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障害者の一般企業への就職を導くスタッフの変容に関する研究―精神障害者の就職・定着へのIPSと対話の支援に着目して―

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Academic year: 2021

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(1)

社会福祉学部准教授* ディーセントワーク・ラボ代表取締役**

片 山 優美子*

Yumiko…KATAYAMA

中 尾 文 香**

…Ayaka…NAKAO

研究実績の概要 ①本研究の背景と目的  精神障害のある人(以下、精神障害者)の社会生活 への復帰において、就職とは最も重要な位置を占め、 就職支援に関する研究は極めて深いテーマであり、 喫緊の課題である。精神障害者の就職支援は、援助 付き雇用(Supported Employment)やIPS(Individual Placement and Support:個別職業紹介とサポート)な ど支援者が、精神障害者と雇用主の間に仲介して支 援する方法が就業率に有効性を示しており、海外で は職場の定着においても有効性が示されている。研究 として最も質の高いシステマテック・レビューやメタア ナリシスが示されているコクランレビュー(Crowther et al:2001a,2010;Kinoshita et al:2010)やBritish Medical Journal(Crowther et al:2001b)では、対象者が重症度 の高い精神障害者でも就職の効果が公表されてい る。日本でも、2005年から研究チームACT(Assertive Community Treatment:包括型地域生活支援)におい てIPSプログラム研究が導入され、個別就労支援を実 施し、精神障害者の就職に結びついている報告が成 されている(西尾:2005)。IPSは国際的に科学的根拠 をもつ実践(EBP:Evidence…based-practice)として 扱われており、近年のIPSに関するメタ分析では、従来 の施設訓練型の就職支援と比較して、重度の精神障 害者でも就職日数や就職時間、収入などを増加させる と公表されている(Crowther et al:2001)。また、4年以 上の長期にわたるIPS研究の追跡をシステマティック・ レビューした結果、介入としてIPSを利用した精神障 害者の40-70%が研究期間中に少なくとも1度は就職 を経験していることが明らかとなった(片山(高原)ら: 2013)。しかし、就労移行支援事業所の約3割は就職 率0名(厚生労働省:2015)をみると我が国ではIPSは いまだに一般化されているとは言い難い。  だが、我が国でIPSの実践をしている病院の精神科 デイ・ケアと就労移行支援事業所では、いずれも重症 度の高い精神障害者の就職が認められている(片山: 2017)。IPSの要素は、精神障害者の就職支援に関す る方法論を示唆することが期待できる。  フィンランド発祥のダイアローグには早期ダイア ローグ(Eriksson E, Arnkil TE:2009)、未来語りのダ イアローグ、オープンダイアローグ(Seikkula J, Arnkil TE:2006=2016)があり、いずれも会話ではなく対話 (ダイアローグ)を重要視したアプローチである。特に オープンダイアローグは、精神疾患の発症予防や再発 予防の効果が示されているアプローチであり、コクラ ンレビューでも取り上げられた科学的根拠を持つ実 践の一つである(Pavlovic RY, Pavlovic A, Donaldson S:2016)。このダイアローグは、近年のわが国でも研究 がはじまりつつあるものの、障害者の就職支援に取り 入れた研究は散見されていない。おそらく我が国初の 研究となると考えている。そのため、本研究では、IPSの 要素とダイアローグのアプローチを取り入れた就職支 援の研究を行うことを目的とする。 ②本年度の研究実績と来年度以降の研究予定  ①精神障害者の就職における先進的支援を実施し ている機関(施設・企業)への訪問調査を実施し た。来年度は、質的分析を行い結果を公表する 予定である。  ②障害者の支援に興味のある施設・企業に対する 組織の体験型研修を実施し、講座前後の調査を

(地域・社会貢献研究)

障害者の一般企業への就職を導くスタッフの変容に関する研究

―精神障害者の就職・定着へのIPSと対話の支援に着目して-

−…93…− 長野大学紀要 第41巻第2号  93—95頁(201−203頁)2019

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実施した。来年度は、調査結果を分析し結果を 公表する予定である。また、講座参加対象者に6 か月後の追跡調査を行う予定である。  ③長野県中小企業家同友会の協力を得て、障がい 者雇用を含めた人材困難者に対する受入れ状 況を把握するアンケートの素案を作成した。来年 度は、長野県中小企業家同友会の協力を得てア ンケート調査を実施する予定である。  ④障害者の雇用に関する文献レビューを実施した ため、紀要に投稿し、発表する予定である。  ⑤来年度はこれまでの調査の分析を行い、学会発 表および論文投稿を行う予定である。 ③本研究の意義および重要性:  精神障害において重度精神障害者に対する一般 企業への就労支援は科学的根拠をもつ実践として IPSがあるものの、発達障がいに関する就労支援はま だ科学的根拠をもつ実践は成されていない。しかし、 IPSを基に発達障害者を対象とした就労移行支援事 業所が我が国にあり、その就労移行支援事業所の就 職実績は100%であった。本研究は意義があると考え る。 ―引用文献・参考文献―

Crowther RE, Marshall M, Bond GR,(2001a) Huxley P: Vocational rehabilitation for people with severe mental illness. Cochrane Database of Systematic Reviews,2,

Crowther RE, Marshall M, Bond GR, Huxley P. (2001b) Helping people with severe mental illness to obtain work: systematic review. BMJ, 322:204-208

Crowther, R. E., Marshall, M., Bond, G. R., et al. (2010) Vocational rehabilitation for people with severe mental illness. Cochrane Database of Systematic Reviews., 2.

Kinoshita, Y., Furukawa, T., Omori, I., et al. (2010) Supported employment for adults with severe mental illness: protocol. Cochrane Database of Systematic Reviews, doi: 10.1002/14651858.CD008297. (http:// onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/14651858. CD008297/abstract. 2012.11.01) 西尾雅明(2005)…新たな地域精神保健福祉ACT-J.… 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構障害者 職業総合センター…資料シリーズNo31…「新たな地 域精神保健福祉の動向:日本におけるACT(包括型 地域生活支援)プログラムでの取り組み」,…独立行 政法人高齢・障害者雇用支援機構障害者職業総 合センター,…pp7-43.

Eriksson E, Arnkil TE.(2009)Taking up One's Worries A Handbook on Early Dialogues. National Institute for Health and Welfare=Terveyden ja hyvinvoinnin laitos. pp1-59 片山(高原)優美子、山口創生、種田綾乃、吉田光爾 (2013)精神障害者の援助付き雇用および個別職 業紹介とサポートに関する効果についての長期的 な追跡研究のシステマティック・レビュー.社会福祉 学,54(1):28-41頁 片山優美子(2017)重度精神障害者の一般企業へ の就職と定着支援に関する研究―Individual… placement…and…Supportの有効性に関する量的・ 質的調査―,東洋大学大学院 博士後期課程  社会福祉学博士論文.総頁数289頁

Seikkula J, Aaltonen J, Alakare B, Haarakangas K, Keränen J, Lehtinen K.(2006) Five-year experience of firstepisode nonaffective psychosis in open-dialogue approach: Treatment principles, follow-up outcomes, and two case studies. Psychotherapy Research 2006;16(2):214–28.

Seikkula,J., & Arnkil , T.E.(2006)Dialogical Meetings in Social Networks.(=高木俊介、岡田 愛訳(2016)オープンダイアローグ.日本評論社.総 頁数248頁)

Pavlovic RY, Pavlovic A, Donaldson S.(2016) Open Dialogue for psychosis or severe mental illness. Cochrane Database of Systematic Reviews.

長野大学紀要 第41巻第2号    2019

−…94…−

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研究発表(平成30年度の研究成果)  〔雑誌論文〕 計( 1 )件 著 者 名 論  文  標  題 片山 優美子、 中尾 文香 発達障害者雇用の介入に関する文献レビュー(仮) 雑  誌  名 査読の有無 巻 発 行 年 最初と最後の頁 長野大学紀要(予定) 無 41 2 0 1 9 −…95…− 片山 優美子・中尾 文香 障害者の一般企業への就職を導くスタッフの変容に関する研究 203

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参照

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