システム/制 御/情 報
,
Vol.
50,
No.
8,
pp.
321−
326,
2006 321 講座
現 実 世 界 と
仮
想 世 界 を融
合
す
る
複 合
現
実 感技
術
一
V
拡
張 現
実 感
の
具
体 例
横 矢 直和
*1 .
は じ めに 複 合現実 感 (MR
)の中で,
前回は,
仮 想 世 界のtt
”
r一
的な デー
タ を現 実 世 界に 重 畳表 示 するこ と に よっ て現 実i
ロ堺 を増 強・
強 化 する拡 張 現 実 感 〔AR
:Augmented
Reality)における技 術 課 題とそれ を解 決 する基 本 的な方 法 論につ い て述べ た[
1]
.
今 回は,
その続 編として,
AR システム を実 現 するための代 表 的 なビジョ ン ベー
ス の ソ フ ト ウユ ・ア ツー
ル とい くつ かのAR
システ ムの 構 築事例 を 紹介す る.
具 体的 に は,AR
シス テム 構 築用パ ッ ケー
ジ,
協 調 型AR
シ ス テ ム,
ウェ ア ラブルAR
システ ム,
投 射 型AR
シ ステムを取 りヒげ, 以 卜.
の事 例を紹 介 する.
・ 拡 張 現 実 感 構 築ツー
ル ARToolKit とそ れ を利 用 したデス ク トッ プ型 拡 張 現 実 感シ ス テ ム
[
24 ]
・ 対 戦 型ゲー
ム を 実現する協 調 型 拡 張 現 実 感システム
[
5]
・ 屋 外で の観 光 案 内をH
的と し たウェ ア ラブル拡 張 現実 感シ ス テム
[
6]
● プロ ジェ ク タを用い た 実 物 体へ の映 像 投 射による投射 型 拡 張現実 感システム
[
7]
最 初の 「 つ の例 は初 期のAR
研 究か ら盛ん に取り組 ま れ たデス ク トッ プ 型のAR
シス テム であ り,
最初 に単一
ユー
ザ を想 定し たシ ス テ ム を紹 介し,
つ ぎに, 複 数ユー
ザ がAR
空間を共 有 する協 調 型シ ス テ ム の代 表 的な例を 紹 介 する.
三つ 目の シ ステムは,
近 年 研 究が盛ん になっ てきた ウェ ア ラ ブル コ ンピュー
タ 巳でAR
を実現する例 で あ る.
最後の例 で は,
スマー
トプロ ジェ ク タ研 究の一
環と しての 投射型AR
シ ステ ム を紹 介 する.
2
. 拡
張 現実感構 築
ツー
ルARToolKit
とその
利
用例
AR にお ける最 も基 本 的な 問 題である現 実 世 界と仮 想 世界の幾何 的位 置 合せ を行 うソ フ ト ウェ ァッー
ルに,
ビ ジョ ンベー
ス トア プロー
チ [1
]に よ る加 藤ら に よっ て開発 さ れ たARToolKit
[21があ り,
ビ ジョンベー
ス のAR
シ ス テ ム を構 築 するうえで の基 本ツー
ル と なっ てい る.
以 ドで は,ARToolKit
の概 要と利 用 例を紹 介 する.
’
奈 良 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 情 報 科 学矧究 科Key ivof
・
ds: mixed reality , allgmellted reality.
AR ail・
h ckey、
ARTo 1Kit, Nat・
a.
Pala.
ce Site navigat・
or、
projection−
based AR.
2 .
1
ARToolKit
ARToolKit
は,
正 方 形マー
カをカ メラで撮 影し,
マー
カの4
頂 点の 画 像 中 での 座 標 値 か ら,
コ ン ピュー
タ ビジ ョ ン分 野に おけるPnP
(Perspective
n−Point
)問 題[
8]
(
ll=
4)を解 くこ とによっ て,
ユー
ザ視 点 位 置に取 り 付 け られたカ メ ラ の位 置・
姿 勢とマー
カ座 標 系との関 係 を計 算 する,
カ メ ラ に よ る撮 影 か らAR
表 示 まで の具 体 的 な手 順は以 ドの通 りである (第1
図 参 照 ),
(1)カメ ラ か ら 人 力 さ れ た 画 像 を しきい値 処 理 に よっ て 2値化 す る.
(
2)
2値 画像の連 結 成 分 処 理の後,
正 方 形マー
カ領 域を 抽 出し, 正 方 形 領 域の内 部パ ター
ンか らマー
カ ID を 認 識 する.
(3)
正方 形 領 域の4
頂 点の画 像 内での座 標 値 と使 用 す る カメ ラの 内 部パ ラメー
タ か ら,P4P
問 題を解 く こ とに よっ て,
マー
カ 座標 系で の カメ ラ の位置と 姿 勢を計 算す る.
(
4)
ステッ プ(
2)
,(
3)
で得 られ た情 報 を用いて, マー
カID
に対 応 する仮 想 物 休 (3
次 元CG
オ ブ ジェ ク ト) を描画 す る,
薩像入 力ゆ
闘
◇
「司
二鐙 化 マー
カ検畠 弓 CG 合 成◇
食
佼畷 姿 勢訂算 第 1 図 ARToolKit における処 理の流れ (大阪大 学・
加 藤 博一
氏の厚意に よ る) 長 方 形マー
カをカ メラで撮 影してマー
カ とカ メラ との 幾 何 的 関係を求め ること は,
コ ンピュー
タビジョ ン の分 野における カメ ラ キャリ ブ レー
ショ ン[8]な ど で古 くか ら行わ れてお り,
VR 空間の操 作インター
フェ イス [9]へ の応 用 も以 前 からあるが,ARToolKit
は,
非 専 門 家で も 上 記の一
連の 処 理 によっ て ビデ オシー
ス ルー
型の AR シ ス テ ムを 容 易 に 構 築 できる ように,
。 正方 形マー
カ を利 用して幾 何 的位 置 合せ を行う画 像 処 理・
コ ンピュー
タビジ ョ ンラ イ ブラ リ322 シ ス テ ム/制御 /情 報 第 50巻 第8号 (2006) ・ パ ラメ
ー
タ取 得な どの た め のユー
ティリ ティプロ グ ラム ● サン プルア プ リ ケー
シ ョ ンプロ グ ラム か ら な るソ フ ト ウェ ア パ ッケー
ジ と して ま と め た と こ ろ に価 値がある.
AR
の 入 門 用ソ フ ト ウェ ア と して の 評 価は高 く,ARToolKit
の利 用に関 する国 際 会 議 も開 か れた[
10,
11]
.
な お,
ARToolKit の最 新バー
ジ ョ ン は,
GNU
GPL
の もと で利 用 可 能 な ものがSourceForgc
で 管理 さ れ てい る[12
].
こ の ソ フ ト ウェ ア は,
基 本 的に,
マー
カ を用い てAR
のた めの幾 何 的位 置 合せ を行 う もの で,3
次 元 グラ フ ィッ ク ス機 能 を 備 えたPC とそ れに接 続口∫能 なカ メラおよ び マー
カがあれば,
簡 易 的 なAR
システムを容 易に構 築で きる とい う特 長 をもっ てい る.
た だ し,
幾 何 的位置 合 せ が う ま くい く た め に は カメ ラが 常 にマー
カ を撮 影し続 け る必 要がある.
し た がっ て,
広 範 囲に多 数のマー
カ が配 置 され, ユー
ザ が 自 由に動 き回る よう なア プ リケー
シ ョ ン で は,
撮 影 するマー
カ を切 り替 え なが ら連 続 的に位 置 合せを行 うた めの工夫が必 要になる.
現在の 幾 何 的位 置 合せに関 する 研究の主流 はマー
カの代わ り に シー
ン内の 自然 特 微 点を 追跡 するア プロー
チに移っ て いる.
こ の場 合,ARToolKit
を その ま まで は利 用で き ないが,
基本 的 な 枠 組として は有効であ り, ロ バ ス トな 自然 特 徴 点 追 跡 手 法の実 装に よ る機 能 拡 張が期 待さ れ る.
22MagicBook
デス ク トップ 型の シス テム を中心に,AR
]7001Kit
を 用 い た数多くのAR
アプ リ ケー
ショ ンが開発さ れ,
最 近で は,PDA
に実 装さ れ た複 数ユー
ザ に よ るAR
ゲー
ム [131 も存 在 する,
以.
ドで は,
ARJ[bolKit の開 発 者ら に よ る初 期の応用 例である MagicBook [3,
4]を簡 単に 紹介 する.
眼 鏡 型’
ディスヅ レイ カ メ ラ スイツチ 角 度センサ/
・
…Pt
一
マー
カ 第2 図 MagicBook の シ ス テ ム構成と利 用 して いる様子 (大 阪 大学・
加藤 博一
氏の厚 意に よ る)MagicBook
は絵 本の メ タフ ァ を利 用 し たAR
アプ リ ケー
シ ョ ンで あ り,
ペー
ジ を識 別 する た めのID 付 き正 方 形マー
カを 印 刷 した本とカ メラ付 き眼 鏡 型デ ィスプレ イ か ら なる (第2
図 参 照 ),
ARIbolKit によっ てマー
カ の識 別 と幾 何 的 位 置 合せを 行い,
仮 想 物 体 をマー
カ上に 重畳合 成 する こと によっ て ビ デ オシー
ス ルー
型AR を実 現 している.
本の 各ペー
ジにはマー
カID
に対応 した コ ンテン ッが関 連づ け ら れ て おり,
ユー
ザ は通 常の 本と同 様にペー
ジ を め くる操 作に よっ て次々 に新しい コ ン テ ン ツを見るこ と がで きる 立体 絵 本で ある.
MagicBook では,
こ の ようなAR
モー
ドに加えて,
ス イッ チの切 り替 えによっ て,
本の上 に表 示され てい る3
次元 仮想世 界 に 入 り込 み,
仮 想空間 を自 由に 見 回 すVR
モー
ド も用意さ れてい る (第3
図 参 照).
この 場 合に は,
眼鏡 型ディス プレイの下 部に取 り付 けられ た角 度センサ を利 用 する.
(a)AR モー
ド 〔b)VR モー
ド 第3 図 Ma.
gicBQokの AR モー
ド とVR モー
ド 伏 阪 大 学・
加藤博一
氏の厚意に よ る)3
.
協 調 型拡
張 現実感
シス テムAR2
ホ ッ ケー
シス テム 複 数のユー
ザ が互い に相 手を視 認で きる位 置 関係で現 実 空 間 と仮 想 空 間 を 共有し な が ら協同 作 業 を 行 うAR .
シ ステム は一
一
般 に協調 型AR
と よ ば れ る.
要 素 形 状の組 立 に よっ て 3次 元形 状モ デ リン グ を行 う協 調 型AR
システ ム[
14]
なども 開発 されてい る が,
こ こ で は,
対 戦 型 ゲー
ム をAR 技 術 を用い て実 現 した初 期の研 究 例で多 くの デモ にも供さ れた
AR2
(Augmcntcd
Reality
AiR
)ホッケ
ー
シス テム[
5]
を紹 介 する.
通常のエ アホッケー
は,
テー
ブル を 挟 んで対峙す る2 人の プレイ ヤ がマ レ ッ ト を用いて テー
ブル上のパ ックを 打 ち 合い, 相 手の ゴー
ル に入 れる とい うゲー
ム である.
AR2
ホ ッ ケー
で は,2
人の プレイヤ が光 学シー
ス ルー
HMD
を 装着し,
手に持っ た実 物 体であるマ レッ トで 現一
.
34 一
横 矢 :現 実 世 界と仮 想 世 界を融 合 する複 合 現実 感技 術
.
−
V323
実の テー
ブ ル上の仮 想のパ ッ クを打ち 合う.
操 作 対象と な るの は仮 想パ ッ クのみである.
第4図に実 際のプレイ 風景 を示す,
こ のように,
プレイヤ は互い に対 戦 相 手を 視 認し な が ら,
通常のエ ア ホッケー
と同 様の駆 け引 きが 口∫能になる.
これ が VR ゲー
ム にはないAR
シ ステム の 大 きな特 長である.
(nt.
)第三者 視点か ら見た様子 (h)プレイヤ の視界 第 4 図 AR2 ホッケー
の プ レ イ風 景 位 命館大学・
大 島 登 志 氏の厚意に よ る) ユー
ザの移 動 範 囲が限 定さ れ る デス ク トップ型のAR
シ ス テ ム で は,
現 実 田堺 と仮 想 世 界の時間 同期が容 易な こ と から ビデ オ シー
ス ルー
方 式の表 示を行 うこと が多い が,
こ こ で は光 学シー
ス ルー
方 式を採 用して い る.
これ は,
駆 け引きの た め に 即応 性が要 求 される対 戦 型 ゲー
ム において,
ユー
ザ間の 完全な実 時間性 と同 期 を保 証 する こ と を優 先し た た め で あ る.
し か し その分,
幾 何 的位 置 合せ に伴 う現 実 世 界と仮 想IU
:界の時 間ず れの抑制 に対 す る 要求が厳しくなる.
AR2 ホ ッケー
シ ス テ ム で の幾 何 的 位 置 合せ で は,
以下の ように,
セ ンサベー
ス の手 法とビ ジョ ンベー
ス の手 法を組み合わせ た 方式を採っ てい る.
幾 何 的位 置 合せ:幾 何的位 置合せ に必 要 なユー
ザ 視 点の 位 置・
姿 勢 計 測に は,
まず,VR
シス テム で よく使 用 されて いる3次 元 磁 気センサ を 用い,
視 点付 近に 取り付けた小 型カ メ ラ で撮 影したテー
ブル上のマー
カの画像 内で の位 置 情 報から3次 元 磁 気セ ンサの計 測 誤 差をigi
.
iEす る.
こ の補正過 稈で は,
磁 気セ ンサ の計 測 値に 基づ く計算上の マー
カ の画 像 内で の位 置 と実 際のマー
カ位 揖の誤差 を相 殺す る ようにユー
ザ 視 点の位 置・
姿 勢 値を修正する.
も う一
つの重 要 な 計 測は仮 想パ ッ ク を打つ マ レッ トの 位置計測である.
マ レッ ト上にマー
カを配 置し,
位 置 合せ に使用するユー
ザ 視 点カ メ ラ で撮 影 し た画 像か らマ レ ッ ト位 置を計算す ること が考えら れ る が , 本シ ス テ ム では 安 定動 作を 重視し て,
以 下 の ような方 式 を採っ てい る.
マ レッ トの位 置 計 測 :マ レッ トに 上向きに赤 外 線 発 光 ダ イオー
ド を取 り付 け,
テー
ブ ルの真上 に 設置し たカ メラで赤 外 線を と ら え,
画 像処 理 に よっ てマ レッ ト 位置 を求め る,
光 学シー
ス ルー
方式の採用 によっ て生じ る大き な問題 は,
幾 何 的 位 置 合せ とCG
映像の 描画 に伴 う現 実 世 界に 対 する仮想 世 界の提 示の時 間遅れ で あ る.
AR2
ホッケー
システム では,
サー
バ・
ク ライア ン ト方 式に 基づ く並 列 分 散 処理 に よっ て,
時 間 遅 延を抑 制 する と と も に,
時 間 遅 延 が累積 し ない ように プロセ ス管理 を行っ てい る (第 5図 参照 ),
以E
述べ た ように,
AR2 ホ ッ ケー
シ ス テ ム で は, 即 応 性が要 求さ れ る対 戦ゲー
ムを題材に,
ユー
ザ の違和 感の抑 制と安 定 動 作を最 優 先 し た協調型AR
シ ス テムを構 築 して いる.
:/ 測 〕 第5図 AR2 ホッケー
にお ける プロセス構 成 位 命 館 大 学・
大 島 登 志 氏 の厚 意に よ る)4 .
ウ
ェ ア ラ ブル拡 張 現
実感
シス テ ム平
城
宮跡
ナ ビ 近 年,
ウェ ア ラブル コ ンピュー
タ上で拡 張 現 実 感を実 現 する ことに よっ て,
広域環境 中 を自由 に 動 き回 るユー
ザに対して場 所 依 存情 報の実 時間提示 を 行 うウェ ア ラブ ル拡 張 現 実 感シ ス テム の研 究が盛ん に行わ れ る ように なっ てきた.
こ の た めの枠 紺として, ネッ トワー
ク 上の サー
バ に注釈デー
タベー
ス を用 意し,
情 報 提 供 者とウェ ア ラブル コ ン ピュー
タユー
ザの両 者がネッ トワー
ク を介 し て場 所に依存し た注釈情報を 実 時間 で追 加・
更 新・
閲 覧で きる ネッ トワー
ク共 有型注 釈デー
タベー
ス [15
]が一
般的にな りつ つ ある (第6図 参 照 ).
以 下では,
ネッ ト ワー
ク共有型デー
タベー
スに基づ く無線 ネッ トワー
ク環 境で利用 可能な ウェ ア ラ ブル拡 張 現 実 感シ ステムの例 と して’
ド城 宮 跡ナビ [6
]を紹介する.
平城宮 跡ナ ビ は,
’
ド城 宮 跡に代表さ れ る遺 跡や観 光 ス ポッ トが点 在 する地域 におい て観 光スポッ ト問のナ ビ324
シ ステム/制御/情 報 第 50巻 第 8号(2006) ぎ
…tt
囎 囃纈 輸 鑒逓 蟹 灘 萋,
纖黷蕪 蕪獸
1
臨
・總
位 置 依存情 報 の提供者 サー
バ騾
.
撚
A
”◆ ◆◆
幽
…
≦
:
:
:
:
;
驪
鱸
ウェア ラ ブ ル PCのユー
ザ ■レ
有線… ワー
・… レ 爛 ネ・・ワ
ー
・ 第6図 ネッ ト ワー
ク共 有型注 釈デー
タベー
ス の枠 組 ゲー
シ ョ ンと観 光スポッ トでの ガイドをH
的 としてお り,
ネッ トワー
ク共有型 注釈デー
タベー
ス の枠 組を採用 す る とともに,
情 報 提 示 端末と して,
(
1
)ウェ アラ ブル コ ン ピュー
タ(小 型ノー
トPC , HMD , 位 置・
姿 勢センサ,
小 型ビデオカ メ ラなどを 含 む)(
2)
PDA (位 置・
方 位セ ンサ,
小 型ビ デ オ カメラを含む)(
3)
携 帯 電 話 (位 置セ ンサ,
ノ」型ビデ オ カメ ラを含む) の3
種 類 を想 定 し,
表示 能力の異な る端末を サ ポー
ト できる サー
バ・
クライア ン ト方 式の シ ス テ ム アー
キテ ク チャを採っ て い る とこ ろ に特 徴がある (第7図 参照).
こ の端 末 非 依 存 性 を実 現 するため の主 要 な工夫は以下の通 りで ある.
● サー
バ に格 納さ れ る場 所に依存し た情報 (コ ンテ ン ッ)に は,
そ れを従 示で きる端 末の タ イ プに関 する 情報を付 加 する.
● ク ライア ン トはネッ ト ワー
クを介して,
端 末タイプ とユー
ザの位 置・
姿 勢 悁 報 をサー
バ に常 時 送 信す る.
● サー
バ は ク ラ イ アン トの端末タ イ プ と位 置・
姿 勢1
青 報に基づ い て,
ユー
ザの眼 前の シー
ンに関 連 付 けら れ たコ ン テンツ の中か ら端 末 側で提 示 可 能なもの を 送択 して ク ライア ン トに送 信 する.
本システ ムが提 供 する卞なコ ン テ ンツは,
対象とする 現 実10
堺 に関 連した映 像,
音 声,
ウエ ブマ ッ プ,CG
物 体 像,
注 釈テ キス トである,
本シス テ ム に関して は,
イン ター
ネッ トカー
を 中 心 とする ア ドホ ッ クネッ トワー
ク を 構 築 し て 平 城宮跡 内 において実 証 実 験が行われ た.
実験 で は,
ネッ トワー
ク 共 有 型 注釈デー
タベー
ス を含む サー
バ お よ び無 線LAN
(IEEE802.
11b
)の アクセ ス ポ イン ト を平 城 宮 跡 内に仮 設し,
無線正AN
の電 波 強 度を 上げる た めに遠 距 離 通 信 用 無 指向性 屋 外ア ン テ ナ を用い て3
種 類の ク ライアン ト端 末を持つ 複 数のユー
ザに対 して観 光 案 内 を行っ た.
こ のときの HMD を装着 し た ウェ ア ラ ブル コ ン ピュー
タ ユー
ザへ の 提 示 画 像の 例 を第 8図 に示す,
第8図には,
平 城 宮 跡に おける復 元さ れ た未雀 門へ のナビゲー
ショ ン とビデ オ映 像を父え た説 明 (左.
k
), 「城 遷 都1300年記 念 事 業の一
環として復 元 作 業 が 行われてい る第一
次 大 極 殿 跡 地へ の ナビ ゲー
シ ョ ン と大 極 殿の歴 史や構 造に 関す る テ キス トに よ る説 明 (右 上),
第二次 大 極殿 跡 地前で のCG
像の 重畳 合 成 と 音声案 内 (左 下),
第二次 大 極 殿 の基 増 に おい てCG
に よ り仮 想 復 元さ れ た大 極 殿 内部か ら外を眺め た様 子 (右 下 )が示 されてい る.
な お, こ の 端 末タイプ(
1)
で の幾 何 的 位 置 合せ の た めのユー
ザ視 点 の位 置・
姿 勢 計 測は,GPS ,
歩 数 計測 お よ び姿勢センサ によっ て行っ てい る.
また,AR
環境の提 示には ビデオ シー
ス ルー
方 式 を採用 してい る.
樋
第8図 平 城 宮 跡で の ウー
L ア ラブルコ ン ピュー
タユー
ザへ の 提 示 両 像5 . 投射 型拡
張現 実感
システム コ ノピnt−
Pt クラ イア 姉 無滅 端 末情 報,
ユー
ザ位 置・
姿 勢 鯛 覊 瀬 蝿蜘鸚
噸
嬲
觀 ) ノテソ ノ デー
タ 嚇一
N 第7 図 平 城宮跡ナ ビ が ネ ッ トワー
ク環 境でサポー
トす る3 種 類の ク ラ イ アン ト端 末 VR におい て は,
CAVE
に代 表 さ れ る ように,
プロ ジェ ク タからの 映像 投 影に よっ て没入型 環 境 を構築す る こと が主流になっ てい る が,
投 影対象面 は形状 が既知の 固 定ス ク リー
ンであ る,
これに対 して,
近年, プロジェ ク タの小 型 可搬 化に伴い,
プロ ジェ ク タか らの映 像を現 実 環 境 巾の実 物 体に直 接 投 射 する こと によっ てAR
環 境 を構 築 する研 究が現れ て きた[
16].
以下 で は,
この投射 型AR
シ ステムの例[
7]
を紹介する.
実環境中の物体に映 像を投影し,
ユー
ザ が幾何歪み な く映 像を観 察で きる た めには,
ユー
ザ視 点 位 置と映 像 投一36 一
横矢 :現実世 界 と仮想 世 界を融 合する複合現実 感 技 術
一
V 325 Y.
valv Pittlz x 仮 想的な投 影 中心,
計 測 基 点 丁 計 測 基 点〆
・
:.
.
・
← 回 転ミラー
\■
■
一
.
!
夢
ダ イク咐 ・ラー
i
プ囗ジェク ター 一
レー
ザレ ンジファイン 中 心 十測 基 点 (a) (b) 第9図3次元計測機能 を 有 する映 像 投 影 装 置 ((a)溝 成
,
(b):外 観) (NTT コ ミュ ニ ケー
シ ョ ンズ・
島 村 潤 氏の厚 意に よ る) 影面の3
次元形 状 を計 測 する必 要がある,
ユー
ザ が自 由 に動き,
環 境 も動 的に変 化 する場 合には,
この計 測を実 時 間で行うと ともに,
幾 何 補T1−
1
済みの映 像 を実 時 間で提 示しなけれ ば な ら ない.
島村ら[
7]
は,
このため に第9
図 の ような,
プロ ジェ ク タ,
レー
ザレンジフ ァイン ダ,
回 転ミ ラー
,
ダ イクロ イック ミ ラー
か ら な る 映 像 投影装 置 を試 作して い る.
この装 置で は,
プロ ジェ ク タの投 影 光 が 到 達 する 奈点 の 3次元情 報を取得する た め に,
プロ ジェ ク タ とレンジ フ ァ インダの両 光軸方向 と投 影中心お よ び計 測 基 点 をダ イク ロイック ミ ラー
で一
致さ せて いる.
また,
広 範 囲の 映 像 投 影と形 状 計 測を実 現 する た めに,
プロ ジェ クタ と レ ンジフ ァ イン ダ の光 軋 前 方に回転 ミ ラー
を設 置してい る.
本シ ステム で は,
ユー
ザと実 際の映像 投 影 対 象の両 方が レン ジファ インダ で 同時に計 測でき, プロジェ ク タ はその画 角 内の対 象物 体に映像を投射 することが前 提に なっ て い る.
本シ ス テ ム の基 本 部であ るユー
ザ視点 (頭部)位 置の 計測 と投 影 映 像の幾 何 補正の概 要を 以 ドに示す,
ユー
ザ頭部 位 置の計 測: まず , レー
ザ レ ンジフ ァイン ダ で得ら れ る時系列距離 画 像の フ レー
ム間 差 分によっ て移 動 物 体の候 補 領 域 を検出する.
つ ぎに,
人 物 頭 部の形 状を球と仮 定し て,
移 動物体領 域の距離 画 像 から人 物 頭 部の 大き さ に近い 球を探 索し,
その 中心 位置をユー
ザの観 測 位 置とする.
な お,
遮蔽物体や 背景物 体の影 響に よ る外れ値を除 去するた めに,
球 を規 定 するパ ラメー
タ数に対 応 する 4点の反 復ラン ダムサン プ リン グ に基づ くLMedS 基 準に よ るロ バ ス ト推 定を採 用し てい る.
投 影 映 像の幾 何 補正: まず,
距 離 画像の3
次元点 をポ リ ゴン化 して実 環 境の 3次 元 形 状モ デル を作成 す る.
つ ぎ に,
観測位 置 を光 源と見 なし て,
四角 錐で構成 さ れ るユー
ザの視 体 積 内に含 まれ るポ リゴ ン モ デ ルに対して
Projective
Tcxture
法[
17]
によっ て入力 映 像を逆 投 影 する.
最 後に, こ の逆 投 影さ れ たCG
モ デル を プロ ジェ ク タ の仮 想 投 影 平 面に透 視 投 影 する こ と に よっ て,
プロジェ ク タ か ら投 射 すべ き幾 何 補.
[E
像を得る。
実 際に観 察 者を含む動 的な環 境に おい て映像提 示 を 行っ た例 を第10図に示 す.
同 図の上段には環 境中の観察 者の様了・
,
中段に は距 離 画 像上で検 出さ れ た観察者の頭 部位 置,
ド段には観察者 視 点か ら見た提 示 映 像が示さ れ てい る,
こ こ で紹 介し た システムで は,
動的実環境へ の実 時 間 補 正 映 像 投 影に よっ て投 射型AR
を実現 し てい る,
ただ し,
補 正 処 理は幾 何 補正のみであ り,
映 像が投射さ れ る 実 物 体 表 面の反射 特 性の不均一
に よ る色 ずれ を補正する 光 学補 正 は 行 わ れてい ない.
光 学 補IE機 能の導入によっ て,
「どこ で も ディプレイ」 「スマー
ト プロ ジェ ク タ」[
ユSl の 実 現が期 待さ れ る,
ま た,
現状の 試作シ ステム は比 較 的大 き く据え置 き型の シス テ ム に なっ てい る が,
プロ ジェ クタ とレ ンジファインダの小型化が進めば可搬 型シ ステム も可能となろ う.
6 .
お わ り に 本 稿で は, 連 載 講座 「現 実世界と 仮 想IUr
界を 融 合 す る 複合現実 感 技 術 」の第五 回と して,
前 回述べ た 電子的 な デー
タを現実世界に重 畳 表 示 するこ とによっ て現 実 世 界 を増 強・
強 化す る拡 張現実 感の具 体 的 なシ ステム を紹 介 し た.
いずれも試作システム の段 階であ り,
1
垠定 され た 環 境で の実 証に と ど まっ て い る が,
今後は,
これらの プ ロ トタイ プシ ス テ ム の発 展 形と して実 利用 可能な システ ムの出現が期 待され る.
(
2006 年5月4日受 付)
参 考 文 献 [1]横 矢:現 実 世 界と仮 想 世 界を融 合す る複 合現実感技 術一
IV 拡 張 現 実 感の方 法 論:シ ス テ ム/制御 /情報.
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