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発達障害とみられる幼児に関する保育者の気づきと対応

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Academic year: 2021

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(1)Title. 発達障害とみられる幼児に関する保育者の気づきと対応. Author(s). 畠山, 美穂; 畠山, 寛. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 61(2): 101-107. Issue Date. 2011-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2314. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第61巻 第2号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.61,No.2. 平成23年2 月 February,2011. 発達障害とみられる幼児に関する保育者の気づきと対応. 畠山 美穂・畠山 寛* 北海道教育大学釧路枚教育心理学研究室 *京都ノートルダム女子大学. EarlyAwarenessandInstructionalResponsesofPreschooI TeachersinRelationtoYoungChildrenwithDevelopmentalDisorder HATAKEYAMAMihoandHATAKEYAMAHiroshi* DepartmentofEducationalpsychology,KushiroCampus,HokkaidoUniversityofEducation. *KyotoNotreDameUniversity. 概 要 本研究では,保育者が口常の保育を行っている中で,「障害があるのではないか?」と気づく幼児の行動 にはどのようなものがあるのか,そして,その保育者の気づきから第三者機関へのつなぎについて検討する ことを目的とする。そのため,本研究では,3歳から5歳までの幼児を担任している保育者10名に対して質 問紙を行った。質問は,『気になる子ども』の持つ特性として挙げられた行動目録を用いて5段階評定によ り尋ねた。また,現在担任している子どもに発達障害と思われる幼児が何人ぐらい在籍するか,専門機関に つなぐまでにどのくらいの時間を要したかなどについて質問した。その結果,「こだわり・癖・常同行動」 に関する項目が発達障害ではないかと気づく程度が高いことが示された。また,発達障害と思われる幼児が,. 3歳児では2%,4・5歳児で6%みられ,専門機関につながるまでに平均で約半年間の期間を要している ことが明らかにされた。. 問 題 平成17年4月1日に施行された発達障害者支援. 組を支援するという視点に立ち,幼児児童生徒一 人一人の教育的ニーズを把握し,その持てる力を 高め,生活や学習上の困難を改善又は克服するた. 法や平成19年4月1日より施行された学校教育法. め,適切な指導及び必要な支援を行うものである。. の一部改訂に伴い,各教育機関における「特別支. 学校教育法の改訂により,盲・聾(ろう)・養護. 援教育」が推進され,障害のある子どもへの教育. 学校の区分をなくし特別支援学校とすることが定. の充実が求められている。文部科学省(2010a). められた。また,発達障害者支援法では,『発達. によると,「特別支援教育」とは,障害のある幼. 障害の症状の発現後できるだけ早期に発達支援を. 児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取. 行うことが特に重要である』とし,市町村におけ. 101.

(3) 畠山 美穂・畠山. 寛. る健診システムや,医療,保健,福祉,教育の相. 及もあり,発達障害児に対する専門的知識を有す. 互の緊密な連携を確保するよう明記されている。. る保育者が増加してきた。そのため,幼稚園や保. 文部科学省(2010b)により定義されている発達. 育所などの保育現場は,発達障害を持つ子どもの. 障害とは,自閉症,アスペルガー症候群その他の. 早期発見や早期対応の重要な機会となりうると考. 広汎性発達障害,学習障害,注意欠陥多動性障害,. えられる。幼稚園や保育所などの保育現場では,. その他これに類する脳機能の障害であってその症. 医療機関からの診断が得られる前に「仲間とうま. 状が通常低年齢において発現するものとして政令. く関われない」,「集団に入れない」,「落ち着かな. で定めるものである。. い」,「攻撃的である」などの日常の保育場面にお. ところが,実際には「特別支援教育」が′ト・中. いて保育者が保育を困難であると感じ,発達障害. 学校を中心に展開されてきたという実質上の背景. を疑われるケースに出会うことが少なくない。本. もあり,就学前の幼児に対する支援がいまだ十分. 郷・澤江・鈴木・小泉・飯島(2003)の研究でも,. とは言い難い。高機能広汎性発達障害児にみられ. 障害とは認定されていないが,保育者が保育を困. るコミュニケーションの問題には,幼児期などの. 難であると捉えている「気になる子」が多くの保. 低年齢段階での対応が重要(十一,2004)とされ,. 育施設に存在していることを示している。こうし. 後の社会適応を促すためにも療育を始める年齢が. た保育が困難な子どもに対し,保育現場では集団. 低い方が望ましいことが報告されている(杉山・. での保育のあり方を試行錯誤し,保護者への相互. 辻井,1999)。また,学齢期に起こりうる不登校. 理解を求め,他の専門機関への照会を行うなどの. などの二次的な不適応を予防する上でも,幼児期. 様々な対応が求められる。保護者が自ら子どもの. に保護者や保育者が子どもの特性に気づき,より. 障害に気づきや疑いをもつ前に,教育現場などか. 適切な支援策を講じることが重要であるとされて. ら子どもの発達障害を指摘されることで,保護者. いる(小枝,2006)。. の否認が強くなることも報告され(渡遽,2004),. このような中で,文部科学省における発達障害. 保育現場でのこうした気づきを適切に保護者,第. 等支援・特別支援教育総合推進事業では,発達障. 三者機関へとつなげることは非常に難しい。しか. 害を含む全ての障害のある幼児や児童生徒の支援. し,これまでの母親を主とした家族とのごく少人. のため,各学校種教員研修,大学教員や医師等の. 数での関わりから,幼稚園や保育所などの集団生. 外部専門家の巡回・派遣,厚労省との連携による. 活へと対人関係が広がることではじめて発達障害. 乳幼児期から就労まで一貫した支援を行うモデル. に気づく場合もあると考えられる。このことから. 地域の指定などを実施することにより,学校(幼. も,保育者の「気になる」といった気づきは,発. 小中高特)の特別支援教育が総合的に推進されて. 達障害を持つ子どもへの支援の第一歩というだけ. いる。「発達障害者支援法」に明記された発達障. でなく,ひいては,発達障害を持つ子どもの早期. 害者への早期発見・早期支援の取り組みは,教育. のスクリーニングとしての役割を担うとも考えら. 委員会及び教育関係機関が,医療,保健,福祉等. れる重要なものである。. の関係機関と連携し,発達障害の早期発見並びに. これまでの研究では,発達障害を持つ「ちょっ. 発達障害のある幼児及びその保護者に対する相. と気になる子ども」に関する事例研究が多く見ら. 談,指導,助言等の早期支援を行うことによって,. れる(刑部,1998;増田・七木田,2000;水内・. 早期からの総合的な支援の在り方について実践的. 増田・七木田,2001など)ものの,保育者が子ど. な研究を実施し,全国の自治体への情報発信を行. ものどのような行動が見られた際に発達障害を疑. うものである。. い,その後どのような経過をたどって専門機関へ. このように発達障害に関する法律が整備される 中で,近年では,発達障害に関する研修などの普. 102. とつなげられていくのかといった,保育現場での 気づきから他機関との連携への経過を量的に検討.

(4) 発達障害とみられる幼児に関する保育者の気づきと対応. したものは見られなかった。こうした経過を検討. した5段階評定により尋ねた。. するは,発達障害幼児への早期発見・支援を考え る上で非常に重要な事であると考えられる。 そこで,本研究では,保育者が日常の保育を行っ. (2)発達障害を持つ幼児が,自分の担任するクラ スの中にいるのではないかと気づいた時の対応. ている中で,「ひょっとして障害があるのではな. について知るために以下の質問を行った。. いか?」と気づく幼児の行動にはどのようなもの. 1):「発達に障害があるかもしれないと感じ. があるのか,そして,その保育者の気づきから第. る子どもがクラス内にどのくらい存在してい. 三者機関へとつながる経過について検討すること. るか?」(人数). を目的とする。. 2):「もし,担任している幼児の中に発達に 障害がありそうな子どもがいると気がついた とき,職員会議などの公の場で相談するか?」. 方 法 1.調査協力者. A市内B私立幼稚園教諭10名で,担任している. (Yes or No). 3):「もし,担任している幼児の中に発達に 障害がありそうな子どもがいると気づいたと. 幼児の年齢は3歳クラスが4名,4歳クラス3名,. き,職員会議以外(個別で・非公式に)園内の. 5歳クラス3名であった。. 誰かに相談するか?(Yes or No) Yesと回答した場合:「誰に相談するか?」. 2.調査方法・内容. 質問紙を園内で配布してもらい,後日封筒にま とめて返送してもらう方法で回収を行った。質問 紙を依頼する際,倫理的な配慮としてプライバ シーは厳守することを口頭により説明した。. Noと回答した場合:「相談しない理由」 4):「どのような専門機関に相談するか?」 自由記述法,複数回答可により回答を求めた。. 5):「専門機関に望む対応はどのようなもの か?」自由記述法,複数回答可により回答を 求めた。. 「1)保育者の発達障害への気づきに関する項目. 6):「最初に発達に障害があると感じてから,. (Tablel):池田・郷間・川崎・山崎・武藤・. 他の専門機関につながるまでに,おおよそど. 尾川・永井・牛尾(2007)の『気になる子ども』. のくらいの期間を要するか?」(. の持つ問題として挙げられた行動目録を用い. (. )年. )か月. た。この項目は,ことば・コミュニケーション に関する問題の項目(7項目),行動に関する問 題の項目(7項目),社会性・対人関係に関する 問題の項目(5項目),情緒に関する問題の項目. 結果・考察 調査協力者の背景. (5項目),他児とのトラブルに関する問題の項. 調査協力者である幼稚園教諭は10名であり,学. 目(4項目),生活習慣に関する問題の項目(3. 年別では,3歳児4名,4歳児3名,5歳児3名. 項目),こだわり・癖・常同行動に関する問題. であった。年齢は20歳∼28歳の範囲であり,平均. の項目(1項目)の7分類計32項目から構成され. 年齢は22.8歳であった。また,幼稚園教諭の経験. る。なお,本研究では,質問項目に示されるよ. 年数の範囲は1年∼7年で,平均経験年数は3.3. うな行動が,担任している幼児にみられた場合,. 年であった。経験年数を学年別にみてみると,3. 発達に障害があるとどの程度感じるのかについ. 歳児3.4年,4歳児2年,5歳児3.3年であった。. て「全く感じない(1点)」から「非常に感じる (5点)」のどちらとも言えない(3点)を中点と. 103.

(5) 畠山 美穂・畠山 寛. 年齢別に示した(Tablel)。質問項目は,内容. l.質問項目の分析. ごとに7つに分類されている。この7つの分類の. (1)項目分類ごとの分析. 質問項目を分析するにあたり,各項目の得点を. 中で,保育者が最も障害であると感じやすい行動. Tablel 保育者の発達障害への気づきに関する項目 つJ. 児 歳 4. 4. 5. 0. 4. nU. nU. 2. 5. 0. 0. 7. 5. 2. 5. 0. 0. 8. 2. 4. 0. 0. 4. 0. 0. 4. 7. 5. 3. 2. 5. 3. 5. 0. 3. 9. 0. 4 3. 0 7. 0 5. 3 4. 2 0. 5 0. 2 3. 2 4. 5 5. 3. 2. 5. 3 3. 5 7. 0 5. 2 3. 2 1. 5 9. 3 3 3 3. 0 2 0 0. 0 5 0 8. 0. 0. 4 4. 0. 0. 2. 3. 3. 3. 0. 7. 3. 3. 3. 3. 3. 3. 3 3. 7 7 3 2. 3 2. 0. 2 2. 0 3. 3. 7 0. 3 3. 3 7. 3 3. 仁U O O 0 3 仁じ. 3 3. 3 6 仁U 3 3 3 3 0. こだわりがある. 4. 7. 3. 3 3 0. 3 3 2 3. 9 3. 4. 3. 3. 3. 3 2 2 2. 0 7 0 仁U. 3. 0. 3. 3. 1 2. 0 3. 3 3. 7 3. 3. 仁U 3 0 3 8 0 仁U O 5. 0. 5. 7. 3. 3 0. 1. 0. 3. 0. 3. 3 0. 0 0 0 0. 4. 2. 3. 3. 2 3. 1 1 5 9. 5. 3. 0. 1. 0 0. 0. 3 3 2 2. 0. 3. 6. 0 0. 0. 0. 3. 2. 0. 3 2. 0 0. 3. 5. 3. 3. 0 7. 2 3. 0. 3. 3. 3. 0. 1. 0 6. 0 0. 3 2. 5. nU. 3. 4 3. 0 0 0 0 0 8. 3 2. 3 3. 0. 3. 3. 3. 3. 8. 3. 2. O. nU. 2. O. 3. 2. 6. 3. 2. O. 3. 3. 2. O. 3 1 5 2. 5. 0. 2. O. 3 3 3 3 2 3. 塁U 7. 0. 3. 3. O. 0. 3. 0. 3. 7. 7. 7. 2. 2. 7. 3. 0. nU. 3. 0. 4. 7. 7. 0. 3. 0. 7. 0. 0. 3. 3. 8. 7. 3. 2. 2. 7. 3. 2. 6. 3. 3. 2. 7. 3. 8. 仁U 6 O 39 仁じ 仁U 3 0 0 06 6 仁じ 仁U O O. 2. 7. 9. 3. 0. 2. 5. 3. 3. 3. 3. 0. 2. 3. 3. 3. 3. 3. 3. 7. 3. 3. 3. 仁U. 3. 0. 3. 2. 仁U. 仁U. 7. 104. 3. 5. 2. 3. 3. 32. 0. 2. 3. 平均 こだわり・癖・常同行動. 7. 2. 5. 平均. 30 自然に身につけてほしいことが身に付かない 31 衣服の着脱ができない. 0. 3. nU. 3. 27 他児に対してもすぐに手が出たり,物を投げたりする 25 友だちをかむなどの症状がある 生活習慣に関する問題 29 毎回同じことでつまづき,つみあがらない. O. 5. 24 すぐにきれて「死んでやる」など口走る 平均 他児とのトラブルに関する問題 28 衝動的な行動が多くクラスの友だちにけがをさせた 26 友だちとのトラブルが多い. 0. 3. 0. 3. 18 みんなと一緒に体育遊びやゲームなどに参加しない 17 じっとして遊べない. 23 行動の切り替えが難しい 22 泣き叫ぶ. 3. 3. 9. O. 3. 7. 平均. 平均 情緒に関する問題 21 気持ちがコントロールできない 20 自分の思いが通らないとパニックを起こす. 0. 3. 0. 11 ボーつとしていて行動しない. 19 視線があわない. 7. 3. 1. 1. 12 呼びかけても反応しないときが多い 13 一日中騒がしい. 社会性・対人関係に関する問題 16 対人関係が取りにくい 15 集団生活に入れない. 仁U. 0. 3. ウロウロする 落ち着きがない. 児 歳 4. 児 歳 5. 0. 4. 8. 0. 3. 平均 行動に関する問題 10 部屋を走り回り,じっとしていられない 14 衝動性が強い 9. 2. 3. 会話が成立しない 話を聞けない 大きい声でしゃべる. 0. 3. 1. 6. 4. 言葉面で遅い. 3. 0. 3. 言ったことが分からず理解できない. 0. 3. 5. 4. 0. 3. 怒られて反省した後も繰り返し続けて同じことをする 指示が入らない. 全学年平均 3. 7 2. 目. 仁U. 項 ことば・コミュニケーションに関する問題.

(6) 発達障害とみられる幼児に関する保育者の気づきと対応. の分類は「こだわり・癖・常同行動(平均4.10)」. であり,次いで「社会性・対人関係に関する問題 (平均3.38)」であった。また,最も障害であると. 2.発達に障害があると気づいた時の対応に関す る質問 (1)現時点で在籍している発達に障害があると思. は感じにくい分類は「生活習慣に関する問題」で. われる子どもの人数. あった。この結果は,特定の事柄へのこだわりや. 3歳児では2%,4・5歳児では6%の気にな. 常同行動がみられたり,集団生活の中で仲間関係. る幼児が存在することが明らかにされた。4・5. を形成・維持することが難しい場合には,保育者. 歳児の6%という結果は,2002年,文部科学省が. が発達の障害があるのではないかと感じているこ. 小中学校に在籍している子どもについて,発達に. とを示唆するものである。その一方で,衣服の着. 何らかの障害を持つ子どもが6.3%に上る可能性. 脱など身の回りの生活習慣や,身につけたいこと. を示唆した結果とほぼ一致している。しかし,3. がなかなか身に付きにくいなどの問題について. 歳児では2%とそれを大きく下回る結果となっ. は,発達に困難があるとは感じにくいようである。. た。/ト枝(2007)は医師の立場から,現在行われて. これは,生活習慣に関する問題は,障害の有無に. いる3歳児検診を最終とする乳幼児健診システム. よらずこの時期の子どもの多くがクリアできるよ. では,発達障害を持つ幼児を適切に発見できない. うになっている問題であるのか,あるいは,この. とし,5歳児検診の必要性を述べている。このよ. 時期の多くの子どもが十分に達成できない課題で. うに,発達障害を専門領域としている医師におい. あるのかといった両方の可能性が考えられる。し. ても3歳児段階での発達障害の気づきは非常に難. かし,本研究の結果だけでそれを判断することは. しいものであると考えられる。. 難しい。そのため,今後は生活習慣に関わる項目. がどの程度幼児期に達成されるのかについても検. Table2 気になる子どもの人数 年 齢. 割 合. 学年別にみてみると,総じて3歳児が4・5歳. 3歳児. 0.02. 児よりも得点が高い傾向にあった。これは,3歳. 4歳児. 0.06. 児担当の保育者がこれらの項目に示されるような. 5歳児. 0.06. 討する必要があろう。. 行動がみられた場合,障害であると感じやすい傾 向を示している。. (2)発達に障害があると思われる子どもがクラス. に在籍していた場合,職員会議などの公の場で (2)項目別の分析. 各項目の詳細についてみてみると,分類ごとの 分析と同様に「こだわりがある(平均4.10)」とい. 相談するか?. 約半数の保育者が職員会議などのフォーマルな 場面で相談を行っていることがうかがえる。. う項目が最も高く,「部屋を走り回り,じっとし ていられない(平均3.90)」,「対人関係が取りにく い(平均3.80)」,「気持がコントロールできない(平 均3.80)」などの得点が高かった。『こだわり』は,. DSM−Ⅳにも示されているように自閉性障害の特 徴的な行動としてかなり周知されている症状の一 つであり,この行動が発達障害と関連が深いこと を認識している保育者が増加してきたことを裏付 ける結果であろう。. Figurel職員会議での相談(フォーマル). 105.

(7) 畠山 美穂・畠山. (3)発達に障害があると思われる子どもがクラス に在籍していた場合,職員会議以外(個別で・. 寛. (4)どのような専門機関に相談するか?. 園内で発達障害を持つかもしれない幼児につい. 非公式)の場面で相談するか?. て検討した後,どのような専門機関に相談するか. 保育者の全員がインフォーマルな場面で相談を. を質問した。その結果,児童相談所などの公的機. 行っていた。. 関を利用することが多いことが示された。. 児童相談所/公的機関(区役所・ 通っているところ). 幼稚園と関わりのある心理教員 医療機関 未回答. Figure2 職員会議以外での相談(インフォーマル). 誰に相談するか?. 主に,主任や園長などの管理職に対して相談が 行われていることが明らかとなった。. 〒. 二_≡三. Figure4 相談する専門機関. (5)専門機関にはどのような対応を期待するか?. 保育者の9名が,子どもに対する具体的な支援 策についての助言を期待していた。一口に発達障 害といっても,幼児一人一人の個性が異なること から,専門機関ではその個に応じた対応方法が求 められていることが示唆された。. Figure3 誰に相談するか?. このように,職員会議などの公の場やイン. Figure5 専門機閑に求めること. フォーマルな場において,全ての保育者が相談を 持ちかけている様子が明らかになった。このこと から,発達障害に気がついた担任は何らかの方法. (6)専門機関につながるまでの期間は?. 教育現場から専門機関につながるまでの期間は. で管理職,あるいは全体の教職員へとつなげてい. 3か月から1年までの範囲であり,平均期間は6. るようである。これは,担任保育者が発達に障害. カ月であった。このように,専門機関へのつなが. があると思われる幼児の問題を一人で抱えるので. りが長期間に及んでしまう背景としては,保護者. はなく,園全体で検討する機会を得ていることを. の気づきや抵抗も大きく関わっていると考えられ. 示唆するものである。. る。渡遽(2004)は,保護者(母親)自らが子どもの 障害に気づく前に教育機関からそれを指摘された. 106.

(8) 発達障害とみられる幼児に関する保育者の気づきと対応. 場合,教育機関に批判的になったり,医療機関へ. の受診を拒んだりすることが報告されている。実 際,鳥海(2010)の事例においても,専門機関への 相談に至る前には,保護者(母親)は子どもの症状. について幼稚園の担任から何か言われることを恐 れ,意識的に担任を避けてしまったケースが報告 されている。このように,教育機関においては,. 発達障害の支援として欠かすことのできない保護 者との連携が取れるかどうかが,非常に重要な要 素になると考えられる。そのため,今後は,教育. 棟開からの示唆をどのように保護者が受け入れて. attatu.htm〉(2010年8月1日) 杉山登志郎・辻井正次(1999) 高機能広汎性発達障害.. ブレーン社 高橋三郎,大野裕,染矢俊幸(訳)(2002):DSM−Ⅳ −TR精神疾患の分類と診断の手引き新訂版.医学書院 卜一元三(2004) 高機能自閉症とアスペルガ一障害(〈特 集〉 高機能自閉症とアスペルガー症候群) 障害者問 題研究,32,90−98. 鳥海順子(2010) 発達障害事例における関係機関との. 連携 教育実践学研究 山梨大学教育学部附属教育実 践研究指導センター研究紀要,15,165−172. 渡遵恵子(2004) 通常の学級で問題となっている子ど もたち(2):わが子の「軽度発達障害」を受容するまで の親へのサポート 人間研究,40,37−49.. いくのかといった,保護者と保育現場との連携と いった点についても検討する必要があろう。. (畠山 美穂 釧路校准教授) (畠山 寛 京都ノートルダム女子大学). 引用文献 刑部育子(1998) 「ちょっと気になる子ども」の集団 への参加過程に関する関係論約分新 発達心理学研究, 9,1−11.. 本郷一夫・澤江華別・鈴木智子・小泉嘉子・飯島典子 保育所における「気になる」子どもの行動特徴と保育 者の対応に関する調査 発達障害研究 25,5061. 池田友美・郷間英世・川崎友絵・山崎千裕・武藤菓子・ 尾川端季・永井利三郎・牛尾磯子(2007) 保育所に. おける気になる子どもの特徴と保育上の問題点に関す る調査研究 小児保健研究,66,815−820. 小枝達也(2006) 軽度発達障害児に対する気づきと支. 援のマニュ アル 厚生労働省ホームページ (http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi−hoke nO7/h7_01.html) 小枝達也(2007) 軽度発達障害児への気づきと対応シ. ステムーちょっと気になる子たちの幸せを願って 小 児保健研究,66,195−209. 増田貴人,七木田敦(2000) 保育園における「ちょっ と気になる子ども」の観察事例に関する記述:不器用 さの目立つA児の変容過程 幼年教育研究年報,22, 71−77.. 水内豊和,増田貴人,七木田敦(2001) 「ちょっと気 になる子ども」の事例にみる保育者の変容過程(特集 保育者の専門性と保育者養成)保育学研究,39,2835.. 文 部 科 学 省 (2010a) 特 別 支 援 教 育 〈http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/ main.htm〉(2010年8月1日). 文部科学省(2010b) 特別支援教育 発達障害とは 〈http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/h. 107.

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