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プレファブ鋼床版を用いた橋梁床版架け替え工法に 関する研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

プレファブ鋼床版を用いた橋梁床版架け替え工法に 関する研究

中村, 聖三

https://doi.org/10.11501/3105032

出版情報:Kyushu University, 1995, 博士(工学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

4. 2 主桁と鋼床版との連結部に関する実験

4 . 2 . 1 概 説

補修用鋼床版と既設主桁との連結方法として、 これまでに

① 主桁上フランジ上の既存スタッドジベルやスラプアンカーなどの突起物をガス切断 などで除去後、鋼床版縦リプを主桁に現場溶接する方法(図-4.1(a))I)、

② 主桁上フランジ上の既存スタッドジベルやスラプアンカーなどの突起物を全てガス 切断した後グラインダー処理し、 高力ボルトを用いて摩操接合する方法2)、

① スタッドジベルや主桁添接部などの凹凸部を吸収するフイラーを介して、主桁フラ ンジと鋼床版縦リプを高力ボルトで断続的に摩擦接合する方法(図-4.1(b ) )3)、

④ 主桁の既存ジペルを撤去せずにずれ止めとして再利用し、工場にて鋼床版側面に溶 植したスタッドジベルと現場で組合わせ、 主桁フランジと鋼床版縦リプとの遊間に早 強の無収縮モルタルやポリマーセメントなどを充填し連結する方法(図-4.l ( c ) ) 4)、

などが提案されている。

これらの連結方法のうち、現場溶接による方法(①)は現場溶接の品質保証や施工性に難点が あり、高力ボルトによる連結方法についても接合面を全面処理する方法(②)は、プレファプ鋼 床版工法の重要な長所のひとつである急速施工性という観点から見た場合に採用し難い方法で あると考えられる。フイラーを介して高力ボルト接合する場合には、 現場での作業量を低減す る方法として、横桁取付部などの格点位置でのみ断続的に高力ボルトを用いて連結する方法 (③)が有効であることが報告されている5)。一方、既設のずれ止めを利用しモルタル充填によ り連結する方法(④)については、充填材として無収縮モルタルやポリマーセメントを用いるた め、その強度は撤去したRC床版のコンクリートよりも一般的に高くなる結果、 補修前と同等 以上の合成効果が得られることが期待できる。ただし、 本法では充填材が硬化するまでの間車 両の通行は不可能となることや、 主桁上での鋼床版設置部が若干複雑な構造詳細となることな どが短所となる可能性がある。

本研究では力学的な観点に留まらず、現場作業の施工性の観点も加え、より経済的で耐久性 のある主桁への連結方法として、高力ボルトによる連結と既存ずれ止めの再利用を組み合わせ た連結方法を考案し、その合成効果、耐荷力、および耐久性について検討を行った。

4 . 2 . 2 押し抜きせん断試験6)

( 1 ) 試験体および試験方法

既設主桁と銅床版との連結部の構造を決定するための基礎的な力学データを得ることを目的 とし、主桁上フランジと鋼床版縦リプをそれぞれH形鋼(H-3∞X 3∞XlOX15)のフランジと CT 形鋼(CT-200X200X 8 X 13)のフランジで模擬した試験体を、 スタッドジベル、高力ボルト などのずれ止めとモルタルの充填方法をパラメーターとして13体製作した。各試験体の形 状・ 寸法を図-4.2に示し、試験体パラメーターを一覧表にまとめて表-4.1に示す。表-4.1 における「粗骨材プレパクトjは、あらかじめ連結部に粗骨材を投入した状態でモルタルを充填 したことを意味し、「粗骨材なし」はモルタルのみ充填したことを意味する。用いたモルタルは プレミックス型の無収縮モルタルである。円柱供試体を用いた圧縮試験により得られたモルタ ル強度は 5 03kgf/crn2、コンクリート(粗骨材プレパクト)強度は436kgf/cm2 であった。

試験体のうち、 TP-2- 5 は主桁の既存スタッドのみを再利用する場合、もしくは逆に補修対 象桁が非合成桁で鋼床版縦リプのみにスタッドが配置される場合を想定したものであり、CT 形鋼にはスタッドを配置していない。一方、 TP-6-1Oは補修対象桁が合成桁で、その既存スタ ッドを再利用するとともに、鋼床版の縦リプにもスタッドを配置した場合をモデル化したもの である。

実験においては、図-4.3に示したように試験体中央のH形鋼を製作時にその両側に連結す る CT形鋼よりも約l ∞mrn突出しておき、当該突出部を1,∞Otonf構造物試験機で押し抜くこ とにより試験体の両フランジ連結部に純せん断を与えた。荷重は20tonfピッチで漸増させ、荷 重一ずれの関係が非線形領域に入った後は、適宜荷重ピッチを小さく設定した。

本実験では、鋼床版と主桁との連結部のせん断パネ定数、最終押し抜きせん断耐力を調査す ることとし、連結部の相対ずれを片持ち型変位計で、せん断力の流れを両材に貼付したひずみ ゲージで測定した。片持ち型変位計およびひずみゲージの設置位置を図-4.4に示す。また、

写真一4.1には実験状況を示す。

( 2 ) 試験結果と考察

実験により得られた各試験体の最大耐力、およびフランジ(問200mm)の単位長さ当たりに 換算した最大せん断耐力を表-4.2に示す。当然のことではあるが、主桁および縦リプの両者 にスタッドが配泣きれた場合(TP-6-10)の最大せん断耐力が、 片方のみに配置された場合より 今般的に高いという結呆が得られた。 文問40m、 幅員8mの活荷重合成桁標準設計7)の主桁 ・

(3)

RC床版間の設計水平せん断力が、 支問中央で75.0kgf/cm、 桁端で 389.0kgf/cm(温度差による せん断力を加えても 533.0kgf/cm )であることから、 最終耐荷力に関しては片側のみスタッドを 配置した場合でも、 TP-4・5の形式であれば破壊に対し1.7程度の安全率が確保されることにな る。

図-4.5には、 各試験体のせん断パネ定数の荷重増加に伴う変化を示す。 連結方法を問わず、

全ての試験体で荷重の増加に伴いせん断パネ定数の値が滅少する傾向を示した。特に、片側の みずれ止めが配置された場合(TP-2-5)、 比較的低い荷重段階でせん断バネ定数が急激に滅少し ている。 したがって、 非合成桁に本連結法を適用し鋼床版と主桁とを合成する場合には、 既存 主桁の上フランジに新たにスタッドを配置するか、 連結ボルトのー筒所当たりの本数を増やす ことにより、 当該部のせん断剛性を高めることが望ましいと言える。

一般に、 押抜きせん断試験により得られる最大耐力ならびにせん断パネ定数の値は、 桁試験 により得られる値より小さいことめや、 RC床版を有する合成桁におけるスタッドジベルのせ ん断パネ定数が、 設計荷重程度の低い荷重範囲でC=2-3X l04kgf/cmlcm 程度であること8), 9)か ら、 TP・6�lOの連結法を用いた場合の鋼床版と主桁との合成効果は十分であると判断できる。

42

(b) 高力ボルト3)

( c ) スタッドジベル4)

|叫-4.1 主桁と架け替え鋼床版との連結方法

(4)

表-4.1 各試験体のずれ止めの組み合わせ

試験体 主桁側 縦リプ側 充填材

TP-1.1 高カボルト

3・M24x2列

TP-1.2 2-M24x2列 無充填

TP-1.3 1・M24x2列

TP-1.4 l-M24x2列 部分充填

TP-2 高力ボルト 膨張モルタル

l-M24x2列 粗骨材プレパクト

スタッドジベル

な し 膨張モルタル

TP-3 7・中22x3列 粗骨材プレパクト

高力ボルト(1・M24x2列)

TP-4 高力ボルト 膨張モルタル

( a) TP-2 (b) TP-3 ( c) TP-4

2-M24x2列 粗骨材プレパクト

スタッドジベル

な し 膨張モルタル TP-5 7・<j>22x3列 粗骨材プレパクト

高力ボルト(2・M24x2列)

TP-6 スタッドジペル 異形スタッド 膨張モルタル

7・<j>22x3列 8・D22x3列 粗骨材プレパクト

膨張モルタル

TP-7 同 上 同 上

粗骨材なし スタッドジベル スラプアンカー 膨張モルタル TP-8

7・中22x3列 3・D22x3列 組骨材プレパクト

膨張モルタル

TP-9 同 上 同 上

粗骨材なし スタッドジペル 異形スタッド 膨張モルタル

TP-IO 7ゆ22x3列 6・D22x3列 粗骨材なし

(d) TP-5 ( e) TP-6,7 ( f) TP-8,9

高力ボルト(2・M24x2列)

なお、 TP-IOは(c )と( f )の組み合わせである。

図-4.2 押し抜きせん断試験体

(5)

図-4.3 載荷方法

S:ひずみゲージ CL:片持ち型変位計

0:電気式変位計 ( )は裏面を示す

(CL6)

(S4Q)

図-4.4 変位計およびひずみゲージの設置位置

46

り: �'& -4.1 41j1しi tzきせん断試験状況

(6)

4 . 2 . 3 実大桁模型曲げ疲労試験6),11)

表-4.2 押し抜きせん断耐力 ( 1 ) 試験体および試験方法

押し抜きせん断試験の結果を参考に、 現地での施工性、 特に鋼床版と主桁との連結部の寸法 誤差の吸収に主眼をおいた連結法として、 高力ボルトによる連結と既存のずれ止めの再利用を 組み合わせた連結法(TP-5, 10)を選ぴ、 大型の桁試験体を用いた曲げ疲労試験を実施し、 施土 性と合成効率、 ならびに繰り返し荷重に対する耐久性の検討を行った。

試験体として、 図-4.6 に示す形状・寸法の実大桁を2体製作した。2 体の試験体の相違は、

既存主桁相当部上フランジのスタッドの有無のみで、 他の構造詳細は同一である。試験体の設 計にヨたっては、 主桁・ 鋼床版のそれぞれに高力ボルトによる添接部を設け、 実際の補修条件

にできるだけ近づけるよう配慮した。

試験体は両端単純支持とし、 試験体スパン中央付近の2箇所の鋼床版デッキプレート上に図 -4.7 に示すように線載荷することにより、 荷重載荷位置間に純曲げを、 その両側に曲げとせ ん断の両者を与えた。載荷位置の主桁部には、 鋼床版を鉛直方向に支持する三角形状のプラケ ットを設け、 線荷重をデッキプレートの幅方向に均等に載荷できるようにした。なお、 試験に は土l00tonf電気油圧式サーボ型構造物疲労試験機を用いた。試験状況を写真-4.2 に示す。

載荷試験においては、 図-4.8 に示すように主桁と鋼床版の曲げ応力の断面分布を支問方向 7 断面に貼付したひずみゲージで、 主桁と鋼床版との水平方向相対ずれと鉛直変{立の橋軸方向

分布をそれぞれ片持ち型変位計および電気式変位計で測定した。

繰り返し載荷試験に先立ち、 連結部の状態をパラメーターに試験体の弾性範囲内で静的曲げ 載荷試験を実施し、 以下の項目について調査した。

① モルタル充填までの高力ボルトのみによる連結状態での合成効率

② モルタル充填後の合成効率

③ 既存主桁にずれ止めがない場合(非合成桁)の合成効率

荷重の繰り返しに対する連結部の耐久性を調査するために、 モルタル充填前後の静的載荷試 験終了後、 それぞれの状態において疲労試験を実施した。疲労試験における荷重条件は、 主桁 と鋼床版との合成効率を 0 とした場合の引張りフランジの応力が、 計算上SM490Aの許容応 )j皮1,900kgf/cm2になる荷重として、 上限荷重を80tonfとするとともに、 設計応力における死

。Ij 1l!!,l:.) Jの占める割合を0.3 と仮定し、 下限荷重を24tonfとした。本荷重条件は、 モルタル充 j提後の完成系の試験体で、は、 引張りフランジの応力全娠IIJi�で8ookgf/cm2 に相当する。荷重の 141り返 し""放は、 充填l而状態は105 lIî]、 充成後は2X 106 1'11以上とし、 繰り返し載何試験 最終耐荷力 単位長さあたり

(toぱ) (kgf/cm)

TP-1.1 74.0 264.3

TP-1.2 52.0 185.7

TP-1.3 20.0 71.4

TP-l.4 70,0 250.0

TP-2 85.0 303.6

TP-3 95.0 339.3

TP-4 200.0 714.3

TP-5 190.0 678.6

TP-6 265.0 946.4

TP-7 258.0 92 l.4

TP-8 260.0 928.6

TP・9 240.0 857.1

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荷 重 (tonf)

100

荷 重

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図-4.5 荷重増加に伴うせん断パネ定数の変化

(7)

中に適宜静的載荷試験を行うことにより、合成効率の低下や疲労亀裂の発生の有無などを調査 した。

( 2 ) 試験結果と考察

図-4.9、4.1 0にはそれぞれ、静的載荷試験における(a )鉛直変位、(b )主桁と鋼床版縦リ プとの相対ずれの橋軸方向分布、および純曲げ領域における曲げ応力の断面分布を、モルタル 充填前後で比較して示す。 図中には、不完全合成桁に関するNewmarkの解12)を用い、主桁 ・ 鋼床版連結部のせん断バネ定数Cをパラメーターに算定した計算値も示した。

両図から、モルタルを充填しない場合の連結部のせん断バネ定数は103kgf/cmlcm程度、充 填後のパネ定数は104kgf/cmlcm程度以上の値であると評価されることから、フランジ遊間に 充填されるモルタルは連結部の水平せん断力の伝達に有意に寄与していると言える。 また、本 実験で得られたせん断パネ定数は、押し抜きせん断試験における荷重の小さい領域での値と一 致しており、他の連結法を用いる場合にも押し抜きせん断試験結果を桁における下限値と考え て良いものと思われる。

主桁上フランジにスタッドジベルが存在しない場合は、存在する場合と比較して、若干相対 ずれ量が多く合成効率も低下している。 この場合の合成効果は高力ボルト前後に設置した厚肉 ライナーが高力ボルトと共同してブロックジベル的に作用することのみにより得られるものと 考えられるが、本実験では主桁にスタッドを有する場合と同じボルト配列と したため、各高力 ボルトに作用するせん断力が大きくなりこのような結果が得られたものと思われる。 しかし、

高力ボルトの本数を増やすことにより、各ボルトに作用するせん断力を軽減すれば、主桁にス タッドを有する場合と同等のせん断パネ定数を得ることは可能であろう。 すなわち、主桁にス タッドを有しない非合成桁の場合でも、現場でスタッドを溶植せずに鋼床版合成桁に改築する ことが可能であると考えられる。

疲労試験の結果においても、図-4.11に示すように、高カボルトのみの状態では105回程度 の繰り返しに対しボルトのゆるみなどに起因する若干の合成効率の低下が認められるが、モル タル充填後の完成系の状態では2XI06回以上の繰り返しに対しても安定した挙動を示し、合 成効率の低下はないことが分かる。 ボルト結合のみの状態におけるこのような合成効率の低下 に関しても、載荷条件に用いたような設計荷重に近い荷重が架設中に多数回作用する確率は非 常に低いことから、大きな問題であると考える必要はなく、架設中にも十分安定した椛造挙国J を期待できるものと考えられる。

50

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図-4,6 実大桁模型の形状・寸法

図-4.7 故荷方法

51

(8)

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ひずみゲージ貼付断面

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:片持ち型変位計 る:電気式変位計

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。:単軸ゲージ : 2軸ゲージ

ひずみゲージおよび変位計の設置位置

(9)

主桁と支持横桁との連結方法に関する実験

4 . 3

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C=1内附cm -_一一ー/ 4 . 3 . 1 言見

鉛直変位分布 ( a )

支持横桁の構造形式ならびに主桁との連結方法に関しては、 床組や荷重分配横桁、 対傾構な どの一般的な構造を参考にして、 以下に示す三つの構造形式を対象に施工性・構造特性につい て検討を行った。各構造形式の概念図を図-4.12に示す。

σ( kgf/cm2) 0 ・500 ・1αぬ・1500・2000

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支持横桁のウェプのみを主桁に増設したプラケットとボルト接合することにより、

鋼床版縦リプから支持横桁に伝達される輪荷重を、 せん断力のみで主桁ウェブに伝え

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主桁と鋼床版との相対ずれ分布

O E E 1

三2

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( b ) 鉛直変位分布

( a )

主桁と鋼床版との相対ずれ分布

、、Jf LU ftk

る連結法(ここではせん断力伝達型と呼ぶ)。

支持横桁のウェプを主桁に増設したプラケットにボルト接合するとともに、 主桁を

挟んで隣合う支持横桁のフランジをテンションプレートを用いて連結して、 支持横桁 と主桁とを剛結することにより、 せん断力と曲げモーメントの両者を伝達する連結法 (曲げモーメント伝達型と呼ぶ)。

せん断力伝達型の連結法に加え、 支持横桁を増設プラケットに一端を連結した斜材 で補強する連結法(端対傾構型と呼ぶ)。

0モルタル充婦問

・モルタル充編後

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・モルタル充規後

横桁の増設における施工性の観点からは、 横桁部材はできるだけ小断面で軽量であることが しかし、 主桁とともに床版を支える床組を構成し、 車両の通過ごとに衝撃を伴う大 二次応力や局部応力の小さい耐疲労構造とする必要があ きな荷重を繰り返し受けることから、

側片

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望ましい。

純曲げ領域の曲げ応力の断面分布 図-4.10 静的載荷試験結果 (主桁上フランジにスタッドなし) ( c )

純曲げ領域の曲げ応力の断面分布 図-4.9 静的載荷試験結果 (主桁上フランジにスタッドあり) ( c )

このような観点から総合的に検討した結果、 本実験では実射す象を曲げモーメント伝達型 な と端対傾構型に絞り、 静的載荷試験により各々の構造における支持横桁と主桁との連結部、

る。

らびに鋼床版と支持横桁との連結部などの力学的挙動を調査するとともに、 繰り返し載荷試験 を行うことにより当該部の耐久性についても検討を加えた。

荷重繰り返しに伴うrJ11げ応)J分布の変化 (主桁上フランジにスタッドあり)

図-4.11

54

(10)

4 . 3 . 2 支持横桁実大部分模型疲労試験6),13)

( 1 ) 試験体および試験方法

試験体は、 主桁と支持横桁の連結部のみを橋軸直角方向にスライス( 幅50cm)した部分モデ ルであり、 主桁部・支持横桁部、 および鋼床版部の3部分より構成される。 鋼床版部には、 パ ネル間継手部の輪荷重の繰り返し載荷に対する耐久性も検証できるよう、 荷重載荷位置にパネ ル間のボルト継手部を設けた。 主桁間隔については、 間隔が大きくなるほど支持横桁の変形 ・ 応力も大きくなることから、 活荷重合成桁標準設計7)における最大間隔である 3.3m としたO 図-4.13に試験体の形状・ 寸法を示す。

本実験においては、 支持横桁と主桁との連結部に着目し、 当該部に最大応力が発生するよう 二輪( 一軸)の中央を中桁位置に一致させて載荷を行った。 図-4.14 には、 試験体の支持条件お よび載荷方法を、 図-4.15にはひずみゲージおよび変位計の設置位置を示す。 疲労試験におい ては、 鋼床版デッキプレート上に硬質ゴム( 載荷幅50cmX20cm)を介して一定荷重振幅で繰り 返し載荷した。 荷重は、 T-20設計後輪荷重の 3 倍にあたる 48tonfとした。 載荷試験の状況を 写真-4.3に示す。

( 2 ) 試験結果と考察

疲労試験に先立ち実施した静的載荷試験における最大荷重(48tonf)時の横桁フランジ応力の 橋軸直角方向分布を図-4.16に、 横桁ウェプの主応力分布を図-4.17に示す。 図-4.16 には、

曲げモーメント伝達型については横桁を主桁位置で支持された連続梁として, 端対傾構型につ いては主桁位置を支点とし斜材で支持された単純梁として求めた計算応力分布も併せて示して いる。 これらの図より、 試験体に用いた程度の断面を有する棋桁を用いることにより、 設計後 輪荷重の3倍の載荷に対しても、 横桁には最大1,∞Okgf/cm2以下の応力しか発生せず、 曲げモ ーメント伝達型 ・ 端対傾構型ともに十分な静的耐力を有することが分かる。 また、 主桁の鉛直 変位が拘束されているため、 横桁応力の実験値は連続梁としての計算値と比較的良く一致して いる。

繰り返し載荷試験では、 曲げモーメント伝達型では2X 106回の荷重繰り返しに対しでもイH 等変状を生じなかったが、 端対傾構型では荷重繰り返しの比較的早い段階で、 �j床版の簡易補

剛リプの中桁近傍に、 図-4.18に示すような疲労亀裂が発生した。 さらに、 その後の何重繰り 返しにより、 支持横桁取り付けプラケットにも疲労亀裂が発生した。 両疲労亀裂の発生状況を 写真-4.4に示す。 これは、 横桁を補強するために設けた斜材の断面が比較的小さかったため

設計輪荷重の3倍という大きな荷重の繰り返しにより支持横桁が過大な鉛直変位を生じたため であり、 斜材断面の決定では拡桁の変位にも注意を払う必要のあることを示している。 また、

IIJJげモーメント伝達型の試験体についても、 2X 106回の繰り返し終了後、 荷重を 80tonfに増 加させて繰り返し載荷試験を行ったところ、 鋼床版の簡易補剛リプに疲労亀裂が発生した。 こ れは、 鋼床版縦リプと横桁上フランジとの交差部に設置した緩衝用のゴムパット(30mm厚)の 変形が大きく、 簡易補剛リプに過大な曲げ応力が生じたためであった。 このことから、 緩衝用 のゴムパットは過積載車などによる過大な輪荷重載荷時にも変形が小さくなるように、 可能な 限り薄いものを用いることが必要と考えられる。

(11)

( a ) せん断力伝達型

(b) 端対傾構型 (b) 曲げモーメント伝達型

図-4.13 横桁部分模型試験体の形状・寸法

( c ) 端対傾構剤 図-4.12 支持横桁の構造形式

悶-4.14 試験休の支持条件と抜荷方法

58

(12)

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I 1J

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0:電気式変位計 :単軸ひずみゲージ

( a) 平面図

横桁フランジ応力測定断面

ー/ノ

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(b) 曲げモーメント伝達型立面図 (泊) IHIげモーメント七日主!f!

:単軸ひずみゲージ ピ:三軸ひずみゲージ

:電気式変位計(鉛直変位測定用) t:電気式変位計(相対変位測定周) ( c ) 端対傾構型立面図

惨一一「・ー‘

惨一--'-ー‘

機桁

( b ) 端�.j阿惜別

....:単軸ひずみゲージ " j: Ú 4.3 :l.:1.H附ij:J�大日1;分絞町!絞j;;i;iJU�た;1)�;兄

アングル A

(d) 部材|折而ぽ|

12{]-4.15 ひずみゲージおよび変位計の設置位置

(13)

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63 亀裂の発生状況

図-4.18

(14)

大日方忠勝、森国夫:鋼床版パネルによるコンクリート床版橋の復旧、橋梁と基礎、

第4章の参考文献

1)

圭五日ロ

4 4 結

Vo1.l 9、No.4、pp.4ト45、1985.4.

城原徹:兼山橋における既存コンクリート床版の鋼床版による補修、橋梁と 2) 渡辺昇

本章では、Battledeck Floor Type の鋼床版を用いたRC床版梨け替え工法において、以下の構 造ディテールを確立すべく実施した部分模型による静的載荷試験および繰り返し載荷試験につ

基礎、Vol.9、NO. l、ppω-45、1975.1.

田島二郎、杉崎守:張替鋼床版と旧橋との部分接合実験、土木学会第41 橋本和夫、

3) いて述べた。

主桁と銅床版との連結部

回年次学術講演会、1-240、pp.479・480、1986.11.

増設支持横桁の構造形式と主桁との連結部 鋼床版縦リブと増設支持横桁との連結部

③ 松本好生、寺田博昌、峰松敏和:損傷RC床版の鋼床版による置換え工法(第l報) (第

土木学会第41,42回年次学術講演会、I・196,1-181、pp.391・392,396-397、1986,1987.

2報) 4)

①については、まず、いくつかの連結方法について押し抜きせん断試験により、せん断耐力 および、せん断パネ定数を調査した。実験結果をもとに施工性の観点からも検討を加えた結果、

切石莞、高橋渡、川村浩二、加藤正案:紅楓橋における鋼床版張替え工法、橋梁と 中村聖三、川井豊、吉田弘:道路橋 RC床版架け替え用プレファプ鋼床版に関する実

pp.I-7、1989.6.

基礎、Vol.23、NO.6 5)

6) 標準的なディテーJレとしてずれ止め(今回 の実験ではスタッド)による連結と高力ボルトによる

連結とを併用した連結法を選定した。次に、選定した主桁 ・ 鋼床版関連結部ディテールを有す る桁模型を用いた曲げ疲労試験を実施し、モルタル充填前後何れの状態においても、本連結法

験的研究、第2回SGST拡大研究会論文集、pp.lト24、1993.12.

建設省道路局監修:活荷重合成桁標準設計(昭和 38年度版)、1963.

平城弘一、前田幸雄:西ドイツ鉄道橋の合成桁の疲労問題に関する2つの研究、橋梁

Mainstonfe, R. J. and Menzies, J. B. : Shear Connectors in Steel-concrete Composite Beams for

報告集、第329号、pp.27・37、1983.1.

小松定夫、佐々木孝:不完全合成格子桁の理論と近似計算法について、土木学会論文 Bridges, Concrete, Vol.l, No.9, pp.291・302,September, 1967.

と基礎、Vo1.21、NO.3、pp.23-26、1987.3.

9) 7) 8)

10) が十分な耐久性を有することを確認した。

②、③については、支持横桁の構造形式として曲げモーメント 伝達型と端対傾構型を取り上 げ、主桁 3本を有する橋梁を横桁をはさみ50cm幅で輪切りにしたような試験体を用いて静的

床版作用による横桁の応力は、曲げモーメント伝達型については主桁位置で支持された 連続梁として、端対傾構型については主桁位置を支点とし斜材で支持された単純梁として、

教荷試験および疲労試験を実施した。その結果をもとに、標準的な横桁形式として曲げモーメ ント伝達型を選定した。また、以下のことが明らかとなった。

村越潤、川井豊、吉田弘、 中村聖三:RC床版補修用プレファプ鋼床版の実用化研究

Newmark, N. H. et al. : Tests and Analysís of Composíte Beams with Incomplete Interaction,

村越湖、川井豊、吉田弘、中村聖三:RC床版補修用プレファブ鋼床版の実用化研 (その 1:主桁と鋼床版パネルとの連結方法に関する実験)、土木学会第44 回年次学術講演

Proceedings of出eSociety for Experímental Stress Analysis, Vo1.9, No.l, pp.75-93, 1951.

会、1-225、pp.502・503、1989.10.

、、.,J・・・且・・・且

12)

13) その概略値を算定することができる。

本工法における支持横桁の形式として、曲げモーメント伝達型、端対傾構型とも適用可

(30mm厚)が大きく変形し、簡易補剛リプに過大な山げ応力が発生した。 つまり、緩衝用ゴ 本実験では、鋼床版縦リプと横桁上フランジとの連結部に設置した緩衝用のゴムパット 能である。ただし、検桁の変形が大きくなると鋼床版本体や支持横桁取付け用プラケット などに悪影響を及ぼす可能性があることから、その断面選定には注意を払う必要がある。

究(その2:支持横桁の構造形式に関する実験)、土木学会第44四年次学術講演会、1-226、

pp.504-505、1989.10.

ムパットは構造的な観点からは設置しないほうが良く、騒音問題に配慮する必要から設置 できる限り薄いものを用いることが望ましい。

するとしても、

参照

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