• 検索結果がありません。

〈医学教育シリーズ〉Hidden curriculum から見たPBLテュートリアルの効果

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "〈医学教育シリーズ〉Hidden curriculum から見たPBLテュートリアルの効果"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)近畿大医誌(MedJKi nkiUni v)第36巻1号. 3 9∼42 2 011. 3 9. Hi dd e nc ur r i c u l umから見た PBLテュートリアルの効果 尾. 理. 近畿大学医学部第2生理学教室. 抄. 録. 平成10 年に近畿大学医学部の医学専門教育に Pr (PBL)テュートリアルが導入されて1 3 年 obl e mbas e dl e ar ni ng が経過した.2学年から4学年までの3学年の学生に同じ内容のアンケートを実施することが出来た平成2 0 年の結 果の内,通常の講義では測定し難い項目について. 析した.問題解決能力が身に付いたと. える学生は2年生で約. 6割,3年生では75%程度の学生,4年生で役6割であった.討論に慣れたと言う学生は2年生および3年生で約 9割弱,4年生で約8割弱であった.自己学習習慣が身に付いた学生は,2年生および3年生で6割強,4年生で 5割強であった.このように PBLテュートリアルの hi dde nc ur r i c ul um としての問題解決能力,コミュニケーシ ョン能力および自己学習習慣について効果があったと言える.これらの学生が卒業後1 0 年∼2 0 年経過した場合の 析を大学が同窓会等と協力して行なう必要がある. (Pr Ke ywor ds:PBL obl e mbas edl e ar ni ng)テュートリアル,問題解決能力,コミュニケーション能力,自己学 習習慣. はじめに. 接的な形で学生に接する.学生達はグループ討論で のプロセスを通して,他人との意見の相違がなぜ生. PBL(Pr obl e mbas e dl e ar ni ng)テュートリアル は,近畿大学医学部での学生教育に平成5年に1年. じたか,あるいは自己学習してきた成果が他の学生. 生に導入された.当時としては少人数教育の画期的. の内容を深化させていくのが特徴である.. なモデルであったが,テュータの役割を理解して貰. とどう違うのか,などを自. 自身で気付いて,学習. 学生は抽出した問題について自. の. えを述べ,. うのに大変であった.その後平成1 0 年に2年生以降. 他人の意見と比較して討論を進め,理解を深めてい. の医学専門教育を対象にして PBLテュートリアル. く.その際テュータは教える人ではなくて,つまり. が全面的に導入された .導入の時期は我が国にあっ ては東京女子医科大学,岐阜大学医学部などに続く. t e ac he rではなくて,気付かせる人です.特に一つの 問題の討論に集中して時間が過ぎてしまうような. もので,比較的早期の導入であったと言える.. 時,あるいは一つのことに討論が集中してその他の. この PBLテュートリアルは学生を7∼8人の少 人数グループに. け,それぞれのグループに一人の. 問題に気付かない時タイムマネージメントについて 適切なアドバイスをする.. テュータがつく(人数の文献).少人数の学生達が入. 学生達はグループ討論を上手に進行させるリーダ. る小部屋で,学生がグループで討論を主体にしなが. ー役,および討論のプロセスを記録する書記役目を. ら問題抽出および問題解決を学生自ら行っていく.. 代しながら担っていく.これにより,リーダーシ. そこには自学自習が必須で,従来の学問領域の枠を. ップが養成されることになる.このような少人数の. 超えて統合的,学際的な教育ができる .医学部2年. グループ学習スタイルが PBLテュートリアルとし. から4年まで PBLテュートリアルにより引き起こ. て医学専門教育に導入されて1 0数年経過した.. された学習習慣が継続すると,結果として自律でき る学生が生まれ,5年生6年生での臨床実習として. この PBLテュートリアルが学生達の態度・行動・ 習慣などにどのように影響したかを Hi dde nc ur r i c -. の診療参加型臨床実習が効果的になる .. ul um の面から. テュータは問題の解答を与える人ではなくて,学 生を気付かせる,あるいは仕向けるというような間. 析した..

(2) 4 0. 尾. 方. 理. に身に付かない方を見てみると,あまり身に付かな. 法. かったのが約2 5 %,全く身に付かなかったのは1 4 %. 20 0 8年の2学年・3学年・4学年の学生を対象に アンケート調査した.回収率はそれぞれ9 6 %,9 8%, 9 7 %であった.. で,両方合わすと4割の学生は2年生の段階では問 題解決能力が身に付いたと言えないようである. 3年生ではかなり身に付いたという学生が1 2 %,. アンケート項目は,PBLテュートリアルにより問 題解決能力が身に付いたか? 自己学習の習慣が身. 少し身に付いたという学生が6 3%であった.両方合. に付いたか? および討論に慣れているか? とい. と反応した.逆に身に付かなかったという学生は2. う設問で,4者択一形式でマークシートで答えると. 割強であった.つまり3年生の学生は,2年生と3. いう方式とした.. 年生の2年間 PBLテュートリアルを体験してきた 結. わせて7 5%程度の学生が問題解決能力が身に付いた. 学生であって,その長期継続ということで自己判定. 果. ながら問題解決能力が身に付いたと. えているよう. PBLテュートリアルが問題解決をグループ討論 を通じて行うという方法で運営されているが,その. である.. 問題解決能力が身に付いたかどうかを尋ねた.2年. に付いた学生が5 3 %,合計6割強の学生が身に付い. 生ではかなり身に付いたという割合は1 0%,少し身. たと言っている.逆にあまり身に付かなかった学生. に付いたというのが5 0%で,両方合わすと約6割の. が2 6%,全く身に付かなかった学生が9%,計3割. 学生が問題解決能力が身に付いたと反応した.同時. 強の学生が身に付かなかったと言っている.. 図. 問題解決能力が身についた割合. 図. 図. 4年生ではかなり身に付いた学生が9%,少し身. 討論に慣れた割合. 自己学習の習慣が身についた割合.

(3) Hi dde ncur r i c ul um から見た PBLテュートリアルの効果. 41. PBLテュートリアルはグループ討論を主体に運 用されている.この討論に慣れているかどうかを聞. ルが非常によかったと言える.しかし実際の運用に. いたところ,非常に興味ある反応が見られた.2年. から,非常に困難な問題が生じている.それはテュ. 生ではかなり慣れたというのが3 4%,少し慣れたと. ータを確保するということの困難さである.背景に. いうのが53%,合計87%が慣れたと言う.逆に慣れ. は,新臨床研修制度が導入されて以来,大学よりも. なかったのが12 %,全く慣れなかったのが2%で,. 市中病院で研修する医学生が増えたことによる .本. 学年全体では非常によく慣れたと言える.. 学でも PBLテュートリアル導入当時の医局員の数. 3年生では同様にかなり慣れたのが4 2%,少し慣. あたっては,昨今の医育機関をとりまく環境の変化. と,現在の数とを比較すると,著しく減少している. れたのが46%,合計88%の学生が慣れた方に反応し. 医局がほとんどである.. ている.この傾向は4年生でも同様で,かなり慣れ たのが3 6 %,少し慣れたのが3 8 %,合計7 4 %が慣れ. PBLテュートリアルでは学生達はグループ討論 を通じで問題発見・問題解決を行っていく.学年に. たと言っている.グループ討論を主体にしたコミュ. よってそのレベル・内容は大きく異なる.2年生で. ニケーション能力向上の効果がここに出てきている. は医学専門教育に入ったばかりで,問題発見に主体. と思える.. が置かれる.3年・4年では臨床系コースになり,. PBLテュートリアルの一つの目標である自己学 習習慣が身に付いたかどうかを聞くと,2年生では. そこでは患者の正確な診断および治療などの対処が. かなり身に付いたというのが1 1 %,少し身に付いた. 本アンケートで見られたような PBLテュートリア. のが50 %で6割強の学生が身に付いたと言ってい. ルでの Hi dde nc ur r i cul um の特徴であるコミュニ. る.逆にあまり身に付かなかったのが3 4%,全く身. ケーションスキルの向上という事に関しては,2学. に付かなかったのが3%であった.. 年から4学年までどの学年でも8割程の学生が討論. 3年生ではかなり身に付いた学生が1 5%と少し増. 要求されている. そのような表向きの目標とは別に,. に慣れてきていると答えている.このことは個別の. 加したが,少し身に付いた学生が4 5 %で計6割の学. 学生と面談しても確認できることであり,自. 生が身に付いたと言っている.逆に4割の学生は身. グループ討論を継続的にやった成果だと思われる.. に付かない方に反応している.. また性格的に人前で話すというのが苦手であったと. 達の. 4年生ではかなり身に付いたという学生は9%,. いう学生が PBLテュートリアルのコースでいつの. 少し身に付いた学生は4 2 %,計5割強の学生が身に. 間にかコミュニケーションできるようになったと感. 付いたと判定している.逆につかなかったのは合計. 想を述べた学生もいた.. 5割弱で,ついた学生とつかなかった学生が相半ば している.. 同時にまた,グループ討論を通しているので,知 らない間にグループダイナミクスを身につけ,ひい. 察 本学での医学専門教育に PBLテュートリアルが. てはリーダーシップの醸成にも関わってくる.また 学生達は自. 達でしたことへの評価として達成感だ. とか満足感が味わえているようである. このように,. 導入されて以来1 3年経過した.平成22 年度から3年. 従来の講義室での講義だけでは得られないような教. 生では通年型から短期集中型のテュートリアルコー. 育効果が,学生自身の行動として認識されるように. スに変. なった. この効果が卒業後も続いているかどうかを,. され,従来のように2学年・3学年・4学. 年で年間通して PBLテュートリアルが行われるス. 卒業後1 0年後や20 年後のように,ある時期を決めて. タイルではなくなった.今回のように同じテーマに. 医療人としての能力として系統的に調査する必要が. 関して3学年からアンケートを取ることが今後出来. あると. える.. なくなった.そのため2 0 08 年に3学年を通じて実施. 1 96 9 年にマックマスター大学でこの PBLテュー. したアンケート結果のうち,問題解決能力,コミュ. トリアルが導入されて以来,約4 0 年が経過して卒業. ニケーション能力および自己学習,という3点にし. 生の評価が出ている.伝統的なカリキュラムにより. ぼってここにまとめた.これらはいずれも PBLテ ュートリアルコースでの直接的な学習目標ではな. 教育を受けた卒業生に比して,PBLテュートリアル で教育を受けた卒業生が医療人としての職業能力の. く,PBLテュートリアルの Hi dde n cur r i c ul um と. 点で同等か優れている し,また患者ケアについて. して評価される項目である.. も優れている と言うエビデンスが明らかにされて. 平成1 3 年に提示されたモデル・コア・カリキュラ. いる.これらの結果をもとに PBLテュートリアル. ム のA項目にあるような,課題探求・解決と論理的. の有効利用を卒業後の良き臨床医としての能力にお. 思. よぼす影響として. を教育する際の方策として PBLテュートリア. える必要があろう..

(4) 4 2. 尾. 文. 献. 1.Mat 000 )I s uoO (2 nt r oduct i on ofnew c ur r i cul um i n Ki nkiUni ver s i t ySc hoolofMedi ci ne.JMedEducat i on 4:92 -9 6 2.. 尾 理,伊藤浩行,eds .199 9.テュータマニュアル 19 99. 年度版:近畿大学医学部 3.. 尾 理.20 03.近畿大学医学部における PBLテュート. リアルの現状.I n新しい医学教育の流れ 02医学教育セミ ナーとワークショップの記録,ed.高橋優三,鈴木康之,pp. 10 3-1 09 .岐阜:全国共同利用施設 岐阜大学医学部医学教 育開発研究センター 4.モデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整委員 会,モデル・コア・カリキュラム改正に関する専門研究委員. 理 会.20 07.医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成19年 度改訂版):文部科学省 5.. 尾. 理,伊木雅之(200 5) 【臨床研修後の進路. 研修必. 修化2年を経て】 基礎医学研究者への進路.医学教育3 6: 3 01 -30 4 6.Nevi 009 )Pr l l eAJ(2 obl e mbas e dl e ar ni ngandmedi c aleducat i onf or t yyear son.A r e vi e w ofi t se f f ec t son knowl e dgeandcl i ni calper f or manc e.MedPr i ncPr ac t 1 8:19 7.Har 10 ) t l i ngL,Spoone rC,Tj os vol dL,Os wal dA (20 Pr obl embas ed l ear ni ng i n pr ecl i ni calmedi c ale ducat i on:22year sofout comer e s ear ch. Medi calTe ac her 3 2:28 -35.

(5)

参照

関連したドキュメント

バックスイングの小さい ことはミートの不安がある からで初心者の時には小さ い。その構えもスマッシュ

大学教員養成プログラム(PFFP)に関する動向として、名古屋大学では、高等教育研究センターの

金沢大学学際科学実験センター アイソトープ総合研究施設 千葉大学大学院医学研究院

工学部の川西琢也助教授が「米 国におけるファカルティディベ ロップメントと遠隔地 学習の実 態」について,また医学系研究科

医学部附属病院は1月10日,医療事故防止に 関する研修会の一環として,東京電力株式会社

 少子高齢化,地球温暖化,医療技術の進歩,AI

長野県飯田OIDE長 長野県 公立 長野県教育委員会 姫高等学校 岐阜県 公立 岐阜県教育委員会.. 岡山県 公立

ハンブルク大学の Harunaga Isaacson 教授も,ポスドク研究員としてオックスフォード