コミュニティ・スクールの事例研究
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(2) 北海道教育人学紀要(人文科学・社会科学編)第56巻 第1弓 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(HumanitiesandSocialSciences)Vol.56,No.1. 平成17年8月 August,2005. コミュニティ・スクールの事例研究 大 津 和 子. 北海道教育人学札幌校国際協力研究室. CaseStudiesofCommunitySchooIs OTSU Kazuko. DepartmentofGlobalEducation,SapporoCampusHokkaidoUniversityofEducation. 概 要. EducationforAllを達成するために,ザンビアではコミュニティ・スクールが人きな役割を果たしてい る。一般的にコミュニティ・スクールの教員は教員資格をもたないが,なかには,教員研修の機会を得て教 育への意欲が高く,学習者中心の指導法やライフスキルを重視して,公立学校よりも質の高い教育を行って いるコミュニティ・スクールもある.. はじめに. 1990年にタイのジョムティエンで開催された 「EducationforAll」世界会議を受けて,ザンビ. 本稿では,ザンビアにおける基礎教育の現状を 概観したのち,1999年,2002年,2003年,2004年 に筆者が実施した現地調査,および現地で入手し たデータや報告書などにもとづい. て,コミュニ. ア政府は翌年,2000年までに基礎教育を完全に普. ティ・スクールの現状を分析し,その意義および. 及し,成人の非識字率を半減させるとともに,家. 成果を明らかにする.さらに,現在直面している. 庭とコミュニティに焦点をあてた早期幼児教育を. 諸課題を検討するとともに,今後のあるべき方向. 拡充するという目標を掲げた.が,2000年の時点. を探る.. でこれらの目標は達成されず,2002年,ザンビア 政府は基礎教育のうち7年間を無償とすることを 決定し,2015年までにすべての子どもが基礎教育 を修了するという目標を新たに設定した.. こうした目標を達成するためには,フォーマル. 1 基礎教育の現状 ザンビアにおける基礎教育(1−9学年)の総 就学率は2003年時点で,男子82.59%,女子. 教育だけではなく,ノンフォーマル教育をも含め. 76.13%,全体79.36%,純就学率はそれぞれ. て教育へのアクセスと質を高めることが必要であ. 73.71%,70.61%,72.16%である.2001年と比. る.ザンビアにおいては,とりわけコミュニティ・. 較すると,総就学率は男女ともに約8%,純就学. スクールの果たす役割が大きい(Mumba,2002).. 率は約6%上昇したが,まだ学齢期の約4分の1.
(3) 人 津 和. /. の子どもが未就学で,男女格差はほとんど縮′卜し. るという目標の達成には,なお多くの困難をとも. ていない(表1).. なっている.基礎教育のうち7年間の授業料は無. 1学年から7学年まで継続して在籍した生徒の. 償となったが,制服,教科書,ノートなどを購入. 割合は,2001年と比べると全体的に5−6%上昇. する直接的費用だけではなく,もし子どもが学校. しているが,2003年時点で男子73.90%,女子. に行かなければ,′ト銭を稼いだり(とくに男子),. 61.06%と男女格差はかなり大きい.1学年から. 家事や家族の世話をして(とくに女子)家計を助. 9学年までの在籍率は約5%の男女格差が見られ. け得るという機会費用も,保護者の大きな負担に. るが,男女ともに低い.就学率の低い女子の在籍. なっている.そこで,直接的費用も機会費用も含. 率が低いことは,女子の教育の機会がさらに縮′ト. め,保護者にとってコストの低い教育として,コ. されていることを意味する.進級率は,男女とも. ミュニティを基盤とするノンフォーマル教育の一. に高学年になるほど低くなり,7学年の進級率は. つであるコミュニティ・スクールが創設された.. 男女ともに約82%であるが,9学年の進級率は男 子の83.30%に対して,女子は80.38%とやや低い.. 2 コミュニティ・スクールの概要. 留級率については,2003年は2001年と大差なく,. 初等教育最終学年の7学年で男子14.48%,女子. コミュニティ・スクールとは,正規の学校に. 11.98%,基礎教育最終学年9学年でそれぞれ. 通っていない子どもたちに基礎教育を提供するた. 12.66%,12.85%と,他の学年に比べて高くなっ. めに,コミュニティやNGOなどによって運営さ. ている.退学率は男女ともに高学年になるほど高. れるノンフォーマルな学校である.コミュニ. くなり,4学年から女子の方が高くなっている(長. ティ・スクールの学費は無料あるいは低額で,制. 期欠席者が含まれている場合もあるので実際はさ. 服や靴も不要で,宗教的な制約もない.社会的経. らに高いと考えられる).. 済的な理由によって就学していない子どもたちに. 成績に関しては,SAQMECの結果によると,. とって,コミュニティ・スクールは基礎教育への. 6学年の読解力は全般的に低く,高い習熟レベル. アクセスをより可能にするものである(現状では. に達した生徒は,わずかに2.4%(男子2.5%,女. すべての子どもに機会が保障されているわけでは. 子2.2%),最低限の習熟レベルに達した生徒は,. ないが).コミュニティ・スクールは,「恵まれな. わずかに25.8%(男子28.0%,女子23.1%)であっ. い子どもたちに希望と幸福を与え,そのコミュニ. た(MoE,2000).. ティに未来への光を与える」(ZCSS,1996)もの. 以上,基礎教育の現状について概観してきた.. として各地で拡大されつつある.. 世界の最貧国の一つといわれるザンビアにとっ. ザンビアで最初のコミュニティ・スクールは,. て,主要輸出品である銅の国際価格の低迷,1980. アメリカ人女性Dr.JaniceStevensの資金提供に. 年代以降の構造調整政策,および1990年代以降の. より,50名の女子を対象として1992年にはじめら. HIV/AIDS感染拡大といった厳しい条件のもと. れたオープン・コミュニティ・スクールであると. で,質の高い教育をすべての子どもたちに提供す. いわれる(ZOCS,2003).やがて,ルサカ(Lusaka). 表1 基礎教育の就学率(2001年,2003年) 総就学率(%) 男 子. 女 子. 純就学率(%) 全 体. 男 子. 女 子. 全 体. 2001年. 74.36. 68.27. 71.31. 67.59. 63.90. 65.74. 2003年. 82.59. 76.13. 79.36. 73.71. 70.61. 72.16 (MoE,2003).
(4) コミュニティ・スクールの事例研究. に次々とコミュニティ・スクールがつくられた. コミュニティ・スクールと一口にいっても,実. が,相互の連携はほとんど見られなかった.1995. 際には非常に多様である.都市部では,教会や. 年にオープン・コミュニティ・スクールの連合体. NGOによって創設されたコミュニティ・スクー. (ZambiaOpenCommunitySchool:ZOCS)が. ルが多く,たいていは無料であるが,学費を徴収. 形成された.翌1996年になると,政府はEdtiCa−. する学校もある.とくに,農村部からの人口流入. tionforAllの実現をめざして,新しい教育政策. が激しいルサカでは,学校数が絶対的に不足して. (EducatingOurFuture)を打ち出し,フォー. おり,さらに,HIV/AIDS感染率の上昇にとも. マルな学校だけではなく,コミュニティ・スクー. なう孤児の増加,およびストリート・チルドレン. ルに対する支援をもはじめた(MoE,1996).. の増加があいまって,コミュニティ・スクールヘ. そして同年,ユニセフの支援を得て,ザンビア・. のニーズが高まっている.. コミュニティ・スクール事務局(ZambiaCom−. 農村部では,地域に学校がなかったり,あるい. munitySchooISecretariat:ZCSS)を設立し,ザ. は,あまりにも学校が遠いため,地域の親たちが. ンビアのすべてのコミュニティ・スクールを傘下. 中心となって自主的につくられたコミュニティ・. に擁するようになった.. スクールが多い.教会などから支援を受けている. ZOCSおよび教育省のほか,ザンビア大学教育. コミュニティ・スクールもあるが,どこからも支. 学部,NGOなどとの協力も推進してきた. 援を受けることのできないコミュニティ・スクー. (ZCSS,1997).. ルもあり,そうしたところは,教員の派遣や教材. ZCSSは,「脆弱な立場にある子どもたちをエ. の供与を教育省に要請してきた.. ンパワーし,彼らの権利を守るために,コミュニ. 2001年時点で,基礎教育にかかわる学校は全体. ティがコミュニティ・スクールを立ち上げ運営に. で5,677校で,初等学校に就学している子どもの. 参加できるように,彼らを物質的に支援するとと. 数は,約1,625,000名である.コミュニティ・ス. もに,地域の人々に対する働きかけやコーディ. クールは同年には1,149校あり,初等学校の20%. ネーターの役割を果たす」(ZCSS,1996)ことを. を占める.また,コミュニティ・スクールに登録. その使命とし,具体的には,コミュニティ・スクー. している子どもは,149,784名(男子75,596名,. ルに関する情報の提供,コミュニティにおけるア. 女子74,188名)で,就学している子どもの約8.5%. ドポカシー,教育基準の監督,教員のトレーニン. を占める(MoE,2003b).. グやカリキュラム開発などの教育サービスの提供. コミュニティ・スクールは1996年以降急増し,. を行う.コミュニティ・スクールの教員は通常12. ZCSSの資料(ZCSS,2004)によると,2004年6. 学年(9学年の場合もある)を修了し,ユニセフ. 月の時点でコミュニティ・スクールの総数は1908. の支援で開発されたシラバス/ガイドブック. 校である.なお,2003年より教育省の調査統計資. 「Skills,Participation,andRelevantKnowledge. 料EDAssist(表2)にコミュニティ・スクール. (SPARK)」(UNICEF,1997)の指導方法のトレー. の数値も記載されることになったが,それによる. ニングを受けることになっている.. と,2003年にはコミュニティ・スクールが867校,. 表2 コミュニティ・スクール登録数の推移 1996年. 1997年. 1998年. 1999年. 2000年. 2001年. 2003年. 男子. 3,051. 8,002. 13,497. 23,232. 22,305. 75,596. 88,683. 女子. 3,548. 11,048. 15,125. 24,044. 21,443. 74,188. 87,101. 計. 6,599. 19,050. 28,622. 47,276. 43,748. 149,784. 175,784. (MoE,2003a&MoE,2003b).
(5) 人 津 和. /. 登録数が175,784名(男子88,683名,女子87,101名). は「病気」で,男子より女子の方がやや多い.「結. で,就学している子ども2,558,897名の6.87%に. 婚」「妊娠」については,女子が非常に多い(表4).. コミュニティ・スクールでは,正規の学校に行. あたる.. コミュニティ・スクールの登録者には,中途退. くことができない子どもたち,とくに孤児や女子. 学者と未就学者が含まれる.前者は,保護者が授. に教育の機会を提供することをめざしているが,. 業料やその他の費用(PTA会費,制服,靴など). 実際には,男子より女子のほうが登録者が少ない.. を支払うことができなくなって,途中で学校をや. その理由としては,厳しい家計のなかで男子を優. めた子どもたちであり,後者は,学校に行く機会. 先して就学させる保護者の傾向や,家族の世話や. がないまま就学年齢をすでに過ぎてしまった子ど. 家事の役割を担っている女子を就学させる機会費. もたちである.とくに,エイズで親を亡くした子. 用の大きさが考えられる(大津,1999).が,さ. どもや,幼時からもっぱら家事や家族の世話に従. らに,就学していない女子は家のなかで過ごすこ. 事している女子にとって,コミュニティ・スクー. とが多いのに対して,就学していない男子は地域. ルは教育を受けることのできる貴重な機会となっ. の人々の目に触れやすく,なかには問題行動を起. ている.. こす男子もいて,コミュニティ・スクールに登録. 進級率を見ると,基礎学校の7学年では男女と. するように勧誘を受けやすいという事情も考えら. も約82%であるが,コミュニティ・スクールでは,. れる(大津,2003a).. レベル4の男子77.31%,女子75.05%とやや低い.. 女子の教育を推進するために,ザンビアでは. 留級率は,基礎学校に比較して,コミュニティ・. 1996年以降ProgrammefortheAdvancementof. スクールの方がやや高く,退学率はかなり高い(表. Girls’Education(PAGE)を展開しており(大津,. 3).(コミュニティ・スクールのレベル1,2,. 2003b),PAGE指定校では出産後の女子の復学. 3,4はそれぞれ初等教育の1−2,3−4,5. を認めている(実際は同じ学校に復学するのでは. −6,7学年に該当する.). なく,出産後に転校する場合が多い).コミュニ. ティ・スクールにおいても,PAGE指定校と同. 退学の理由としては,男女ともに「経済的理由」 が最も多い.経済的困窮化をもたらす「親の死亡」. 様に出産後の女子の復学を奨励している.. も合わせると,60%以上を占める.次に多い理由. 表3 退学率推計(2003年) Levell. Leve12. Leve13. Levell−4. 男 子(%). 6.53. 7.75. 8.40. 9.06. 女 子(%). 6.63. 9.23. 11.31. 13.56. 全 体(%). 6.58. 8.48. 9.78. 11.19 (MoE,2003b). 表4 退学の理由(2003年) 経済的. 放校処分. 病 気. 結 婚. 親の死亡. 妊 娠. その他. 男 子. 2.394. 55. 707. 152. 1,601. 26. 1,545. 女 子. 2,412. 35. 804. 620. 1,755. 190. 1,468. 全 体. 4,806. 90. 1,511. 772. 3,356. 216. 3,013 (MoE,2003b).
(6) コミュニティ・スクールの事例研究. コミュニティ・スクールの課題. 従来,植民地時代の遺産として,7学年,9学 年試験に合格するために必要なアカデミックな知. ZCSSコーディネーターヘのインタビューによ. 識の伝達を重視して,(実際には上級学校に進学. ると,ZCSSにとっての主要な課題は,傘下のコ. する生徒はきわめて少数であるにもかかわらず). ミュニティ・スクールの教育の質を高めること,. 職業教育を劣位とみなす伝統的な教育観が強かっ. そのための教員研修を充実させるとともに,教員. た.現に,教育省の「StrategicPlan2003r2007」. の給与を確保すること,教室や教材などを十分に 確保すること,職業教育を実施すること,エイズ. 教育を充実させること,児童虐待などから子ども. (MoE,2003a)では,フォーマル教育に重点が 置かれ,職業教育については優先順位が低い. 近年,基礎教育,少なくとも初等教育の段階で. を守ること,である.これらの課題を解決するた. は,基礎的な読み書き計算や,保健衛生などに関. めに,ZCSSとしては,経済的にも人的にも限ら. するライフスキルを身に付けるべきであるという. れた資源のもとで,ZCSSの組織をより機能的な. 新しい考えが,ユニセフや教育省から提唱されて. ものにし,とりわけ,コミュニティの実質的な参. きた.こうした子ども中心の考え方をさらにすす. 加を促進していかなければならないということで. めて,7学年や9学年を修了した子どもたちに. あった.. とって,収入の助けになるような職業教育プログ. 個々のコミュニティ・スクールの運営は,地域 のリーダー. ,保護者,コミュニティ・スクールの. 教員からなるコミュニティ・スクール運営委員会 (ParentCommunitySchooICommittee:PCSC). ラムの必要性が指摘されているのである.. しかし,職業教育プログラムを実施するために は,例えば,縫製のためのミシン,金属加工や木 材加工のための溶接機や裁断機などを準備するだ. によって行なわれ,委員会は毎日の学校運営,子. けではなく,そうした技術の指導者を配置しなけ. どもの登録,学校設備の維持管理に責任を負うこ. ればならない.それらのための資金を確保するこ. とになっているが,とりわけ,コミュニティ・ス. とができれば,職業教育プログラムでつくられた. クールの教員の果たすべき役割は大きい.. 作品を売ることにより,新たな材料費にあてるこ. コミュニティ・スクールの教員はほとんどが12. 学年を修了しただけ(なかには7学年,9学年修 了者もいる)で教員の資格を有していない.コミュ ニティ. ・スクール教員の主な研修は,教育省,ユ. ニセフその他のドナーからの支援を受けて,教員. とができるとともに,生徒たちにとっても自信が つき,教育効果を期待できる.. 以上の諸課題の具体的な状況については,個々 のコミュニティ・スクールの事例研究の節で詳述 する.. 養成大学(TeachersCollege)で公立学校の教員 とともに実施されているが,実際に受講できるコ ミュニティ・スクール教員の数は非常に限られて いる.. ノン・フォーマル教育における職業教育に関し ては,ザンビアに限らず,他のサブサハラ諸国で. 3 コミュニティ・スクールの事例研究 (1)コミュニティ・スクールA. 首都ルサカから約120kmに位置するマザブカ (Mazabuka)には39のコミュニティ・スクール. も議論になっている(大津,2003a).経済的な理. があり,このコミュニティ・スクールは,マザブ. 由から子どもを正規の学校に行かせることのでき. カの町から帝で1時間ほどの距離にある.1996年. ない保護者にとって,そして上級学校まで進学さ. に地域の親たちによってつくられた.村にはそれ. せることのできない保護者にとって,できるだけ. まで学校がまったくなく,最も近い基礎学校まで. 早い時点で子どもが職業的な技術を習得して収入. 8kmの距離がある.村の人口は約3000人で,ほと. を得るようになることは,悲願である.. んど唯一の生業は,男性が川で穫った魚を女性が.
(7) 人 津 和. /. 売ることで,それ以外の仕事はほとんどなく,仕. 英語,算数を教えている.このコミュニティ・ス. 事に就いていない人がかなりいる.7学年(ここ. クールの教師たちは教員資格をもたず,また,使. ではレベルではなく学年でクラスを分けている). 用できる教材も非常に限られているので,ラジオ. を修了した子どもたちも多くが村に留まるが,漁. 番組の活用は一定の成果をあげていると思われ. 業以外に仕事はないという.村にはポンプが一つ. る.番組には,英語の歌や発音の繰り返し練習,. と,使えない井戸がいくつかあるだけなので,川. 算数の練習問題などに関する指導が組み込まれて. の水を飲用に使っている人が多い.村には診療所. いる.. もなく,マザブカの町まで行かなければならない.. コミュニティ・スクールに登録している子ども. そのためもあり,5歳末満児の死亡率が非常に高. たちの約半数が孤児である.この村でもエイズは. いという.. 深刻な問題となっている.村内の異性間性行為の. このコミュニティ・スクールには男子155名,. ほか,近くにあるさとうきびプランテーションに. 女子138名,計293名が登録しているが,村にはコ. 働きにやってくる出稼ぎ労働者や,長距離トラッ. ミュニティ・スクールにも登録していない子ども. クの運転手を相手に,夫を亡くして収入のない女. たちがほぼ同数いる.教室もトイレもなく,子ど. 性が売春を行なって感染する場合もあるという.. もたちはすべて樹の下で地面に座って授業を受け. 低学年に女子の登録者が少ないのは,全般的な貧. ている.教科書,ノート,ペンは教育省から配布. 困(1日1食の子どもが多いという),女子が家. されるが,教科書は3人に1冊の割合でしか届か. 事や弟妹の世話をしなければならない(とくに孤. ないという.雨期になると授業ができないため,. 児の場合),という理由に加えて,エイズを発病. 教会の牧師が設計図を描き,親たちが焼いたレン. した親の看病がさらに女子の負担になっているか. ガを積み上げて教室を建設しつつあり,2004年9. らである.. 月に完成する予定である.. マザブカ県の基礎学校では,毎週金曜日をエイ. 教師は男性3名(校長は男性),女性1名で,. ズデー(HIV/AIDSAwarenessDay)と定め,. 全員12学年を修了しただけで,教員資格はもって. スピーチ,ゲーム,討論,寸劇活動などを通じて. いない.給与は月に10万クワチャで,他のコミュ. エイズ教育を行なっている.このコミュニティ・. ニティ・スクールと比較しても非常に低い.(ち. スクールでは,そうした活動は行なわれていない. なみに,公立基礎学校の有資格教員は40−50万ク. が,授業のはじめに毎回5分程度,教師がエイズ. ワチヤ,短大卒で60−70万クワチヤ,大学卒で90. 関連の話をしているという.また,毎週水曜日は,. −100万クワチャの給与を得るという.)教育省は. CIIANGE(Community,SuppOrtingIIIV/AIDS,. 教材やボールペンなどを供与するだけで(それも. Nutrition,Gender,Equityinschool)の日で,教. 十分ではない),教師の給与は負担しない.その. 育局職員や教員が配布されたTシャツ. ため,親は登録している子ども一人につき月2500 クワチヤ,孤児は1000クワチャを支払わなければ. (CHANGEと描かれている)を着て,子どもた ちや地域の人々への啓発をはかっている.. ならない.. 授業は3部制で,7:30−11:30は5,6,7学年, 10:30−13:00は3学年,13:00−16:30は1,2,. (2)コミュニティ・スクールB マザブカの中心部から帝で約30分のこのコミュ. 4学年の授業を行う.40分授業で,1日に少なく. ニティ・スクールは,校舎がなく,村の2つのカ. とも3科目数える.授業科目は,算数,英語,社. ソリック教会を借りて授業をしていた.教会の中. 会,理科,トンガ(現地語),宗教教育である.. は電気がなく,鉄格子のついた′トさな窓が両側に. 1学年のみ,政府から支給されたラジオを活用し. 4つずつついているが,昼間でも薄暗い.前に黒. て(InteractiveRadioInstruction:IRI)現地語,. 板が2つあり,子どもたちは長椅子に腰かけてい.
(8) コミュニティ・スクールの事例研究. るが,机はない.ノート,ペンは教育省から配布. かじっている姿が印象的であった).. されるためほぼ全員が持っているが,教科書は5,. 6人に1冊の割合でしか届かない.授業料は孤児 も同額で月5000クワチャである.. 1学年から7学年まで男子183名,女子179名,. (3)コミュニティ・スクールC マザブカのコンパウンドにあるコミュニティ・. スクールで,教室棟が3つと職業訓練実習棟が1. 計362名が登録しており,そのうち男子50名,女. つ,水を汲み上げるポンプも1つあり,周囲を高. 子46名が孤児である.村人の多くが農園労働者か. い塀に囲まれている.教室には蛍光灯が2本ずつ. ′ト作農民で,経済的には困窮層が多い.村には学. あり,壁や天井にはさまざまな教材が貼られてい. 校はなく,最も近い基礎学校は10km離れている.. る.トイレは水洗式である.. 昨年度は7学年を修了した子どものうち,35名が この基礎学校に進級し,他の14名は中等学校 (secondaryschool)に進学した.. 教員は,男性5名,女性3名で,この村で生ま. 就学前クラスから9学年まで男子314名,女子 244名,計558名が登録している.そのうち,障害 児が10名登録しており,毎週月曜日の午後にコ ミュニティ・スクールにやってきて,セラピーや. れ育ったのは男女各1名のみで,他の6名は他地. トレーニングを受けている.校長は女性で,教員. 域の出身である.給与は,校長も含めて全員が10. 18名の他にソーシャル・ワーカーとスクール・. 万クワチャと低いが,教えることへの意欲は高い.. コーディネーターが1名ずついる.. 脆弱な立場にある子どもたち,とりわけ孤児の苦. 低学年の授業では,ラジオによるIRIプログラ. 労を考えると,なんとか彼らの力になりたいと思. ムを活用し,第一言語の授業では,教育省から支. う.また,この仕事をしていると地域の人々から. 給されたBreakthroughtoLiteracy(BTL)の. 敬意を払われるのでやりがいがある,という.. 教材を使っている.7学年の約60%が8学年に進. 1つの教会では,7:00−10:15に4学年,10:15. 級しているという.図書館は6学年以下の生徒用. −13:15に1学年,13:15−17:45に3学年と5学. と7学年以上の生徒用の2つがあり,本はZCSS,. 年の複式授業が行なわれ,もう1つの教会では,. 教育省などから供与されている.. 7:00−12:40に6,7学年,12:40−15:40に2学. 職業訓練コースは8,9学年を対象として2002. 年の授業が行なわれる.近隣の農園主が雇用して. 年にはじめられ,調理,縫製,大工,金属加工の. いる労働者の子どもたちが,このコミュニティ・. コースがあり,それぞれ15名ずつが学んでいる.. スクールに通っているということで,近い将来こ. 教科書はZCSSから,エイズ教材などはユニセフ. の農園主が教室を建設してくれることになってい. から,職業訓練実習設備はNGOから供与されて. る.. いる.職業訓練実習で生徒たちがつくった家具や 授業は,生徒への質問を中心に進められ,指名. 衣服,食品などを売って,コースの材料費にあて. は男女バランスよくなされ,全体として意欲的に. ている.2004年7月から新たにコンピューター. 取り組んでいる様子がうかがえた.2004年から1. コースがはじまり,チャリティ活動で得た資金で. 学年の授業でIRIが活用されるようになり,ラジ. 購入した12台のパソコンが使われている.. オに合わせて歌ったり,唱和して学んでいた. 校長(女性)によると,このコミュニティ・ス. エイズ教育としては,毎日5分間エイズに関す る話を教帥がしており,アンチ・エイズ・クラブ. クールが直面している主な困難は,クラス規模が. が演劇などを通じて感染予防活動をすすめてい. 大きいこと(57−63名),教科書の不足,教員の. る.クラブ活動としては,そのほか,赤十字クラ. 給与が低いこと,孤児が多いこと,生徒も教師も. ブ,子どもの権利クラブ,文化クラブなどがあり,. 食糧が十分にないことである(さとうきび農園に. すべての生徒がいずれかのクラブに参加するよう. 散逸しているサトウキビを拾って,教師も生徒も. に奨励している..
(9) 人 津 和 /一. 生徒を支援するための学費免除プログラム(学 期毎の学費は孤児3000クワチヤ,それ以外の子ど も9000クワチヤ)および孤児を対象とした食料支 給プログラムを実施している.また,2003年に,. 2 ZOCS教員の専門的な資質の向上をはかる. 3 学校を効率的,効果的に運営できるようにコ ミュニティメンバーの資質の向上をはかる.. 4 学校を持続させるために,学費を支払う以外. 6つのコミュニティ・スクールの参加するスポー. の方法でも財政的に貢献できるように,コミュ. ツ大会を主催し,球技や走り競争などが行なわれ. ニティの人々をエンパワーする.. 5 政府・企業・地域のレベルで,コミュニ. た.. このように,コミュニティ・スクールCは,前 述したA校およびB校と比較すると,設備や職業 訓練コースなどが充実しており,マザブカ管内で もっとも質の高いコミュニティ・スクールとされ ている.が,教師たちの悩みは,資格のある教師 が少ないこと,教師の給与が低いことに加えて,. コンパウンドにまだ500名以上の未就学の子ども たちが取り残されていることである.公立基礎学. ティ・スクールに対する社会的な意識を高め, 参加を促す.. 6 ZOCSのプログラムや活動を支援するための 援助資金を確保する.. 7 財政的な持続性を強め,ドナーヘの依存を少 なくするための方策を実施する.. 8 コミュニティ・スクールにかかわる分野にお いてZOCSの役割および参加を拡大する.. 校の授業料は高い(1学期2万クワチヤ)ため, この子どもたちはむしろコミュニティ・スクール. 2001年時点におけるZOCSプログラムの特色. の方がアクセスしやすい.が,これらの子どもた. として,以下の点があげられる(Munachonga,. ちを受け入れるためには,教室が不足しているの. 2002).. である.. 第一に,読み書き計算を含む基礎的な学習だけ ではなく,園芸・縫製・木工などの職業的技術を. 4 ZambiaOpenCommunitySchool(ZOCS). 習得しうる.こうした技術は生活の向上を可能に するので,保護者から強い要望がある.(しかし,. ZOCSとは,先述したように,1995年に結成さ. 設備のないコミュニティ・スクールも多い.). れたオープン・コミュニティ・スクールの連合体. 第二に,演劇やアンチ・エイズ・クラブなどの. で,2002年時点で17校が加盟している.その多く. 課外活動を通じて,エイズや保健に関する正確な. はカソリック教会の支援を得ているが,宗教の如. 知識を習得し,エイズに対する意識を高めること. 何にかかわらず,すべての子どもに開かれている.. ができる.また,スポーツクラブなどに参加する. プロジェクト・コーディネーターによると「OPEN. ことにより,とくに,家事のために遊ぶ時間の少. という言葉には,最も脆弱な子どもたちに教育を. ない女子は充足感を得ることができるとともに,. 受ける機会を創りだす」との意味が込められてい. リーダーシップやメンバーシップを培い,. るという.全国的な組織であるZCSSに比べて,. 定感をもつことができる.(クラブ活動のない学. ZOCSはルサカを中心とする′ト規模な組織である. 校もある.). が,比較的充実した教員研修により,全般的に質 の高い教育を提供している.. ZOCSの組織的な目標は次の通りである (ZOCS,2001).. 自己肯. 第三に,女性教員がロールモデルの役割を果た しているところでは,女子は勉学への意欲を鼓舞 され,進路に対する希望をもちうる.早く結婚す ることだけが人生の目標ではないことに気付く.. ZOCSの主な成果として,次の点があげられる 1 女子と孤児を含む最も脆弱な子どもたちに質 の高い教育を掟供する.. (Munachonga,2002).第一に,2002年7月現在 で17のオープン・コミュニティ・スクールが参加.
(10) コミュニティ・スクールの事例研究. しており,109名の教員と約4,700名の子どもを擁. 背後に人口約6万人のコンパウンドを擁するこの. している.第二に,こうしたZOCSの発展が,ザ. オープン・コミュニティ・スクールは,教会の主. ンビア・コミュニティ・スクール事務局(ZCSS). 導のもとにザンビア政府とフランス大使館の支援. の設立(1997年)を促し,政府による教員研修プ. を受けて,1998年に開設された路上生活児のため. ログラムを実現させた.第三に,ZOCSは,コミュ. のセンター(BauleniStreetKidsCentre)にお. ニティ・スクール運営委員会(PCSC)とともに,. ける一つの活動として開始された.以降,. 女子に関しては公立初等学校以上に就学率を高め. WorldFoodProgramなど9つの国際的NGOの. ることに成功している.公立初等学校生徒に占め. 支援を受けながら,オープン・コミュニティ・ス. る女子の割合は48%であるのに対して,ZOCS. クールのほかに,路上生活児センター,農業訓練. では61%である.. センター,障害児教育,職業訓練のプログラムを. 第四に,コミュニティ・スクールの教育の質は,. 実施している.. 公立学校に比較して高い.公立学校では7年間の. このオープン・コミュニティ・スクールを1999. 就学に対して,コミュニティ・スクールは4年間. 年8月に訪問したときには,8−18歳の子どもた. である.それにもかわらず,第8学年に進級する. ちが約300名登録していたが,2002年には518名(女. ための試験合格率(1998−1999年)は,公立学校. 子357名,男子161名),2003年には600名を越えた.. が35%から37%に増加したのに対して,コミュニ. そのうち,過半数がエイズなどで母親または両親. ティ・スクールでは50%から70%に増加した. を亡くした孤児である.子どもたちは4つのレベ. (Munachonga,2002).. 第五に,ZOCSではライフスキルの習得をカ リキュラムに組み込んでいる.当初,コミュニ ティ・スクールの教材として開発されたSPARK. ルに分かれて,午前と午後の2部別のもとで授業 を受ける.2003年に新たに8学年を創設し,さら に2004年には9学年まで拡張した.. レベル4で,7学年の共通試験で合格水準に達. をもっぱら活用していたが,近年は公立学校への. した生徒は8学年に進級し,そうでない生徒は職. 編入を重視して,SPARKだけではなく,教育省. 業訓練コース(園芸,飼育,調理,縫製,編み物,. のフォーマルなカリキュラムの内容をも加えて教. 木工,建築,経営)で学ぶことができる.生徒た. えている.. ちは,授業時間外に,毎週行なわれる全校集会,. 2002年1月時点でのZOCS傘下のコミュニ. 地域での礼拝(毎月第二金曜日)やスポーツ(毎. ティ・スクールは17校である.いずれの学校でも. 週金曜日),コーラス,資金調達活動などに参加. 孤児が多く,バウレニ・コミュニティ・スクール. することを奨励されている.. では74%を占めている.男子のみの学校が1校,. 障害児のためのプログラムでは90名の生徒が,. 女子のみが2校で,男女共学14校のうち,女子が. 就学前クラス,および,普通学級と同様4つのレ. 過半数を占める学校は9校で,全体として,女子. ベルに分かれ,2部別のもとで,教師の指導を受. の占める比率が(オープン・コミュニティ・ス. けながら各人のペースで学んでいる.さらに,ロ. クール以外の)コミュニティ・スクールより高い.. ワニ(Lowani)と呼ばれるクラスの子どもたちは,. 学校のマイクロバスで送迎を受けて登校する.重. 5 オープン・コミュニティ・スクールの事例研究 (1)オープン・コミュニティ・スクールD. ZOCSの中で最もよく組織的に運営されている. 度障害児各一人に一人の教員が配置され,設備の 整った教室でセラピーと言葉の指導を受けてい る.また,重度の障害のために登校できない子ど もたちを抱える26家庭を,教員が毎週家庭訪問し. といわれるオープン・コミュニティ・スクールD. ている(home/schoolbasededucation).訪問時. を事例としてとりあげる.主要道路に面しており,. には,子どもたちの学習を直接指導するとともに,.
(11) 人 津 和. 保護者が各家庭でどのように障害児を指導すべき. かについても指導している.こうした障害児教育. /一. も使っている. プログラム・デイレクターヘのインタビューに. の実践は,現時点ではザンビア国内では例外的で. よると,1999−2002年の3年間に次のような前進. ある.そのため,ここで障害児教育に関する研修. が見られるという.第一に,中等学校に進学する. ワークショップを開催しており,22のコミュニ. 生徒が増加した.2000年には女子10名,男子9名. ティ・スクールの教員が受講している.. が,2001年には女子6名,男子8名が他の中等学. 子どもたちには,簡素ではあるが食物が毎日提. 校に進学した.2003年に他の中等学校に進学した. 供され,礼拝を行なう日には昼食が準備される.. 2名の少年は非常に優秀で,将来は大学に進学し. 空腹では学習できないという配慮からである.敷. たいという希望をもっている.この2名はいずれ. 地内には,6つの教室の他にホール兼給食室があ. も孤児で,毎週末このオープン・コミュニティ・. り,野菜畑,家畜(豚,鶏)′ト屋,木工作業場,. スクールにやってきて,建材ブロックをつくって. 縫製や編み物の実習室などが配置されている.. 給与を受け取り,それを学資にあてているとのこ. コミュニティ・スクールのためのSPARK教材 はNGOから供給されるが,十分な数量ではない. 授業は英語以外の教科は,現地語で教えている.. 「この学校に来ている子どもたちは幸せだ.来た. とである.第二に,職業技術プログラム(午前の み)が充実し,その指導者も5名に増えた.. 第三に,子どもたちがさまざまな作業や活動を 行なう「フレキシブルな時間」が,1999年には週. くても来れない子どもたちが,地域にはまだたく. 1時間であったが,2001年には2時間に増やした.. さんいる」と教員はいう.スタッフは,教員(38. 第四に,障害児のための特殊教育に教育省も取り. 名),助手,職業訓練指導者,給食係,清掃係,. 組むようになり,早くから特殊教育に取り組んで. 事務担当者を含めて46名である.教員の給与につ. いたこの学校に,教育省から訪問者が来るように. いては,6名がZOCSから,10名が政府から,. なって,教育省との緊密な関係ができた.第四に,. 残りの22名は教会(SacredHeartsSisters)から. 教科書,ノート,給食などが3年前より豊富になっ. 給与を支払われているが,その額は低い.が,敷. た.この学校がテレビで紹介されてから多くの反. 地内に教員住宅があるので,比較的恵まれている. 応があってNGOなどからの寄付が増えた.また,. といえる.. 野菜や豚の収益金が増えたことにもよる.. レベル1では,ニヤンジャ語をBreakthrough. 第五に,学校の近くに公立の診療所が開設され,. toLiteracy(BTL)プログラムを通じて学び,. 学校からの紹介状を持参すると,子どもたちは無. 大きな成果をあげているという.BTLとは,低. 料で診察してもらえるようになった.最後に,ス. 学年の子どもに第一言語を習得させるために用い. ポーツ活動が活発になり,金曜日の午後には他の. られる教材キットで,教師用指導書,生徒用単語. 学校とフットボールやネットボールの試合を行な. カードとカードホルダー,掛け図(絵)から成っ. う.(教育省はスポーツの振興を政策に掲げてい. ている.生徒が掛け図に描かれた絵を読み取り,. るが,実際に実施している学校はまだ少ない.). それを表現するために,各自が単語カードを並べ. さらに,2002−2003年時点での進展としては,. て文章をつくり,声を出して繰り返し読む.教師. 敷地全周囲のフェンス設置,障害者のためのト. はそれぞれの子どもの能力に応じて個別に指導す. レーニングセンター開設,孤児のための就学前教. ることが可能である.レベル2−3では,BTL. 育の開始,農業プログラムの拡大,資金を得るた. によるニヤンジャ語に加えて,英語の読みを中心. めの建設ブロック製造と,養魚用の他の建設があ. に学ぶ.レベル4は,前述したように,7学年の. げられる.. 全国試験を受ける子どもたちのクラスである.授 業では,SPARKだけではなく公立学校の教科書. 10. 以上のように,このオープン・コミュニティ・ スクールは毎年プログラムを拡大,発展させつつ.
(12) コミュニティ・スクールの事例研究. あるが,同時に,いくつかの課題を抱えている.. が,女子に教育を受けさせることは,実際には. 2002年時点で直面している問題としてあげられた. 容易ではない.「女の子は家事をしなければなら. のは,次の三点である.第一に,職業技術を指導. ない」「家族がエイズになるとその介護で女の子. している人の中に,無給で働いている人がいる.. の負担が大きくなる」「親が学校に行ったことが. その人たちには食物や衣服等を支給しているが,. ないので,子どもの勉強を見てやることができな. 定期的に給与を支給しない限り,職業技術プログ. い」「親が女の子を早く結婚させる」「イニシエー. ラム自体が長続きしないだろう.給与を支給され. ションで1か月も学校を休む女子がいて,授業に. ている場合も低額(毎月17,000クワチヤ)である.. ついていけなくなる」といった意見が相次いだ.. 第二に,コミュニティからの期待が過剰である.. 「女子にとっての教育の重要性を認めない親もい. この学校に通っている子どもたちは教育を受ける. る」「娘に弟妹の世話をさせずに母親がもっと子. ことができ,給食や診療の恩恵に与ることができ. どもの面倒を見るべきだ」「親がもっと時間的な. ているが,コミュニティには学校に通うことので. 余裕をもって子どもと話す時間をつくるべき」と. きない子どもたちがまだ広範に存在し,この学校. いった,保護者自身のありかたを問題視する発言. がもっと多くの子どもを受け入れることが期待さ. が多いのは,このコミュニティ・スクールに対す. れている.が,実際には難しいので,教職員はプ. る保護者の評価が高いからだと考えられる.. レッシャーや罪悪感を感じるという.. 第三に,財政的な問題がある.:NGOなどの支 援者は設備や教材等に対しては寄付してくれる が,恒常的な活動のための資金は独自に生み出さ. 女子へのインタビュー(2003年). 14名の内,8名はこのコミュニティ・スクール. なければならず,運営資金は絶えず不足している.. のレベル4を修了して8学年に進級し,他の6名. そのため,教員室もなく,子どもたちの世話をす. は他の公立学校の7学年を修了してこのコミュニ. る人手も足りず,子どもたちに与える食物も十分. ティ・スクールの8学年に進級した.4名が両親. にないという.. ともに亡く,8名が片親を失い,4名は両親とも 健在である.家事は毎日2−3時間,勉強は1−. 保護者(8名)へのインタビュー(2003年) このオープン・コミュニティ・スクールの良さ. 2時間するという.結婚はしたいし,するつもり だが,できればカレッジを修了して仕事に就いて から25歳くらいで結婚したい,という声が多かっ. としては,「無償教育である」「職業技術コースが. た.彼女たちの将来の夢は,看護師(8名),会. 充実している」「公立学校では子どもが労働をさ. 計士,教師,兵士,パイロット,弁護士,不明(各. せられることが多く,教師のストライキも多いが,. 1名)である.彼女たちは「女子はできる限り早. ここではそれらがない」「公立学校に比べて先生. く結婚すべき」という伝統的な考えにとらわれて. の教え方が優れている」「教室と図書館に本がた. いないように見える.現実的には,彼女たちの夢. くさんある」などがあげられた.. が実現されるには多くの困難が予想されるが.. 「なぜ女子にも学校教育が重安だと思うか」と. いう質問に対しては,「学校教育を受ければ仕事 を得て家族を養うことができる」「弟妹の世話を. (2)オープン・コミュニティ・スクールE. ルサカのコンパウンドの中にある学校で,塀に. するためには教育を受けていろいろな知識をもっ. 囲まれた敷地内に4教室と教員室,中庭がある.. ている方がいい」「売春に走らない」「ストリート. どの教室の壁にもさまざまな教科の教材が工夫し. チルドレンになることを防ぐことができる」とい. て貼られ,天井からもぶらさがっている.教師は. う回答が得られた.. 毎時間の学習指導案を所定のノートに記入し,週. 11.
(13) 人 津 和. 1回授業観察のために巡回してくるZOCSの監. /一. 常にいい政策である.復学を認めると妊娠が増え. 督指導者(supervisor)のアドバイスを受けるこ. るかもしれない,という不安もあるが,これまで. とになっている.授業は,グループ討議や生徒の. は妊娠すると退学しなければならなかった.出産. 発表などをとりいれ,参加型の授業をめざしてい. 後も勉強を続けたいという女子にはその機会を与. る.. えるべきだ,というのが,この学校の考え方であ. 生徒は女子のみで,レベル1が3クラスで120. る.なお,女子1名が妊娠のため休学中である.. 名,レベル2が3クラスで132名,レベル3が2 クラス85名,レベル4が2クラス73名,計410名 (2003年)である.そのうち,孤児は257名で,. 女子生徒へのインタビュー(2003年). 62.68%である.レベル4の73名のうち,42名. 6名全員がレベル4で,年齢はいずれも14,15,. (57.53%)が7学年の全国試験に合格し,その. 16歳,両親とも健在が2名,両親死亡1名,父親. うち12名がハイスクールヘ,30名が基礎学校に進. 死亡1名,母親死亡2名である.勉強することを. 級する.教員は10名で,うち8名がZOCSから. 最も励ましてくれる人物として,5名が真っ先に. 給与(20万クワチャ以下)を受け取り,他の2名. 教師を挙げ,1名が両親を挙げたのちに教師を挙. は教会から(25万クワチヤ)支払われている.. げた.彼女たちの将来の夢は,看護婦,ジャーナ. カリキュラムは,SPARKと教育省のカリキュ. リスト,貿易商,初等学校の教員,中等学校の教. ラムを統合したものを使用している.エイズ教育. 員,オープン・コミュニティ・スクールの教師で. として,レベル4の生徒に加えてレベル2,3の. ある.家での勉強時間は少ない生徒で1時間,多. 年長の女子生徒をも対象として,「行動を変える. い生徒で4時間,家事は毎日3−5時間程度行な. ためのプログラム」を実施している.クラブ活動. う.. としてアンチ・エイズ・クラブもあり,ときに. 看護婦志望の16歳の生徒は2歳の時に母親を,. YouthAliveというNGOのメンバーを招いて,. その2年後に父を亡くした.両親の初めての子ど. 全生徒がエイズの話を聞く.かつては,セックス. もだったため兄妹はなく,知り合いの女性に引き. について教えることはタブーであったが,今はエ. 耽られて,彼女の5人の子どもたちと一緒に育て. イズの現実について教えなければならないので,. られている.3年前13歳の時に,このオープン・. 積極的に取り組んでいるという.. コミュニティ・スクールにはじめて登録した.勉. 2003年に,はじめて出産後の女子生徒(レベル. 強への意欲が高く,とくに算数が得意である.コー. 2,15歳)が復学して授業を受けた.この女子の. ラス部に所属して,クラブ活動も楽しんでいる.. 妊娠がわかった時点で,両親を学校に呼んで話を. 家事や養母の子どもたちの世話をする時間は1日. し,妊娠させた男子の家庭を訪問した.その男子. 平均3時間,勉強時間は2時間である.. には結婚の意志はなく,男子の父親も無責任な態. 女子生徒たちへのインタビューを通じて,この. 度をとったので,結局,女子生徒の母親が乳児の. オープン・コミュニティ・スクールの女性教師た. 世話をすることになった.女子の父親は娘の復学. ちが熱心に生徒たちを励まし,自信をもたせつつ,. に反対であったが,教師が保護者に対するカウン. 保護者にも積極的に働きかけている様子が伝わっ. セリングも行い,本人の強い希望もあって,女子. てきた.女性教帥たち自身が,生徒のロールモデ. は復学した.妊娠中から教師はこの女子生徒に気. ルになっているようである.. 遣い,あれこれアドバイスをしたり,いつから学 校を休むのがいいかなどについて相談にのってき た.この女子生徒の復学について,他の生徒たち. は不愉快には思っていないという.復学制度は非. 12. (3)オープン・コミュニティ・スクールF. ルサカのコンパウンドの中にある学校で,周囲 を高い塀に囲まれている.2001年には女子の方が.
(14) コミュニティ・スクールの事例研究. 男子より少なかったが,2004年には,男子267名,. 治と独裁政治で,それぞれの良い点と悪い点を生. 女子272名と,女子の方が若干多くなっている.. 徒に質問して板書しながら説明し,最後に復習問. 教員は男性6名,女性3名である.レベル1が1. 題を板書し,生徒はそれらの解答をノートに書い. クラス,レベル2が3クラス,レベル3が3クラ. て,教師に見てもらっていた.いずれの授業でも. ス,レベル4が1クラスあり,授業は2部制で,. 男女ともに活発に挙手し,教師はジェンダーバラ. 午前中(7:30−12:00)にレベル3と4,午後(12:. ンスに配慮しながら指名していた.. 30−16:00)にレベル1と2の生徒が受ける.6. 最近の進歩としては,第一に,8学年と9学年. 教室あり,そのうち2つは8,9学年のために,. のクラスを開設したことがあげられた.保護者が. 保護者によって2004年に新たに建設されたもので. 中心になって教室を建設し,机はZOCSから,. ある.校門を入ると,中庭でポーリッジ(粥)を. 椅子はユニセフなどから供与を受けた.第二に,. 食べている子どもたち,ビニール袋を丸めてつ. NGOの支援を得て,ポーリッジの給食プログラ. くったボールを蹴って遊んでいる子どもたち,井. ムを開始した.第三に,2003年に新しい水道ポン. 戸で水汲みをしている子どもたちの姿が目に飛び. プを設置した.第四に,子どもも教師もともに数. 込んできた.教室に机と椅子はあるが,電灯はな. が増え,学校が拡大発展した.第五に,教師9名. く,窓ガラスもないところが多い.. の内5名が研修を受けた.第六に,7学年の全国. 教室の黒板の上には「Welcometoourclass!. 試験合格者のうち38名が公立の基礎学校8学年に. MOTTO:Learntoparticipateandimprove」と. 進級した.ちなみに,2003年は18名,2002年は35. いうモットーが掲げられている.教室の壁には,. 名,2001年は9名であった.. ザンビアやアフリカ大陸の地図,身体の部分を書. 困難点としては,第一に,教師の給与が低く,. き込んだ動物や魚の絵,植物の生長を説明する図,. しかも教員住宅もないこと.そのため,教師の生. 英語の単語や文章などが書かれた学習教材が豊富. 活が非常に厳しい.第二に,教材が不足している. に貼られている.教科書は教師だけが持ち,子ど. こと.ZOCSが教材の配布を停止したので,学. もたちはユニセフから配布されたノートと鉛筆を. 校として購入しなければならなくなった.政府の. もって授業を受けている.. 予算が届くのが遅れがちであるため,必要な時期. 教師は,毎日,翌日分の授業案を作成して,生. に購入できない.第三に,エイズ教育のための現. 徒にわかりやすいように授業展開を工夫し,授業. 職研修が不十分である.全教員対象の研修は通常. 後に自己評価を記入する.例えばレベル2の算数. 年4回ひらかれるが,今年は8月の時点でまだ1. では,割算の授業でオレンジを持ち込んで,実際. 回のみである.第四に,設備が不十分である.職. にナイフで切りながら説明をしていた.計算問題. 員室に机や椅子が十分になく,学校には電気もな. を黒板で解いた生徒は,計算の途中でクラスの全. く,8,9学年用の実験室もない.. 員に「3×5は?」と問い,「15」という声を聞. こうした困難な状況にもかかわらず,この学校. いてから黒板に書くというふうに,共同作業をし. の教師たちの教育にかける情熱と意欲には並々な. ていた.さらに,黒板に書かれた解答について,. らぬものが感じられた.なぜだろうか.コミュニ. 教師が「正しいですか?」とクラス全員に問い,. ティには学校に行っていない子どもたちがまだ多. 間違っている場合には,解答を書いた生徒にどの. く存在しており,そうした子どもたちを見ると,. ように計算したかを説明させた.授業が終わると,. 何もしないではおれない,彼らを励まして,なん. みんなで円になって歌を歌ったり踊ったりして,. とか学校で学ばせてやりたいと思う.コミュニ. リラックスしていた.. ティ・スクールの教師の給与は低く,ほとんどボ. レベル4の社会科は,「Zambiaisfree」を歌う. ランティア的な仕事だとわかっているが,学校に. ことからはじまった.その時問のテーマは民主政. 行けない孤児や極貧の子どもたちのことを考える. 13.
(15) 人 津 和 /一. と,彼らに教育の機会を与えてやりたいと思う.. このように,コミュニティ・スクールには一定. また,そうすることによって,自分自身がコミュ. の成果が見られるが,同時にいくつかの課題に直. ニティの人々から敬意を払われるとしたら,いっ. 面している.. そうやりがいのある仕事だと思う,というのが, おおかたの教師たちの考え方のようであった.. 6 コミュニティ・スクールの進展と課題 以上より明らかなように,ザンビアにおけるコ. 2002年時点における主な課題としては,以下の 点があげられている(ZCSS,2002).. 1 コミュニティ・スクールの増加にともなっ て,ZCSSのスタッフの増員が必要である.. 2 コミュニティ・スクールの教員研修の指導者. ミュニティ・スクールは創設されてまだ10年余で. のほとんどは,最低限の資格しかもたないボラ. あるが,EducationforAllの実現に大きな役割. ンティアにたよっている.. を果たしている.フォーマルな学校も各学校に よって教育の質が異なるが,コミュニティ・ス クールは,前述したように,それ以上に多様であ. 3 政府による初等教育無償化政策はコミュニ ティ・スクールに大きな影響を与えうる.. 4 コミュニティ・スクールとZCSSの問のコ. る.本稿でとりあげたオープン・コミュニティ・. ミュニケーションが欠如しているが,これは. スクールD校は,非常に積極的に障害児教育に取. Districtや学校レベルを代表するポストがない. り組み,全国的にもモデル校的な存在であり,ま. ことによる.. た,充実した職業訓練教育を実施している.他方,. 5 政府からの資金が予定されたコミュニティ・. コミュニティ・スクールA校やB校のように,教. スクールに届いていない.DistrictOfficeレベ. 室や机もなく,トイレもないところもある.こう. ルの問題もあるが,コミュニティ・スクールが. した教育環境の違いにもかかわらず,コミュニ. 誤用したことにもよる.こうしたコミュニティ・. ティ・スクールには公立学校と比較して,一般的. スクールは今後の資金配分で不利になる.. に次のような特色がみられる.. 6 SPARKで学んだ子どもたちは学校に編入し た後,勉強についていくのが難しい.SPARK. ・7年間の初等教育が4年間に短縮され,毎日の 授業時間が少ないにもかかわらず,一定の成果 を上げている. ・学習者の生活に関連した知識の習得を重視した. コミュニティ・スクール独自のカリキュラム SPARKを活用している. ・低い給与にもかかわらず教師が意欲的で,とく. に研修を受けた教師は,学習者中心の授業方法. は全てのコミュニティ・スクールではなく,年 長の子どもがいる学校にのみ向いている.. 7 学校のカリキュラムも改革され,ライフスキ ルの学習が組み込まれているので,過小評価す べきでない.. 8 ZCSSはSPARKがなおコミュニティ・ス クールの期待に応えうるものであるかどうかを 点検する.. を目指している. ・教師と生徒の関係がより緊密で,一部ではカウ ンセリングや家庭訪問も行なわれている. ・コミュニティとの密接な関係のもとに運営され ている.. ・一部のコミュニティ・スクールでは職業訓練プ ログラムや給食プログラムが実施されている.. この時点では,コミュニティ・スクールの数が 飛躍的に増加し,それにともなって,ZCSS自身 の組織強化,および各コミュニティ・スクールと のコミュニケーションをいかに有効に行なうか が,新たな課題となっている.また,コミュニ ティ・スクール独自のカリキュラムとして開発さ. れたSPARKに対する見直しも,新たな課題とし. 14.
(16) コミュニティ・スクールの事例研究. て浮上してきた.基礎学校にどれだけ多くの生徒 が編入したかが,コミュニティ・スクールに対す. 20%までを支給することが明示された.BESSIP (BasicEducationSub−SectorInvestmentProg−. る評価になってきた,という事情によるものであ. ramme)から資金を得るコミュニティ・スクー. ろう.教員の資格と給与については引き続き大き. ルが,2001年の484校から2002年には820校に増加. な課題となっている.. した.ザンビアの学校制度におけるコミュニ. 2年後の2004年ZCSS年次大会では,次のよう. ティ・スクールの重要性を配慮して,教育省の5. な報告がなされた(ZCSS,2004).まず,教育の. か年計画(2003−7)の策定にZCSSも参加し,. 質の改善に関しては,学校運営のための教員研修. コミュニティ・スクールにかかわる事柄も考慮に. および授業技能を向上させるための研修を拡大実. 入れられることになり,「ジェンダーと平等」. 施した.また,教育省主催の教員研修に72のコミュ ニティ・スクールが教育省の研修に参加した.. 教材に関しては,教育省がIRIの研修を受けた 教員に230台のラジオを配給し,ZCSSに50台の ラジオ,3907冊の指導用手引き,および54箱の図 書をコミュニティ・スクールに供給した.. (GenderandEquity)の月例会議にも参画でき るようになった.さらに,教員養成大学でコミュ. ニティ・スクールの教員の研修が一定数認められ るようになった. 以上から明らかなように,2004年の時点では,. 学校運営および授業実践のための教員研修が,そ. 他の協力機関から受け取った黒板,定規,ノー. れ以前と比較するとかなり拡大し,教材の面でも. ト,鉛筆,ペンなどは,学校基金を受けていない. IRI用のラジオをはじめ,SPARK,エイズ教材. コミュニティ・スクールを含む230校に配分し,. などが,まだ十分とはいえないが,配布されるよ. 副読本1335冊を全コミュニティ・スクールに配布. うになった.実際にはまだごく一部のコミュニ. した.Fami1yHealthTrust(NGO)から寄贈. ティ・スクールに限られるが,子どもたち自身の. された図書24000冊は,搬送費用がないために,. 活動の重要性についても認識され,取り組まれる. 搬送手段をもっているコミュニティ・スクールに. ようになってきた.教育行政におけるコミュニ. 供給した.. ティ・スクールに対する認知度が高まり,ZCSS. 子どもたちの活動に関しては,ZCSSは16のコ ミュニティ・スクールから選ばれた83名の子ども. たちによるHIV/AIDSキャンペーン活動をおこ. と教育省との協力関係は,以前より緊密になりつ つあるようである. コミュニティ・スクールが創設されて10余年経. なった.また,ZCSSはルサカにおける演劇コン. 過して,その数は飛躍的に増加し,教育の質も徐々. テストを組織し,最終審査に勝ち残った250名を. に改善されてきた.その過程で,ZOCSおよび. ルサカ劇場に招待した.西部州と南部州では,1500. ZCSSは中心的な役割を果たすとともに,教育省. 名の生徒とPCSCのメンバーがHIV/AIDSpeer. との連携も次第に緊密になっている.教育省は. educator(仲間による相互教育)の活動に参集し,. 1996年の教育政策(EducatingOurFuture)に. GlobalActionWeek活動にはコミュニティ・ス. ノンフォーマル教育の重要性を明記し,2003年以. クールから500名の生徒が参加した.. 降,学校教育統計にコミュニティ・スクールに関. ZCSSの組織的経営的能力を高めるために,教. する数値も公式に掲載するようになった.このよ. 育省とのメモランダムを更新し,教育省のコミュ. うにコミュニティ・スクールに対する支援は次第. ニティ・スクールに対する役割と責任を明確にし. に拡大しつつあるが,教員給与,教員研修,学校. た.具体的には,教育省における通常の教育行政. 設備および教材,職業訓練教育などの充実に関し. の中にコミュニティ・スクールの視点と利益を統. て,なお,教育省の課題は大きい.経済の低迷と. 合するために,年に4回の会合をひらくこと,教. ⅠⅠⅠⅤ/AIDSの感染拡大という厳しい状況のなか. 育省がコミュニティ・スクールの教員の給与の. で,ドナーからの援助を受けたとしても,. 15.
(17) 人 津 和. EducationforAllを達成することは容易ではな い.コミュニティ・スクールは補完的かつ過渡的. /一. 国際教育協力論集,Vol.2,No.2,pp55−68. 大津和子(2003a)EFAをめざすノンフォーマル教育の 現状と課題−ウガンダとタンザニアの事例分析から−,. な教育機関ではあるが,その量,質の両面におけ. るいっそうの発展が,2015年までにすべての子ど もが基礎教育を修了するという目標を,より現実. 北海道教育大学紀要,第54巻第1号,pp.87−97. 大津和子(2003b)ザンビア女子教育推進政策(PAGE). の意義と課題,国際教育協力論集,Vol.6,No.1, pp121−133.. 的なものにするであろう.. UNICEF(1997):TheSPARKHandbook−AGuidefor TeachersinZambia’sCommunitySchooIs,Lusaka. 〈謝. 辞〉. ザンビアでの調査に際して,コミュニティ・ス クールの子どもたち,先生方,保護者の方々,. ZCSS(1996)StrategicPlanningforCommunitySchooIs in Zambia,Lusaka.. ZCSS(1997)ZambiaCommunitySchooIsSecretariat AnnualReport,Lusaka. ZCSS(2002)MinutesoftheAnnualGeneralMeeting. ZCSSのMr.Hambote,ZOCSのMs.Mancilla,. heldon27thApri12002atKabulongaGirls’Seeon−. JICAザンビア事務所の鈴木隆子さんはじめ,多. daryinLusaka,Lusaka.. くの方々のお世話になりました.心からお礼申し. ZCSS(2004)ActivityReporttotheAnnualGeneral MeetlngApri12002−July2004,Lusaka.. 上げます.. ZOCS(2001)AnnualReport2001Walking the Way. なお,調査費用として,文部科学省科学研究費. 補助金平成1416年度「アフリカ諸国の教育改革 への取り組みと国際協力のあり方に関する比較研 究」(研究代表者澤村信英広島大学助教授),およ. forward with Children,Lusaka.. ZOCS(2003)AnnualReport2003Hope through Education,Lusaka. ZOCS(2004)ZambiaOpenCommunitySchooIsEduca− tionProgramme(2004−2007),Lusaka.. び1315年度「発展途上国における基礎教育のカ リキュラム・プログラム開発に関する研究」(研 (札幌校教授). 究代表者大津和子)の一部を活用しました.. 〈参考文献〉. MinistryofEducation(1996)EducatingOurFuture, Lusaka.. MirlistryofEducatiorl(2000)EducatiorlforAllAssess− ment,Lusaka.. MinistryofEducation(2003a)StrategicPlan20032007, Lusaka.. MinistryofEdueation(2003b)EDAssist,Lusaka Mumba,E.C.(2002)Non−FormalEducationinZambia:. ExperiencesoftheWorkingGrouponNon−Formal EducationinZambia,Paperpresentedatthenational SympOSiumonnon−formaleducation,MaputoMozam−. bique. Munachonga,M.(2002)EvaluationResearchonthe ZambiaOpenCommunitySchooIsFinalReport,Lusa− ka.. Mwansa,M(1998):CommunitySchooIs:Strengthand Weaknesses,PupilandTeacherProfiles,Lusaka. 大津和子(1999)ザンビアにおける女子教育の阻害要因,. 16.
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