九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
厳しい地圏環境下における岩盤不連続面のせん断 : 透水同時実験方法の開発に関する研究
三谷, 泰浩
https://doi.org/10.11501/3151003
出版情報:Kyushu University, 1998, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
第4章 人工不連続面のせん断一透水同時特'性
4. 1 はじめに
本章では, 開発したせん断一透水同時実験装置を用いて, 不連続面の基礎的なせん 断-透水同時特性を明らかにすることを目的として実験を行う. 試験体中に存在する 不連続面は, インタクトな岩石に不連続面を人工的に作成したものを用いる. この人 工不連続面は開発した不連続面作成装置で作成されるが, この不連続面の間隔幅は試 験体によらず, ほぼ一定でばらつきのない不連続面となる. 現場で採取した自然の不 連続面では, 不連続面が様々な外的要因による影響を受けており, その特性が一様で なく採取位置や条件によって異なることから不連続面の基礎的な特性の評価には適当 でないと考えられるため, このような人工的な不連続面を用いた. また, 使用する岩 石は不連続面の壁面強度が比較的大きな花商岩と小さな砂岩の2種類を用意した.
さらに, せん断-透水同時特性は, 現場の状況を踏まえた適切な条件下で明らかに する必要があるため異なる試験条件(境界条件)として垂直応力一定条件(荷重制御) 及び垂直変位一定条件(変位制御)の下で実験を行う. これは, Fig.4.1-1に示すよう に, 例えば, 岩盤斜面における不連続面のように不連続面に沿ったすべり(せん断) が不連続面を境界として発生し, 岩が自由に移動できる場合や深部地下に存在し, 地 圧による影響を大きく受ける場合には, 不連続面に作用する垂直応力を一定とした境 界条件で実験を行うべきであり, 深部地下空洞周辺の不連続面のように周辺の岩盤か ら拘束を受けた条件下で岩塊がすべる(せん断される) 場合には, 周辺の岩盤の剛性 もしくは変位拘束を境界条件として与え実験を行うべきである.
本章では, これら2つの条件下で、行った人工不連続面のせん断-透水同時実験の結 果を示すとともにせん断特性としてその強度, 変位特性, 透水特性およびその他せん 断に起因する諸特性の変化について評価を行った結果を示す.
<Slope>
凸M一pu一戸一VE--、一O一dETE一』
l
:
all-」Jm一(rt一-nu一、
N
sk げhH 一eむ 一ga rI→ 一戸
Normal force = const.
Rock stiffness = 0 Normal force -=1= const.
Rock stiffness -=1= 0
Fig.4.1-1 Simulation of in-situ boundary conditions in the shear test.
4. 2 岩石材料の基礎特性
実験に使用した岩は韓国南原産の花闘岩と長崎相浦産の砂岩の2種類である. これ らの岩石は直方体に切り出されており, この直方体の各面は, 節理や堆積方向などに より石目の1番[rift], 石目の2番[grain], 重[hardway]の面に沿っている. この石目の 1番は最も割れやすい面を, 石目の2番はそれに垂直な面を, 重は石目の1番, 2番 に直交し, 3方向の中で最も割れにくい面を示す. そのため直方体の異なる3つの面 に沿った岩石の特性はそれぞれ異なると考えられるためこれらの3つの面を基準とし てサンプリングを行い, 岩石材料の基礎特性を把握するために以下の試験を行った.
なお, 試験は, ISRM指針(岩の力学連合会(1983))もしくは岩の調査と試験(土質 工学会(1989))に基づ、いて試験を行った.
-88- -89-
Plane C Granite
Direction 1
Direction 1 (a)
Direction 2
300mm
EEOOめ 物理特性試験
超音波速度試験 引張試験
一軸圧縮試験 三軸圧縮試験
4. 2. 1 物理特性試験
2種類の岩石に対して自然含水状態(ただし, 試験体整形後, デシケータ内に1週 間程度放置した後の状態でせん断-透水同時実験時と同じ状態)での比重試験を行う.
ただし, ここでは岩石の真比重ではなく, 見かけ比重の計測を行う. 試験は一軸圧縮 試験用の試験体を利用して花岡岩15個, 砂岩16個の試験体について試験を行った. そ の平均値を以下に示す.
花闘岩:見かけ比重 2.64 g/cm3 (標準偏差0.005g/cm3) 砂岩 :見かけ比重 2.40 g/cm3 (標準偏差0.005g/cm3)
得られた試験結果から, 比重にばらつきがほとんどなく非常に均質性に富んだ材料 であるいえる.
さらに, ISRM指針(岩の力学連合会(1983))に則り, 試料を強制湿潤状態および強 制乾燥状態にし, その重量を計測する. 材料の有効間隙率については岩の調査と試験 (土質工学会(1989))による方法で求める. その結果を以下に示す.
花闘岩:有効間隙率 1.3% (標準偏差0.1%) 砂岩 :有効間隙率 12.1 % (標準偏差0.2%)
一般に有効間隙率は硬岩で2"-'3 %, 軟岩で10""'40%であることから考えると, 実 験に用いる岩石は, 非常に間隙の小さな鍛密な岩石であると考えられる.
①②③④⑤
Direction 3
A defmition of sampling direction.
Direction 2 300mm
Sandstone
、、,,,,hu 〆,‘、、
Fig.4.2-1
EEO的F
4. 2. 2 超音波速度試験
超音波速度試験は岩石の弾性波速度を求めることを目的として行われる. 弾性波速 度は岩石の弾性係数, せん断弾性係数, 密度および異方性などによって変化し, 岩石 の基礎的な特性を明らかにするのには有効な指標となりうる. 実験に用いる岩石は先 に述べたように石目の方向を有しているため, 直方体に切り出した岩石の3つの面に 直交する方向(方向1, 方向2, 方向3)からサンプリングを行い(Pig.4.2-1), 計測 を行った. また, 含水比による影響も大きいため岩石は自然状態のものを使用した.
これらの結果をTable.4.2-1に示す.
弾性波速度は, 弱面に平行な方向の方が垂直方向に比べて大きいため, この計測結 果から石目の方向を判断する1つの指標とすることができる. 花岡岩では, 方向2に 対する速度が最も大きく, 次いで方向3, 方向1の)1原で小さくなる. このことから,
方向1に平行な直交する2つの面(Pig.4.2-1中A面もしくはB面)のどちらかが重で あると考えられる. また, 砂岩では, 方向2に対する速度が最も大きく, 次いで方向 3, 方向1の順で、小さくなる. このことから, 方向1に平行な直交する2つの面 (Pig.4.2・1中, A面もしくはB面)のどちらかが重であると考えられる. 両者とも石
-90- -91-
目の1番, 2番がどの面であるかはこの結果からは断定できない.
また, 弾性波速度についてみると, 花岡岩のP波速度は2.76'"'"'3.17km/sと砂岩と比べ ると大きい値を示すが, 平均的な花岡岩のP波速度が約5.0km/s程度(岩の調査と試験 (1989))であることを考えると花筒岩としてはそれほど大きな値ではない. 一方, 砂 岩のP波速度で2.37""'2.60km/sという値は堆積岩でも比較的堅固な岩石であると考えら れる.
4. 2. 3 引張試験
引張試験として岩の調査と試験(土質工学会(1989))に基づいて圧裂引張試験を行 う. 使用する供試体はFig.4.2-1に示す3つの方向からサンプリングを行い, 各々につ いて直角をなす2つの面の圧裂引張強度を測定する. つまり, 方向1からサンプリン グした試験体の面Aと面B, 方向2からサンプリングした試験体の面Bと面C, 方向 3からサンプリングした試験体の面Aと面Cが引張破壊面となるように計6種類の試 験を行う. これらの試験結果をTable4.2-2に示す.
この結果と超音波速度試験の結果から, 花関岩では面Cが石目の1番, 面Bが石目 の2番, 面Aが重であることがわかる. また, 砂岩では面Cが石目の1番, 面Aが石 目の2番, 面Bが重であることがわかる.
この石自の方向が試験体作成時に非常に重要となる. せん断透水実験のための試験 体には, 最も弱し、石目のl番に平行な面をせん断面とした不連続面を作成する. これ は, 最も弱し、面をせん断面とすることで, 不連続面の作成が容易となること, ぱらつ
きの少ない不連続面を作成することができることなどの理由による.
4. 2. 4 一軸圧縮試験
一軸圧縮試験はISRM指針(岩の力学連合会(1983)) に基づ、いて直径5cm, 高さ10cm の円柱供試体を用いる. また, 供試体は試験体の3方向からサンプリングを行い, 砂 岩では方向1について3本その他の方向については4本, 花嗣岩では各方向6本の試 験を行う. 試験で、は一軸圧縮強度の他に軸方向及び周方向にひずみゲージを貼付し,
岩石の変形特性(弾性係数, ポアソン比)も求める. なお, 弾性係数についてはピー ク強度の50%における割線係数とする. これらの試験結果についてTable4.2-3に示す.
一般に一軸圧縮強度は試験条件によって測定結果のばらつきが大きいことが知られ ている. 一軸圧縮強度について, 各方向の平均値と標準偏差を以下に示す.
花開岩(方向1) :平均値 193MPa , 標準偏差 5.0MPa (方向2) :平均値 197恥1Pa , 標準偏差 8.9MPa (方向3) :平均値 182MPa , 標準偏差 4.lMPa 砂岩 (方向1) :平均値 77MPa , 標準偏差 0.2MPa
(方向2 ) :平均値 69MPa , 標準偏差 0.7MPa (方向3) :平均値 73MPa , 標準偏差 2.2MPa
このように試験時のばらつきを考慮に入れたとしても, 花嗣岩については方向3に 対する一軸圧縮強度が, 砂岩については方向2に対する一軸圧縮強度が他の各方向に
-92-
Rock ty p e
Granite
Sandstone
Table 4.2・1 The result of a pulse velocity test.
Prop e吋i es Direction1 Direct ion2 Veloc ity of s econd ary
wave (km/s) 1.73 1.83
Veloc ity of prim ary
2.76 3.46
wave (km/s)
Po isson's ratio 0.17 0.31
Dy nam ic she ar
8.1 9.0
mo d ul us (GPa)
mDoydnual ums ic el astic I E (Gpa) 18.9 23.4 Vel oc ity of s econd ary
1.50 1.58
wave (km/s) Veloc ity of prim ary
2.37 2.70
wave (km/s)
Po isson's ratio 0.16 0.24
Dy nam ic she ar
5.5 6.1
mo d ulus (GPa)
mDoyd nua| m us, ic el astic E (GPa) 12.9 15.1
Direction3 1.79 3.17 0.27 8.6 21.8 1.57 2.60 0.21 6.0 19.4
Table.4.2-2 The result of a diametral compression test.
Sampl e Tens ile strength (MPa) na打1e
Granite Sandstone
A・1 9.0 4.2
A・3 8.8 4.0
8・1 9.0 4.3
B・2 8.3 4.1
C・2 8.2 3.3
C-3 8.2 3.3
-93-
Granite
1000 比べて小さい. また, 花商岩の一軸圧縮強度は, 砂岩のそれと比べて2倍以上大きな
値を示し, 花闘岩の弾性係数も砂岩のそれと比べて4倍以上大きな値を示す.
800
600
400 (回tE)ωωω」窃」何①工ω
4. 2. 5 三軸圧縮試験
岩石の強度特性として内部摩擦角, 粘着カを求めるために, 三軸圧縮試験を行う.
せん断-透水同時実験で、載荷可能な垂直荷重の範囲を想定して, 拘束圧を花商岩で,
10, 20, 30MPa, 砂岩で, 5, 10, 20MPaとして試験を行った. その結果として,
Fig.4.2-2, Fig.4.2-3にモールの応力円及びモール・クーロンの破壊規準線を示す. ま た, モール・クーロンの破壊規準と仮定した時の内部摩擦角と粘着カをTable.4.2-4に 示す. 今 回は, 材料の強度特性としてモールクーロンの破壊規準に依拠して評価を行 い, 内部摩擦角, 粘着力を評価したが, 本来, モールの包絡線は非線形性状を示すの が一般的であるため, ここで求めた内部摩擦角, 粘着力は, 想定された応力条件下に おける特性値であることに注意する必要がある.
1000
Mohr's stress circle and Mohr-Coulomb's failure condition of granite.
600 800
Principal stress (MPa)
200 400
。 Fig.4.2-2
4. 3 実験方法および実験ケース
今回は, 垂直応力一定条件(垂直荷重制御)及び垂直変位一定条件(垂直変位制御) での実験を行う. それぞれの実験方法について以下に示す. また, 2種類のせん断
-透水同時実験の実験ケースについてTable.4.3-1に示す. なお, ケース名については,
Case1 """"Case4を垂直応力一定下で、の実験, Case5'"'-'Case7を垂直変位一定下で、の実験と し, 花筒岩に対する実験はケース名の後ろにGを, 砂岩に対する実験はケース名の後 ろにSをつける.
4. 3. 1 垂直荷重制御による垂直応力一定条件下での実験方法 以下に垂直応力一定条件下での実験方法を示す.
①
人工不連続面の作成インタクトな岩石試験体(花商岩及び砂岩)を石目の1番(rift p1ane)がせん 断面と平行となるようにせん断箱にセットし, 垂直荷重(花関岩・砂岩ともに応 力で10MPa相当の荷重)を載荷する. そして試験機側面(せん断方向と直交する 方向)から不連続面作成のためのくさびを試験体に設けたスリットにあて, 水平
ジャッキにより荷重を載荷する. その水平荷重は引張強度を考慮して花商岩で約 6MPa, 砂岩で約3MPa相当の応力に相当する荷重をかける. その後, 徐々に垂 直荷重を除荷し, 人工的な不連続面を作成する.
②
不連続面の湿潤岩盤不連続面部に注水し, 完全に湿潤するまでしばらく放置する.
垂直荷重の載荷とかみ合った不連続面の透水実験
不連続面に実験時に載荷する垂直応力を与え, 透水を行う. 与える垂直応力は (a) 1 MPa, (b) 5 MPa, (c)10MPa, (め20MPaとする. 実験では, 不連続面を通過し た透水量を計測し, 透水係数を算出する.
300
(吋仏三)ωωω」窃」何ω£ω
300 350
Mohr's stress circle and Mohr-Coulomb's failure condition of sandstone.
-95-
250
Principle stress (M Pa)
200 150
50 100
。
Fig.4.2-3 -94-
③
Table 4.2-3 The result of a uniaxial compression s汀ength test.
Rock type Properties Direction 1 Direction2 Direction3 Uniaxial comMprP essive
strength (MPa) 193 197 182
Granite Elastic modulus
29.0 42.5 34.8
E50(G Pa)
Poisson's ratio 0.15 0.18 0.16
Uniaxial comMprPea ssive
strength (MPa) 77 69 73
Sandstone Elastic modulus
6.9 8.5 8.0
E50(G Pa)
Poisson's ratio 0.24 0.24 0.26
Table.4.2-4 The constant of strength according to Mohr-Coulomb's fai1ure condition.
Property Granite Sandstone
A
T
le of i伽附iction C ) 56.9 49.4
Cohesion (MPa) 30.0 14.3
-96-
Table 4.3-1 Experimantal cases and conditions Shear-flow coupling test under conatant normal stress.
Constant Case name
Options normal stress
Granite Sandstone 1MPa Case1G Case1S
5MPa Case2G Case2S A shear flow coupling test is conducted to the forward 10MPa Case3G Case3S and reverse.
20MPa Case4G Case4S
Shear-flow coupling test under constant normal displacement.
Initial Case name
normal stress Constant normal displacement
Granite Sandstone
OMPa Case5G Case5S Granite : O.Omm Sandstone : O.Omm 1MPa Case6G Case6S Granite : 0.19mm
Sandstone: 0.21mm
2MPa Case7S Sandstone: 0.38mm
4MPa Case7G Granite : 0.45mm
-97-
④ せん断一透水同時実験
設定した垂直応力を与え, 変位制御(せん断速度約O.lmm/sec)で、最大20mmま でせん断一透水同時実験を行う. 透水は, せん断変位lmmごとにせん断変位を 保持した状態で行う. また, 不連続面に一定の水頭差を与え, 不連続面を通過し た透水量を計測し, 透水係数を算出する.
⑤ 逆方向のせん断-透水同時実験
最大せん断変位が20mmに達した後, 逆方向(せん断下箱を後方に引き戻す方 向)のせん断を行うとともに透水も同時に行う. 透水は, )1慎方向(せん断下箱を 前方に押し出す方向)のせん断時の透水量の変化状況を見ながら透水量の変化 が少ないと判断されるせん断変位までは2mmごとに行い, 変化が大きいと考え られるせん断変位ではlmmごとに実施する.
⑥ せん断一透水同時実験の終了
せん断一透水同時実験終了後(せん断変位Omm), 載荷した垂直応力を除荷 し実験を終了する.
4. 3. 2 垂直変位制御による垂直変位一定条件下での実験方法
以下に垂直変位一定条件下での実験方法を示す. 特記されていない項目については 垂直応力一定条件下での実験方法と同じである.
① 人工不連続面の作成
② 垂直荷重載荷実験
せん断箱に試験体を設置する際もしくはせん断箱組立時にわずかながら誤差が 生じるため, この誤差を取り除くために, 垂直荷重と垂直変位との関係がほぼ一 定となるまで不連続面に垂直荷重を繰り返し載荷・除荷する. 作用さ せ る 荷重 としては, 不連続面の凹凸を破壊しない程度の垂直応力 として 花闘岩 10MP a, 砂岩5MP aに相当する荷重を 作用させる.
実験時に与える垂直変位量の 初期値は, この繰り返し載荷実験終了後の 垂直荷重を除荷した時の垂直変位 量をゼロと する.
③ 不連続面の湿潤
④ 垂直荷重の載荷とかみ合った不連続面の透水試験
実験では, 所定の垂直応力を与え, その時のせん断箱上部での垂直変位量を一 定とする. 花関岩では垂直応力と初期垂直変位量を(a)0 MPa (初期垂直変位量 O.OOmm) , (b) 1 MPa (初期垂直変位量O.19mm), (c ) 4 MPa (初期垂直変位量 0.45mm) , 砂岩で、は(a)0 MPa (初期垂直変位量O.OOmm), (b) 1 MPa (初期垂直
変位量O.21mm), (c ) 2 MPa (初期垂直変位量0.38mm)を与え, 透水を行 う. 実 験では, 不連続面を通過した透水量を計測し, 透水係数を算出する.
⑤ せん断一透水同時実験
設定した垂直変位を与え, その垂直変位を保持し変位制御(せん断速度約 O.lmmJsec)で、最大20mmまでせん断-透水同時実験を行う. 透水は, せん断変位 lmmごとにせん断変位を保持した状態で行う. また, 不連続面に一定の水頭差を
-98-
与え, 不連続面を通過した透水量を計測し, 透水係数を算出する.
⑥ せん断-透水同時実験の終了
せん断一透水同時実験終了後(せん断変位20mm), 載荷した垂直応力を除荷 し実験を終了する.
4. 4 垂直応力一定条件下でのせん断一透水同時実験
ここでは, 不連続面を境界として岩盤が自由に移動でき, 岩塊の自重や地圧の影響 を強く受ける状況下でのせん断挙動を想定し, せん断-透水同時実験を行う. せん断 中は, 一定の垂直応力を与え, 垂直応力をパラメータとしたせん断-透水同時特性に ついて明らかにする.
4. 4. 1 せん断応力特性
花岡岩のせん断応力一せん断変位曲線をFig.4.4-1に, 砂岩のせん断応力一せん断変 位曲線をFig.4.4-2に示す.
花商岩では, せん断変位の増加により, せん断応力は急激に増加し, せん断変位約 0.4 mm '"'-' 1.0mm付近で、鋭いピーク値を示す.
図に示すように垂直応力の増加に伴い, せん断変位及びせん断応力のピーク値は大 きくなる. また, ピークせん断応力の値は, 与えた垂直応力にほぼ比例して大きくな り, 初期のせん断岡別企も垂直応力にほぼ比例して大きくなる. その後, せん断応力は,
せん断変位の増加とともに 徐々に低下し, せん断変位 約5mmJ2A降, 残留せん断応力 に至る. 図に示すように残留せん断応力の値は, 垂直応力にほぼ比例して大きくなる.
また, 残留せん断応力の値は, CaselG, Case2Gで、は, ほぼ一定の値を示すが,
Case3G, Case4Gでは一定値を示さず, せん断変位の増加に伴ってせん断応力が上下 し, 著しい変動を示す.
逆方向のせん断時には, )1慎方向のせん断初期に見られた突出したピークせん断応力 は示さず, せん断応力は下箱を逆方向にせん断させるにつれて(せん断変位20mmか ら減少させるにつれて)急激に増加し, 残留せん断応力に至る. この時の残留せん断 応力の絶対値は, )1慎方向のせん断時と同じかやや小さい値を示す.
砂岩でも花闘岩と同様にせん断変位の増加にともない, せん断応力は, 急激に増加 し, せん断変位約0.4mm'-""'1.5mm付近で鋭いピーク値を示す. また, このせん断変位 及びピークせん断応力の値は, 垂直応力とともに大きくなり, 初期のせん断剛性も垂 直応力が増すにつれて大きくなる. その後, せん断応力は, せん断変位の増加ととも に徐々に低下し, せん断変位4mm以降, 残留せん断応力に至る. 残留せん断応力は,
垂直応力に応じて大きくなり, その値は, 花筒岩のよ うな著しい変動を示すことはな いが, Case3S, Case4Sの場合, せん断変位10mm以降, わずかながら残留せん断応力 が上昇する.
逆方向のせん断時には, 花闘岩の場合と同様に, )1慎方向のせん断初期に見られた突 出したピークせん断応力は示さず, せん断応力は, 下箱を逆方向にせん断させるにつ れて(せん断変位20mmから減少させるにつれて)急激に増加し, 残留せん断応力に
-99-
至る. この時の残留せん断応力の絶対値は, JI慎方向のせん断時と同じかやや小さい値 を示す.
花岡岩, 砂岩における垂直応力とピークせん断応力, 残留せん断応力との関係を Fig.4.4-3に示す. 図に示すようにピークせん断応力および残留せん断応力は, 不連続 面に作用させる垂直応力に比例して大きくなる.
花関岩と砂岩でピークせん断応力は, 同じ垂直応力条件下であれば, 花闘岩の方が 大きい. これは花筒岩の不連続面の壁面強度が大きいことが1つの理由と考えられる.
不連続面の壁面強度は, 不連続面が風化などの影響を受けていない場合, 岩石の一軸 圧縮強度から推定することができる. 花闘岩のせん断面に垂直な方向の一軸圧縮強度 は, 193加1Pa, 砂岩の同様の方向の一軸圧縮強度は, 77MPaで、あり, 花商岩の方が砂岩 と比べて2倍以上大きな強度を示す. このことから, 花商岩のピークせん断応力が砂 岩よりも大きくなったと考えられる. ただし, 壁面強度の大きさに比例してピークせ ん断応力が大きくなっていないことから, 壁面強度以外の原因も考えられる. 一方,
残留せん断応力は, 花商岩, 砂岩ともにほぼ同じ値を示す.
また, 垂直応力が大きい場合, 花筒岩の残留せん断応力は, せん断変位の増加にと もなって著しい変動を示す. せん断前には, 不連続面上下は, ほぼ完全に一致してい るが, せん断とともに両者は, かみ合わなくなる. そのため, 垂直応力は, 不連続面 上下が接触している部分に集中する. 花開岩の場合には, 壁面強度が大きいため, 垂 直応力の集中度が増した状態で, せん断が行われるためせん断応力の変動が生じると 考えられる. 一方, 砂岩の場合には, 壁面強度が小さいため応力の集中が小さくなる ことからこのような変動は生じないと考えられる.
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20
10
。 -10
(ct2)ωωω』窃」句。工ω
20
Shear s佐ess vs. shear disp. curves of granite joint under di百'erent constant normal stresses.
10 15
Shear
disp. (mm)
。 5
Fig.4.4・1
20
4. 4. 2 垂直変位特性
花岡岩の垂直変位一せん断変位曲線をFig.4.4-4に, 砂岩の垂直変位一せん断変位曲 線をFig.4.4-5に示す. 不連続面作成時に, 垂直変位と垂直荷重の関係を計測すること で, Fig.4.4・6�こ示すように不連続面の初期間隙幅を計測することができる. この間隙 幅は, 花関岩, 砂岩とも約0.15mm程度で試験体が異なってもほぼ同じ間隙幅となる.
実験における垂直変位は, 人工不連続面を作成する前(インタクトな岩をせん断箱に セットした状態)をゼロとしており, 不連続面の初期間隙幅と垂直応力を載荷した時 の垂直変位の和を初期の垂直変位量とする.
花関岩では, 垂直変位は, せん断の開始とともに一旦減少し, その後, ダイレーシヨ ンにより増加する. 垂直変位の減少は, せん断変位約0.2mm""'0.7mmまで確認され,
垂直応力が大きくなるほど, このせん断変位は大きくなる. ダイレーションが始まっ てしばらくすると, 垂直変位は急激に増加する. この垂直変位の変化率(垂直変位と せん断変位曲線の勾配)が最大となる時のせん断変位は, 約O.4mm""' 1.0mmで、あり,
垂直応力に応じて大きくなり, せん断応力がピークを示す場合のせん断変位とほぼ一 致する. その後, 垂直変位の変化率は徐々に小さくなり, 最終的には一定となる. 発 生する垂直変位は, 垂直応力の増加とともに小さくなり, Case 1 G, Case2Gでは最大 せん断変位20mmまで増加し続けるが, 垂直応力が10MPa以上となるCase3G, Case4G Case4S
'ハハ 一「パワリ
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Case3S Case2S Case1S
10
。 -10
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20
Shear s町ess vs. shear disp. curves of sandstone joint under different constant normal stresses.
10 15
Shear
disp. (mm)
5
。
Fig.4.4-2
ー101- -100-
3 E
E
2
25
τE的コL θ Pea�く(granite)
ベ
EE U• Residual(granite) E2
)国L
15
日 Peak( sandstone) z 。
• Residual (sandstone)
フ/ ib
。日
4』
《E4JJ n
3 3 3
。 5 10 15 20
Shear
disp. (mm) 5
3
Fig.4.4-4 Normal Disp. vs. shear disp. curves of granite joint under different constant normal s町esses.
。 。 5 10
15
20Normal stress (MPa)
Fig.4.4-3 The relationship between norrnal stress and shear s仕esses. n/
(εε) 立ω一万一ωε』OZ
4・ ・・_ J - - ・・・ ・・ー ー・・・ー-'・
"もー--F.,,,zzz-ー---ーーーー・・・・ーー・ーー・・ー・ーーー--ー・帽 0 ・・
Case4S
。 5 10 15 20
Shear
disp. (mm)
Fig.4.4-5 Normal Disp. vs. shear disp. curves of sandstone joint under different constant normal s甘esses.
-102-
-103-
,
では, せん断変位12mm付近から一定となる.
逆方向のせん断時には, Case 1 G, Case2Gでは垂直変位は, 一定の割合で減少し,
せん断変位がOmmになる直前で, 垂直変位の減少は一定となる. これは, せん断に よりずれていた不連続面上下が, せん断変位Omm�こなる直前で再び合致しようとす るものの, 完全には合致しないためであると考えられる. また, Case3G, Case4Gで、
は, せん断変位Ommまで一定の割合で垂直変位は減少するが, これも, せん断によ り不連続面上下が, かみ合わなくなったためと考えられる.
砂岩でも花岡岩と同様に, 垂直変位は, せん断とともにわずかながら減少するか,
もしくは一定の値を示し, その後, せん断変位の増加とともにダ イレーションが発生 するため増加する. 垂直変位の減少は, 花岡岩のように明確には見られない. その後 ダイレタンシーに伴って垂直変位は増加するが, 花関岩ほど急激な増加は見られない.
垂直変位が増加し始める時が, 垂直変位の変化率が最大となる時で, その時のせん断 変位は, 約0.4mm""'__1.5mmで, 花関岩と同様にせん断応力がピークを示す場合のせん 断変位とほぼ一致する. その後, 垂直変位の変化率は, Case1Sで、は最終的に一定の変 化率を示すが, Case2Sで、は最終的に一定(変化率がゼロ)となり, Case3S, Case4Sで、
は負となり, 垂直変位は減少する. このように, 垂直変位の変化率は, 垂直応力の増 加とともに小さくなる.
逆方向のせん断挙動では, 花岡岩の場合と異なり, CaselS, Case2Sで、はせん断変位 Ommまで一定の割合で垂直変位は減少する. これは, 前述したようにせん断変位が Omm�こなっても不連続面上下が, 完全に合致しないことによる影響である. また,
Case3S, Case4Sで、は垂直変位の変化は, ほとんど見られない.
せん断とともに垂直変位は, 一旦減少した後, 急激に増加し, その後, 垂直応力に 応じて, 増加したり, 減少したりする. このようなせん断に伴う垂直変位の変化は,
不連続面凹凸の乗り上げ, 凹凸の破壊, 摩耗, グージの蓄積などが原因として考えら れる. これらの挙動は, 不連続面に作用する垂直応力に依存しているため, 花商岩,
砂岩の垂直応力レベル(作用させる垂直応力と壁面強度との比)で整理してみる. 不 連続面の壁面強度を一軸圧縮強度に等しいとすると, 各実験における応力レベルは,
以下の通りとなる.
垂直応力lMPa : 花闘岩 0.5%, 砂岩 1.3%
垂直応力5MPa : 花関岩 2.6010, 砂岩 6.5%
垂直応力10MPa : 花商岩 5.2%, 砂岩 13.0%
垂直応力20MPa : 花闘岩 10.4%, 砂岩 2 6.00/0
このように垂直応力レベルで、整理すると, 垂直変位曲線の特徴を岩石によらず推定 できる. 垂直応力レベルがどのくらいであれば, 垂直変位曲線がどのような挙動を示 すか明確な値を示すことはできないが, せん断変位20mmまで顕著なダイレタン シー が発現するのは, 垂直応力レベルで:-2.60/0程度以下で, 垂直応力レベルが5.2,...,__10.4%
程度では, せん断変位20mmで、垂直変位の増加はほぼ一定となる. また, 垂直応力レ ベルが13.0%を超えると垂直変位は, 減少する傾向を示す.
ー104-
4. 4. 3 透水特性
不連続面の透水特性を明らかにするために, まず, 花闘岩と砂岩に対してせん断を 行う前, 不連続面上下が合致した状態で透水を行う. 実験では不連続面に作用する垂 直応力を変化させ, それによる透水特性の変化を調べる. 垂直応力と透水係数の変化 をFig.4.4-7�こ示す. 垂直応力を加える前の透水係数は, 1 cmJsecのオーダ ーで, 垂直 応力が大きくなると1,...,__2オーダー減少する. これらの値は, 一般の岩の透水係数よ り極めて大きいが, これは不連続面そのものの透水係数を計測しているためである.
また, 垂直応力が増加するにつれて, 透水係数が減少するが, これは, 不連続面の間 隙幅が減少するためである.
垂直応力一定条件下でのせん断による透水係数の変化として, 透水係数とせん断変 位との関係、を花闘岩についてFig.4.4-8に, 砂岩についてFig.4.4-9に示す.
花関岩では, 透水係数は, せん断初期に一旦減少した後, 急激に増加し, せん断変 位5"'10mmを超えると多少のばらつきはあるもののほぼ一定の値を示す. 透水係数 が最小となるせん断変位は, いずれの場合もピークせん断応力を示すせん断変位ある いは垂直変位の変化率が最大となるせん断変位にほぼ一致する. 透水係数は, いずれ のケースも初期値から約50倍ほど増加する. 垂直応力が大きくなると, 透水係数が減 少するせん断変位及び透水係数が一定となるせん断変位の値は大きくなる. また, 一 定となる透水係数の値は, Case4Gを除いてせん断変位20mmで、はほぼ同じ値を示し,
Case4Gで、は, 他のケースと比べて小さな値を示す.
せん断に伴う垂直変位の変化量は, 前節で述べたように垂直応力の増加とともに小 さくなる. 特に, Case1Gで、は, Case3Gよりも, せん断変位20mmにおける垂直変位量 が2倍以上大きいにも関わらず, 透水係数の値は, ほほ同 じ値を示す. これは, せん 断とともに不連続面上下のかみ合いが減少すると, 透水係数は不連続面の間隙幅から 単純に判断することができないことを示す.
砂岩では, いずれのケースも透水係数は, せん断初期に一旦減少した後, 急激に増 加し, せん断変位5'"'-'10mmを超えると多少のばらつきはあるものの, ほぼ一定の値 を示す. 透水係数は, 初期値から約20""100倍ほど増加する. 垂直応力が大きくなる と透水係数が減少するせん断変位及び透水係数が一定となるせん断変位の値は, 大き くなる. また, せん断による透水係数の増加量も大きくなる.
透水係数が最小となるせん断変位は, Case 1 S, Case2Sの場合にはピークせん断応力 を示すせん断変位あるいは垂直変位の変化率が最大となるせん断変位にほぼ一致する ものの, Case3S, Case4Sの場合には透水係数が最小値を示すせん断変位の方が, ピー クせん断応力を示すせん断変位および垂直変位の変化率が最大となるせん断変位より も大きくなる. さらに, 一定となる透水係数の値は, 垂直応力が比較的小さいCase1S,
Case2Sはほぼ同じ値を示すが, 垂直応力が比較的大きいCase3S, Case4Sで、は, CaselS,
Case2Sよりも1オーダー近く小さな値を示す. これは, 前述したせん断に伴う垂直変 位の変化と関係があり, 前者では, 垂直変位の変化率は最終的に一定となるが, 後者 の場合は, せん断とともに垂直変位の変化率は減少する. つまり, せん断により不連 続面の垂直変位が, 減少するため, 透水係数の値が他のケースと比べて小さくなる.
-105-
O E
マ
Case1G Case2G Case3G Case4G
マ
ロ v
。 色 マ
8
マ
28
口 マ マ。 口 マ
2
口 マ A
�O
ロ マ
o g
nU
40
門ζ mu
v
oo
(0
0ω\EO)》てと一〉一ちコ匂C000=コ巴刀〉工
3020
10
。
(6aE)ωω@』窃一応ε」OZ
20 15
10 0.5 5
。
Normal disp. (mm) ー0.5
Shear disp. (mm)
Hydraulic conductivity vs. shear disp. plots of granite joint under different constant normal s甘esses.
Fig.4.4-8 Normal stress vs. normal disp. curve when creating artifitial
joint in the rock specimen.
Fig.4.4-6
ハU
43
内ζ
mumu
O
0
(0 0ω\ευ)vてと一〉一ちコヨ」000=コ何」huh工
6
マ 口 ロ
Case1S Case2S
。
マ 口
。
マ
。 a
2
ロ マ ロ
O A
マ ロ O A
ロ マ マママロ
OA
O A O A
0 0 0 0 。。。
口 マ h h
ロ A
���
ロ 口 口
ハu
ママmu
mu
O
(0ωω\ε0)vてと一〉一ぢコ宮』000=コg刀〉工
。
Granite Sandstone
。
。 A
。
t斗 ム ム
。 t::.
ム
6 2
10・1
Case3S Case4S
ロ マ v
t::.
ム A ム ム
A
20 15
5 10 15 20
5 10
Shear disp. (mm)
Hydraulic conductivity vs. shear disp. plots of sandstone joint under different constωt normal s住esses.
Fig.4.4-9
Normal stress (Mpa)
The plots of hydraulic conductivities under constant different normal s町esses.
Fig.4.4-7
ー107- -106-
しかし, 垂直変位量が減少しでも, 透水係数は減少せず, 砂岩も花闘岩と同様に, せ ん断とともに不連続面上下のかみ合いが減少すると不連続面における透水係数は不連 続面の間隙幅から単純に判断することができないことを示す.
以上の結果より, せん断により透水係数は, せん断応力がピークを示す直後まで減 少し, せん断応力がピークを示した後の軟化領域において急激に増加し, ほぼ一定の 値を示す. また, 透水係数は, せん断初期において, 垂直変位に応じて増減するもの の, せん断変位が大きくなると, 垂直変位の減少, つまり間隙幅が減少しでも減少せ ず, 一定の値を示す.
4. 4. 4 AE特性
砂岩におけるCaselS (垂直応力1 MPa)でのAEイベント数とせん断変位との関係を Fig.4.4-10�こ, Case4S (垂直応力20MPa)の同様の関係、をFig.4.4-11に示す.
両者を比較した場合, 明らかに垂直応力が大きいCase4Sの方が, 発生するAEイベン ト数は大きく, 垂直応力が大きい場合には, 不連続面の凹凸の破壊が著しいと考えら れる.
CaselSの場合, AEイベント数はせん断変位O.38mmで、最大値を示し, その後, せん 断変位約3mmまでは, 断続的にAEイベント数は大きな値を示すが, それ以降, 顕著 なAEイベント数の増加はみられない.
AEイベント数がピーク値を示すせん断変位は, せん断応力がピークとなるせん断変 位, 垂直変位の変化率が最大となるせん断変位及び透水係数が最小となるせん断変位 にほぼ一致する. これは, せん断とともに不連続面上下のかみ合いが減少し, このせ ん断変位を超える時点、で, 上下の不連続面が完全に合致しなくなり, 凹凸の乗り上げ や破壊が生じることによって, AEイベント数が大きくなったと考えられる. そして,
それ以降, AEイベント数は大きな値を示さない.
Case4Sの場合, AEイベント数はせん断変位0.28mm, 0.77nn, 1.47mmにおいて大き な値を示した後, せん断変位2.19mmで、最大値を示す. その後, 発生するAEイベント 数は徐々に減少し, せん断変位IOmmを超えるとAEイベント数は小さいものの断続的 にAEが発生する.
AEイベント数がピーク値を示すせん断変位は, せん断応力がピーク値を示した後,
軟化挙動を示すせん断変位で生じ, 透水係数が最小となるせん断変位に, ほぽ一致す る. 一方, 垂直変位の変化率が最大となるせん断変位は, 約1.5mmで、AEイベント数が 最大値を示す直前の大きなAEイベント数を示すせん断変位に一致する. このせん断変 位1.47mmにおけるAEイベント数は, CaselSの場合のピーク時のAEイベント数とほぼ 等しい. このことから, Case4Sの場合には, せん断変位1.47mmにおいて不連続面の 凹凸の乗り上げや破壊が生じ始め, 比較的大きなAEが発生し, その後せん断変位 2.19rnmで、さらに大きなAEイベント数の増加が見られることから, この時点において さらなる凹凸の著しい破壊が発生したと考えられる. また, AEイベント数がピークを 示した後, 断続的にAEが発生するが, これは, せん断とともに不連続面表面の凹凸の 乗り上げや凹凸の破壊が継続しているためと考えられる.
ー108-
200
ε150
E
o
C
100
Q) 〉 w
出50
。 。
5 10 15
Shear
disp. (mm)
Fig.4.410 Relationship between AE event count and shear disp.,
obtained仕om the AE measurement during shear国flow coupling test (Case 1 S).
200
言150
�
ε :::::.. 100
oc o w 〉
凶 50
〈。 。
Fig.4.4-11
5 10 15
Shear
disp. (mm)
Relationship between AE event count and shear disp.,
obtained from the AE measurement during shear-flow coupling test (Case4S).
-109-
20
20
4. 5 垂直変位一定条件下でのせん断-透水同時実験
深部地下の空洞周辺岩盤不連続面のように周囲の岩盤から変位を拘束された状態に ある場合の不連続面のせん断透水特性を明らかにするためには, 周辺岩盤の剛性(不 連続面の垂直剛性)を考慮しなければならない(Leichnitz(1985), Ohnishi(1990)) . し かし, 垂直剛性を考慮したせん断-透水同時実験は, その実験方法の難しさから, こ れまでに実施された事例はない. 垂直応力一定条件下での実験が, 垂直剛性がゼロで あるのに対して, せん断時に垂直変位を一定とすることで垂直剛性を考慮した条件下 での実験が可能となる. ここでは, 垂直変位一定条件下でのせん断透水特性を明らか にすることを目的としてせん断一透水同時実験を行う.
4. 5. 1 かみ合った不連続面の垂直変位特性
不連続面の垂直変位特性を明らかにするため, さらには実験時に拘束する初期垂直 変位量を設定するために, 垂直荷重載荷実験を行う. 実験では, せん断箱上部に取り 付けられた変位計を用いて垂直変位を計測するため, 不連続面の垂直荷重載荷実験を 行うと, 得られる垂直変位には, 不連続面以外に岩石インタクト部, せん断箱の値が 含まれる. これは, Fig.4.5-1に示すように, 岩石のインタクト部の垂直剛性, せん断 箱の垂直剛性, 不連続面のみの垂直剛性の3つの剛性が含まれるためである. 本実験 では, 花関岩, 砂岩ともインタクトな岩石及び不連続面を有する岩石に対する実験を 行い, これらの剛性を的確に評価し, 不連続面のみの垂直変位特性を得る.
実験では, 最大垂直応力を花商岩で、10乱1Pa, 砂岩で5MPaまで与え, 垂直応力一垂 直変位曲線がほぼ一致するまで載荷・除荷を繰り返す. これは, 試験体セット時, せ ん断箱組立時などに生じる誤差を取り除くためである. Fig.4.5-2に, 花開岩, 砂岩の インタクトな岩石と不連続面を含んだ岩石の垂直応力一垂直変位関係を示す. 図に示 すように, いずれもほぼ3回の載荷, 除荷で垂直応力一垂直変位曲線はほぼ一致する.
この結果より, 不連続面のみの垂直変位特性は, 2つの載荷実験の結果から, 3回 目の載荷時の結果の差をとることで求められる. この結果に対して, S.C.Bandisら (1983)が提案している双曲線関数に対して, 最小二乗法による曲線近似を行う. その 結果について, 以下に示すとともにFig.4.5-3に花闘岩, 砂岩の不連続面の垂直変位曲 線を示す.
u
花儲岩:σn二0.098-
1
.512un (式4.5-1)u
砂岩 :σn=0 043-
6
287un (式4.5-2)ここで, σn 垂直応力, Un 垂直変位量である.
垂直荷重載荷前の不連続面の間隙幅は, 不連続面作成時の垂直変位量の変化を計測 することで得られる. Fig.4.4-6�こ示したように, 不連続面作成直後の不連続面の間隙 幅は, 花闘岩, 砂岩ともにO.15mmで、あることから, 両者とも垂直荷重を載荷しない
ー110-
Normal stress Normal stress
machine
rock
Fig.4.5-1 Normal stiffness for the intact rock and jointed rock.
ー111-
machine
rock
joint
40 40
Joint (Theoretical curve)
30
42MPa/mm Intact rock for the 3rd
normal loading
20
Jointed rock for the 3rd normal loading
10
0 0
(ω仏三)ωωω』日ω一ωE』OZ
30
2nd-3rd cvcle
20
(caE)ωωω」窃
一CE』
OZ
2nd-3rd cvcle
10
。
。 0.2 0.4 0.6 0.8
0.8 0.6
Normal disp.(mm) 0.4
0.2
Normal disp.(mm)
(a) Granite (a) Granite
40 40
Joint (Theoretical curve)
Intact rock for the 3rd normal loadi ng
30
20
10
(caE)ωωωおω一ωε』OZ
Jointed rock for the 3rd norlT'al loading
。
。
Intact Rock 1st cycle 2nd-3rd cycle Jointed Rock
1 st cvcle
30
20
10
(ω仏三)ωωω』窃一回ε」OZ
。
。 0.6 0.8 0.2 0.4 0.6 0.8
Normal disp.(mm) 0.4
0.2
Normal disp. (mm) (b)
Sandstone(b)
SandstoneNormal stress vs normal deformation behaviour for intact rock, jointed rock and joint.
Fig.4.5-3 Normal s位ess vs. normal deformation behaviour for intact
rock and jointed rock.
Fig.4.5-2
信112-
-113-
Case7G
20
Sbear s町ess vs. sbear disp. curves of granite joint under different constant normal displacements.
10 15
Shear disp. (mm)
5 40
30
20
10
。
。
Fig.4.5-4
(ω仏三)ωωω』窃』ωω工ω
場合の初期間隙幅は, O.15mmと想定される. 垂直変位一定実験では, 垂直応力に応 じた垂直変位量を一定とするが拘束する初期垂直変位量及びその時の不連続面の初期 間隙幅は以下のようになる.
花関岩では,
Case5G:初期垂直変位量:O.OOmm,初期間隙幅:0.15mm (垂直応力o MPa) Case6G:初期垂直変位量:O.19mm,初期間隙幅:0.11mm (垂直応力lMPa) Case7G:初期垂直変位量: 0.45mm,初期間隙幅: 0.09mm (垂直応力4MPa) 砂岩では,
Case5S :初期垂直変位量:O.OOmm,初期間隙幅:0.15mm (垂直応力OMPa) Case6S :初期垂直変位量:0.21mm,初期間隙幅:0.12mm (垂直応力lMPa) Case7S :初期垂直変位量:O.38mm,初期間隙幅:0.09mm (垂直応力2MPa)
さらに, Fig.4.5-2より, 不連続面周辺, つまり岩石インタクト部とせん断箱の垂直 剛性は, 常に一定であると考えられることから, 図中の曲線の直線部分から, その垂 直剛性を求めると花商岩で、42MPa加m, 砂岩で、32MPa加mとなる. 不連続面の垂直剛性 は, 式4.5-1, 式4.5-2を微分することで以下のように表され, 垂直応力によって変化 することがわかる.
花岡岩では
20
Shear s佐'ess vs. shear disp. curves of sandstone joint under different constant normal displacements.
15 10
Shear disp. (mm)
5 40
30
20
10
。
。
Fig.4.5・5
(C仏三)ωωω』窃」MWO工ω
(式4.5-3)
(式4.5-4)
4. 5. 2 せん断応力特性
花関岩のせん断応力一せん断変位曲線をFig.4.5-4に, 砂岩のせん断応力一せん断変 位曲線をFig.4.5・5に示す.
花岡岩において, せん断応力は, せん断変位約2mmまで, せん断変位の増加とと もに一定の割合で増加し, それ以降, 小さな変動を繰り返しなが ら増加しつづけ, 最 大値を示す. 最大せん断応力の値は, 拘束した垂直変位量が大きいほど大きくなる.
その後, せん断応力は, せん断に伴って徐々に低下する.
砂岩では, Case5SとCase7Sのせん断応力は, せん断変位の増加とともに急激に増加 し, せん断初期に最大値を示すが , Case6Sのせん断応力は, せん断変位の増加ととも に, 徐々に増加し, 最大値を示す. この最大せん断応力の値は, 一定とした垂直変位 量が大きいほど大きくなるが, 花岡岩の場合と比べて, 大きな値を示さない. その後,
Case5Sで、は, せん断応力は, 一旦, 急激に減少した後, ゆるやかに増加し, せん断変 位約7mm以降, 一定の残留せん断応力を示す. Case6Sで、は, 最大せん断応力を示し た後, せん断応力は, せん断変位1伽nmまで変動をしなが ら緩やかに増加し, その後,
=
124
100A
2σj nーをう[1+�.aJ
砂岩では
K 二
金
ι=
! I
1I
ぬ α 11+b.σ |
ー115- ー114-
40
30
20
10
(ω丘三)ωωω」窃一ωε」OZ
一定の残留 せん断応力を示す. Case7Sで、は, せん断応力は一旦急激に減少した後, 変 動を示しながらゆるやかに増加し, せん断変位約1白血n以降は, ゆっくりと減少する.
一定の残留せん断応力を示すCase5S, Case6Sでは, 拘束した初期の垂直変位量が大き いほど残留応力も大きくなるが, 残留応力がせん断変位とともに減少するCase7Sでは,
最終的なせん断応力は他のケースより小さくなる.
せん断初期段階においてせん断応力が最大値を示す2つのケース(Case5S, Case7S の場合)は, 垂直応カ一定条件下でのせん断応力とせん断変位との関係に類似してお り, せん断応力は, せん断初期に, 鋭いピーク値を示す. しかし, 垂直変位一定条件 下では, 最大せん断応力を示した後, 急激にせん断応力は低下し, 緩やかな軟化現象 は示さない. さらに, 拘束した垂直変位量が比較的小さし、Case5S, Case6Sの場合には,
残留時のせん断応力が, せん断変位約7mm以降一定となるのに対して, Case7Sの場 合には, 花商岩の場合と同様に, せん断変位約5mm以降, しばらくの間一定となる が, せん断変位lOmm以降徐々に減少する.
20
Normal stress vs. shear disp. curves of sandstone joint under different constant normal displacements.
20
Normal stress vs. shear disp. curves of granite joint under different constant normal displacements.
15 15
Case7S
10
Shear
disp. (mm)
5 10
Shear
disp. (mm)
5
。 。
。 。
Fig.4.5・7 Fig.4.5-6
40
30
20
10
(ω丘三)ωωω』窃一CE』OZ
4. 5. 3 垂直応力特性
花筒岩の垂直応力一せん断変位曲線をFig.4.5-6に, 砂岩の垂直応力一せん断変位曲 線をFig.4.5-7に示す.
花闘岩において, 垂直応力は, せん断変位約2"-' 3 mmまで一定の割合で増加し,
それ以降, せん断とともに小さな変動を繰り返しながら増加し, 最大値を示す. この 最大垂直応力の値は, 拘束した垂直変位量が大きいほど大きくなる. また, その時の せん断変位は, せん断応力が最大値を示すときの変位とほぼ一致する. その後, 垂直 応力はせん断とともに徐々に減少する.
砂岩において, Case5S, Case6Sの垂直応力は, せん断変位の増加とともに徐々に増 加し, 一定の値を示す. Case7Sの垂直応力は, せん断とともに変動しながら増加し最 大値を示した後, 著しい変動を示しながら徐々に低下する. 各ケースとも垂直応力の 最大値は, 拘束した垂直変位量が大きいほど大きくなる.
垂直応力一定実験で示したように, せん断応力は, 与える垂直応力が大きくなると 大きくなる. 垂直変位一定実験では, せん断とともに垂直応力が増加するため, せん 断応力の最大値及びその時のせん断変位は, 垂直応力一定実験の結果よりもいずれも 大きな値を示す. ここでは, 垂直応力によるせん断応力への影響について, 垂直応力 に対するせん断応力の比を求め, 検討する. Fig.4.5-8, Fig4.5-9に, 花関岩と砂岩の せん断応力と垂直応力の比とせん断変位の関係を示す. 両者とも, すべてのケースで せん断応力と垂直応力の比は, せん断初期に急激に増加し, 最大値を示した後, 軟化 現象を呈しながら減少し, 一定の値を示す. また, 拘束した垂直変位が小さいほど,
せん断応力と垂直応力の比の最大値は大きく, 最大値を示すせん断変位も小さくなる.
また, せん断変位が大きい領域で一定となるせん断応力と垂直応力の比は, すべての ケースにおいて, ほぼ同じ値を示す. このように垂直変位一定実験では, 垂直変位の 拘束により垂直応力履歴が増加しているために, 最大せん断応力は大きくなり, その 時のせん断変位も大きくなっており, せん断応力と垂直応力の比で比較すれば, 垂直
応力一定実験と垂直変位一定実験におけるせん断挙動は, ほぼ同じ挙動を示す.
さらに, 特徴ある挙動としては, 花岡岩では垂直応力が10MPa以上, 砂岩では垂直 応力が5MPa以上になると, 垂直応力とせん断応力の値は, せん断とともに著しく増 減を繰り返す. この垂直応力の変動とせん断応力の変動は, ほぼ同時に生じる. せん 断開始前には, 不連続面上下は, ほぼ完全に合致しており, かみ合っているものの,
せん断とともにそのかみ合いが減少する. そのため, 垂直応力は, 不連続面上下面が 接触する部分(不連続面の凹凸がかみ合っている一部分の領域)にのみ集中して作用 する. せん断に伴い垂直応力の減少が生じるのは, 垂直応力が集中した部分が, 局所 的に次々と破壊しているためであると考えられる. そのため, 破壊が生じるとともに せん断応力は急激に減少し, せん断とともに再び増加するものの, 同様の現象が繰り 返し発生するため, せん断応力は変動する. また, 砂岩の場合, 花商岩と比べてせん 断応力の変動が発生する時の垂直応力が小さい理由は, 砂岩の壁面強度が小さいため と考えられる.
6
4
2
。 。 3 5
ωωω』窃一回ε」OC\ωωω』窃」Cmw工ω
4. 5. 4 間隙幅の変化
垂直変位一定実験では, 実験時の垂直変位量を拘束しているため, 計測される垂直 変位は常に一定である. せん断による不連続面の間隙幅の変化は, 垂直応力一定実験 では, 垂直変位の変化から求めることができるが, 垂直変位一定実験では, せん断に よりどのように変化しているかはわからない. そこで, 垂直変位一定実験における不 連続面の間隙幅の変化について検討する.
垂直変位一定実験ではせん断箱の変位を測るように取り付けられた変位計により垂 直変位を計測, 制御するが, 前述したように, これには不連続面と岩石インタクト部,
せん断箱の変位量が含まれる. 実験ではせん断とともに, 垂直応力が増加するが, こ の原因は, せん断に伴う不連続面の間隙幅の増加によるものと考えられる.
不連続面の垂直剛性は, 式4.5-3, 4.5-4に示すように垂直応力が大きい領域ではか なり大きくなる(例えば, 花関岩の場合, 垂直応力が10お1Paの時, 垂直剛性は
2651MPa加m, 20MPaの時, 垂直剛性は9958MPa加ID, 砂岩の場合, 垂直応力が3MPa の時, 垂直剛性は80MPa加m, 5MPaの時, 垂直剛性は138MPa加mとなる) . しかし,
岩石インタクト部とせん断箱の垂直剛性は, 実験中一定と考えられる. また, インタ 20
クトな岩石の垂直荷重載荷実験の結果から, これらの垂直剛性は花闘岩の場合,
42MPa加m, 砂岩の場合には32MPa加mであり, 不連続面の垂直岡IJ性と比較するとかな り小さな値となる. このことから, せん断箱の垂直変位量は一定に拘束されているが,
せん断に伴ってダイレタンシーにより発生すべき間隙幅の増加が抑制される分だけ,
岩石インタクト部とせん断箱が圧縮されていると考えられる.
この考えに基づき, せん断に伴って変化する垂直応力と岩石インタクト部及びせん 断箱の垂直剛性から, 岩石インタクト部とせん断箱の圧縮された変位量を求めること で不連続面の間隙幅の変化を求めることができる. その結果として, 花商岩のせん断 中の間隙幅の変化をFig.4.5-10'こ, 砂岩の結果をFig.4.5-11に示す. 花関岩では, 図に 示すように, せん断とともに不連続面の間隙幅は, いずれのケースも, せん断変位約 20
The change of shear s佐ess/normal s佐ess of sandstone joint during shear-flow coup日ng test processes.
百le change of shear stress/normal s住ess of granite joint during shear-flow coupling test processes.
10 15
Shear
disp. (mm)
5
Fig.4.5・8
6 5 4 3 2 ωωOおω一ωε」OC\ωωω』窃」句。ζω
10 15
Shear
disp. (mm)
。 5
。
Fig.4.5-9
ー119- -118-