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国語科教育における群読の指導に関する研究

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(1)平成四年度 兵庫教育大学大学院学位論文. 国語科教育における群読の指導に関する研究. 教科・領域教育專攻. 言語系︵国語︶コース.   M九一四〇八工.      川畑 秀成.

(2) はド︶めに.  平成元年三月に改訂され、四年度から実施される小学校学習指導要領において﹁音声雪暴㎜に関する指導﹂の重視. が提唱されているように、今後の国語科指導においては、これまで以上に﹁音声言語﹂に関する指導の強化が求め られてくるであろう。.  ﹁立亀戸言語﹂の指導の中でも特に、﹁朗読﹂は、︿読みVロ﹁理解﹂とく詠みV−−﹁表現﹂の両面にかかわる総. 合的活動として、注目を集めている。そのような﹁朗読﹂指導の一つの方法である﹁警笛U複数の読み手による朗 読﹂も、ますます学校教育に取り入れられる機会が増えてくるであろう。.  ところで、集団で﹁朗読﹂する﹁群群﹂という方法は、いつごろ学校教育に取り入れられたのだろうか。また、. 当時どのような指導がおこなわれていたのだろうか。﹁濫読﹂について論じる前に、それを概観してみたい。. ﹁蒙が学校警鐘り入れられたのは・覧の限りにおいては・昭摯七年霜の膿萎︵注一千@. 民詩朗読のために﹂︵注二︶の中において、その理論と実践が紹介されているものが最初である。.  その著書において榊原美文氏が述べていることの中から、現在﹁直読﹂を学校教育に取り入れるための理論を考 える上で、参考になることをまとめると、次のゴ煮になる。. ・詩の朗読は、その内容と朗読者の気持ちによって読み方が決まるということ。 ・同じ詩の内容でも、朗読表出法が変わることがあること。 ・﹁群読﹂は、初心者で朗読が未熟な者でも﹁実を挙げ得る﹂方法であること。. このように﹁群読﹂の意義を的確にまとめているのであるが、第二次大戦当時であったこともあり、榊原美文氏.

(3) ﹁士気の高揚﹂という限られた目的を持って、戦争に利用されたこと。. の実践には次のような問題点もあった。. 1. 2 限られた目的を持っていたため、作品の内容が﹁単純・明朗・勤健﹂なものに限定されたこと。 3 詩の内容に対する理解は、前もって指導者が決定してあるということ。.  このように、第二次大戦中の﹁群読﹂は、その理論においては学ぶべき点は多いが、惜しくも実践においては、. ﹁1﹂や﹁2﹂のように、その限られた目的のために、理論が十分生かされずに戦争に利用されてしまった。この、. ﹁海亀﹂の悲しい歴史的背景は、﹁群読﹂に対して否定的な印象を植えつけてしまったのではないだろうか。それ. は、戦後三十年余り、ほとんどの教師が国語科の授業において﹁難読﹂を顧みなかった一因ともなったであろう。.  また、﹁3﹂のように、学習者個々の詩の内容に対する理解が、﹁群言﹂表現に反映されることがなかったため、. 詩を読み解く学習に関与することにはなりにくかったのである。このことも、榊原美文氏が説いた﹁群読﹂が戦後 において、実践上継続されることがなかった一因であろう。.  では、現在の学校教育に取り入れられている﹁転読﹂の状況はどうであろうか。日本演劇教育連盟が主催する ﹁群読﹂講座︵注三︶を担当する葛岡雄治氏は次のように述べている。. 今、学校教育の現場で真読という言葉が飛び交うというより乱れ飛んでいます。     ︵略︶. これはもう、群読ブームとしかいいようのない現象だと思わないわけにはいきません。 問題は、そこでやられている群読の中身です。. 群読という言葉のひびきに魅せられて、とにかくおおぜいで文章を読んで群読ですといっているか、.

(4) 旧来の呼びかけ︵シュプレヒコール︶を変形しただけで群読だといっている例がいかに多いことか。. ︵葛岡雄治﹃一人一人の個が主役・群も主役 基礎からのム呆作り・実演まで隔雑誌﹁子どもと教育.  九十二年十二月臨時増刊号音読・朗読・群読の指導ハンドブック﹂一九九二 あゆみ出版 八八頁︶.  現在でもこのように、ボリュームや見かけのよさ、﹁群読﹂という言葉の持つ響きのよさ、多人数を消化できる 便利な方法として、﹁群読﹂が利用されている現状が少なくない。.  ﹁話調﹂は、個の︿読み﹀を集団の中で発表し合い、刺激し合い、止揚し合う中で、集団としてのく詠み﹀を作. り上げる活動である。﹁回読﹂学習は、﹁個﹂のく読み﹀︵注四︶を重視しながら、﹁集団﹂でのく詠み﹀︵注五︶. を皆で作り上げる活動であり、数十人単位での学習活動のおこなわれる学校教育において、かなりの学習効果が期. 待できる方法である。しかし、ボリュームや見かけのよさという限られた目的のために、多人数を消化できる方法. として﹁面識﹂が用いられているとしたら、﹁ひとりひとり﹂よりも﹁集団﹂が優先することになる。その﹁集団﹂ が優先する姿は、先程述べた戦争に利用された﹁群読﹂の印象と二重写しとなるのである。.  本研究は、葛岡雄治氏が危惧した状況に陥ることをさけ、国語科教育において﹁群読﹂指導を有効なものとする ために、以下のことを明らかにしたものである。. 指導者がとらえておくべき﹁群読﹂指導の意義をまとめる。.                           ︵﹁第一章﹂︶. ﹁暴富﹂により可能となる学習活動過程の分析から、教材を位置づける観点を導き出し、その有効性を検証する。.                           ︵﹁第二章﹂︶. 発達段階に即した指導の焦点化の構想を提示して、その焦百花をおこなうために講じる手だての例をまとめる。                            ︵﹁第三章﹂︶.

(5) ︻注︼. 一 榊原美文。︵さかきばら よしぶみ︶昭和十七年当時、大阪市立中学校に勤務。 二 詳しくは、文献目録﹁﹃群読﹄の実践が載っている文献﹂参照。. 三 日本演劇教育連盟が、毎年夏におこなう﹁全国演劇教育研究集会﹂の﹁実践講座﹂の中の一つ。なお、葛岡.  雄治氏は、一九八三年冬実践的研究を進める﹁群読研究会﹂を発足し、現在では﹁説明的文章﹂の教材開発に  も取り組んでおられる。 四 ﹁作品に対する理解﹂を︿読み﹀と記す。以下、本論においても同様。 五 ﹁作品の音声表現﹂を︿詠み﹀と記す。以下、本論においても同様。. *なお、引用文中の傍線は、すべて川畑による。.

(6)    円ロ次 はじめに.   第三節  ﹁群読﹂の指導により可能となる学習活動・・・・・・・・・・・・・⋮.   第二節 ﹁理解﹂・﹁表現﹂の総合活動としての﹁三里﹂・・・・・・・・・⋮ザ.   第一節 ﹁群読﹂の特性 :・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・⋮. ・二十五. ・・八. ・五. ・一. 第一章﹁群読﹂指導の意義.   第四節 国語科教育における﹁群読﹂指導の意義:・・・・・・・・・・・・⋮.   第二節教材を位置づける観点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・⋮.   第一節 ﹁群読﹂を用いた学習活動の過程・・・・・・・・・・・・・・・・・⋮. ・三十七. ・三十三. ・二十九. 第二章﹁群読﹂指導の教材.   第三節 教材の特性分析と話し合いとの関係・・・・・・・・・・・・・・・・⋮       一大学四回生への群読指導実践︵の助言︶を通しての検証1.

(7) 第三章﹁群読﹂指導の焦占花 発達段階による指導の焦点化⋮:⋮:・・・・⋮.   第一節 ﹁下読﹂を取り入れた活動はどの学年から可能か・. 第二節.  1小学三年生・中学三年半への盗読指導実践を通しての検証−. 第三節 焦点化のための﹁手だて﹂. おわりに. 文献目録. 付記. ・六十三. ・六十七. ・七十五.

(8) 第一立早. ﹁些工T士騨川君二設口﹂. ﹁群読﹂指導の意義. ﹁朗靖購﹂ と. ﹁半 −  士岸 ル﹂ の麟何一椎匹 焼田即一甑即    工二     君 二 口.  ⊥ ﹁立日靖購﹂.  声に出して読む活動は、一般に﹁音読﹂や﹁朗読﹂などと呼ばれる。ここでは、まず、 ﹁群読﹂が﹁音読﹂ ﹁朗読﹂とどういう関係にあるかを定義しておきたい。. ・ ﹁. 11音声表現の効果を工夫して読むこと。. ︵狭義の︶音読﹂11単に声に出して読むこと。.  ﹁音読﹂の中に、 ﹁朗読﹂という領域を認めるど、次のように﹁︵狭義の︶音読﹂と﹁朗読﹂という二つに分け る こ と ができる。.     へ. 奥 ・﹁朗読﹂.  ﹁︵狭義の︶音読﹂は、文字で書かれている文章をそのまま音声化するということで聞き手意識が非常に薄い。. それに対し、 ﹁朗読﹂は、文字で書かれている文章から理解した内容を、正確に、時には印象的に効果を工夫して 音声化することであり、聞き手にどう伝えるかという意識が強い。.  また、﹁︵狭義の︶音読﹂と﹁朗読﹂は、﹁読み手の人数﹂によって、次のように四つに分類することができ る。. ﹁. 一. 1.

(9) ④﹁複数の読み手による朗読﹂. ③﹁複数の読み手による音読﹂. ②﹁一人の読み手による朗読﹂. ①﹁一人の読み手による音読﹂. 目集団で役割を分担して、表現の効果を工夫しながら音声で表現すること。. 11集団で音読すること。. 11自分の﹁読み﹂を表現の効果を工夫しながら音声で表現すること。. H一人で音読すること。.  ①﹁一人の読み手による音読﹂は、自分が文章内容を理解するためにおこなうことがほとんどで、聞き手は自分 自身であることが多く、唇読の発展した形である。.  ②﹁一人の読み手による朗読﹂は、自分以外の聞き手の存在をはっきり意識して、自分が文章から理解したこと が聞き手に伝わるように音声化の工夫をおこなうものである。.  ③﹁複数の読み手による音読﹂は、﹁鷲谷︵一斉読み︶﹂とも呼ばれ、単に集団で声を揃えて音声化する活動で ある。明治期に多くおこなわれた漢文の﹁素読﹂とよく性格が似ている。.  ④﹁複数の読み手による朗読﹂が、﹁群読﹂と呼ばれる方法である。したがって、﹁群読﹂は朗読方法の一つで. あり、文章から理解した内容を聞き手に効果的に伝えるために表現を工夫しておこなわれるものである。. 2﹁群読﹂の特性.  ﹁群読﹂と同様に複数の表現者という形態で音声化をおこなうものに、 ﹁シュプレヒコール︵呼びかけ︶﹂、. ﹁声明﹂、﹁地謡﹂、﹁合唱﹂がある。ここでは、それらの特性と﹁群読﹂との違いを比較しながら、﹁群読﹂の 特性を考えてみたい。. ﹁. 一. 2.

(10) 、. ﹁声明﹂、﹁地謡﹂、﹁合唱﹂、これら四つの特性は、次の通りである。. ユプレヒコールドィッ生まれで政治運動上の主張を唱えるアジテ←ヨンである.. ﹁シュプレヒコール︵呼びかけ︶﹂. ﹁曽/.  リーター  、によ て 夕  、、イ4  々カ きな戸で ’ るスタイノである.              また、その単なる唱和という形態を真似て学校教育の行事や集会に取  ︵師町びかロリ︶ ﹂り入れたものを﹁呼びかけ﹂と呼んでいる。これらはいずれも、ヨ刃. しょうみょう ﹁闘詩由明﹂.  仏教の経文を歌寵することで、平安時代から広まり、後の平曲や謡 曲などに与えた影響は大きいとされている。多勢の僧侶が読経する男 声の声の響き合いは荘厳であるが、イを業  イ菱 寧ネに迫ること 剤第 としている一.  能楽で斉唱による謡だけを担当することで、節回しは室町時代に完 成したと言われ、現代に口承されている。﹁声明﹂と同様に旋律やリ  じうたい ズムが口伝による型として、いわば目に見えない楽譜として伝えられ ﹁地麺晒﹂ ているので、ご畠思ロをどう 琴 るカq問顯より でき が.づ−             た・エを で・えることカら一じまる。.              音楽であり、詞のことばを音に創造する芸術活動は作曲家によって ﹁A口調唱﹂     成し遂げられており窟譜に手ノさ た日在を’えることカできない。 ︵酒井誠﹃群読”新しいドラマの創造方法としての﹄   雑誌﹁演劇と教育 特集朗読に強くなるために 一九八〇 十一月号﹂ 晩成書房  三十五・六頁参考︶. 一. 醐. りO.

(11)  ﹁シュプレヒコール︵呼びかけ︶﹂は、表現を作り上げる際に﹁集団﹂が主となり、それを支える﹁個人﹂の活. 動は従となる。﹁声明﹂や﹁地謡﹂は、響き合いという点では﹁難読﹂と共通する点があるが、作品のことばに対. して個人の︿読み﹀を作り上げる思考活動は重要視されない。﹁合唱﹂は、楽譜があるため、表現者が独自の音声 化の表現技法を創造する幅が狭い。.  このような四つの表現形態の特性と比較して、 ﹁講読﹂の特性としては次の二点が挙げられる。. 羊読の特性. ①﹁群読﹂は、読み手の一人ひとりが個性を出し合って創造し、個も集団も尊重されるものであること。. ②﹁群読﹂は、作品のことばの意味をとらえた上で、音声化の表現技法を駆使して作るものであること。.  学校教育の中では、指導者がこの﹁群読﹂の特性をしっかりとらえておくことによって、学習者が﹁下読﹂の本. 質から外れた方向に進もうとすることに対し何らかの﹁手だて﹂を考えることが可能となり、また、学習者がより よい﹁群読﹂を目指すように支援していくことも可能となる。.  例えば、指導者は、次のようなときに何らかの﹁手だて﹂︵注一︶を講じる必要がある。. ﹁①﹃群読﹄は、読み手の一人ひとりが個性を出し合って創造し、個も集団も尊重されるものである﹂ことから、.  例えば学習者が作品を読み分けるときに、ことばの意味を考えずに分断したり、表現効果を考えずに人数を割り 振ることをしている場合、指導者は何らかの﹁手だて﹂を講じる必要が出てくる。. ﹁②﹃群読﹄は、作言のことばの意味をとらえた上で、音声化する表現技法を駆使して作るものである﹂ことから、.  例えば、誰か一人に任せっきりで、読み手の⋮人ひとりが﹁群読﹂の創造活動に参加しなかったり、表現活動に. おいて自分は小さな声しか出さないで他人任せにすることも﹁群論﹂の本質から外れることになる。 ﹁①と②﹂を実施させるために、もっともさけるべきことは、. ︻. 一. 4.

(12)  指導者のお仕着せの﹁群読﹂を学習者に強要し、 会を与えないことである。. 学習者の個性的な作品の受け取り方や表現の仕方を工夫する機. 第二節﹁理解﹂・﹁表現﹂の総合活動としての﹁群読﹂.  前節においてまとめたような特性を持つ﹁書聖﹂を、学習者が作り上げていく過程は、どのような活動となるの かを考えてみる。.  ﹁群読﹂のプラン作りの際に、学習者は、次のような面において、さまざまな表現の工夫をすることになる。. ○声の大きさ ○読む速さ ○間 @声の重なり @読み分け︵人数・声質の差︶.  この中で、﹁声の重なり﹂と﹁読み分け︵人数・声質の差︶﹂は、 ﹁一人の読み手による朗読﹂では特殊な機械 を使わない限り不可能な工夫である。.  ﹁群読﹂では、プランを考えるときに、文章のどこで区切るか、どこを誰に、何人で分担させるかということを. 決めなくてはならない。その学習者が文章を区切る作業、誰に何人で分担させるかを決める作業は、すなわち、作 晶の文章を分析的にとらえていく学習になってくる。.  つまり、﹁群読﹂という﹁表現﹂を目的とすることによって、文章﹁理解﹂の活動が必然的になされることにな るのである。. 一. ︻. 5.

(13) そのような﹁群読﹂の役割分担を決めるためには、例えば次のような手順をふむことになる。. ①学習者は、まず文章を﹁理解﹂する活動をおこない、自分のく読みvを自己の中に形成する。. ②そして、その︿読み﹀を他者に示し、また、他者のく読みVを知る。そうした学習者相互の﹁分かち合  い﹂の後、 ﹁表現﹂H︿詠みVを試行する。. ③そのようにして作り上げられたく詠みV︵﹁群読﹂︶を振り返ることにより、また、自己や自己の属す るグループの︿読み﹀を見直すことを迫られる。.  このように、 ﹁表現﹂活動が﹁理解﹂活動を刺激して豊かなものに深め、 ﹁理解﹂活動によって深められた︿読.  ﹁表現﹂活動①. ︿詠みV︵群読の試行︶. ←. ﹁理解﹂活動② ︿読み﹀. ←. 学習者が教材を初め. ︿詠みV︵愛読の試行︶.  ﹁表現﹂活動②⋮. み﹀がまた、より豊かな︿詠み﹀を生み出していくことになる。ここに、 ﹁理解﹂活動と﹁表現﹂活動が影響し合. ←. い、高まり合う総合活動が成立する。図に示すと次のようになる。. ﹁ 理解﹂活動①. ︿読みV.  この総合活動について、もう少し細かく過程を示すと次の図のようになる。ただしこれは、 て読んだときのことを想定したものである。. 一. 一. 6.

(14) ﹁理解﹂活動①・・・作品に対する印象というようなきわめて恣意的な漠然としたく読みVが形成される。. 合させなくてはならなくなる。また、逆に、 ﹁文章表現の特性﹂から﹁印象﹂をとらえ.  ,文章をどう音声化するかの決定を強いられるため﹁印象﹂を﹁文章表現の特性﹂と照. 群読プラン. 直すこともおこなわれる。一応の﹁群読﹂プランができ上がる。.   =     。.    の作成. 群馬の.    臨. る。そうして︿読み﹀が修正されることになる。. なる。﹁群読﹂する中で、今まで気づかなかった﹁文章表現の特性﹂に気づくこともあ. がよりょく表現できているかの確認がおこなわれ、︿読みVについてふりかえる機会と. ﹁表現﹂活動①・  ・﹁理解﹂活動①のプランにもとづいて、実際に音声化してみる。自分たちの﹁印象﹂.   試行. ﹁理解﹂活動②・・・﹁群読﹂プランの改善を目指すことで、﹁内容・主題﹂と﹁文章表現の特性﹂との再. 容・主題﹂に対する認識の変化によってプランが改善され、﹁文童表現の特性﹂の意義. 照合がおこなわれ、﹁内容・主題﹂についての認識が問い直される。さらに、その﹁内. 前置プラン. が浮び上がってくる。.   罵.    の修正. ﹁表現﹂活動②・ ・・﹁表現﹂活動①の内容がより深くなってくりかえされる。    零. 群読の.   試行. *これらの活動が、各グループにおいて﹁群群﹂を完成させるまでくりかえされる。. 一. 一. 7.

(15)  ただし、﹁理解﹂活動、﹁表現﹂活動というのは、両方の活動がおこなわれるということを示すために便宜的に. 分けて記したものである。実際の活動の中では、群読を試行しているときに、作品の﹁内容・主題﹂について話し. 合いがおこなわれたりすることが多く、﹁理解﹂﹁表現﹂の活動は有機的に関連し合っておこなわれることになる。.  ﹁群読﹂を目的とした活動では、このような﹁理解﹂と﹁表現﹂の総合活動をおこなうことができる。そして、. その総合活動は一回限りのものではなく、くり返されるごとによって、より深い豊かな活動となっていく。つまり、. より深いく読みVとより豊かな︿詠み﹀を相乗的に生み出していくことになる。しかも、それは指導者がおこなわ. ﹁当 ⊥ T  士々    H   ﹂   翼 凶 嘗  H川 目. の指導により可能となる学習活動. せるというよりは、出替者が個性的な﹁群読﹂を作るという創造的活動の過程においてなされるのである。. 竺カゴご笛即.  前節において、学習者が﹁群読﹂を作る過程は、﹁理解﹂活動と﹁表現﹂活動の両方にかかわる総合活動となる. ことを述べた。 ﹁羊士冗三石ロ﹂は、 ﹁話しことば﹂教育の申における﹁朗読﹂の一方法という狭い指導領域であるが、. ﹁群読﹂の指導により可能となる学習活動は﹁話しことば﹂だけにおさまるものではない。﹁音声ことば﹂︵注二︶. と﹁文字ことば﹂の両方にかかわる総合的な活動を保障し得る指導方法なのである。したがって、ここでは学習活. 動を、 ﹁音声ことば﹂によるものと﹁文字ことば﹂によるものに分けて考えてみることにする。.  国語科教育においては、﹁音声ことば﹂﹁文字ことば﹂のいずれにも偏ることなく、学習をさせる必要があるだ. ろう。国語科教育がことばの教育である以上、ことばの機能にかかわる活動をバランスよくおこなわせることによ って学習させることが重要なのである。.  したがって、学習活動として、﹁音声ことばによる表現活動︵詠む︶﹂﹁音声ことばによる理解活動︵聞く︶﹂. 一. ︸. ハO.

(16) ﹁文字ことばによる表現活動︵書く︶﹂﹁文字ことばによる理解活動︵読む︶﹂を設定することができよう。さら. に﹁群読﹂の指導により可能となる独自の学習活動として、この四つに加えて、 ﹁音声ことばによる表現活動︵詠 む︶を通して文字ことばを理解する︵読む︶機能﹂についても考えていくことにする。. 音声ことばによる活動      ︵1︶﹁音声ことばによる表現︵詠む︶﹂についての学習活動.          llI﹁群読﹂という表現活動1−1      ︵2︶﹁音声ことばによる理解︵聞く︶﹂についての学習活動.          lii﹁群読﹂における﹁聞く﹂活動ll一. 文字ことばによる活動.      ︵3︶﹁文字ことばによる表現︵書く︶﹂についての学習活動.          ーー1﹁群読﹂のプラン作りにおける﹁書く﹂活動一ll      ︵41︶﹁文字ことばによる理解︵読む︶﹂についての学習活動.          1ーー﹁内容・主題﹂と﹁文章表現の特性﹂との関係の仕方をとらえる学習活動ll. 音声ことばを通して文字ことばを理解する活動.      ︵5︶﹁音声ことばによる表現︵詠む︶﹂活動を通した﹁文章理解︵読む︶﹂機能.          ーー1﹁文章理解﹂活動としての﹁群落﹂表現活動IIl. 一. 需. 9.

(17) ︵−⊥︶﹁音声ことばによる表現︵詠む︶﹂についての学習活動Il一﹁群読﹂という表現活動lII ﹁音声表現︵詠む︶﹂についての学習活動の特色は、次の二点である。. ①発音・発声の訓練が、生きた形でおこなわれる。 ② 一人の読み手による朗読では、得られない感動や楽しさを味わうことができる。.  ①発音・発声の訓練が、生きた形でおこなわれる。.  発音・発声の訓練を﹁あえいうえおあお⋮﹂などと取り立てておこなっていることがある。正しい発音、正. しい発声を身につけるためには、有意義な指導であると思う。しかし、この指導の問題点は、学習者が何のために. ﹁あえいうえおあお⋮﹂と発音するのかという目的意識が薄いことである。そのために、興妹を持って意欲的. に取り組む活動とはなりにくい。また、型にはまった画一的な発音や発声の仕方を学ばせることになる恐れもある。.  その点、﹁群読﹂では、自分たちのく読み﹀を聞き手に伝えようという目的意識がはっきりしている。そして、. 自分たちのく読み﹀をいかに効果的に伝えるかという活動は、各グループによって異なり、発音や発声の仕方も、. 各グループ独自の工夫を生かすことを目的とした中で自然に訓練されることになる。自分達の表現意図を聞き手に. 伝えるのは、自分たちの声によってのみ可能となる。したがって、その声を鍛えること、すなわち発音・発声の訓 練が、生きた形でなされることになる。.  ②一人の読み手による朗読では、得られない感動や楽しさを味わうことができる。.  個による朗読では、読み手と読み手とは連続しない。だから、一人の読みが他に影響するとはいって. も、幾分の君恩を経過した後ということになり、高揚した気分が断ち切られてしまいがちである。とこ. ろが、石玉では、一人の読み手を他が受けて、または、その上に重ねて読むのであるから、影響は即時. 的で直接的である。群読に,つたない子どもたちの読み合いではあっても、時として、まさに﹁響き合う. [. ︸. 旧.

(18) のである。 ︵高橋俊三著  ﹁群読の授業﹂ 一九九一 明治図書 二百四十一頁︶. ﹂.  ﹁群読﹂では、始めは小さな声でしか発声できなかった学習者も、友だちの声に励まされて次第に大きな声で発. 声できるようになることが多い。そして、自信を持って発声できるようになると、自分の声と他の声がぶつかり合. うようになってくる。そして、お互いの声が響き合う心地良さを経験できるようになる。その心地良さを経験する と、同じ文章を何度もくり返し練習することが苦にならなくなっていく。.  また、自信を持って発声できるようになると、他の声に続けて詠んだり重ねて詠んだりするときに、ずれが生じ. る。そのずれを知ることは、一緒に詠む相手のテンポや呼吸を感じ取ることである。自分のテンポや呼吸との違い を知ることも楽しいことであろう。.  このような雷雲の響きによる交流体験自体が、今の学校教育の中では不足しがちなことであり、国語科教育にお いて意識的におこなわせる必要があるのではないだろうか。. ︵2︶ ﹁音声ことばによる理解︵聞く︶﹂についての学習活動         一Il﹁群読﹂における﹁聞く﹂活動ーーー.  多くの人たちが一所に読みあう行為は、 ”読む“と”聞く“とが混然一体となって古典の世界を体験的. に共有する結果を生むだろう。 ︵木下順二著 ﹁古典を訳す﹂ 福音館書店 一九七八 三〇六頁︶.  ﹁群読﹂では、﹁一人の読み手による朗読﹂と異なり、一人で全文をく詠むVのではない。複数の読み手がいる. ので、自分以外の読み手の声を﹁聞く﹂ことになる。それも、ただ漫然と聞くのではなく、自分の声を他の読み手. の声に続けて、または、重ねてく詠むVのであるから、注意深く聞くことになってくる。自分のく詠みV始めるタ. イミングを決めるために、他の読み手の声を注意深く聞き、そのことによって、自分たちのグループが﹁群読﹂に. 一. 一. 11.

(19) よって表現したかった作品の︿読み﹀を、自己も他者も具現化できているか確かめることになってくる。.  さらに、他のグループの﹁濫読﹂発表を聞くことによっても、自分たちのく読みVやく詠み﹀を振り返り、 自己 評価することになろう。. ︵3︶ ﹁文字ことばによる表現︵書く︶﹂についての学習活動.           一iI﹁学費﹂のプラン作りにおける﹁書く﹂活動一i.  ﹁濫読﹂のプランを作るとき、音声化の工夫や聞き手に伝えたいく読み﹀の内容を、台本として作り上げる﹁書 く﹂活動をおこなわせることができる。.  ﹁群読﹂のプランを作るときに、学習者は頭の申で音声を想像する。今まで聞いた声の中から、作品の文字、語. 句、文体、そしてその世界に適する読み方はどんなものがよいかを考え、頭の中で適する音声を作り上げていく。 その想像した音声を文字化していくことが、﹁群読﹂の工夫点を書くことである。.  プランを書く際に、強弱・緩急・間などを記号化して記入させることがよくおこなわれる。プランを作成する負. 担を軽くするためには有効な方法であろう。しかし、プラン作りに慣れてきた学習者には、言葉で記入させるよう にするとより個性的な﹁群読﹂のプランができあがることになる。.  微妙な言い回しについてことばで説明することは、想像した音声の特徴を的確にとらえ、その特徴に合う語句を. 選んで書くというかなり難しい学習活動となる。その自分で選んだ微妙な言い回しを説明したものを発表し合うこ とによって、語彙指導の場ともすることができよう。. 一. ﹁. 12.

(20)    ︵4︶﹁孝ことばによる理解﹂についての学習活動.            ーーー﹁内容・主題﹂と﹁文章表現の特性﹂との関係の仕方をとらえる学習活動−1一.  作品は﹁内容・主題﹂と﹁文章表現﹂が一体となったものであり、その︸体化した作品を教材にして﹁読む﹂と. いうことは、 ﹁内容・主題﹂と﹁文章表現の特性﹂との関係の仕方をとらえることである。したがって、指導には、. ﹁内容・主題﹂と﹁文章表現の特性﹂との関係の仕方を意識しながら、 ﹁内容・主題﹂についての自分なりの考え. 方を深め、﹁文章表現の特性﹂の意図や巧みさに気づいていくという、両方の学習活動を組織する必要がある。.  ﹁群読﹂を目的とした話し合いの中では、その関係の仕方をより意識させる学習が自然におこなわれることにな. る。なぜならば、作晶をいかに工夫して﹁群雲﹂するかを考えることは、 ﹁文章表現﹂から自分なりに読みとった. 作品の﹁内容・主題﹂を、いかに具体的に音声化していくかを考えることであり、そこでは、今までおぼろげであ. った﹁内容・主題﹂に対する自分なりのく読み﹀について、 ﹁文章表現﹂を根拠にして明らかにしなくてはならな. くなるからである。つまり、作者がなぜこのようなことばを選び、配列したのかという﹁文章表現の特性﹂を、作 品の﹁内容・主題﹂とのかかわりで考えざるを得なくなってくるのである。. 作品の部分11﹁文章表現の特性﹂に注目していく方向である。つまり、﹁表.  上図︵あ︶は、学習者が作品の全体11﹁内容・主題﹂をとらえ、そこから.   ︵あ︶丙容圭題﹂から﹁文裏現の特性﹂へ. る。. 表現の特性﹂との関係の仕方を相互往来させる学習活動が自然におこなわれ.                  このように、﹁群読﹂を用いた指導においては、﹁内容・主題﹂と﹁文章. 距同三三⋮ 謹に¢の︶:^い︶購囲 B﹁文章表現の特性﹂. 現﹂としてのく詠み﹀を決める過程において、学習者が﹁内容・主題﹂を効. 果的に音声化するために、﹁文章表現の特性﹂に注目していく方向である。. 一. 一. 13.

(21)      ︵hい︶﹁文章表現の特性﹂から﹁内容・主題﹂へ.  前図中の︵い︶は、学習者が作品の部分“﹁文章表現の特性﹂に注目し、そこから記号の全体11﹁内容・主題﹂. についてのく読み﹀が問い直されていく方向である。つまり、﹁表現﹂としてのく詠み﹀を決める過程において、. 学習者が、﹁文章表現の特性﹂を効果的に音声化するために﹁内容・主題﹂に返ってとらえ直していく方向である。.  このように﹁群読﹂を目的とした話し合いにおいて、学習者は自然に︵あ︶の方向と︵い︶の方向の往来をおこ. なうことになる。すなわち﹁全体﹂的な印象を﹁部分﹂においてとらえなおし、 ﹁部分﹂において分析したことを. ﹁全体﹂の印象と照らし合わすということがおこなわれる。さらに学習者の要求に応じて、﹁全体﹂u﹁内容・主. 題﹂へも﹁部分﹂11﹁文章表現の特性﹂へも随時返ることができるのである。つまり、指導者が最初から最後まで. ﹁全体﹂を通読してからまたもどって分析していく読解の方法や、一語一語の﹁部分﹂を分析的に積み重ねていっ. て﹁全体﹂を把握するという読解の方法と比べて、子どもの要求に柔軟に合わせていくことができるのである。. ︵A︶﹁群読﹂をおこなわせる教材における. ︵a︶. ﹁内容・主題﹂折﹁文章表現の特性﹂︵相互往来︶のおこないにくい教材. ﹁内容・主題﹂”﹁文童表現の特性﹂︵相互往来︶のおこない  い教材. ︵相互往来︶. それぞれの教材を用いる意義をま.               ﹁内容・主題﹂11﹁全体﹂と﹁文章表現の特性﹂ 11﹁部分﹂との相互往来の特性  ﹁群読﹂をおこなわせる教材を、相互往来の質による三つの観点から分類し、. ︵b︶. ﹁叙事﹂作品と﹁叙景﹂作品における﹁内容・主題﹂貫﹁文章表現の特性﹂. とめておくことにする。. ︵c︶. 一. ︻. 14.

(22)   ︵a︶﹁内容・主題﹂幹﹁文章表現の特性﹂︵相互往来︶のおこない雫 い教材.  ﹁内容・主題﹂と﹁文章表現の特性﹂の相互往来がおこないやすい教材とは、﹁内容・主題﹂に対する個の︿読. み﹀がまとまりやすい教材である。したがって、読み取った﹁内容・主題﹂をどうく詠み﹀に生かすかという音声 化の工夫についての話し合いが中心となる。.  そこでは、 ﹁内容・主題﹂と﹁文章表現﹂との関係の仕方を把握する学習が中心におこなわれることになる。.   ︵b︶﹁内容・主題﹂折﹁文章表現の特性﹂︵相互往来︶のおこないにくい教材.  ﹁内容・主題﹂と﹁文章表現の特性﹂の相互往来がおこないにくい教材は、﹁内容・主題﹂に対するく読みVが. 多様に分かれるものである。このような教材は、多様な個の︿読み﹀が存在するために、なかなか集団でのく詠み. Vを模索する段階に移行できない。したがって、﹁内容・主題﹂と﹁文童表現の特性﹂の関係を意識させる相互往. 来をする以前の、個の︿読み﹀を発表し合い、交流し合うことが話し合いの中心になる。.  このく読みVのまとまりを求めて話し合う活動において、学習者は多様なく読みVに出会うことができ、それ によって、多様な角度から自分のく読みVを点検・検討できるはずである。. 個の︿読み﹀が多様に分かれる←学習者が多様な︿読み﹀を知る←多様な角度から自分の︿読み﹀を.                                     点検・検討できる.  したがって、個のく読みVが多様に分かれる教材を用いる意義は、多様な角度から自分の︿読み﹀を点検・検討. することによって、自分の︿読み﹀をより深く豊かにする学習をおこなうことができるということである。. 一. 爾. 15.

(23)   ︵c︶﹁叙事﹂作品と﹁叙景﹂作品における﹁内容・主題﹂幹﹁文章表現の特性﹂︵相互往来︶.      ーー﹁叙事﹂や﹁叙景﹂作品において︿事﹀︿景﹀と﹁内容・主題﹂の関係を見つめさせる必要性11.  ﹁叙事﹂﹁叙景﹂作品においては、その出来事や情景をとらえるだけではなく、それが﹁内容・主題﹂とどうか. かわってくるかをとらえさせる必要が出てくる。つまり、その出来事や情景がいかに﹁内容・主題﹂を反映してい. るかということを考えさせることが重要なのである。 ﹁三婆﹂を用いた指導によって、それが可能となる。出来事. や情景をどう﹁素読﹂するかを考えることによって、その出来事や情景が作品の中でどのように﹁内容・主題﹂と 関係しているかを考えざるを得なくなってくるからである。.  したがって、 ﹁叙事﹂や﹁叙景﹂作品においては、学習者にその出来事や情景と﹁内容・主題﹂との関係を、. ﹁群読﹂のための話し合いの中で自然にとらえさせることができやすいということができよう。. 出来事や情景をどう﹁群読﹂するか← 出来事や情景と﹁内容・主題﹂との関係をさぐる. ︵Bζ文章表現の特性﹂について.  ﹁文章表現の特性﹂については、 ﹁全体にかかわる表現特性﹂と﹁部分にかかわる表現特性﹂に分け、さらに. ﹁内容・主題﹂との関係がはっきりしにくい﹁部分にかかわる表現特性﹂については、﹁内容・主題﹂への指標と. なる﹁部分にかかわる文章表現特性が生み出す効果﹂に注目して述べていくことにする。. ︻. 一. 16.

(24) ﹁全体にかかわる表現特性﹂. ﹁部分にかかわる表現特性﹂. ノ. /. /. ﹁内容. − 士⊥題﹂. ︵﹁→←﹂は相互の往き来を示す。︶. \ ﹁特性が生み出す効果﹂. ︵a︶ ﹁全体にかかわる文章表現特性﹂. 1叙述方法 ・叙景中心 ・叙事中心 ・叙情中心 ・その他︵叙音など︶. 2複数の連構成のもの 3登場人物が複数のもの 4対比する場面があるもの 5視点の移動が描かれているもの 6対象の変化が描かれているもの 7外在的なリズムがあるもの 8表記に特色があるもの. なお、ここではあくまで﹁群読﹂する際に注目される. と思われる﹁文章表現の特性﹂の中から、その教材の﹁. 内容・主題﹂を支えると思われる著しい特徴を抜き出し. て掲げてありすべての特性を記しているものではない。. 叙述方法﹂について。﹁叙景中心﹂﹁叙事中心﹂﹁叙情中心﹂とは、作品においてそれぞれ﹁情景﹂﹁出. ︵注三︶. ﹁全体にかかわる表現特性﹂︵詩感︶として、次のような観点を掲げておく。. ﹁−. 来事﹂﹁心情﹂を中心に描いているということであり、音声化の際にはその描かれ方と﹁内容・主題﹂との関係に 注目する必要がある。. 一. 一. 17.

(25)  ﹁2 複数の連構成﹂とは、特に詩教材の場合である。連ごとのまとまりや、連相互のつながりをどう音声化す るかが重要になってくる。.  ﹁3 複数の登場人物﹂は、誰にどの登場人物を担当させるかという役割分担をおこなう際に注目すべき特性で ある。.  ﹁4 対比する場面﹂は、作品中における場面の対比の意味をとらえ、それをどう効果的に音声化するかが重要 となろう。.  ﹁5・6 視点の移動・対象の変化﹂は、移動の様子や状態を音声化にあらわす際に、注目しなければならない。.  ﹁7 外在的なリズム﹂は、リズムを感じて、いかにそのリズムを効果的に﹁群読﹂に生かすかが重要となろう。.  ﹁8 表記の特色﹂は、ひらがな、カタカナ、漢字、符号などをどう音声化に生かすかが重要となる。.     ︵b︶﹁部分にかかわる特性﹂. ︵注四︶. て掲げてありすべての特性を記しているものではない。. 内容・主題﹂を支えると思われる著しい特徴を抜き出し. と思われる﹁文章表現の特性﹂の中から、その教材の﹁.  なお、ここでもあくまで﹁群読﹂する際に注目される. ﹁部分にかかわる文章表現特性﹂︵注四︶として次のような観点を掲げておく。. 1変化しない反復表現があるもの 2変化する反復表現があるもの 3倒置表現があるもの 4直喩・隠喩表現があるもの 5擬喜呈醐があるもの. 6対句表現があるもの 7体言止めがあるもの 8文末表現に特色があるもの 9台詞があるもの. ﹁. ﹁. 13.

(26) ︵c︶ ﹁部分にかかわる表現特性の効果﹂. 強調を感じさせる効果. ﹁文章表現の部分にかかわる表現特性による効果﹂については、次のような項目がある。. 1. 2 対象の部分の際立たせを感じさせる効果 3 緊張感を感じさせる効果. 4 臨場感を感じさせる効果 5 リズムを感じさせる効果. ﹁部分にかかわる表現特性﹂が、どのように﹁内容・主題﹂を反映しているかをはっきりしゃすくするための指標. として、﹁部分にかかわる表現特性が生み出す効果﹂を掲げた。その﹁効果﹂をとらえることによって、﹁内容・ 主題﹂と﹁部分にかかわる表現特性﹂の関係を把握しやすくなってくるからである。.  ﹁部分にかかわる表現特性が生み出す効果﹂と﹁部分にかかわる表現特性﹂との関係の具体例を並置に掲げる。. なお、取り上げる具体例は﹁第二章﹂で扱う詩教材﹁生ましめんかな﹂﹁大阿蘇﹂﹁かもつれっしゃ﹂の三作品 とする。. の. 一. 19.

(27)   生ましめんかな1原子爆弾秘話. 1 強調を感じさせる効果を持つ.              ﹁部分にかかわる表現特性﹂の例.           栗原貞子 こわれたビルデングの地下室の夜であった。 原子爆弾の負傷者達は. ①﹁反復表現﹂ロ同じことばを繰り返すことによって、その.       を感じさせる﹁部分にかかわる表現特性﹂の例. 2対象の部分の際立たせ.        れる。.        とによって、その描かれていることが強調さ. ③﹁対句表現﹂11類似的な内容や対比的な内容を繰り返すこ.        分は読んだ後に余韻を持たせられる。. ②﹁倒置表現﹂H前に出した部分が強調され、後になった部.        い部分が強調されたりする。.        ら、ことばを繰り返すことによって変化しな.        ことばを印象づけたり、ある部分を変えなが. ローソク一本ない暗い地下至を うずめていっぱいだった。 生ぐさい血の臭い、死臭、. 國. 汗くさい人いきれ、うめき声。 その中から不思議な声がきこえてきた。 ﹁赤ん坊が生まれる﹂ と云うのだ。 7﹁台詞﹂ この地獄の底のような地下室で今、若い女が 産気づいているのだ。 マッチ一本ないくらがりで どうしたらいいのだろう。 人々は自 の み 櫛れて気づかった。 ﹁私が産婆です。私が産ませましょう﹂ ハ と、 と云ったのは さっきまでうめいていた重傷者だ。 かくて暗がりの地獄の底で \ 新しい生命は産まれた。 / かくてあかつきを待たず 産婆は血まみれのまま死んだ。 生ましめんかな \ 1﹁復﹂ 生ましめんかな / 己が命捨つとも. 2﹁よ ︵生ましめんかな 己が命且つとも︶. ④﹁直喩・隠喩表現﹂11ある対象を何かにたとえるときには. その対象特性の一部分をきわだたせることによって表現する場合がある。その対象は、ある部分をきわだたせた比. 喩表現によって、かえって全体像が鮮明に浮かび上がってくる。また、比喩表現が文脈の中で使われている意妹を. 考えることによって、作者が多面的な対象のどんな部分に注目したかをとらえることができる。. [. 一. 四.

(28) 大阿蘇.      三好達治 雨の中に馬がたっ[園. 一頭二頭子馬をまじえた馬の群れが. 鯉立姿 尻尾も背中もたてがみも ぐっしょりと濡れそぼって.  ︵後略︶. 難冷戦圏 國  かもつれっしゃ. ごつとがつたこつとがった     復.    ︵第=一連略︶      ⑥﹁擬音﹂.        有馬敲  ごつとがつたこつとがった.  こつとがったごとがた. *洋島晦鰭艀・  列車の全体象が印象的に浮かんでくる。.  ⑤﹁擬音語﹂ロ対象の音や状態をまねて作ったことばであるから、表現.        された対象の音や状態を際立たせることによって対象がイ.        メ∼ジしゃすくなり、全体像を浮かび上がらせる。. 3 緊距臓﹄厭鋤を感じさせる﹁部分にかかわる表現特性﹂の例.  ⑥﹁体言止め﹂”後に続くはずの述語を省略したため﹁体言﹂で言い切.         ることになったものと、そこで絶句した表現となったと.         きのものとがある。前者はそれによって感動の強さを緊.         迫感を持って伝える効果があり、後者のほうは、瞬間瞬.         間の緊張感を読み手に与える効果を持つ。. 4 曲㎜担吻﹄厭心を感じさせる﹁部分にかかわる表現特性﹂の例.  ⑦﹁台詞﹂”実際に登場人物が言ったことばが台詞で書かれていると読.       み手はその場に臨んでいるかのような感じにさせられる。. 5リズム感憲じさせる﹁部分にかかわ玉手特性﹂の例. ﹁!﹂の. ⑧﹁擬音語﹂“﹁擬音語﹂を繰り返すこ  と  に  よ  っ  て  、 ある調子が生まれる。特に音をまねて作ったことばはりズ       ムを生み出す。. ⑨﹁反復表現﹂11同語反復によって、ある調子が出てくる。.  なお、ここに説明した﹁部分にかかわる文章表現の特性﹂とその﹁効果﹂との関係は、一例であり、. ﹁強調を感じさせる効果を持つ文章表現の特性﹂などは、他にもさまざまな技法と関係している。. 一. ︸. 21.

(29) ︵5︶﹁音裏現︵詠む︶ ﹂を通した﹁文童理解︵読む︶﹂についての活動. ーー1﹁文章理解﹂活動としての﹁群読﹂表現活動lll. 語釈的現代語訳というものは無意味に近い。原文で朗読. 演劇の世界に早くから﹁群読﹂を取り入れていた木下順二氏は、次のように述べている。  芸術作品として古典を理解するためには、. それはむろん望ましくはある。しかし、言新郎王角力行. 衣口口  虫. する場合、語釈的理解が聴衆に届くことが、. き いてしるイりにノ カ、 ていることばとして  ネノギーカ支えてしま たなら 郎な思ロカ伝えら たということに載ならなし。. ︵山本安英の翠竹  ﹁日本語の発見・ことばの勉強1﹂未来社  一九六九 二四九頁.  国語科の授業の中でも、﹁語釈的理解﹂を求めるかわりに﹁ことばとしてのエネルギー﹂を消してしまっている. ことが多いのではないだろうか。﹁雪颪の本質的な理解﹂をおこなうためには、﹁ことばとしてのエネルギー﹂を. 学習者に享受させる必要がある。 ﹁作品の本質的な理解﹂のためには、作品を音声化することが大きな威力を発揮 することになるであろう。.  ﹁群読﹂を取り入れた授業によって、学習者は、﹁黙読﹂による﹁理解﹂活動では気づかなかったことに気づく. ことがある。そのとき、この﹁表現﹂活動︵﹁群読﹂の試行︶は、﹁理解﹂活動であるく読み﹀と﹁表現﹂活動で. あるく詠みVを同時的におこなっていると考えられよう。同時とは言えないまでも、少なくとも﹁表現﹂活動. ︵﹁群言﹂︶をおこなうこと自体が、より深い﹁理解﹂活動へと導く”きっかけ“とはなっているに違いない。. 一. 一. 22.

(30) 青森県で﹁八戸音読研究の会﹂ べている。. ︵注五︶を主催する左舘秀之助氏も、 ﹁音読﹂申心の授業について次のように述.  つまり、 ﹁理解﹂と﹁表現﹂がこの音読中心の授業の中で、自然にむすびつきます。そうして、この授. 業を実際に展開してみておどろくことは、 王にたづ日聴力 きさです。音読のはたらきを、. 単に理解したものを音声表現するものと考えるだけでは、音読の授業といってみても、それは片手落ちと. いうものです。  を戸に出してよむということ自でカ ’一て きな壬 、γ“冒であるということです。. ︵八戸音読研究の会・左館秀之助編著  ﹁授業を変える音読のすすめ﹂ 明治図書 一九八五 三十頁︶.  つまり、﹁音読﹂は、﹁音声表現﹂活動であると同時に、﹁文章理解﹂活動でもあるという側面を見落としては. ならないというのである。今まで﹁黙読﹂ばかりによっておこなわれていた﹁文章理解﹂では、文体の息づかいな. どといった要素が見落とされていたのではないだろうか。﹁作品の本質的な理解﹂のためには、それでは﹁片手落. ち﹂なのである。作品の情緒的、感性的な文体の要素は、作晶を音声化して丸ごと昧わうことによってこそ、享受. できるものなのではないだろうか。それは、 ﹁黙読﹂によって分析的にとらえることでは不十分なのである。. 十五・六頁参考︶. きりしてくる き。. るという き。. 鼻酌﹂⋮①心の中のことばを呼び起こし、呼び出す働きをするとともに書かれている.  また、北村季夫氏は、 ﹁理解活動﹂としての﹁音読﹂について、次のように述べている。 王鰯として. を、¥ちなく石玉し⊥しく王.             ②心・郎に自分 祈なもとなりイメージカに. ︵北村工夫編﹁表現・理解の接点に立つ音読・朗読指導の実際﹂新光閣書店一九九〇. 一. ︻. 23.

(31) 一で自 葉書 ること、. もゆるカ. これが私たちの国語. し浄   ること 勲謡で. に密蒼して当言を諦という真昼な えです。. 先の左舘秀之助氏も、次のように述べている。 今、いちばん大事なのは、この. せに まいとしう日毒︸嚢です。. ’言口. えるという に カらだカ・えるということでもありま 。ただ分かる. 卜い習→を  しく日. 戸に出して  を二二 ということで 自分 力らだを、ヌして自  二酌読を いい力、病に り、.こしてきた. 教室の課題だと思うのです。  力の定着とよく言いますが、・. というなら頭だけで足りますが、 後々まで忘れずにそれができるためには、やはり体を通さないと不可能 です。. ということである。. ︵八戸音読研究の会・左館秀之助編著 ﹁授業を変える音読のすすめ﹂明治図書 一九八五 二十六頁︶ 両者に共通するのは、理解活動としての﹁音読﹂には次の二側面︵①と②︶ある、 ① 鎌纈鰐纏纏解議癒欝顯⑳補跡議段⋮愚鰹灘⑳灘琶灘黙碗鱗窟 ﹁一字一句を落ちなく確認し正しく理解する﹂ ﹁文章に密着して日本語を読むという真剣な構え﹂. これは、﹁黙読﹂で読み飛ばしてしまうようなことばの一字一句を落ちなく理解できる﹁音読﹂の側面である。. ﹁覚えるというのは、からだが覚えるということ﹂. ﹁からだを通して自分の読みを点検し、日本語の文脈で自己訓練する﹂. ﹁感覚的に自分のものとなる﹂. ②感難的⋮娃理解莚澱潔認⋮の⋮⋮霊樋読⋮雛の⋮側面 ●. ○. ・. 感性的に﹁文章理解﹂することが、﹁音読﹂活動によってなされる側面である。. 一. 一. 24.

(32)  したがって、﹁音読﹂は知性的に理解するだけではなく、感性的にも理解することのできる文章理解の方法なの である。これは﹁群読﹂においても、もちろん当てはまることである。.  この﹁音読﹂によって感性的に﹁文章理解﹂する側面は、検証することが難しく、今まで重要視されなかったが、 園語科教育における﹁音読﹂独自の教育的意義として、再認識しておく必要がある。.  ﹁音読﹂や﹁乱読﹂による音声表現活動によって作品の言葉そのものを受け取り、生かし、声を創り出す活動は、. 国語科教育における﹁群読﹂指導の意義. 知性的に﹁文章理解﹂することだけではなく、感性的にも﹁文章理解﹂する学習となるのである。. 第四紘即. A. ﹁A﹂の総合活動にはっきりした目的意識を持たせることができること。. ﹁理解﹂と﹁表現﹂の総合活動をおこなわせることができること。. 国語科教育に﹁群読﹂を取り入れる意義は、次の三点である。. B. C 集団の力を効果的に利用できること。.  Aの﹁総合活動﹂については、﹁第一章第二節・第三節﹂において述べたとおりである。﹁群読﹂を作り上げる. 過程の学習活動においては、話し合いによる︿読み﹀の交流や、﹁群読﹂の練習による︿詠み﹀の表現活動のくり. 返しによって、﹁音声による表現]﹁音声による理解﹂﹁文字による理解﹂﹁文字による表現﹂の活動を組織でき、. ﹁音声・文字﹂の両方にかかわる﹁理解﹂と﹁表現﹂の力を鍛えることが可能である。. ︻. 一. 25.

(33)  Bの﹁目的意識﹂については、 ﹁作晶を音声化するために文章に取り組む﹂という活動の目的が明確になるとい. うことである。﹁必読﹂を取り入れることによって、学習者は、自分たちのく読み﹀を︿詠み﹀に反映させて聞き. 手に伝えようという目的がはっきりしてくる。﹁文章を読み取るために文章を読む﹂という内向的な取り組みでは. なく、聞き手に自分たちのく読みVを効果的に伝えるためによりよい﹁群読﹂を作り上げるという、自己の外へ向 かう明確な目的恵識を持って文章に取り組むことができるのである。.  しかも、 ﹁群書﹂という表現活動が学習者にとって楽しいものであればあるほど、学習者の文章に取り組む姿勢. は主体的なものとなる。そのためには、 ﹁講読﹂は楽しい活動であることを、学習者に味わわせ、分からせる指導 が導入段階で必要になってくる。.  Cの﹁集団の力﹂とは、次の三点である。. ①﹁群読﹂を作る過程における話し合いの中で集団による学び合いがおこなわれることであり、他者の.  く読みVに触れ自己のく読みVを振り返ることによって、また、自己の︿読み﹀を紹介することによ  ってく読みVを深めていくことができることである。. ②﹁群読﹂は集団で︿詠む﹀ことによって、他者の声を聞き、他者の声に自分の声を重ねることによっ.  て、声が響き合い、気持ちの高揚が起きる。それが、﹁群読﹂をおこなう楽しさに通じる。その楽し.  さが、何回もくり返し文章を︿詠む﹀活動につながってくる。そのくり返しく詠むV活動によって、.  知性的に理解した文章を感性的にも理解する活動を楽しんでおこなうことになってくるのである。. ③集団でく詠むVことによって、一人でく詠むVのに比べて負担が軽くなる。発達の途申にあり、 ﹁声.  の演出力の未熟な子どもたちでも、集団の力によってある程度の﹁群読﹂作晶ができ上がり、達成感  を味わうことができる。その達成感が、次の﹁触読﹂への意欲につながっていく。. 学校という一定のまとまった人数が集まっている場でこそ、このような集団での活動が可能となってくる。した. 一. 一. 26.

(34) がって、学校教育における国語科教育においては、このような集団の力を有効に利用すべきである。.  学校教育の中で﹁個性化﹂のために﹁個別化﹂がおこなわれている例があるが、個性とは集団の中でこそ育むこ. とができるのではないだろうか。集団の中で自分以外の考え方に触れ、それと自分との異同を認識していく中で、. 自分なりの創造性を自分の力で生み出していくのが個性を作り上げる第一歩になるのである。.  集団での活動は、それを有効に利用することによって、集団を構成する各人の個性を育む力を有しているのであ る。.  ﹁群読﹂を国語科教育に用いる意義を、このように、 ﹁A 総合活動であること﹂・﹁B 目的意識がはっきり. していること﹂・﹁C 学校という集団の力を有効に利用できること﹂の三点にまとめたが、﹁C﹂においても簡. 単に記したように、さらに、 ﹁聖主﹂自体がとても楽しい活動であることをここに強調しておきたい。.  ﹁訳読﹂の楽しさとは、声が響き合う快感である。それはことばの根源的な魅力に通じるものであり、子どもに. 迎合する楽しさではない。このような﹁楽しさ﹂を体感させることは、ことばを使う人間の教育として重要なこと である。.  国語科教育は、言語による知的操作の得意な、いわゆる﹁国語好きの子どもたち﹂ばかりを対象にしているので. はない。子どものころ﹁国語好き﹂であった者が多い国語科の指導者にとっては、見落とされがちなことであるが、. 人間の根源的なことばによる快感を妹わわせること、それ自体が重要な教育的意義なのである。.  さらに﹁群読﹂が楽しい活動であることは、学習者に学ぶ意欲を生み出すことになる。 ﹁群読﹂の楽しさを知っ. た学習転たちの意欲は、いろいろな群読の学習活動を自然に生み出すことになり、自らの能力を楽しみながら育て. ることになる。指導者の役割は、そういう場と材料を的確に提供し、必要に応じて助言してやることである。.  国語科教育における﹁群読﹂指導の意義は、すばらしい芸術作品としての﹁解読﹂作品を生み出すことではない。. ﹁群読﹂を作る過程において、学習者一人ひとりが自らの能力を伸ばしていくことにある。したがって、すばらし. 岡. 一. 27.

(35) い﹁群読﹂作品を作るために、指導者の決めたプラン通りに没個性的に学習者を訓練していくのは、本末転倒であ. る。学習者はよりよい﹁群読﹂作品の完成を目指して活動していってもよいが、指導者は﹁下読﹂を作る過程にそ の重点をおくべきである。.  つまり、国語科教育において﹁羊士冗君量口﹂を取り入れた指導をおこなう意義は、よりよい﹁耕墾﹂を作ることをめざ. させることによって、学習者の主体的な活動を生み出し、その活動の中で自然に自らの国語の能力を伸ばしていく ことができる点にある。. ︻注︼.  一 どのような旦四体的な﹁手だて﹂を講ずるべきであるかについては、 ﹁第三章第三節﹂において述べることに.  する。. 二 ﹁音声ことば﹂という語を用いたのは、上位概念にある﹁話しことば﹂という用語と区別するためである。. 三 ﹁全体にかかわる特性﹂の﹁4﹃対象の変化﹄﹂については、西郷竹彦著﹁﹃詩の授業 理論と方法﹄明治  図書一九八一﹂を参考にした。. 四 ﹁部分にかかわる特性﹂の﹁!・2﹃変化しない反復表現﹄﹃変化する反復表現馳﹂については、西郷竹彦  著﹁﹃詩の授業 理論と方法﹄明治図書一九八一﹂を参考にした。. 五 青森県八戸市において、小中学校の先生を中心に﹁音読﹂の授業について研究しているサークル。招和六十  年にはその研究をまとめて﹁授業を変える音読のすすめ﹂という著作を刊行した。. ︻. 一. 23.

(36) ﹂笛〃一一立早. ﹁群読﹂指導の教材.  第一章において、﹁群読﹂を作り上げる一連の活動は、﹁理解﹂11︿読みVと﹁表現﹂11︿詠み﹀の繰り返しに. なることを述べた。このような活動を有効なものにするためには、まず﹁群棲﹂をおこなう対象となる教材の特性 を的確につかみ、その特性をより生かす、適切な指導過程を横⋮成しなければならない。.  そこで、ここでは﹁群読﹂指導の教材を位置づける観点を学習活動の過程の申から導き出し、その有効性を実際. ﹁群読﹂を用いた学習活動の過程. の﹁群読﹂学習における話し合いを通して検証していきたい。. 第一 醜 即.  徳器の図は、﹁内容・主題﹂と﹁文章表現の特性﹂の関係の仕方︵相互往来︶についての学習を可能にするであ. ろう、 ﹁落魚﹂を用いた学習活動の過程を整理したものである。なお、この過程はひとつの例であり、 ﹁下読﹂を. 用いた指導がすべてこのような過程を踏むというのではない。.  この図においては、学習活動は個の︿読み﹀の形成から始まり、集団でのく詠みVの定着に帰結するまで合計五 つの段階に分けられている。. ︸. 帥. 29.

(37) ⋮①個のく読みvの形成 ⋮    ↑    学習者は、提示された教材に対して自分なりのく読みV  を  形  成  す  る  。 ここでは、教材一 ⋮               ⋮ ⋮        に対し自分一人の力によってく読みVを形成しなければならない。. ⋮②個のく読みvの発表・分かち合い ⋮ ⋮         学習者は、段階①で形成された個のく読みVを、集団の中で発表し合うことによって⋮ ⋮   ↑    他者の︿読み﹀を知り、自分の︿読み﹀を他者に示すことによって︿読み﹀を分かち合一 ⋮         う。その分かち合いによって、今まで気づかなかった多様な︿読み﹀の視点を得ること ⋮ ⋮        ができる。そして、それが自分の︿読み﹀を修正していく契機にもなる。 ⋮③集団でのく読み﹀の模索  針  ③個のく読みvの点検・検討 ⋮  学習者は、段階②で発表し合う中で分かち合ったより豊かな個のく読みVをもとにし一 ⋮.  み  ﹀  を  模  索  す  る  中  ⋮ て、集団でのく読みVを形成し、また、その集団でのく読 で  、個のく⋮ ↑ ⋮ 読み﹀を振り返り、点検し、検討する。 ⋮ ⋮④集団でのく詠み﹀の模索  針  ④個のく読みVの点検・検討. ⋮   ↑     学習者は、段階③で集団により模索したく読みVを、 ︿詠みVに形成する。その中で⋮               ⋮ ⋮. ⋮        再度、個の︿読み﹀を点検し、より深い︿読み﹀を検討していく。. ⋮⑤集団でのく詠み﹀の練習・定着と発表 ⋮         学習者は、段階④において集団で作り上げたく詠みVの練習を繰り返すことによって昨 ⋮ ⋮        定着を図る。そして、その成果を発表する。               ⋮ ⋮. 一. 一. 30.

(38) ←. い. 合 ち. か. 分 ﹀. の. み. 読 く. の. 個. ②. ←. 個. の. く. 読. み. ﹀. の. ま. と. め. 合. い. ←. ⑤ ④ P. ↓. ③. ︸ ︸←. ↓ 一. 一. ⋮ ⋮. 19 一. ⋮. ︸ 一 一 ︸ ︸ ㎝ ︸ 一 一 ︸ ︸ ︸. e・・ 作ロoo 勝一1,ーー,lq。..1.1。・. 文章袈現の特性. ↓ ↑相互往来. 内容・主題.            ⋮.      ⋮      皿.      ︸      一      ⋮.      一      ︸      ⋮      ︸. :・・∴ ︸←.. ⋮. 一 ︸  . c 作品・::−−−:⋮:−−・          60 .⋮. ︸. ⋮内容・主題 一 ︸ 一 一 19 ︸ 一 ︸. ↓ ↑相互往来. ⋮. ⋮ 文覚衰年の特性 ⋮. ⋮ ︻. ︸ ︸ 一. 集団での読み深め. 作品.⋮⋮,⋮,,⋮一. ↓ ↑相互往来. 内容・主題. C. ⋮巳. 層. 一 ︸ 一 ︸ ㎝ ︸ 一 一 一. ⋮文章表現の特性 ⋮. 皿 一 ︸ ︸. 音声化活動     集団でのく詠み﹀の模索と実現. 群読の工夫  冒          ︵個のく読みVの点検・検討︶. この学習活動の過程をもう少し整理すると次のようになる。. 成 形 の ﹀内容.主題. 個. の. み ↓↑ 読 の特性 く文裏現. ・. ①. 一. ユ 99. 一.

(39)  ただし、この段階①から⑤は便宜的に分けたものであって、実際の話し合いにおいては有機的に関連し合ってお こなわれるものである。.  殺階①は、作品を読んで自分なりに理解する﹁個﹂の活動である。ここでも、教材の﹁内容・主題﹂と﹁文章表. 現の特性﹂との関係の仕方をとらえる活動がおこなわれるが、それは個人の思考の枠内に限られたものである。.  殺階②において、個人内で形成された︿読み﹀を集団で﹁分かち合う﹂ことになる。さらに、段階①で各人にお. いて異なるく読みVが形成されたときにはく読みVの﹁まとめ合い﹂がおこなわれなければならない。.  段階③では、音声化の工夫をくり返すことによって、集団でのく読み﹀を模索し、深め、豊かにしていく。図の. 下の方に行けば行くほど、教材の﹁内容・主題﹂と﹁文章表現の特性﹂の関係の仕方について、集団での討議が重. ねられていく。したがって、話し合い活動は充実し、︿読み﹀は深められていくのである。教材の質や学習者の姿 勢によって、この上から下への距離の長短が決定される。.  段階④では、段階③で話し合われた集団としてのく読みvを、表現としてのく詠みVに効果的に具現化するため. に、音声化の工夫がおこなわれていく。この音声化の工夫を思案することによって、再び段階③の集団でのく読み. Vについてふり返る活動にもどったり、それを支える個のく読みVを点検・検討する活動になっていく。.  段階⑤は、各グループごとに作り上げた﹁群読﹂を、実際に音声化することである。実際に﹁群読﹂することに よっても、集団でのく読み﹀をふり返ることになる。.  このように、﹁個﹂による活動が中心となる①の段階、 ﹁集団﹂での活動が中心となる②③④⑤の段階を経て、 ﹁群読﹂は作り上げられていくのである、. 一. ﹁. 32.

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