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実感を持って理解させる中学校「保健体育科」の授業実践 : 「喫煙と健康」単元の学習を通して

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Academic year: 2021

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(1)Title. 実感を持って理解させる中学校「保健体育科」の授業実践 : 「喫煙と健 康」単元の学習を通して. Author(s). 貝出, 千春; 栢野, 彰秀. Citation. 釧路論集 : 北海道教育大学釧路校研究紀要, 第42号: 127-133. Issue Date. 2010-12. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2354. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 釧路論集 -北海道教育大学釧路校研究紀要-第42号(平成22年度) Kushiro Ronshu, - Journal of Hokkaido University of Education at Kushiro - No.42(2010):127-133. 実感を持って理解させる中学校「保健体育科」の授業実践 -「喫煙と健康」単元の学習を通して- 貝 出 千 春1・栢 野 彰 秀2 1. 北海道教育大学大学院教育学研究科高度教職実践専攻院生 2. 北海道教育大学大学院教育学研究科. A Practical Report of the Junior High School Health and Physical Education Through Lesson of Unit on Smoking and Health Chiharu KAIDE1 and Akihide KAYANO2 1. Advanced Teacher Professional Department Programs, Graduate School of Education, Hokkaido University of Education 2. Graduate School of Education, Hokkaido University of Education. 要 旨 本稿は、 中学生に喫煙による健康被害を実感を持って理解させるために、中学校「保健体育科」における「喫煙と健康」 単元に、ニコチン依存の心理的擬似体験活動を導入した授業を構想し、授業実践し、実践された授業の評価を試みた実践 報告である。 実践された授業の評価から、学習前、生徒はたばこを主にその有害性で捉えていたが、一連の学習後は、生徒はたばこ に含まれる有害物質と有害性を関連させ捉え始め、かつたばこから分散して思考が広まり、学習の効果が上がったことが 明らかになった。. はじめに. る。小学校、中学校での学習を基礎として『高等学校学習. 北海道教育大学教職大学院の授業開発コースでは、総合. 指導要領(保健体育)』(2009)では、喫煙は生活習慣病の. 的な学習を含む教科等について、子どもの学びを拓く授業. 要因となり健康に影響があること。周囲の人々や胎児への. の教材開発を行い、授業改善につながる評価ができ、カリ. 影響があることにも触れる。また、喫煙の開始や継続の要. キュラム開発、授業研究ができることが目標となってい. 因にも触れる。. る。「保健体育科」を専門領域として授業開発コースへ入. そこで本授業実践では、 「喫煙と健康」を科学的に捉え. 学した筆者は、以前から問題意識を持っていた保健分野に. させる学習が最初におこなわれる中学校段階において、学. おける「喫煙と健康」領域で授業実践を行うことにした。. 習内容を科学的に捉えさせる授業を構想し、展開し、実践. 小学校、 中学校、 高等学校における教科「体育」及び「保. された授業の評価を試みた。. 健体育」 では、 3校種を通じて取り上げられる内容は多い。 3校種において共通して取り扱われる内容のうち本授業実. Ⅰ.授業構成. 践では「喫煙と健康」に関する領域を取り上げた。. 1.授業構成の視点. 「喫煙と健康」に関する内容を校種別に見ると『小学校. 『中学校学習指導要領(保健体育)』(2008)における小単. 学習指導要領(体育) 』(2008)では、喫煙、飲酒、薬物乱. 元「喫煙と健康」では、次の3つの事項が学習内容とされ. 用が高学年で取り扱われている。喫煙に関しては、急性影. ている。. 響や慢性影響、受動喫煙による影響が学習内容となってい. ① たばこの煙の中にはニコチン、タール及び一酸化炭素. る。加えて、低年齢からの喫煙は特に害が大きいことや、. などの有害物質が含まれている。. 好奇心や周囲の誘いがきっかけで喫煙を開始する場合があ. ② それらの有害物質の作用による毛細血管の収縮、心臓. ることにも触れる。小学校での学習を基礎として『中学校. への負担、運動能力の低下などの急性影響を知る。. 学習指導要領(保健体育) 』(2008)では、 健康問題や対策、. ③ 常習的な喫煙により、肺がんや心臓病などの病気を引. 事象の起こる理由やメカニズム、健康課題の背景などを具. き起こしやすくなることの理解。. 体的かつ詳細に学習させ、実験を伴い、科学的に理解させ. 特に、未成年者の喫煙については、身体に大きな影響を. - 127 -.

(3) 貝 出 千 春・栢 野 彰 秀 及ぼし、ニコチンの作用などにより依存症になりやすいこ. るたばこの喫煙行動を今後の授業で科学的に考えることに. とを理解させるようになっている。これらの学習内容を、. した。. 科学的かつ実感をもって理解させるために、岩城によって. 次に、水道水とたばこ液で育てたカイワレ大根の成長の. 開発されたニコチン依存の心理的擬似体験活動を導入した. 様子をスライドで観察させた。たばこ液とは、たばこの葉. 授業を構想した1)。. に含まれる成分を水道水に抽出したものである。たばこ水 で育てたカイワレ大根はどのように成長するか3択で予想. 2.授業展開の概要. させ、ワークシートに予想した番号を記入させた。選択肢. 授業は、F中学校第3学年37人(男子21人、女子16人). は以下の3つである。①発芽しない。②発芽し、成長の様. を授業対象者として、2009年12月初旬に日時をわけて2時. 子は水道水とほとんど変わらない。③一部発芽するが、水. 間実施された。表1には授業展開の概要が示されている。. 道水に比べて成長が著しく悪い。その後、スライドでカイ. なお、指導案の形式は別紙資料1のとおりである。. ワレ大根の成長が③であることを確認させ、たばこには成 長を阻害する物質が含まれていることを説明した。 続いて、映像資料(アーニ出版CD-ROM『これだ!タ. 表1 授業展開の概要. バコの害』(2004))を視聴させた。この映像資料は、たば こに含まれる有害物質が身体に与える影響が具体的に編集 されており、これは小学校における既習事項にあたる。 ワー クシートには、たばこに含まれる三大有害物質であるニコ チン、タール、一酸化炭素について記入する余白があり、 映像を視聴しながら映像の内容を書き留めさせた。映像資 料では次の4つの実験動画からたばこに含まれる有害物質 が身体に与える影響が解説されている。 第一に、ニコチンの影響である。ウサギにたばこの煙を 吸わせると毛細血管が収縮する実験映像とニコチンを溶か した水に糸ミミズを入れると最終的には死に至る実験映像 であった。これに加えて、ニコチンには依存性があること も説明されていた。 第二に、タールの影響である。豚肉にたばこの煙を吹き かけて顕微鏡で観察する実験映像であった。この実験映像 では、豚肉の細胞がタールによって溶かされていく様子が 克明に記録されていた。 第三に、一酸化炭素の影響である。一酸化炭素の影響に 関しては、2つの実験映像が用意されていた。最初の映像 第1時;導入及び展開1. は、トレッドミルによる運動負荷実験であった。時速7km. 第1時の授業では、最初にワークシートとたばこのパッ. で5分間運動して、血圧と心拍数を記録すると、血圧は最. ケージをカラーコピーしたものを各班に配布した。ワーク. 高血圧が102、最低血圧が65、心拍数は88であった。たば. シートには、授業の導入およびまとめや展開におけるキー. こを吸って同じ実験をしたら、血圧は最高血圧が133、最. ワードを記入できる。その後、本単元の導入として、先程. 低血圧が93、心拍数は117になり、測定した数値が全て増. 配布したたばこのパッケージを見て感じたことや気がつい. 加した実験映像であった。たばこに含まれる一酸化炭素が. たことを班で考えさせ、ワークシートに記入させた。各班. 酸素欠乏を招くことが分かる動画であった。もう一つの映. の話し合いとワークシートへの記入が終わった後に、各班. 像は、ヘモグロビンが酸素ではなく、一酸化炭素を運ぶ動. の班長に発表させた。たばこのパッケージから感じたこと. 画であった。生徒はこの動画から、一酸化炭素は酸素より. や気がついたことは、次の諸点が発表された。 「注意書き. もヘモグロビンとの結びつきが強いことを知った。これら. がある」,「アルファベット表記されている」,「デザイン. 2つの動画からは、一酸化炭素の影響で酸素欠乏状態にな. がおしゃれ」,「かっこいい」,「女性向け」 。これらの発. り、心臓に大きな負荷がかかることがわかる。. 表に加えて、生徒から次のような意見が出された。 「注意. 資料映像の視聴を通して生徒は、たばこに含まれる三大. 書きがあり有害なこともわかっているのにもかかわらず、. 有害物質の身体に与える影響を知った。. 商品としてたばこを販売していることはなぜか。 」. 次に、スライドを使って次のような説明を加えた。人が. これまでの授業から、たばこには商品としてのたばこ. たばこを吸ったときの煙は主流煙と副流煙に分類され、. と、注意書きがあり有害であるたばこ、という2つの側面. フィルターを通って吸い込む煙が主流煙であること。たば. があることに生徒は気づいた。このような2つの側面があ. この点火部から出ている煙や吐き出される煙が副流煙であ. - 128 -.

(4) 実感を持って理解させる中学校「保健体育科」の授業実践 ること。 スライドによる説明の後、 たばこを縦に開いてラッ. きない人がいるのは、次のような依存サイクルから抜け出. プに包み内部構造をわかりやすくした観察サンプルを班に. せないためであることを考えさせ、心理的疑似体験のまと. 1つずつ配布した。その後、たばこの内部構造を班で観察. めとした。ニコチンが体内から無くなっていくと徐々に不. させ、主流煙と副流煙では、その煙の中に含まれる有害物. 快感を覚える→ニコチンの摂取により不快感が取り除かれ. 質はどちらが多いのかを班で考えさせた。すると、1つの. るのでたばこを吸う→喫煙の結果、不快感は取り除かれる. 班が「副流煙の方が含まれる有害物質の量は多い」と発表. →そしてまたニコチンが体内から無くなっていくと不快感. した。どうしてそう考えるのか理由を聞くと、 「フィルター. を覚える→この繰り返しが連鎖する。. がついているから」と答えた。このことから、生徒はフィ. 授業の最後に生徒に対して「たばこを吸うか吸わない. ルターを通って吸い込む主流煙よりもフィルターを通さず. か」と発問し、吸うか吸わないかと、その理由を具体的に. に吸い込む副流煙に有害物質が多くなることに気がつい. ワークシートに個人で記入し、発表させた。発表した生徒. た。また、周りにいる人が副流煙を吸い込むことも有害で. のうち3人は喫煙行動をとらないと発表した。その理由は. あることにも気がついた。そこで、このことを受動喫煙と. 「自分が悪影響を受けたくない」,「自分が他者に悪影響. いうことをスライドと教科書を用いて説明した。主流煙と. を与えたくない」だった。わからないと発表した生徒1人. 副流煙双方を吸い込む能動喫煙者が、副流煙だけを吸い込. は「今は興味があるけど、将来はわからない」という理由. む受動喫煙者より多量の有害物質を吸い込むことになる点. だった。はっきりと吸うと発表した生徒は1人もいなかっ. ついては、予想通り生徒からは出てこなかった。. た。 ワークシートを回収してみると、全体の約87%の生徒が. 第2時;展開2,まとめ. 吸わないと記入しており、約13%の生徒がわからないと記. 第2時の授業では、授業の最初にワークシートを用いて. 入していた。吸うと書いていた生徒はいなかった。まとめ. 前時の学習事項であるたばこに含まれる三大有害物質のニ. の時間では、我が国ではたばこを吸ってはいけないという. コチン、タール、一酸化炭素の人体への悪影響を再確認し. 法律は制定されておらず、20歳になれば喫煙が可能である. た。そして、未成年者喫煙禁止法が存在する理由を考えさ. ことが認められている。言い換えれば選択権が個々に与え. せるために、第1学年で学習したスキャモンの発育発達曲. られているのである。すなわち、たばこを吸うか吸わない. 線が記載されている教科書のページを開かせた。スキャモ. か最初の行動をどう選択するのかが大切であるとまとめを. ンの発育発達曲線では、心肺機能は中学生の時期に急速に. して授業を終えた。. 高まる。この時期に喫煙による体への悪影響を受けること で、将来がんになるリスクが高まることや、身長が伸びな. Ⅱ.授業評価方法. いなどの急性的な影響や慢性的な影響がある。このことに. 一連の授業評価は、たばこの害に関する授業をおこな. 加え、教科書と前時のワークシートを用いながら、未成年. い、この授業が生徒にどのような影響を与えているかとい. 者の喫煙が禁止されている理由について説明した。. う観点から実施し、実施された授業の有効性を検討した。. 次に、ニコチンへの依存は、たばこを吸う→ニコチンが. この点を明らかにするため、学習前後に学習者が描いたイ. 供給される→時間が経つ→ニコチンが体内から無くなる→. メージマップ、及び学習後に書いた感想文に検討を加えた2)。. たばこを吸う→これらの繰り返しで起こることをスライド. イメージマップは、マップに書き出された連想語から、. を用いて説明した。このくり返しはニコチンの依存サイク. 学習の目標となることがらや、学習内容を表している言葉. ルと言われていることも説明し、その後、依存サイクルに. が出ているかどうか、また、それらの言葉の関係づけが適. 関わる心理的擬似体験をおこなわせた。心理的擬似体験は. 切に行われているか、検討することにより学習の目標が達. 1). 成されているかどうかを評価することができるからである3)。. 次の手順でおこなった 。 ① 少し息苦しいと感じる程度に鼻と口をタオルでふさい で呼吸をする。これは、ニコチンに依存している人がた. Ⅲ.実践授業の評価. ばこを吸う前に感じる不快感の擬似体験である。この時、. 1.イメージマップの分析による授業評価. 吸い込む空気が、以後どのように変化するのか意識させ. 学習者の描いたイメージマップを分析することにより、. た。. 実践された授業の評価を行う。なお、学習前後にイメージ. ② ①のまま数回呼吸し、タオルを外す前に深く息を吐き. マップを作成した生徒は35名であった。図1には生徒Aが. 出した後、タオルを外し思い切り空気を吸い込む。. 描いた学習前後におけるイメージマップが示されている。. ③ 息苦しく感じていたタオルを外す。これは、喫煙によ りニコチンを摂取して不快感がなくなる擬似体験である。 この擬似体験に対して、 「最初に吸い込む空気はおいし い」,「目が覚める」,「すっきりする」などの感想が生徒 から得られた。 これらのことから、ニコチン依存から抜け出すことので. - 129 -.

(5) 貝 出 千 春・栢 野 彰 秀 表2 カテゴリーと含まれる主な連想語. 図1 生徒Aの描いたイメージマップ イメージマップは、図1が示すように何重かの同心円の 中心に、鍵概念である「たばこ」という語句が配置され、 学習者はこの中心の語句から連想した言葉を同心円の円周 上に記入し、線で結ぶ形式となっている。図1から、生徒 Aは、学習前には「たばこ」から17個の連想語を、学習後 は21個の連想語を記したことが分かる。 学習者全員の学習前後のイメージマップに鍵概念「たば こ」から連想され、書き出された連想語数を数え上げた。 図2には、 学習者全員が学習前と学習後に鍵概念 「たばこ」 から連想した語彙数が示されている。. 図1に示された生徒Aの学習前のイメージマップに記さ れた連想語の属するカテゴリーは、「影響」,「個人の持つ イメージ」,「社会的な対策」,「販売場所」,「依存症関連」 「含 , まれる有害物質」の6カテゴリーであることが分かる。学 習後のカテゴリーは、 「影響」,「個人の持つイメージ」,「社 会的な対策」,「販売場所」,「依存症関連」,「含まれる 有害物質」,「年齢」の7カテゴリーであり、学習前と比 較すると1カテゴリーが増加した。 図2 学習前後の連想語数. 図3には、学習者全員の学習前と学習後のカテゴリー数 が示されている。. 図2より、イメージマップに書き出された生徒一人あた りの連想語数の平均値は学習前15.8、学習後15.4であっ た。これらの値にt検定を加えると学習前後において平均 4) 値の変化はみられなかった。 (t=0.3,df=34, n.s.). 学習前後のイメージマップに書き出された全ての連想語 を取り出し、KJ法を用いて分類した5)。すると、学習前 後ともに8のカテゴリーに分類されることが分かった。表 2には、分類されたカテゴリーと各カテゴリーに含まれる 主な連想語が示されている6)。. 図3 学習前後のカテゴリー数 図3より、一人あたりの学習者のカテゴリー数における 平均値は、学習前4. 5,学習後4. 3となった。これら. - 130 -.

(6) 実感を持って理解させる中学校「保健体育科」の授業実践 の値にt検定を加えると学習前後において平均値の変化は. 図1に示された生徒Aのイメージマップでは、学習前は直. みられなかった。 (t=0.8,df=34, n.s.). 線型7系列が書き出されたのみで、分岐型は書き出されな. 学習者の理解傾向をみるために、学習前後の連想語総数. かったが、学習後は直線型4系列、分岐型2系列となって. に対する各カテゴリーに属する連想語数の占める割合を図. いる。. 4に示した。. 学習者が学習前後に描いたイメージマップから、直線型 及び分岐型の連想系列数をそれぞれ数え上げた。直線型の 連想系列は学習前152、学習後109、分岐型の連想系列は学 習前18、学習後55であった。一人の学習者が書き出した直 線型の連想系列数の平均値は学習前が4.3、学習後は3.1と なる。これらの値にt検定を加えると、学習後において有 意に減少している(t=3.1,df=34,p<0.05) 。一方、一 人の学習者が書き出した分岐型の連想系列数の平均値は、 学習前の0.5から学習後は1.5となる。これらの値にt検定 を加えると、学習後において有意に増加している(t=4.0, df=34,p<0.01) 。. 図4 学習前後の各カテゴリーの連想語の占める割合. 同様に、直線型及び分岐型の連想系列に書き出された連 想語数を数え上げた。直線型の連想系列には学習前400、. 図4より、学習後において連想語総数に対して連想語数. 学習後252の連想語が書き出された。分岐型の連想系列に. の割合が増加したカテゴリーは「影響」 (学習前29.6、学. は学習前96、学習後238の連想語が書き出された。一人の. 習後41.0;以後、29.6→41.0と略),「含まれる有害物質」. 学習者が1つの直線型の連想系列に書き出した連想語数. (4.8→26.0) の2カテゴリーであることが分かる。一方、. の平均値は、学習前が11.4、学習後は7.2となる。これら. 「個人の持つイメージ」 (25.1→12.3),「社会的な対策」. の平均値にt検定を加えると、有意に減少した(t=4.0,. (9.1→6.8),「販売場所」 (9.3→2.4),「依存症関連」. df=34,p<0.01) 。一人の学習者が1つの分岐型の連想系. (12.0→6.3),「家族」 (4.5→1.5),「年齢」 (5.6→3.7). 列に書き出した連想語数の平均値は、学習前の2.7から学. となっており、これら6カテゴリーに属する連想語数の割. 習後は6.8と有意に増加した(t=3.3,df=34,p<0.05)。. 合は減少したことが分かる。. このことから、学習前は鍵概念「たばこ」から直線的な連. 学習前は「個人の持つイメージ」,「社会的な対策」,「販. 想がおこなわれていたが、学習後は鍵概念から分散して広. 売場所」,「依存症関連」,「家族」,「年齢」の6カテゴ. まった連想がおこなわれていることが分かる。. リーに属する連想語数だけで約66%が占められている。そ. イメージマップに書き出された連想語の構造に分析を加. のうち「影響」カテゴリーには、29.6%の連想語数が書き. えた結果、学習前、生徒はたばこを主にその有害性で直線. 出されていた。このことから学習者は、たばこの持つ一般. 的に捉えていたことがわかる。一連の学習後、生徒はたば. 的な概念に加え、たばこの影響で鍵概念「たばこ」を主に. こに含まれる有害物質と、有害性を関連させ捉え始め、か. 捉えていることが分かる。 学習後は、 前述した6カテゴリー. つたばこから分散して思考が広まったことが分かる。. の占める割合が減少し、 「影響」 (41.0%),「含まれる有 害物質」(26.0%)となった。これらの2カテゴリーに属. 2.生徒の書いた感想文による授業評価. する連想語数は全体数の約67%が占められた。このことか. 授業後に生徒が書いた感想文に分析・検討を加え、本授. ら学習者は、学習後もたばこの影響からとらえる傾向を含. 業実践の評価及び考察を行う。なお、授業後に感想文を書. め、学習事項である含まれる有害物質でも鍵概念 「たばこ」. いた生徒は35人であった。. を捉えていることが分かる。. 本授業実践後の感想文には、有害物質に関する感想が最. 学習前後の連想語数やカテゴリー数の増減はみられな. も多かった。全体の約63%の生徒が同様の感想を書いてい. かったが、各カテゴリーに含まれる連想語の占める割合の. た。その中の代表例を1つ示す。それは生徒Bであった。. 増減より、学習前のたばこは有害であるという狭い捉え方. 「この学習で初めてたばこに一酸化炭素が含まれているの. から、たばこの有害性に加え、たばこ含まれる有害物質と. を知った。依存性があるのはニコチンのせいとか、タール. いう2点でたばこを捉えていることがいえ、学習の効果が. は病気になりやすくなるということを知りました。」これ. 上がったことが分かる。. らのことからも、一連の学習を通して、本授業実践のねら. ここで「たばこ」から、2つ以上の連想語で構成された. いの一つであるたばこの有害物質による影響の学習効果が. 連想系列について検討した7)。鍵概念から2つ以上の連想. 再確認できる。. 語が連想された系列には、連想語が直線的に表される直線 型の連想系列(以下、直線型と略)と、連想語が枝分れす. おわりに. る分岐型の連想系列(以下、分岐型と略)に分けられる。. 学習者の授業中の活動やイメージマップ法、感想文によ. - 131 -.

(7) 貝 出 千 春・栢 野 彰 秀 る授業評価から小単元「喫煙と健康」の学習を通して、生. 註. 徒はたばこの害についてたばこに含まれる有害物質と有害. 1)岩城保:「喫煙者を救え!吸う理由」,(http://www.. 性を関連させて捉え、かつ思考を広めながら科学的に捉え. letre.co.jp/~iwaki/smokers/smoke04.html)2009年12月 1日ダウンロード。. ていることがわかった。このことから、本授業実践は妥当 であるといえ、おおむね授業のねらいは達せられたように. 2)イメージマップの分析方法は、栢野他:「エネルギー・. 思われる。今回まとめたことをマイオリジナルブックとし. 環境教育的アプローチを導入した高等学校化学に関. て終わらせるのではなく、これからおこなう日々の実践を. する実践的研究」,『科学教育研究』,Vol24(1),pp.40-. 記録として残すとともに、それらに省察を加えてよりよい. 48,2000.の該当部分を参考にした。 3)三宅正太郎他:「教授・学習過程における評価システ. 授業実践をおこないたい。. ムの開発に関する研究( 1)」,『大阪府科学教育センター. 「喫煙と健康」の小単元については、今後授業実践を重. 研究報告収録』,Vol.98,p.133,1983.. ね、教材に加筆修正を加え、 「保健体育科」の教科指導に とどまらず、学校全体で取り組む喫煙防止教育教材とした. 4)分析には、統計パッケージPASW Statistics 18を使用 した。以後の分析も同様である。. い。. 5)川喜田二郎:『発想法』中央公論社,1967. 6)表1に示した各カテゴリーの名前は、KJ法によって. 付記 本稿は、 2010年3月に北海道教育大学教職大学院 (釧路). 8つに分類された連想語のまとまり(カテゴリー)そ. においてマイオリジナルブックとして口頭発表した内容に. れぞれについて筆者がつけた。例えば、 “くさい”,“む. 検討を加え、加筆修正を加えたものである。貝出千春が全. せる”,“かっこわるい”などの連想語のまとまりは、 「た. 稿を執筆し、栢野彰秀が校閲を加えた。. ばこ」という鍵概念に対して生徒それぞれが有するイ メージであると捉えて、 「個人の持つイメージ」とした。 他のカテゴリーの名前も同様である。 7)直線型は、連想語が2以上連続して書かれていれば全 て1つとして数えた。分岐型は、分岐の仕方がどのよ うであろうとも、1つとして数えた。. - 132 -.

(8) 実感を持って理解させる中学校「保健体育科」の授業実践 資料1 学習指導案 ◎本時の目標 意思決定とそれに基づく具体的な理由をワークシートに記入することができる。 ○・・・発問 △・・・補助発問 □・・・指示,説明. - 133 -.

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