『古今和歌六帖標注』翻刻(一三)
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(2) 北海道教育大学紀要. ︵人文科学・社会科学編︶. 第二号. 平成十六年九月. 藤一. ︵﹃北海道教育大学紀要︵人文. 男. ︵﹃語学文学﹄第三六号一九. ︵﹃旭川国文﹄第一三号一九九. 伊. 北海道教育大学旭川校国文学研究室. ︵一三︶. 第五十五巻. ﹃古 今 和 歌 六 帖 標 注 ﹄ 翻 刻. ﹁﹃ 古 今 和 歌 六 帖 標 注 ﹄ 翻 刻 ︵ 三 ︶ ﹂. ﹁﹃古今和歌六帖標注﹄翻刻︵二︶﹂. ○本稿は、﹁﹃古 今 和 歌 六 帖 標 注 ﹄ 翻 刻 ︵ 一 ︶ ﹂ 七年一一月︶ 九人年三月︶. 科学・社会科学編︶﹄第四九巻第一号一九九八年八月︶、以下、同紀要、第 五〇巻第一号︵一九九九年八月︶・第五一巻第一号︵二〇〇〇年八月︶・第五一 巻第二号︵二〇〇一年二月︶・第五二巻第一号︵二〇〇一年九月︶・第五二巻第 二号︵二〇〇二年二月︶・第五三巻第一号︵二〇〇二年九月︶・第五三巻第二号 ︵二〇〇三年二月︶・第五四巻第一号︵二〇〇三年九月︶・第五四巻第二号︵二. いはひ やちよに古・朗・新. 我君はちよにましませさゞれ石のいはほと成て苔のむすまで. 〇〇四年二月︶所載 の ︵ 四 ︶ ∼ ︵ 一 二 ︶ を 受 け る も の で あ る 。. 二二三四. ﹃拾遺 ﹄ 賀 ︵ 二 七 七 ︶. もとすけ. ︵副賀︵三望︶よみ人しらず・朗︵七七六︶・新撰︵一六一︶︶. ︻頭︼. きみがよを何にたとへんさゞれ石のいはほとならんほどもあかねば. 二二三五. を家. ふして思ひおきてかぞふる万代は神ぞしるらん我君のため. 鶴亀も千とせの後はしらなくにあかぬ心にまかせはてゝん. 在原のしげはる. ︵同︵三五四︶そせい・家︵Ⅰ五三●Ⅱ二七︶・新撰︵一七一︶︶. 二二三六. に古・家・新. いにしへもありきあらずはしらねども千年のためし君にはじめむ. ︵同︵三五五︶︶. 二二三七. 神なびの山の上なる石清水いはひてぞくむ万代のため. 大和. ︵同︵三五三︶そせい・家︵Ⅰ五二重一六︶・新撰︵一六九︶︶. 二二三八. 亀のをの山の岩ねをとめて落る瀧の白玉千代の数かも. ︵続古賀︵完〇四︶よみ人しらず︶ 山城. 二二三九. ゐる伊. よはひ伊ナシ伊. 塩の山さしての磯に住千鳥君がみよをばやちよとぞなく. 未勘. ︵古賀︵三五〇︶きのこれをか・新撰︵一六七︶︶. 二二四〇. はひをまかす家. ︵副賀︵三豊︶よみ人しらず・﹃伊勢集﹄ ︵孟〇五畠軍Ⅲ四四九︶・新撰︵一六五︶︶. 貫之. ほ貫. る貫. 二二四一かのみゆるたづの村鳥君にこそおのがよゝをばいはふべらなれ ︵対雑九鶴︵三芙七︶・家︵Ⅰ一九五︶︶. いせ. 山風は吹どふかねど白波のよする岩根は久しかりけり. まつ貫. 二二四二. ︵Ⅰ妄二︶︶. に﹁伊勢﹂とあるはおぼ. の歌、﹃貫之集﹄ には、延長四年、法皇六十御賀屏風. ︵新古賀︵七≡︶・家︵豊一一︶・﹃貫之集﹄. ︻頭︼此﹁山風は﹂. 十一首のうちのうたなれば、こゝと ﹃新古今﹄. おほぞらにむれたるたづのさしながら思ふ心のありげなる哉. つかなし。. 二二四三. ︵拾賀︵二八四︶・家︵Ⅰ六九・Ⅱ七一重ハ八︶・朗︵四五二︶︶. 7.
(3) 伊 藤 一 男. 九条右大臣. ︻頭︼本文﹁ お も ふ 比 の ﹂ と あ り 。 今 は ﹃ 拾 遺 ﹄ む。 ﹃拾遺﹄賀︵ 二 八 六 ︶. によりて﹁心﹂とあらた. さくら花こよひかざしにさしながらかくてちとせの春をこそへめ つらゆき. 鶴おほくよをへてみゆる浜べこそ千とせつもれる所也けれ. の家. ぞ後・家. もゝとせといはふを我は聞ながら思ふがためはあかずも有ける. ︵家︵Ⅰ三三五●八人三●Ⅱ三七︶︶. 二二四四. 二二塁 ︵矧賀︵喜二 ︶ よ み 人 し ら ず ・ ﹃ 貫 之 集 ﹄ ︵ Ⅰ 六 七 六 ︶ ︶. おなじ人 け家. のみこそはたぐふ家. ことしおひのにひくはまゆの唐衣ちよをかねてぞいはひ初ける. おなじ人. おなじ人. 岩の上にちりもなけれどせみのはの袖にのみこそいはふべらなれ. ︵家︵Ⅰ六人〇︶︶. 二二望︵. 二二塁. 二二四九. 思ふ専心にあれば植てみる松を千とせのためしとぞみる. おなじ人. としをのみ思ひつめつゝ今までに心にあけることのなきかな. ︵同︵Ⅰ六八一︶︶. 二二四人 ︵同︵Ⅰ六人二︶︶. ねがふ家おもふエ. ﹃港南子﹄説山訓云、﹁千年之松下有戻苓一上有二兎糸こ。. ︵同︵Ⅰ六九?Ⅱ七五︶︶. ︻頭︼. 貫之. ﹃文集﹄古調、贈二王山人一詩云、﹁松樹千年朽模花一日歓﹂。 ﹃拾遺﹄雑上 ︵ 四 五 六 ︶. 彼のまにすなごふみこえ鳴たづは君に千とせをゆづるべらなり. おなじ人. おとにのみきゝわたりつるすみのえのまつの千とせをけふみつるかな. 二二五〇. ︻頭︼. ﹃和名抄﹄巌石類云、﹁﹃声類﹄. 又須奈古︺﹂。. 伊勢. 云、砂、水中礫也 ︹和名、以左古、. 二二至 たのめつゝかゝれる藤は松の木の千歳をふともあかずぞ有ける たづ新 二二至 任のえの浜の真砂をふむつるは久しき跡をとむるなりけり. ︵新古賀︵七蒜︶伊勢・家︵Ⅰ人五■Ⅱ八大・Ⅲ人四︶︶. 今年おひのにひひくまゆの唐衣ちよをかけてぞいはひそめける︶. きかと 夫・家・イ ベらなり 夫・家. 貫之 ︹戎本息峯︺. すむ 夫・家・イ. つる夫・家. 我宿の松のこずゑに鳴たづを千代のゆかりと思ふなりけり. ︵二二五三. 二二五四. ﹃土佐日記﹄. ︵一二︶. ︵夫雑九鶴︵一二天六︶・家︵Ⅰ五丁﹃忠墓﹄Ⅳ一人四︶︶. ︻頭︼. たゞみね. のこさゞらめや古. まなづるのたちゐならせる川の瀬に千年の跡を残さゞるべき. とゞめざらめやイ・エ. 見わたせば松のうれごとにすむつるは千代のとちとぞおもふべらなる. 二二歪. 紀伊. 云云﹂。. ﹃倭姫世紀﹄云、﹁葦原中在二稲一基一生本渡一基︹ホ︺為︹弓︺末千. ︵古本集︵Ⅲ一〇宇Ⅳ一人四︶︶. ︻頭︼. ︵一三五九︶. 穂茂也。彼稲自真名鶴咋持廻乍鳴︹支︺ ﹃堀河百首﹄. あまの原雲ゐにあそぶまなつるをふりさけみつゝよはひべぬべし. 探養父. をきく人は貫. ときはなる松のしらべにひく琴はをごとに君をちとせとぞなる. ながきよの貫. 二二五六. ︵Ⅰ六七九︶︶. ﹁ときはなる﹂ のうた、第五帖︵三四〇〇︶重出。そこには ﹁貫之﹂. ︵﹃貫之集﹄. ︻頭︼. つらゆき. ︵Ⅰ四三童云︶︶. 万代の松にぞとしをいのりつる千とせのかげにすまんと思へば. を古・家虐みをいはひ古・家. とあり、それよろし。こゝに﹁ふかやぶ﹂とあるは誤なるべし。. 二二五七. ︵古賀︵三五大︶そせい・﹃素性集﹄. 8.
(4) 『古今和歌六帖標注』翻刻(一三). ︻頭︼. ﹃拾遺﹄ 神 楽 ︵ 六 一 一 ︶. よしのぷ. 常磐なる花橘にほとゝぎす鳴とよめつゝちよもへぬかな. 貫之. いのりくるみかみの山のかひしあれば千とせのかげにかくてつかへん. 二二芙 のすゑのよは代かふ 続 ・ 家 じ 続 ・ 代. 家. ︵新古賀︵七三︶よみ人しらず・続古賀︵妄一大︶みつね・家︵Ⅱ二六一・Ⅴ二大︶・夫. ﹃万乗﹄. スマヒッゝイマシシ. 三︵四六〇︶長歌. 雑十苔︵一三三一三︶みつね・第六︵三九五九︶重出︶. ︻頭︼. かねもり︹兵部大輔平篤行男︺. 荒玉乃年緒長久住乍座之物乎︹下略︺ そイ. 万代をけふよとゝせとかぞふれば残はるけき君が御代かな. 伊勢. としごとに生そふ竹のよゝをへてかはらぬ色を誰とかも見ん. みるイ. 枚の上にふりしく雪をあしたづの千代のゆかりに住かとぞ思ふ. かえイ. ︵矧矧賀︵妻○︶よみ人しらず︶. 二二七二. 二二七四 やをとめの袖かとみゆる女郎花君をいはひの撫はじめつる. いせ. 露霜をしのべる菊はみる人のちとせをおくるしるし也けり. ︵第一︵天四︶己出︶. 二二七三. て夫・童けり夫. ︵対秋二女郎花︵四二二八︶・童︵五三四︶︶. ︵Ⅰ七五・Ⅱ七七・Ⅲ七四︶. けるかな 耗・家. ﹃政事要略﹄第廿七、十一月節会条云、﹁五節舞者浄御原天皇之所レ. つらゆき. 乎度錦度茂邑度綿左備須茂可良多万乎多茂度邁麻岐底乎度綿左備須茂. 制也云云。挙レ袖五変改謂二之五節一。其歌日、. ︻頭︼. つらゆき. 二二七一みえわたる浜の真砂や芦たづのちよをかぞふる数となすらむ. る続. ︵矧副賀︵七三︶貫之・家︵Ⅰ七大・Ⅱ七人・Ⅲ蓋︶・﹃貴之集﹄︵Ⅰ一九八︶︶. たえせぬ貫は新・貫・伊 二二七〇. 二二大九. 二二五九 うゑてみる松と竹とぞ君が代のちとせゆきふる色もかはらず に続. 色かへ ぬ 松 と 竹 と の 末 の よ を い づ れ 久 し と 君 の み ぞ 見 ん. ︵矧衡賀︵妻四︶素性・代賀︵三七大九︶・家︵Ⅰ三五・Ⅱ≡︶︶. 二二六〇 ︵拾賀︵二七五︶斎宮内侍︶. 伊勢 との心なりけり家. なるべしイ. 二二六一あらはなるかたにしもすむ芦たづは千よを見よてふ心なつかし つる童. いくよともさしてはいはじ白露のしらぬまでこそあらまほしけれ. ︵家︵Ⅰ八四・Ⅱ人五・Ⅲ八三︶︶. 二二六二 よりつる貫. 糸をの み 絶 ず く り た め 青 柳 の 年 の を 長 き し る し と ぞ 思 ふ. ︵童︵七六五︶︶. 二二大三 ︵﹃貫之集﹄ ︵Ⅰ二大九︶・第六︵四妄六︶重出︶. 大井河せきのわき︿鳴ちどりいくよの秋をかぞへきぬらん. つらゆき. 二二大四. はせぎらん. いかで 猶 君 が 千 歳 は 菊 の 花 お く 白 露 に ぬ れ ん と ぞ 思 ふ. 新. 二二大五. おき風 ながれて人のおいをせくらん. 梓弓つ る の 命 も か ゝ ら な ん 君 を た と へ に 人 は ひ く と も 新・家. 山陰の 菊 の 下 水 い か な れ ば く む 人 ご と に お い わ た る ら む. がは. 二二大六. 二二大七. ︵新古賀︵七三︶・家︵Ⅰ三二・Ⅱ一五︶︶. ほしきつゝきみが千歳を菊の花おかん露にもぬれんとぞ思ふ. ﹃伊勢集﹄. いかでかと思ふ時には世の中の千代てふこともあかすぞ有ける. かしる玉. 二二七五. のうた、﹁老わたるらん﹂とあるはいかゞ。﹃新古今﹄. 雪のうちにちとせかはらぬ松がえは久しき心誰によすらむ. ﹁や ま か げ ﹂. ︻頭︼. 二二七大. ︻頭︼. 二二七七. ︵玉雑三︵三人九︶貫之︶. なみよするきしにとしふる玉. に﹁ながれて人の老をせくらん﹂とある、よろし。うたの意は南陽県の 菊水の故事也。そのことは、己に第二帖︵一三〇九︶にいへり。 みつね ︹戎本︺ ときはなる 新 み家 きしるべとぞおもふ新 二二六人 ちよをふ る 松 に か ゝ れ る 苔 な れ ば 年 の を 長 く 成 に け ら し も. 9.
(5) 伊 藤 一 男. 塩がまの磯のいさごをつゝみもてみよのかずとぞ思ふべらなる. たのみつゝかゝれる藤は松の木の千代てふこともあかずぞ有ける 二二天. ︹戎本忠峯︺. は家. さくかぎりちらではてぬる菊の花うべしもちよのよはひのぶらむ. 貫之. ︵封賀︵三吉 忠 峯 ・ 夫 雑 八 磯 ︵ 三 人 ○ ︶ ︶. 二二七九 うら家. 吹風もあ か ず 思 ひ て し ら 波 の 数 に ぞ き み が 年 を よ せ つ る. ︵家︵Ⅰ四二︶︶. 二二八〇 ︵同︵三大二︶︶. に家. よせ家. へり家. イ. か. 二二八一きみと猶千とせの春はあふ坂のしみづは我もくまんとぞ思ふ. む家. 打まよふあじろにたてる芦田鶴はよはひを君に波もこさなん. ︵同︵三大三︶︶. 二二人二 ︵同︵Ⅰ六九二︶︶. 誰年の数 と か は み る ゆ き か ひ て 千 鳥 鳴 な る 浜 の ま さ ご を. 久しきをねがふ身なれば春霞たなびく松をいかでとぞ思ふ. に家・夫 は家・夫 山城こふ 家 かめ山のかげをうつして行水をこぎくる舟のいくよへぬらん. ︵﹃貫之集﹄ ︵Ⅰ二人一︶︶. 二二人四. ︵拾賀︵二葉︶貫之・家︵Ⅰ六九甲Ⅱ七九︶︶. 二二人三. みる集. 二二豊. 二二人六. と家・斯いひ家 君がよの年の数とは白妙の浜の真砂を誰かしきけん. ︵同︵Ⅰ一六四︶・対雑二山︵八三〇三︶貫之︶. を家・新. ﹃仏説弟子宛復生経当一﹄云、﹁恒水辺流沙尚可三斗量尽知二其斗数. ︵同︵Ⅰ一六五︶・新古賀︵七岩︶︶. ︻頭︼. の家. り家. よとゝもにゆきかふ舟を見るごとにほに出て君を千歳とぞ思ふ. 仏恩不レ可レ得 レ 量 也 ﹂ 。. 二二八七. ︹戎本︺. いはひつゝ植たる宿の花なれば思ふがごとぞ色こかりける. ︵同︵三大六︶︶. 二二八人. ︵同︵Ⅰ一人○︶︶. いせ. 二二八九. ちとせふる松といふとも植てみる人ぞかぞへてしるべかりける. にけるかな家. に﹁元輔﹂とのせられたるはあやまりなるべし。. ︵続後賀︵一三五三︶清原元輔・家︵三人四ふ二人八・Ⅲ完七︶・粁︵三二︶︶. ︻頭︼此うた、﹃続後撰﹄ 他はみな﹁伊勢﹂とあり。. を家. 菊のはな下行水に影みればさらになみなくおいせざりけり ︵Ⅰ完七︶︶. 竹をしもおほく植たる宿なれば千歳は外の物とやは見る. ︵﹃貫之集﹄. 二二九〇. 二二空. ほど家. を家. むれてゐる河辺のたづは君がためわが思ふことをおもふべら也. ゐつゝ家. ︵同︵Ⅰ二三九︶︶. 二二九二. ︵同︵Ⅰ二三四︶︶. 貫之 ︹戎本︺ に家. 二二九三一枝のきくをるからにあら玉のちとせはたゞにへぬべかりけり. きかとみれば家. を家. ちよまでのゆかりにしあれば松風のたぐひしたづの声ぞ問ゆる. ︵同︵Ⅰ二九〇︶︶. 二二九四. やど家. しなるらん家. 菊の花うゑたる野べのあやしきはおいてふことはしらぬなりけり. ︵同︵Ⅰ七四︶︶. 二二九五. ところ家. さゞ波のよする汀にすむ田鶴は君がへんよのしるべなり最. らなみイ. ︵同︵Ⅰ云二︶︶. 二二九大. ︵同︵Ⅰス四︶︶. ︹中納言兼輔男︺. 君がためうつしてうゝる呉竹の千代もこもれる心地こそすれ. きよたゞ. 松風のふかんかぎりは打はへてたゆべくもあらず咲る藤波. 二二九人. ︵同︵三九一︶・拾雑春︵一〇六七︶︶. 二二九七. に後. ﹃後撰﹄雑二︵一一三二︶. 枇杷左大臣. もみぢ菓はいくそばかりかちりかはるみどりながらにまつが久しさ. ︵後賀︵三人二︶︶. 二二九九 ︻頭︼. みこし同いくそのよゝに年をへてけふのみゆきをまちてみつらん. 10.
(6) 『古今和歌六帖標注』翻刻(一三). 二三〇〇. みつね. 君が代 は 長 月 と き く 百 と せ を ひ と り と 聞 ば 猶 あ か ぬ か な 伊勢 か家. 二三〇一露かゝる菊の中なる芦たづは今いくたびのちよをそふらん. つらゆき. ︵対秋五菊︵芙九七︶・家︵Ⅰ人七−Ⅱ八八■Ⅲ八六︶︶. わかな. ︻頭︼契沖云、﹁わかなの題春の部にも有しかど、殊にいはひにつむもの なれば、松、菊などのうたもおほけれど、わざと題をたてたるにこそ﹂。 といふ新・家. おなじ人. 若な生る野べてふのべを君がため万代しめてつまんとぞ思ふ. ﹃窮恒 集 ﹄. ︵Ⅳ二〇八・Ⅴ三一二︶. 朝露にしとゞに袖をぬらしつゝ君が為とぞわかな摘つる. ︵新古賀︵七一一︶・家︵三人九︶︶. 二三〇二. 二三皇 ︻頭︼. 二三〇四. 大和. 春日野にわかな摘つゝ万代を祈る心は神ぞしるらむ. 素性. 秋の野に花見にくればしら露にしとゝにもわがぬれにけるかな. いはふ古. ﹃新勅撰 ﹄ 賀 ︵ 四 五 一 ︶. 実方朝臣. ︵古賀︵三五七︶・家︵Ⅰ四〇圭一〇︶・新撰︵一芸︶︶. ︻頭︼. たね家. いせ. 源順. ︹戎本︺ も家. かすが野に若なの数はのこしてん千とせの春は我ぞつむべき. の家. 枝かはす春日の原のひめ小まついのるこゝろは神ぞしるらん. 二三〇五. ﹃後拾遺 ﹄ 賀 ︵ 四 二 五 ︶. ︵家︵Ⅰ二〇四・Ⅲ二〇八・エ二〇七︶︶. ︻頭︼. 貫之. ︹戎本︺. 千早振 神 た ち よ け よ 君 が た め つ む 春 日 野 の わ か な 也 け り. ませ家. けふとくる氷にかへてむすぶらし千とせの春にあはんちぎりを. 二三〇六. ︵同︵Ⅰ三二〇︶︶. 二三〇七. きる家. 窮恒 と夫. さと夫. くさ家. はるの野に衣かたしき誰ためかならはぬ袖に若なつむらん. はる貫. 春日野の若菜もわれをいのらなん誰為につむ物ならなくに. ︵夫春一︵二〇六︶・家︵Ⅰ八大−エ一三四●Ⅳ三〇四・Ⅴ二三︶︶. 二三〇八. ︵Ⅰ一七三︶︶. いせ. はるの野のわかなならねど君がため年の数をもつまんとぞ思ふ. ︵﹃貫之集﹄. 二三〇九. 白妙の衣かたしき春日野のわかなつみしも誰ためにぞは. ︵拾賀︵二三〇九︶・家︵Ⅰ六二●具四壷ハ一︶︶. 二三一〇. みつね. はるたゝんすなはちごとに君がためちとせ摘べきわかな也けり. 貫之. ︵徴春上︵九︶・古本集︵Ⅰ真二一四一室九・Ⅲ三六五・Ⅳ三大五︶︶. 二≡一春の野に心をだにもやらぬ身はわかなはつまで年を社つめ. 二三三. ﹃万乗﹄ 八︵一五〇五︶ 大神女郎 ナキシ スナハチ エケトオヒシハイタリケンカモ. ︵家︵Ⅰ元入︶︶. ︻頭︼. ゆふ続さかき蔵. 足曳の山をさかしみ弓つくるからきの枝を杖にきりつゝ. つゑ. 零公鳥鳴之登時君之家ホ往跡迫者将至鴨. 二三三. よゝをへてふりたるおきな杖つきて花のあたりをみるよしもがな. りか夫. すへかみのみ山のつゑは山人の千歳いのりにきれる杖なり. ︵矧矧神祇︵真一︶よみ人しらず︶. 二三表 二三一五. ちはやふる神やきりけんつくからにちとせの坂もこえぬべらなり. の古. ︵対雑十七翁︵一室笠よみ人しらず︶. 二三一大. ﹃古今﹄長歌︵一〇〇六︶. 伊勢. ゆふかけの君をためはしみなしこに我らをなすなちよまつの杖. 本ノマゝ. ︵副賀︵三四人︶遍昭・家︵Ⅰ三・塁︶︶. 二三一七 ︻頭︼. 11.
(7) 伊 藤 一 男. ︹上略︺. 二三人. くれなゐは きんもと. かねもり. われらが中の 戎本のかた正. 時雨にて云々. ︹戎本よりもと し。頼基は肥後守輔道男︺. ひとつよに千代をこめたる杖なればつくともつきじ君がよはひも. なみだの色の. ふし拾・家は拾・家. ﹃拾遺﹄ 神 楽 ︵ 六 一 五 ︶. ︵掛賀︵二実︶頼基・家︵一〇︶・柵︵人六︶︶. ︻頭︼. 貫之. 春くれば 宿 に ま づ 咲 梅 の 花 君 が 千 と せ の か ざ し と ぞ 見 る. かざし. 名にたてるよしだの里の杖なればつくともつきじ君がよろづよ. 二三一九 にき夫・赤は雲 は雲 かすがの ゝ 藤 は 散 行 何 を か も み か り の 人 の 折 て か ざ ゝ ん. ︵古賀︵三五二︶︶. 二三二〇. ︵矧十︵重四︶・軌千l春下︵畜︶よみ人しらず・対春六藤花︵≡六三︶人丸・. ﹁かす が 野 ﹂. 人丸. の歌、﹃万葉﹄. には作者不知也。人丸、赤人など名をし. 乳春下︵二五五︶赤人・﹃家持集﹄︵Ⅰ八九−Ⅱ八一︶・﹃赤人集﹄︵Ⅰ二四九・竺完︶︶. ︻頭︼. ち万. 妹が手をとりてひきよせうちたをり我かざすべき花咲るかも. るせるはみな わ ろ し 。. 二三≡ ︵万九︵一大八三︶︶. よみ人しらず. ︵二三二二 ひきよせて君がかざしにうちたをりわれをりやらん君がかざしに︶ すと伊 わたつみのかざしにさしていはふもゝ君が為にはをしまざりけり. 二三二三. ﹃古今﹄ 雑 上 ︵ 九 一 一 ︶. ︵伊︵一大一︶︶. ︻頭︼. 千世いのる君がかざしにもとむればかねの枝より花ぞ散ける. わたつみのかざしにさせる自たへのなみもてゆへるあはぢしま山 二三二四. よろづよのもりとしげれば花折てときはのかざし君にまゐらせん か万 いにしへに有けん人もわがごとやみわのひばらにかざし研けむ. ひとまろ. 二三二五. 二三二六. ︵Ⅰ一七大・Ⅱ五七︶︶. 百敷の大宮人はいとまあれや梅をかざしてこゝにつどへり. さくら新・朗・家けふもくらしつ. ︵万七︵一一一人︶・拾雑上︵四九一︶・夫雑十一桧︵三九三国︶︶. 二三二七. 藤原為頼. 我宿とたのむ吉野に君がゆかば同じかざしをさし社はせめ. 伊勢 しいらば後・家. ︵同十︵一人人三︶・新古春下︵一〇四︶赤人・朗︵二五︶・﹃赤人集﹄. 二三二八. ﹃拾遺﹄雑下︵五六〇︶. ︵矧恋四︵人〇九︶・家︵Ⅰ一三●Ⅱ一四・正一三︶︶. ︻頭︼. とや家. つらゆき る、家. べきときし家. かざすとも花咲やどはたのまれずみのなり出ん年のなければ. せ家. ぬす人のたつたの山にいりにけりおなじかざしの名にやけがれん. 二三二九. ﹃夫木﹄夏 橘︵二七一七︶ 太宰大弐高遠. ︵家︵Ⅰ人二五︶︶. ︻頭︼. これひら ︹左中将藤原敏行男︺. よみ人しらず. 万代のともにかれせぬ自ぎくはうしろやすくもかざしつる哉. 霜にもかれぬ白くぎを後. たち花の立さかえたるうてなよりみのなり出る時にあへるか. 二三三〇. ﹃後撰﹄恋一︵五七三︶. ︵矧賀︵三六人︶︶. ︻頭︼. ひこぼしのかざしの玉は妻こふとみだれにけらし此河のせに. の万・新ひに万・新. わかれをばかなしきものと閲しかどうしろやすくもおもほゆるかな 二三三. ︵一〇九〇〇︶︶. 露ながら折てかざゝん菊の花老せぬ秋の久しかるべく. 紀友則. ︵万九︵二︵八大︶聞入宿祢・新千恋四︵室四︶・対秋一七夕吾五一︶・又雑六河. 二三三二. 二条左大臣︹戎本三条のおほいまうちきみ︺. こゝに﹁二条左大臣﹂とあるは誤れり。戎本﹁三条のおほいまうち. ︵古秋下︵二七〇︶︶. ︻頭︼. ぎみ﹂と有かた正し。右大臣定方公の御事也。内大臣藤原高藤公男。. 12.
(8) 『古今和歌六帖標注』翻刻(一三). 二三三三. ぞこたへん. 誰ためとながき冬まで匂ふらんとはゞ千とせと君にこたへよ させる 赤 の 万 す万か万さくら赤 わがか ざ す 柳 が 糸 を 吹 み だ る 風 に や 妹 が 梅 の ち る ら ん. ︵続後賀︵二二四人︶三条右大臣︶. 二三三四. 別 はな古・新. わかれをば峯の桜にまかせてんとめんとめじは春のまに︿. やま古・新. ︵矧十︵一人五大︶・﹃家持集﹄︵Ⅰ二二真二︶・﹃赤人集﹄︵Ⅰ室・Ⅱ三四︶︶. 二三三五. 貫之. 遠く行人をゝしむと人もみなほとゝぎすさへなきぬべらなり. きみ を お も ふ に 貫. ︵古離別︵三九三︶幽仙法師・新撰︵一空︶︶. 二≡六. ﹃新拾遺 ﹄ 夏 ︵ 二 一 五 ︶. ︵﹃貫之集﹄ ︵Ⅰ七二〇︶︶. ︻頭︼. つらゆき をしらくもの古・新. 紀友則. なんのちは古. をしむ か ら 恋 し き も の は 春 霞 立 わ か れ な ば な に 心 地 せ ん. 月をだにあかずおもひてねぬものをほとゝぎすさへ鳴わたるかな. 二三三七. ﹃古今﹄ 離 別 ︵ 三 七 〇 ︶. ︵副離別︵三七ニ・家︵Ⅰ萱︶︶. ︻頭︼. よみ人しらず. わかれてふことは色にもあらなくに心にしみてわびしかるらむ. る家. かへる山ありとはきけど春がすみたちわかれなば恋しかるべし 二≡人. ﹃拾遺﹄ 春 ︵ 五 三 ︶. ︵同︵三八一︶・同︵Ⅰ七〇三︶︶. ︻頭︼. をしみつゝわかるゝ人を見る時はわか涙さへとまらざりけり. さくら色にわがみは深くなりぬらんこゝろにしみて花ををしめば 二≡九. ︵楓副離別︵九三二︶・製麻旅︵九七五︶・家︵四二〇︶︶. わがおもは家. 思ふ人とゞめて遠くわかるればこゝろゆくともおもほえなくに しれり家. かねてより別れを惜とおもひせば出たゝんとは思はぎらまし. ︵家︵Ⅰ四二一︶︶. 二三四〇. 二三空. 音羽山 木 高 く 鳴 て 時 鳥 君 が わ か れ を 惜 む べ ら な り. ︵同︵Ⅰ四二二︶︶. 二三四二. かつこえてわかれもゆくかあふ坂は人だのめなる名にこそ有けれ. ︵古離別︵三人四︶・家︵Ⅰ七〇四︶︶. 二三四三. ﹃狭衣﹄三︵四二四︶. ︵同︵三九〇︶・同︵Ⅰ七〇六︶・新撰︵一人七︶︶. ︻頭︼. をしまず蔵. たのみこしいづらときはの杜やこれ人たのめなる名にこそ有けれ. 玉もこそものへゆく人我をしめなみだのかぎり君になきつる. また家. 二三四四. ふ家. 君をのみ涙おちそひ山河のみぎはまさりてなかるべらなり. をしむ家. ︵家︵Ⅰ七〇九︶︶. 二三四五. もエかなエ. 二三四七 きみがゆく所ときけば月見つゝをば捨山ぞ恋しかりける. 我にしも草の枕はこはなくにものへときけばをしくぞ有ける. ︵同︵Ⅰ七一一︶︶. 二三四六. ︵家︵Ⅰ七一七・Ⅱ六〇︶︶. 信濃るべき続・新・家. 見てだにもあかぬ心を玉ぽこのみちのくまでも人のゆく哉. 貴之 ︹戎本︺. ︵続後拾離別︵五四七︶・新後拾離別︵人五三︶・家︵Ⅰ七一人︶︶. に家おくまで新・家らん新 二三四人. にわれや玉・夫・家. かよはん夫. わかれ行人をゝしむとこよひより遠き夢路ぞ我はまどはん. ︵矧副離別︵八大一︶・家︵Ⅰ七二大︶︶. 二三四九. つらゆき. いとによる物ならなくにわかれ路の心ぼそくもおもほゆるかな. とはなし源. ︵卦旅︵≡一︶・夫雑十人夢︵一七〇三人︶・家︵Ⅰ七三二︶︶. 二三五〇. ﹃源氏﹄総角巻云、﹁ものとはなしに、とつらゆきが此世ながらのわ. ︵副帝旅︵四一五︶・拾別︵三三〇︶・家︵Ⅰ七四二︶︶. ︻頭︼. かれをだに心ぼそきすぢにひきかけけんを云々﹂。. ﹃家長日記﹄云、﹁此世にはたちわかるゝをだに﹁いとによる﹂などこそ、. むかしの貫之もしたひ侍りけれ云々﹂。. の中の歌くづとかやいひつたへたれど、今の世の人のよみぬべき. ﹃徒然草﹄云、﹁貫之が﹁いとによるものならなくに﹂といへるは ﹃古. 今集﹄. 13.
(9) 伊 藤 一 男. ことがらとはみえず、其の世の歌は、すがた詞、此たぐひおほし。此歌 ナシ家. にかぎりてか く い ひ た て ら れ た る も 知 が た し 云 々 ﹂ 。 も家. 二三五一枚はみな竹はさもこゝにとゞめ置て別れて出る心しらなん べきかぎりと家. をぞやる蔵. きのふ今日見つきかよりとまもりつる松と竹とを今ぞわかるゝ. ︵家︵Ⅰ八七〇︶︶. 二三五二 は家. しばしわがとまるかはりに千世までの君がおくりにくすりこそせめ. ︵同︵Ⅰ八七一︶︶. 二三五三 や風・家. 遠く行君 を お く る と 思 ひ や る 心 も と も に 旅 ね を ぞ せ む. ︵同︵Ⅰ七二二︶︶. 二三五四. 業平. 出てゆく君をいはふとぬきつれば我さへもなくなりにけるかな. がためにと伊. ︵風旅︵八九九︶・家︵Ⅰ七二九●Ⅱ四人︶︶. 二三五五. はじめのうたはよみ人しらず、次の歌則なりひら朝臣也。ついでの. ︵例︵八三︶よみ人しらず︶. ︻頭︼ をし代. いとひては誰か別れのかたからん有しにまさる今日はかなしも. みだれたるなり 。 いてゝいなば 伊. 二三突. ︹ふたつ︺. し古本も後・家. 重出︶. れども万・競. ひも万かへ万へりこ万をよみて万こ万を万 ︵同︵五言︶丹比真人笠麿︶. に万・綻ゆかん万. きのらう女. 別るべき物としりせば紀の国のいもせの山にあらましものを. すべし。. みだるとも夫. おもふおきてみつれば家. 篠の菓はみ山もよそにわかるらん我は殊にし別れきぬれば. ちるもみぢはゝ家ま万. なちり万. あき山に落る紅葉ばしばらくもいりなみだれそ妹があたりみん. 思ふなと妹はいへどもあはん時いつとしりてかわがこひざらむ. ひそ万きみ万・拾ふ万ふことを拾. のうた、﹃拾遺﹄ には﹁人丸﹂とあり。. びねのみしなかゆ万. ﹃万葉﹄ には人丸妻のうたとす。それ正し。. しろたへの袖わかるべき日を近み心にむせて泣のみぞなく を万く万. ︵同︵六四五︶紀女郎︶. ヒツマ デ. 山口女王. ネ. ノミシ. ナクモ. わぎも子が我におそると白樺の袖ひつまでに泣しおもほゆ. タヘ. 四︵六一四︶. ︵同十一︵二五一人︶︶. ﹃万葉﹄. アヒオモハヌ. ずは万・夫・イ. おくれゐてこひつゝあらばきの国のいもせの山にあらましものを. ︵同四︵五四四︶笠朝新金村・夫雄二山︵八一三望︶. 二三六九. 不相念人乎也本名自細之袖漬左右二突耳四泣裳. ︻頭︼. 二三夫. 二三六七. されど. ︻頭︼真淵云、﹁此﹁おもふなと﹂. ︵同︵一四〇︶・拾恋二︵七雲︶・家︵Ⅰ二?Ⅱ二九人●Ⅲ五七七︶︶. 二三六大. ︵同︵三七︶・家︵Ⅰ二−Ⅲ至六︶︶. 二三六五. ︵万二︵三二︶・新古希旅︵九〇〇︶・家︵Ⅰ三九壷≡ハーⅢ六四人︶・夫雑十篠︵一三二七七︶︶. 二三六四. 人麿 ︹みつ︺ さやにさわげども 万 おもふ 万・新・家 そよにみだるらん 新古・家. ︻頭︼此うた、七首先に﹁おくれゐてこひつゝあらずは﹂とあるを正しと. 二三六三. 二三六二 しろたへの袖ときそけてかよふらん月日かぞへて行て見ましや. む続 ︵矧四︵六歪︶安倍朝臣虫麿・続後拾離別︵五二九︶よみ人しらず・第五︵二七二二︶. 二三六一向ひゐて見るだにあかぬわぎも子が立別れなばたづきしらずも. 別れてはいつか逢みんと思へどもかぎり有よの命ともなく. いせ. ︵矧矧恋三︵八四〇︶・代雑四︵三三一大︶・家︵Ⅰ七四●Ⅱ三二・Ⅲ軍Ⅳ二二︶・伊︵七七︶業平︶. 二三五七. むかし家. 命だに心にかなふ物ならば何かわかれのかなしかるべき. ︵ナシ︶︶. ひとりゆくことこそうけれ故郷のならのならひて見し人をなみ. ︵矧離別︵一三一九︶・家︵Ⅰ二一七重二二重一人︶︶. ナシ家ふらん後・家 し 後 ・ 家. 二三夫. 二三五九. ︵同哀傷︵一四〇三︶・家︵三三二・Ⅲ一三二重三〇︶・古本﹃兼輔集﹄. らまし古・新・朗. き古・新. 思ひきやひなのわかれにおとろへて海士のなはたくいさりせんとは. たかむら. ︵副離別︵三人七︶しろめ・新矧掛︵一九九︶・大︵二三五︶・封卦︵六九︶・矧︵六四〇︶︶. 二三大〇. ︵同雑下︵九六一︶・新撰︵二三五︶︶. 14.
(10) 『古今和歌六帖標注』翻刻(一三). 二三七〇 は万. すべなかる万・イ. どをおひてしゆかん万. かくしつゝ有なぐさめて玉のをの絶てわかれはかなしかるべし. ︵同十一︵二八二大︶︶. 二三七二. 白雪の汀によするしら浪のゆきてはみねどわかれかなしき. ︵同十九︵四二五一︶家持︶. 二三七一玉ぼこの道に出たち行われを君がことをし思ひてゆかなん. も粧. 探養父. 雲ゐにもふかき心のおくれねばわかると人に見ゆばかりなり. かよふ古. ︻頭︼粧本に﹁かなしも﹂とあるよろし。﹁き﹂にてはてにをはいかゞ也。. 二三七三. そでも. 新. そせい やなるべき 新 こひしつゝ 新. ︵Ⅰ六五︶. るべければ 新. 二三人一たもとなき身と成ぬべしけふよりは涙にくちて捨てんものを. ﹃素性集﹄. ︵新万︵五〇二︶︶. ︻頭︼. 唐衣うへは涙にそぼちつゝしたひぬべくもおもほゆるかな. 雨よりもたもとなき身となりぬべしたえぬなみだに朽ぬべければ 二三八二. わかれてはおほくの山をへだつとも恋しよな︿夢にこそみめ. わたくしの別れなりせば秋のよを心つくしに行なといはまし. かねずみ ︹戎本かねすけ︺. 二三八三. 二三八四 ︻頭︼. ︵古離別︵三七人︶・後六︵七九︶︶. いつの間に恋しきことのつもるらん別れて後はほどもへなくに. とゞめん日. 照月をまさきのつなによりかけてあかずわかるゝ人をつながん ︵後雄一︵一〇八一︶・口伝︵一五九︶︶. ﹃俊頼口伝﹄上に、﹁是は惟喬のみこの月夜にあそび給ひけるが、月. ︵﹃古今集﹄. かづら後. 八八四︶の歌とふとおもひたがへられたるなる. 行平の中納言. サラニクニノオホヌサヲトリニ. かぎりなき思ひのつなのなくばこそ正木のつなをよりもなやまめ. べし。. 二三人六. ぬさ. ﹃古事記﹄成務天皇記云、﹁更取国之大奴佐而︹奴佐二字以音︺﹂。. ︵同︵一〇八二︶︶. ︻頭︼. ﹃管子﹄国畜篇云、﹁以二疎玉一為二上幣一以一重金一為二中幣一以二刀布一為二下. ぬさはたはらん万 ちはやふる神の社に我かけしみぬさはたまへ殊に連なくに ぬさをばたまへ童. ︵万四︵五菜︶土師宿祢水通・童︵五三七︶・夫雑十四︵妄聖二︶︶. 二三八七. 幣一﹂。 ナシ万. かへし. のはにげて﹂. と共に入なんとしければ、業平中将のよめる歌なり﹂といはれたるは、﹁山. ︻頭︼. 河原の大臣︹嵯峨帝皇子︺. ﹃拾遺﹄ の作者に源兼澄といふ人あり。それ欺。戎本﹁かねすけ﹂. 二三七四. とはあれど、﹃兼輔集﹄ にはみえず。. ゆけ後. わかれ 行 道 の 雲 ゐ に 成 ぬ れ ば と ま る 心 も 空 に こ そ な れ. 白雲にとびかへるべき人をなみたゞあしたづに成にけるかな. ヤ. 二三八五. 二三七五. 二三七六 きみと わ れ 命 を の み ぞ 白 波 の 立 帰 り く る ほ ど の は る け さ. ︵後離別︵三 二 四 ︶ よ み 人 し ら ず ︶. 二三七七. 在原業平朝臣. 桜花けふちりくもれあかずしてわかるゝ人もたちとまるべく ﹃古今﹄ 賀 ︵ 三 四 九 ︶. 二三七人 ︻頭︼. よみ人しらず. さくら花ちりかひくもれおいらくのこんといふなるみちまがふかに ﹃拾遺﹄ 別︵三〇三︶. ちる花は道みえぬまでうづまなんわかるゝ人もたちやとまると. 大伴田村大嬢 イカニ. ッケキ. ﹁いたつけ﹂といふ詞いかゞ。柾本に﹁ことつけて﹂とあるよろし。. いたつけてなにかはなにもあつらふるたゞひとことのはにもとゞめよ. こと椎. 二三七九 ︻頭︼ ﹃万葉﹄八︵ 一 五 〇 六 ︶. コトツゲヤリシ. 別るれどわかるともみすみつかけこそこもこゝにもおなじ身なれば. の柾. 古郷之奈良思 之 岳 能 零 公 鳥 言 告 告 遣 之 何 如 告 寸 八 二三人○. ︻頭︼真渕云、﹁この﹁わかるれど﹂のうたは、まへの歌のかへしなるべし﹂。. ﹁みつかけこ﹂未詳。粧本に﹁みつかけの﹂とあり。﹁水影の底﹂とい ひかけたる詞 に や 。. 15.
(11) 伊 藤 一 男. 二三八人. をいつとかまたんイ・古. すがる鳴 秋 の は ぎ 原 朝 立 て た び ゆ く 人 の を し く も 有 哉. ︵副離別︵三大六︶よみ人しらず︶. ︻頭︼真淵云、 ﹁ 此 歌 、 行 平 卿 の 歌 の 次 に 有 べ き 欺 ﹂ 。. 云、一名. ﹃書紀﹄雄略紀云、﹁蝶蔵此云須我屡云云﹂。﹃和名抄﹄虫多類云、﹁﹃ホ 雅注﹄云、傍靖︹和名佐曽里︺。似レ蜂而細腰者也。﹃兼名苑﹄ ヲトメ. 須軽娘子之. 其姿之. 端正ホ云々﹂. カホノウツクシゲサニ. 蝶嵐﹂。﹃和名抄﹄にはかくのみ注して﹁すがる﹂といふ和名を出さず。﹃万. 菓﹄九︵一七 三 八 ︶ 長 歌 に 、 ﹁ 腰 細 之 ともよめり。さるを後世、すがるを鹿なりといへるは、より所なき臆説. ひとまろ はこえゆくあふさか山を万. ︹二首︺. すべ神 に ぬ さ と り む け て 我 衣 行 あ ふ 坂 の 山 と ほ る か な. め万. なり。. 二三人九. 貫之. わたつみの千ひろの神に手向するぬさの追風やまずふかなん. ふり土. ︵万十三︵三二三六︶長歌・対雑十四︵岳六七︶︶. 二三九〇. ﹃土佐 日 記 ﹄. に﹁ちふりの神﹂とある、正し。. ︵新千帝旅︵七六二︶・土︵三一︶︶. ︻頭︼. ﹃袖中抄﹄巻十九に、﹁顕昭云、ちふりの神とは、道ふりの神といふ事 にや。海路にもいへり。隠岐国にこそ、知夫利島といふ所に、わたすの みやといふ神はおはすなれ。舟出すとては、其神に奉幣してわたりをい のるとこそ申す。それを本体にて、陸をも海をも、道をいのる神を、ち ふりの神と名 づ け た る に や ﹂ 。. 真淵云、﹁造反神、道守神などいふ有り。これは道触神なるべし。行道 のほとりの神 、 と い ふ こ ゝ ろ 也 ﹂ 。 ﹃拾遺愚草﹄ 中 ︵ 一 人 〇 七 ︶ さ新・家. 山ひめのぬさのおひ風ふきかさねちひろの海に秋のもみぢ葉 つ新. け家. 二三九一ふる雪を空にぬさとぞ手むけたる春のまがひに年の越れば ︵新勅冬︵四四二︶・家︵Ⅰ人九︶︶. つ夫・家. べ夫のなみもしるらん家. ちぷりの 袖 ひきもの家. 行時も帰らん時もたま鉾の道より神をいのれとぞおもふ. げ夫. たちぬさの我思ひをば玉ぽこの道の野ごとに神もつてなん. 二三九三. ︵夫雑十四祓麻︵妄四七〇︶よみ人しらず・家︵Ⅰ七三四・Ⅲ四二︶︶. 二三九二. けふ家. ちきりの 類従家 たよりの夫. ざり家. いとまだき見ゆる紅葉は君が為思ひ初てしぬさにぞ有ける. たる家. ︵同十人旅︵一六人七四︶・家︵Ⅰ七三−Ⅱ六二︶・袖︵九人四︶︶. 二三九四. と夫. そめたちていのれるぬさの思ひをば手向の道の神やしるらん. ︵家︵Ⅰ二一五︶︶. 二三九五. もみちばをぬさと手向にちらしつゝ秋とゝもにや行んとすらむ. て後. ︵対雑十四祓麻︵一五四六九︶よみ人しらず・古本家︵Ⅰ七五二︶︶. 二三九六. ﹃万葉﹄十五︵三七三〇︶中臣朝臣宅守. たむけ. ︵後l離別︵一三三人︶大輔︶. ︻頭︼. 加思政美等能良受安里思乎美故之治能多武気ホ多知弓伊毛我名能里都. ﹃三代実録﹄陽成天皇紀云、﹁元慶二年五月八日発卯、授二越中国正六位 上手向神従五位下一﹂。. ﹃和名抄﹄神霊類云、﹁道神︹和名太無介乃加美︺﹂。. ﹃河海抄﹄蓬生巻云、﹁手向の神とは、道祖神の事也。蒔旅の人、ぬさ. にし万けだし万. モゝタラズヤソクマヂニカクレナム. もゝたらずやそすみ坂に手むけせば過行人にさしあはんかも. 以下の物を送るは此神のたむけのため也﹂。 二三九七. ︵身二︵四二七︶刑部垂麿︶. てまつる蔵. ﹃書紀﹄神代紀云、﹁大己貴命、今我当於百不足八十隈将隠去臭﹂。. 山城の岩田の森に心おそく手向をしてぞ殊に逢がたき. したれば万・夫・イ. 今はとていほへぞまかるさかりぢに手向の神に麻たまはらん. ︻頭︼. 二三夫 二三九九. が夫. きみを思ふ我心をぞみえぬべきたむけの神もいかにおもはん. し夫. ︵矧十二︵二八雲︶・夫雑四森︵九九八一︶人丸︶. 二四〇〇. ︵夫雑十六神祇︵一六〇≡︶よみ人しらず︶. 16.
(12) 『古今和歌六帖標注』翻刻(一三). 二四〇一此たびはぬさもとりあへず手向山紅葉の錦神のまに︿. つらゆき. 神やしるらん続. ︹二首︺. たまぼこの手向の神も我ごとくわが思ふ事をおもへとぞ思ふ. ︵副韓旅︵四二〇︶菅家・新撰︵室︶︶. 二四〇二. をしむ夫. 神夫. 紅葉を も 花 を も 折 れ る 心 を ば 手 向 の 山 の 風 ぞ し る ら し. ばも 家. ︵﹃貫之集﹄ ︵Ⅰ七一六︶・夫雑十八旅︵一六人七大︶︶. 二四〇三. たむけせでわかれする身の催しきは人めを放と思ふなりけり. ︵続千蒔旅︵七六〇︶・対雑二山︵八三八人︶よみ人知らず・家︵Ⅰ七主︶. 二四〇四. 家はな れ 旅 に し あ れ ば 秋 風 の 寒 き ゆ ふ べ に 厩 鳴 わ た る. たび さかり 万. ︵矧恋三︵七〇四︶・家︵Ⅰ五重二︶︶. 二四〇五. 二四〇 六. か人丸集. うつくしみたぐひてぞこし万 草枕たび行君をおもはしみそひてこまほししかの浜べに. ︵矧七︵≡一 ︶ ・ 矧 副 将 旅 ︵ 人 九 七 ︶ 人 丸 ・ 古 本 集 ︵ ナ シ ︶ ︶. 筑前を万. しき夫. 神風や い せ の 浜 荻 を り ふ せ て 放 ね や す ら ん あ ら き 浜 べ に. の万. ︵同四︵五六大︶大伴百代︶. 二四〇七. ︵同︵五〇〇︶・新古希旅︵九三・対雑十人旅︵一天七〇︶よみ人しらず・﹃人丸. 二等 八. いづこにか我はやどらん高畠のかちのゝ原に此日暮しっ. く夫 わ が や ど り せ ん 夫 近 江. 集﹄ ︵Ⅰ六・Ⅱ二一五︶︶. なば万・イ. つまと万とも万. ゆげのおほきみ︹此名誤れり︺. ︹孝徳天皇皇子︺. 家にあ り て み れ ど あ か ぬ を 草 枕 た び に も 妹 が 有 が 久 し さ. し万. ︵同三︵二七五︶・新勅蒔旅︵莞九︶・同雑四野︵九六大六︶︶. 二四〇九. ありまのわうじ. くさじ. 家にあればけにもるいひを革まくら旅にしあれば椎の菓にもる. ︵同四︵六三四︶湯原王︶. 二四一〇. ︵万二︵董一︶有馬皇子/口伝︵二二九︶︶. ﹁家 に あ れ ば ﹂. のうた、有馬のわうじなり。前後に書たがへたりと. 二四一一ありてみるものにしあらねどくさ枕旅にし聞ばかなしかりけり ︻頭︼. みゆ。. 二四一三. 二四一二. 時雨ふるあらき浜べにくれど︿遠くやゆかん日比つもりて. 我ならぬ人とねにけりくさまくら後のためとか何かとがめし. ほど遠くながめもやらん秋霧はたび行道をへだてざらなん. ﹃和名抄﹄木器類云、﹁﹃礼記注﹄云、笥︹和名計︺、盛レ食器也﹂。. 二四一国. たまきはる命にむかふ我せこをいかにせよとか旅にゆくらむ. わきもこ童. 二四一五. た万. 天地の神もたすけよ草枕たびゆく君が家にいるまで. ︵劃︵三三二︶︶. 二四一大. サカリ. イケルス. おき貫. ベ ナシ. 二竺七 人もみな遠き道ゆけどくさ枕此たびばかりをしき旅なし. ︵万四︵五莞︶石川足人︶. ナシ貫かな貫. ︵Ⅰ七三︶︶. タピノ ケ. ﹃万葉﹄十三︵二三四七︶. ︵﹃貫之集﹄. ︻頭︼. 草枕此寓之気ホ妻放家道思生為便無. 霜がれの草枕には君こふる涙の露ぞ落まさりける. 二四一九. よもすがらおく初霜をはらひつゝ草の枕にあまたゝびねぬ. をさむみ古−新・家. ︵同︵Ⅰ四望︶︶. 二四一人. ん新. いせ. でわれややとらん後. またかゝる旅しなければ革まくら露けからんと思はぎりしを. ︵古希旅︵四一六︶みつね・新撰︵一九六︶・家︵Ⅰ二三?二八六−Ⅱ一六〇・竺一?Ⅳ一一二︶︶. 二四二〇. としなれば家. 我ヤとまらん家. 草枕たびゆく空の山の上に白雲ならぬ身もやどりけり. となりなば後. ︵古本﹃伊勢集﹄ ︵圭讐︶︶. 二四≡. ︵矧蒔旅︵三芙︶・家︵Ⅰ一三三●Ⅱ一三三重三一︶︶. 小町. 衣をわれにかさなん後・家・遍・大・朗 二四二二 いはの上に旅ねをすればいと寒し苔のみ衣しばしかさねよ. 白妙のふぢえの浦にあさりするあまとか見らん旅ゆくわれを. ︵五五一︶︶. ︵同雑三︵一完五︶・家︵Ⅰ三甲豊四︶・大︵二八二︶・﹃遍昭集﹄ ︵Ⅰ享竺七︶・新朗. 二四二三. 17.
(13) 伊 藤 一 男. 二四二 四. ︵第三︵妄豆 己 出 ︶ なエ まくらとて草結てしこともせじ秋のよとだにたのまれなくに. ひきむすぶ新. 人もな き 旅 に や な ら ん く さ 枕 た び な る 君 が 夢 に み え つ る. つエ. はをゝしみ草の枕はせばくとも思はんどちの旅はへぬべし. ︵新勅蒔旅︵五三人︶業平朝臣・伊︵一五一︶・第五︵三二四二︶重出︶. 二讐五 二四二六. 二塁五. きみはこましか家. のうへ万・家と万. ︵Ⅲ一空︶︶. 昨日こそ妹は有しか思はずに浜松がえに雲のたな引 きみ万. ︵同︵四四豊大伴三中・﹃家持集﹄. ︻頭︼契沖云、﹁此﹁きのふこそ﹂といふ発句、﹁きのふこそ早苗とりしか﹂. ﹁きのふこそ年はくれしか﹂などよめるにはかはりて、意得安からず。. きのふまでこそ憧に在しか、の意也。西行︵Ⅰ七六人・Ⅱ三九人︶の、. 年月をいかでわがみにおくりけんきのふの人もけふはなきよを. 東人妻 ミュル. ヨスガ. 妹とゐてふたりつくりし我宿は木高くしげく成にける哉. ぞなき家. ぼこ家. げず万・家. ゆき家. いつしかと待らん殊に玉づさのことだにつてゞいにし君かも. ︵Ⅰ三二・Ⅱ一九二︶︶. うゑ方やど万. まがことのあらさかしとかかくらくのとませのかまに庵すといふ︶. 秋されば見つゝしのべと妹がいひしまへの撫子咲にけるかも. か万・夫. さゝら波大山守はたがために山にしめゆふ君もあらなくに. さ、波の▲力. ﹃書紀﹄応神紀云、﹁五年八月令下二諸国一定中海人及山守部上云云﹂。. 二四空 しほけたち荒磯にあれど行水の過にし妹がかたみとぞみる. こも枕あひまきし子もあらばこそ夜のふくらくも我惜みせめ. ヨヒニ. ヌバ. ヨワタル. ﹃万葉﹄ 九︵一七一二︶. 家. れど. 万. イラマクヲシモ. ︵同二︵一夏︶人丸・家︵Ⅰ四一重ハ三〇︶︶. ︻頭︼. やどれ. 天原雲無タホ烏玉之宵渡月乃入巻憤毛. 万. ︵Ⅰ. こぞみてし秋の月夜はてらせども逢みし妹はいや遠ざかる. ︵同︵二二︶・拾哀傷︵一二人七︶人丸・家︵Ⅰ吾二二四●Ⅱ二六三●Ⅲ六二九︶・﹃家持集﹄. 二四四四. とし. し家らせれど万・家をしも万・家 二四四三 あかねさす日はてりながらぬば玉のよわたる月のかくらくもなし. ︵同七︵一四垂︶. 二四四二. ︵同九︵云九七︶︶. つ万こし〃. ︻頭︼. ︵同二︵一芸︶石川夫人・夫雄二山︵八七九五︶よみ人しらず︶. 二四四〇. ︵同︵望ハ四︶家持︶. 二四三九. ︵二四三人. ︵同︵琵五︶三中・﹃家持集﹄. 二四三七. ︵同︵四大三︶大伴書持・対秋四秋夜︵五重二一︶よみ人しらず︶. を万・夫きみ夫ゆく夫らくに万・夫 二四三大 ながき夜に独やねんといもがいへば過にし人のおもほゆるかな. ︻頭︼ ﹃万葉﹄ 四︵六二一︶. タビ. のうたは、またく此. のを誤りつたへ. とよめる、是なり。. ヒマモナキコヒ ニ カ. 今按ずるに、 ﹁ 人 も な き ﹂ たるなるべし。. いもが赤へゐ赤. 万. 秋風のふきぬと思へば出てこしいへぢのかたは恋しかりけり. が. 梅の花ちら す 春 雨 お ほ く ふ る 旅 に や 君 は い ほ り せ る ら む. さはに万・赤. きのふきてこよひ計をたび衣いく日へぬとか袖はひつらん. ﹃万葉﹄. 無間恋ホ可有 牟 草 枕 客 有 公 之 夢 ホ 之 所 見. .■門主. .小川﹂︰▼へ. 二讐九. ︵万十︵一聖人︶・﹃赤人集﹄ ︵Ⅰ二〇一−叉二︶︶. きけ窮みこそ解れ窮. かなしひ 二四三〇. みしのびつるかも万. 飛鳥川音聞えつゝゆく水のやむ時もなくおもほゆるかな. ︵﹃窮恒集﹄ ︵Ⅳ一塁・Ⅴ二芙︶︶. みなぎらひ紀も紀 ︵紀︵一天︶ 斉 明 天 皇 御 製 ︶. ヲヤ. 二四三一うつせみの世は骨なしとしる物を秋風寒く成にけるかな ︵身二︵実五︶家持︶. ナレバ. ︻頭︼ ﹃万葉﹄ 三︵四人二︶. 二四三 二. 打背見之世 乃 事 ホ 在 者 外 ホ 見 之 山 東 耶 今 者 因 香 止 思 波 年 し万かも万. むをガ・夫. なりぬべし新・家. 今より は 秋 風 寒 く 吹 な ゝ ん い か で か 独 長 き 夜 を ね む. ︵同︵聖二︶︶. 二四三三. こひつゝ家. 出方. さほ山 に 棚 引 霞 み る た び に 妹 を 思 ひ て 泣 ぬ 日 は な し. ごと家. ︵身一︵買一︶家持・新古秋下︵四五七︶・対秋四秋夜︵五五三二︶・家︵Ⅰ一四人●Ⅱ杢︶︶. 二四三四. ︵同︵望三︶・家︵Ⅰ六亨Ⅲ一人六︶︶. 18.
(14) 『古今和歌六帖標注』翻刻(一三). 二冨五. 一五?Ⅲ一人三︶︶. ひなありそね万. の家. と. 人丸. まくくるしも万. 万 給. 家. 二四望. ませる. あ. 万・給 な 万 きみかも 万 となりて家なれるきみかも家. にと. か万. きよき山べにガ. 君まさぬ春のみ山は桜花なみだの雨にぬれつゝぞふる. 方. なげくイ 二四五五 こふるまに年の暮なばなき人のわかれやいとゞ遠く成なん. ︵同︵Ⅰ七五四・Ⅱ二二︶・轡哀傷︵一四二五︶・拾哀傷︵三〇九︶︶. ︻頭︼契沖云、﹁﹃周処風土記﹄に、﹁除夜祭二其先祖一﹂、とみえ、﹃枕草紙﹄. 二四五大 藤衣おりける糸はふちなれやぬれは増れど. にも、年の終の玉祭りのことみゆ。 おきつ波よる荒 磯家 を敷 へ新 の枕 に家 まき ふせ 妹新 かな き みたづ ・ まても なるし ・家 ︵新拾哀傷︵八四七︶・家︵Ⅰ七雲︶︶. ﹃金剛般若経﹄云、﹁一切有為法如夢幻泡影﹂。. ﹃後撰﹄雑一︵一〇八九︶. ︵新後拾雑下︵一四四〇︶・家︵Ⅰ七五五︶︶. ︻頭︼. おく露をわかれし人と見るごとにあさな︿ぞ恋しかりける. ︵古哀傷︵八三人︶・拾哀傷︵一三主・新撰︵右○︶・家︵Ⅰ七琵︶︶. 君ましゝ昔は露かふるさとの花見るごとに袖のぬるらん. ふ新・家 きのふまで達見し人のけさなきは山の雲とぞ棚引にける. 身のみぞ撮る続. 二四大四. 以上. うけれどもいけるはさても有物をしぬるのみこそ悲しかりけ. 貫之. 有しを、ふと書誤れるなるべし。さなくては、てにをはいかゞなり。. ︻頭︼此うたの下旬、諸本みな﹁棚引にける﹂とあり。こは必﹁けん﹂と. ︵新勅雄三︵一二二七︶︶. 二買二. ︵第一︵五四九︶己出︶. 二四大二. あはれなり家. 二四大一あすしらぬ禦褒㌫髭間のけふは人こそ離し粘りけれ. ︵第一︵五四人︶己出︶. 二男○. これやこの行もかへるもわかれつゝしるもしらぬもあふさの関. 蝉丸. なりけり新・家 二塁九 立かへり悲しくも有哉別れてはしるもしらぬも煙とおもへば. ︵掛哀傷︵≡二︶・朗︵七人七︶・家︵Ⅰ人夫︶︶. やど拾・朗・家もすむかな朗 二四芙 手に結ぶ水にうつれる月影の有かなきかの世に. ︻頭︼. ︵副哀傷︵人三四︶・拾哀傷︵一三一人︶・家︵Ⅰ吉三︶︶. かみ山の岩根 ま七 けるゆ 我め をと かこも 待世 つの ゝ中 をを らう んつゝ有物と思ひけるかな 二し 四五 そし いら ふず べて か妹 りが けれ. 二四四六. 難波がた塩のありそにしづみにし妹がすがたを見るよしもがな. 万. ︵同︵二三九︶河辺宮人︶. 終 ぬか家. ︵同︵二二二︶・拾哀傷︵三一大︶・家︵Ⅱ二六一●Ⅲ六四五︶︶. きよるありそ. にお の玉にあるわれを家. ︵同︵二二三︶・同︵三≡︶・同︵其三Ⅱ二至−Ⅲ六人竺︵三豊︶. ︻頭︼契沖云、﹁かみ山、﹃万葉﹄には﹁鴨山﹂とあり。﹃拾遺﹄には﹁い. ちをゆけば家・夫. の端作に﹁柿本人麿在石見国臨死時自傷作歌﹂とあれば、鴨山、石. も山﹂とあり。諸名所集に未勘とあれば、いづれとも定めがたし。但、﹃万. 葉﹄ の家. ふすまぢをひきての山に妹を置て山べをみればいけりともなし. 見欺、可考。. 二四貿 大和 も万. ひけるものを蔵−エ. 玉ほこのいとはたまにも足曳の此やまかげにまけばちりぬる. づさ▲力. ︵同︵二三・夫雄二山︵八九三三︶・﹃人丸集﹄ ︵孟九■Ⅲ六三三︶︶. 二四四九. 山城. 万. わたし ・家. にかあら. なにせんにこけふの種をまきつらんおなじかたちにおぼえむものか. ︵同七︵一四一六︶︶. 二塁○ ︵代雑三︵ナシ︶さだふ︶. 二四孟. 霞立山べを君によそへつゝ春の宮人なほやたのまん やに家. へ家﹁Ⅰヒ五ヒ︺︶. 、. つらゆき. ︵万二︵一九七︶人丸・拾雑三︵雑上覧六︶・家︵Ⅰ四四一Ⅱ二大四壷︵竺︶︶. じろぎに 家. ︵古哀傷︵八三〇︶そせい・異本家集︵Ⅰ四二重一九︶・新撰︵一六四︶︶. 二塁一ちの涙落て ぞ た ぎ つ 白 河 は 君 が よ ま で の 名 に 社 有 け れ. \. 二四雲 ▼. ︵家︵Ⅰ七芙︶︶. 19.
(15) 伊 藤 一 男. ︵続古哀傷︵一四人一︶・﹃貫之集﹄ ︵Ⅰ七空︶︶. かねすけ︹戎本︺. 中納言兼輔. 吹風にまかせてみればさくら花人の世よりは久しかりけり. いまはとて風 ま つ ほ ど の 家. 二四大五. ﹃新勅﹄ 雑 三 ︵ 一 二 二 五 ︶. ︵家︵三〇一●Ⅱ一七一︶︶. ︻頭︼. さきにほひ風 ま つ ほ ど の さ く ら 花 下 同 ︵一〇三︶には﹁さきにほふ﹂とあり。. 貫之. みつね︶. とものり ねてもみるねでもみえけり大かたは空蝉のよぞ夢には有ける. 戎人、官庫の御本をつたへてうつせりといふ本には、うたがひしやうに てありし﹂。. つらゆき わぶ家 いその上ふるく住こし君なくて山の霞は立居まつらむ. みつね かへし りけれ続 二四七三 君なくてふるの山べの春霞いたづらにこそたち渡るらめ. ︵家︵Ⅰ七四人︶︶. 二四七二. ぬし続. ︵Ⅰ七四九︶︶. 二四七四 うせにきと身こそ聞ゆれ石上ふるき名うせぬ君にぞ有ける. 貫之. ︵続後雑下︵三五二︶・古本集︵Ⅱ二五丁Ⅳ二五二︶・﹃貫之集﹄. きえ家えめ家. ︵家︵Ⅰ七五〇︶︶. たゞみね ︹五首︺ やなるらん拾 きみこふる拾・貫 藤衣はつるゝ糸はわび人の涙の玉の緒とぞなりける. ﹃拾遺﹄雑秋︵一〇八七︶. よみ人しらず. に古 はん古・家 ぬるがうちにみるをのみやは夢といふはかなき世をも現とはみず. ころものそで 拾 なみだの雨のたえずふるらん 拾 墨染の君がたもとは雲なれや絶ず涙の雨とのみふる. の. 古. あるをみるだに恋しきものを 古︰家 二四七人 ときしまれ秋やは人にわかるべきさる. ︵同︵人四三︶・同︵Ⅰ四三・Ⅱ七四垂00−Ⅳ一大二︶・拾哀傷︵三九七︶よみ人しらず︶. 古・家. ︵同︵人三九︶・同︵Ⅰ四二■Ⅱ七三●Ⅲ二軍Ⅳ一大一︶︶. よく考へられざるなり。. 首とありて、こゝには四首のせたり。一首おちたるにや﹂といはれしは、. べし。さなくては、﹁忠みね︹五首︺﹂とあるかずにあはず。真淵の﹁五. うたとならびありけんを、上の句、下の旬、ひとつに書あやまれるなる. ︻頭︼此﹁ときしまれ﹂のうたは、もと二百にて、﹁さるは夜寒に﹂との. もあれ. 二四七七. ︵同︵八三五︶・家︵Ⅰ二三−Ⅱ四五●Ⅲ七四■Ⅳ六三︶︶. 二四七六. よをうみてわがかすいとはたなばたのなみだの玉のをとやなるらん. ︻頭︼. ︵副哀傷︵八四一︶・拾哀傷︵三九二︶よみ人しらず・﹃貫之集﹄ ︵Ⅰ七重︶. 二四七五. ふぢ衣かさぬるおもひ思ひやるこゝろはけふもやまずざりける. ︵Ⅰ七五九一Ⅲ. ひとへだにきればかなしき藤衣かさぬる秋を思ひやらなん. ﹃大和物語﹄. 二四六六. かへし 二四大七. ︵続後雑下︵一二五四︶・代雑五︵三四七七︶・家︵Ⅰ一二〇主〇二︶・﹃貫之集﹄ 一四︶︶. おとら家り家. 二塁○. なき人の年と共にしかへりなば行ををしとは思はぎらなん. ︵かへし. なげくまにとしのくれなばなき人のわかれやいとどとほくなりなん︶. ︵家︵Ⅰ七大?Ⅲ妄︶︶. ︵二四六人. 二四六九 ゆ古・家. ︵副哀傷︵人三三︶・新撰三人︶・家︵六三︶︶. 業平︹戎本︺ 二四七一いでゝいなば心かろしといひやせん世の有さまを人はしらずて ︵伊︵三六︶︶. ︻頭︼契沖云、﹁此﹁出ていなば﹂のうた、﹁かなしひ﹂に入れる事おぼつ かなし。もし は ﹁いでゝいなばなごりなるべみともしけちとしへぬるかとなくこゑをき け﹂ ︵﹃伊勢物語﹄ 七五︶. 此はじめの旬、かはらぬにまどひて書たがへたるにやとうたがひこしを、. 20.
(16) 『古今和歌六帖標注』翻刻(一三). とかしる家. 二望九. 伊勢︹戎本︺. ︹三首︺. かなしさぞまさりに増る人の身にいかにおほかる涙なるらん. いせ. よりあは せ 鳴 な る 声 を 糸 に し て 我 涙 を ば 玉 に ぬ か な む. ︵家︵Ⅰ一七六主人?竺七九︶︶. 二四人〇 ︵家︵Ⅰ四人三・Ⅱ三三垂三︶. 二四八一ふしまろびまどふかたみを見よとてや別れし衣は捨ておきけん 二四人二. とき競・家 定めなき よ を き く 比 の 涙 こ そ 袖 の 上 な る 淵 せ な り け れ こと代. るべし続・家 山のみなうつりてけふにあふことは春のわかれをとふとなりけり. なりひら. ︵続後雑下︵三三〇︶・代雑五︵三五〇三︶・家︵Ⅰ二三−Ⅱ二二大・Ⅲ二二三︶︶. 二四人三 ︵同︵三大一︶・伊︵一四〇︶︶. ︻頭︼契沖云、﹁此うたは、﹃伊勢物語﹄に、女御たかき子のみわざを、安. に、仏捏柴に人給ふ時、大山崩裂す、とあるふる. 禅寺にてせさせ給ひし時、右馬頭なりける翁のよめる也。﹁山のうつる﹂ といふは、﹃ 捏 薬 経 ﹄ 事によれり﹂。. なく朗 きみまさであれたる宿の板間より月のもるにも袖はぬれ塵 かみなづき大. よみ人しらず. 大空はくもらずながらながめつゝ年のふるにも袖はぬれけり. ︵朗︵五三七︶︶. 二四人四. 二四釜. ﹃拾遺﹄ 恋 一 ︵ 六 八 八 ︶. ︵大︵一七三︶︶. ︻頭︼. なく涙雨とふらなんわたり河水まさりなばかへりくるがに. しぐれにも雨にもあらできみこふる年のふるにもそではぬれけり 二男六. のはるばかり宝. 深草の野べの桜もこゝろあらばことしばかりは墨染にさけ. し古. ︵副哀傷︵人二九︶小野豊・新撰︵一大二︶︶. 二男七. ﹃宝物集﹄第二︵五五七︶云、﹁草木心なしといへども、物のあはれを. ︵古哀傷︵人三︶上野峯雄︶. ︻頭︼. あはれとうらぶれて入にし妹は 万 きまさぬ 万 二四人九 秋山に紅葉ひろひに入し妹は夏にやみたぬまてどみえこず いにし夫. ︵同︵釜○︶紀望行・新撰︵一七二︶・伊︵一八人︶︶. はなよりも人こそあだに成にけれいづれを先に恋んとか見し. しればこそ、その春は墨染にさきけると也云々﹂。. 夫. 二四八人. ず. 二四九〇 みるごとに袖ぞひちぬるなき春のかたみに見よとうゑし花かは. ︵万七︵忘〇九︶・夫秋六紅葉︵六二七四︶よみ人しらず︶. から河ひと河. ︵河幻︵一七望︶︶. ﹃貫之集﹄. ︵Ⅰ七四六︶. 二男一年ごとに春は桜に逢くれど植けん人の影ぞ恋しき ︻頭︼. きかずイ. いろもかもむかしのこさににほへとも下同. きなかユ 思ふともなき人かけていふなゆめいとゞ俺たる人のきかくに. すく︿と見しも閲しもなくなるにいつならんとぞ我も悲しき ニ四九三. かず′︵1に我をわすれぬ物ならば山の霞をあはれとは見よ. 二四九二. 二四九四. 空蝉のよのことなればよそにみしやまをや今はよすがと思はん. ︵古哀傷︵人五七︶閑院五皇子・新撰︵室ハ︶︶. 二四九五. ︵万三︵四人二︶高橋朝臣︶. たもとよりおなじかたみに生れめどみじかくすまば悲しかりけり たま古 声をたにきかで別るゝ我よりもなき床にねん人ぞ悲しき 二男七. 二四九大 きみ古. 君なくて煙たえにし塩がまのうらさびしくもみえわたるかな. まさ古・家. ︵副哀傷︵人五人︶よみ人しらず︶. 二男人. ねにゆくをしの後 ゆふされば音に鳴虫の独してつまこひすなる声の悲しさ. 開院冬嗣公也 こんゐんの左大臣︹戎本 右大臣藤原内麿男︺. ︵同︵人五二︶貫之・家︵Ⅰ七望︶・朗︵重夫︶・珊︵壷︶. 二四九九. ︵矧哀傷︵酉○︶︶. ︵旭川校助教授︶. 21.
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