• 検索結果がありません。

血液・尿化学成分の動態と健康指標としての活用に関する研究(1)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "血液・尿化学成分の動態と健康指標としての活用に関する研究(1)"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)Title. 血液・尿化学成分の動態と健康指標としての活用に関する研究(1). Author(s). 佐々木, 胤則. Citation. 北海道教育大学紀要. 第二部. C, 家庭・養護・体育編, 42(1): 29-36. Issue Date. 1991-07. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/6684. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 平成 3 年7月. 2巻 第1号 北海道教育大学紀要 (第2部C) 第4 ionl IC) Vo l iver i ion (Sec ido Un ty of Educat t Joumal of Hokka s .I .42 , No. ly Ju ,1991. 血液◎尿化学成分の動態と健康指標としての活用に関する研究 (1). 佐 々 木. 胤. 則. 北海道教育大学札幌分校 教育保健. Evaluat ion of Changes in B1ood and Urinary Component Values and the Use of These as Heal th lndicators l.. Tanenor i SASAKI ion l Depar tment of Heal th Educat ege , , Sapporo Col i Hokka i do Un i iver ty of Educat on s , Sapporo o02. Abst ract s As pi t of an e demio1ogic study various blood Components in yotmg fema1e. l ing the igated toge位er wi t th a simple questiolulaire on health inc ject sub s were inves ud icaICond i ion, mental stress, and so on‐ t phys Hi i l canoni he serui i ibu n n total‐cholesterol values showed tのp sto ‐ ca st r cal d ≦夢 rams of t ions and we lrange‐ The total-protein, albuumin, Copper, and whol t reinthe norma e blood. imi lar canoni ion and s i f hemoglobin showed a s ld i ibut ted to hi r ca st gher values 化lan the l range‐ Urea nitrogen scattered wide in and a lbumn ly and was high‐ T‐prote in did norma i l lat ive not show s n gmi五cant changesin Circatigintan rh直加中. Re ylow values ofhemoglobi igh values of copper were observed in the 危r iod rh コ ヒ ロー l and zinC, and h ti :“h st per s idered to be s lar to anemia inducedlack of stored iron‐ imi Cons Sub i ionalcond i ion butsome were u1 t t lder stress and ject s were seeminglyin good nut r ioned here were useful to ron‐ The factors ment possibly subanemic lacking in stored i. ividual and general population heal th evaluate i nd ‐. 1. は じめ に. 健康は人々 の自己実現および生活全体を支える基盤として保持されなければいけないと理解され 29 ( ).

(3) . 30. 佐々 木. 胤. 則. ているが, 不健康に陥っ て初めて自覚されることが多い. 個々人の健康状態 は顔色, 体調, 食欲, 気分または精神の安定度な どから自覚的・他覚的にある程度知ることが可能であるが客観的に捉え る こ と は難 しい.. 本研究は, 血液および尿中 のいくつかの成分について, 分布および変動に与える因子を明らかに し, 客観的に健康状態を捉える指標として の活用性の検討を一連 の調査・実験 の成績から行ってい くものである. 今回の報告では, 先ず, 基礎的資料を得ることを目的とし, 一定 の年齢層となる女子大学生集団 を対象とし,主に疾病のスクリーニング,診断に利用されてきた血液生化学成分の中の総蛋白質(TP) , アルブミン, 総コ レステロール, 尿素窒素 (BUN) ) ) )の Zu , ヘモ グロ ビン (Hb , 銅 (Cu , 亜鉛 ( 7成分の分析を実施し, 検査値の分布状態および正常値等の検討を行っ た. 次に, これらの成分に 変化を与えると考えられる月 経, 体型な どの基本的因子についてグループ分けを行い, 血液生化学 成分との関係を検討した. また同時に設問した, 朝食の摂取, 食習慣, 体調, ストレスの有無など から血液成分とそれに変動を与える生活因子の関わりについて, いくつかの角度から考察した.. 1 1 対象と実験方法 1. 対象 通常生活を営んでいる女子大学生(年齢1 9~21才)80名を対象とした. 採血は午前中に行い, 朝 「 「 食は 取らない」 , 取っ ても 軽いものとする」 と依頼した. 採血に際し, 十分量の血液が得られな かっ た者, アンケートで 「現在患っ ている疾患がある」 と答えた者は今回の解析から除いた. 2. 実験方法 採血は左肘静脈より約1 oml行い,一部 はヘパリン試験管に移し,残りは1時間放置後,3,ooorpm oCで凍結 ( 1omi ) で血べいと血清に遠心分離した 0 n ‐ 得られた全血および血清は, 分析時まで-5 保存した. 1) 生化学検査 総タ ンパク質は ビウレッ ト法により測定した. 銅イオ ンを含む強いアルカリ溶液に血清を加える と, タ ンパクは錯塩を形成 して青紫色を呈する. 本法 は青紫色に発色 した溶液を分光光度計を用い て 540r 1m で比色定量するものである.. アル ブミンは,BCG(ブロムクレゾールグリーン)法により測定した.本法はBCGを含むpH4‐2 の発色原液に血清を添加すると,血清中のアルブミンは発色試液中のBCGと結合し青色を呈する. この青色の 630rmnにおける吸光度を測定しアルブミン含量を求めるものである. 総コレステロールは,oーフタルアルデヒド法により測定した. 血清に酢酸エステルおよび過塩素 酸を混和し室温で放置すると, 血清中のコレステロールが,o-フタルアルデヒドと反応し, 赤紫色 に呈色する.この550 皿nにおける吸光度を測定することにより, 総コレステロール含量を知ること 力ゞで き る・. 尿素窒素は,尿素に対して特異的な反応を示す Fea ron反応を利用 したジアセチルモノオキシム法 により測定した. 本法では, リン酸にジアセルモノオキシムおよびチオセミカルバジドを溶かした 発色試液に血清を加え, 沸騰水溶中で加熱し赤色に呈色させる. この赤色の5 30mn における吸光度 を測定することにより, 尿素窒素含量を求めるものである. 30 ( ).

(4) . 31. 血液・尿化学成分の動態と健康指標としての活用に関する研究 (1). ヘモ グロ ビンは全血を用い, シアンメ トヘモ グロ ビン比色法により定量した. 上記成分の実際の測定にあたっ て は市販されている測定用試薬キッ トを用いた. 2) 血清銅, 亜鉛の定量. ) 銅および亜鉛の測定は,ゼーマン型原子吸光分光光度計を用いた直接希釈法で行った1 .試料の調. 0 5倍に希釈したもの を, 亜鉛 はそれをさらに0‐IN 塩酸で1 製において銅 は0‐IN 塩酸で血清を1 倍に希釈し150倍としたものを測定用試料とした. なお, 銅の測定値の算出にあたっ て は標準添加 法によっ て作成した検量線を用 いた. また, 亜鉛の測定では, 全て脱鉛処理 した プラスチックの容 器, 試験管を用いた. lememt tances and t Tabl s race e e ‐ ・ l semm subs T-Prote in. ) ( loomg g/ N N[ ean S -D‐ S‐E. X2. A1 bmmi n. I T‐Cho l t r e s e o. 7‐89 o‐47. 4‐96 0‐35. o・o5 7.46. 0-o4 6.99. 68. 186‐o. 18‐5. 22.6. 3‐9 0・5. 16.o 2‐6. 2・6 5‐96. 22‐30. ‐ COPPe l. Zinc. oom β ) ) (”g/l omg ( oomの (払g/lo g/l. 75. 75. 74. 74. Hemog lobi n. BUN. / omの lo /momの ( ) ( ( oome mg mg g/l. 0‐3 9.46. 75. 74 ll9.o. 61.6. 24.1. 28‐3 3.3 14.5. 2・8 4‐99. 2 ;18 48 自由度 7) =14‐o7 (X29 9 9 ‐ , , X. .5. l P 【 T ‐ r o c n. C o r e p p. Z 1 n o. 1 2 } 1 {. 1 -Qp. l l l 8 } ( 1. l y 0 } 【 2. 1 2 } ー 1. l f TP, F i l un leve so g .I Changesin ser d T-cholesterolin bunn in BUN a n al , , l i igintan r hy thm‐ Va rcat r c ue means 文 ± S‐ E.. 31 ( ). 由2 1 }. 1 1 1 8 } { 1. V 1 0 } { 2. Changes in who l e bl oodlevels of Hb l and ser l虹n l eve s of copper igintan mh inc in c i r t rcat j i鴎 and z y E Value reans 文 士 S ‐ .. F ig. 2.

(5) . 32. 佐々木 胤 則. m. 成. 績. 測定7成分の成績を表 “こ示す. 測定値の中で異常と疑われるものは棄却検定を行い処理した . なお, 朝食との関連では, 「軽く取っ た」 と 「取らなかっ た」 ものとが半数に分かれ 後者の方が尿 , 素窒素を除き, いずれも平均値では高い値を示したが有意 ではなかっ た . 1. 測定成分の分布とそ の範囲 各検査成分については平均値, 偏差を参考に8段階前後 に分けた度数分布図を作成し 分布状態 , を観察すると共に, カイ 自乗による正規検定を行っ た. また臨床場面で用いられている女子の正常 )との比較を行っ た 範囲2 . 総タンパク質の平均値と中央値はほぼ一致し, これらの値を中心になだらかに減少する分布図が 得られた. 一般 の女子の正常範囲より高値にシフトし, 高値出現率は1 2%であっ た. ブ アル ミンも平均値と中央値 はほぼ一致したが, 対象の大部分は中央値からやや高値に位置し , 平均値より低い部分では同じ度数で分布する分布図が得られた. タンパク質と同様38~53g/lo o ‐ ‐ 2%であっ た. m1とされる正常範囲より高値 に分布し, 高値出現率は1 尿素窒素の最頻値と中央値はほぼ一致したが, 区切られた範囲の度数に大きな差がないというフ ラッ トな分布となり, カイ 自乗による正規検定では, 正規性が得られなかっ た 値としては全体的 . に高値を示し, 高値出現率は24%であっ た‐ 総コレステロールは典型 的な正規分布を示し,すべて一般の正常範囲1 30~250mg/loo mlに 入 っ て い た.. ヘモ グロ ビン は平均値, 最頻値が一致し, 平均値近傍に集中する山形分布を示した 全体的には . 高値にシフトしていたが, 4%のものが正常範 囲より低値であっ た‐ 銅は11 0~130”g月0omlに対象の39%が集中し両翼ではすみやかに減少するという分布を示した . 対象の9 5%は正常範囲 にあり, 残りの5% は高値に位置していた. 亜鉛は50~7 0〆g月0omlに最頻値を持ち, 高値で漸減するという対数正規様分布を示した した . がっ て, 分布は正常範囲を含み大きく広がり, 平均値 は正常範囲の最低値より低値であっ た . 2. 月経周期との関連 最も近い生理の初日から採血 日が何日目にあたるかを尋ね, 初日から7日目を1期, 8日目から 14 日目を1 1期,1 5日目から21日目をm期,22日目以降をN期としてグループ分けした場合の成績 を図1に示す. アルブミン, 総タ ンパク質は1期からW期まで比較的安定した値をとり, 総コレステロールはIV 期で減少するという傾向が観察された. 尿素窒素, ヘモ グロ ビン, 亜鉛は1期では比較的低い値を とり, 1 1~IV期では安定した値を示した. 銅は1期から1 1期にかけて低下しェ 1期目から徐々 に回復 するという傾向が観察された. 3. 体型との関連 身長, 体重, 胸囲, 座高から普通型, 虚弱型, 長育型, 痩せ型, やや太り型, やや頑健型等 に分 )を求め場合わけを行っ た さらに カウブ指数と成分値との相関を求めた 類する形態的健康度3 , . . 本研究における対象者 は大部分普通型に含まれ, 次に虚弱型, 痩せ型が多かっ た. 普通型, 虚弱 3 2 ( ).

(6) . 血液・尿化学成分の動態と健康指標としての活用に関する研究 (1). 33. 型にはいずれの項目にも有意差は認められなく, 他の体型とはサンプル数から十分な検討ができな かっ た‐ またカウプ指数と成分値には有意な相関は得られなかっ た. 4. 生活因子との関連 菜食主義, 肉食主義などの極端な食習慣をもつ者はいなかっ た. 体調について は, 現在と過去1, 「 2 ヶ月の調子を 「良い」 , 悪い」 で尋ね, ストレスについて は, 不安, 心配事, 悩み, 思い煩いな どの心理的ストレスの有無について主に尋ね, 場合分けして検討を行っ た. 現在の体調との関連では, ヘモグロ ビンを除き体調が 「悪い」 と応えたものの方が平均値におい て はいずれも高く, アル ブミ ンでは有意となっ た‐ 過去1, 2ヶ月の体調との関連では現在の体調 と同様アルブミンにおいて 「悪い」 と応えたものが有意に高い値となっ たが, 前者とは逆に総コレ テロール, 亜鉛は 「悪い」 と応えたものが平均値において低値を示した. 「 ス トレスとの関連では, いずれの項目においても, 「有り」 , 無し」の間に有意の差 は認められな 「 パ グループ かっ たが, 有り」の において総タン ク質, 尿素窒素, 亜鉛が比較的低く, 銅が高いとい う傾向が観察された.. W. 考. 察. 通常血液検査において は, 朝食を取らずに, 空腹時に行うのが原則である. 本調査では, 朝食を 制限することによっ て体調を崩す場合も考えられたので強い制限は行わなかっ た. 血液像では, 食 後に見られる脂質による濁り, または高脂血症と疑われる検体は認 、められなかっ た. また, 食事に よる明確な影響 は認められなかっ たが, 朝食を取っ たグループの多くの成分に低値傾向が観察され た. これらは食事による水分の希釈と水分を取らなかっ たための濃縮が相対的な差を生みだした要 因とも考えられた‐ 1. 検査成分の動態から 総タンパク質, アル ブミン 血清蛋白には8 0種以上の成分があり,それぞれ多彩かつ特異的な生物学的活性をもって生体の諸 機能の維持に関与しているが, 大部分はアルブミンとグロ ブミン (約4:3) の2成分からなっ て いる. アル ブミンは血清蛋白の半分以上を占め, 種々の物質と結合し, それらを運搬する性質を持 つとされているが,明確な働きは示されていない.抗体産生に伴う γ-グロ プリン等に変動がない場 合, 血清タンパク質とアル ブミ ンは一致して変化することが予測される. 本成績でも同様な結果が 得られていることから抗体産生を伴うストレス にさらされていないことが伺える. 一般に, 低栄養, 肝機能の低下, 小腸の吸収機能低下, ネフローゼ症候群, 悪性腫蕩等で血清タンパク, アルブミン は減少するとされているが, 本研究の対象集団は, いずれも高値傾向にあり, タ ンパク質栄養の面 では良好な状態にあることが示された.. 尿素窒素 尿素窒素は肝臓における尿素合成, 腎臓からの濃縮排池の中で 8~18mg に保たれているが, 摂 取食物のタンパク質含量, タ ンパク質, アミノ酸代謝に関連するホルモンの作用で変動する. 疾患 との関連では, 肝実質障害で尿素合成が阻害されると血清中および尿中の尿素窒素 は減少する. ま た腎疾患のために, 腎臓からの排池が障害されると血清尿素窒素が上昇し, 尿中尿素窒素は減少す 33 ( ).

(7) . 34. 佐々 木. 胤. 則. る. 尿素窒素の分布に正規性 が認められなかっ たことは多様な食事内容を反映していると同時に, 濃度を強くコントロールする制御機構が存在しないとも考えること ができる‐ すなわち, 尿素窒素 は代謝に影響を与える内的外的因子によっ て変化し, 逆に濃度の変化 はそれらの因子の強さと捉え )はス トレスによって尿素窒素が上昇することに注目し尿素窒素を用いてス ることができる.中野ら4 トレス指数を算出する ことを提唱している. 本研究の対象は全般的な高値傾向にあり, 何らかのス トレス受容が疑われる が, ストレスの有無による場合分けでは有意差は認められなかっ た. 本研究 0才前後という年齢層特有の傾向と思われる が, 今後詳 で得られた成績 は日常の食事内容, または2 細な検討が必要である. コ レス テ ロ ー ル. コレステロールは生体細胞の膜成分として, また胆汁酸や各種のステロイ ドホルモ ンの母体とし ) 中でも高 て重要である反面, 動脈硬化症の病態形成の上で中心的役割を果しているとされている5 . 比重 (HDL) と低比重 (LDL) のものに分けた場合, LDLの割合が高い時要注意とされてい る‐ コレステロールが低すぎた場合, 細胞膜が脆弱となり細菌の感染を受け易くなる, 脂溶性 ビタ ミンを含む脂質の吸収不全が起こるなど多すぎても少なす ぎても障害が生じ, 濃度を調節する機構 が必要である. 調節のメカニズム は明確にされていないが, 若年では機能し, 加齢に伴い低下する と考えられる. 一般 に調節機構が働いている成分の個体集団の分布図は正規分布をとる. 本調査で 得られた正規分布は調節機構が存在することを示し, 若年で十分機能することを表しているものと 思われる. ヘモ グロ ビン. 十分な食物摂取の現代にあっ ても若い女性の栄養問題として 血色素 (ヘモグロ ビン) 不足による 鉄欠乏性貧血がしばしば取り上 げられる. 本研究の対象は全体的に高値傾向にあり, 体調が不調で あると応えたものに貧血と疑われるものはいなかっ た.しかし,貯蔵鉄不足から置かれた状態によっ )とされていることから,正常レベルより て貧血に陥っ てしまう潜在的鉄欠乏性貧血は増加している6 低値を示した者が若干存在したことも見逃せない. 銅, 亜鉛 必須微量金属である銅, 亜鉛 は生体中ではタンパク質と結合し, 銅は主に酸化還元酵素, 亜鉛は 合成酵素の活性中心にあっ て主に金属酵素として働いている. 血清, 血梁中では, 銅 はタ ンパク質 0%がアル ブミンと弱く結合し, と強く結合したセルロブラスミンとして大部分存在し, 亜鉛は約6 7 ) 一般に プリンと結 約30%はグロ 合していると報告されている . , 銅, 亜鉛を含む重金属は大量では } メタロチオネイ ン 毒性が強く, メタロチオネイ ンを介した調節機構が存在しているとされている8 . はストレス負荷によって変動することから銅, 亜鉛レベルの変化とス トレス は深く関連しているこ 1 0 ) ) と が 示 唆さ れて い る9 .. 本調査で得られた, 銅, 亜鉛の分布図の正規性は調節機構の存在を示するものである が, 亜鉛は 正常範囲を含みながらも低値に広く分布するという成績であっ た. 亜鉛 は, コンタミネーショ ンの 除去, 測定法の確立によっ て徐々 に報告値が低下する傾向にあり, 本研究における対象 が特に低い と す る こ と は で き な い. ス ト レス と の 関 連 で は, ス ト レス 「有 り」 と 応 え た グ ル ー プ が, 平 均 値 に. おいて銅は高値, 亜鉛は低値を示し, 多くの報告と一致したが, 有意とはならなかっ た. 今後, 例 数を加えて検討する必要があると思われる. 2. 月経周期との関連について 女性における月経周期 は, 通常において は主に脳下垂体前葉からの卵胞刺激ホルモ ン, 黄体形成 3 4 ( ).

(8) . 血液・尿化学成分の動態と健康指標としての活用に関する研究 (1). 35. ホルモン, 卵巣からの卵胞ホルモ ン (エストロゲン) , 黄体ホルモン (プロゲステロン) がフィ ード バック作用を持ちながら周期的に分泌されることによって形成される平均28日の生体リズムである. 体内の物質代謝に比較的影響を与えるホルモ ンはエストロゲンであり, エストロゲンは蛋白代 謝に D またエストロ ゲン は著明な作用を示さず, 糖質代謝を高め, 中性脂肪の沈着を促すとされているI . は排卵の14日目をピークに黄体の退縮と共に減少する‐ 本研究において, 総タ ンパク質, アルブミ ンに特徴的な変化が認められなかっ たことは, エス トロゲンがタ ンパク質代謝に作用しないという ことを間接的に示すものと思われる. 体内における中性脂肪 は, コレステロールと共にリ ポ蛋白を V期におけるコレステロールの減少 は中性脂肪の動きを反映したものと 形成し組織に運 ばれるが, I も と れ る.. ヘモ グロ ビンと銅は相反する変化を示し, ヘモ グロ ビンと亜鉛は類似のパターンを示した. エス 2 ) 銅は鉄代謝 トロゲンの増加に伴っ て亜鉛は上昇し, 鉄, 銅は低下するという報告とは一致しない1 ‐ 3 ) 月経の始まりに伴 に不可欠であり, 貧血の時上昇し, 回復と共に元のレベルに戻るとされている1 . う血液の損失は50~loom1とされ, 貧血 を招来させる程の量ではないが, 1期に観察されたヘモグ ロ ビンの低下と銅レベルの高値 は貧血時にみられる状態と類似している. 観察された現象が貧血傾 向を示すものとすると対象 グループは見かけ上正常ではあるが容易に貧血に陥っ てしまう潜在的鉄 欠乏状態 (貯蔵鉄不足) にあるとも捉えることができる‐ また同時に, 鉄代謝のリズムが月経周期 に組み込まれているとも考えられる. いずれにしても潜在的鉄欠乏状態における銅の働きを含む鉄 代謝の調節機構が明らかにされる必要 がある. 個々 の成績において銅と亜鉛に負の相関は得られなかっ たが, グループでは相反する変化が観察 4 } された.銅と亜鉛には括抗現象が報告され,[銅/亜鉛]比はストレス負荷で上昇するとされている1 ‐ 月経周期にも同様のパターンが示され, 1期におけるこの比の高値傾向は何らかのストレス状態が 5 ) 問診等による 伺えるが,月経に伴い緊張が高まるとされる月経症候群はN期に起こることが多く1 , 確認が必要である. 3. 体型, 体調, ス トレスとの関連について 栄養素が十分に摂取できない状態では, 体型 は栄養素の供給によっ てある程度規定されるが, 十 分な食料が得られる今日では, 体型は生活様式や遺伝的要因を強く受けて決まる場合が多い. 体型 による分類で成分の値に違いが認められなかっ たのはこのようなことを反映したものと推察される が, 対象者の大部分が普通またはやや痩せ型に属したのは, 高身長化にともなうものと思われる‐ 6 )は肥満者に検査成分の高値傾向を指摘しているが, 若年だけを対象とした報告は少ない 野村1 . 体調については, 「不調」と訴えたグループでは, タンパク質, コレステロール等に低値が観察さ れるものと予測していたが, 傾向は認められなかっ た. また, ス トレスとの関連では, 尿素窒素, 銅の高値, 亜鉛の低値が推測されていたが, 明確な成績 は得られなかっ た. 質問紙による回答では, 程度, 強さを捕らえる形式となっ ていなかっ たなど不十分さもあり, 設問の充実が課題とされるが,. 心理・感覚的側面と身体的側面の不一致性も見逃せない. 今後, 身体状態を客観的に捕らえる質問 紙の開発と共に負荷実験を通してこれらの成分の変動を捕らえていく必要があると思われる.. 35 ( ).

(9) . 36. 佐々木 胤 則. V. ま. と. め. 女子大学生を対象に血液中の7成分の分析を実施し,種々の角度からこれらの成績の解析を行い, いくつかの特徴的傾向を捕らえた. 総タンパク質, アル ブミン, ヘモグロ ビンは個人的にも, 集団的にも栄養状態を反映し, 対象集 団は良好な状態にあることが示された. 尿素窒素は個体間のバラツキが大きく, 一 定の傾向を捉え にくいが, 基礎代謝, 食事傾向の把握によっ て, 外的因子に対する反応の強さを知る指標になり得 ると考えられた. 総コレステロールの値は栄養素の代謝, 調節が円滑に行われていることを示し, エストロゲンの影響を受けることが示唆された. 銅, 亜鉛の分布はグループでは, ストレスとの関 連で多くの報告と類似したが, 個体レベルでは観察されなかっ た. 総タ ンパク質, アル ブミ ンには, 月経周期に関連したリズムは見いだされなく, ヘモ グロ ビン, 銅に貯蔵鉄不足と推察される月経初 期における前者の低値, 後者の高値傾向が観察された. 身体的側面と心理・感覚的側面には一致傾向が見いだされなく, より適切な質問紙の開発が求め られたが, 得られた成績 は今後の研究を展開していく上で, 有用な資料になると思われる.. 文献・参考図書 1) 佐々木胤則他,ゼーマン型原子吸光分光高度計を用いた血液重金属測定の検討,北方産業衛生, 34 1 9 80 )1‐ 5 ,( 2) 臨床検査法提要, 金原出版, ( ) 19 86 3) 荻野忠則, 乳幼児から児童青年成人までの体位検査法, 日本分化科学社 ( 96 1 3 ) 4) 中野弘一・筒井末春, ストレスと栄養, からだの科学増刊1, 日本評論社 ( 198 3 )1 ‐1 36 39 5) 白井厚治・斉藤康, 動脈硬化-脂質代謝, 病気を理解するための生理学・生化学, 金芳堂, ( )31 ‐5 19 85 4・ 6) 池田順子他, 女子学生の貧血と栄養, 日本公衛誌, 38( ),( )4 4 19 8 9 65‐ 0 47 7) 岡田正・高木洋治, 亜鉛の代謝, 亜鉛と臨床, 朝倉書店, ( 98 4 )1 1 0‐ 2 5 8) 野見山一生, メタロチオネインとその生物学的意義, 臨床医, 8, ( 2 19 8 ) 1567‐1569. 9) oh log i ion of me l l ione in l ioni iouss t al t ta t t tr o calfunc oth sinduc nrat sby var es ‐ . H.e . V. . , Bi ,S , Am.J ) i 2 3 4 ( 9 7 8 ) 2 8 2 - 2 8 3 ( 1 5 o phys . , ,. 1 ) 佐々木胤則他, ストレス負荷によるヒト血繋金属および生化学成分の変動について, 北方産業衛生, 37 0 ) 19 89 ,( 33‐37. 1 1 ) 真島英信・石田絢子, 内分泌, 人体生理の基礎, 杏林書院, ( 198 2 ) 230‐254 1 l l ‐ fe l me i 1 2 ) Henkin, R‐ ta i ta tabol te t ncatt rn sm ofcopperand z er .e . .0bs .GI唾ecoL , Matema , Am.J ,110 , ( ) 131‐134 1971 13 ) Si l l incl l i log i i ion in t al l t n r and z a eve si n var ouspatho ccond .e . .C1 ,S .Patho . ,Serum coppe , Am.J ,54 , (1970 ) 570. 14 ) AI-0せ=ロan, K. et aL, P1asma levels of zinc i l ium in rat ter pa式ial um and ca c s af を瓢es , copper , ma hepatec l i tomy l i 1 1986 ) 223‐226 ta Phamaco t Toxyco og ca e og ca . V工 , Ac ,59 , Suppl ,( i ) odink,J 1 5 ISyndrome t t脳nsof Biogenic Aminesin premens rcatng ntan 枇l rua y ,et aL, Circadian and Ci i i i ) 346‐356 1990 (PMS ), Psychosomat c Med c ne ,52 ,( 6 ) 野村 茂, 肥満の生態, 生活と肥満, 医歯薬出版, ( 1 198 )1 ‐ 1 33 (本 学 講 師. 3 6 ( ). 札 幌分 校).

(10)

参照

関連したドキュメント

|﹁ひとつむすびてはゆひ︐I︑して﹂

大学教員養成プログラム(PFFP)に関する動向として、名古屋大学では、高等教育研究センターの

「基本計画 2020(案) 」では、健康づくり施策の達 成を図る指標を 65

当財団では基本理念である「 “心とからだの健康づくり”~生涯を通じたスポーツ・健康・文化創造

小学校学習指導要領総則第1の3において、「学校における体育・健康に関する指導は、児

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

タンクタンクタンク モバイル型Sr 除去装置 吸着塔 スキッド 計装制御 スキッド 計装制御装置 ウルトラフィルタ スキッド SSフィルタ

E国の製造者S(売手S)は、ある漫画キャラクタの著作権者及び漫画キャラクタに関