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日本鉄鋼業の技術水準と技術開発基盤

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日本鉄鋼業の技術水準と技術開発基盤

著者

十名 直喜

雑誌名

名古屋学院大学論集 社会科学篇

32

2

ページ

45-86

発行年

1995-10-31

URL

http://doi.org/10.15012/00000792

Copyright (c) 1995 十名直喜

(2)

名古屋学院大学論集 社会科学篇 第 32巻 第 2号 (1995.10) 45

日本鉄鋼業の技術水準 と技術 開発基盤

1. は し め に 2.日本鉄鋼業の技術水準 (1)技術水準の評価方法 (2)日本の鉄鋼技術水準 (3)日本の鉄鋼技術の変遷 3.日本鉄鋼業の技術開発基盤 (1)技術開発基盤への分析視角 (2)[」本鉄鋼業 における技術開発への投入資源 (3)日本鉄鋼業の技術開発 システム ① 鉄鋼の技術開発 システム をめ ぐる先行業績 とその評価 ② 企業 内における技術開発 システム ③ 企業 内の技術開発 システム を支 える社会的 システム

4.技

術 開発基盤 の変容 と再編成 (1)日本の鉄鋼技術 をめ ぐる構 造的変容 (2)日本鉄銀業の技術開発 システムの再編成

5.お

わ り に

1.

は じ め :こ 戦後 日本の製造業の発展 に果 た した鉄鋼業の役割 には格別 の大 きさが あ る。 そ うした貢献の要 をな したのが 日本の鉄鋼技術であった。造船業や 自動 車産業

,電

機産業か ら建設業 な どに至 るまで

,幅

広 い需要産業 に良質で低 コ ス トの鋼材 を安定的 に供給 し

,需

要産業の質量 にわたる発展 を促 して きたの である。 国際的にみて も

,

日本鉄鋼業の技術的力量 は「世界のメ ジャー」 とも呼ば

(3)

46 名古屋学院大学論集 れ る1)よ うに抜 きんでてお り

,高

炉 一転炉体 系 に基づ く大量生 産技 術 を究極 レベル に まで高め た とされ てい る。技術 開発 に投 入 され る研究者や資金 は欧 米 を凌 駕 して お り

,文

字通 り世 界 を リー ドして い る。 この ような 日本 の鉄鋼技術水準 は

,投

入 され る研 究資源 の 巨大 さに よる と ころ もさるこ となが ら

,む

しろそれ らを効率的 に生 かす 日本鉄鋼業 に特徴 的 な技 術 開発 システム に よる ところが大 きい と考 え られ る

c日

本鉄鋼 業 は

,

日 本 の製造業の なかで も

,国

家や 業界 内

,需

要 産 業

,大

学 な ど との システム的 な結合 力の際立 って高 い産業 で あ り

,そ

の ネ ッ トワー クは「 日本型鉄鋼 シス テム」 と して捉 え るこ とが で きる。技術 開発 システムはその一環 をなす もの で あ る。 しか し

,こ

の ような 日本型鉄鋼 システム を支 えて きた内外環境 が大 き く変 容 し

,シ

ステム的 な統合 力が低 下す るなかで

,そ

の 中核 を占め る技術 開発 シ ス テム も大 きな岐路 に直面 して い る。 円高の進行 に よるコス ト競争 力の大幅 な低 下

,需

要産 業 の海 外 移転 や価格破 壊 の進 行 な どに伴 うシス テム的 な機 能 低 下

,

さ らに輸 入鋼材 の増大

,電

炉 メー カー の 台頭 な ど技 術 の ダウ ンサ イ ジ ング化 の進行等 に よって

,

日本 型鉄鋼 システム はシステム的 な危機 に直面 す るに至 って い る。 世 界の フ ォア ラ ンナー とな った 日本鉄鋼業 は, 自 らの手 で この危機 を乗 り 越 え るこ とに よって しか

,今

日の地 位 を維持 す るこ とが困難 にな ってい るの で あ る。 その ため には

,高

炉 を中核 とす る大量生産技術 を超 える新技術体系 や新 製品 コンセプ トを創 出す るこ とが不可欠 となってお り

,そ

う した フ ロ ン テ ィア型へ の シス テム変革 が焦眉 の課題 とな って い る。 まさに

,技

術 開発 シ ス テムの変革 はその要 をなす もの といえ よう。 本稿 においては

,

日本 の鉄鋼技 術 の水準 と技 術 開発基盤 の特 質 を今 日的 な 視 点 か ら把握 す るこ とを通 して

,内

外環境 の変容 の下 で の シス テム的 な変革 の方向 と課題 を明 らか にす る。

1)NHK取

材班編[1983]『技術大国の素顔―-2)破 れるか模倣技術の壁―』日本放送出版 会,204ページ。

(4)

lI本鉄鋼業の技術水準 と技術開発基盤 47

2.日

本鉄鋼業 の技術水準

(1)技

術水準の評価方法 日本の産業の技術水準 を国際比較の視点 もふ まえて定量的にどの ように測 定 し評価す るかについては

,こ

れ まで様 々なアプ ローチがみ られ る。 技術水準の国際比較 にあたっては

,従

,設

備 の性能や生産性

,製

品の品 質や歩留

,さ

らには技術貿易収支 (金額

,件

)等

の指標 に基づ き

,定

量的 な評価が試み られて きた。高度成長によって

,設

備の新規性

,性

能, さらに は品質や歩留な ど操業水準が急速 に発展 して欧米 を凌駕す るに至 る。しか し, 技術開発ポテンシャルのキャッチア ップが相対的 に遅れてハー ド面や操業水 準 とのギャップが 目立つ ようになる。両者のギャップが指摘 され

,そ

の克服 が課題 となるなかで

,こ

の両者 を区別 して定義 し

,

しか も国際比較 にあたっ てはそれ を指数化 して把握 しようとす る試みがみ られるようにった。 その端緒 を開いたのは

,科

学技術庁 [1981]の 『科学技術白書』における 「技術力」,「技術開発力」概念の登場 とその指数化である2)。「技術 力」 とは 「現状の生産力に寄与す るその国の科学技術 を量および質の両面か ら評価 し た もの」であ り,「技術開発力」とは「将来の新製品

,新

技術 を自主的 に開発 す る能力」であると定義 している。「技術力」の算出にあたっては

,①

特許の 登録件数

,②

技術貿易額

(=技

術輸入額

+技

術輸 出額

),③

技術集約製品の輸 出額

,④

製造業の総付加価値額

,

という4つの指標 を取 り上 げ

,こ

れ らの指 数 を単純平均 して「技術力」の総合指数 を求めている。一方,「技術開発力」 を表す指標 としては

,④

技術力

,③

研究開発資源の投入量

(=研

究費 と研究 者数の幾何平均値

),③

研究開発の成果(特許の対外国登録件数 と技術輸 出額 の単純平均値

),の

3つの指標 を取 り上 げ

,こ

れ らの指数 を単純平均 して「技 術開発力」の総合指数 を求めている。 科学技術庁の指標 は

,

さまざまな問題 をはらんでいる。 まず,「技術力」と い う概念が妥当か どうかである。技術水準は

,一

,当

該産業の国際競争力

2)科

学技術庁 [1981]『科学技術白書 (1981年版)』 大蔵省印刷局,329-330ペ ージ。

(5)

48 名古屋学院大学論集 の重要な指標であるが

,そ

れ と同義ではない。政府の政策や企業戦略

,労

働 力のあ り方などの要素 と区別 しなければな らないが,「技術力」概念にはこう した「競争力」要素が混入 しやすい。 中村静治 [1987]は,「技術力」概念 に ついて,「“技術 力''とい うような言葉 は経済学の用語ではな く

,技

術学で も その ような述語は認知 されていない」 と批判 している3)。 科学技術庁の「技術力」の指標の中には

,① ,②

の ように「技術開発力」 の指標 と重なる ものが少な くない。④ については技術以外の要素 を多分 に合 む とい う問題 をは らんでいる。 また

,国

内の技術開発が旺盛 なゆえに技術輸 入額が少ない場合や

,国

内市場が発達 しているゆえに技術集約製品の輸 出額 が抑制 されている場合 などは

,②

や③の指標が低 く表示 され るといった矛盾 を もっている。「技術開発力」の指標 について も

,技

術開発のポテ ンシャル を 近似的に反映 しているとみ られ る③

,◎

,種

々の要素が混入 した⑥ とを, 同一線上 に捉 えるといった矛盾が含 まれている。 一方

,山

地憲治 [1988]は「技術力」の国際比較 を行なうにあたって

,技

術の「到達水準」 と「開発力」の両面か らアプ ローチす る4)。「到達水準」 と 「開発力」は

,そ

れぞれ「成果」 と「基盤」 とい う概念で言い換 えることが で きる。図1は

,そ

の両面 を表す「技術力」指標 を構造化 して示 した もので ある。研究開発過程 においては,「成果」と「基盤」は二重になるという。す なわち

,研

究開発 に とっては

,論

文や特許 な どの技術知識 は「成果」である が

,そ

れ を生み出す「基盤」の一つで もあ り,「開発力」の指標 に分類 してい る。 山地氏の指標 は,「到達水準 (成果)」 と「開発力 (基盤)」 とい う両概念か ら捉 え

,そ

の体系 を構造化 して示す ことによって,『科学技術 自書』の指標が は らむ難点 をかな りの程度克服 している。 しか も,「開発力」を「基盤」とい う概念で捉 えなおす ことによって

,社

会的な視野 をふ まえての システム的な 把握 を行なうこ との必要性 を明示 した点で注 目され る。しか しなが ら,「研究

3)中

村静治 [1987]『情報 と技術の経済学』有斐閣,222-223ペ ージ。

4)山

地憲治 [1988]「日本の技術力」『世界』岩波書店,1988年 1月号。

(6)

日本鉄鋼業の技術水準 と技術開発基盤 図

1

技術 力指標 の体 系 49 出所 :山 地憲治 「 日本の技術 力」『世界』1988年 1月号 開発基盤」の分析 はその重要性 に比 してわずかに とどまっている。 とくに, 「システム」

,す

なわち「研究体制

,評

価 システム等」についてはほ とん どメ スが入れ られていない。 日本鉄鋼業の技術水準 を国際的な視点か ら把握す るにあたって

,筆

者 (十 名 [1988])は

,狭

義の「技術水準

(=設

備 お よび操業水準)」 と「技術開発 水準

(=技

術開発体制 とその水準)」 に区分 し

,そ

の両側面か らアプ ローチ し た5)。 この分析 は ,「成果」 と「基盤」を区別す ることによって技術開発体制 の 日本型特質 を浮 き彫 りに しようと してお り

,結

果 と しては山地論 文 をカ バーす るもの となっている。 しか し

,概

念の定義が明確 でな く

,そ

の構造的 な把握 も弱い

,な

どの問題 を残 している。 日本鉄鋼連盟 [1993]は

,

日本鉄鋼業の「技術力」を,「(1)保有技術力 (生 産技術力

,設

備 力),(2)技術開発力 (競争力維持の源泉),(3)技術革新力 (新 規性・躍動性),(4)技術要請対応力 (新しい社会的要請に応 え

,鉄

鋼業の存在 基盤の安定性 を図 る)」 という4つの「基軸」か ら多角的に分析す る試みを行 なっている6)。 日本鉄鋼連盟の手法 については,上 記の4つの基軸 についての

5)十

名直喜[1988]「第二次大戦後 における日本鉄鋼業の技術開発体制」京都大学経済学 研究科の修士論文。 この論文の後半部分のみ,同テーマで学会誌に発表(「第二次大戦後 における日本鉄鋼業の技術開発体制」『産業学会研究年報 第 4号 』1988年)。 6)日本鉄鋼連盟[1993]「鉄鋼技術共同研究会関係の最近の動向:資料

2

日本鉄鋼業技 的 。社 会 的 寄 ↑ 「国際的問題:資源

,環

,平

和等

1

与―+国 民経済:生産シェア

,輸

出力等 }―│ L生

産力

:新

製品。

品質・性能。

生産性等り

│ 術 知識基盤¬ 「財的価値 :特 許・技術貿易等 発成果」L知 的価値 :論 文 。各種賞等 ↑ テム :研 究開発体制

,評

価 システム等 研究者数

,研

究開発費等 。社会的基盤

:GNP,教

育制度等 ―一 到達水準 (成果) 開発 力 (基盤)

(7)

50 名古屋学院大学論集 図

2

我 が国の主要業種 の技術 貿易収支比 の推移 (輸出/輸入) 30 20 / ヘ ´

^建

設業./

_ヽ

___ノ

レ´ 輸送用機械工業 10 5 2 1 0.5 0.2 0.1 / ノ / r……ヽ 、N′ __\__ラ

/

鉄鋼業 化学工業

^

窯業 機械工業 製造業 電気機械工業 197576 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 (4F‐ 度) 資料:総務庁統計 局「科学技術研究調査報告」 出所:科学技術庁 『科学技術 白書 (1994年 版)』 大蔵省印刷 局 説 明が ない ため に詳細 は定かではないが

, 4基

軸 の相互 の区別や関係 が明確 で はな く

,技

術 の到達 水準 とそれ を生 み出す基盤 (開発 力

)と

の関係 が浮 か び上 が って こない。 冨浦梓 [1994]は

,①

技術貿易収支

,②

国際技術協力

,③

特許の出願

,④

対粗鋼 当た りの製品歩留

(=技

術の統合的な指標

),⑤

高級品質の市場評価, とい う5つの指標 を提示 している7)。 これ らは ,技術の到達水準 を示す指標 と して位置付 けることがで きる。 小論 においては

,筆

者 [1987]の手法 を

,山

地氏やその他の先行業績 をふ まえて見直 し,「技術水準」の概念 を技術の「到達水準 (成果)」 と「開発ポ テンシャル (基盤)」 とい う2つの視点 に整理す る。すなわち

,技

術の「到達 水準 (成果)」

=狭

義の「技術水準」

,技

術の「開発 ポテンシャル(基盤)」=「技 術力調査 ワーキ ンググループ調査報告」。

7)冨

浦梓[1994]「グローバ リゼー シ ョン下の技術革新 と技術開発体制」早稲田大学商学 部・問経済広報 セ ンター編 『ダイナ ミック経営 をめ ざす鉄鋼業の グローバル戦略』 中央 経済社,72ペー ジ。

(8)

日本鉄鋼業の技術水準 と技術開発基盤 表

1

業種 別技術貿易 の現状 (1985年度) 51 技術輸 出額

0

(億円) 技術輸人額③ (億円) 技術貿易収支 (A-3)(億 円) く基礎素材産業〉 鉄 鋼 262 34 47 19 215 15 非 鉄 金 属 19 51 33 ▲ 32 ▲ 30 化 rF 251 56 243 174 ▲ 118 石油・石炭・窯業 101 376 319 ▲ 275 ▲ 310 繊 維 ・ 紙 パ ル プ 51 49 20 ▲ 15 く加_[組立産業〉 般 機 械 117 35 245 179 ▲ 128 ▲ 144 電 気 機 械 595 133 842 622 ▲ 243 ▲ 489 輸 送 機 械 325 91 597 465 ▲ 273 ▲ 374 精 密 機 械 17 51 43 ▲ 34 ▲ 40 く製造業合計〉 2.056 514 2.886 2.058 ▲ 830 ▲ 1.544 〈全産業合計〉 2,342 518 2,932 2,086 ▲ 590 ▲1,568 注 :1.「1986年科学技術研究調査報告」 による。

2.化

学 は医薬品 を除 く。 出所 :通 産省基礎産業局監修[1987]『新世代 の鉄鋼業 に向けて』通産省資料調査会,68ペー 術 開発基盤 」 と規 定 し

,こ

の両側 面 か らアプ ローチす る。 そ して

,最

新 デ ー タに基づ き日本鉄鋼業 の技術水準 を評価 す る とともに

,技

術 開 発 シス テムの 今 日的 問題 と変革 の課題 を明 らか にす る。

(2)日

本 の鉄鋼技術水準 日本の鉄鋼技術 の国際的 な到達水準 を最 も明確 に示 す指標 は

,技

術 貿易収 支 で あ る。日本 の主要業種 にお け る技 術 貿易収支 は改善 の傾 向がみ られ るが, 1970年代 中頃以 降

,技

術 貿易収 支 が一貫 して黒 字 なの は

,図

2にみ るように 鉄鋼 業 と建設業のみで あ る。 これが

,対

先進 国

,

と くに対米技術 貿易収支 に な る と

,

日本 の大幅 な入超 が よ り目立つ。表 1にみ るように

,対

米 につ いて は他産業が いずれ も大幅 な輸 入超 過 にな ってい る。 そのなかで

,鉄

鋼 業 は主

(9)

52 名古屋学院大学論集 高炉5社平均 の特許・ 実用新 案 出願件 数 図3 件 平 均 出 願 件 数 2,500 2,300 2,100 1,900 1,700 1,500

日日日日

'81 '82 '83 '84 '85 '86 '87 '88 '89 '90 年 出所 :日本鉄鋼連盟 [1992]「わが国鉄鋼業の技術 力」 図

4

最 近5年間 の 鉄 鋼 分 野 別 公 開 特 許 件 数

*1:top six steel rnakers

・2:top five plus three Stainless

steel making (製鋼) finishing(表面 処 理) irOnmaking (製銑) hOt&cOld sheet(熱・ 冷 延) and cOil pipe&tu腱 (鋼 管) hCaVy plate (厚増更│) ●2StainleSS Steel(ス テ ン レス・ 条鋼 ) rod&l shape elcctrical sheet(電磁 鋼) 1988 1989 199o 1991 1992 1year] 出所 :│1本 鉄鋼協会 [1995.4]「鉄 と鋼 (創立80川年記念特集号)』

VOl.81N04

要産 業 中で唯一輸 出超 過 とな ってお り

,対

米 比較 にお いて も鉄鋼 業 は 日本 の 産業 の 中で相対 的 に突 出 した高 い技術水準 にあ るこ とを示 して い る。 日本鉄 鋼 業 の技 術 貿 易収 支 が黒 字 に転 じたの は

,1974年

の こ とで あ る。 1974年に は18億lの輸 出超 過 にす ぎなか ったが

,そ

の 後 は輸 出超 過 が拡大 し

,1985年

に は215億 lの大 幅 な輸 出超 過 とな って い る。 しか しなが ら

,北

0 o 〓 0 0 “ P C O 一 〇 0 ︺ O ヽ 0 つ 口 ︼ ● C 芍 0 一 ヽ 一つ r 員 つ 0 0 “ ヽ ︵ 公 開 特 許 累 積 数 ︶

(10)

日本鉄鋼業の技術水準 と技術開発基盤 53 図

5

主要製鉄 国のエネル ギー消費原単位 の比較 (1990年) (日本 を 100と す る指標) 116 112 119 100 100 日本

米国

イギリス 1日西ドイツ フランス プラジル 出所:日本鉄鋼連盟 [1992]『 日本の鉄鋼業』 資料 :国 際鉄鋼協会 (HSI)統計。 米 との技術貿易収支が輸 出超過 に転 じるのは,対世界に遅れ ること10年後の 1984年の ことである。 特許・実用新案件数は

,図

3にみ るように1980年代半ばに大幅な伸び を見 せ た。近年 は横這い傾向にあるとはいえ高水準 を維持 している。最近

5年

間 の公開特許件数の内訳 (図

4)を

み ると

,製

鋼 と表面処理の

2分

野 に集中 し ている。製鋼分野 については凝固分野での出願が顕著であ り

,表

面処理鋼板 では溶融亜鉛 メッキ系の伸び率が大 きぃ8)。 なお

,米

国においては,日 本の鉄 鋼 各社の出願が米国鉄鋼 メーカー各社の出願数 を上回っている。)。 粗鋼 当た りの製品歩留 は,主要国のなかで も日本が第一である10)。 歩留差だ けで,「フランスー国分の生産量 を浮か している」。 これは

,各

工程 における 「 きめ細かい技術の差」であ り

,

とくに歩留の高い連続鋳造比率の差 による 8)│1本鉄 鋼 協会 [1995.4]『 鉄 と鋼 (創立80周年記 念特 集 号)』 Vo1 81 No.4,4ペ ー ジ。

9)冨

浦梓 [1994]前掲 論 文,72ペー ジ。 10)1司 11。

(11)

54 名古屋学院大学論集 表

2

我 が国鉄鋼 業の品質上 の優位性 製

品 日本が品質上 優位 に立 つ製品 日本が品質上優位に立つ製品の主な用途 薄 板 熱

延 高張 力・ 高加工性鋼板 自動 車 用 熱 延 鋼 板 (足回 り部 品・ ホイール

)等

延 高張 力・ 高加工性鋼板 (特に 深絞 用),極薄物,高級 電磁鋼 板 自動車用高張 力鋼板 (ボデ ィ, バ ンパ ー等

),低

鉄 損 電磁 鋼 板 (電カ トラ ンス

,モ

ー ター等) 溶 融亜鉛 合金亜鉛 め っ き鋼板 (高耐腐 食性・ 高塗装性) 高性 能外装用鋼板 (建設材料), 自動車 用防錆鋼板(足回 り部品) 等 電気亜鉛 合金亜 鉛 め っ き鋼板 (高耐 食 性・ 高塗装性) 自動 車 用 電 気 亜 鉛 め っ き鋼 板 (高防錆性 の ボデ ィ鋼板) 家庭 用電気亜鉛 め っ き鋼板 (冷 蔵庫

,洗

濯機 の外板

)等

そ の 他 ア ル ミめ っ き鋼 板,ター ン シー ト(鉛・ 錫合金め っ き) アル ミめ っ き鋼板 (ス トーブ, マ フラー等),タ ー ンシー ト(自 動車用燃 料 タ ンク等) 鋼   管 継 目無管 電 縫 管

UOE

高合金鋼管 耐

HIC用

鋼管 苛酷 な環境 下(高

H2S,C02等

) で使 用 され る油井管, ライ ンパ イプ

,ポ

イラー用鋼管等 そ の 他 鋼 材 厚 中 板 高張 力・高靭性・高加工性 鋼板 低温 高靭性 高強度鋼 (船舶

,海

洋構 造物,低温 タ ンク),大入熱 溶接 用高張 力鋼 (船舶

,鉄

骨) 形 線 線 鋼 鋼 材 特 殊鋼等 高級材 高級 ワイヤ ー ロープ(建設),ス チール コー ド(自動車), 自動車 用 ロ ッ ド等 出所 :通 産省基礎産業 '"む 監修 [1987]前掲書,67ペー ジ。 ところが大 きいH)。単位生産 当た りのエネル ギー原単位 について も,最近 にお ける日本の頭打 ち傾向や主要国 との差の縮小傾向に もかかわ らず

,図

5にみ るように

,主

要国のなかで最 も良好 な実績 を示 している。 次に

,製

品の品質 については

,脱

硫 。脱燐

,脱

ガス等の精錬技術

,表

面処

11)NHK取

材班編 [1983]前掲書,226∼ 227ペー ジ。

(12)

日本鉄鋼業の技術水準 と技術 開発基盤 図

6

米国鉄鋼 メー カーが達 成 した改善 に関す る需要産業別評価 (1985∼90年お よび1990∼94年の改善度合の比較) (「大幅 な改善 があ った」 と してい る同答 の比率) 55 〔品質 につ いて〕

20 40%

〔サ ー ビスにつ いて〕

20 40%

0 自

動 車 家

電 金 属 缶・ 容 器 機 (電機除 く)械 鉄 鋼 サ ー ビ ス セ ンター その他輸送機器 E===]1985∼90年 目霞圏国1990∼94年 出所:『鉄鋼界』1995年4月号 理技術 な どの生 産技術 の優位性 に よって 日本製 品への評価 は高 く

,

と りわ け 高級鋼 材 につ いて は「諸外国 に比べ て品質上特 に優位 にあ る」12)。 日本 が品質 上 優位 に立つ製 品 は

,表

2にみ る ように

,薄

,鋼

,そ

の他鋼材 に またが り

,

自動車

,船

,建

,電

,油

井管 な ど多様 な用途 に及んでい る。米 国 国際 貿 易委 員会

(ITC)の

調 査 に よる と

,米

国 の鉄鋼 ユ ーザ ー にお け る 日 本 製鋼 材 へ の評価 は極 めて高 い。最近10年間で は

,米

国製鋼 材 の品 質・サ ー ビス は全般 的 に改善傾 向がみ られ る(図 6)。 それ に もかかわ らず,品質・サ ー ビスの両面 で米│:」製 に対 す る 日本 製鋼材 の優位性 を一層広 げて い る (図 7)。 日本鉄鋼業 は

,産

業社 会の ニ ー ズの 多様化・恒 久化 に対応 して

,多

品種 小 ロ ッ トでの効 率的生産体制 を構 築 して きた。冶金

,凝

,金

属 学 な どの物理 側 面 か ら生 産工程 の集約 と連続化 を図 る とともに

,品

種 の 多様化 に対 して は 情 報 シス テム化 に よ り製鋼 か ら熟 延 間 にわ た って連 続化 。同期 化 を実現 させ て い る13)。 日本 の製鉄 所で は

,10万

種 を超 え る異 な る注文品が製造工程 を流 12)通産省基礎産業局監修[1987]『新 世代の鉄鋼業 に向けて』通産省資料調査会,67ペー 13)II本鉄鋼協会 [1995.4]前掲誌,117∼ 118ペー ジ。

(13)

56 名古屋学院大学論集 図

7

日本 製 鋼 材 と米 国製 鋼 材 の 品 質 に関 す る米 国鉄 鋼 ユ ー ザ ーの評 価 1990年 優

不満 米国製鋼材 2% 日本製鋼材 1% 優 1994年 不 満 米国製鋼材 2% 日本製鋼材 0% 出所 :『鉄鋼界』1995年4月号 れている14)。 製鋼段階で約

1千

種類の鋼 に造 り分 けられ15),さ らにそれ以降の 工程 で百倍の製品に分岐 してい く。鋼種 レベルでみ ると,「韓国。浦項製鉄の 量産鋼種 は約15種類

,こ

れに対 して新 日本製鉄 は約800種類」 とってお り, 日本の多品種小 ロッ ト生産 は韓国の「

50倍

の非生産性 を負っている」16)と も 見 ることがで きる。「かゆい ところに手が届 くくらいに きめの細かい多品種少 量生産 を可能 に した」のは, コンピュータの威力である。 コンピュータを生 産プ ロセスのなかに活用 したことによって

,

日本の鉄鋼業 は飛躍的な発展 を 遂げた17)。主要製鉄所 におけるコンピュータ利用の レベル をみ ると,図 8に された ように

,

日本 は他国の数倍 に達 してお り

,抜

きん出ていることが うか がえる。 以上 にみ るように

,

日本の鉄鋼技術の到達水準 (成果

)は

極めて高 く

,国

際的 に も突出 した レベル にあることが うかが える。 14)冨浦梓 [1994]前掲論文,88ペー ジ。

15)NHK取

材班編 [1983]前掲 書,222ペー ジ。 16)日本鉄鋼協会 [1995.4]前掲誌

,N171ペ

ー ジ。 17)同上, 可

39%

45%

(14)

日本鉄鋼業の技術水準 と技術開発基盤 図

8

各 国主 要 製 鉄所 に お け る コ ン ピュー タ利 用 メガバイ ト

(1990年

) 57 00         00           Ю 5         0           引 メ ガ バ ィ ト / 1 、 0 0 0 人 従 業 員 か―オ

7

●イツ

台消

1 7″

rゆ

日本 出所 :m Ll本 鉄鋼連盟 [1992]「わが国鉄鋼業の技術 力」

(3)日

本 の鉄鋼技術 の変遷 戦 後50年を経 た 日本の鉄鋼技 術の変遷 を把握 す るにあた って は,鉄 鋼技術 の「大 きな流 れ を把握 す る」こ とが必要 で あ る。 それ に よって,「

21世

紀 に向 けての方向 を見 直す こ とを志 向す る」 とい う観 点 もみ られ る。 日本鉄鋼協 会 [1995]は

,第

一 の波 (1955∼73年

),第

二 の波(73∼

91年 ),第

二 の波 (1991 年 一

)と

い う

,伊

丹敬 之 [1993]の 3つの波動期 区分 に基づ き

,第

二波 動期 の特徴 を分析 してい る。 それ は

,こ

の時期 に蓄積 した技 術的遺 産 とは何 か, それ を如何 に継承 しどう活 用すれ ば今 日の難 局 を乗切 れ るか

,

とい う課題 認 識 に基づ くもの で あ る18)。 第一波 動期 に残 した もの は,「 近 代 的大 型生産 設備 と自主技 術 」で あ る。 こ の遺産 に よ り

,第

二波動期 におけ る低 成長へ の移行 と多種 多様化 した需要構 造へ の対応 が可能 とな る。 さ らに この間 に著 しい発展 を遂 げ たエ レク トロニ クス技 術 を取 り込 み,「 鉄鋼産業 の イ ンテ リジェ ン ト化」に成功 し

,石

油 危機 と1985年の 円高 を乗 り切 った。 しか し,「 安 易 に差別化 製品 を開発す る」 方 向 に流 れ た り,「 普 遍性 の少 な い技 術 を数 多 く開発 した」こ とな ど

,第

二波 18)同上

,3ペ

ー ジ。 170 1,120

(15)

58 名占尾学院大学論集 動期 に向けての遺産 とは何であったか という視点か らふ りかえると反省すべ き点が少な くない。 馬場靖憲

/高

井紳二 [1994]は

,戦

後 日本の鉄鋼業の軌跡 を「3つのフェー ズに大別」す る。 これ も基本的 には

,伊

丹敬之氏の区分 に準 じている。第一 フェーズ (1950∼70年代初期

)で

,臨

海銑鋼一貫製鉄所の建設にポイン ト をお く。石油危機 を契機 とす る第ニ フェーズにおいては

,省

コス ト・省エネ ルギーを目指 した技術の システム化

,特

に連続鋳造方式の確立 と普及に注 目 している。第ニフェーズでは,「多品種 ポ リューム生産パ ラダイムの形成」を あげている。1980年代中頃以降に

,鉄

鋼各社が取 り組みは じめた企業情報 シ ステム

(CIM)の

再構築によって,「第ニ フェーズヘの移行の技術的前提条 件」が整備 され

,川

Lか

ら川下 に及ぶ全品種統合型の管理が実現 す るに至 る19)。 これに対 して

,

日本鉄鋼連盟 [1993]は

,表

3にみるように

,技

術導入期 (60年 代以前

),技

術成熟期 (70年 代

),技

術高度化期 (80年 代

),技

術革新 期 (90年 代

)の 4期

に区分 している。 さらに

,技

術の進歩

,思

,成

果例, 社会ニーズ とい う4つの側面か ら

,各

時期の特徴 を総括 している。 日本鉄鋼連盟の時期区分 は

,

日本鉄鋼協 会や馬場

/高

井の時期区分 とそれ ほ ど異 なっているわけではない。「技術導入期」は,「第一波動期」お よび「第 一 フェーズ」に当たる。「第二波動期」お よび「第ニ フェーズ」を二つの時期 に区分 したのが,「技術成熟期」 と「技術高度化期」である。「技術革新期」 は,「第二波動期」お よび「第ニフェーズ」 に相 当す るとみ られ る。 しか し

,各

時期の成果や思想の捉 え方については必ず しも同一ではない。 馬場

/高

井の「第ニ フェーズ」のポイン トは

,

日本鉄鋼連盟 の「技術成熟期 (70年 代)」 にあげ られている。 また「第ニフェーズ」の特徴づ けは

,

日本鉄 鋼連盟の「技術高度化期 (80年 代)」 にあげ られているポイン トの一部 に相 当 す るとみ られ る。 なお

,

日本鉄鋼連盟の上記の2つの時期 は

,

日本鉄鋼協会 19)馬 場靖憲/高井紳二 [1994]「金属系素材産業」古川弘之監修『メイド・イン・ジャパ ン』ダイヤモンド社,140ベージ。

(16)

日本鉄鋼業の技術水準 と技術開発基盤

59

3

わが国の鉄鋼技術 の変遷 と鉄鋼 プ ロセスの発展 を促 す社会環境変化 年   代 技 術 導 入期 技 術 成 熟 期 技 術 高 度 化 期 技 術 革 新 期 1960年 代 以 前 1970年代 19801:fヽ 1990年 代以 降 技 術 の 進 歩 技 術 の 習 熟 ・ 効 率化技 術 ・ 大型化技 術 技 術 の成 長 ・ ri動 化技 術 ・ 高速 化技 術 ・ コ ン ピュー タ ン ス テム技 術 技 術 の 高 度 化 ・I:程の連 続 化 技 術 ・ 高精 度 化技 術 ¬有効 率化技 術 ・ コ ン ピュー タ シ ステム技 術 革新 技 術 の 創 造 ・ 革新 プ ロセ ス技 術 の 創 出 ・ 新 機 能 材料 の 開 発 技 術 進 歩 促 進 思 想 一貫管理 TCQ思想 プ ログク トアウ ト思想 現場中心R& D 技術 システム 化 マーケ ッ トイ ン思想 商 品 企 画 機 能 の 強化 技 術 開 発体 制 の システム化 需 要 家 イ ン思 想 マ ー ケ ッ ト創 造 新 社 会 要 請 対 応 独 自技 術 創 造 技 術 成 果 例 高炉 大 型 化 技 術 転 炉 化 技 術 一 員製鉄 所 方式 圧 延技 術 連 鋳 化 技 術 転 炉 複 介精 練 技 術 連 続燃 鈍技 術 CCL技術 TMCP製 造 技 術 高 効 率 エ ネル ギンステム 技 術 高 炉AI制御 技 術 CC‐DR技術 高純 度 鋼 製 造 技 術 高機 能 め っ き 鋼 板 技 術 BH鋼,IF鋼 技 術 i容融 還 元技 術 薄 ス ラブ連 鋳 機 社 会 ニ ー ズ 出所:『鉄鋼界報』第1587号,1993年3月21日付 の「第二波動期」に当た り,「技術革新期 (90年 代)」 と「第二波動期」のつ かみ方は基本的に同 じと考 えられ る。 以上 に概視す るような 日本の鉄鋼技術の発展は

,ノ

ウハ ウに属す るものが 多い導入技術 を大量生産技術 として確立 した こ とに よる ところが大 きい。 1970年代後半 になると,「工業技術 として完成 させ るには,日本の企業 に使 っ て もらえば よい し, 日本の企業で使 って もらわなければ

,完

成 しない」 とい

(17)

60 名古屋学院大学論集 う言葉が

,世

界の鉄鋼業界で語 られるようになったという20)。 さらには,導 入 技術のノウハウを理論的に解明 し

,経

験工学 レベルから理論に基づ く論理工 学の レベルにまで高めた21)。 高炉を中核 とする大量生産技術は,日本で「究極 にまで高め られた」。今や

,

日本の鉄鋼メーカーの技術蓄積は,「世界を圧倒 する厚みがある」22)と評価 されるに至っている。 3。

日本鉄鋼業 の技術 開発 基盤

(1)技

術開発基盤への分析視角 日本の鉄鋼技術 にみ る高い到達水準 (成果

)は ,欧

米鉄鋼業 と比較 して も 際立 ってお り,その ような圧倒的な優位性 は国内の主要業種 に もみ られない。 この ような技術水準 を生み出 した 日本鉄鋼業の技術開発基盤

,

とりわけ技術 開発 システム とは何か

,そ

れは どの ような特質 を持 っているか

,が

問われね ばなるまい。 技術開発の ポテ ンシャル とその基盤 を分析 す る手法 と しては

,山

地 憲治

[1988]が

参考 になる。山地氏 は図1で,「開発力 (基盤)」 の中核 に「研究 開発基盤」 を位置付けている。「研究開発基盤」 については,「システム」 と 「要素」という二つの側面か ら捉 える。「システム」とは「研究開発体制

,評

価 システム等」を指 し,「要素」とは「研究者数

,研

究開発費等」を指す。一 方

,十

名 [1988]の場合は

,こ

の両者の区別 と有機的な把握がかな らず しも 明確 ではない。 この反省 をふ まえて

,小

論では,「技術開発への投 入資源」と「技術開発 シ ステム」 という二つの側面か ら

,

日本鉄鋼業の技術開発基盤 にアプ ローチす る。技術開発システムについては

,企

業内システム とそれ を支 える社会的 シ ステム とい う二つの側面か ら捉 える。 20)柳田邦男 [1984]『 日本の逆転 した日(上)』 講談社,199ページ。 21)冨浦梓 [1994]前 掲論文,72ページ。 22)馬場靖憲/高井紳二 [1994]前 掲論文,155ページ。

(18)

研 究開発費 (億円) 対売上高 比 (%) 研究者 数 (人) 対就業者 比 (%) く基礎 素材産業〉 鉄 鋼 2,404 1.94 5.405 1.77 非 鉄 金 属 1,005 1.92 3,514 3.17 化学 (医療 品除 く) 5,945 3.00 29,810 6.31 石 油 ・ 石 炭 ・ 窯 業 2,425 0.98 9,064 3.61 繊 維 ・ 紙 パ ル プ 550 0.97 5,604 1.99 く加工組立産業〉 般 機 械 3.027 2.74 21,313 4.25 電 気 機 械 19,382 5.10 89,824 8.66 輸 送 機 械 9,357 2.90 23.892 3.26 精 密 機 械 2,017 4.40 11,545 6.64 く製造業合計〉 55.436 2.69 239,792 4.68 日本鉄鋼業の技術水準 と技術開発基盤 表

4

業種 別技術 開発 の状況 (1985年度) 出所 :通 産省基礎産業局監修 [1987]前掲書、135ペー ジ。 表

5

研 究開発 費の対 売上高比の米 国及 び西独 との比較 61 製 造 業 鉄 鋼 業 年 度 日本 米 国 西 ドイツ 日本 米 国 西 ドイツ 1973 75 77 79 81 82 1_7 1.6 1.7 1.7 1.9 2.2 3.3 3.1 2.9 2.6 3.1 3.7 2.9 3.3 3.2 3.2 3.3 0.8 1.1 1.1 1.0 1.3 1.5 0.5 0.6 0.6 0.5 0.4 0.5 0.6 0.8 出所 :通 産省基礎産業局監修 [1987]前掲書,135ペー ジ。

(2)日

本 鉄鋼 業 に お ける技術 開発 への投 入 資源 技 術 開発 に投 入す る経営資源 としては

,研

究者 数や研 究 開 発費等 が あげ ら れ る。Fl本の主要業種 にお け る技術 開発へ の リソース投 入状 況 (表

4)を

(19)

62

名古屋学院大学論集 図

9

鉄鋼業における日米両国の研 究費

,研

究費の対 売上高比および研 究者数の推移 (億円) 日本の研究費 アメ リカの研究費 (%) 本 80           60 研 究 費 `4r´ ′ハ・ `` 、 1.05 475億 円 アメリカの研究費 の対売上高比率 1.02 1.0 0.5 研 究 費 の 対 売 上 高 比 率 オ 400 200 0 (千人) 4 ―チ ー ‐くヽ、 、 0′´ ヽ 、 0.4 0 35 40 45 46 47 48 49 50 51(4「) 研 3 究 者 数 2 1 0 資料 出所 日本の研究者数 3,813人 ヽい‐→ `‐ 0‐` 、、 、 。_..._´ 3,300人 アメ リカの研究者数 35 40 45 46 47 48 49 50(4!二) 日

本 総理府統計局「科学技術研究調査報告」

アメ リヵ

NSF「

Re∞aКh and DeVe10pment in lnduttry 1974」

自松爾郎 [1980]「80年 代 日本鉄鋼業の展望」

(20)

日本鉄鋼業の技術水準 と技術開発基盤 表

6

日本鉄鋼業 の研 究開発 費・ 研 究者数の推移 63 1975年 1980年 1985年 1990年 1992年 研究開発費 (億円) 893 1,471 2,404 3,038 3,115 対売上 高比

(%)

1.05 1.14 1.94 2.33 2.58 研 究 者 数

(人

) 3.942 4,434 5,405 6,180 6,561 対就業者比

(%)

1_08 1.28 1.79 2.48 2.62 出所:総務庁統計 局『科学技術研究調査報告』 る と

,鉄

鋼 業 は研究開発費の対売上 高比

,研

究者 数の対就 業者比の いずれ を み て も製造業平均 よ り大幅 に下 回 ってい る。 ところが

,研

究 開発費の対売上 高比 につ いて米 国・ 西 ドイツ と比較 す る と

,表

5にみ るように 日本鉄鋼 業 の 相 対 的 な高 さが浮 かび上 が って くる。製造業 トー タル で は米 国 。西 ドイ ツの

6割

前後 であ るに もかかわ らず

,鉄

鋼 業 でみ る と日本 は米 国 。西 ドイツの2 倍 近 くの高 さにあ る。 研 究 開発費の総額

,対

売上 高比

,お

よび研 究者 数の いずれ も

,

日本 の鉄鋼 業 が米 国 を上 回 ったの は1972年の こ とで あ る(図9)。 1972年を分 岐点 に し て

,

日本鉄鋼 業が研 究開発費等 を著 しく増 加 させ てい るの に対 して

,米

国鉄 鋼 業 にお いては低迷 ない し低 下傾 向 にあ る。石油危機 以降

,

日本鉄鋼 業 の技 術 開発活 動 の高 ま りとの格差 が広 が り

,欧

米鉄 鋼 業 との際立 った対照 を見せ て い る(表

5,図

9)。 研 究 開発費の対売上 高比 で米 国

,西

ドイ ツ を上 回 って い るの は, 日本 で は鉄鋼業 だ けで あ る。 日本鉄鋼 業の研 究開発費 は表6にみ る ように,1975年か ら85年の 間 に 893 億 円か ら2,404億円へ と2.7倍 (実質2.0倍 )に大幅増 加 し

,

さ らに1992年 には3,115億円 に達 して い る。研 究 開発費の対売上 高比 につ いて も

,1975年

か ら85年の 間 に

1.05%か

1.94%に

大 幅 な伸 長 をみせ,さ らに1992年には

2.58%に

ア ップ して い る。 その結果

,地

域 別 の主要鉄鋼企 業 を比較 (図 10) す る と,日 本の高炉大手

5社

の場合

,1社

平均 研 究 開発 費 で は北米 の6.3倍, ヨー ロ ッパ の2.2倍

, 1社

平均 対売上 高比 で は北米 の3.3倍

,

ヨー ロ ッパ の 2.1倍となってお り

,1社

平均 研究 開発費,対売上 高比率 の いずれ を とって も

(21)

64 名古屋学院大学論集 図

10

地域別主要鉄鋼企 業の研 究開発 費 (1990年)

(1)1社

平均研究開発費 (単位 :100万 USドル) 北 米 南 米 _ 110 0 i ・ ^‐・V

I

50.4 1恣

な図

_m

120 60 0 2 1 (2)1社平均対売上高研究開発費比率 欧州 豪州・ アジア 日本 (日本を除 く)(大手5社) (単位

:%)

欧州

豪州・ アジア 日本 (日本を除 く)(大 手5社) 「1 1 ,民 l `・ 10

1疱

1鉤

1髯

L_脳避

1____騰

L___朦

___理

鐵」

____1機

__ 0 南 米 1ヒ米 出所 資料 日本鉄鋼連盟 [1992]「わが国鉄鋼業の技術力」 国際鉄鋼協会 (HSI)統計。

(22)

日本鉄鋼業 の技術水準 と技術開発基盤 65 際立 って高 い水準 にあ るこ とが示 され て い る。 一 方

,研

究者 数 で は

,1975年

か ら85年の 間 に3,942人か ら5,405人に増 え,さ らに92年には6,561人へ と増 加傾 向が続 いてい る。従業 員数 の減 少傾 向の下 での研 究者 数の大 幅 な増 加 の結果

,研

究者 数 の対従 業 員 数比 は

,1985

年 か ら92年の間 に

1.77%か

2.62%へ

と大 幅 に上昇 してい る。 ただ し

,80

年代 半 ば以 降 には経 営 の 多角化 追求 を反映 して

,鉄

鋼 分 野へ の研 究投 資比 率 は7割か ら5割に低 下 してい る23)。 世 界の鉄鋼技術研 究者 (実務補 助 者

,ス

タ ッフ等 を除 く)は 7,000人といわれてい るが

,そ

の うち 日本が2,000人で, 1/3を 占めている24)。 技術開発への リソース投入において,日本鉄鋼業の突出 したポジシ ョンが うかがえる。 日本の鉄鋼技術の高い到達水準 (成果

)は

,技

術開発への この ような手厚 い リソース投入 に基づ いている。 さらには

,そ

れ らの投入資源 を効果的に機 能 させ て きた 日本鉄鋼業独特の仕組み

,す

なわち鉄鋼技術開発 システムによ るところが極めて大 きい。

(3)日

本鉄鋼業の技術開発 システム ① 鉄鋼の技術開発 システムをめ ぐる先行業績 とその評価 日本鉄鋼業の技術開発 システムに関す る研究 としては

,L.H.リ

ン[1982] の先駆的業績が注 目され る25)。 リンは ,転炉技術の導入プ ロセスの 日米比較分 析 を通 して

,

日本の鉄鋼技術開発 システムの特徴 を明 らかに した。国や大学 との関係

,業

界内や資材納入業者な どの企業間関係

,さ

らに企業内における 情報交流や共同研究な どのあ り方等 において

,

日米間に顕者な違いがあ り, 23)日本鉄鋼連盟 [1992]「わが国鉄鋼業の技術 力」。 24)岩井正和[1992]『鉄 に賭 ける一新 日鉄 にみ る「世界最強」への道― 』ダイヤモ ン ド社, 242ペー ジ。 25)レオナー ド・H・ リン [1982,邦訳1986]『イノベー シ ョンの本質― 鉄鋼技術導入プ ロ セスの 日米比較― 』遠 田雄志訳,東洋経済新報社

(LeOnard H.Lynn,How Japan

lnnOvates : A COmpariosn 、vith the U. S. in the Case of()xygen Steellnaking. Westview Press,Inc.)。

(23)

66 名 占屋学院大学論集 日本特有のシステム的特徴 をもつ ことを浮かび上が らせ ている。 リンの分析 については,「組織論的枠組みにこだわ りす ぎたため に焦点がぼ けて しまっ た」との批判 もみ られ る26)が

,鉄

鋼の技術開発への システム的なアプ ローチ は

,そ

の後 における日本の鉄鋼技術研究の先駆 をなすに とどまらず

,

日本鉄 鋼業の システム的な研究の出発点 をなす もの と位置付 けることがで きる。 鉄鋼技術導入プ ロセスに注 日 した リンの研究手法や視点 をふ まえた もの に

,米

倉誠一郎 [1986]27),永田晃也 [1995]28)がある。 また

,国

や大学 との 関係

,同

一業界内での企業関係や需要産業 との企業関係 など社会 システム的 なネ ッ トワークに注 目 した分析 として

,十

名直喜 [1988,1994]29), 日本鉄鋼 連盟[1992]30)等がある。十名[1994]は

,

日本型鉄鋼 システム概念 を提示 し, そのなかに技術開発 システム を位置付 けている。 一方

,岡

本博公[1984]31)は

,鉄

鋼企業の類型分析 を通 して高炉 メーカーの 同質的構造 と大量生産 システムの特質 を明 らか に した。 日本の研究者の手に なる研究 としては先駆的な ものである。 この岡本 [1984]の 分析 をふ まえて, 馬場

/高

井紳二 [1994]32)は ,「同質性」概念 を媒介 に して鉄鋼技術開発にお けるシステム的な特徴 を捉 えている。 さらに

,そ

こにみ られた共生・ 共鳴効 果が近年では機能低下 し

,矛

盾 を深 めている点 を指摘す る。川端望[1995]33) 26)米倉誠一郎[1991]「鉄鋼― その連続性 と非連続性―」米川紳一他編『戦後}1本経常史 第 1巻 』東洋経済新報社,276ページ。 27)米倉誠一郎「鉄鋼業におけるイノベーション導入プ ロセス」今井賢一編『イノベ ン ヨ ンと組織』東洋経済新報社。 28)永 田晃也 [1995]「 日本鉄鋼業のプ ロセス・イノベーシ ョンと人的資源」野中郁次郎

/

永田晃也編 『日本型イノベ ンヨン・ システム』自桃書房。 29)十名直喜[1988]前掲論文,同 [1994.12]「日本型鉄鋼 システムと業界団体」『名古屋 学院大学 研究年報7』。 30)日 本鉄鋼連盟 [1992]「わが国鉄鋼業の技術力」。 31)岡 本博公 [1984]『現代鉄鋼企業の類型分析』 ミネルヴァ書房。 32)馬 場靖憲/高井紳二 [1994]前 掲論文。 33)川 端望 [1995]「 日本高炉メーカーにおける製品開発一競争・生産システムとの関わ り で―」明石邦彦/植田浩史編『日本企業の研究開発システム』東京大学出版会,115ペー

(24)

日本鉄鋼業の技術水準 と技術開発基盤 67 は

,こ

れ らの近年の研究が システム的 な視 点か ら行 なわれ てい るこ とに注 目 して い る。 以上 にみ る よ うな鉄鋼技術研 究の流 れか ら次の点が浮 かび上 が って くる。 す なわ ち

,

日本鉄鋼 業 におけ る技術 開発の特徴 は

,ま

さに企 業 内外 にわた る ネ ッ トワー ク・ シス テム と しての結合 度 の高 さにあ り

,

しか も各論者 が なん らかの形 でそれ に触れ た り

,評

価 してい る とい う点 で あ る。 ② 企業内における技術開発 システム

I

中央研究所 における技術開発 システム 企業内における鉄鋼技術の開発 システムは

,中

央研究所 における基礎的な 研究開発

,製

鉄所 における実用化・改良研究

,生

産現場 における操業改善 と ノウハウの蓄積, とい う3層の構造 において掴む ことがで きる。 戦後 における鉄鋼技術開発の重点 は,「導入技術の実施

,改

善 に当たっての 支援」34)に置かれて きた。海外か ら導入 した革新技術の中には,まだ工業化 さ れていない ものや ノウハウに属す るものが多 く

,導

入技術が定着す るまでに は先人のなみなみな らぬ努力があった。1955年以降に 日本経済が本格的な成 長期 に入 り

,設

備が大型化 。高速化 し

,生

産品種が著 しく拡大す る。その結 果

,過

去の経験 にのみ立脚 した技術では対応が難 しくな り

,企

業内における 研究開発体制が急速 に拡充 され

,生

産技術が急速な進歩 をみ る。 日本の鉄鋼各社 において も

,相

次いで中央研究所 を設立す るに至 る。1959 年 に富士製鉄

,八

幡製鉄

,住

友金属の

3社

が中央研究所 を設置す る。 また, 58年には川崎製鉄が

,60年

には 日本鋼管

,神

戸製鋼所が工場付属の研究所 を 本社直属の研究所 に昇格 させ

,充

実 を図 った35)。 なお,米国において も同 じような動 きがみ られた。1956年には

U.S.ス

チー ルが新 たに研究所 を発足 させてお り

,同

時期 に米国の鉄鋼各社 も中央研究所 設立 に走 っている。

U.S.ス

チールが1956年に建設 した総合的な研究セ ン 34)日本鉄鋼連盟[1981.12]「わが国鉄鋼業の研究開発の現状 と課題」『鉄鋼 界』18ペー ジ。 35)同上,17ペー ジ。

(25)

68 名古屋学院大学論集 ターは

,Bainの

名 を冠 した基礎研究所 (ベイン・ラボラ トリーズ

)と

,実

際 的な研究 を行な う応用研究所 を置 き

,対

象 も冶金

,化

学 に限 らず

,エ

ンジニ ア リングや システムをも含む総合的な ものである。最盛期 には3,000人を超 え

,さ

らに製鉄都市 ピッツバーグにあるカーネギーエ科大学

,U.S.Bareau

of Mines(連 邦政府の鉱 山冶金研究所

)そ

の他 と密接 な交流 を行なって活況 を呈 した36)。 ただ し

,70年

代 になると技術開発への対応 に顕著 な違 いが見 られ るように なる。

U.S.ス

チールの研究セ ンターの研究者数は

,1978年

4月 末 には1,208 人

(=博

十 ∼学士合計554人

+補

助要員654人)に減少 した37)。 さらに

,1980

年代 にベ イン・ラボラ トリーズが閉鎖 され

,研

究者 は80年代末 になると380 人に落 ち込み

,そ

の三分の二 はクレーム処理な どに振 り回 されている38)。 米国の鉄鋼各社 が70年代 に中央研究所 を相次 いで縮小 。開鎖す る方向に 走 ったのに対 して

,

日本の鉄鋼各社 はむ しろ環境 の激変 に対応すべ く研究開 発部門 を強化す る方向を選択 した。図 11に み られ るように,1980年代 にはエ レク トロニ クス研究所の設立 な ど経営の多角化 に対応す る方向での研究開発 体制の整備が図 られた。さらに

,1990年

代 に入 ると経営の リス トラクチュア リングに対応 しての研究開発体制の再編成が進め られている。 中央研究所が総合的に担 って きた研究開発機能の うち

,生

産技術の開発研 究 は製鉄所の側 に移転す る傾向がみ られ る。 これは

,生

産技術 に関す る研究 は製造現場 により近づ けるこ とによって

,研

究開発の「効率」 をよリア ップ しようとす る狙 いがある。こうした動 きは,自 動車な ど他産業 に もみ られ る。 1991年9月

,新

日鉄 は540億円を投 じ君津製鉄所 に隣接 して一大研究拠点 「総合技術セ ンター」 を建設 し

,各

地 に分散 していた鉄鋼関連研究所 を中心 に集約 した。 これは

,研

究 。開発・ エ ンジニア リングの総合一貫体制 を構築 す ることによって,「研究開発業務の効率化

,研

究成果の早期実用化・商品化 36)松田常美[1981.1]「U.S.ス チールのエ ンジニア リング事業」『鉄鋼界』,28∼ 29ペ ー 37)同 上,29ページ。 38)内 橋克人 [1989]『「重厚長大」産業の復権』講談社,57ページ。

(26)

日本鉄鋼業の技術水準 と技術開発基盤 図

11

新 日本製鉄研 究開発体 制 の歴 史的変遷 注:第一,二 ,三技術研究所は,89年において研究所内部の見直 しあ り。 1901年官営八幡製鉄所発足 研究所発足 1919 1934 1943 1950 1959 69 11本製鉄発足 日本製鉄解体 八機製鉄・富士製鉄発足 蹴   術 所   研 鉄   術 席   鳩 八幡製鉄所技術研究所 │ 八繕製鉄東京研究所 富―七製鉄中央研究所 1 1 1 _│ 1 l ト , 1970 ′ヽ幡製鉄・富士製鉄合併 新日本製鉄発足 基礎研究所 製品技術研究所 生産技術研究所 設備技術センター │ 設備技術本部 中央研究本部発足 第 一技術研究所. 第二技術研究所 第二技術研究所 エレタトロニクス研究所 技術開発本部発足 鉄鋼研究所 プロセス技術研究所 設備技術センター 出所 :『鉄鋼界』1992年12月号。 を図 る」こ とを狙 った もので あ る。また

,製

鉄所 に隣接 す るこ とに よ り

,ユ

ー ザ ー・ニ ー ズヘ の迅速 な対応 を図 るこ とを狙 ってい る。新 日鉄 全体 で2,914人 の研 究 ス タ ッフお よびエ ンジニ アの うち

,鉄

鋼 関係 中心 に1,300人を総 合技 術 セ ンター に集 め て い る39)。 同様 の動 きは

,神

戸製鋼所 に も見 られ る。1992年に250億円 か けて「神 戸 総 合技 術研究所」 を建 設 し

,各

事業部 に直結 した研究所

,研

究 セ ンター以外 は こ こに集約 した。 その一 方で

,鉄

鋼技 術 研 究所 は加古川 製鉄 所 に移 転 して い る40)。 従 来 か ら

,生

産技術 に関す る研究 は

,研

究所 と製鉄所 の技術者 が協 力 して 進 め る とい う動 きが よ くみ られ た。技術系 の論文 には

,そ

れ ぞれの部署 に所 39)日 本鉄鋼連盟 [1982.12]「鉄鋼業の

R&D体

制一―新 日鉄」『鉄鋼界』。 40)日 本鉄鋼連盟 [1992.10]「鉄鋼業の

R&D体

制一神戸製鋼所」『鉄鋼界』。 1972 1979 1981 98     98   ”

(27)

70 名古屋学院大学論集 属す る技術者達の連名になるものが多いことな どに もそれが うかがえる。生 産技術の研究開発 は

,製

造現場 における調査や実験

,実

機 テス トと不可分 に 結びついている。 とりわけ最終的な適用段階では

,製

鉄所の技術者の協 力が 欠かせ なぃ41)。 こうした両者の密接 な関係 を,近,一体化 によってよ り効率 性 をあげ ようとい う狙 いが こめ られている。 米国 においては,高炉 メーカーの研究部門は1960∼70年代 に生産工程 と製 法 の開発への興味 を失 った という42)。 日本の高炉メーカーが経営の リス トラ によって

,一

方では研究者の大幅な削減 に手 をつけるも

,他

方では研究 と現 場 をよリー体化 させ るという日本的な手法 によって効率性 を高め ようとす る 動 きがある点は興味深 い。 技術 は

,本

質的 に論理性 を もつ とともに

,不

確実性 をも併せ持 っている。 これ をふ まえた うえで,日本鉄鋼協会 は,「研究開発側 は大胆 に期間 と成果 を 約束すべ き」であるとい う。 こうした主張 は

,鉄

鋼各社が経営 リス トラの一 環 として企業内の研究開発の大幅な圧縮 を図 り

,改

良研究の枠内に限定 しよ うとい う方向 と重なる危険性が少な くない。その結果

,鉄

鋼 メーカーにおけ る研究蓄積の消失 につなが る リスクが高 まっている。「普遍的 に役立つ技術の ス トックこそ評価すべ きである」と鉄鋼協会は主張 している43)が

,そ

れ を可 能 にす る条件 と評価 システム を整備す る必要がある。

II

製鉄所 における技術開発 システム 製鉄所 には

,各

製造部門の各工場 に大学卒

,大

学院卒が多数配置 されてい る。これは,自動車 な ど他産業 に もみ られない とい う44)。 ホワイ トカラーは事 務系 。技術系 ともに

,図

12に み るように本社 と製鉄所間を順次 ローテーシ ョ

41)川端望[1994.12]「 B製鉄記述開発本部 ヒア リング記録」『OCCUIER Working paper

Series』

42)ダー トウゾス他 [1989,邦訳1990]『Made in America』 (Michael L.Dertouzos et al,Made in America,The MIT Pres in Cambridge)依 田直也訳 草思社,386ペー ジ。

43)日 本鉄鋼協会 [1995.4]前掲誌

,7ベ

ー ジ。 44)岩井正和 [1992]前掲書,240ペー ジ。

(28)

日本鉄鋼業の技術水準 と技術開発基盤 図

12

製 鉄 事 業 大 卒 社 員職 務 ロー テ ー シ ョン概 念 図 事務系大卒 71 昇   進 新入社員 一‐‐ 職 務 経 験 技術系大卒 製造 ライン ‐,I

I

技術管理 I

L_生笙征医」

操業技術 設備技術 研究所 新入社員 新入社員 資料:新日本製鐵。 出所 :永 田晃也 [1995]「日本鉄鋼業のプ ロセス・ イノベー シ ョンと人的資源」 野中郁次郎/永田晃也編 『 日本型 イノベー シ ョン・ システム』 白桃書房 よ り再 引用 ン して キ ャ リア を形成 してい く。技 術系の場合,研 究所 と製鉄所間の ローテー シ ョン もみ られ る。 こ う した広域 の ロー テー シ ョンに よって

,特

定 部 門 を超 え た 人的 ネ ッ ト ワー クや キ ャ リアの形成が可能 とな り

,社

内 にお け る情報流通や ノウハ ウ交 流 の 円滑化 を もた らす。 こう した土壌 の上 に

,企

業 内 にお け る技術 をめ ぐる 人事や情報 の密接 な交流 の ネ ッ トワー クがつ くり出 され てい る。 ブル ー カラーの場 合

,通

,工

場 内 にお いて

,班

長 の管掌範 囲内で関連 業 務 をマ ス ターす るため に

,定

期 的 に ロー テー シ ョンを行 な ってい る。ただ し, 製鉄所―‐本社 製鉄所―‐・本社

(29)

72 名古屋学院大学論集 製鉄所のスクラップ・ エ ン ド・ ビル ドの際には

,製

鉄所間の移動 なども行な われ る。高度成長期 には

,新

鋭製鉄所の立 ち上 げに伴 って,「民族大移動」と 呼ばれた ような大規模 な製鉄所間の移動がみ られた45)。 1980年代後半以降の 円高 「合理化」 においては

,ホ

ワイ ト・ ブルーの何れにおいて も出向・ 転籍 を含めて

,鉄

鋼 メーカーや鉄鋼事業 を超 えた人事異動が実施 されている。 高炉の

AIシ

ステムの開発にあたっては

,ホ

ワイ ト・ブルーの何れにおいて も

,こ

うした複合的なキャ リア形成のあ り方が

,ノ

ウハ ウの蓄積 とその客観 化

,定

量化 に大 きな威 力を発揮 したことが紹介 されている46)。

HI

生産現場 における改善活動 ブルーカラーの作業現場 において組織 され推進 されて きた 自主管理活動 は

,新

設備導入や合理化の能動的な受皿 として機能す るとともに

,情

報交換, さらにはノウハ ウや技能の継承の場 として も機能 して きた。 自主管理活動 に おいては

,作

業現場の様 々なアイデアな どが高 く評価 されているが

,実

態 と してはホワイ トカラーがアイデアを出 してそれ を作業現場のブルーカラーの 側が 自らの活動 として まとめてい くようなこ とが よくみ られ るという47)。 自主管理活動 は

,次

の2つの画期 を契機 に して鉄鋼業界全体 に浸透 した。 一つ は

,1969年

以降

,鉄

鋼連盟 を中心 に業界 をあげて取 り組んだ推進活動で ある。 もう一つの画期 は

,石

油危機 とその後の鉄鋼不況の下で危機バネに基 づ く減量経営 「合理化」のテコとして推進 されたこ とである。 この内

,

とく に前者 は 日本鉄鋼業のシステム的な特質 を示す ものであ り

,後

者 はシステム の確立 と密接 につなが るものである。 多能工化 を促 して きたブルーカ ラーの ローテーシ ョンにつ いては,「 1950 年代の後半に

,鉄

鋼業のい くつかの先進的な工場で

,職

長や副長のイニ シア 45)田 中博秀 [1982.3]「 日本的雇用慣行を築いた人達―小松廣氏に聞 く(か―」『Fl本労働 協会雑誌』276号 。 46)長谷川孝[1987]「新 日鉄は何 をめざすか』福村出版株式会社,101∼ 116ペ ージ。およ び永田晃也 [1995]前 掲論文,71∼ 75ペ ージ。 47)李鍾久/山本潔 [1992]「K製鉄千葉製鉄所 (B)」『工場見学記録集一 日本の工場: 1970∼90年 一』東京大学社会科学研究所 調査報告 第 25集 。

(30)

日本鉄鋼業の技術水準 と技術開発基盤 73 テ ィブ によって

,現

場か ら独 自に発展 して きた もの」といわれている48)。 多能 工化 は

,基

本的には班単位の多工程経験 を促す ものであるが

,最

近では操業 部門において も簡単な保守 。点検 といった異系列の業務 をもこなす方向が進 め られている49)。 以上 にみ るような動 きは

,基

本的 に本エ レベルの ものであるが

,下

請企業 の段階において も時期 をず らして1970年代後半以降 よ り急速 に浸透 してい く。減量経営が強 まる中で,「業務移管」の形 を取 りなが ら

,下

請化比率が高 ま り

,基

幹工程 について も下請化が進んだ。 自主管理活動な どもそ うした動 きの中で浸透 していった。 ③ 企業内の技術開発 システムを支 える社会的システム

I

国家 との関わ り 日本鉄鋼業の技術開発 システムの特徴 は

,企

業内の技術開発 システムを支 える社会的なシステムにある。日本鉄鋼連盟 も,こ の点 を強 く認識 してお り, 次の ように表明 している。「技術力強化 における日本鉄鋼業の特徴 は

,政

府 は もとより

,大

,他

産業 (ハー ドメーカー

,ユ

ーザー

)お

よび同業他社 との 間で幅広 く協 力・協調の体制 を構築 して きたことにあるといえる」50)。 国による法的 。税制的な優遇 は

,技

術導入期だけでな く技術発展期や技術 高度化期 において も

,形

を変えてなされて きた。 また技術導入期 には

,導

入 契約 を有利 に しライセ ンス料 を低 くす るために

,通

産省が積極的に関 ケして いる。

LD転

炉技術の導入契約 をめ ぐる八幡製鉄 と日本鋼管の競合に対 して, 通産省は契約窓 口を一本化す るように指導 した。その結果,「途方 もな く安い」 特許権料 につながっている。さらに,窓口業務 と

LD転

炉技術 を普及す るため 48)青木 昌彦 [1988,邦訳1992]『日本経済の制度分析一情 報・インセ ンテ ィブ・交渉 ゲー ム』永易浩一訳 筑摩書房。 49)最近の先進的な事例 については,藤沢健二[1995]「生産工程 の概要 と労働 力編成の特 質」北海道大学教育学部付属産業教育計画研究施設 研究報告書 第46号『鉄鋼業の リ ス トラクチュア リング と重層的労働 力編成の現段階』。 50)日本鉄鋼連 盟 [1993.3.21]「 新 たな発展段階 を迎 えたわが国鉄鋼技術」F鉄鋼界報』。

(31)

74 名古屋学院大学論集 に組織 された

LD委

員会 は

,業

界 内の技 術 交流 を促 す受 け皿 と もな った51)。 70年代 後 半以 降

,大

規模 な研 究資源 の必要 な技 術 開発 につ いて は

,業

界共 同 の国家プ ロジェク トと して組織 し,そ こに国か らの補助金 が出 されて い る。 鉄鋼 業 において

,国

家資金 を呼 び水 とす る業界共 同の大 型国家プ ロジェク ト の先駆 をな したの は

,原

子 力製鉄 の研 究開発プ ロジェク ト (正式 名称 「高温 還 元 ガ ス利 用 に よる直接 製鉄技 術 の研 究 開発」1973∼78年

)で

あ る。 日本鉄 鋼連 盟 の決 定 を受 けて

,1973年

5月 に原子 力製鉄技術研 究組合 (理事 長 :川 崎 製鉄 社 長)が 設立 され

,7カ

年 にわ た り総 額120億円が投 入 され た52)。 続 い て

,総

額90億円か けて

9年

間 にわ た って推 進 され た「連 続 式 成形 コー クス研 究 開発」(1978∼86年)53),さ らに「溶 融 還元 製鉄法 (石炭 直接 製鉄法)」 (1988∼95年

)等

へ とつなが っている。「溶融還元製鉄法」は

,総

開発費150 億 円の うち三分の二 を国が負担す るというもので54),通産省が石炭利 用総合 セ ンターに補助金 を交付 した後

,鉄

鋼連盟が これ を受 けて国内鉄鋼一貫メー カー

8社

が参加 して実行す る間接補助事業 となっている。 この方式は

,1994

年度か ら調査研究がスター トし96年度以降 に本格的な技術開発が予定 され ている革新的 コークス炉開発 (「石炭高度転換 コークス製造技術」

)に

も適用 され る55)。 これ らは

,

日本鉄鋼連盟の主管 による業界共同の国家プ ロジェク トである が,「半凝 固加エプ ロセス」や「新製鋼プ ロセスフ ォーラム」等 にみ られ るよ うに,その他の方式 による国家プ ロジェク トも進め られて きた56)。 これ ら研究 51)レオナー ド・H・ リン [1986]前 掲書,69∼ 71ペー ジ,93∼ 95,お よび永田晃也[1995] 前掲論文,57ペー ジ。 52)『鉄鋼界』1975年12月 号,24ペー ジ,および同誌1978年1月号,48∼ 49ページ。 53)『鉄鋼界報』1986年10月 1日号。 54)長谷川孝 [1989]前掲書,163ペー ジ。 55)『鉄鋼界報』1994年3月 21日 号。 56)「 半凝 固加エプ ロセス」(1988∼94)は,30億円の研究資金 を投 して進め られた。 その 研究母体 となったの は

,鉄

鋼13社と非鉄 。重工4社の計17社が基盤技術促進セ ンター の出資 を得て1988年に設立 された

R&D会

社「 レオテ ック」である(『鉄鋼界』1993年 4月 号,49ペー ジ)。

(32)

75 日本鉄鋼業 の技術水準 と技術開発基盤 ム ヽ 日 ヽ 日 ヽ 静 駅 磨 制 服 e 傷 輝 覇 騒 ゛ 卜 半 屋 ″R 田 珊 覇 騒   卜 脳 ぐ 颯 椰 釈 さ 樹 顆 家 医 贅 製 獅 謳 脳 環 懸 ぶ ︵ 器 も 瀧 暉 C ゞ ミ く “ こ 眠 ヽ S 一 ︶ 翠 埋 ξ 褒 製 肺 駆 に 輝 霞 目 も 一 ● 躙 籠 起 輝 に 翠 掏 葵 緊 S 褒 ヨ 鰤 駆 ∞ .0 ∞ ︱ ヽ O ︻ .卜 ∞ ︻     世     □ 却 O     L     竜 べ     曇 一 一 便 ∞     世     佃 軽 N     =   К ︵ 0 ヽ い 鯉 ︶ 工 ヽ H ヽ ロ ト 駅 歴 ヒ 輝 ぐ 撃 靱 経 製 ︱ ヽ ヽ や い 奪 メ 一 訳 躍 ■ 回 汽 ポ ド K ﹁ 即 諮 熾 専 群 殴 一 一鳴 S 壼 ヽ 蠣 ・ 本 鴨 鞭 S ζ ぶ 錮 準 く ■ 翠 選 F 雲 一 ヽ C ζ 靭 悴 能 製 C 〓 ヽ 黙 ・ ミ 憮 率 墨 叶 o O I ∞ ∞ せ     □ 騒 咽 枷 騒 ぶ 奪 腱     位 N 即 N 卿 N 椰 ト ぐ 駅 卜 真 〓 暉 嘱 嘔 靭 劇 駆 J 細 暇 咽 蘇 毒 ・ 悧 雁 S ︶ ■ 9 り , ´ヽ ヽ 、 , 慟 マ 〓 C ヽ 薫 本 掏 マ ー ︲︱ ● ︶ £ 掏 ﹁ 暉 喉 ﹂ ξ ︶ D 掏 担 ︱ C “ ´ 醐 C 寵 鼎 〓 攣 一 .0 ∝ ︱ ヽ ︻ ︻ .∞ ∞ ︵ い ヽ N ぐ Щ 椰 そ . O ﹁ ぐ ぼ さ ︶ = 係 熙 細 係     回 ″ ヽ К I ︵ 却 ヽ L 撻 “ ︶ 遣 E ・ 黎 ぐ 題 出 世 一 ¨ 位 朴   К 0 ボ 吉 に 輝 騒 轟 蠣 鮨 ポ 課 靱 製 嶼 ポ き 。 判 雁 C 馴 曜 ※ 糞 ヤ 恒 癒 S ほ 輝 驀 郡 事 C 脚 翡 N 躙 距 卜 、 , ヽ К .D 一 ﹂ 一 ヽ り 一コ ︶ の ヽ ︻﹄ S К や o 卜 暇 習 S ヽ 狐 唱 忙 C 唱 郡 C ポ ぐ ∝ .C O I ︼ .0 ∞ 禅 り 禅 n お ト 郷 ︻ 鷺     回 肇 ぶ 華 簗 ︼ ^ 榊 験     忙 朴     K ︵ , ヽ ヽ ヽ 工 К ・ o ヽ キ ヽ 、 ヽ 、 ︱ト ー ト ・ ヱ ヽ 日 ヽ ヽ 一 ︲卜 ヽ ヽ ︶ ・ ぐ ポ さ あ く [ 翠 ︶ ‘ 0 ● 一 ぽ 腱 贅 晏 S 拒 韓 涎 繊 .量 回 副 禦 単 H 一 ヽ ︶ C ¨ ■ 駅 歴 0 ﹁ 捜 扇 C 距 側 蝶 ゛ “ り ヽ 本 騒 ヽ 卜 ヽ く ﹂ N ¨ .0 ∞ ︱ , .∞ ∞ せ     回 逢 理 ロ 冊 欄 輌 H   糊 郡 ぐ 諮 製 ﹄     値 朴     K マ ﹁ 却 ︻ や ヽ 姜 Ю 禅 0 経 ︻ ︵ 翌 長 H く γ O 駅 お 二 く 判 雁 S 計 ヽ 、 く C ζ コ ︶ 耕 軽 ︼ く も ■ ■ く 癬 ︼ く 凛 糞 C 壼 ※ 糞 C 汽 ぶ 訓 ゛ “ せ く 辮 マ 撃 軍 掏 さ 暉 Q ︻ く や 0 ■ ユ さ 誘 郡 N ︼ . 0 ∝ ヽI H . ∞ ∞ せ     日 騒 ぶ 華 曝 姻 榊 壕     忙 朴   K ∞ 禅 ∞ 専 N 却 ト 軽 ︻ 0       ボ       さ ミ ー 、 卜 К ・ ヽ ヽ 卜 ヽ 罵 卜 陣 離 N 馴 曜 ※ 糞 々 ● 却 攣 m 掏 叶 o 8 N 田 維 も “ “ 筆 選 F C 訳 匿 “ ^臓 ‘ つ 案 壕 ぶ も “ ● む こ 器 製 S ハ ヽ ︱ ヽ К ・ ヽ ヽ 卜 ヽ 0 .∞ ∞ ︱ ヽ N ︻ .卜 ∞ せ     □ 肇 ぶ 套 L     肛 朴     < ¨ 喜 ﹂ ﹁ ゼ 壼 o ヽ ︱ 、 卜 К ・ ヽ ヽ 卜 ヽ ﹂ N # ω 却 0 輝 ﹁ 継 N 型 相 C 燎 臨 ・ 剤 羅 維 痙 誼 軍 ︱ ツ ヽ ヽ ヽ 回 総 ︿ や     撃 ﹀ 中 国 H 眠 ゛ ← Φ ∞ Φ [ ﹃緊 疇 購 ポ ﹄ 一 彙 ﹂ ヨ

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