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外光を考慮した照明の選好色温度実験

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Academic year: 2021

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136回 月例発表会(201108月) 知的システムデザイン研究室

外光を考慮した照明の選好色温度実験

本谷 陽

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はじめに

近年,オフィス環境への関心が高まっており光環境の 改善は知的生産性の向上に繋がることが報告されている (1),(2).光環境には照度および色温度等の指標があり,人 の生理および心理に影響を与える要因としてあげられる (3),(4).そのため著者らは,オフィスワーカが求める照度 および色温度を提供する照明システムを提案している. しかし,照度と色温度の組み合わせを選択することは煩 雑であることから,照度を選択すればその照度に適合す る色温度を提供する方法が求められる.しかしながら, 照度に適合する色温度は,外光の照度や色温度によって 変化する可能性がある. そこで,本研究では著者らが構築した任意の照度およ び色温度を実現する照明システム(5)を用いて,外光を考 慮した照明の選好色温度実験を行う.その結果から,外 光によって色温度の選好に変化があるのかについて検討 し,どのような特徴があるのかを見出す.

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外光を考慮した照明の選好色温度実験

2.1 実験の概要 著者らが構築した任意の照度および色温度を提供する 照明システム(5)を用いて,外光を考慮した照明の選好色 温度実験を行う.まず,被験者(10名)は外光がない状態 で執務に最適であると感じる色温度を選択する.その後, 被験者(14名)は外光がある状態で,執務に最適である と感じる色温度を選択する.外光はブラインドを調整し, 直射日光が入らない状態にする.また,色温度の選択範 囲は3000∼7500Kまでを500K刻みに選択可能とする. 被験者は一人一日とし,11時,14時および17時(冬季 は16時半)にそれぞれ一回ずつの計6回行う.なお,照 度は基準照度である750 lxを保つ. 2.2 外光の照度および色温度の測定 外光を考慮した選好色温度実験を行うに当たって,外 光の特徴を知るために外光の照度および色温度の測定を 行った.期間は7月14日から8月11日の約一ヶ月間 で,場所は同志社大学香知館知的オフィス環境創造シス テム実験室の南側窓に色彩照度計を設置し,測定を行っ た.測定環境を上面から見た図をFig. 1に示し,測定し た外光の照度および色温度のうち,代表的な結果一日分 をFig. 2に示す. Fig. 2より,南側の空では照度は午前中に最も高い値 となることが分かった.また,色温度に関しては日の出 および日の入りの時刻に上昇することが分かった. 7.2m 6.0m 0.6m 0.6m N S E W LED Chroma sensor Fig.1 外光の測定環境 Fig.2 外光の測定(7月23日晴) 2.3 実験の結果 外光がない状態で選好色温度実験を行った結果をFig. 3,Fig. 4に示す.Fig. 3は14時の選好色温度に特徴が あり14時の選好色温度が最も高いおよび最も低い被験者 を示し,Fig. 4は14時の選好色温度に特徴がなく,徐々 に選好色温度が高くなる被験者および低くなる被験者を 示す.なお,被験者10名をA∼Jと表す.Fig. 3および Fig. 4より,被験者のうち11時,14時および17時(冬 季は16時半)のすべての時刻において同じ色温度を選択 する被験者がいないため,選好色温度は時刻によって異 なることが分かる.また,人によって選好色温度の変化 パターンが異なることが分かる. Fig.3 14時の選好色温度に特徴のある被験者 13

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Fig.4 14時の選好色温度に特徴のある被験者 次に,外光がある状態で選好色温度実験を行った結果 をFig. 5∼Fig. 8に示す.なお,外光がない状態の実験 結果をさらに細かく選好色温度の変化パターンで分け, 昼の選好色温度が最も高いタイプをFig. 5,徐々に選好 色温度が高くなるタイプをFig. 6,徐々に選好色温度が 下がるタイプをFig. 7および昼の選好色温度が最も低い タイプをFig. 8に示す.被験者14名をA∼Nと表す. Fig. 5∼Fig. 8より,外光がない状態での実験結果同 様,選好色温度が時刻によって選好色温度が異なること が分かる.また,14時に選好色温度が最も高くなる被験 者が最も多い.外光がある状態とない状態の実験結果を 比較すると,多くの被験者が外光がある状態の方が外光 がない状態より選好色温度が高くなることが確認できる. また,11時と14時の場合は外光がある状態の方が外光 がない状態より選好色温度が高い被験者が多いのに対し て,17時の場合は外光がない状態の方が選好色温度が高 い被験者が多い.そのため選好色温度は,外光照度が高 い朝や昼には外光色温度の影響を受けるの対して,外光 照度が低い夕方には外光色温度の影響を受けないと考え られる. 外光を考慮した照明の選好色温度実験を行い,外光が ある状態と外光がない状態の照明の選好色温度を比較す ることで,外光を考慮した際の選好色温度の傾向が明ら かとなった.そのため,オフィスワーカに対して外光を 考慮した色温度を提供することで,今後のオフィスにお ける知的生産性および快適性の向上を考える際に参考に なると考えられる. 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 1 2 3 C o lo r te m p re ra tu re [ K ] Time [hour] M B C D F I J L 11時 14時 17時 Fig.5 昼の選好色温度が最も高いタイプ 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 1 2 3 C o lo r te m p e ra tu re [ K ] Time [hour] K 11時 14時 17時 Fig.6 徐々に選好色温度が高くなるタイプ 11時 14時 17時 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 1 2 3 C o lo r te m p e ra tu re [ K ] Time [hour] N E 11時 14時 17時 Fig.7 徐々に選好色温度が下がるタイプ 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 1 2 3 C o lo r te m p e ra tu re [ K ] Time [hour] H A G 11時 14時 17時 Fig.8 昼の選好色温度が最も低いタイプ

参考文献

1) 大林史明,富田和宏,服部瑤子,河内美佐,下田宏,石井祐 剛,寺野真明,吉川榮和:オフィスワーカのプロダクティビ ティ改善のための環境制御法の研究-照明制御法の開発と実 験的評価,ヒューマンインターフェースシンポジウム2006, Vol.1,No.1322,p.151-p156,2006

2) Peter R. Boyce,Neil H. Eklund,S. Noel Simpson:

Indi-vidual Lighting Control: Task Performance, Mood, and Illuminance,JOURNAL of the Illuminating Engineering

Society, pp.131-142,Winter 2000 3) 石田享子,井上容子:くつろぎ空間に求める雰囲気と明る さに関する研究 第2報 -壁面の色とランプの色温度につ いて-,日本建築学会近畿支部研究報告集,p13-p16,2001 4) 社団法人 照明学会,照明ハンドブック,オーム社, 2003 5) 谷口由佳,三木光範,吉見真聡,要求された照度・色温度を 実現するLED照明システム,照明学会全国大会講演論文 集, pp. 196-197, 9, 2011 14

参照

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