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現代日本都市の社会組織の考察

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現代日本都市の社会組織の考察

一NPO・市民活動組織を中心に一

和 田 清美

1.本稿の主題

 1998(平成10)年3月制定、同年12月に施行された「特定非営利活動促進法

(=NPO法)」は、本年をもって10年目を迎える。折しも、本年12月には、

1897(明治29)年の民法制定以来、主務官庁の許可主義のもとで運営されてき た公益法人制度を抜本的に見直した「新公益法人制度」がスタートする。この 制度改革においてNPO法人はその対象からはずされ、 「特定非営利活動法人 制度」は引き続き在置することとなった。それ故、NPOならびに市民活動組 織にとって本年は、単にNPO法施行10年目という「一つの節目」にあたる年

というだけでなく、あらたな出発とも言える年である1)e

 さて、 「特定非営利活動促進法(=NPO法)」の創設以来、法人数は増え つづけ、2007(平成19)年1月には3万を超え、いまやNPO法人は、日本社会

に着実に定着している。とりわけ、地域の社会組織なかんずく都市の社会組織 においてその存在は抜きがたいものとなっている。もちろん、それはNPO法 の施行当初もそうであった。というよりも、むしろ法律制定を強力に推し進め たのが、都市を中心に無数に形成され存在していた市民活動組織であり、各政 党の思惑をこえて同法を制定せざるを得ないからであった。いわゆるボランタ

リー・アソシェーションとしての「市民活動組織」は、法人格を得られないこ とで組織基盤・運営に困難を有していた。そのためその法的・制度的基盤の確 保は長い間の懸案事項であった2}。折しも阪神淡路大震災の大惨事が発生し、

全国から駆けつけた延べ150万人ものボランティアの数がさらに強い追い風と

なって、法律の制定に向け市民活動組織が活発に動いた。法律制定に至るまで

に紆余曲折があり、多くの利害関心の妥協、調整の末に、結局名称は、「特定

(2)

非営利活動促進法(=NPO法)」となった。制定の経緯はともかくとしても、

本来それは市民活動組織から端を発したことを決して見逃してはならない。

 事実、同法第1条において、「この法律は、特定非営利活動を行う団体に法 人格を付与すること等により、ボランティアをはじめとして市民が行う自由な 社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増 進に寄与することを目的とする」とあるように、市民の自由な社会貢献活動を 強調している。さらに本法律の意義は、活動を行う非営利団体に簡易な手続き で法人格を取得できる道を開くものとして、議員立法によって制定されたこと

にある。

 ところが、先にもふれたようにその社会的認知が広がりを見せる一方で、近 年一とりわけ2㎜年以降、NPOをとりまく状況が大きく変化し、あらためて その本質論的規定が問われてきていると筆者は考えている。そうしたことの現 れの一つが、2003(平成15)年5月の法律改正である。これは特定非営利活動 の範囲拡大や暴力団排除の強化を内容とするものである。また、「新公益法人 制度」との関連を踏まえて、特定非営利法人制度の見直しの作業が国民生活審 議会総合企画部会ですすめられ、昨年(2007年)6月には最終報告がとりまと められている(国民生活審議会総合企画部会2007)。筆者の問題関心はこうし た制度の見直しの背後にある「NPO」のもつ社会組織としての役割と機能に ある。とりわけ、いまや都市の社会組織として定着し、その役割一とくに公共 サービスの担い手として一がますます期待されつつあるNPOを、従来のよう

な「自発性」を強調した「市民活動組織」としてのみの把握でいいのかとの疑 問をもっている。また、そもそも「ノンプロフィット」とは一体何を意味し、

それが都市の社会組織としていかなる役割と機能を果たしているか。ここに筆 者の問題意識があり、本稿の課題がある。

 ところで、日本の都市社会学において社会組織もしくは集団の研究は、多く の蓄積がある(和田2004)。しかし、町内会や市民組織といった個別の組織・

集団をあつかったものが多く、これを都市の社会組織論として一括してとりあ げ論じたものはほとんどない。あえて展開の可能性をはらむ論孜をあげれば、

9種の結節機関をあげた鈴木栄太郎の『都市社会学原理』 (鈴木1953)3)、北川

(3)

隆吉の「都市社会と社会組織」 (北川1962)4)、高橋勇悦の「地域社会の構 造」 (高橋1980)5)、福山市の社会集団編成をとりまとめた蓮見音彦編の『地 方自治体と市民生活』 (蓮見編1983)6〕があげられる。こうした同テーマの研 究状況を打開すべく、筆者はここ数年こうした視点からの論孜の発表を重ねて きた。まず、これまで筆者が取り組んできた都市の住民組織一とりわけ「町内 会」の実証研究を踏まえつつ、戦後の都市町内会論の展開とその整理を試みた

(和田2008b)。その成果の上に、地域の社会組織とりわけ都市の社会組織 を、居住組織、市民組織、経済・労働組織、行政・政治組織の4つに分類し、

その提示を試みた(和田2007a)。さらに、戦後日本都市の社会組織研究の論 争点である住民組織と市民組織の問題一とくに前者においては町内会を、後者

においてはNPOをそれぞれ中心的に扱い、両者の関連性について論じた(和 田2007b)。また、本論文の最後には、最近のトピックスともいえる「新しい 公共論」をとりあげている。「新しい公共論」は、NPOを公共サービスの担 い手としてとらえていること、ここに至ってますますNPOのみならず住民組

織である町内会もまた、 「経済組織」である「企業」 「市場」や「行政組織」

との関わりなしに存在しえないことを検証し、ここに都市の社会組織のもつ特 質があると論じた。このようなこれまでの筆者の都市の社会組織に関する蓄積

を踏まえつつ、本稿ではあえてNPOを研究対象にとりあげ、同組織の役割と 機能について現段階で整理し、これを都市の社会組織全体のなかに位置づける

ことが本稿の狙いである。

 また、この点とかかわって、筆者がこれまですすめてきた研究テーマの一つ である「コミュニティ政策」に新たな展開がみられることである。2㎜年以降 のコミュニティの再評価を背景に、2005年以降コミュニティ施策の形成・立案 の向け、報告・とりまとめが相次いで出されている7)。その内容については別 稿に譲るが(和田2008a)、とくにここで注目したいのは、昨年(2007年)5 月、自由民主党地方行政調査会が出した『地域社会の再生に向けて(パブリッ クマインドの蘇生のために)』の報告である(自由民主党地方行政調査会 2007)。その中には「コミュニティ基本法(仮称)」の制定が提案されてい

る。 「コミュニティ政策」の課題に一つとして、既存住民組織一町内会・自治

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会等一と、ボランタリー・アソシェーションとの連携もしくは調整の問題があ ると筆者が理解しているが(和田2006)、この「コミュニティ基本法(仮 称)」は一体何を意図したものであるのか。本法律を含め、コミュニティ施策

はいまだ確定したわけではなく、むしろ政策形成・立案に向け混迷状況にあ り、現段階では何とも言い難いが、注意を要する事態と筆者は受け止めてい る。この点も本稿執筆の問題意識の一つでもある。

 したがって、以下では、まず、NPO法制定を、戦後日本の「市民活動組

織」の成果・到達点と位置づけ、いわゆる「NPO・市民活動組織」の展開 を、第二次世界大戦後まで遡って辿ることとした。つまり、戦後日本の「市民 活動組織」の連続と断絶を明確すること、これが本節の課題である。その上 で、次節では先にあげた国民生活審議会総合企画部会報告『特定非営利活動法 人制度の見直しに向けて』をとりあげ、これを手掛かりにNPO法人が現在抱 える課題の検討を行う。とくにその名称の問題ともかかわって、あらためてN PO・市民活動組織の本質論的規定の問題にふれたい。こうした検討を踏まえ て、最後に、NPO・市民活動組織を含めた都市の社会組織の分類と課題の提 示を試み、今後の筆者の都市の社会組織研究の方向性を述べて、本稿を終える

こととしたい。

11.戦後日本都市のNPO・市民活動組織の展開

(1)公害問題・都市問題の発生と市民運動の隆盛

      一1950年代から1960年代へ一

 では、第二次世界大戦後からNPO法制定に至るまでの、都市の「市民組

織」の展開を検討していくこととしよう。その前に、先にあげたコミュニティ

施策の形成のための報告・とりまとめにおいてもみられることであるが(国民

生活審議会企画部会2005、総務省コミュニティ問題研究会2007)、わが国にお

いて都市の社会組織としてのNPO、市民活動組織が問題とされるとき、常に

その片方に伝統的地域組織一とくに都市では町内会、農村では部落会一の存在

があり、その対抗もしくは拮抗関係において捉えられていることをまず指摘し

ておきたい。

(5)

 それは第二次世界大戦後の「町内会」の位置づけをめぐる「町内会論争」に あると筆者は考えている(和田2008b)。詳しくは拙稿に譲るが、第15回都市 問題会議の議題で取り上げられた「市民組織の問題」において、高田保馬、鈴 木栄太郎、奥井復太郎、磯村英一が参加し、高田を除く三者が「町内会」を前 近代的・封建組織として位置づけた(「都市問題』第44巻第10号、1953)。こ の根拠となっているのが、個人を単位に目的機能別に任意に加入するボランタ

リー・アソシェーション型の「近代的市民組織」に対して、 「町内会」は世帯 を単位に居住地ごとに組織化される機能が未分化の包括的組織であるとの見解 によっている。そこでの論点は、組織原理として「個人の自発性」と「居住単 位」の違いにある(倉沢2005、和田2008b)。

 しかし、1950年代後半から1960年代の高度経済成長期をとおして、多発する 公害問題や生活基盤の未整備といった都市問題に対し、各種の市民運動や住民 運動が頻発する。ここで一躍、市民運動や住民運動が注目されてくる。運動の 担い手の中には、伝統的地域組織である「町内会」や、その新しい形態として の「(団地)自治会」が、現れようになってくる。こうした事態について、中 村八朗は、「同じ役員層難に悩みながらも行政政治的側面では特異性をもった 町内会が次々と現れている。これらの町内会は強い自主性をその特徴としてお り、行政機関による町内会利用にも批判的であるばかりでなく、町内会活動に 対する住民の要求貫徹に重点をおいており、また地方選挙の場合には、町内会

の利用を排除するか、あるいは革新支持にさえ回っている」 (中村1964)と鋭 く指摘している。また大原光憲は、 「住良の生活要求に応じた機能組織として 自治会を位置づけ、伝統的地域組織としての町内会を区別する」という主張が 出てくるようにもなる(大原1978)。

 伝統的地域組織である町内会にさえこうした変化・変容をもたらした高度経 済成長期一とくに1960年代後半以降の市民運動や住民運動の隆盛は、まさに今 日の市民活動組織に繋がる自立的市民運動として系譜化される。もちろん、そ れ以前にも国民的運動として結実した安保闘争、さらには三池炭坑にはじまる 労働運動があったが、これらの運動との相違点について、次のような指摘がな

されている。「この60年安保闘争の前後に、政党・労働組合に系列化されえな

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い独自の自立的市民運動が戦後はじめて形成されたが、60年代に入って市民運 動はその自立性・独自性を一層強めてきている。とくに注目されるのは、従 来、自立化をつよめつつも労働組合運動との間にはほぼ協調と連帯を保ってき た市民運動が、60年代後半以降の飛躍的な高揚のなかでしだいに大衆運動にお ける独自の地歩を固め、 住民パワー   市民パワー として事実上労働組合 運動と相拮抗する独自のヘゲモニーを形成し、むしろ政治的・道徳的ヘゲモニ ーにおいては労働組合運動のそれを凌駕しつつある」 (久保、1973)。

 こうして1960年代後半、  住民パワー   市民パワー を背景として、市民 運動はその自立性を高めていく。その象徴的運動とも言える運動が沼津・三島 石油コンビナート反対闘争運動である。例えば、奥田道大は「今日的意味での 市民(住民)運動の比較的早い時期での取り上げとして」 (奥田1973)、同運 動をあげている。こうした自立した市民運動や住民運動の特徴として、「第1 に、 施設充実 をもとめる作為要求型の住民運動は、全国的に都市地域か農 村地域かの区別なくほぼ一様に存在している。第2に、いわゆる住民運動を全

国津々浦々に波及させている争点は 公害 と 自然環境・文化財 の2争点 である。そして第3に、 財産権・営業権侵害 と 生活環境悪化 という争 点は多分に都市地域に特化して顕在化している。総括的にいえば、作為要求型 の住民運動に加えて作為阻止型のそれが台頭してきたとき、はじめて住民運動 という概念が定着してきた」 (西尾1974)としている。つまり、 財産権・営 業権侵害 と 生活環境悪化 という争点をもつ「作為阻止型」住民運動の磁 場として、「都市地域」があり、それ故、市民運動組織や住民運動組織が、都 市の社会組織として登場することになる。

(2)コミュニティ形成・まちづくり運動からボランタリー・アソシェーショ    ンへ       一1970年代から1980年代へ一  1970年代とりわけ中期以降、高度経済成長を背景とした都市化は一段落し、

わが国は都市型社会に入っていく。これに伴いあれほど激しかった市民運動や 住民運動も沈静化していき、市民運動や住民運動は、70年代中期にはコミュニ

ティ形成・まちづくり運動・活動へと引き継がれ、全国的に拡がりをみせてい

(7)

く(ジュリスト増刊総合特集第9号、1977)。その契機になったのは、1969年 国民生活審議会調査部会コミュニティ問題小委員会報告『コミュニティー生活 の場における人間性の回復」である(国民生活審議会調査部会コミュニティ問 題小委員会1969)。本報告書によると、「コミュニティ」は、 「現実にはいま だ存在しておらず」、 「コミュニティの萌芽」として、 「コミュニティ意識の 芽生え」と「コミュニティ活動の多様化の兆しがある」と指摘し、コミュニ ティ活動の具体例として、①生活防衛のための活動一住民運動一、②豊かな生 活のための活動一とくに郊外の住宅団地にみられる各種のサークル活動をあげ ている。このことから、コミュニティ形成が1960年代の市民・住民運動に強く 影響されていると同時に、豊かな生活を築くための活動を含み、こうした現実 の動きから本報告書で強調されているのは、地域住民の自主的な組織と運営で ある。筆者はこれをコミュニティ政策の理念であると考えている(和田2006)。

 さて、1980年代に入ると、人々の関心・活動のスタイルは、「運動」より も、日常的な「活動」へと変化がみられるようになっていく。それがいわゆる

「ボランタリー・アソシエーション」と呼ばれる自発的な市民活動である。こ の背景には自治省のモデル・コミュニティの推進やコミュニティ施設の整備が すすんだことが大きい。その結果、大都市郊外においてはとくに顕著に、先の コミュニティ問題小委員会報告に例示としてあげられたようなクラブやサーク ル活動、またボランティア活動といったボランタリー・アソシエーション型の 住民活動が活発化してくる(越智1986、1990)。そうした中から、1980年代中 期には、介護やゴミ問題、環境問題など問題解決型の市民活動が生まれてくる ようになる。例えば、筆者が1980年代中期、東京都板橋区で実施した「住民活 動調査」の結果によると、伝統的な町内会・自治会の地域統治力が低下する一 方で、クラブ・サークルなどのボランタリー・アソシェーションが、消費者問 題、福祉問題、環境問題といった問題解決型の市民活動や各種のスポーツ・

サークル活動など、実に多種・多様かつ活発な活動を展開していた。その担い

手は、板橋区の場合、工業・農業・商業自営業者、主婦、サラリーマン、外国

人などであり、実に多様であった。とりわけ、30代から40代を中心にした団塊

の世代「女性」の活躍が目をひいた(和田1990、1991)。

(8)

 このように、1980年代に入ると、都市の住民・市民活動、運動のスタイル が、1960年代や70年代のそれとは変化がみられることを強調しておきたい。つ

まり、繰り返しになるが、人々の関心・活動のスタイルは、「運動」よりも、

日常的な「活動」へと変化がみられるようになっていった。それは、「作為阻 止型」「作為要求型」市民運動から、「問題解決型」市民活動への転換に他な

らないと筆者は考える。まさにわが国は都市型社会の到来と共に、実質的なボ ランタリー・アソシェーションの時代に入っていったのである。

 (3)NPO・市民活動の隆盛とNPO法制定へ

       一1990年代から2000年代へ一  そうした中、海外でのNPOの公益的市民活動がわが国でも紹介されるよう

になり、NPOの役割が注目され始めるようになる。とくにまちづくりや高齢 者介護、不登校児のフリースクールなど新しい課題に取り組む市民活動組織の なかで、NPOを積極的に取り入れるようになっていった。しかし、その大半 は任意団体であったため、法人格取得のための運動が始まった。1990年代前半 のことである。こうした中、1995年1月17日阪神淡路大震災が発生し、全国か

ら駆けつけた150万人ものボランティアの活動に注目が集まった。政府はNP Oに法人格を与える新法構想を打ち出し、同年2月3日に18省庁連絡会議を発足

した。連絡会議は同年11月8日、法案化への中間報告を官房長官に提出した が、結果として経企庁は中間報告の発表を見送り、閣法を断念した。その後、

紆余曲折をへて、1996年12月「市民活動促進法」として、第139回国会提出

(議員立法)されたが、継続審議となる。1998年3月4日、 「特定非営利活動促 進法(=NPO法)」と名称変更され、参議院本会議で可決、衆議院に戻さ れ、同月19日全会一致で成立した。

 NPO法制定までのこうした経緯はどうあれ、 NPO法は同年12月施行され

ることになる。冒頭でも紹介したように、同法は、市民の自発的な参加による

社会貢献活動としての特定非営利活動を促進するため、その活動を行う非営利

団体に簡素な手続きで法人格を取得できる道を開くものとして制定されたもの

であり、2003(平成15)年5月には特定非営利活動の範囲拡大や暴力団排除の

(9)

強化等を内容とする法律改正が行われている。なお、第二条の定義によれば、

「この法律において『特定非営利活動』とは、別表に掲げる活動に該当する活 動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする

ものをいう」とあり、別表において、次の17の活動分野が示されている。すな わち、①保健・医療又は福祉の増進を図る活動、②社会教育の増進を図る活 動、③まちづくりの推進を図る活動、④学術・文化・芸術、又はスポーツの振 興を図る活動、⑤環境の保全を図る活動、⑥災害救援活動、⑦地域安全活動、

⑧人権の擁護又は平和の推進を図る活動、⑨国際協力の活動、⑩男女共同参画 社会の形成の促進を図る活動、⑪子どもの健全育成を図る活動、⑫情報化社会 の発展を図る活動、⑬科学技術の振興を図る活動、⑭経済活動の活性化を図る 活動、⑮職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動、⑯消費者の保護

を図る活動、⑰前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、

助言又は援助の活動、となっている。

 さて、以上のようにみてくると、NPO法制定を契機に現在隆盛をみている NPO・市民活動組織は、高度成長期に多発した市民運動や住民運動を契機と

して、1970年代のコミュニティ形成・まちづくり運動を経て、1980年代には

「大都市郊外」を中心に叢生・増加した様々な住民・市民活動の系譜に属す。

この流れは社会学的に言えば、それはボランタリー・アソシェーションとして

概念化される。ボランタリー・アソシェーションは、都市住民の自発的参加に

基づき関心や利害など目的別に組織された諸集団を言い、それ故、具体的には

各種の趣味・教養・文化などのクラブ・サークル団体や介護・福祉・防災・環

境・まちづくりなどの市民活動団体までを含む広い概念である。こうした系譜

は国民的運動として結実した安保闘争、さらには三池炭坑に始まる労働運動を

前史とするが、ただし、1960年代の作為阻止・要求型市民運動と違っているの

は、 「単に反対するのではなくて、自分たちでやれることはやったうえで、こ

れとこれはこのように行政にやってほしいということで政策提言する。あるい

は行政にいっていかないで、議会を通じて法律や条例をつくって行政に働きか

ける。今までのいわゆる反対・要求運動とは違う形で行政をかえていく働きを

する。こういうことがNPOの特徴だと思います」と、山岡義典は述べている

(10)

(山岡他2001)。

 とはいえ、このボランタリー・アソシェーションとしてNPO・市民活動組 織に通底するのは都市住民(=市民)の自発的意志た基づぐ参加が原則であ

り、この点が「全戸加入」を建前とする町内会・自治会とは大きくことなって いる点である。この点、次節で検討する国民生活審議会総合企画部会報告『特 定非営利活動法人制度の見直しに向けて』の中間報告で(2006年9月)は、

「本制度が市民の自発性を尊重し、その自由な社会貢献活動を促進するという 基本的考え方に基づいている点を確認しつつ…  」 (国民生活審議会総合企 画部会2006年9月、26頁)とある。制度に見直しにあたって、市民活動の本質 一市民の自発性一があらためて確認されたことは評価したい(和田2007b)。

III. NPO・市民活動組織の現在

 では、NPO法施行から10年目を迎えるに至ったNPO・市民活動組織はい かなる実態と課題を抱えているのか。国民生活審議会総合企画部会報告『特定 非営利活動法人制度の見直しに向けて』 (2007年6月)を手掛かりに検討して いくこととしようQ

 NPO法人の認証数は、制度の創設以来、着実に増え続け、2007(平成19)

年4月30日現在、31,362法人(うち、内閣府の認証法人数2,490法人)となって いる(図⊥参患)。

 所轄庁別認証・不認証数をみると、2007(平成19)年4月30日現在、東京都 が最も多く、5,427法人を数えている。次いで大阪府の2,297法人、以下1000法 人を超えている道府県をあげると、神奈川県1,933法人、千葉県1,179法人、兵 庫県1,108法人、埼玉県1,091法人、福岡県1,018法人、愛知県1,010法人となって

いる(図2参照)。いずれも大都市をかかえる府県である。前掲山岡が、 「大

都市で動き始めたこういう動きが、NPO法の成立によって各地に広がりまし

たが、農村とか、中山間地域とか、そういう従来の地縁型組織の非常に強い社

会にまで定着していくかどうかは、これからの課題だと思います。そういう意

味では、まだ市民活動のパワーが大都市のごく限られたところでしか見えてき

ていないというのが実情かもしれません」 (山岡他2001)と述べている。これ

(11)

2 10ヶ月 1  ケ 11ヶ月 1年 1 t

       図1 法人認証数の推移

(出展:国民生活審議会総合企画部会、2007「特定非営利活動法人制度の見直しに向けて」 (参考資料)1頁)

は都市の側から見ると、NPO・市民活動はひろく普及していることを示して おり、本稿の冒頭に述べたように、現代日本都市の社会組織としてNPOはも はやはずすことのできない存在として定着していることを検証していることで

もある。

 活動分野では、2007(平成19)年3月31日現在、 「保健・医療・福祉」が 58.0%で最も多く、次いで「社会教育」が46.3%で多く、以下30%以上の活動 分野をあげると、「連絡助言」45.1%、「まちづくり」40.3%、「子ども健全 育成」39.8%、 「学術、文化、芸術、スポーツ」32.0%となっている(図3参

騒)。

 また、内閣府国民生活局が実施した『平成18年度市民活動団体基本調査』

(無作為抽出3,000法人を対象とした郵送調査、回答数1,010法人、回答率33,7

%)から、〈活動の範囲〉の回答結果をみると、 「一つの都道府県内」と「複

数の都道府県」ではそれぞれ64.1%と32.5%となっており、 「一つの都道府県

内」が約3分の2を占めている。これをさらに細かくみると、「都道府県内の一

部」が25,1%、 「一つの市区町村内」が23.4%、 「都道府県内の全域」が15.6%

(12)

(平成19年4月30日現在)

所轄庁名 認証数 不認証数 所轄庁名 認証数 不認証数

北海道 1,269 0 京都府 786 0

青森県 236 0 大阪府 2,297 2

岩手県 289 0 兵庫県 1,108 3

宮城県 444 0 奈良県 241 0

秋田県 160 0 和歌山県 252 0

山形県 265 0 鳥取県 123 0

福島県 409 1 島根県 169 0

茨城県 392 0 岡山県 404 1

栃木県 359 0 広島県 470 2

群馬県 514 1 山口県 282 1

埼玉県 1,091 0 徳島県 190 0

千葉県 1,179 0 香川県 174 2

東京都 5,427 256 愛媛県 245 0

神奈川県 1,933 0 高知県 194 0

新潟県 422 0 福岡県 1,018 1

富山県 196 0 佐賀県 236 1

石川県 222 1 長崎県 325 0

福井県 176 0 熊本県 371 2

山梨県 211 0 大分県 348 1

長野県 649 0 宮崎県 215 0

岐阜県 445 1 鹿児島県 380 0

静岡県 677 0 沖縄県 298 0

愛知県 1,010 0 都道府県計 28,872 277

三重県 429 1 内閣府 2,490 107

滋賀県 342 0 合計 31,362 384

図2 所轄庁別認証・不認証数  (出展:図1に同じ、2頁)

というように、 「一つの都道府県内」にあっても、きわめて広域的な活動を展 開していることがわかる。しかも「一つの市区町村」レベルは、わずかに2割 にしかすぎないことに注意しておきたい。

 このような実態にあるNPO法人であるが、次いで前掲の『特定非営利活動

法人制度の見直しに向けて」の報告内容を検討することとしよう。まず、報告

では・「制度見直しの基本的考え方」が述べられ、その上で検討課題である「業

務運営」及「務運営のあり方」、 「法人の認証・監督のあり方」、 「制度発展

のための環境整備のあり方」について整理している。とくに三点目の「制度発

展のための環境整備」では、市民活動にかかわる主体ごとの役割や取組につい

て整理している。なおでは2000年以降顕著になっているNPO法人と官との

(13)

(平成19年3月31日現在)

   保健・医療・福祉       社会教育      まちづくり

学術,文化,芸術,スホ −V

      環境保全       災害救援       地域安全       人権擁護       国際協力       男女共同     子ども健全育成      情報化社会       科学技術       経済活動   職業能力・雇用機会      消費者保護       連絡助言

0 20 40 60 80 100

(注1)特定非営利活動法人の定款に記載されている特定非営利活動の種類を集計したものである。

(注2)一つの法人が複数の活動分野の活勤を行う場合があるため,合計は100Sにはならない。

 図3 活動の分野

(出展:図1に同じ、2頁)

パートナーシップを確立する視点から、関連する調査も実施している。その結 果、 「市民活動の促進のためには、その重要性が広く認識され、市民自ら積極 的に育てようとする意識を高めることが必要である。これまでも、特定非営利 活動促進法の成立及び改正に際して、制度のあり方について、市民主体の広範 な議論が行われてきた。こうした経過を経ることは、本制度が市民活動を促進 するものとして社会に定着していく上で欠かせないものである」としている

(国民生活審議会総合企画部会2007、30頁)。

 さて、ここで注目したいのは、「制度見直しの基本的考え方」の(3)にふ れられていた本制度の見直しと公益法人制度改革との関連であり、また制度の 独自性を踏まえた名称のあり方についてである。

 前者の「本制度の見直しと公益法人制度改革との関連」については、すでに

(14)

本稿冒頭で指摘したように、特定非営利活動法人制度は、新たな公益法人制度 とは別の制度として整理され、引き続き在置されることになった。それ故、

「特定非営利活動法人制度を見直すにあたっては、所轄庁による認証という枠 組みの中で、市民活動を行う非営利団体が簡単な手続きで法人格が取得でき、

広範な情報公開制度により行政の関与を抑制しているという本制度の独自性を 踏まえる必要がある」と述べている(同上書、6頁)。

 後者の「制度の独自性を踏まえた名称のあり方」については、報告によれ ば、 「『特定非営利活動』という名称の『特定』という部分は、従来の民法に 基づく公益法人との区別を明らかにするため、法の別表で特定非営利活動法人 の活動分野として17種類を列挙し、非営利活動のうち特定のものに限定してい ることを表している。しかし、『特定』という用語自体は、非営利活動をうち どのような活動を対象としているかを積極的に表していないため、本制度のイ メージが伝わりにくいとの指摘がある。また、『非営利』という部分につい て、この法では収益を構成員の間で分配してはいけないという意味であるのに 対して、一般的には、活動により収益をあげてはいけない等の様々な意味で使 用されている。このため、法人の活動に対して誤解を与えかねないといった指 摘や、むしろ法人の活動を積極的に表す用語を使用すべきとの指摘もある」

(同上、8頁)。ここで指摘されていることに、法案の審議過程でその名称が

「市民活動促進法」から「特定非営利活動促進法」に変更になったことからも 明示されているように、ややわかりにくい名称であることは否定しがたい。

 この点と関わって、ここ最近、アメリカやイギリスの民間非営利組織の動向 が相次いで紹介されている。一例を挙げると、アメリカのNPOについては、

E.T.ポリス&C.U.スターリ編著『NPOと政府』 (上野真城子・山内直人訳、

ミネルヴァ書房、2007)、L.M.サラモン著『NPOと公共サービス:政府と民 間のパートナーシップ』 (江上徹監訳、ミネルヴァ書房2007)がある。また、

イギリスの民間非営利組織(voluntary and community organizationもしくはvolun−

tary and community sector)については、塚本一郎・柳澤敏勝・山岸秀雄編著

『イギリス非営利セクターの挑戦:NPO・政府の戦略的パートナーシップ』

(ミネルヴァ書房、2007)がある。いずれの著書もその冒頭で、NPOもしく

(15)

はVCO/VCSの規定をおこなっており、国ごとにそれぞれ微妙にずれてお り、その意味も異なる。それ故、上述したようなNPOの名称問題での様々な 指摘は、理由のないことではないと思われる。しかしながら、そこでのテーマ

は、いずれも「NPOと政府」であり、近年のわが国において顕著になってき ているNPOと官(=行政)とのパートナーシップの問題と通底する動きであ ることは注目に値する。いわゆる「新しい公共論」である。今、世界は同一の 方向に向かって動き出していることを映し出している。

 なお、前掲の内閣府国民生活局が実施した『平成18年度市民活動団体基本調 査」によれば、 「過去2年間における特定非営利活動法人と行政(国、地方公 共団体)との連携」については、 「法人の行う活動に対し、行政から資金(補 助金や委託費等)を受けた」は36.2%で最も高く、次いで「行政が行う事業の 企画立案に参加した」が30.5%で高い。以下20%以上のものをあげると、「行 政との共済の行事を実施した」27.9%、「行政と定期的に情報交換を行った」

27.0%、 「恒常的な活動拠点として公共施設を使用した」23.1%となってい

る。

lV.現代日本都市の社会組織の分類と課題

 では、最後に、これまでのNPO・市民活動組織の検討を踏まえて、都市の 社会組織の分類を試み、その上で都市の社会組織研究の課題を述べることとし

たい。

 ところで、筆者は別稿において都市および村落を含めた地域の社会組織につ いて、大きくは四つの分類を試みている(和田2007a)。第一は、「居住」を 契機に、一定区域の「住民」によって組織される社会組織、すなわち「住民組 織」である。第二は関心や利害など目的別に地域住民によって自発的に組織さ れた社会組織、すなわち「市民組織」である。第三は、職域の領域においそ、

企業、事業主、労働者などが組織する社会組織、すなわち「職域組織」であ

る。第四は、政治・行政組織である。この4つの大分類に変更はないが、本稿

では、NPO・市民活動組織については若干の修正を試みる8}。では、この大

分類にしたがって、個別の社会組織について説明を加えていきたい。

(16)

 第一の大分類である〈住民組織〉は、名称はそれぞれであるが、「居住」を 契機に、一定区域の「住民」によって組織される社会組織を指す。この「住民 組織」のなかには、①近隣集団(近隣…、組・隣組)、②地域集団(町内会・自 治会)、③年齢階層集団(子供会、青年団、婦人会、老人会・老人クラブ)、

④行政協力集団(消防団、納税組合、納税貯蓄組合・衛生組合等、防犯協会・

防火協会・交通安全協会・観光協会等、PTA、募金協力会等、社会福祉協議 会・母子福祉協議会)、⑤住民運動団体、⑥まちづくり集団(例えば、防災ま ちづくり、防犯まちづくり等)が含まれる。

 別稿においてもふれているように、この①②③の各集団は、いわゆるわが国 においては「伝統的地域集団」と総称されるものであり、これに対して第二次 世界大戦後の1950年代に④が、1960年代から70年代には⑤が、1980年代以降⑥ がそれぞれ組織化されていった。L・ワースの「アーバニズム」の理論に従え ば、都市化に伴い「伝統的地域集団」は衰退し、④⑤⑥といった「随意集団」

が増大するとされている。しかしながら、「伝統的地域集団」は衰微の傾向は あるものの消滅していない。とくに②の町内会・自治会を初めとする「地域集 団」については、一定地域への「居住」を契機に組織されるため、組織目的は

「単一機能」でなく、むしろ「多機能・包括的」であることがその特徴とされ tる。また組織上の特徴としては、「個人加入」でなく、「世帯加入」である。

つまり、目的が未分化の包括的組織であり、また「世帯加入」であることか ら、個人の自発性に基づく目的機能別のアソシェーション型の社会組織とは組 織原理が異なる。この点からその取り扱い・位置づけをめぐって論争が絶えな い組織である。しかしながら、その一方で、 「地域集団」と同様に、「居住」

を契機もしくは基盤としつつも、1960年代以降多発する「住民運動」や、1980 年代には「まちづくり集団」といった目的・機能別の「住民組織」が多数籏生

し、活動するようになってくる。ここに、現代都市の特徴がある。

 第二の大分類であるく市民組織〉は、いわゆるボランタリー・アソシェー

ションである。つまり、本稿で検討を重ねてきたように、関心や利害など目的

別に地域住民によって自発的に組織された社会組織である。これには様々な教

養・文化集団と、NPO・市民活動団体、運動団体が含まれる。

(17)

 教養集団としては、①社会教育集団(a青年学級、社会学級、婦人学級、b体 育集団、c趣味・娯楽集団(クラブ、サークル)、②社交集団(同窓会、県人 会、ロータリークラブ、ライオンズクラブ)。文化集団としては、①学校集団

(幼稚園、小・中・高校、大学、学習塾、専修学校)、②学術集団(研究所、

調査機関、学会)、③医療集団(診療所、医院、病院、療養所)、④メディア 集団(新聞社、放送局、出版社)、⑤宗教集団(a寺院、神社、教会、b檀徒、

氏子、信徒)がある。NPO・市民活動団体、運動団体には、①市民運動団 体、②NPO・市民活動団体、③NGOが含まれる。

 第三の大分類は、〈職域組織〉である。職域の領域で企業、事業主、労働者 などが組織する社会組織であり、経済集団と労働集団に大別される。前者の経 済集団には、①企業内集団(職場集団、同僚・仲間、クラブ・サークル)、② 企業集団(民間企業、公共企業)、③商工集団(a商工会議所、商工会、青年 会議所、b商店会・専門店会、 c同業組合、協同組合、 d経済団体)、④農林漁 業組合(農業協同組合、漁業協同組合、森林協同組合)、⑤消費生活集団(生 活協同組合)、後者の労働集団は、①労働集団(民間労組、公共労組)、②労 組連合集団(地区労組協議会)がある。

 第四の大分類は、〈政治・行政組織〉である。まず、行政集団としては、市 役所、付属機関、行政委員会、議会、行政補助委員会、公共組合、地方自体協 議会、特別地方公共団体などがあげられ、政治集団としては、政党、党派、後 援会、政治連盟があげられる。

 以上が、現代都市の社会組織の分類である。もちろん、これはあくまでも現

代会における一つの試みに過ぎない。本稿で検討を重ねてきたNPO・社会活

動組織は、国ごとにその形成の歴史的経緯の違いから名称を含め様々である

が、1980年代以降世界同時的に形成されてきた社会組織である。新たな組織形

態であるNPO・市民活動組織は、わが国においても1980年代大都市を中心に

ぞくぞくと形成され、NPO法の制定に至るまでに成長し、いまや、都市の社

会組織の大きな勢力となりつつある。また、 「特定非営利活動法人制度」の見

直しは日程化されている。さらに公共サービスの担い手としてNPO・市民活

動組織が期待されていることからも、注意深くその動向を見守っていく必要が

(18)

ある。それ故、今後もなおこうした視点からの継続的に都市の社会組織の研究 をすすめていきたい。

1)例えば、E.T.ポリス&C.U.スターリ編著『NPOと政府』を翻訳した上野真城子  は、 「日本のNPOにとって歴史的意味をもつ「民法34条」の改正がなされた今、こ

の出版は時宜を得たものと思う」と述べている(上野2007、iv頁)

2)市民組織からの法人格の取得については多くの市民組織の支持を得ており、その支 持のよってNPO法が成立した訳であるが、 「行政の許認可事項の法人化は、民間運 動の本旨にそぐわない。また、法人は運動と組織の正確を変えるのではという危惧 が、思いとどまらせた主な理由であった」との指摘もある(奥田2003、207頁)。

3)鈴木栄太郎は、以下の9つの結節機関をあげている。①商品流布の結節機関、②国 民治安の結節機関、③国民統治の結節機関、④技術文化流布の結節機関、⑤国民信仰 の結節機i関、⑥交通の結節機関、⑦通信の結節機関、⑧教育の結節機関、⑨娯楽の結  節機関(鈴木1953)。

4)北川隆吉は、1962年に発表した論文において、 「都市社会の底辺的、基礎的社会組 織すなわち町内会の内部を検討することにおかれていた」と断った上で、問題は「そ  うした集団の存在そのものにあるのではなく、その集団なり、組織の構成のされ方、

社会関係のあり方にある」と指摘した。さらに「そこではますます行政一政治の役割 が増大していること、さらにそれが1955年以後のわが国の資本主義全体の変化の中で 生み出されていることを見失ってはならない」とも言っている(北川1962)

5)高橋勇悦は、地域社会の諸集団を、1家族集団および家族関係集団、H地域集団、

 1皿教養集団、IV経済集団、 V労働集団、 VI文化集団、孤政治・行政集団の7区分して  いる(高橋1980)。

6)蓮見音彦編『地方自治体と市民生活』 (東大出版会、1983)では、福山市の社会集  団編成状況について、職域集団、地域集団、関心(利害)領域集団の3つに区分して

 いる。

7)例えば、2005年7月には、国民生活審議会総合企画部会報告『コミュニティ再興と市  民活動の展開』と題する報告書が出された。2年後の2007年2月7日には総務省「コミュ  ニティ研究会」が発足し、4回の議論を踏まえた中間とりまとめが6月4日に発表され  た。また、これに先だつ5月30日、自由民主党の地方行政調査会により「地域社会の再 生に向けて(パブリックマインドの蘇生のために)」と題する報告書がまとめられて

 いる。

8)昨年発表した「日本の地域組織一総論」においては、NPOをコミュニティ・ビジ  ネスの担い手もしくは公共サービスの担い手として期待されていることから、「職域

組織」の区分の中に入れている(和田2007a)

(19)

引用・参考文献

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和田清美、1991「都市のコミュニティ形成」大久保武他著『シティライフの社会学』時     潮社

和田清美、2004「日本都市社会学研究史一課題と方法」園部雅久・和田清美編著『都市     社会学入門』文化書房博文社

和田清美編、2006『大都市東京の社会学一コミュニティから全体構造へ』有信堂 和田清美、2007a「地域の社会組織一総論」津村修編『組織と情報の社会学』文化書房     博文

和田清美、2007b『都市の地域組織』津村修編『組織と情報の社会学』文化書房博文 和田清美、2008a「コミュニティ政策の新たな展開と混迷一社会学における都市政策研     究の回顧と問題(H)」 『都市政策研究』第2号、首都大学東京都市教養学部     都市政策コース

和田清美、2008b「都市社会における住民組織とグローバリゼーション」 『講座日本の     都市社会第2巻 都市の構造・経営』文化書房博文社

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参照

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