新世紀の行政改革に関する
意見書
平成14年2月
はじめに
本行政改革推進委員会は、平成7年に設置され、前期の行政改革大綱、並びに 行政改革推進計画の策定に関わり、12年度までの5カ年計画において行政改革 の進捗を見守ってきた。
今般、市では、新たな行政改革大綱等を策定すべく検討を進めており、この一 環で行政改革推進委員会も、市民或いは識者としての立場から行政改革のあり方 について審議を進めてきた。その結果として、委員会の議論の大要をまとめたも のが本意見書である。
今回の審議では、限られた時間の中ではあったが、各委員の行政改革への熱心 な取組みによって、市へ提起しておくべき基本的な課題は、網羅できたものと考 えている。
地方分権の時代といわれるなかで、改革の一つの重要なキーワードとして、市 民あるいはNPO等の市民団体との協働ということを挙げたい。“ 市民主体のまち づくり” がこれからの行政改革やさらに は将来ビジョンの策定にあたっての基 本戦略・基本方向となることは間違いないであろう。
このための道筋を考えると、市民・企業と行政との役割分担をどう考えるのか という命題へと思い至る。そして、民間活力をどう行政に生かしていくのか、さ らには行政運営をいかに効率的・効果的に展開していくかなどを、市民と十分に 協議していかなくてはならない。
それとともに大切なことは、これまでの旧態依然とした枠組みからの脱却、既 成概念にとらわれない柔軟な発想によって行政運営を進めていくことであって、 その具体的かつ全庁的な運動が「行政改革」といえよう。
どうか、本意見書の内容も参考として行政改革を断行し、21世紀を担う、次 世代に誇れる浦安のまちづくりへと邁進していただきたい。
平成14年2月21日
Ⅰ.行政改革に関する基本的考え方
(1) 現状認識
本市は、昭和30年代後半からの海面埋め立て事業を皮切りに、その 都心に至近な地の利を活かして住宅地の開発やリゾートエリアの開発に
より、他市には見られないような、人口の増加と発展を続けてきている。
開発地におけるインフラ整備についても、企業庁や都市公団(旧・住 宅都市整備公団)とのタイアップにより非常に順調に進んできた。
また、市勢の発展とともに、税収も比例的に増大してきており、最近 の新聞報道でも、12 年度決算ベースで自主財源比率が全国の市の中で第 1 位になるなど、財政力は強固なものがある。
反面、人口増加に伴う行政需要の高まりに対応していくため、数多く の公共施設の整備や行政サービスの拡充を図ってきたことにより、維持 管理経費や、建て替えのための経費などが、財政を圧迫してきているこ ともまた明白な事実である。
今後、総合計画に描いたまちづくりを進めていくために、浦安市の行 財政運営とその基盤は、健全でありつづけなければならず、そのために は、これまで着実に進めてきた「行政改革」の手綱を決して緩めてはな らない。
(2) 行政改革の方向性について
① 本市の実情から考えて、一般的な行政改革の目的とされる職員数や、
経費の一律削減するなど後ろ向きの改革にのみ走るのではなく、明る
い行革の方向性をもってほしい。もちろん無駄な行政資源を節減する
ことは必要だが、その部分を重点的な施策に振り向ける戦略性を身に
付けてもらいたい。換言すれば経営感覚ということが重要になる。 ② 一方で、経営感覚ということに関して、民間で言えば、収入を得なけ
れば経営が成り立たないという点で根本的な相違がある。 行政は、
その性格上“ 稼ぐ” という感覚がないことから、やはりコストダウン、
効率性を追求する視点も併せ持つ必要がある。
③10年後の人口動態予測に則って考えると浦安は特殊である。少子化 の心配よりむしろ埋め立て地の住宅開発の進捗により、絶対数で見れ ば、子供は増えていくという想定が成り立つ。すなわち、子供施策あ るいは教育施策の充実ということも重要な視点として検討していくべ きである。
④将来的な人口増と市域面積との関係で、さらなる「過密都市化」への対応と いうことも、環境面からのキーワードになるのではないか。たとえば、駅前 の放置自転車問題は、年々深刻化するばかりであり、こうした問題への対応 も不可避と考える。
⑤本市の特徴として、たとえば公共施設が非常によく整備されている ということが言える。これは潤沢な財源に裏打ちされてこそできたも のである。しかし、社会経済情勢をみると、将来的にもそうしたこと が保証されるわけではない。
したがって、どちらかというとこれまでのサービス重視の施策展開か
ら、将来に備えて、財源を最大限有効に活用するために、事業ないし、
⑥本市の場合、一般的な行政改革の必要性という見地からすると、一見 行政改革を断行する根拠に乏しいと思われる。確かに、本市の場合、
多くの自治体で実施している“ 外科療法” ないし“ 治療型” の行政改
革というよりも、“ 予防型” の行政改革といえる。
Ⅱ.重点的取組み分野について
1. 事業の見直し
( 1) 行政評価システムの構築について
ここ数年、行政評価ないし事務事業評価が注目されてきている。これ
は自治体への民間経営手法の導入(NPM=新公共経営)をその背景と
としており、都道府県レベルを中心に導入が進んできているものである。
行政が自らの仕事の成果をきちんと評価し、その結果を次の改革に活
かすとともに、市民へ公開し「説明責任」を果たすこの評価システムは、
従来の行政運営のあり方を改革する一つのきっかけとして期待できる。
本市でも導入を進めているところであるが、その際には以下のような
留意点を踏まえていただきたい。
①評価システムは、何を重点に取り組むのか、また、市民へどのよ うなメリットがあるのか、導入の狙いを市民にも平易に説明して
ほしい。また、評価システムの特徴といわれる“ 指標” について
も、市民にわかりやすいものを考えていただきたい。
②システムの構築にあたっては、行政評価の発祥の地である英米のや
り方をそのまま移植するのではなく、浦安のスタイルに合った形を、
模索すべきである。
③成果指標については、5 年,10年と経過するうちに状況変化によ り、陳腐化する可能性があるため、適宜見直しをされたい。
④行政評価は、自己評価が基本となるしくみであるが、評価結果の客
観性と実効性を確保するうえで第三者の評価・チェックが必要であ
⑤ 行政評価は大変有用な取組みと考えられる。そのしくみのなかで、
目標設定とそれに向けた努力を推進し、結果を評価するということ
は、当たり前のことであるが日常の仕事のなかで、職員のやる気を
高揚させるという点から見ても、とても重要なことである。
( 2) 事務事業の改善推進について
① 現在構築中の事務事業評価システムなどをうまく活用して、事務事
業のやり方が真に適切であるか、あるいは効果的であるかをよく見
極めていくことが大切である。
特に福祉系の分野などで、一律に補助金や物品などを配布して いる事業は、配布対象や配布方法についてよく検証されたい。
② 新たな施設建設、特に小学校や幼稚園の計画があるならば、これら
を複合化した施設も検討の視野に入れてほしい。
特に幼稚園の整備については、これまで市が主体となって進めて いるが、主体を民間に移すこと、私立の幼稚園の誘致も含め柔軟に 検討していただきたい。
1 小学校区1幼稚園という政策は、もはや見直しの時期にきてい
るのではないかと考えられる。
③ 本市の幼稚園は、園によってもバラツキがあるが、押しなべて低
利用部分(余裕教室)が多数発生している。このことから、保育園
などへの転用、或いは統合、廃止も視野に入れた検討をすべきであ
(3)民間活力の活用
① 前述のように、幼稚園については、必ずしも公立にこだわること
ない。人件費コストもよく勘案し、施設整備や運営方法を考えるべ
きである。
② 保育園整備については、規制緩和の流れのなかで民営化を図り、
コストをドラスティックに削減している自治体が出始めている。本
市でも保育園待機児童の増加に鑑みて、効率的にニーズを充足させ
るため、公設民営化や民間の誘致などの手立てを検討されたい。 ③ PFIの手法を活用して公共施設などを整備する事例が徐々に出
てきている。しかし、しくみが確立していないことや、契約方法な ど諸条件のクリアといった事前に調整すべき課題がたくさんあり、
特に、事業に関わるリスクと責任分担のあり方は大きな懸案課題
となる。PFI実施の際は、事前の研究と検討を十二分に行う必要
がある。
④ 公共施設整備の考え方として、行政が「所有する」ということに
固執するのでなく、長期的なコスト計算を考えたうえで、リース方
式により整備する方法も検討する余地があるものと考えられる。
( 4) 財政の健全化
① 地方債残高が嵩んできているが、将来に備え、債務の負担を少しでも軽 くしておくべきである。
② 税収の確保の観点では、先進自治体では新税の導入の動きがある が、こうした動向に注視するとともに、放置自転車税などのように
③ 受益者負担の適正化という視点が大事で、利用者からの適度な負 担を求めることは、経営の健全化の視点からも当然必要な取組みで あるし、市民サービスを追求する一方で、納税者の理解が得られる ような適正な使用料や利用料あるいは手数料額の設定に向けた取組 みを進められたい。
④ 補助金のうち、特に各種団体の補助金についても、よく精査された い。市がそのようなある意味で「負担」をしなくても、十分運営して いける団体もあると思う。効果性と公平性に十分留意したうえで、補 助金の交付を求める。
⑤ 本市の場合、施設の管理・運営などの委託料や、臨時職員の賃金 などの物件費が非常に増大してきている。これらの抑制の手立てに ついても、十分検討してほしい。
[個別意見]
*広報紙への広告の掲載で増収を考えてはいかがか。
東京都では、公共交通機関への広告を実施したりしている。従来
の発想の枠を越えて財源確保の途を探るのも、一つの改革の手法
2.職員の能力向上について
① 本市にはさまざまな企業が進出してきている。地元企業の業務 遂行ノウハウを参考にできる絶好の環境下にあることから、こう した企業をどんどん活用すべきである。
② 企業も行政も組織は人が動かしている。行政改革の成否もひと
えに行政を担う人づくり、職員の意識のあり方が非常に重要であ る。職員を誉めるシステムも、やる気や士気を高めることににつ ながることから、自分の仕事の成果が適切に評価されるしくみの
検討を求める。
3.職員数の適正化と給与の適正化について
公務員は人事制度的に恵まれている。民間企業のような厳しいリ
ストラはない。そこで、人員の適正化と適正な配置が重要になる。
4.組織・機構の見直し
①関係団体(外郭団体)の給与も、単純に市に準ずるのではなく、 民間の給与状況もよく念頭において考えていくべきである。市職
員の給与はもとより、外郭団体のプロパー職員の給与についても、
その適正化についての指導・監督を求める。
② 柔軟な組織体制、意思決定の迅速な組織・機構の構築は、行政改
革の課題としても今日強く求められているものである。そのための
しくみづくりを進めてほしい。
その際には、現場サイドへのある程度の権限委譲も併せて考えて
いく必要がある。
5.ITを軸とした情報化の推進
①ITによる情報化推進は、私達に大きな利便性をもたらすと期待 されるが、その一方で、個人情報の保護などの点から、セキュリ ティの確保に関して十分対応されたい。
6.情報の提供・公開、市民参加から協働へ
①近年インターネットを活用し、市民からの意見を電子メールで求 めたりすることが増えているが、提起された意見に即応する体制 づくりと、意見の政策への反映が重要となる。この観点から広聴 体制の充実強化を求めるとともに、ニーズとサービスのミスマッ チが行政に起こらないよう、戦略的な事業立案と実施ができるよ うなしくみと能力を高めてもらいたい。
②住民ニーズは非常に多様化してきているから、自治体だけでは対応
しきれなくなっている。そこで、住民の力を大いに借りる必要があ
る。ボランティアやNPO等とのネットワークの構成を進めること
と、やってもらうでも、やってあげるでもなく、“ いっしょに共同
してやる” という意識が大切である。この意識醸成を進めること。
③市民と行政が協働していくうえで、行政はもとより、市民側の意識
改革も不可欠である。すなわち、これまで行政が行ってきた事業の
うち、本来市民自身がやるべきもの、或いは市民(利用者)が一定
の負担をすべきものについては、行政の守備範囲・役割分担を明確
にしていくという意識付けを抜きにしては語れない。
また、効果性の低いサービスに関して、思い切った廃止や削減な
どを行おうとする場合、市民に理解と納得をしてもらわないと改革
は進まないと思われる。
こうしたことの重要性を、行政は広く市民へ発信しつづけて理解
翻って、行政改革について言えば、 「まちづくりが市民との協働作品ならば、 行政改革の推進は、市民との協働作戦
....
である。」 ということができる。
こうした意識をもって、引き続き行政改革を積極的に進めて いただきたい。
[個別意見]
*広報紙については、最もポピュラーな行政情報源であるにもかかわら ず、あまり読まれていないような気がする。よく見てもらえるように するために、見出しに興味を持たせるよう工夫するとともに、できる だけ、平易かつ具体的な書き方についてもっと留意してほしい。 *違法駐輪問題は、ハード面(駐輪場のキャパシティ等)の充実度も大
【資料1】
行政改革推進委員会検討経緯(平成13年度)
日 時 内 容 13年12月14日
14:00∼16:00
文化会館中会議室
*行政改革に関する中間報告書に基づき 市の行政改革に関する考え方について
審議①
14年1月18日
10:00∼12:00
中央図書館視聴覚室
*行政改革に関する考え方について 審議②
(行政改革の考え方・視点 ・重点事項1∼3)
14年1月30日
14:00∼16:00
議会棟・第2会議室
*市の行政改革に関する考え方について 審議③ (重点事項4∼6)
及び意見書のとりまとめについて
14年2月15日
13:00∼15:00
議会棟・第2会議室 (予 定)
【資料2】
浦安市行政改革推進委員会設置要綱
(設置)
第 1 条 社会経済情勢の変化に対応した簡素で効率的な市政の実現を推進する ため、浦安市行政改革推進委員会(以下「委員会」という。)を設置する。 (所掌事務)
第2条 委員会は、市長の諮問機関として、行政改革大綱の策定及び策定後の効 果的な運用を推進するため、必要な事項について協議を行い、市長に意見を具申 するものとする。
(組織)
第3条 委員会は、委員12人以内をもって組織する。 (委員)
第4条 委員は、市政について優れた見識を有する者のうちから市長が委嘱する。 (委員の任期)
第5条 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合の補欠委員の任 期は、前任者の残任期間とする。
2 委員の再任は、妨げない。 (会長及び副会長)
第6条 委員会に会長及び副会長を置く。
2 会長及び副会長は、委員の互選により定める。 3 会長は、会務を総理し、委員会を代表する。
(会議)
第7条 会長は、委員会の会議を招集し、その議長となる。
2 委員会は、委員の過半数の出席がなければ、議事を開くことができない。 3 委員会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは議長の決すると
ころによる。 (庶務)
第8条 委員会の庶務は、総務部総務課において処理する。 (委任)
第9条 この要綱に定めるもののほか、委員会に関し必要な事項は、会長が別 に定める。
附 則
この要綱は、平成 7年9月1日から施行する。 附 則
【資料3】 浦安市行政改革推進委員会 委員一覧
区 分 出身母体/役職 氏 名
学識経験者 明海大学経済学部 教授 兼 村 高 文
〃 船橋市行政相談員・元船橋市職員 内 田 守
〃 明治大学政経学部 助教授 星 野 泉
各種団体の代表 自治会連合会 岡 崎 和 夫
〃 婦人の会連合会 会長 大 塚 満 子
〃 消費生活モニター 川 口 光 子
〃 民生委員児童委員協議会 副会長 並 木 久 恵
〃 社会教育委員・監査委員 醍 醐 敦
〃 商工会議所 参与 小 宮 静 夫
〃 青年会議所 副理事長 西 野 賀 昭
〃 浦安鐵鋼団地協同組合 副理事長 竹 内 恒 雄
〃 老人クラブ連合会 会長 森 清 一
以上12名
・会 長 兼村氏 ・副 会 長 並木氏
・任 期 2年