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児童養護施設で行う心理コンサルテーションに関する質的研究

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Academic year: 2021

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(1)児童養護施設で行う心理コンサノレテーションに関する質的研究 学校教育学専攻 臨床心理学コース. M10082B 中島千絵美.          日 的.  調査内容 質問項目は,1)施設心理士に相談.  児童養護施設におけるコンサルテーションに. したい困りごと,2)施設心理士とうまく連携の. 関する研究は様々な角度から行われているが,児. 取れた事例,3)施設心理士からのアドバイスに. 童養護施設における「心理」コンサルテーション. よって,子どもへのより良い援助につながった事. のプロセスについての研究は加藤(2006a,. 例,4)施設心理士と連携する上で困難を感じた. 2006b,2009)のみで他は見当たらない。これは,. 事例,5)施設心理士に対して期待すること(心. 外部の心理土が心理コンサルテーションを実施. 理臨床的援助)の,5項目であり,常勤心理士・. しているもので,施設心理士が,一緒に勤務して. 非常勤心理士それぞれに対し,フェイスシート,. いる生活担当職員に対して心理コンサルテーシ. 自由記述で回答を求めた。. ョンを実施した研究は皆無で,心理コンサルテー.  結果と考察 回答については質問項目,常勤,. シ白ンのプロセスのモデルは提示されていない。. 非常勤ごとに分け,KJ法(川喜多,1986)を用い.  そこで筆者は,施設心理土が児童養護施設で行. て分類を行った。. う心理コンサルテーションの質的分析を行い,心.  非常勤心理士の勤務形態の違いによる連携の. 理コンサルテーションの中で何が起こっている. 取りづらさに関するコメントが,1),3),4),の. のか,どのような意味を持つのか,生活担当職員. 質問で見られた。非常勤心理土は生活場面での子. への調査を行い研究を進めようと考えた。. どもとの関わりは制限しているところも多く,生.  研究の手順としては,児童養護施設において,. 活担当職員には非常勤心理士と子どもの関わり. 調査1,調査2を実施した。調査1は,施設心理. がほとんど見えないことに対し,不信感を抱いて. 士と生活担当職員の関係性の実態把握の目的で. いるのではないかと考えられる。心理士の業務内. 実施し,その結果を基盤として調査2を実施した。. 容や心理療法を行うことの意味等について生活.         調 査 1. 担当職員に理解してもらう工夫をすると良い連.  調査対象 関西にある児童養護施設A,B,C(以. 携に繋がるのではないかと推察される。. 下,A,B,C施設とする)で勤務している生活担.  一方で,生活担当職員との連携や支援を求める. 当職員29名であった(配布43部中,29部回収)。. 内容も見られた。連携を取りづらい現状があるが,. 内訳は男性6名,女性23名であった。. 生活担当職員もこの状態を良いとは思っておら.  調査実施期問 2011年6月であった。. ず,改善していこうという意欲がみられた。そこ.  手続き 高橋(2002),徳山ら(2010)の研究を参. で,心理コンサルテーションを行うことが支援を. 考に作成した質問紙を郵送し,回収した。. 膨らませることができると考えられる。施設心理. L156一.

(2) 士が生活担当職員に心理コンサルテーションを. られ,それを心理士が丁寧に受け止め,理解を示. することによって,知識の提供だけではなく,生. すことで職員に余裕が生じ,自分を客観視するこ. 活担当職員個人の変容を促進し,H営業務による. とや心理士の専門的解釈を理解し関係の見直し. ストレスの低減につながるのではないか。. をする段階に進むことができる。それに伴い,職.  以上の結果と考察を調査2の基盤とした。. 員の関わりの再評価や意味づけの整理が行われ,.         詞 査 2. 新しい視点やアイデアを盛り込んだ具体的行動.  調査対象 A施設で勤務している生活担当職員. が生み出されていくというプロセスがある,と述. 6名(男性1名,女性5名)であった。. べている。本研究においても,同様なことが起き.  調査協力者A施設で勤務している非常勤心理. ていたと言える。職員自身のメンタルヘルスの提. 士(女性)であった。. 供を行うことが,子どもへの間接的な援助となり,.  実施期間及ぴ場所 2011年9月にA施設のセ. 長期的に見れば子どもの変化にも繋がると考え. ラピールーム及び会議室で実施した。. られる。また,心理士から職員への一方的なコン.  手続きと内容. サルテーションではなく,心理士自身の想いの発.  1.心理コンサルテーション:調査1で得られ. 散にも繋がる等,相互に良い影響を及ぼしている. た,5)施設心理士に対して期待すること(心理. と推察される。児童養護施設において心理コンサ. 臨床的援助),の回答を理解した上で,対象施設. ルテーションは重要であり,非常勤心理士が勤務. 心理士に,生活担当職員に対し個別に30分程度,. している場合には,特に,情報共有の面からも重. 「担当している子どもに関する現在の困りごと. 要であると推察された。. にっいてお話しください」という教示のもと,心.       成 果 と 課題. 理コンサルテーションを実施してもらった。.  本研究の対象施設は,勤務形態等により施設心.  2.半構造化面接:心理コンサルテーション実. 理士と生活担当職員が連携を取りにくい状況に. 施後1週間から2週間の間に,筆者が,生活担当. ある。双方共にこの現状を良いとは思っておらず,. 職員に対し個別に30分程度,半構造化面接を実. 心理コンサルテーションを通じて連携を図るこ. 施した。主な質間内容は,1)心理コンサルテー. とが有意味であり,職員及び子どもが生活しやす. ションの概要と印象に残った対象施設心理士の. くなるよう施設心理士が援助していくことが求. 言葉,2)心理コンサルテーション後の職員及び. められていると推察された。. 子どもの変化,3)心理士と職員の連携について,.  調査対象とした児童養護施設及び生活担当職. 4)感想,等であった。. 員の数が限定されていることから,分析結果はひ.  結果と考察 心理コンサルテーション及び半. とつの仮説を生成するにすぎないという限界が. 構造化面接の逐語記録を,修正版M弍TA(木下,. ある。今後は,他の児童養護施設を対象として心. 2003)を用いて分析を行った。. 理ニコンサルテーションのプロセスの質的研究を.  子どもの対応の相談よりもむしろ,生活担当職. 積み重ねていくことが,課題の1つとして挙げら. 員の“話を聴く”ことがより良い援助に繋がって. れる。. いると推察される。加藤(2006a)によると,心理.           主任指導教官:市井雅哉. コンサルテーションの中で,疲労感や困難感が語.           指導教員  :海野千畝子. 一157一.

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参照

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