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Prevention of Lethal Acute Hepatic Failureby Antimacrophage Migration Inhibitory Factor Antibody in Mice Treated withBacille Calmette-Guerin and Lipopolysaccharide

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 小 林 清 二

   Prevention of Lethal Acute Hepatic Failure by Antimacrophage Migration Inhibitory Factor        Antibody in Mice Treated with Bacille Calmette‑Guerin and Lipopolysaccharide

(マウスのBCG‑LPS 急性肝不全モデルにおける抗MIF 抗体の効果)

学位論文内容の要旨

1.研究背景と目的

    劇 症肝炎は 重篤な 疾患であ るがそ の詳細な メカニズ ムにはいまだ不明な点もある。

  BCG、LPSに よ るマ ウ ス の劇 症 肝 炎モ デ ル には 炎 症 性 サイ ト カ イン(TNFa)、接着 分   子 (ICAM‑1)、Tリン バ球など が関与 している 。MIFは活性化Tリン バ球か ら分泌され   マ クロ フ ア ージ の 遊 走を抑制 する因 子として 発見さ れた。近 年MIFがTリ ンバ球以 外   の 様々な細胞、組織で発現され多様な機能を有することが報告されている。敗血症の際   に は、下垂体前葉から放出され敗血症を増悪させ、糖質コルチコイドに拮抗して免疫細   胞 の活性化やサイトカインの生産を抑制する。サイトカインネットワークにおいて炎症   性 サイ ト カ イン はMIFの産生 を増大 させ、逆 にMIFは炎症性 サイトカ インの 産生を誘   導 する 。 わ れわ れ の 研究 室 で はラ ッ トMIFのcDNAをクロー ニングしMIF mRNAが脳、

  腎 、肝など 様々な 臓器で発 現してい ること を証明し てきた 。さらに 抗MIF抗体がエン   ド トキ シ ン によ る 肺 障害、人 のARDSに対 して有効 である ことを示 してき た。本実 験   では同劇症肝炎モデルにおけるMIFの機能について検討した。

2.方法と結果

    ICRマ ウ ス(6‑7週 齢 ) にBCGlmgを 静 注し 、 さ らに7日 後にLPSlOvgを 静 注 し た。

  対 照 群 で はnonimmune rabbit IgGを0.3mg/mouse、 治 療 群 で は 抗MIF抗 体 を   0,3mg/mouse各 々LPS投 与2‑3時 間 前 に 腹 腔 内 投 与 し た 。 抗MIF抗 体 は ウ サ ギ に   recombinant rat MIF.を免疫して、血清のlgG分画を抽出したボリクローナル抗体で北   海 道大 学 医 学部 中 央 研究 部 で 作製 し た 。対 照 群 ではLPS静注後48時間以 内に11匹中   8匹が死亡した(生存率27%)が治療群では、10匹中9匹生存した(生存率90%)(Pく0.01)。

  LPS静 注6時 間 後 に犠 死 さ せ血 清ALT/ASTを 測 定 する と 、 血清ALT/ASTは 対 照群 では   著明に上昇していたが治療群では有意に改善された(Pく0.01)。BCG静注単独またはLPS   静 注単独で はALT/A、STの上昇は軽度であった。対照群でLPSを静注後、定時的に犠死   さ せ血 清MIF、 肝MIFを 各々ELlSA法 にて 測 定 し た。 肝MIFは 肝 組織 を ホ モジ ェナイ   ズ した 後 遠 心し た 上 清を 用 い て測 定 し た。 血 清MlFはLPS静 注30分 後 から 有 意に増   加し(Pく0.01)、1時間後に最高値となった。その後減少して6時間後には元の値に戻つ   た 。そ れ に 対し て 肝MlFはLPS静 注30分 後か ら 減 少 し24時 間後 に 元 の値 に 戻っ た。

  Nonhemblot解 析 で は 肝MIFmRNAは BCG静 注7日 後 に 増 加 し 、LPS静 注3時 間 後   さ らに増加した。対照群では血清TNFaはLPS静注1時間後に有意に増加し(Pく0.01)、

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  3時 間 後 に は 元 の 値 に 戻 っ た 。 治 療 群 で は 血 清TNFaの 増 加 が 有 意 に 抑 制さ れ た   (Pく0.01) 。組織学的にはBCG静注7日後、肝において単核細胞の浸潤を認めた。対照   群で はLPS静注24時間 後、広 範な肝細 胞壊死を 認めた 。治療群 では肝 細胞壊死は有意   に抑制された(Pく0.01)。免疫組織染色ではBCG静注によって誘導された単核細胞の浸   潤は 主とし てKupffer細 胞、マ クロファ ージであったが少数ながらTリンバ球も存在し   た。Kupffer細 胞、マク ロファ ージは対 照群、治療群ともにLPS静注による有意な増減   は無かった。Tリンバ球は対照群ではLPS静注によって有意に増加した(Pく0.01)。治療   群 で は こ の Tリ ン ノ く 球 の 浸 潤 は 有 意 に 抑 制 さ れ た (Pく 0.01) 。 3.考察

    本 実 験で はBCG‑LPSに よ る 致死 的 肝 障害 が 抗MIF抗 体に よ っ て改善 される ことが   証明 さ れ た。 こ のBCG‑LPS肝 障 害モ デ ル では ま ずBCGに よっ て 単核 細胞の 肝への浸   潤が 起こり 、その後のLPS投与によってその単核細胞が活性化されて致死的な肝障害を   ひき 起こす とされている。活性化された単核細胞から炎症性サイトカイン(TNFaなど)

  が放出されること、Tリンバ球が活性化されることが肝障害を惹起すると言われている。

  糖質コルチコイドには免疫細胞の活性化やサイトカインの産生を抑制する作用があるが、

  MIFにはこ れに拮抗 する作用 がある ことが近年報告された。これらの事実からBCG‑LPS   肝障 害モデ ルにおいては、MIFが肝に浸潤した単核細胞を活性化して炎症性サイトカイ   ンを 産生さ せ、またTリンバ球を活性化して肝障害をひき起こすという仮説をたてた。

  BCG‑LPSに よっ て 肝 にお け るMIFのmRNAの 産生 が 増 加す る が 、免 疫染 色の結果 から   この 増加は 主にKupffer細胞、 マクロフ ァージに由来すると推測された。血清MIFは肝   mRNAより も早 く増加 するが、 それはLPSの刺 激によっ てまず 肝に貯蔵 されて いたMIF   が血清中に放出され、その後肝でのMIFの産生が始まるからと考えられた。LPS投与後、

  まず 血 清MIFの増 加が起 こりその 後血清TNFabs増加し た。さら に抗MIF抗体に よって   血清TNFaの 増 加が 抑 制 され た こ と から 、MIFが 血清TNFaの 増加をひ き起こ すことが   考え られた 。さらに 免疫染色 の結果 からMIFがTリンバ球の肝への浸潤をもたらすと示   唆さ れた。MIFに関しては様々な炎症性疾患においてその生物学的機能が研究され報告   され ている 。敗血症の際には下垂体前葉から放出され重要な役割を果たす。大量のLPS   投与 による 敗血症の 実験モデ ルでは 、MIFを投与すると生存率が悪化するが抗MIF抗体   を投 与する と劇的に 改善する 。ARDS(成 人呼吸 窮迫症候 群)では 肺胞洗浄液中のMIF   が増 加する が肺胞マクロファージ由来と考えられている。抗MIF抗体によってこの肺胞   マク ロ フ アー ジ に よる 炎 症 性サ イ ト カイン(TNFaなど )の産 生が抑制 される 。ARDS   の実 験モデ ルにおいても抗MIF抗体によってその病態が改善されるがこの際も炎症性サ   イト カイン の産生は 抑制され る。BCG‑LPS肝障 害モデル では単核 細胞の浸潤が主であ   った が、ARDSの 実験モデ ルでは 肺胞への 細胞浸潤は好中球が主である。したがって浸   潤す る細胞 の種類にかかわらずMIFは炎症に対する作用を及ぽし得るといえる。免疫学   的機 序によ る腎炎モデルにおいても抗MIF抗体によってその病態が改善される。敗血症   のモ デルよ うな全身的な炎症でも肝障害、腎炎モデルのような局所的な炎症でも抗MIF   抗体が有効といえる。

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学位論文審査の要旨

   Prevention of Lethal Acute Hepatic Failure by Antimacrophage Migration Inhibitory Factor        Antibody in Mice Treated with Bacille Calmette‑Guerin and Lipopolysaccharide

(マウスの BCG‑LPS 急性肝不全モデルにおける抗MIF 抗体の効果)

  MIFは元来活性 化Tリンバ球から分泌され、 マク口ファージの遊走を抑制する因子と して 発見 され た。 近年MIFがTリンバ球以外の様々な細胞、組織で発現され、糖質コ ルチコイドの抗炎症作用に拮抗して、炎症性サイ卜カインの産生を促進しTリンバ球を 活性 化す るこ とが 報告され た。申請者はBCG、LPSによるマウスの劇症肝炎モデルに お け るMIFの 関 与 に つい て検 討し た。 このBCG‑LPS肝 障害 モデ ルで はま ずBCGによ って単核細胞の肝への浸潤が起こり、その後 のLPS投与によってその単核 細胞が活性 化されて致死的な肝障害をひき起こすとされている。活性化された単核細胞から炎症性 サイ 卜カ イン(TNFaなど)が放出されることやTリンパ球が活性化されることが肝障 害を 惹起 する とい われ てい る。 実 験で はICRマ ウス(6‑7週齢)にBCGlmgを静注し、

さ ら に7日 後 にLPSlOVgを 静 注 し た 。LPS静 注 後48時 間以 内に11匹 中8匹 が死 亡し た(生存率27%)。組織学的には単核細胞の浸潤を伴う広範な肝細胞壊死を認め、免疫 組織染色の結果からこの単核細胞の浸潤は主としてKupffer細胞、マク口ファージであ り、 少数 なが らTリ ンバ 球も 存在 した 。血 清ALT/AST、 血清TNFaも増加した。抗MIF 抗体を0.3mg/mouse腹腔内投与すると10匹中9匹生存し(生存率90%)、肝細胞壊死 血清ALT/ASTの 増カ 口も 抑制 され た。 抗MIF抗体により 血清TNFaの増加とTリンバ球 の浸 潤も 抑制 され た。これ らの結果から抗MIF抗体は炎 症性サイ卜カインの産生とT     ―459ー

雄 省

輝  

  紘

橋 堂

石 藤

授 授

教 教

査 査

主 副

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リン バ球 の浸 潤を抑制することによ ってBCG‑LPSによる致死的肝 障害を抑制すること が示唆された。

    審査 にあ たって加藤教授からLPSを大量投与した場合との相 違、他臓器の変化、

抗MIF抗体 を投 与す る時 期、 実験 モデ ルと ヒトの劇症肝炎との組織上の違い、MIFと TNFaと の 関 連 につ いて の質 問が あっ た。 申請 者はMIFに 関す る文 献、BCG‑LPS肝 障 害モ デル につ いての文献、申請者自 身の実験データを用いて、LPSを大量投与した場 合で も抗MIF抗 体が有効であること、他臓器では肺、脾臓などに 軽度な変化があるこ と、抗体を投与する時期を遅くした場合抗体の肝障害抑制効果が落ちる可能性があるこ と 、 モ デ ル で はヒ トと 比べ て壊 死面 積が 少な いこ と、MIFがTNFaの上 流に ありMIF によってTNFaが誘導されたと思われること を回答した。次いで藤堂教授からポリクロ ーナル抗体使用の妥当性、MIF自体が肝障害を起こすのかどうか、他の劇症肝炎モデル を使 った 場合 につ いて の質 問 があ った 。申請者はMIFに関する文献、BCG‑LPS肝障害 モデルについての文献、申請者自身の実験データを用いて、モノク口ーナル抗体は入手 困難 であ るこ と、LPSの 存在 下でMIFが 肝障害を起こすこと、D‑GalactosamineとLPS を用 いる 劇症 肝炎モデルでも抗MIF抗体が有効であることを回答 した。最後に石橋教 授 か らMIFとTNFaのど ちら が先 に増 加す る のか 、単 球にMIFのレ セプ タ ーが 存在 す るの かど うか につ いて の質 問 があ った 。申請者はMIFに関する文献、BCG‑LPS肝障害 モデ ルに つい ての文献、申請者自身 の実験データを用いて、MIFの方がTNFaよりも早 期に増加すること、MIFのレセプターはまだ発見されていないが他の実験結果から恐ら く単球上に存在することを回答した。

この論文は肝臓の炎症、障害とMIFについての初めての報告で高く評価され、今後研究 が進み抗MIF抗 体が劇症肝炎を抑制する可能性が期待される。

審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単位なども 併せ申請者が博士(医学)の学位を受ける のに充分な資格を有するものと判定した。

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