〈教育実践報告〉学生による調査・発表を中心にした「特別活動論」の授業
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(2) 近 畿大学教育論叢. 第14巻. 第1号(2002・10). た体 験 的 な授 業 が 取 り組 ま れ て い る。 本 稿 は、 この よ うな 先 行 研 究 に刺 激 を受 けな が ら、 近 畿 大 学 に お け る2001年. 度 後 期 の 「特. 別 活 動 論 」(半 期2単. 位 の 授 業 で 免 許 法 施 行 規 則 に お け る 「特 別 活 動 に 関 す る科 目」 に相 当。. 受 講 者 数 約30名)の. 授 業 に お い て筆 者 が お こ な っ た試 み の報 告 で あ る。. 1.授. 業 の 目標 と方 法. 下 田 実 践 の よ うに、「企 画 力 」 や 「子 ど もの 内 面 を 見 取 る力 」 とい った指 導 力 そ の もの を 「特 別 活 動 に 関 す る科 目」 を通 じて 養 う とい う方 針 も教 員 の 力 量 に よ って は有 効 で あ る。 しか し、 半 期2単 位 と い う短 い授 業 期 間 の な か で どの よ う に教 育 目標 を しぼ るか とい うの は難 しい問 題 で あ る。 今 回 は、 実 践 的 指 導 力 そ の もの で はな いが 、 それ にっ なが り得 る 目標 と して 、 次 の よ うな 目標 を 設 定 した。. (a)生. 徒 の 立 場 と教 員 の立 場 の両 方 の 視点 か ら特 別 活 動 の 実 態 を認 識 し、 特 別 活 動 の意 義 や. 実 践 上 直 面 して い る問 題 に つ い て知 る。 (b)特. 別 活 動 の現 状 にっ い て学 生 自 らが調 査 を お こな い、 その 結 果 を授 業 で報 告 す る とい う. 学 生 参 加 型 の方 法 を と る こと に よ り、 特 別 活 動 を 積 極 的 に実 践 しよ う とす る意 欲 を高 め る。. 目標(a)を設 定 した理 由 は、 学 生 た ち は、 これ ま で の学 校 生 活 の な か で 特 別 活 動 に関 して実 体 験 が あ るの で そ れ を で き るだ け活 か す こ と が実 践 的指 導 力 の 養 成 上 有 効 で あ る と考 え た か らで あ る。 ま た 同 時 に、 教 員 側 の視 点 も加 え て特 別 活 動 の現 状 を 認 識 して い くこ と も必 要 な こ とで あ る と考 え た。 目楓b)は 、 学 生 が 積 極 的 に授 業 へ参 加 す る こ とに よ り、 特 別 活 動 に関 す る知 識 だ け で な く、 積 極 的 に 実 践 しよ う とす る意 欲 を 高 め る こ とが 期 待 で き、 意 欲 を 高 め る こ とが 、 教 職 に就 い た と きの実 践 的 指 導 力 へ っ なが り得 る と考 え た こ とが理 由 で あ る。 この よ う な 目標 を 実 現 す る た め、 「自 らの 体 験 した特 別 活 動 の 意 味 を生 徒 の立 場 か ら と らえ 直 す 活 動 」(1回. 分)、 「自 らの体 験 以 外 の実 践 例 を知 り、 自 らの 体 験 を相 対 化 す る活 動 」(6回. 分)、「特 別 活 動 の 現 状 を 調 査 して 発 表 す る活 動 」(3回 分)の 三 っ の 活 動 か ら授 業 を組 み立 て た。 そ の な か で 、 「特 別 活 動 の現 状 を 調 査 して発 表 す る活 動 」 を 授 業 の 中心 に 位 置 づ け、 そ の た め の 準 備 活 動 と して 「自 らの体 験 した特 別 活 動 の 意 味 を生 徒 の立 場 か ら と らえ 直 す 活 動 」 と 「自 らの 体 験 以 外 の実 践 例 を知 り、 自 らの 体験 を 相 対 化 す る活 動 」 を設 定 した。. 一30一.
(3) .{必. 学生 による調査 。発表 を中心 に した 「 特 別活動 論」 の授業 授 業 の 中心 とな る 「特 別 活動 の 現 状 を 調 査 して 発 表 す る活 動 」 で は、 学 生 個 々 人 が 母 校 へ の 聞 き取 りや イ ン ター ネ ッ トな どを通 じて 各 学 校 に お け る特 別 活 動 の実 態 を調 査 した うえ で 、 授 業 にお い て、 班 ご とに 分 か れ て 各班 内 で 一 斉 に各 自 の 内容 を紹 介 しあ い、 さ らに、 各 班 か ら選 ばれ た調 査 を学 生 が発 表 す る とい う方 法 を 採 用 した。 と い うの は、 学 生 が 自分 で調 査 を お こな うこ とで 、 特 別 活 動 に っ い て の 関心 が よ り高 ま る こ とが 期 待 され 、 班 ごと に 内容 を紹 介 し合 う こ とで 、 全 員 が 話 し合 い に参 加 で き る と思 わ れ たか らで あ る。 さ らに、 発 表 を き く こ とで 、学 生 た ち は多 様 な特 別 活 動 の実 態 や指 導 上 の 問題 点 にっ いて 広 く知 る こ とが で きる と と もに、 発 表 を 担 当 す る学 生 は、 集 団 に対 して 自分 の意 見 や情 報 を 確 実 に伝 え る た め の難 しさ や楽 し さを 経 験 す る こ と もで き る だ ろ う。 こ う した学 生 参 加 型 の 方 法 を と る こ と に よ り、 オ ー ソ ドッ クス な 講 義 形 式 以 上 に、 教 員 の視 点 か ら特 別 活 動 の意 義 や 実 践 上 の 問 題 にっ いて 実 感 し、 特 別 活 動 を 積 極 的 に実 践 しよ うとす る意 欲 が 高 ま る こ とが 期待 で き るの で は な いか と考 え た の で あ る。 ま た、 「特 別 活 動 の 現 状 を 調 査 して発 表 す る活 動 」 の準 備 活 動 で あ る 「自 らの 体 験 した特 別 活 動 の意 味 を 生 徒 の 立 場 か らと らえ 直 す 活 動 」 お よ び 「自 らの 体験 以 外 の 実 践 例 を知 り、 自 ら の体 験 を相 対 化 す る活 動 」 の 授 業 にお いて も、 班 ご との話 し合 い 、学 生 に よ る発 表 な ど の方 法 を と りい れ るよ う に した。 以 下 、 各 活動 の 授 業 につ いて 方 法 や 内 容 を も う少 し詳 し く紹 介 して い きた い。. 2.自. ら の 特 別 活 動 体 験 を と らえ 直 す 活 動. ま ず、 「自 らの 体 験 した特 別 活 動 の 意 味 を生 徒 の立 場 か ら と らえ 直 す活 動 」 と 「自 らの 体 験 以 外 の実 践 例 を知 り、 自 らの 体験 を 相 対 化 す る活 動 」 にっ いて 紹 介 して い きた い。 授 業 の最 初 に、 現 行 の学 習 指 導 要 領 に お け る特 別 活 動 の 記 述 に っ い て 簡 単 に紹 介 した あ と、 「自 らの 体 験 した 特 別 活 動 の意 味 を 、 生 徒 の立 場 か らと らえ 直 す 」 活 動 と して 、4∼6名 班 内 で 一 斉 に 「こ れ ま で に経 験 して きたH・R、. 位の. 生 徒 会 、 ク ラ ブ、 学 校 行 事 につ い て」 に っ い. て 話 しあ い、 そ の 内容 を代 表 者 一 名 が全 員 に む けて 発 表 す る と い う活 動 を 実 施 した。 学 生 た ち が これ まで 児 童 ・生 徒 と して経 験 して きた学 級 活 動 、学 校 行 事 、 児 童 会(生 徒 会)活 動 、 ク ラ ブ活 動 な どが どの よ う な もので あ った か を思 い だ し、 他 の学 生 の 経 験 と比 較 し、 それ らが 、 特 別 活 動 と して ど の よ う な意 義 を 持 って い た の か を と らえ 直 して も らお う とい う趣 旨で あ った。 毎 回 の授 業 で 、 学 生 一 人 一 人 に感 想 や コ メ ン トを書 い て も ら った が 、 この 初 回 授 業 にお け る代 表 的 な感 想 は次 の よ う な もの で あ っ た(一 部 語 句 の 表 記 な どを 引 用 者 が 書 き改 め た。以 下 同 様)。. 一31一.
(4) 近畿大学教育論叢. 第14巻 第1号(2002・10). (感 想1)「 や は り、色 々 な学 校 で色 々 な特 別 活 動 が お こ なわ れ て い る と い うこ とが わ か った。 教 育 の 上 で や は り、 特 別 活 動 は な くて は な らな い もの に な って い るの だ ろ う。 や っ て い て、 悪 い もの で はな い し、 人 間 的 な成 長 を させ る と い う点 で この よ うな こ とは 数 多 くこな さ な け れ ば な らな い と思 う」 (感 想2)「 発 表 を 聞 い て い て 思 った こ とで す が 、 学 校 に よ って 様 々 な活 動 を して い るな と思 い ま した。 今 まで"特 別 活 動"と. い う言 葉 を耳 に した こ とが な か った の で 、 最 初 は ど う い う. 活 動 な の か よ くわ か らなか った。 で も、 発 表 を 聞 い て いて 『あ、 こ う い う こ と もあ る の か』 と発 見 しま した。 グル ープ で 討 論 して い る と き に も同 じよ うに感 じま した」 (感 想3)「 皆 そ れ ぞ れ の 小 ・中 ・高 と学 校 ま た は学 級 ・ク ラ ブで の特 別 活 動 を 体験 して い る に もか か わ らず、 楽 しい、 遊 ん だ 記 憶 はお ぼえ て い て も学 習 以 外 の教 育 は な か な か 覚 え て い な い もの だ と分 か り ま した」 (感 想4)「 僕 達 の班 は、 あ ま り特 別 活 動 にっ い て覚 え て い る人 が い なか った の か、 あ ま り意 見 が で な か った。 僕 自身 も、 そ うい え ば 何 か や っ た な あ と い う程 度 で記 憶 に残 って い る活 動 は思 いっ か な か った。 しか し、 今 日 は、 それ 以 上 に少 人 数 と は い え、 自分 の意 見 を 発 表 す る 難 しさ を とて も感 じた」 (感 想5)「. グル ー プ で あ ま り意 見 が で なか った で す(自. 分 も含 め て … …)。 次 に グ ル ー プ を. 組 ん で 討 論 とか す る と きは、も っと積 極 的 に意 見 を 出 し合 え れ ば い いな と思 い ま した。 正 直 、 ボ ク は特 別 活 動 に は あ ま り 自発 的 に参 加 せ ず 、 む しろ否 定 的 な人 間 で した。 この授 業 で認 識 を 改 め、 も っ と肯 定 的 に で きれ ば な と思 って い ます 」. (感 想1)や(感. 想2)の. よ うに、 自分 の 特 別 活 動 体 験 を思 い 出 し、 他 の学 生 の 体 験 と比 較. す る こ と に よ って 特 別 活 動 の 多 様 性 や 意 義 な ど に っ い て認 識 を 深 あ た 学 生 が い た よ うで あ る が 、 一 方 で、(感 想3)や(感. 想4)の. い出 せ なか った学 生 や(感 想5)の. よ う に 自分 の特 別 活 動 体 験 に っ いて ぼ ん や り と しか思. よ うに特 別 活動 に対 して 消 極 的 で あ っ た学 生 もい た こ とが. わ か る。 ま た少 人 数 で の話 し合 い や、 教 室 全体 で の 発 表 と い う よ う な活 動 が 難 しか った とい う (感想4)や(感. 想5)の. よ う な コ メ ン ト も見 られ る。 班 討 論 や 発 表 と い った活 動 は、 特 別 活. 動 にお け る基 本 的 な活 動 で あ る。 実 践 的指 導 力 を 養 成 す る うえ で 、 こ う した活 動 を授 業 に と り い れ る こ と は有 意 義 で あ った よ うで あ る。 た だ し、 授 業 全 体 を 通 じて こ う した活 動 を生 か す こ と に成 功 した と は必 ず し も言 え なか った。 この点 にっ いて は後 述 す る。. 一32一.
(5) 学生 による調査 ・発表を中心 に した 「特別活動論」 の授業 3.自. ら の 体 験 以 外 の 実 践 例 を 知 り、 自 ら の 体 験 を 相 対 化 す る 活 動. 次 に、 「自 らの体 験 以外 の実 践 例 を知 り、 自 らの 体 験 を 相 対 化 す る活 動 」 を、 「新 聞 雑 誌 、 ホ ー ム ペ ー ジ、 図書 な どを 使 った 実 践 例 の 紹 介 をす る活 動 」、 「映 画 『中 学 教 師 』 を通 して特 別 活 動 の意 義 に っ い て 考 え る活 動 」、 「特 別 活 動 の歴 史 と現 在 に っ い て知 る活 動 」 に分 けて お こな っ た。 「新 聞 雑 誌 、 ホ ー ム ペ ー ジ、 図 書 な どを 使 った実 践 例 の 紹 介 をす る活 動 」 で は、「宿 題 レポ ー ト1」 と して 「特 別 活 動 に関 す る新 聞記 事 、 雑 誌 記 事 、 ホ ー ム ペ ー ジ、 図 書 な ど を1点 以 上 紹 介 し、 そ の長 所 と問題 点 に 関 して 考 察 す る こ と」 とい う課 題 を 出 し、 次 の授 業 に それ を持 ち寄 っ て各 班 内 で 一 斉 に 内容 を 紹 介 しあ った 後 、 各 班 か ら一 っ ず っ 発 表 す る と い う形 式 を と った。 授 業 の感 想 で は 、(感 想6)「. あ ま り、 特 別 活 動 と い う もの が ど う い う ものか 理 解 しに くか った. が 、 今 日、 意 見 の 交 換 な どを して少 しず っ 記 憶 が よ み が え って きた 」、(感 想7)「 行 事 だ け か な 、 と思 って い た け ど、 『朝 の10分. 特 別活動 は. 間 読 書 』 とか 『い じめ に関 す る話 し合 い』 『働. く人 々 に学 ぶ 』 「新 聞 販 売 な ど学 ぶ 』r中 学 生 の 職 業 体 験 』 な ど幅 広 い もの もあ るん だ と納 得 し ま した」 な ど と い う もの が あ った。 この 活 動 を 通 して 学 生 た ち は母 校 以 外 の特 別 活 動 の実 状 を 知 り、 自分 の体 験 と比 較 しな が ら、特 別 活 動 へ の 関 心 を強 め た よ うで あ る。 「映 画 『中学 教 師 』 を 通 して 特 別 活 動 の意 義 にっ い て 考 え る活 動 」 で は、1990年 校 にお け る教 師 と生 徒 の実 態 を 描 いた 映 画 「中学 教 師 」(平 山 秀 幸 監 督 、1991年)を. 代 の中学 手がか り. に して 現 在 の特 別 活 動 の意 義 を考 え る こ とを 目的 と した。 学 生 の お もな感 想 は次 の よ う な もの で あ った 。. (感 想8)「. 中 学 生 が 万 引 き を し た り、 い じめ を す る と い う話 は よ く聞 い て い た が 、 僕 の 学 校. は あ ま り そ の よ う な こ と が な か っ た の で 、 実 感 が な か な か な か っ た 。 しか し、 今 日 の ビ デ オ を 見 て 、 生 々 し い 中 学 校 の 姿 を 知 り、 び っ く り した 。 こ れ が 全 て で は な い と思 う け ど 、 と に か く深 刻 な問 題 だ と思 った」 (感 想9)「. 映 画 を 見 て 思 っ た こ と は 、 『行 事 』 の 大 切 さ 。 小 ・中 ・高 い ず れ も 『体 育 祭 』 『文. 化 祭 』 な ど の 行 事 が あ っ た 。 と く に 「体 育 祭 』 は 赤 ・白 組 あ る い は ク ラ ス 対 抗 な の で 、 す ご く盛 り あ が る 。 他 の 授 業 中 は 寝 て る け ど 、 こ う い う 行 事 に な る と は り き っ て 参 加 す る子 も い た 。 優 勝 し た り し た ら皆 で 喜 び あ っ た 。 文 化 祭 の 準 備 と か 本 当 に ク ラ ス が 団 結 し た 。 こ れ は 私 の 体 験 だ け ど 、 こ の 映 画 で も 同 じ こ と が い え る 。 『行 事 』 を 減 ら そ う と し て い る 学 校(主 に 高 校 の 進 学 校)も. あ る け ど 、 『行 事 』 は 本 当 に 大 切 だ と 思 っ た 」. 一33一.
(6) 近畿大学教育論 叢 (感 想10)「. 第14巻. 第1号(2002・10). 特 別 活 動 と は 、 生 徒 の 自 主 性 を 高 め 、 ま た 『人 格 の 形 成 』 の た あ に あ る も の だ. と思 う。 テ レ ビゲ ー ム や イ ン タ ー ネ ッ トが ま す ま す 発 達 して い る の で 、 特 別 活 動 は ま す ま す 重 要 に な る だ ろ う 。 テ レ ビ ゲ ー ム や イ ン タ ー ネ ッ トは 人 格 を 形 成 す る 場 を 減 ら し、 人 間 関 係 を 希 薄 に して し ま う か らだ 」. 映 画 「中学 教 師 」 は、 子 ど もを と り ま く環 境 の 変 化 や 親 の 意 識 変 化 な ど に よ って 「普 通 の 」 子 ど もた ちが 「生 徒 」 と して 学 校 の指 導 に な じ まな くな って きて い る状 況 の な か で 、 主 人 公 の 「三 上 先 生 」 が か な り強 引 な 手 法 で ク ラス で の 班 活 動 や駅 伝 大 会 な どを 生 徒 に行 わ せ て 学 校 を 改 善 しよ う と試 み る様 子 を描 い た 作 品 で あ る。(感 想8)の. よ うに、 映 画 の なか で描 か れ て い. る 中学 校 の荒 れ た 様 子 を リアル に受 け止 め た学 生 や 、(感 想9)(感. 想10)の. よ うに特 別 活 動. の意 義 を 捉 え 直 そ う と した学 生 た ちが い た よ うで あ る。 ま た、 「三 上 先 生 」 の や や 強 引 な指 導 法 を通 じた 「生 徒 自治 の育 成 」 の是 非 にっ い て 賛 否 両 論 が 出 され 、 この 映画 を 使 っ た授 業 は特 別 活 動 の指 導 方 法 に っ い て 考 え る き っか け の役 目 も果 た した と思 わ れ る。 「特 別 活 動 の 歴 史 と現 在 にっ い て知 る活 動 」で は、旧 制 中 学 校 ・高 等 学 校 の 校 友 会 活 動 ・ 寄 宿 舎、 戦 後 に お け る特 別 活動 の 変 遷 、現 行 の学 習 指 導 要 領 の 特 徴 な どを 主 に講 義 形 式 で 説 明 しな が ら、 現 在 の特 別 活 動 との共 通 点 と相 違 点 にっ いて 考 え 、 現 行 の学 習 指 導 要 領 に お け る特 別 活 動 の特 徴 を歴 史 的 な文 脈 の なか で と らえ る こ と を 目指 した。(感 想11)「. 特 別 活 動 が 戦 前 か ら行 わ れ. て い た事 に び っ く り しま した。 しか も、 か た ちだ けで は な く、 し っか り した もの で 、 生 徒 自身 で しっか り自治 され て い て 、 特 別 活 動 の重 要 性 が あ らた め て 認 識 させ られ ま した」、(感 想12) 「今 回 、初 め て 特 別 活 動 の 歴 史 を知 って、戦 前 と戦 後 で は大 きな 違 いが あ るん だ と思 い ま した」 と い う よ う な感 想 が 見 られ た が、 内 容 を 盛 り込 み す ぎて わか りづ らい 印象 を与 え て しま った た め か 、 学 生 の認 識 を あ ま り深 め る こ とが で きな か っ た よ うに感 じた。 この点 は、 今 後 の 反 省 材 料 と した い。 以 上 の よ う な 「自 らの体 験 した特 別 活 動 の意 味 を 生 徒 の 立 場 か らと らえ直 す 活 動 」お よ び 「自 らの 体 験 以 外 の 実 践 例 を知 り、 自 らの体 験 を 相 対 化 す る活 動 」 を へ て 、 い よ い よ、 「特 別 活 動 の現 状 を 調 査 して 発 表 す る活 動 」 へ入 って い った 。. 4.特. 別 活 動 の 現 状 を 調 査 して 発 表 す る 活 動. 「特 別 活 動 の現 状 を調 査 して発 表 す る活 動 」 で は、 「宿 題 レポ ー ト2」 と して 「2校 以 上 の特 別 活 動 の現 状 を 紹 介 す る と と もに考 察 を行 う こ と。 出 身 校 を 調 査 対 象 に して もよ い。 ま た ホ ー 一34一.
(7) 学生 による調査 ・発 表を中心 に した 「特別活動論」 の授業 ム ペ ー ジや 図 書 ・雑 誌 な どか ら調 査 して も よ い」 と指 示 して 学 生 に調 査 を お こな って も らい、 そ の結 果 を授 業 に お い て 発 表 させ た 。 調 査 内 容 一 覧 表 に あ る よ うに、 半 数 が教 師 へ の 聞 き取 り な ど に よ る母 校 を対 象 と した調 査 で あ った 。. 〈調 査 内容 一 覧表 〉. 整理 番号. 都道府 県. 学校種. 設置 形態. 母校か どうか. 分野. 内容. 1. 大 阪府. 中学. 公立. 母校. 学校行事 合 唱 コ ンク ー ル な ど. 2. 大阪府. 高校. 私立. 母校. 学校行事 海外体験学習 な ど. 3. 神奈川県. 中 ・高. 私立. 学校行事. 4. 群馬県. 養護学校. 公立. 学校行事 修学旅行. 5. 静岡県. 養護学校. 公立. 学校行事 学校行事. 6. 静岡県. 中学. 公立. 学校 行事 テ レ ビ会 議 シ ス テム に よ る交 流 学 習. 7. 島根県. 高校. 公立. 8. 島根県. 高校. 公立. 学校行事 修 学旅 行 は必要か. 9. 富山県. 高校. 公立. 学校行事. 10. 奈良県. 高校. 公立. 母校. 学校行事 耐寒登 山. 77. 奈良県. 高校. 私立. 母校. 学校行事 姉妹都市か ら留学生来訪. 72. 奈良県. 中学. 公立. 13. 兵庫県. 小学. 公立. 母校. 学校行事 も ちつ き大 会. 14. 兵庫県. 高校. 公立. 母校. 学校 行事 学校行事. 15. 兵庫県. 中学. 公立. 学校行事 イ ンタ ー ネ ッ トを 利 用 した学 校 間 交 流. 16. 兵庫県. 中学. 公立. 学校行事 「国 際 交 流 」. 17. 福 岡県. 高校. 公立. 18. 福 岡県. 中学. 公立. 学校行事. 19. 山梨県. 中学. 公立. 学校行事 30km競. 20. 大阪府. 中学. 公立. 27. 大阪府. 高校. 公立. 22. 北海道. 高校. 公立. 母校. ヨ ッ トの 日. 学校 行事 修学旅行が必要か どうか. 勉 学 面 を 重視 した 学 校 行 事(各 種 コ ン テ ス トな ど). 学校行事 秋の遠足. 母校. 母校. 母校. 学校行事 学校行事 親子 のふ れあいや環境教 育を 目的 と し た特別活動 歩大会. 体育祭 ・ 体育大会の応援合戦 文化祭 体育祭 ・ ペ ナ ン トと呼 ばれ る球 技 大 会 文化祭 体育 祭 ・ 学校 祭 文化祭. 一35一.
(8) 近畿大学教育論叢. 第14巻. 第1号(2002・10). 23. 和歌山県. 高校. 私立. 24. 愛知県. 中学. 公立. 25. 大阪府. 中学. 公立. 26. 埼玉県. 中学. 公立. 職 業 体 験 ・中 学 生 体 験 チ ャ レ ン ジ 事 業(3daysチ 進路 ヤ レ ン ジ). 27. 佐賀県. 中学. 公立. 職業 体験 ・ 1日 ホ ー ム ヘ ル パ ー 体 験 進路. 28. 兵庫県. 中学. 公立. 母校. 職業 体験 ・ トラ イ や る ・ウ ィ ー ク 進路. 29. 兵庫県. 中学. 公立. 母校. 職業 体験 ・ トラ イ や る ・ウ ィ ー ク 進路. 30. 兵庫県. 中学. 公立. 31. 兵庫県. 中 ・高. 私立. 母校. 体験 学習 奉 仕 デ ー. 32. 兵庫県. 中学. 公立. 母校. 体験 学習 ク ラ ス対 抗 に よ る ア ル ミ缶 回収. 33. 広島県. 高校. 公立. 体験 学習. 34. 不明. 高校. 不明. 体験 学習 高齢者の行動を疑似体験. 35. 山 口県. 高校. 公立. 体験 学習 茶 摘み. 36. 山 口県. 中学. 公立. 体験 学習 体験 学習. 37. 茨城県. 中学. 公立. 生徒 会. 委員会活動. 38. 大阪府. 高校. 公立. 生徒 会. リー ダ ー 研 修. 39. 大阪府. 高校. 公立. 生徒 会. 新 入 生 オ リエ ン テ ー シ ョ ン. 40. 東京都. 小学. 公立. 生徒 会. 児 童 会 活 動 ・ク ラブ 活 動. 41. 北海道. 中学. 公立. 生徒 会. 生 徒 会 中 心 の ボ ラ ン テ ィア活 動. 42. 宮城県. 小学. 公立. 生 徒会. 全校美化活動. 43. 大阪府. 中学. 公立. 母校. ホームル ーム. 部落差別 につ いて学ぶ時間. 母校. ホームル ーム. 縦 割 りク ラ ス(「 団 活 動 」). 母校. 体育 祭 ・ 体 育祭 文化 祭 職業 体験 ・ 「生 き方 を 見 つ け よ う」 進路. 母校. 職業 体験 ・ 職 業体験学習 進路. 職業 体験 ・ 神 戸 市 の トラ イ や る ・ウ ィ ー ク 進路. 44. 大阪府. 高校. 公立. 45. 佐賀県. 中学. 公立. ホームル ーム ホームル ーム. 46. 三重県. 中学. 公立. 47. 大阪府. 高校. 私立. 母校. ボ ラ ンテ ィア. 一36一. 「チ ャ レ ン ジ 農 園 」. 図書委員会 など. テ レ ビ会 議 シ ス テム を利 用 した特 別 活 動 朝 の10分. 間読 書. ボ ラ ン テ ィ ア活 動.
(9) 学 生 に よ る調 査 。発 表 を 中心 に した 「 特 別活動論」の授業. 母校. ボ ラ ンテ. 48. 北海道. 中学. 公立. 49. 宮城県. 高校. 公立. bO. 滋賀県. 高校. 公立. 57. 兵庫 県. 中学. 公立. 52. 兵庫 県. 高校. 公立. 53. 愛媛 県. 中学. 公立. 総合 的学 「しま な み タイ ム 」 の活 動(総 合 的 学 習 習). 54. 神奈川 県. 申 ・高. 私立. 総合 的学 土 曜 日の 有 効 利 用(特 別 講 座 の開 催) 習. 55. 大阪府. 高校. 公立. そ の他. 「産 業 社 会 と人 間 」 の授 業. 56. 滋賀県. 中学. 公立. そ の他. コ ン ピ ュー タ を 活 用 した 音 楽 学 習. 57. 広 島県. 小学. 公立. その 他. 小学校 の英 語教育. 58. 愛知県. 中学. 公立. その 他. 「健 康 つ く り」. ィア ボ ラ ンテ ィア. 母校. ボ ラ ン テ ィア活 動 ボ ラ ン テ ィア活 動. 特別活動 特別活動全般 全般 特別活動 特別活動全般 全般. 母校. 母校. 特別活動 特別活動の流れ 全般. 学 生 が 調 査 に よ って 各 校 に お け る特 別 活 動 の 現 状 を どの よ うに と らえ た か を い くっ か 見 て み よ う。 教 師 へ の イ ン タ ビ ュ ー と して 行 わ れ た1番(整. 理 番 号 、 以 下 同 じ)の 調 査 で は、 自分 が 生 徒. と して参 加 して きた 行 事 で あ る合 唱 コ ンク ー ルが 「音 楽 を通 して 豊 か な 表 現 力 を 養 い、 周 囲 の 中 で の協 調 性 を育 成 し、 音 楽性 を 高 め る」 こ と を 目 的 と して お こな わ れ て い る こ と を初 め て知 った ことが 述 べ られ て い る。 行 事 にお け る活 動 目標 は、 生 徒 の側 で は意 識 され て い る こ とが 少 な い と思 わ れ る の で、 自分 が体 験 した行 事 の 目的 を調 査 を通 して知 る とい う こ と も、 特 別 活 動 の 実 践 力 を養 成 す る上 で有 意 義 で あ ろ う。 ま た、特 別 活 動 に関 す る教 師 の コメ ン トと して 、「特 別 活 動 は お お む ね仲 良 くや って い る」、 「や る子 は真 面 目 に や って い るが 、 や らな い子 は徹 底 的 にや らな い の が 今 の 現 状 」、「教 師 が 中 心 と な る と生 徒 の 自主 性 、 自発 的 行 動 が失 わ れ て い くの で 、 や らな い子 を参 加 させ るた め に 、 ど こ まで 介 入 し指 導 す る か、 限度 が難 しい 」 な どを 紹 介 して い る。 20番 の 調 査 で は、 現 在 は学 校 の 名 物 とな って い る体 育 大 会 で の 応 援 合 戦 が 次 の よ うな 経 緯 で 始 め られ た こと を明 らか に して い る。 こ う した経 緯 の なか に、 学 校 側 が特 別 活動 に こめ た 意 義 付 けの 一 面 が 具 体 的 に表 れ て い る。. 一37一.
(10) 近畿大学教育論叢. 第14巻. 「始 ま りは、 約10年. 第1号(2002・10). 前 。 当 時 多 くの 生 徒 の 素 行 が 教 育 上 好 ま し くな い もの で あ り、 教 室 、. 廊 下 の窓 ガ ラス は ほ とん ど割 れ て い る よ うな状 態 だ った。 授 業 中 も私 語 が 多 く、 自分 勝 手 に 教 室 を 出 て い く生 徒 の た め に授 業 が 中 断 さ れ る こ とが 度 々 あ っ た。 ま た、 学 校 を建 て る際 、 土 地 が な か った こ と も あ り、 山 の中 に ぽっ ん と学 校 が建 って い る状 態 で 、 地 域 と の コ ミュ ニ ケ ー シ ョンが 取 りづ らか っ た。 そ こで 、 中学 生 の エ ネ ル ギ ーを 発 散 す る場 をっ くる こ と は で きな い か?と 、 教 師 とPTAな. どで 話 し合 い、 日頃 の生 活 を地 域 の 人 々 に見 て も ら うた あ に. も、 体 育 大 会 で 応 援 合 戦 を す る こ と に な った」。. 50番 の 調 査 で は、 学 級 活 動 に関 す る教 師 の コメ ン トと して 、 「意 見 を 出 し合 い討 論 と な る こ と は め った に な く、み ん な他 人 事 の よ う に下 を 向 いて い た り、違 う こ とを して い た り して い る。 しか し、 発 表 は しな い が 紙 に意 見 を 書 く場 合 は そ れ ぞ れ い ろ ん な意 見 が 出 て くる。 グ ル ー プ に 分 け て 意 見 を 出 し合 い 発 表 さ せ る 方 法 も ま た うま くいか ず 、 運 営 に困 る こ と も しば しば あ る」 を紹 介 す る と と もに 、 体 育 祭 や 文 化 祭 の 意 義 にっ い て 「体 育 祭 や 文 化 祭 の 後 、 と くに3年 は受 験 に 向 け た学 習 に 今 まで 以 上 に取 り組 む が 、受 験 と い う もの に、個 人 で 立 ち向 か うの で はな く、 体 育 祭 や文 化 祭 な どで 形 成 され た 強 い団 結 力 に よ って団 体 で立 ち 向 か って 行 こ う と い うふ うに な り、 と て も良 い機 会 に な って い る」 と教 師 が 指 摘 して い る こ と も明 らか に して い る。 52番 の 調 査 で も特 別 活 動 の 問題 点 に関 す る教 師 の指 摘 と して 、 「ク ラス役 員 の 選 出 な ど に立 候 補 者 が い な い。 自己 中心 的 な 考 え 方 の 生 徒 が 多 い。 た ば こ ・カ ンニ ン グ ・い じめ が 増 加 して い る。 携 帯 の 問題 。 遅 刻 ・欠 席 ・早 退 者 の 増 加 。 体 験 型 か ら観 戦 型 へ の移 行 。 教 師 が 動 か な い と生 徒 が 動 か な い 」 を 紹 介 す る と と もに、 生 徒 の 長 所 に関 す る教 師 の 指 摘 と して 「ス ポ ー ッ は 積 極 的 に行 う、 人 権 な ど の討 論 会 は意 見 交 換 が な され る、 食 べ 物 作 りは役 割 分 担 を して お こ な え る」 こ と な ど も挙 げ て い る。 ま た職 場 体 験 を あ っ か った調 査 で は、 生 徒 が 受 け入 れ 先 で 万 引 きを して捕 ま って 体験 を 打 ち 切 られ た ケ ー ス にっ い て述 べ た もの もあ り、 近 年 全 国 的 に注 目 され て い る職 場 体 験 活 動 に関 し て も実 施 す る上 で は ま だ ま だ課 題 が残 され て い る こ と に関 す る具 体 的 指 摘 とな って い る。 この よ う に、 母 校 教 師 へ の イ ン タ ビ ュー を 通 して お こ なわ れ た調 査 は、 特 別 活 動 の現 状 に関 して 、 生 徒 側 の視 点 だ け で な く、 指 導 に あ た る教 師 の 視 点 も加 わ り、 活 動 に関 す る意 義 づ けや 指 導 上 の 問 題 点 な どが 具 体 的 に紹 介 さ れ て い る点 が 特 徴 と な って い る。 また 、 帰 省 先 が 遠 い な ど の理 由 で、 母 校 へ の 聞 き取 りで は な く、 イ ン ター ネ ッ トな どを利 用 一38一.
(11) 学生 によ る調査 ・発表を中心 に した 「特別活動論」 の授業 して 行 わ れ た調 査 で は、 教 師 の 生 々 しい コ メ ン トは得 られ な い もの の、 「修 学 旅 行 」「ボ ラ ンテ ィ ア活 動 」「イ ンタ ー ネ ッ ト利 用 」 な ど の テ ー マ を 設 定 し複 数 校 の比 較 に よ る充 実 した調 査 が お こな わ れ た 例 もあ った。 以上 の よ う な調 査 結 果 は、 各 班 内 で一 斉 に紹 介 され 、 さ らに後 、 各 班 か ら代 表 と して選 ば れ た 調 査 が 全 員 に発 表 され た。 ま た、 内容 的 に特 徴 の あ る調 査 に関 して も発 表 を お こな って も ら った。 この よ うな形 で 発 表 が お こな わ れ た が、 発 表 に関 す る感 想 と して 代 表 的 な もの を挙 げ な が ら、 この 「特 別 活 動 の現 状 を調 査 して発 表 す る活動 」 の 成 果 にっ いて 考 え て み た い。. (感 想13)「. は じめ この 授 業 を受 け た と き、 特 別 活 動 とい う もの が ど う い う もの か が 分 か ら. な か った の だ け ど、 今 はだ ん だん イ メ ー ジが わ い て きた。 皆 い ろん な意 見 を も って い る な あ と思 う」。 (感 想14)「. あ ま りあ ず ら しい特 別 活 動 は な い の か な、と思 って い た の で す が 、今 日の 発 表 で 、. ど の学 校 も様 々 な特 別 活 動 を して い る のが わ か り、 とて もび っ くり しま した」 (感 想15)「. 単 に特 別 活 動 と い っ て も学 校 に よ って 様 々 な 工 夫 が され て い る こ とが 分 か っ た。. 授 業 に重 点 を お いた り、 運 動 会 や 学 校 祭 に重 点 を お い た り、 色 々 な面 で 工 夫 され て い る の で 聞 い て い て 楽 しみ が あ る」 (感 想16)「 様 々 な型 の 特 別 活 動 を 聞 く こ と に よ って 、 今 ま で は、 あ る一 側 面 で しか み る こ とが で きな か った もの が 、 い ろ い ろ な方 法 ・目 的 な どに よ って 活動 内容 が 異 な って くる の だ と思 った」 (感 想17)「. 今 まで 色 ん な 話 を聞 い て いて 、 特 別 活 動 と い うの は学 校 で授 業 の 一 環 と して お. こな わ れ るの で 、全 員 が 全 員 進 ん で参 加 す る とい うの はす ご く難 しい と い う ことが わ か った。 rで き る だ けた くさん の人 』 に参 加 して も らえ る、 楽 しん で 学 べ る特 別 活 動 を 考 え て いか な くて は い け な い だ ろ う」。 (感 想18)「 特 徴 的 な特 別 活 動 にっ い て の 発 表 もあ っ た け れ どそ の 活 動 に対 して 生 徒 の意 欲 は十 分 に あ る の か な と思 い ま した。 全 て の 生 徒 が 意 欲 的 に取 り組 め る活 動 と は何 で あ るの か な と も思 い ま した。 教 師 だ け が や る気 を 出 す の で は何 の 意 味 もな い の で、 生 徒 自 らが 自主 的 に取 り組 むべ きだ と感 じま した」。 (感 想19)「 特 別 活 動 を行 う際 に は、 目 的 や 意 義 が 明 白 で な け れ ば 、 そ の意 味 はな くな って しま うだ ろ う。 ま た、 教 師 が強 制 的 に押 しっ けて しま う と、 生 徒 の 自発 性 ・自主 性 を か え っ て そ ぐ形 に な っ て しま う。 これ で は本 末 転 倒 で 意 味 が な い。 生 徒 が 特 別 活 動 を通 じて何 か を. 一39一.
(12) 近 畿大 学 教 育 論 叢. 第14巻. 第1号(2002・10). 学 び と る こ と が で き る よ う に 、 学 校 側 は 配 慮 しな くて は な ら な い 」. (感 想17)か. ら(感 想19)の. よ うに、 単 に特 別 活 動 へ の 関 心 を高 め た だ け で な く、 教 師 へ. の イ ン タ ビュ ー調 査 結 果 な ど を聞 い て、 特 別 活 動 の実 践 上 の 課 題 にっ いて 学 生 た ち は認 識 を新 た に した よ うで あ る。 この 「特 別 活 動 の現 状 を 調 査 して 発 表 す る活 動 」 は、 「自 らの 児 童 ・生 徒 体 験 に教 師 側 の 視 点 を加 え て 特 別 活 動 の意 義 や課 題 を 認 識 す る こ と」 と い う面 で は成 果 を上 げ た とい え るだ ろ う。 ま た、(感 想13)か. ら(感 想16)に. み られ る よ う に、 学 生 た ち は お互 いの 発 表 を き くこ と. に よ って、 一 人 の 調 査 だ けで は知 り得 な い よ うな様 々 な実 践 を知 り、 特 別 活 動 へ の 関 心 を い っ そ う高 め た と思 わ れ る。 ただ し、 特 別 活 動 の実 践 そ の もの に対 す る意 欲 を 示 す よ う な感 想 は あ ま り見 受 け られ な か った。 特 別 活 動 へ の関 心 は高 ま った が、 そ れ が 明 確 に 教 員 と して の 実 践 意 欲 にっ な が った か ど うか は留 保 っ き と い う こ と に な る だ ろ う。こ の点 にっ い て は後 で述 べ た い。 この よ うに、 「特 別 活 動 の 現 状 を 調 査 して 発 表 す る活 動 」 は、「自 らの 児童 ・生 徒 体 験 に教 師 側 の 視 点 を加 え て 特 別 活 動 の 意 義 や課 題 を 認 識 す る こ と」 と い う 目標 に 関 して成 果 を あ げ た と思 わ れ る が、 「特 別 活 動 を積 極 的 に実 践 しよ う とす る意 欲 を 高 め る」 と い う 目標 に関 して は、 成 果 は留 保 っ き とい う こ と にな るだ ろ う。. 4.こ. の 授 業 の ね ら い は達 成 さ れ た か. 以 上 の よ う に、 「生 徒 の立 場 と教 員 の 立 場 の両 方 の視 点 か ら特 別 活 動 の実 態 を 認 識 し、 特 別 活 動 の意 義 や 実 践 上 直面 して い る 問題 に っ い て知 る」 と、 「特 別 活 動 の現 状 に っ いて 学 生 自 ら が 調 査 をお こな い、 そ の結 果 を授 業 で報 告 す る と い う学 生 参 加 型 の方 法 を と る こ とに よ り、 特 別 活 動 を積 極 的 に実 践 しよ う とす る意 欲 を 高 め る」を 目標 と した授 業 の試 み を 紹 介 して き たが 、 こ う したね らいが この実 践 全 体 を通 して達 成 され た か ど うか を考 え て み た い。 授 業 全 体 の 総 括 と して 試 験 の 代 わ りに 設 定 した 「最 終 レポ ー ト」 で は、 「授 業 内 容 や 宿 題 レ ポ ー ト1・2で 調 べ た こ とな どを も と に特 別 活 動 に関 して一 っ の テ ー マ を設 定 して論 じる こ と」 を 求 め た が、 「ボ ラ ンテ ィ ア活 動 」、 「職 場 体 験 学 習 に っ いて. 学 校 と地 域 社 会 に お け る成 果 と. 課 題 」、 「職 場 体 験 の意 義 」、 「『朝 の読 書 』 にっ い て」 な ど の実 践 的 な テ ー マ を通 して 、 特 別 活 動 の 指 導 法 に関 して考 察 を深 め た レ ポー トが 多 く見 られ た。 ま た(感 想20)「. こ の授 業 を半 期. に わ た って や って み て 、 特 別 活 動 の現 状 を具 体 的 に把 握 す る こ とが で き、 よか っ た で す」 とい うよ う な感 想 も見 られ た。 この よ う に、 「生 徒 の立 場 と教 員 の立 場 の 両 方 の 視 点 か ら特 別 活 動. 一40一.
(13) 学生 による調査 ・発表を中心 に した 「特別活動論」 の授業 の実 態 を認 識 し、 特 別 活 動 の 意 義 や 実 践 上 直 面 して い る問題 にっ いて 知 る」 と い う目標 に 関 し て は、 一 応 の成 果 が あ が った と考 え られ る。 しか し、 も うひ とっ の 目標 で あ る 「特 別 活 動 の現 状 に っ い て学 生 自 らが 調 査 を お こな い、 そ の結 果 を授 業 で報 告 す る とい う学 生 参 加 型 の 方 法 を と る こ と によ り、 特 別 活 動 を積 極 的 に実 践 しよ うと す る意 欲 を 高 め る」 こ と にっ いて は、 先 述 した よ うに、 留 保 っ きの 成 果 で あ った。 こ れ にっ い て さ らに考 え て い くうえ で 、次 の よ うな 感 想 が 一 っ の 手 が か りに な る よ うに思 わ れ る。. (感想21)rr教. 員 に な るの な ら、 一 っ は これ は い け る!と い う行 事 を考 え て お か な けれ ば い. け な い』 とい うの は、 とて も強 く思 い ま した。 自分 に興 味 が持 て な い もの を、 他 人(生 徒) に興 味 を もたせ られ る は ず が な い と思 い ます 。 これ は教 員 に な れ るま で の一 っ の 課 題 で あ る と思 い ます 。 そ れ に は、今 まで の 自分 の学 校 生 活 が どの よ うで あ った か 。 何 が 楽 しか った か。 ど う した ら も っと よ くな る と思 った の か 、 と い う風 にっ きっ め て い け ば、 一 っ く ら い い い も の が で き る ので は な い だ ろ うか」. この 感 想 に あ る よ うに お そ ら く、 教 員志 望 の 強 い 学 生 に と って は、 生 徒 側 か ら見 た特 別 活 動 へ の 関心 ・意 欲 と教 員 側 の実 践 意 欲 と は一 体 化 して い るの か も しれ な い。 も しそ うで あ るな ら ば、 生 徒 側 ・教 員 側 にか か わ らず特 別 活 動 へ の 関心 を 本 当 に深 あ る ことが で きたか ど うか 、 と い う こ とが 「特 別 活 動 を積 極 的 に実 践 しよ う とす る意 欲 を 高 あ る」 と い う目標 に関 す る重 要 な ポ イ ン トで あ る と い う こ と に な る だ ろ う。 この点 で は、(感 想22)「. お 互 い討 論 しあ って、 い. い授 業 が で きた と思 う。 こ の特 別 活 動 論 で い ろ い ろ考 え させ られ ま した」、(感 想23)「 一 人 一 人 、 前 で 発 表 す るの も、 い い感 じで した」 と い うよ うな 感想 が あ っ たが 、 一 方 で 、 次 の よ うな 感 想 が あ った。. (感 想24)「 数 人 の 感 想 を プ リ ン トに して配 布 す れ ば、 他 の 人 の 意 見 を参 考 に した りで き る の で良 い か も しれ な い 」 (感 想25)「2回. の レポ ー トと最 終 課 題 を通 して 、 イ ン タ ー ネ ッ トの サ イ トや 直 接 人 の 話 を. 聞 い た り して、 色 々 な こ とが 全 国 で 行 わ れ て い る こと を知 り、 よ か った。 も っ と それ にっ い て 話 し合 う時 間 が あ れ ば よ か った と思 う」 (感 想26)「. も っ と対 話 方 式 の 授 業 に す る と お も しろ く、 か っ 実 の あ る授 業 に な る の で は な. いで し ょ うか」. 一41一.
(14) 近畿大学教育論叢. 第14巻. 第1号(2002・10). これ らの感 想 は、 この 授 業 が 「特 別 活 動 の現 状 に っ い て学 生 自 らが 調 査 を お こ な い、 そ の結 果 を授 業 で報 告 す る とい う学 生 参 加 型 の 方 法 」 を 目指 して 「学 生 によ る調 査 結 果 の発 表 」 な ど を お こな った に もか か わ らず 、 学 生 同 士 の対 話 お よ び、 学 生 と教 員 との 対 話 を 促 進 す る よ うな 工 夫 が 欠 け て い た の で はな い か と い う こ と を示 唆 して い る。 そ して 、 この 対 話 不 足 が 一 因 と な って、 特 別 活 動 に 関 す る学 生 の 関心 が そ れ ほ ど 深 ま らず 、 「特 別 活 動 を 積 極 的 に実 践 しよ う と す る意 欲 」 の 明確 な 高 ま り に結 びっ か なか った とい え るの で はな い か と考 え られ る。 上 の よ うな感 想 を 手 が か りに して 考 え る と、 「特 別 活 動 に っ い て 学 生 自 らが調 査 ・報 告 をす る学 生 参 加 型 の方 法 を と って 実 践 へ の 意 欲 を高 あ る とい う 目標 を実 現 す るた め の方 法 上 の工 夫 が 不 徹 底 だ った の で は な い か 」 と い う仮 説 を た て る こ とが で き るの で はな いだ ろ うか 。 と は い え 、 こ の 「方 法 上 の工 夫 」 を お こ な う こ と は容 易 で は な い。 た と え ば 、 特 別 活 動 へ の関 心 を深 め る た め の 「対話 」 と して 討 論 の あ り方 を工 夫 す る と して も、学 生 が 調 査 ・報 告 し た内 容 だ け を も とに して討 論 す るの で は、 「熱 い 討 論 」(互 い の意 見 の対 立 や 葛 藤 を へ て 、 よ り 高 い レベ ル へ到 達 で き るよ うな 議 論)を 体 験 す る こ とは難 しい か も しれ な い。 と い うの は、 特 別 活 動 に関 す る 「熱 い討 論 」 の た め に は、 「特 別 活動 に よ って これ ほ ど大 き く生 徒 が 成 長 した」 と い う成 功 例 を共 有 す る こ とで 特 別 活 動 の 教 育 的 可 能 性 の大 きさ を学 生 に実 感 させ る よ う な過 程 が 必 要 で あ る が、 そ う した成 功 例 が 学 生 た ちの 調 査 ・報 告 だ け か ら得 られ る こ と は、 現 在 の 学 校 を め ぐる一 般 的状 況 か らい って 、あ ま り期 待 で きな い か も しれ な いか らで あ る。 教 員 側 が 、 「特 別 活 動 に よ って これ ほ ど大 き く生 徒 が 成 長 した」 とい う成 功 例 を学 生 に 示 し、 特 別 活 動 の 教 育 的 可 能 性 の大 きさ を学 生 に実 感 させ るよ うな 工 夫 を も っと お こな う必 要 が あ る と考 え られ る。 この よ う な工 夫 を模 索 しな が ら、 今 後 も 「特 別 活 動 の 現 状 にっ いて 学 生 自 らが調 査 を お こな い、 そ の 結 果 を授 業 で報 告 す る」 活 動 を と りい れ た 「特 別 活 動 論 」 の授 業 づ く りに取 り組 ん で い きた い と考 え る。 な お、 こ れ ま で挙 げ た以 外 に も、 この 実 践 に関 して は課 題 が 残 さ れ て い る だ ろ う。 例 え ば 、 特 別 活 動 を指 導 す る うえ で十 分 な 基 礎 基 本 の 知 識 を 学 生 た ち に提 供 で きた か ど うか、 とい う観 点 も もち ろん 重 要 な の で、 学 生 参加 型 の 授 業 を 追 求 しなが ら も、 時 間 的 制 約 の な か で重 要 な 知 識(た. とえ ば生 徒 集 団 に対 す る指 導 方 法 や ガイ ダ ンス機 能 、 外 国 で の教 科 外. 活 動 な どに っ い て も)を 効 率 よ く学 生 に伝 え られ る よ う、 内 容 構 成 の さ らな る検 討 が 必 要 だ ろ う。 ま た、 受 講 人 数 に応 じた 課 題 もあ る だ ろ う。 今 回 は約30名. で あ っ たが 、 これ よ り多 い場. 合 に は学 生 参 加 の方 法 にっ いて さ らに新 た な工 夫 が必 要 だ と考 え られ る。 こ う した課 題 にっ い 一42一.
(15) 学生 による調査 ・発表 を中心 に した 「特別活動論」の授業 て も 日々、 改 善 に つ とあ て い く所 存 で あ る。 本 稿 で の実 践 は、 学 生 の意 欲 と実 践 的 指 導 力 を伸 ば す た め に教 職 課 程 の授 業 を どの よ う に改 革 して い け ば よ い の か 、 とい った 問 題 にっ いて の一 っ の試 み で もあ る。 今 後 、担 当 して い る他 の科 目 にっ い て も実 践 上 の試 み を して い き た い と考 え て い る。 最 後 に、 と も に この 「特 別 活 動 論 」 の 授 業 をっ く って くれ た学 生 諸 君 に心 か らの 感 謝 の 気 持 ちを 記 して お きた い。. 注 r 山 口 満 『新 版 特 別 活 動 と人 間 形 成 』 学 文 社 、2001年. 新 訂 、ii。. 2 文 部 省 『中学 校 学 習 指 導 要 領 」1998年12月14日. 。. a 下 田 好 行 「特 別 活 動 を指 導 す る実 践 的 力量 養 成 に向 け た講 義 の 試 み 一 教 職 専 門 科 目 『特 別 活 動 の 理 論 と実 践 』 に お け る教 育 内容 ・方 法 の 開 発 を 中心 と して 」 『日本 特 別 活 動 学 会 紀 要 』 第9号. 、2000年. 。. 一43一.
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