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小水力発電普及 小水力発電普及 小水力発電普及
小水力発電普及に に に 際 に 際 際しての 際 しての しての水利権 しての 水利権に 水利権 水利権 に に に 関 関 関 関する する する する研究 研究 研究 研究
政策研究大学院大学 まちづくりプログラム MJU12613 高橋麻梨子
1.1.
1.1. はじめにはじめにはじめに はじめに
再生可能エネルギーの固定価格買取制度が平成 24年7月1日から開始されたことにより,未開 発箇所が多く残っている小水力発電が注目を浴び ており,各地で設置計画が進んでいる.小水力発 電を設置するために,発電水利利用の許可が必要 であり,既に他の目的(かんがい用水,水道用水 など)で許可を得ている用水を利用する従属発電 においても必要とされている.しかし,従属元が 慣行水利権である場合,許可水利権の場合と比べ,
取引費用がかかり,小水力発電所普及を妨げてい ると推測される.本研究では,慣行水利権が小水 力 発 電所 設置 に及 ぼし てい る影 響 につ いて 分析 し,
水利権制度の考察,現状の発電水利手続について 提案する.
2.2.
2.2. 小小小 水力発電小水力発電水力発電水力発電 をををを 取取取取 りり 巻りり巻巻巻 くくく 現状く現状 と現状現状ととと 課題課題課題課題 22
2 -2-- 1.-1.1.小水力発電1.小水力発電 の小水力発電小水力発電ののの 特徴特徴特徴 特徴
従属発電の場合は,既設の堰や用水などを活用 することができ,新規に発電所を設置するよりも 設置コストを安くすることができるため開発が容 易である.また,すでに河川から取水を行ってい る用水等に設置するため,河川の流量や品質に新 たな影響を及ぼすことがない.そのため,環境へ の負担が少なく,河川管理にも影響を及ぼさない といえる.
22
22 --- 2-22 .2...水利権水利権水利権水利権
水利権とは,河川法第 23 条(流水の占有の許可)
により定められる権利であり
1
,特定の目的のため に,河川の流水を排他・独占的に利用する権利であ
1
法律には水利権という用語は用いられておらず慣用語
る.水利権は,「許可水利権」「慣行水利権」の2 つに分けられる.許可水利権は,河川法の規定に より河川管理者の許可を受けた権利である.慣行 水利権は,旧河川法施行(明治 29 年)前から特定 の人が独占的に使用している慣習を,許可を受け たものとみなした水利権であり,河川法第 87 条(経 過措置)を根拠とする.
慣行水利権は,その性質上,様々な問題を抱え ている.それは,①水利目的の不明確さ②取水量の 不明確さ③期限の設定がないこと④水資源の無駄 遣いがあげることができる.①については,かん がい目的の他,飲雑用,防火用などの種々の目的に 使用しているため,利用目的の内訳が不明確であ ること,②については,取水量が不明確のまま権 利として承認されていること,③については,許 可期限がなく,水利権者の変更,必要水量の増減 などの見直しが不可能であること,最後に④につ いては,農業人口の減少と農地の荒廃,宅地化に より必要量が減少しているのにも関わらず以前と 変わらず取水していることが水資源の無駄遣いに なっているという問題である.
222
2 --- 3.-3.3.3.小水力発電小水力発電小水力発電小水力発電 ととと 慣行水利権と慣行水利権慣行水利権慣行水利権
発電水利権の許可は,すでに既設の用水等を活 用する従属発電の場合も必要となる.それは,流 水の占有は,目的ごとに許可されるものとされて おり,従属元がかんがい用水などで許可されてい れば,発電水利となる従属発電は,別に許可を受 ける必要があるためである.しかし,従属元が慣 行水利権だった場合,取引費用が増大となること がある.発電水利権の申請のために,小水力発電 所を設置しようとする者は,従属元である慣行水
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利権の取水量調査を必要とされているが,慣行水 利権者は調査に対して,消極的態度に出ることが ある.それは,慣行水利権として届出したときよ り,現在使用する量が減少していたり,そもそも 届出をしていないため,調査をすることにより,実際の使用量が明確化されてしまい,その結果占 有量が減少することを恐れているためといえる.
また,慣行水利権者は,土地改良区や自治区など の組合であることが多く,多数の組合員の同意が 必要となり反対者があれば同意に至るまでに時間 がかかる.最後に,慣行水利権の権利内容や取水 量などが不明であり,発電所設置により損失が生 じるとしても,その損失補償の算定が困難である
2
. 慣行水利権の場合は,このような取引費用がかか るといえ,許可水利権を従属元とする場合より,
小水力発電の普及が妨げられている可能性がある ことが予測できる.
3.3.
3.3. 小水力発電普及小水力発電普及小水力発電普及 と小水力発電普及とと 慣行水利権と慣行水利権慣行水利権慣行水利権 にに 関にに関関関 するするするする 実証分析実証分析実証分析実証分析 33
3 -3-- 1.-1.1.分析方法1.分析方法 と分析方法分析方法とと データとデータデータデータ
岐阜県を流れる木曽川水系(木曽川,長良川,
揖斐川)の支流ごとにプロビットモデルによる分 析を行う.分析に使用するデータは,国土交通省 土地・水資源局調査・編集「1/50,000 主要水系調 査利水現況図数値データ(木曽川,揖斐川,長良 川水系(2001))」,「標高がわかる web 地図(国土 地理院)」を使用した.
水力発電所の設置確率と,設置に影響を与える と予測される変数との関係を分析する.
推定式:
∗= = = = + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
被説明変数( ∗):小水力発電所の設置の有無,
説明変数を,慣行水利権割合( ),土地改良区・組 合の水利権者割合( ),河川の水量( ),国管理ダ ミー( ) とした.
2 河川法第 41 条(水利使用の許可に係る損失の補償)
慣行水利権割合は,許可水利権とあわせた全体 の水利権を慣行水利権数で割った割合を,土地改 良区・組合の水利権者割合は,企業や市町などあ わせた全水利権者数を土地改良区,自治区などの 組合の水利権者割合で割った割合を,河川の水量 は,川幅(m)と標高差(m)を,国管理ダミーは,国 直轄区間を1,県指定区間を0とするダミーとし た.
表1 基本統計量
333
3 --- 2-222 ....推定推定推定推定 結果結果結果結果
プロビット・モデルの限界効果の推定結果を表 2で表した.慣行水利権割合と,河川の水量につ いては有意となり,予測した結果となった.また 有意にはならなかったものの,国管理ダミーにつ いては,予測した傾向となった.土地改良区・組 合の水利権者割合については有意とならず予測の 結果とはならなかった.慣行水利権割合との相関 が原因とも考えられる.この結果から,慣行水利 権割合が 1%上昇すると,小水力発電所の設置確率 が 0.4%低下するといえる.
表2 推定結果(プロビット・モデル)
注:***,**,* はそれぞれ有意水準1%,5%,10%を満たしていることを示す
4.4.4.
4. 考察考察考察考察
実証により,慣行水利権の割合が高い河川は,
小 水 力発 電所 が設 置さ れに くい こ とが 確認 でき た.
そこで,まず水利権制度全体について考察を行う.
変数名 平均値 標準偏差 最小 最大
小水力発電所の設置の有無 0 .1 5 5 5 0 .3 6 6 5 0 1
慣行水利権割合 0 .4 8 3 8 0 .4 6 4 3 0 1
土地改良区・ 組合の水利権者割合 0 .4 7 8 8 0 .4 5 6 9 0 1
国管理ダミー 0 .1 5 5 5 0 .3 6 6 5 0 1
河川の水量 1 2 6 5 5 .9 1 6 7 0 0 .3 5 1 0 6 9 0 5 0
変数名 限界効果 標準誤差 漸近t-値
慣行水利権割合 - 0 .4 1 6 7 0 .4 3 0 8 - 2 .0 1* *
土地改良区・ 組合の水利権者割合 0 .3 0 6 9 0 .3 7 2 6 1 .5 9 国管理ダミー - 0 .2 5 9 9 0 .0 4 6 5 - 0 .5 7 河川の水量 0 .0 0 0 0 0 .0 0 0 0 2 .3 6* * 観測数
疑似決定係数
4 5 0 .4 2 0 3
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444 -4-- 1.-1.1.水利権制度1.水利権制度 についての水利権制度水利権制度についてのについてのについての 考察考察考察 考察 (1)(1)
(1)(1) 水利権水利権水利権 の水利権ののの 必要性必要性必要性 必要性
水資源は誰でも無料で河川を自由に消費できる こととすれば,皆が十分に水を利用することがで きなくなるという,トレードオフの関係にある.こ れはいわゆる「共有地の悲劇」の問題となる. 共 有資源である以上,その所有権が明確でなければ,
過剰使用となり,水資源の枯渇という事態を招く 危険性がある.そこで過剰な水の利用を防ぐため には,水利権を定め権利関係を明確にし,その管 理が必要となる.
(2)(2)
(2)(2) 水利権水利権水利権 の水利権ののの 管理管理管理 管理
それでは,過剰な水の利用を防ぐために管理が 必要だとして,まず民間に取引をゆだねることを 考えてみる.これについては,コースの定理を適用 することができる.コースの定理によれば,利害関 係者は当事者で交渉し,誰が当初に権利をもって いたとしても,効率的な解決に到達することがで きる.しかし,当事者が増え相互の交渉が時間・
労力の点で多大な費用が掛かることになった場合 は,取引費用が大きいために交渉が成り立たなく なってしまう.その場合は,初期権利配分のまま固 定されてしまうことになる.特にかんがい用水の 場合は,土地改良区や自治区で水利権を共有して お り 関係 する 農民 が多 数存 在す る こと が考 えら れ,
取引費用がかかってしまう.そうすれば,政府等に より初期権利配分を設定することには意味がある といえる.
(3)(3)
(3)(3) 最適最適最適 な最適なな 水利権制度な水利権制度水利権制度水利権制度
政府で初期権利配分を設定する方法としては,
現行法のように河川管理者の許可制によるものが あるが,現行法の下では,水利権の優先順位は,
基本的に権利の成立の順序によることとされてお り,いわば早い者勝ちの既得権と化しているのが
実態となっている.そして,水利権の譲渡は,河川 管理者の承認を要し,譲渡の前後において,権利 の同一性が確保されていなければならず,水の活 用方法が限られてしまう.現行法によれば,水利権 の既得権化と譲渡制限の状態に陥っており,水の 効率的使用が妨げられている.
このことから,もっとも水の効率的活用を図る ためには,競争入札制度を取り入れるのが余剰を 最大化すると考える .高値の落札 者 に 権 利 配 分 し , 使 用料 を河 川管 理者 が得 るよう にす るも ので ある . また,その後の譲渡などの取引も自由に行い河川 管理者はこれを追認する形で許可をする.競争入 札をどの程度の期間ごとで行うかについては,さ らなる検討が必要となる.短期間で行えば,水の 効率的活用を図ることができる一方で,権利関係 が不安定になりがちで,水環境を無視した悪質な 利用が行われたりする可能性がある.反対に,長 期間で行えば,権利関係は安定し水資源の安全な 活用が行われる一方で,より活用できる者に権利 が移転せず,水の効率的活用を図れない可能性が あるため検討が必要である.このように競争入札 制度や譲渡自由の規則を取り入れることができれ ば,許可水利権,慣行水利権を問わず,まず権利 が白紙に戻ることにより,現状に寄り添った権利 関係の明確化をはかることができ,水の十分な活 用ができる者に権利が移転し,水の効率的な活用 を促すことができる.また,慣行水利権によって小 水 力発 電の 普及 が妨 げら れてい る状 態が 解消 され , 水の効率的活用の幅が広くなることにより,余剰 が最大化されることになるだろう.
444
4 -- 2.--2.2.2.発電水利発電水利発電水利発電水利 のののの 手続手続 き手続手続ききき 面面面 での面でのでのでの 提案提案提案提案
水利権制度自体の見直しにより,小水力発電所 の普及が図られるが,既得権である慣行水利権者 の反対により導入化には時間がかかるおそれがあ る.そこで,当面小水力発電所が設置しやすくす
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るために,手続き面による解消をはかる提案を行 う.(1) (1)
(1) (1) 発電水利手続発電水利手続発電水利手続発電水利手続 きのきのきの 簡素化きの簡素化簡素化 簡素化
従属発電の場合,河川の流量等に影響を与える ものでないためとして,許可水利権は発電水利権 申請手続の簡素化が図られているが
3
,慣行水利権 でも簡素化を図るべきである.許可水利権での従 属発電での手続が簡素化された理由として,河川 流量等の確認を許可水利権が許可された際に既に 行っていることがあげられる.しかし,慣行水利 権での従属発電であっても,河川の流量や品質に 影響を与えていないという実態には変わりなく,
また河川に影響を与えないのであれば,河川流量 等の確認を行う必要性もそもそもなく,慣行水利 権でも同じく手続きを簡素化すべきであると考え る.手続きの現状と改善案については次の図1,
2のとおりである.
図1
3
平成 17 年 3 月 28 日国土交通省河川局水政課水利調整 室長及び河川環境課流水管理室長通知
図2
(2)(2)(2)
(2) 許可制許可制許可制許可制 からからからから 登録制登録制登録制登録制 へへへ へ
現 在 の 許可 制 度で は 審査 が必要 で あ り, 許 可 を 受 け るま でに 時 間が かか る.そ こ で, より 小 水 力 発 電 所の 普及 を 促進 する ために は ,登 録制 と す べ き で ある .登 録 制に する ことに よ り, 事後 チ ェ ッ ク に より 適切 な 水利 を行 ってい る か管 理す る こ と が で き, 不適 切 な利 用を 行った 場 合は ,登 録 を 取 り 消 すこ とが で きる .河 川法第 2 3条 によ り , 水 利 の 許可 を受 け るこ とが 必要と さ れて いる が , そ れ は 目的 ごと に 許可 され るもの と 解さ れて お り , 従 属 元が かん が い用 水な どで許 可 され てい れ ば , 発 電 水利 とな る 従属 発電 は,別 に 許可 を受 け る 必 要 が ある .そ の ため ,但 書等に よ り, 従属 発 電 の 場 合 は登 録で 可 とす る旨 の河川 法 の改 正が 必 要 と なると考えられる.
5.5.5.
5. 今後今後今後今後 のののの 課題課題課題課題
水利権の競争入札導入にあたっては,周波数オ ークションについても研究をすすめる必要がある と考える.現在,国において,周波数オークショ ン制度の導入が検討されており
4
,手続きの透明化 を図り,新規事業者が参入し活性化されることが 期待されている.水利権の競争入札制度導入にお いても,同様の議論が必要であり,小水力発電が 注目されている現状からも,様々な角度から議論 を交わしていく必要がある.
4
総務省「周波数オークションに関する懇談会報告書 2012 年 12 月」
必要書類 必要書類 必要書類
必要書類((( 現状(現状現状)現状)) )
水力発電計画 水力発電計画 水力発電計画 水力発電計画 のののの
概要概要 概要概要
発電発電
発電発電 ににに 使用に使用使用使用 するするするする 水量水量水量水量 の
のの の 根拠根拠根拠根拠
河川流量 河川流量 河川流量
河川流量 ののの 確認資料の確認資料確認資料確認資料
発電発電
発電発電 のためののためののための 取水のための取水取水 が取水がが 可能が可能可能可能 かどうかの
かどうかの かどうかの かどうかの 計算書計算書計算書計算書
・・
・・ 河川維持流量河川維持流量河川維持流量河川維持流量 ののの 検討の検討検討 検討
・・
・・ 関係河川使用者関係河川使用者関係河川使用者関係河川使用者 ののの 取水量の取水量取水量 取水量
・・
・ 新規取水可能量・新規取水可能量新規取水可能量新規取水可能量 ととと 申請と申請 に申請申請にに 係に係係係 るる
るる 取水量取水量取水量取水量との関係
治水 治水治水
治水 ・・・・ 利水利水利水利水 ・・ 環境・・環境環境環境 へのへのへのへの 対策対策対策対策
関係河川利用者 関係河川利用者 関係河川利用者 関係河川利用者 のののの 同意書同意書同意書同意書
必要書類 必要書類必要書類
必要書類(((( 改善案改善案改善案改善案 ))))
水力発電計画 水力発電計画水力発電計画 水力発電計画 のののの
概要概要 概要概要
発電 発電 発電
発電 にににに 使用使用使用使用 するするするする 水量水量水量水量 の
のの の 根拠根拠根拠根拠
慣行水利権 慣行水利権慣行水利権 慣行水利権 にににに 従属従属従属
従属 するするするする 場合場合場合場合
従属従属
従属従属 するするする 場合する場合場合場合
工作物 工作物工作物
工作物 のののの 構造計画書構造計画書構造計画書構造計画書 ,,,, 設計図設計図設計図設計図