ 、 各 地 方 の P T C ス ト ア は 南 ア 製 品 で 棚 が 一 杯 に な っ た 。 一 見 す る と 消 費 生 活 は 豊 か に な っ た よ う で あ る が 、 実 は マ ラ ウ イ で は 絶 対 的 な 貧 困 化 が 進 ん で い る と い う 報 告 も あ る 。 そ の よ う な 状 況 下 で 注 目 さ れ た 地 方 の 開 発 コ ン セ プ ト が 「 地 域 振 興 ( L E D ) 論 」 で あ る 。 最 近 の L E D 論 を 大 別 す る と 、 市 場 主 義 に 批 判 的 な L E D ( Pro-Poor な L E D と も 呼 ば れ て い る ) と 市 場 主 導 で 成 長 を 目 指 す L E D が あ る 。 Pro-Poor な L E D は ボ ト ム ア ッ プ 型 で 、 自 立 と エ ン パ ワ メ ン ト 、 参 加 促 進 、 協 働 、 環 境 的 サ ス テ ナ ビ リ テ ィ な ど の 達 成 を 目 的 と し て い る 。 一 般 的 に 、 ア フ リ カ に お け る L E D に は ① コ ミ ュ ニ テ ィ ベ ー ス の 経 済 開 発 、 ② ビ ジ ネ ス 開 発 、 ③ 総 体 的 な 地 域 空 間 開 発 ( い わ ゆ る 地 域 計 画 ) が あ る と さ れ る 。 第 一 の コ ミ ュ ニ テ ィ ベ ー ス 開 発 が 目 指 し て い る の は 家 計 収 入 源 の 多 角 化 と 脆 弱 性 の 緩 和 で 、 第アフリカ開発の現在
―アジ研ワールド・トレンド No.58(2008. ) 二 の 目 指 す も の は 個 々 の 企 業 活 動 あ る い は 企 業 集 団 ( ク ラ ス タ ー ) の 成 長 で 、 第 三 は 上 記 の 点 を 総 合 的 に 導 入 す る た め の 地 域 経 済 政 策 や 地 域 空 間 計 画 で あ る と さ れ る 。 L E D 論 の 視 点 で 重 要 な の は 、 地 域 ご と に 、 リ ソ ー ス や そ の 活 用 の 状 況 、 そ れ を め ぐ る 制 度 や 政 治 と い っ た 社 会 環 境 の 違 い に 応 じ て 、 各 県 、 各 村 に 適 し た 開 発 戦 略 を た て る べ き と い う 考 え 方 で あ る 。