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ホームレスの路上暴行被害が犯罪加害に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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(1)ホームレスの路上暴行被害が犯罪加害に及ぼす影響 専 攻. 学校教育学. コース. 臨床心理学. 学籍番号. M08081C. 氏 名. 土屋孔明. シャル・サポート理論,Hirschi(1969)の社会統.           問題  犯罪被害,児童虐待,家庭内暴力などの種々の 被害が,広範な領域に対して,様々な負の影響を. 制理論などの既存の犯罪理論を統合したもので ある。分化的強制理論は,犯罪の発生を,“強制. 及ぼすことが報告されている。例えば,R㏄he1ユe,. (COerCi㎝)’’という概念を用いて説明する。強制. Gene11e,Ange1a,&Grace(2010)は,犯罪被害が. とは,自らの意に反して不公正だと感じる扱いを 受けるという,ある種の被害体験のことをいい, 強制を体験することによって,人は怒りや低自己 統制などのネガティブな感情や特性を増したり, 社会への信頼を失ったりし,それらが犯罪行動に 結び付くと考えるのである。  Baron(2009)は,Co1vin(2000)の分化的強制 理論が,若年ホームレスの暴力的犯罪に対しても 適用できるかどうかを検証しており,路上暴行被 害,幼年期の身体的虐待などの“強制”という被. 生活の質(Qua1ity of Li危)に及ぼす影響を扱っ. た多くの先行研究から,犯罪被害は,養育機能, 公的扶助の受給,生活の満足感,身体的健康など に負の影響を及ぼすことを見いだしている。  被害はその後の犯罪加害にも影響を及ぼすこ とが知られている。被害と犯罪加害についての研 究は,児童虐待と非行の関連を検討したものが多. い。Famu1aro,KiI1scher坦Fenton,&Bo1duc (1990)は,米国で,少年審判にかけられた378人 の少年を対象に調査を実施しており,犯罪を犯し. 害体験が暴力的犯罪に影響を及ぼすことを明ら. た群ではその45%に,虞犯群にはその55%に. かにしている。. 被虐待経験があったことを報告している。.           方法 対象者  92名の男性のホームレスに調査を依頼し,そ のうち調査の趣旨を理解し,調査への擦力に同意 を得ることができた91名を対象とした。平均年 齢は56.1(SD:9.6)歳であった。調査は2010年 7月から10月にかけて,無記名の質問紙により実.  男性の路上における暴行被害が犯罪加害に与 える影響について検討することは重要である。 聴I1gma(1994)は,暴行被害に遭う場所には性差 があり,女性は家の中で,男性は路上で暴行被害 に遭うことが最も多いことを報告している。女性. の暴行被害の犯罪加害との関連やこれらの被害 が犯罪加害に及ぼす影響については,これまでに 既に多く検討がなされている。しかし,男性の暴 行被害が犯罪加害に与える影響を検討した研究 は少ない。このため,男性の暴行被害のうち,最 も多い路上での暴行被害に焦点を定め,これが犯 罪加害に及ぼす影響を明らかにすることの意義 は大きい。以上を踏まえ,本研究では男性の路上 暴行被害が,犯罪加害に及ぼす影響を検討する。  本研究の対象はホームレスである。ホームレス を対象とした理由は,生田(2007)が指摘してい るように,ホームレスが路上暴行被害に遭うこと. 施した。. 従属変数  本研究は,現時点における対象者の今後犯罪加 害をする意図を,将来の犯罪加害行為とみなして,. 従属変数とした。意図を実際の行動とみなすこと は,厳密には因果関係が特定できないものの,過 去の研究では,Green(1989)が,犯罪加害をす. る意図と将来における犯罪加害行為に高い相関 (戸.83)があることを明らかにしている。同様の. 結論は,鳴m&Hmter(1993),Piquero& Hickman(1999),Pogarsky(2004)でも見いだ. が多いからである。. されている。.  被害と犯罪加害に関する理論として,Co1vin. 独立変数  過去1年間の路上での暴行被害の回数である。 統制変数  分化的強制理論から導入した独立変数 被. (2000)の分化的強制理論(D施rentia1Coerとion. Theo町)がある。分化的強制理論は,Agnew (1992)の一般化緊張理論,Cuuen(1994)のソー. 一86一.

(2) 路上暴行被害が犯罪加害に影響を与えるメカニ ズムをCo1vinの分化的強制理論で説明しており, 本研究の結果もこれらの研究と一致している。ま. 虐待経験,子どもの頃の親への愛着の強さ,親し い友人の多寡,就労日数,路上生活日数,拘留日 数,低自己統制である。.  あいりん地区のホームレス特有の犯罪加害 に影響を及ぼす可能性がある独立変数 病的 賭博,アルコール依存傾向,薬物依存傾向である。. た,統制変数の効果は,先行研究や理論的予測と 一致するため,このモデルの妥当性を示すもので あると考えられる。多くの先行研究で被虐待経験.  先行研究から犯罪加害に影響を及ぼすこと が予想されるその他の独立変数 不安・抑うつ, 自尊感情,外的統制,逮捕回数,年齢である。. が犯罪加害に影響を及ぼすことが報告されてい たが,本研究では被虐待経験は最適モデルに入ら なかった。これは,先行研究と比べて,本研究の 対象者の平均年齢が56.1歳と高かったため,被. 変数変換  従属変数である「犯罪加害」の尺度得点の度数. 虐待経験の影響力が低下したためであろう。. 分布の偏りが大きく,誤差項の分布の正規性を仮 定できなかったため,従属変数を,犯罪加害をし ない群と,犯罪加害をする群に分けた。また,独 立変数のうち,「路上暴行被害」,「病的賭博」に.         主な引用文献. ついても,分布形を検討した結果,それぞれをダ ミー変数化して用いた。r薬物依存症傾向」は, 薬物のやめられなさを測定する尺度を実施した ものの,薬物の使用歴があった者が8名しかおら ず,統計学的な処理を行うには人数が少なかった ため,薬物の使用歴のない群と薬物の使用歴のあ る群に分け,ダミー変数化して用いた。. Co1viI1,M.(2000).0h五一θa皿♂0oθrdom :λ皿. Bamn,S.W.(2009)、Di拙erentia1coercion,street   youth,and vio1ent crime.αj〃j皿。jo鰍,47,   239’268..   止姥棚θ♂τ危θoΨofαr㎝κω血皿aム収   NewYork:St.Ma廿虹’s Press..          Table l       De5criptiリe5tati5ti05{N=91, Vπi8団。                       M   SD Minim山m M8カmom RoIi由i肺y. N阯mb8f0foomn1ittingorimes          9・6  29・3. 180   ,70  4   .目8. 解析方法. Str朗tMotimi1日tbn         O.2  0.7 冊ysi閉1a耐帥。tio皿81abu50     3.7 4.3. 20    .87. ^ttaohmonttop8記ntsinohiIdhood       7.6   4。ヨ.  ロジスティック回帰分析を行った。最適モデル の選択については,AIC(赤池情報量基準)が最 小であることを基準として用いた。           結果. 16   ,77.  7   .77. Intimato,rionds                    2.8    1.4. 365 300 365. D8ソs ofwo{ing                  73,7  90.7 D8ys bein9110mo105s                22,3  49.9 D8y5bd−O inoa祀畠屹tod             30,2  87.6. L㎝sdf−oont冊1          8.1 3.8. 17   .65. 各変数の基礎統計量と信頼性係数  Tab1e1に各変数の基礎統計量とクロンバック. 胎t㎞㎏㎞1g柵bling       8.9 4,3. 16   .78. K山向hama^oo肺。.ism S町66ning T05t      −2.5   6.O. 20.2   .79. S8wo『ty of dn』g doponden08            6.1    3.O. 12   .74 18   .83 16   .69. H^DS an麩ioty soo祀                  6.5   4.1. HADS doprossion sooro                7.6    3.8 H側〕S tota■soo爬                    14.2    7.1. のαによる信頼性係数を示した。. ま一f{st鵠m                                 7.4     2.4. ロジスティック回帰分析の結果. τho nuonbor of aπ8stod tim05            2.1    3.6. 32   .65 12   .76 12   −68. 改tomal l㏄u50fo㎝tro1        6.2  2.5. 20 75.  次にロジスティック回帰分析の結果について,. Ago                         56.1   9.6. Noto・Th8numbor of r.!52ondonts of Sov8−ty of drug dopondonoe w8ro8boc2uso the. AICが最小である最適モデルをTab1e2に示し.  n山mb酊。f p80plo who h酬。岨。d d川05w甘88.. た。最適モデルから,r犯罪加害」の有無に有意.          Tab162. な影響を与える要因は,「路上暴行被害」(ρく.05),. 「就労日数」(ρく.05),「アルコール依存傾向」. The bestfitted model oflogi5tic regre5sione5timatingt11ee付eαof  homeless寸reet viけimization on later orimina1b8ha}ior{N=91工. (ρく.05),「不安」(ρく.05),「自尊感情」(〆.05),. r年齢」(ρく.05)の六つであることが示された。な. Reg陀ssion Cooffid6nt  Standard Error Odd5Ratio. お,「低自己統制」は,ρく.1であり,危険率5% 水準のt検定では有意とならなかった。. (I・1terCept〕. 6,686^       2.763   800.835. St陀。t victimization. 3,119★        1.235    22.618. Contro.variab−es DayS Of wo水ing.          考察  本研究では,路上暴行被害に,犯罪加害を促進 する効果があることが示された。多くの先行研究 で,子どもの頃の被虐待経験が犯罪加害に影響を 及ぼすことが見いたされていたが,成人してから の被害でも,犯罪加害に影響を及ぼすことがわか った。この結果は,Co1vin(2000)の分化的強制 理論で説明することができる。Baron(2009)は,. 一〇.014^. 0.006. 0.987. Low self−cont⑩1. 0,207f. 0.111. 1.230. AlC〇一101iSm. O.109“. 0.053. 1.115. Anxiety. 一0,222★. 0.111. 0.801. Selトesteem. 一〇.409’. 0.176. 0.665. Age. 一0,093“. 0.039. 0.912. _21og■ike.iI1ood=55.16. 一87一. AIC:71.16 Note.“Pく.05,fpく.1.. 主任指導教員  遊間義一 指導教員    遊間義一.

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