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「鉄づくりマニュアル」を用いた小規模校による「たたら製鉄」の実践

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Academic year: 2021

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(1)Title. 「鉄づくりマニュアル」を用いた小規模校による「たたら製鉄」の実践. Author(s). 境, 智洋. Citation. へき地教育研究, 60: 1-11. Issue Date. 2006-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/1194. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 鉄づくりマニュアル を用いた小規模校による たたら製鉄 の実践. 鉄づくりマニュアル を用いた 小規模校による たたら製鉄 の実践 境. 智. 洋. (北海道立理科教育センター). 開発に始まり,室蘭工業大学材料物性工学科材料製造プ. はじめに たたら製鉄. )のペル缶炉の研究に. ロセス学研究室(片山ほか. とは,日本古来の製鉄法を言う。この. 製鉄法は,火を入れた炉にふいごによって空気を送り, 昼夜,砂鉄と木炭を交互に炉に入れ続けることによっ. よって,より小型で簡単に たたら製鉄. ができるよう. に工夫された。その技術を検討し,筆者が小学校の授業 で活用できることを目的とし,より安全で,より小型で, 小型レンガ式たたら製鉄炉 (以下. て鋼をつくる製鉄法で,江戸時代に高度に発達した。しか. 確実に鉄ができる. し,明治に入り高炉による製鉄法が盛んになると,次第に. 小型レンガ炉)の開発を行った (境. 廃れ,昭和になると幻の製鉄法と言われるまでになった。. の前任校(根室管内別海町立別海中央小学校・中標津町. 近年, たたら製鉄. を一般の人や子どもたちに体験. ) 。また,筆者. 立中標津東小学校)において小型レンガ炉による. たた. させる試みが,炉の構造や作業の過程を小規模にするこ. ら製鉄 の検証を行った。その結果,炉に使う購入単価. とによって,全国で行われるようになった。その多くは,. の高い耐火断熱レンガの割合を最小限に留める炉を完成さ. 炉を製作した研究者や技術者が中心となって準備を行. せることができた。 この小型レンガ炉は以下の特徴を持つ。. い,鉄づくりの行程の一部を一般の人や,子どもたちが. ガを敷く。. 体験するに留まっていることが多い。 本論は,前段で小学校,中学校において,児童生徒が 主体的に製鉄に取り組むことができる小型のたたら製鉄 炉の開発を行い, たたら製鉄 用できるよう. マニュアル化. が教材として学校で活 を行った経緯についての. 概要を取り上げる。次に,筆者が開発した小型レンガ式 たたら製鉄炉や室蘭工業大学材料物性工学科材料製造プ ロセス学研究室開発のペル缶炉(片山ほか 筆者が作成した 鉄づくりマニュアル. 炉の基礎として,コンクリートブロック上に赤レン 素材は,炉底を含め. 段目までが耐火断熱レンガ,. その上は耐火レンガを用いる。 炉の高さは,炉の底から約 レンガ. つを. 。. 段に口の字に組む。口径は. 送風管の角度は. 度で炉の. 段目から入れる。. この炉の概要を図 に,炉の設計図及び炉の組み立て. )で,. を活用した小規. 模校の実践を取り上げる。そこから たたら製鉄. を教. 材として学校教育のどこに位置付け,どのように活用す べきなのかを 総合的な学習の時間 の活用と共に検証 する。. たたら製鉄のマニュアル化とその成果 北海道における小型のたたら製鉄炉は,北海道教育大 学釧路校教育方法学研究室(高嶋. )のレンガ炉の. 。. 図. レンガ式小型たたら製鉄炉.

(3) 境. 方を巻末に資料(資料. ,. )として示した。 たたら製. 鉄 が小学校においても実施可能であることが実証され, 小学校でできるたたら製鉄 ・. (境. 洋. 県斐伊川の川砂鉄を用いて鉄づくりを行う中で産地を特. また,筆者の勤務した学校における実践や,道内小学 校における実践により,小型レンガ炉による. 智. のマニュアル化に至った. )。炉の作り方,炉の構造,鉄づくり. 定しながら砂鉄の成分と鉄の生成の関係について検証を に示す。砂鉄は化学分析か. 行っている。その結果を表. ら,砂鉄はいずれも純粋な磁鉄鉱ではなく,特に道東の 砂鉄は,チタンの含有率が高くチタン鉄鉱が多く含まれ ていることがわかった。. の準備・道具,手順等を明らかにした 鉄づくりマニュ アル は誌上だけでなく,. 表. 年からは,北海道立理科. 砂鉄の化学分析と鉄の収量. 教育センターのホームページ上から公開している。マ ニュアルの概要は資料 として巻末に示した。 現在まで,北海道内の小学校では,炉の開発過程を含 めて,表 に示した学校が. たたら製鉄. た。マニュアルを公開した よって 件,. 年は. の実践を行っ. 年からは小型レンガ炉に. 件,さらに. 校の実施が予定さ. れ,年々実践の数が増加し,開発した炉によって筆者以 外の実践でも活用され初めている。. 年. 月には,秋. 田大学教育学部附属秋田中学校において 酸化還元 教材として たたら製鉄. の. が行われた。このように鉄づ. くりのマニュアル化によって,確実に. たたら製鉄. 践が学校の実践として広がりつつあるといえる。 表. 表の 印が,開発したレンガ炉を用いたものである。. 実. 現在まで道内で実施した たたら製鉄. 小型レンガ炉を用いてからは,水洗した砂鉄は成分に とらわれず歩留(砂鉄( )から得た鉄( )の収量の割合) %以上を確保している。このことから,小型レンガ炉 による製鉄においては,砂鉄に含まれるチタン含有量は 鉄のでき方とは無関係であることがわかった。つまり, 小型炉,特に開発した小型レンガ炉を用いると道内のど できた. この砂鉄を用いても子どもが. と実感できる鉄. が確実に出来上がることがわかってきた。 今後は,出来上がった鉄の成分が砂鉄の成分によって どのように影響されているか検討していくことが必要と なる。これは,出来上がった鉄をさらに鍛造によって成形 していくためには,必要な検証であり,今後の課題である。. 道内小規模校における 鉄づくりマニュアル. たたら製鉄. を活用して. 実践. たたら製鉄. を. 行った 校の実践を以下に示す。両校は, たたら製鉄 表の 印は,マニュアルを参考に炉を主催者側で築いたも の。 印は,マニュアルを参考に炉の設営から鉄づくりの 実習までを主催者側で実施したもの。. を体験学習の一貫で終わらせるのではなく,一連の学習. 現在,筆者は砂鉄の成分の違いが鉄の生成にどのよう. て行ったものである。. の流れの中に位置づけて行われた。また,蘭越町立三和 小学校は,炉の設営も同校の森川信弘教諭が中心となっ. に影響するかを検討中である。砂鉄は,本来は山で採取 した山砂鉄を用いたとされた(窪田. )。教材とし. て活用するには,身近な素材をできる限り活用したい。. 蘭越町立三和小学校(. 年). 蘭越町立三和小学校は,全校児童. 名(. 年)の小. そのためには北海道で採取できる砂鉄であることが望ま. 規模校で,山間部の学校である。総合的な学習の時間(わ. しく,たたら製鉄実習を行った際には確実に鉄ができる. くわくタイム)で ふるさと学習. に取り組んでいる。. ものでなければならない。現在まで別海町床丹海岸など. 表 からわかるように,地域理解を大きなテーマとし,. 北海道内 地域およびオーストラリアのタアロア,島根. 高学年は. 地域を見つめる. をメインに学級テーマ. 地.

(4) 鉄づくりマニュアル を用いた小規模校による たたら製鉄 の実践. 域から学ぼう. 個人テーマ. 取り組んでいる(森川. 炭. 鉄. 米. を設定して. ) 。. 回収した。その後,地域の 炭焼きに従事する人に協力 をお願いして間伐材を活用. 表. 三和小学校の総合的な学習の時間. した炭作りを行った。子ど もたちは切り取った木を揃 える作業,炭窯への運搬作 業, 炭出し等の作業を行い, 夏休み明けには約. 図. 炭作り体験. の. トドマツ炭を作り上げた(図. ) 。. 砂鉄の採取 月に. ,. 年生が日本. 海側に面した蘭越町港町に おいて砂鉄を含む砂を採取 した。学校に戻り採取した 砂鉄を含む砂を,子どもた ちが磁石で砂と砂鉄を選別 した(図. )。その後,回. 図. 砂鉄の採集. 収した砂鉄を水洗し,乾燥 させた。 炉の組み立て 鉄づくりマニュアルにあ る設計図を参考にしてたた ら製鉄実習の. 日前に. ,. 年生児童と森川教諭が小 型レンガ炉の設営を行った 北海道南部では,明治初期にレンガを組み立てた炉を 使って砂鉄から鉄をつくっていた経緯がある(近堂 )。 また,製鉄遺跡も北海道南部に点在することから,. 。送風管の取り付け, (図 ) レンガの組み立て,モルタ ル塗りなど児童にとって初. 明治初期から製鉄が行われていたことがわかる(穴澤. めての体験であった。 こ. )。北海道南部の歴史を顧みることを学習に取り入. れで鉄ができるのか とい. れ,森川教諭は,学校の教材として今まで取り上げるこ. う疑問と共に,自分たちで. とが無かった蘭越町の木炭と砂鉄から鉄をつくることを. つくった炭と集めた砂鉄か. 行った。さらに,米の栽培から収穫までを一貫して体験. ら鉄をつくることに期待が高まった。 たたら製鉄体験(. させることも平行して行い,自分たちの地域の良さに目 を向け,蘭越町を誇りに思えるような子どもを育成した. 行った(図. 以下は三和小学校の鉄づくりの流れである。 鉄づくりの基礎知識を得る. 時より実習を )。森川教諭. 年北海道立理科教育セン 鉄をつくる ,. よう. 時から炉に火を入れ. て炉を暖めておき,児童が. 年室蘭. 登校する頃にはオレンジ色. のたたら講習会,さらに理科教育センターでの課題研修. の炎が炉から立ち上がって. ターにおける特別研修講座 に参加し. 地域素材を活用した総合的な学習の時間の授. 業づくり. というテーマで. 年を通して鉄を中心とした. いた。 筆者作成のマニュアルの. 教材化を検討した。. 作業例をもとに,子どもた. 木炭の製造. ちは グループに分かれて. 三和小学校. 日). が授業時間から開始できる. 森川氏は, たたら製鉄 の基礎情報を得るために様々 な研修会に参加してきた。. 年 月. 炉づくり. 学校のグラウンドにおい て,午前. いと考えた。. 図. の協力を得て春に学校林の間伐材を. 炭切りと炭の挿入. 図. 鉄づくり. 砂鉄の計量と挿入・貝殻粉の計.

(5) 境. 量と挿入. 炉の様子と,木炭,砂鉄,貝殻粉の挿入量. に分かれ,クラスの代表. の記録. 名が村下(たたらで. 智. 洋. ちに地域の学習をダイナミックに展開させている。 黒松内町立中ノ川小中学校(. は技師長を村下という)となって全体の指示にあたった。 途中から雨が降り出し,あいにくの天候であったが,午 後. 時には,約. の鉄が誕生した。表. は,子ども. 年. 年). 黒松内町立中ノ川小中学校は,山間部の全校生徒・児 童. 名(. 年)の小規模校で,後志管内唯一の小中併 年度から. 置校である。. カ年にわたり文部科学省 理. たちが炉の様子,炭の量,砂鉄の量などを記録したもの. 科大好きスクール に指定され,総合的な学習の時間,. である。. 選択理科の時間活用して古生物学者を招いたり,地域の. 森川氏は,総合的な学習の時間で行った たたら製鉄 について以下にまとめている(森川. ) 。. 博物館と協同しながら 大型動物化石の復元 を行った。 また校内にはミニ博物館を設置し,子どもたちが科学に 目を向けるよう取り組んでいる。また総合的な学習の時. ・ たたら製鉄. などのものづくりを通し,地域と. 間 なかなかタイム. では,人と人のふれあい,地域に. 協同で行う場面が多くあり,また活動の様子を広. 学ぶことを中心に,少人数ゆえの機動力を生かした活動. く公開することで学校と地域の結びつきが強化さ. を行っている。 年から. れ,学校との地域の協力体制が密接になってきた。 ・子どもたちが地域に飛び出し,地域に根ざした産. 年間の. なかなかタイム. の中で,中ノ. 川中学校横山光教諭は,地域の砂鉄から鉄を作り出し, たたら製鉄. 鍛造. を体験させよ. 業を調べたり,関わっていく姿が出てきており,. 製品までをたどる. 地域を再発見する姿がでてきている。. うと考えた。これらの活動を体験することによって多く の人との出会いや多くの人と協力する場面があり,コ. 三和小学校の実践は, たたら製鉄. を子どもたちの. つの体験に留まらせず, 総合的な学習の時間を活用し, 地域の産業や地域の歴史と関連させることで,子どもた. ミュニケーション力を育てることができると考えた。さ らに地域の自然,日本の伝統技術を体験を通して学び, さらに子どもたちの思いを生かした展開へと結びつけよう と取り組んだ。 以下がたたら製鉄・鍛造体験の流れである。. 表. 三和小学校の. たたら製鉄. の記録. たたら製鉄(. 年. 月 日). 砂鉄は,事前に生徒が寿都湾沿いの海岸から採取した ものを用いた。前日に先生方で炉を組み立て,当日は朝 時 分に火を入れた。炉が暖まるまでの間,. 時間目. は全校理科を行い, 砂鉄と鉄の違いを実験によって確認, さらにスズを溶かして鋳型に流し込みペーパーウエィト をつくる活動を行った。 時間目からは, マニュアルの作業分担を参考にして, グループ. 外に出て全校を. に分け作業を行った。村下 として中学 年生の. 名が. 全校児童生徒を指示し,寿 都産の砂鉄. と,寿都. 産のホタテ貝をすりつぶし た粉. ,カラマツ炭 図. 図. ノロだしの様子. 村下役の中学 年生.

(6) 鉄づくりマニュアル を用いた小規模校による たたら製鉄 の実践. を. 回交互に入れる作業を. 時間繰り返した。. ,. ,. 回目には,砂鉄の不純物を取り出すノロだしを行い, 真っ赤な液状のノロが炉から流れ出した。炉を解体し中 から約. の鉄(けら)が取り出された。表. 手が贈られた。 横山教諭は, 総合的な学習の時間を活用して行った た (横山 たら製鉄 体験学習を以下にまとめている. )。. は,子. どもたちが炉の様子,炭の量,砂鉄の量などを記録した. ・ 鉄づくり. ものである。. 鍛造体験. 発表. と多くの経験を. 積むだけでなく, たたら製鉄. を通して多くの. 人と出会うことができた。 表. 中ノ川小中学校の たたら製鉄 の記録. ・たたら製鉄が教材として大きく広がりを持ち,子 どもの成長にとって得るものが大きかった。 中ノ川小中学校の実践は, たたら製鉄. を子どもた. ちの体験のスタートに位置づけ,そこから子どもたちの 鉄を加工してみたいという思いを生かした展開に拡大さ せ,地域を飛び出してダイナミックに展開させている。. たたら製鉄の教育上の効果と総合的な学習 の時間 校の実践から. たたら製鉄. が, 総合的な学習の. 時間 を活用することによって様々な展開を創造するこ とができることがわかってきた。以下,たたら製鉄実習 を行った場合の教育上の効果と,総合的な学習の時間に 位置づけて. たたら製鉄. 実習を行った場合の効果を示. す。 たたら製鉄実習の効果 に掲載した. 表. たたら製鉄. を行った小学校におい. て,子どもたちから次のような感想があった。 ・鉄が少ししかできなくて,とてつもなくエネルギーを つかうことがわかった。 ・鉄をつくるのにこんなに苦労するとは思わなかった。 瑞泉鍛刀所への訪問. ・身の回りの鉄がこんな風につくられてきたなんて。. 年度になり,日本製. ・ほんの小さな鉄を作るのに,たくさんの人,たくさん. 鋼所室蘭製鉄所内瑞泉鍛刀. の炭, たくさんのエネルギーが必要なことがわかった。. 所へ訪問した。. また,アンケートや指導者の意見等の検討から,以下. 出来上がった鉄を叩く. の教育上の効果があることがわかった。 人間と自然とのかかわり. が,ノロ(鉄の不純物)が多 ギー. くなかなかまとまらなかっ た。そこで,鍛刀所に保存. 図. 鍛刀所での鍛造. ものづくりとエネル. を学習する有効な教材であり, たたら製鉄. から様々な発展的な展開ができた。また,子どもたち. し て い た 玉 鋼 を 実際に叩. の ものの見方. き,鉄が伸びることを実感した。. ものとエネルギーについての科学的な思考を促すこと. たたら全国サミットで発表 年. 月に室蘭で行われた. に新しい視点を与えることができ,. ができた。 第. 回全国たたらサ. ミット では,大勢の観衆の前で,今までの鉄づくりの 経緯と成果を発表した。 以前は, 人前での発表が苦手だっ た子どもたちが,堂々と自分の実践をもとに,日本の伝 統,鉄づくりの大変さ,協力する大切さ,鉄を通して多 くの出会いについて多くの人に伝え,会場から大きな拍. 日常生活の中のもののでき方について興味関心が高 まった。 地域の自然を資源という視点から捉えることがで き,自然への興味を広げることができた。 これらのことからも, たたら製鉄. が,ものづくり. を学ぶだけでなく様々な広がりをもつ教材として有効で.

(7) 境. あることがわかってきた。. 智. 洋. 両校の総合的な学習の時間は,以下の要素を持っている。. 総合的な学習の時間を使った. たたら製鉄. 学習の内容の中に子どもたちが. 三和小学校では,米づくり,炭作り,鉄づくりの. つ. る大きなイベント(たたら製鉄実習など)があること。 教師の願いが反映され,子どもたちが学習を積み上. の大きな体験学習を総合的な学習の時間に位置づけ,そ れぞれにクラス全員で取り組んだ(図. げていく過程で大きな成長が見えること。. に関して課題をもって. 子どもたちが,地域や社会に飛び出していこうとし. 調べ,学年末には学校内だけでなく,地域へ飛び出して. たり,何か行動をとりたいと考える姿があること。つま. 追究した活動の成果がまとめられ,全校児童の前で発表. りやってきたことが自分との関わりになってくること。. している。発表では,蘭越町の豊かな自然や地域の良さ. 両校は. ラスの一人一人が. 炭・鉄・米. )。その後,ク. つの事をなし遂げ. 総合的な学習の時間. を有効に使って目の前. を実感したことと共に,これから自分たちがどのように. にいる子どもたちを育てていくために,一遍の単なる活. この地域,自然と関わっていくべきかを考えた発表がな. 動や,教科の補充の時間ではなく,創造性のあるダイナ. された。教師. ミックな学習を展開しているのである。. の 地域を誇 りに思う子ど. おわりに. もに育ててい きたい. とい. たたら製鉄. が,ものづくりを学ぶだけでなく様々. う思いが実っ. な広がりをもつ教材として有効であることがわかってき. た実践であ. た。 さらに総合的な学習の時間を活用することによって,. る。. 創造的かつダイナミックな展開を作り上げる として効果を示すことがわかってきた。. 中ノ川小中. 今後は,ダイナミックな学習活動が創造できる 総合. 学校では,た たら製鉄. 図. で. 三和小学校高学年の概要. 的な学習の時間 の つの教材として. 得られた鉄を. たたら製鉄. が. 普及していくと共に,筆者を離れて新しい主催者が行う. もとに,鍛造体験を行い,次の展開へステップアップし ている。また. つの教材. ほ乳類化石復元. をメインにした総合的. 実践が様々な地域で誕生し, たたら製鉄. を生かした. 創造的な新しい展開が多く出てきて欲しいと願ってい. な学習を行うことによって, 積極的に地域と関連をもち,. る。そのためには, 鉄づくりマニュアル. 学校の活動を なかなかタイム. 証し, どこでも,だれでもできる鉄づくり. 通信として町内に配布. をさらに検 を目指し. したり,多くの場において発表するなど外に開いた活動. ていくとともに, たたら製鉄. を展開している。今では,黒松内町の新しい観光資源 ク. 総合的な学習の時間の実践例を広く公表していくことが. を提供している。 多くの人と関わらせてい. 必要である。また,創造的な実践力を身に付けた教員を. ジラ化石. きたい という教師の思いが大きく実った実践である。 図. は中ノ川. を教材として活用した. 広く育てていくことも課題である。 本論をまとめるにあたって砂鉄の化学成分分析を. 小中学校の総. アースサイエンスに依頼した。また,蘭越町立三和小学. 合的な学習の. 校,黒松内町立中ノ川小中学校の教職員の皆様に協力を. 時間の概要を. 頂いた。感謝申し上げたい。. 図に示したも のである。少. 引用・参考文献. 人数ゆえの機 動力を生かし. 図. 穴澤義功(. 中ノ川小中の概要. 多く行い,メインの総合的な学習とリンクさせてダイナ. 第. 回たたらサミッ. たたら製鉄. 片 山 博・ 桃 野 正・ 天 野 哲 也・ 宮 本 剛 汎・ 大 橋 行 盛 (. ミックに展開している。 校の実践から. )鉄の考古学入門. ト資料集. た体験活動を. )たたら製鉄と日本刀. を単に体験学習として. テキスト. 位置づけるのではなく,総合的な学習の時間を有効に活. 窪田蔵朗(. 用し,そこから様々な広がりを創造すると,その活動が 大きく発展していくことがわかる。 たたら製鉄. が学. 習展開のきっかけや深める場面になったのである。. )鉄の考古学. 室蘭工業大学公開講座 考古学選書. 雄山閣出. 版 近堂俊行(. )五稜郭と古武井溶鉱炉. 築造した高炉. 第. 武田斐三郎の. 回たたらサミット資料集.

(8) 鉄づくりマニュアル を用いた小規模校による たたら製鉄 の実践. ページ( 境. 智洋( 実践. )レンガ式鉄づくり小型炉の開発とその. 教育学の研究と実践第. 号 北海道教育学会. ) 高嶋幸男(. )小型炉による. 北海道教育大学紀要第 境. 智洋(. )レンガ式たたら製鉄炉による鉄づくり. 平成 年度東レ理科教育賞作品集 境. 智洋( 実践. 平成. 森川信弘( 要. 年度ノーステック財団基盤的研究開発育. 横山. 境 智洋 たたら製鉄 北海道立理科教育センターホーム. 光(. 操業実験. 地域素材を活用した総合的な学習の. 時間の授業づくり. )たたら製鉄実験のマニュアル化と教育. 成事業報告. ). 鉄づくり. 号. 北海道立理科教育センター研究紀. )すばらしい鉄づくり体験. らサミット資料集. 第. 回たた.

(9) 境. 資料. 智. 洋. レンガ式たたら製鉄炉のレンガ積みの要領. 炉の土台設営. 炉底( 段目)および 段目. 段目及びノロ出し口. 送風管の設置及び ・ 段目. 段目. 段目.

(10) 鉄づくりマニュアル を用いた小規模校による たたら製鉄 の実践. 資料. レンガ式たたら製鉄炉の羽口パイプの差し込み方及び設計図. 羽口用パイプの差し込み方. 炉の設計図及び全景. 資料. 鉄づくりのマニュアル 日の学校の授業時間内で鉄ができるマニュアルを作. 成した。マニュアルの内容の概要を以下に示す。 送風について 炉頂が 分の. を維持する風量(市販送風機の出力を. 程度)とする。 炉の管理について. 観察窓から見える炎の色を変えない(炉内温度を一定 に保つ)。そのために,木炭が常に炉の中に充填されて いるようにする。. 砂鉄・木炭等の材質 砂鉄は産地に影響されない(多少の塩分が含まれても 鉄ができる)。木炭は,松炭が良い(カラマツ・アカマ ツ等)。切った際の粉炭は炉に入れない。ノロ出しのた めに貝殻粉を砂鉄質量の. %を添加する。. 実験で必要な道具および素材 送風ホース(洗濯機の排水ホース),送風ブロア(送 風器),陶芸用粘土(送風管の固定及び炉の補修用 ),スライダック(単巻可変電圧器),ドリル(送 風管を入れる部分の加工用),砂鉄(. ),炭酸カルシ.

(11) 境. ウム又は貝殻粉(. ),木炭(松炭 程度. 切ったもの),鋼鉄棒(. を. 智. ずつ. ノロ出しなどに用い. る),スコップ(炭,砂鉄挿入用),はかり(. 用. 【実験後の後処理】 ( 木炭のみを. ). 回挿入する。. 木炭が炉の半分まで落ちるのを待つ。. 炭,砂鉄測定用),のこぎり(木炭切断用) ,ハンマーと ペンチ(炉解体用),金バシ(鉄をつかむはさみ) ,水を 入れたペル缶(鉄の冷却用) ,熱電対温度計,耐熱手袋,. ). 【炉の解体】 (. 送風を停止する。同時に送風管を抜き取る。 耐火レンガを耐熱手袋やハンマーを使って上から つずつ外し,外したレンガをスコップに載せて安全な. 安全眼鏡又は保護面(炎などから目や顔を守るため) 鉄づくりの手順. 場所に移動させて解体する。 ). 【炉の作製】(前日又は. 耐火断熱レンガをハンマー等で壊しながら,炉の内. ). 【実験準備】( 約. 洋. ) 。. 部を開く(図. の木炭を炉に. 入れて点火する。 弱い送風を開始し,木 炭を炉の中に入れていく。 火を入れて約. 分程度. で木炭を炉の最上端まで 挿入し,送風量を増加さ 図. せる(図 )。. 図. 充填された炉. 炉の中に常に木炭が充填されているように木炭を加 えながら,炉を乾燥させ,炉の内部の温度を上げる。 炉の上部から火炎が立ち昇り,上端の炎が. 以. 上であることを確認する(炎の色がオレンジに見える)。 送風量を加減して,炉の中の木炭の降下速度を. 分. 程度に調整する。. で. 炉の上部から. ,炭酸カルシウムや貝殻粉を. 冷却後,鉄(ケラ)はノロなどに覆われているため, ハンマーで叩きながら鉄(ケラ)を取り出す。. 村. 下. つの炉についてすべての指示を与える。 砂鉄を. 炭. 班. 下がった時点で,方法. ,. 砂鉄班. ,炭酸カルシウム. 回挿入した時点で炉底のノロ出し口を開け )。. ずつ) 。. その際は, 砂鉄斑が貝殻を砕く作業を行う。 記録班. ノートや模造紙に砂鉄,木炭の挿入時間, 炉の様子を記録する。. 村下は固定, 各班は, 砂鉄. 回挿入ごとにローテーショ. ンするとよい。. 図. を計り混. 炭酸カルシウムは, 貝殻をくだいてもよい。. 回挿入毎に,炉の四隅を鋼鉄棒で突く。. て砂鉄中に含まれる不純物(ノロ)を鉄の棒でかき出 す(図. 砂鉄を. に挿入する(. 以上を確保する) 。. (常に木炭が炉の中に充填されているようにするため) 砂鉄を. ずつ計る。計っ. 合する。その混合した砂鉄を村下の指示で炉. 分間隔ぐらいに,炉の上部の温度を測定し記録す 木炭. 四方に切り,. た炭を村下の指示で炉に挿入する。. 回繰り返す。. る(炉の上部が. 回挿入ごとに班の交代を指示する。. 炭を. を挿入する。. 炉の上部から木炭が. ). 【片づけ】 (. 挿入を木炭上面. に振りまいて挿入する。. を. 取り出し,水の入ったペール缶に入れて冷やす。. 作業分担の方法. 木炭が下がった時点で,砂鉄. の後すぐに木炭. 炉の内部の赤熱した塊(鉄)を金バシなどで挟んで. 砕けていない耐火断熱レンガは,保管し再利用する。 ). 【実験・操業】(. 炉の解体. ノロ出し 図. 出来上がった鉄.

(12) 鉄づくりマニュアル を用いた小規模校による たたら製鉄 の実践. 総合的な学習の時間との関連を図った年間指導計画. 画例を以下に示す。 たたら製鉄. を年間指導計画に位. 例(理科と連携した場合). 置づけることで 年を見通した学習活動を展開すること. 理科と総合的な学習の時間の関連を図った年間指導計. ができる。. 中標津東小学校 年生理科・総合的な学習の時間. 年間指導計画より.

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