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‑ 日常語 と専門語 ‑

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NE W S LETTER 2 . . 2 .l l .N . .2 9

〒 2 2 1 ‑ 8 6 8 6 横 浜 市 神 奈 川 区 六 角 橋 3 ‑ 2 7 ‑ 1電 話( 0 4 5 ) 4 8 1 ‑ 5 6 6 1 ㈹ ) 神 奈 川 大 学 言 語 研 究 セ ン タ ー K A N A G A W A

こ と ば の 慣 れ の プ ロ セ ス

‑ 日常語 と専門語 ‑

外 国語の学習で、絶 えずわれわれの頭 を悩 ます のは未知の単語の意味であろう。た とえば、英語 の単語 に して も、ある単語 の意味は一つ とは限 ら ない。だか ら文章 を読む場合 、その文脈で、ある 単語が辞書 に載 っている何番 目の意味で使われて いるか を決定す ることは とりわけ学習初期 の大 き なハー ドルである

イリノイ大学の語菜調査 では、高校卒業程度の 人が持 っている平均的な語桑数 は約

4 5, 0 0 0

語 か ら

6 0, 0 0 0

語であろうと推定 している。 しか し、英米 人が 日常生活で行なうコミュニケーションの

9 0

パー セ ン ト強 は、基本 的な1

, 0 0 0

語以内の単語 で行 な われているのである。他方、専 門用語 も、その分 野の原書 に絶 えず接 していれば、それ らの単語が 異 なった文脈で絶 えず現 われる。その結果、それ らの語 は2‑ 3カ月 もすれば馴染みある もの とな り、 自由に意味が とれるようになる。単語の慣 れ (熟知催 )は、異 なる文脈 の中でその語 に接 す る 頻度数 に大 きく左右 されるといえる

しか し、新聞や ジャーナルなどを万遍無 く読 ん でいる場合 は、なかなか ことばに対す る慣れがつ き難い。 これは新聞やジャーナル特有の単語や慣 用法がある上 に、内容のジャンル もあ らゆる分野 にわたっているため、単語の熟知性が形成 され難 い ことによる もの と考 え られる

一般 に成人は、読む際 にす ぐ利用で きる複雑 な 視覚的情報の膨大 な蓄積 をさまざまなところか ら 獲得す る。そ こで、人がある単語 を読む とき、統

水 野 光 晴

‑的な知覚が 自動的に瞬時 に、 しか も無意図的に 生 じる。 この現象 はス トループ効果 とよばれる。

その結果、単語 をまとま りのある単位 として再認 す る能力が獲得 されて くるのである。つ ま り、わ れわれは1つの単語 に出会 う機会が増 えれば増 え るほ ど、 ます ますその単語 に馴染 む ようにな り、

ます ますそれ を再認で きるようになる。 したが っ て、ある単語 についての熟知性があjlばあるほど、

ます ますそれ を再認す るのに要す る時間 も短 くな る。 この ことか ら、単語 を再認す ることが、読み のプロセスの決定的な構成要素であることがわか る。

英米人が 日常使用す る単語 に対す る慣 れを身に 付 ける一つの方法 と して、

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語以 内の語 で書 かれた本 を大量 に読むことが考えらjtるであろう

しか し、 この種 の リーデ ィング教材 は幼児向 き、

青少年向 きの ものが多 く、大人が満足で きる内容 の ものは数 も限 られているので痛 し症 しの感無 き に Lも非ずであろ う。そ こで私 は現在、英米社会 で 日常多用 され る基本語約1

, 0 0 0

語か ら成るグロー バ ル ・イングリッシュのライテ ィング用教材 を作

り、学生 にすすめている

グローバル ・イングリッシュは、今 を潮 ること

6 0

年 ほ ど前 に、ケ ンブ リッジ大学の言語心理学者 であ った

C.

K

.

オ グデ ン博 士 の遺 志 を受 け継 いで いる。彼 は全人類が英語 を通 して意思疎通 をはか ることを願 って、ベ ー シ ック・イ ング リッシュ と い う 「簡易英語」のシステムを考案 した。 このシ

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1

)

(2)

ステムは、国際 コミュニケーシ ョンの道具 として まさに申 し分のない条件 を満た していたのである

大著 『意味の意味』の作者である彼 は、その語菜 選定 を有用性 に基づいて行 った。その結果、各語 の有効度 は きわめて高 く、非常 に平易で豊かな表 現が可能 になった。また、学習語嚢 も少な く済み、

その語菜 も音節の少ない語か ら成 っていて、同音 異義語がほ とん ど無いため発音上の混乱 もない。

さらに、英語 は西欧の諸言語 に較べて、屈折 (請 尾変化 )が単純であ り、その語童 も国際的な広が りを持 っている。 さらに、 ドイツ語や フランス語 のアクセ ン ト符号の ような ものが無いため、綴 り 字や発音 を学習す るうえで も負担が少 ない。 しか も、彼のシステムには、機械的な通信のための特 別 な工夫が施 されていた。 とりわけ、オグデ ンは 語学の学習者 に も最 も負担 となる述部の動詞 を整 理 して

1 6

語 とした。そのため、文法構造が きわめ て簡単 にな り、記憶 し易 くなった。この ような多 くの利点か ら、当時のイギリスの文豪バーナー ド・

シ ョーをは じめ、ノーベル平和賞を受賞 したチャー チル首相 などが、ベ ーシ ック・イ ング リッシュを 絶賛 した。 また、透徹 した文明批評家 として知 ら れ る

H. G.

ウェルズ も国際的 な補 助語 と しての英 語が この

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世紀 に普及す ることを予告 している。

しか し

、8 5 0

語 とい う厳密 な語嚢制 限のため充分 普及す るまでには至 らず、彼 らが考案 したシステ ムは廃れて しまった。そ こで数年 ほど前か ら、筆 者 は彼 のシステムを再評価 して、語桑制 限 を

1, 0 0 0

語 まで緩和 し、その使用ルールを簡円糾ヒしたグロー バ ル・イングリッシュを提 唱 した。 これ を国際 コ ミュニケーシ ョンの手段 として活用すれば、われ われ 日本人 も自由自在 に英語で コミュニケーシ ョ ンで きるようにな り、オグデ ンの大願が実現す る 日も遠 くないであろう

われわれ 日本人が英語 を自由に表現で きない最 大の原因は、単語の意味範囲が極めて狭 い ことに ある。その結果、われわれの英語 には誤用や誤解 が頻繁 に生 じる。 また 日英両言語の構造の違い、

発想法の違いがわれわれの英語使用 にブ レーキを かけている面 も大 きい。英語の単語の意味は一つ とは限 らない。 とりわけ英語で多用 される易 しい 語 こそ多 くの意味 を持 ってい る。 とくに、 日常 よ

く使 われる語桑 には、英米人に特有 な歴史的背景 や彼 らに固有の社会 ・心理的、文化的な経験が濃 密 に反映 されている。そのため、多 くの意味があ り、総 じてその音節 は短 いのであ る。 た とえば、

̀ e a r t h'

とい う語 を聞けば、「地球」 とい う意味 を反射的に思い浮べ る方が多いで しょうが、 この 語 には 「土、泥」などの意味 もあるということ知っ て い る方 は決 して多 くないで しょう。 さ らに、

" Yo u rho l l S ei ss i mp l yl o ve l y. "

とい う文 にお ける

̀ s i mp l y'

は、「簡単 に」 とか、「単 に」 とい う意味で はな く、

̀ v e r y'

の意味であるか ら、 こ の文 は 「あなたの家 とって も素敵ね !」 とい う意 味である。 とくに、 この ような基本語 に習熟 して いない と、いつ までたって も英米人の話の意図が 正確 に掴 めなかった り、い ざとい う場合 に、 自分 の言いたい ことが実際に表現で きない とい う羽 目 に陥ることになる。 この辺 りの事情 を考慮 して

L.

ヴイ トゲ ンシュ タイ ン

( 1 8 89‑1 9 5

1) は 「語 の意 味 を知 っている とは、それ を慣用的に使用で きる とい うことだ」 と述べ ている。 したが って、易 し い単語 こそ英語のあ らゆる障害の因なのである。

しか し、 この問題 も単語 の心 を把 めば一気 に解消 す るであろ う

要す るに、英語 のセ ンス (英語的な ものの言い 方や考 え方)は、基本語 に習熟 して こそ身につ く ものである。 したがって、いたづ らに単語やイディ オムの数 を増やす ことに専念す るよ りも、 日英両 言語の表現 をよ く比較 して、その発想法や表現法 の違いを しっか り把握 した上で、正 しい英語の リ ズムとともに、英米人が 日常たえず使用するグロー バル・イング リッシュの例 文 を内在化す るこ とで ある。 しか も、最近 はそれ こそがわれわれ 日本人 に最適 な 「英語 をマス ターす るための王道」であ ると実感 している

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鳥 )

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