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資料 1 単元の学習内容の構造的把握 単元を指導するにあたり 診断的評価や前単元の学習状況により把握した生徒の実態を踏まえて 養いたい見方や考え方を明確にもつことを大切にした また 教材の特性やねらいとの関わりを明らかにした上で 社会的な見方や考え方を段階的に身に付けていくために単元の学習内容を構造

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資料1 単元の学習内容の構造的把握

単元を指導するにあたり、診断的評価や前単元

の学習状況により把握した生徒の実態を踏まえて、

養いたい見方や考え方を明確にもつことを大切に

した。また、教材の特性やねらいとの関わりを明

らかにした上で、社会的な見方や考え方を段階的

に身に付けていくために単元の学習内容を構造的

に把握することが必要であると考えた。

構造的に把握して教材研究をするために、次の

ような点に特に留意した。既習内容や学習内容相

互の関連性を明確にすること、

「どの時代でも(不

易)

「その時代ならでは(流行)

」あるいは「どの

地域でも(一般性)

「その地域でこそ(特殊性)」、

「自らの生き方に返すこと(公民的資質)」といえ

る特徴について多面的・多角的に考察する授業を

中核に位置付けること、などである。

本単元では、既習の知識、概念や技能を効果的

に活用しつつ、さらに本単元における基礎的・基

本的な知識、概念や技能が確実に習得できるよう、

学習内容を構造的に把握した。

歴史的分野では、

「その時代ならでは」の特色を

学ぶために、単元を構成する際、その時代の特色

を創り出した人々の営みを、単元の中核となる授

業で扱うように教材開発を行った。

本単元で学ぶ時代は、大陸文化の影響を強く受

けながら古代国家が成立していく過程を学ぶ単元

である。この時代のおおまかな特徴を捉えること

ができるように、以下のように単元構成の工夫を

した。

(ア) 本単元の学習内容とかかわる生徒の実態

を明らかにする。

(イ)本単元で身に付けたい力を明らかにする。

・この単元ならでは、この単元でこそいえる

全体的な特徴、身に付けたい学び方

(ウ)次の学習内容を見通して、出口の生徒の姿

を明らかにする。

(エ)前単元までの生徒の姿と、本単元の学習内

容を整理して、育てていきたい社会的な見方

や考え方を明らかにする。

①前単元での学習内容を基に導入の資料提

示の工夫をする。

②単元の中核となる授業を設定する。

③主として基礎的・基本的な知識、概念や技

能を習得する学習内容と、それらを活用し

てこの時代ならではの特徴を思考・判断す

る学習内容を、相互に関連付けながら構造

化する。

(オ)単元を貫く課題をどのように設定するのか

明らかにする。

(カ)本単元の評価問題を作成して次の単元の指

導に生かす。

東アジア世界との関わりと社会の変動 【身に付けたい力】 複数の視点や立場などから、室町時代ならではの特徴を多面的・多角的に考えることで、時代観を育てる。 ○資料の中のキーワードを取り上げて考え をもったり、複数のキーワードを関連付けて考え たりする力。 ○複数の考え方・立場の中から共通するものを見つけ出す力。 ○この時代ならではの特徴を概観する力。 【時代観】 中世において初めての武家政権である鎌倉幕府が滅亡して、後醍醐天皇は再び天皇中心の政治を目指したけれども、すでに社会 は武士の時代であり、必然的に足利尊氏による室町幕府が成立した。室町幕府成立当初は南北朝動乱により、日本は争乱の時代に あったけれど、3代将軍足利義満の力により、南北朝を合一し、朝廷の権力を吸収し唯一武士による中央集権体制が整えられた。しか し義満以後の将軍には、政治の力がなく幼い将軍やくじ引き将軍、将軍・管領の跡継ぎ争いなどにより権力が低下してしまう。一方で農 民をはじめとする民衆たちは、自分たちの生活を向上させるための工夫を積み重ね、力を蓄えていた。また惣や座などの組織を結成し て自分たちの生活を守る工夫もしていた。また飢饉などで生活が苦しくなったときには、団結して土一揆を起こし、力ずくで借金帳消しを 認めさせるなど、逞しく生きていることがわかった。これまでの時代に生きていた農民たちは、権力に対して従うだけだったのに、室町時 代の民衆は、団結して自分たちの要求を力で押し通そうとするなど社会全体が下剋上の世の中になったことがわかった。 【小学校での学習内容】 ◇室町幕府 ◇室町文化 【既習学習】 ◇鎌倉幕府の成立 ◇承久の乱 ◇御成敗式目 ※武家政権による全国支配 の様子がわかること 【次の学習内容】 「ヨーロッパ人との出会いと全国統一」 ◇戦国時代の下剋上の世の中 ・鉄砲・キリスト教伝来 ◇織田信長 ・楽市楽座、長篠の戦い ・一向一揆弾圧 ・南蛮貿易 ◇豊臣秀吉 ・太閤検地・刀狩り 【 単 元 を 貫 く 課 題 】 室 町 幕 府 が 成 立 し 、 再 び 武 士 の 政 権 が で き た の に な ぜ 世 の 中 は 乱 れ て し ま っ た の だ ろ う か 。 平安時代に武士が誕生し、二重支 配による政治体制が続いた。幕府を つぶそうとした承久の乱での幕府側 の勝利により、朝廷から幕府による 中央集権体制が確立し、武士による 政権交代が行われた。 下剋上の世の中に、ヨーロッパからの鉄 砲が伝来し、巧みに利用した織田信長が 戦国大名を制した。また各地の一向一揆 衆を徹底的に弾圧し、武力で全国を統一 する第1歩を切り開いた。その後を豊臣秀 吉が受け継いで100年余の戦国時代に 終止符を打った。 特別攻撃隊の出撃 【室町幕府と東アジア】 【民衆の団結と土一揆】 【室町文化の広がり】 幕府 ・将軍の代替わりに徳政のならわし ◇権力の低下 【産業の発展】 くらしに自信・交通と商業の発達 【応仁の乱】 【 単 元 の 振 り 返 り 】 ◇ 下 剋 上 の 世 の 中 へ ◇ 小 単 元 テ ス ト 【元寇と鎌倉幕府滅亡】 ◇元寇 モンゴル帝国 文永の役・弘安の役 【南北朝動乱】 ◇後醍醐天皇 建武の新政の失敗 ・天皇中心政権 室町幕府成立 ・征夷大将軍 ・管領 ・鎌倉府 ・幕府の財政 ◇武家政権 東アジア世界 ・勘合貿易 ・倭寇 ・琉球王国 農業 ◇二毛作 ◇商品作物 ・牛馬耕 手工業 ・機織 ・鍛冶師 ・紙すき 民 衆 の 活 躍 ◇北山文化 ※足利義満 ・鹿苑寺 ・能楽や狂言 基礎的な知識・概念・技能を活用して室町時代ならではの特徴を思考・判断・表現するための中核の授業 室町時代の認識を深めるための基盤となる知識の習得 ◇鎌倉幕府 ・執権 北条時宗 ・永仁の徳政令 ご恩と奉公の崩壊 ◇鎌倉幕府の滅亡 ・後醍醐天皇 ・足利尊氏 ◇足利尊氏 建武式目 ・武士政権 南朝 北朝 南 北 朝 動 乱 社会全体の安定 唯一の中央政権 商業 ◇土倉 ◇馬借 ◇座 跡継ぎ争い ◇有力守護の分裂 ・11年間で都は焼け野原に ・足軽の登場 ・幕府の衰退 戦 国 大 名 の 登 場 下剋上の世の中へ 国人・地侍 武装・リーダー 馬借 武装・情報 農民(土民) ◇惣のおきて ◇農業の発達 徳 政 要 求 団結 ◇東山文化 ※足利義政 ・慈照寺 ・水墨画や茶の湯 下剋上の世の中

第1学年 単元名 「東アジア世界とのかかわりと社会の変動」

(ア)

(イ)

(ウ)

(エ)

(オ)

(カ)

(2)

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○単 元 指 導 計 画 表 ( 第1学年 単元名「東アジア世界とのかかわりと社会の変動」全9時間)

単 元 指 導 目 標 東アジアとの関わりをふまえた元寇・南北 朝の争乱・室町幕府の成立・応仁の乱などの 社会的変化を調べること通して、武家社会の 変動と民衆の自治力の向上から権力が分散 し、下剋上の世の中へと変容していく過程を 理解することができる。 〔関心・意欲〕 室町時代に武士の支配がいかに浸透したかについて関心をもち、意欲的に追究しようとしている。 〔思考・判断・表現〕 室町時代の特色を多面的・多角的に考察することができる。 〔技能〕 室町時代へと変化の移り変わりがわかる資料を収集し,適切にまとめることができる。 〔知識・理解〕 室町幕府のしくみやこのころの社会の変化の様子を理解し,その知識を身に付けることができる。 ◆自ら学ぶための指導の手立て ・資料を読み取るための視点や読み取りのステップを提示して、多面的・多角的に考察できるようにする。 ◆言語活動の充実による仲間と練り合い高めあうための指導の手立て ・単元の中核の授業を位置付け、武家政治の進展から戦国の世の中に変容する室町時代の特色を,「民衆の成長」という視点からより広く考察した りする交流の時間を充実させ、社会的な見方や考え方を深めることができるようにする。 時 間 学習内容と指導目標 主な学習活動 関 ・ 意 思 半 表 技 知 ・ 理 評価規準 評価方法 個に応じた指導の手立て ① ② 第 1 時 〔元寇と鎌倉幕府滅亡〕 二度にわたる元寇とそれに 対する日本の対応や影響、二 度目の武家政権、その後の一 揆や荒廃した都の様子を調べ ることを通して鎌倉以後の社 会的な変化に気づき,単元を 通して考えたい課題意識をも つことができる。 ○モンゴル帝国の領土支配の範囲を 知る。 ○元寇後の社会の様子から、鎌倉幕府 が滅びたわけを考える。 ○新しい時代の人々の様子から山城 国一揆までを見通し、単元を貫く課 題を設定する。 ◎ ○ 東アジア世界の情勢と元寇後 の社会の様子をつかみ、新しい 時代への関心を高め、課題意識 をもとうとしている。 東アジアと新しい時代 の様子の全体像をつか んでいるかノートの記 述で把握する。 ◇鎌倉幕府の滅亡 の原因を既習内容 と比較できるよう に援助する。 ◇元寇の後の社会 の変化について、御 家人や幕府、朝廷と の関わりで新しい 時代への関心がも てるよう援助する。 第 2 時 〔南北朝の動乱〕 建武の新政から南北朝の動 乱に至る経過や動乱がもたら した武家社会の変化を理解す ることができる。 ○建武の新政の内容を調べる。 ○天皇・武士の立場から考える。 ○南北朝の動乱について対立の過程 をノートにまとめる。 ○足利尊氏が室町幕府を開いたこと を確認する。 ○ ◎ 建武の新政の内容とその崩壊 後の南北朝の動乱から、武士や 民衆の不満の様子を調べ、新た な武家政権の成立を理解してい る。 建武の新政の内容と失 敗の理由を、武士や民衆 の立場から理解できて いるかノートの記述で 把握する。 ◇朝廷と幕府の権 力の大きさを比較 させ、今までの時代 からの変化を理解 できるように援助 する。 ◇天皇による政治 が失敗し、60 年にわ たって乱れた理由 を、朝廷内の権力争 い、都の様子や武士 の不満などと関連 付けて説明できる よう援助する。 第 3 時 〔室町幕府と東アジアの変動〕 足利義満の功績を通して、 室町幕府のしくみや政策につ いて理解すると共に、倭寇と 勘合貿易の伸展や東アジア世 界の様子をつかむことができ る。 ○花の御所から気付いたことを発表 する。 ○鎌倉と室町の幕府のしくみを比較 し、共通点・相違点を考える。 ○勘合貿易と倭寇の様子を日本と明 の立場から調べる。 ○ ◎ 足利義満による幕府の伸展、 倭寇と勘合貿易との関連などか ら義満が室町幕府を強力にした ことを適切に調査し、まとめて いる。 室町幕府を強力に作り 上げた足利義満の業績 について、各資料から、 幕府のしくみ、倭寇と貿 易の関連など複数の事 象をもとに説明できる か、発言内容から把握す る。 ◇足利義満によっ て確立された幕府 のしくみを鎌倉幕 府と比較して丹念 に読み取ることが できるように援助 する。 ◇国内の様子、東ア ジア情勢などこの 頃の社会の様子を、 地図をもとに広い 視野から見つめる ことができるよう 援助する。 第 4 時 〔経済の発展〕 室町時代の衣食住の変化 から、その背景にある産業の 発達をつかみ、この時代の生 活や社会に引き起こした変 化を鎌倉時代と比較して考 えることができる。 ○二毛作の内容や普及の様子を調べ る。 ○手工業の発達の様子をまとめる。 ○市で行われていたことをまとめる。 ○ ◎ 農業の発達が手工業や商業の 発達を促し農村や都市が成長し てきたことを意欲的に追究し、 理解している。 この時代の産業の発達 の要因を、農業技術・手 工業・商業など資料を収 集し、活用できたかノー トの記述や発言内容か ら把握する。 ◇絵資料の人々の 様子(表情や行動) に着目させ、経済の 発展に気付くこと ができるよう援助 する。 ◇産業が発達した 要因を、貿易・二毛 作などの農業・市な ど広い視点からと らえ、関連付けてま とめることができ るよう援助する。 第 5 時 〔戦国大名と都市〕 応仁の乱を通して戦国大 名の成長と領国支配の様子 をつかみ、戦国大名が登場し たわけについて理解を深め る事ができる。 ○「下剋上」という言葉の意味を考え る。 ○戦国大名の領国支配の様子を調べ 発表する。 ○各地で栄えた自治都市の様子を確 認する。 ○ ◎ 幕府の権力が低下し、有力守 護大名らによる応仁の乱で、世 の中が戦国の世の中に突入した ことを理解している。 応仁の乱の内容とその 影響について理解し、下 剋上の世の中になった ことを理解できる。 ◇幕府の権威の低 下など、室町の最 初 の 頃と 比較 し て、大きな変化に 気付くことができ るよう援助する。 ◇応仁の乱後の戦 国大名の支配力に ついて理解できる よう援助する。

〔民衆の団結と一揆〕 徳政を要求して土民が立ち上 がり、酒屋・土倉・寺院を襲い、 借金の証文を破ったことなど一 揆の多さと一揆を起こすほどの 力があった要因を、馬借・地侍 などの様々な立場で資料から調 べ、考えたことをノートにまと めることができる。 ○正長の土一揆の碑文を読み取り、内 容を理解する。 ○誰がどんな力をもったのか理解し、 既習内容と比較して、課題意識をも つ。 ○一揆をおこすことができたわけを 資料から考察する。 ○ ◎ 土一揆を調べることを通し て、農村に自治的なしくみや考 え方が生まれたことを複数の 視点から資料に基づき事象を 関連付けて考察しノートにま とめている。 今までの農民と比較し ながら、農民の団結力 が高まってきたことを 資料から関連付けて考 察できているかノート の記述で把握する。 ◇今までの学習で、 農民とこの時代の 農民との違いに着 目することができ るよう援助する。 ◇農民を中心とし たこの時代に生き る人々の様子に着 目し、関連付けて まとめることがで き る よう 援助 す る。

〔民衆の団結と一揆〕 農民や民衆などが結集し、幕 府への要求を認めさせるまで の土一揆をおこす力があった 要因を、農民の立場を中心に、 馬借・地侍など様々な立場を関 連付けて一致団結して幕府に 対抗していく様子を考察する ことができる。 ○課題を確認する。 ○ペア交流をして考えを広めたり、自 分の考えを確かにしたりする。 ○全体交流で関連付けて考察する。 ○嘉吉の土一揆から検証する。 ○民衆による自治力についてまとめ る。 ◎ ○ 人々が一揆を起こし、国を治 めるまでに到ったのは、農民た ちを中心に自治的な考え方や 惣のしくみでまとまり、馬借や 地侍と結びついて支配者に対 抗していく力をもつようにな ったことを様々な立場から考 察している。 人々が一揆をおこす力 をもつことができた要 因を、様々な立場や新 たな事象から関連付け て考察できたかノート のまとめや発言内容で 把握する。 ◇農民や地侍、馬借 などの力が伸びた 事実に着目し、根 拠をもとに考える ことができるよう 援助する。 ◇力をもったわけ を農民や幕府、地 侍、馬借などの複 数の立場から資料 の事象をつなげて 考えることができ るよう援助する。

〔室町文化の広がり〕 公家の文化と武家の文化 が融合するなど複合的な文 化が生まれたことについて 理解を深める事ができる。 ○金閣寺・銀閣寺の違いを発表する。 ○北山文化と東山文化の内容につい て調べる。 ○芸能や文化、足利学校などについて まとめる。 ◎ ○ 複合的な文化を具体的な事例を 通して理解し、現在に引き継が れている室町の文化に関心をも っている。 北山文化と東山文化の 特徴を理解し、これら の文化が日本の伝統的 な文化として継承され ていることに関心をも つことができる。 ◇仏教、芸能、建築、 絵画、文学などの 視点でまとめ、特 徴を理解できるよ うに援助する。 ◇北山文化・東山文 化の特徴をそれぞ れまとめ、現代の 生活に継承されて いるものを具体的 に調べることがで き る よう 援助 す る。

〔室町時代のまとめ〕 単元を貫く課題をもとに、室 町時代を概観し、室町時代の特 徴をレポートにまとめることが できる。 ○単元を貫く課題について学習のま とめを書く。 ○小単元テストを行い、学習内容を整 理する。 ○ ◎ 室町時代の流れをつかむと共に 特徴をレポートにまとめてい る。 室町時代に対する時代 感をつかんでいるかレ ポートの記述から把握 する。 ◇重要なキーワー ドを示し、それら を使ってまとめる ことができるよう に援助する。 ◇室町時代の流れ をつかむ学習プリ ントで復習できる よう援助する。 元はなぜ二度も日本に攻めてきたのか。 室町幕府ができ再び武士の政権ができ たのになぜ世の中は乱れてしまったの だろう。 後醍醐天皇の政治によって社会はどの ように変化したか。 足利氏はどんな武家政治をめざしたの だろう。 社会が安定して人々はどんな産業を発 展させただろう。 戦国時代のきっかけとなった応仁の乱 とはどんな戦いだったのだろう。 今まで従うだけだった農民がなぜ各地 で一揆をおこす力をもつことができる ようになったのか 室町文化はどんな特徴があるのだろ う。 室町時代のまとめを書こう。

(3)

―4―

資料2 単元の中核となる授業における指導過程の工夫

(自ら学び、共に高め合うための指導の手立て)

段階

目指す生徒の姿

各学習段階における指導の手立て

自ら学ぶための指導

共に高め合うための指導

①導入

・提示された事象に興味・ 関心をもち、既習内容や生 活経験との相違に気付き、 疑問をもつことができる。 ・本時の学習内容に興味・関心、疑問をもつことができ るような価値のある社会的事象の提示を工夫する。 ・興味・関心を示す発言、疑問やつぶやきを聞き取り、 広める。

②課題把握

・本時に学習したい課題を 明らかにし、課題解決への 意欲をもつことができる。 ・提示された事象を示すキーワードやキーパーソンをも とに生徒の疑問を整理し、学級全員の興味・関心、疑問 となるような共通の課題を設定する。

③予想

・課題に対して、追究の視 点 や解 決 の 方法 に つ いて 見 通し を も つこ と が でき る。 ・課題に関係のある既習内 容や生活経験を想起し、 予想をもつことができる ように助言する。 ・予想を交流し合うことで、 課題追究の視点を明らか にし、課題解決の意欲を 喚起させる。

④個人追究

【追究①前半】

・課題解決につながる資料 を選択・活用し、事実を見 出し、それらに基づいて社 会的事象の意味や特色、働 き を意 欲 的 に追 究 す るこ とができる。 ・課題解決の視点や立場、 資料 の 読 み取 り の ステ ッ プを示し、本時の課題解決 のための道筋を確認する。 ・課題解決につながる情報 収集の方法を確認する。 ・前に集めて資料を例示し、 資料 の 見 方 や 考 え 方を 指 導する。

⑤小集団追究

【追究①後半】

・ペア

・グループ

・視点別

・個人追究で得た自分なり の 結論 を ペ アや 小 グ ルー プ など で 交 流し 合 う こと により、自分の考えをより 確かにし、学びを広めるこ とができる。 ・交流の目的意識や、方向 性をもたせる。 ・根拠をもとに発言したり、 仲間の意見との違いや共 通点に気付かせ たりして より考えを豊かなものに する。

⑥全体交流

【追究②】

言語活動の充実 ・複数の社会的事象を関連 付けたり、複数の立場から 考察したりして、積極的に 自分の考えを発言したり仲 間の意見を聞いたりする交 流の場を通して、課題につ いて思考と認識を深めるこ とができる。 ・自分の考えと仲間の考え と比較しながら聞き、考 えを深めるための視点を もつことができるよう指 導する。 ・生徒の考え方を類型化し、 自分とは異なる見方・考 え方について吟味する場 を位置付ける。 ・自分の考えを資料で示し ながら話したり、根拠をも とに論理的に話したりで きるような言語活動の充 実を図る。 ・交流の中で出てきた複数 の考えについて吟味し、深 めの発 問で 社会的 事象 の もつ意味を明らかにする。

【追究③】

・全体交流で得た結論を、 さ ら に 異 な っ た 視 点 か ら より多面的・多角的に考察 することで、実感・納得を 伴 っ た 理 解 を す る こ と が できる。 ・交流結果をより多面的・ 多角的に考察できるよう な新たな資料を提示し、 多面的・多角的に考察す る見方・考え方を示す。 ・全体交流で得た課題に対 する結論が、新たな資料 ( 他 の 社 会 的 事 象 や 立 場)から考えたときにも 同じことが言えるかどう か考えさせ、考えにより 深まりをもたせる。

⑦まとめ

・本時学んだ学習内容を、 キ ー ワ ー ド を も と に ま と めたり、自らの学習の変容 に つ い て 振 り 返 っ た り す ることができる。 ・課題追究するための視点 や立場を振り返りながら 課題につなげた考察の結 果や感想、疑問などをノ ートにまとめさせる。 ・本時の学習の流れがわか るような構造的板書を工 夫する。 ・生徒のまとめや感想を位 置付けて全体のまとめを 行う。 ・今後の見通しをもたせる。

(4)

―5―

○本時(第7時)の学習展開

教師の指導・援助

学 習 活 動

指導上の留意点

自ら学び共に高め合う指導の手立て

1.本時への導入を図る。 ・課題を想起する。 2.課題追究を行う。 ・前時に活用した資料の提示をし ておく。 [追究①]全体交流をする。 ・個で追究したこと、ペアで追究 した結果、さらに広まったこと を交流させる。 <資料ⅰ>農業の発達 <資料ⅱ>水争い <資料ⅲ>惣のおきて <資料ⅳ>地侍と馬借 [追究②] ・農民の立場を主に他の立場と関 連付けて考察させることで、社 会的弱者たちによる「団結」「徳 政要求」へ集約させる。 5.本時のまとめをする。 ・今まで立場の低かった農民が、 幕府に自分たちの要求を認めさ せるまでに到った過程をまとめ させる。 ○本時の学習への関心をもつ。 ・前時の自分の学びを振り返り、考えを確認する。 ○資料を基に課題を追究する。 ○ペアで自分の追究したことを交流しながら、考えを確かな ものにする。 ○全体交流で考えを広める。 ○農民に借金があるわけでもないのに、各地で一揆がたびた び起る理由を考える。 ・借金帳消しを求めているわけでなく、そこに住む農民が武 士と団結して、そこを支配している守護大名を追い出してし まっている。そして自分たちの力で自治を行っている。 ○個人追究の視点を明確にする。 ・1 枚プリントに追究の視点や資料読 みのヒントなどを記述しておく。 ○考える立場を確認する。 ①農民の立場を中心に、幕府、地侍、 馬借などの様子から ②理由を明らかにして ③既習内容と関連付けて 指導の手立て① ・農民や地侍、馬借などの力が伸び た事実に着目し、根拠をもとに考え ることができるよう援助する。 指導の手立て② ・力をもった理由を農民や幕府、地 侍、馬借などの複数の立場から資料 の事象とつなげて考えることがで きるよう援助する。 ○新たな資料(山城の国一揆)を提 示する。 ・必ずしも貧困による理由だけでな く、一揆をおこす事実から、民衆の 力の向上を別の視点で考察できる よう方向付ける。 ○本時の振り返りができるような構 造的な板書を工夫する。 【自ら学ぶための指導の手立て】 ○前時に使った資料(正長の土一揆)を 掲示しておき、課題設定の状況を想起 できるようにする。 ○ペア交流により、自分の考えを確かに もち、追究したことを広める。 【仲間と練り合うための指導の手立て】 ○交流する中で、一人一人の見方や考え 方を明らかにする。。 ○農民の立場を中心に、幕府・地侍・馬 借からの発言と関連付けて交流でき るように、交流内容の構造化を図る。 ○室町時代に生きた農民たちは、様々な 立場の民衆と結束して、くらしをより よくしようとし、借金帳消しを力で勝 ち取っていったことに集約できるよ うに、これまでの時代に生きた農民と 比較できるような切り返しの発問を 工夫する。 ○全体交流後半で集約した社会的思考 を違う視点(山城国一揆)から検証さ せることで、本当に民衆の力が逞しく なった事実をより多面的・多角的に深 めるようにする。 ○下剋上が社会のあらゆる所で始まっ たことに気付くことができるよう発 問を工夫する。

今まで従うだけだった農民が、

なぜ各地で一揆をおこす力をもつことができるようになったのか。

今までは、農民は強い力を持った領主や武士たちに従ってばかりだった。しかし自分たちの生活の工夫を重ねて力を蓄 えたり、地侍や馬借などの力と結びついたり、村で団結し惣というしくみをつくったりすることで、権力が弱くなった 幕府に抵抗していく力をもった。そして自分たちの要求を認めさせるだけでなく、守護大名を追い出してしまったこと がわかった。室町時代に生きた農民たちのエネルギーや団結力のすごさに感心した。 【本時の評価規準】 人々が一揆を起こし、国を治めるまでに到ったのは、農民たちを中心に自治的な考 え方や惣のしくみでまとまり、馬借や地侍と結び付いて支配者に対抗していく力を もつようになったことを様々な立場から考察している。 (社会的思考・判断・表現) 【評価方法】 人々が一揆をおこす力をもつことができた要因を、様々な立場や新たな事象から関 連付けて考察できたか、ノートのまとめや発言内容で把握する。 ・朝鮮の人たちが驚くほど農業の技術が進歩しているから、この 頃の農民たちは随分と力をつけたと思う。 ・水争いなどがもとで村同士が戦うことになっても、荘園領主の 力が弱くて何もしてくれないので、自分たちで土地を守るしか なく、農民も武力を身に付けたと思う。 ・村人の掟ができ掟を守ることで団結していった。 ・この頃の幕府は、将軍 といっても名ばかりで 権力が弱くなり、地方の 農民たちの不満を抑え ることができなくなっ ていた。 ・将軍が暗殺されるほど 政治が乱れている。

幕府の様子

・普段は農民を指図しているのに いざとなったら戦いをする地侍 たちが農民たちと結びついて、 地域ごとにまとまるようになっ た。 ・地方の農民たちに情報を与えた り、農民をリードしたりする立 場の人たちがいたから、一揆は 各地に広まった。

地侍・馬借の様子

農民の立場

「追究③」

<資料>山城国一揆

借金帳消しを求めていな

い山城の国でなぜ一揆が

おきたのだろう。

借金帳消しを求めて様々な民衆が団結 下剋上が社会に広がる

(5)

―6―

生徒が主体的に学ぶことができるようにする

ためには、生徒にとって必然性のある課題を設

定する必要がある。具体的には、次のような課

題を設定することが大切であると考える。

こうした課題づくりにおいては、導入時に提

示する資料が非常に重要である。例えば、複数

の資料を比較して変化を読み取る資料であるな

ら、違いが明確になっていることが大切である。

また、文章資料においては、ポイントになると

ころに着目できるような工夫を行うことが大切

になる。いずれにしても、全ての生徒が学習課

題を共有することができるか吟味して提示する

ことが大切であると考える。

○課題設定のために導入時に活用した資料(第6時)

・学習内容が端的に表現されているもの

・授業前の見方や考え方を変えたり揺さぶ

ったりするもの

・追究の見通しがもちやすいもの

・既習概念や先入観をくつがえすもの

民衆の成長と一揆 資料② 正長の土一揆(当時の記録) 「この日、天下の土民ど み んがいっせいに反乱をおこした。徳政を叫 び、酒屋さ か や・土倉ど そ う・寺社じ し ゃなどを襲ってこれをこわし、品物をかす めとるばかりでなく借 金しゃっきんしょうもん証 文を破りすてたりしている。国の滅 びるもととしてこれほどひどいものはない。日本はじまって以 来、土民が立ち上がったのは、これがはじめてである。」 (「大乗院日記目録」より) ※土一揆は、播磨は り ま・丹波た ん ば・伊勢い せ・大和や ま と一帯におよんだ。土つち一揆い っ きとは、荘園 領主・大名・高利貸しに対して、土民とよばれた農民や都市の庶民がおこ した行動をいう。 資料① 疱瘡ほうそう 地蔵岩じ ぞ う い わに刻み込まれた文字 「正長元年より先は、神戸か ん べ四ヶ郷よ ん か ご う(春日か す が大社たいしゃの荘園である大柳生おおやぎゅう・柳生やぎゅう・坂原さかはら・邑地む ら ち) に負い目おい めあるべからず」と書いてある。 ※徳政とくせいを要求し、それを承知させた。 (徳政:これまでの借金は帳消し) 作業 碑文ひ ぶ んの書いてある文字を鉛筆でなぞってみよう。 資料③ 一揆の発生件数 1428 年~ 100 年あまりの間

<必然性のある課題設定のために工夫したこと>

・導入時にしては多めの資料であるが、本時はじめて出てくる「土一揆」について、どの生徒も

が正しく理解することが、学習課題の共有につながると考え、作業的学習も含めて、より丁寧

な資料提示を心がけるとともに、内容を理解するための時間を十分確保した。

(第6時と第7時

の2時間続きの指導計画を立てたため、時間的余裕をもって、導入時における課題設定ができ

た。

・読み取った内容を全員で共有する時間を取るとともに、既習学習によって培ってきた「農民の

立場」に対するとらえと比較することで、為政者に対して抵抗することができなかった農民た

ちが、なぜここまで徹底的に抵抗することになったのか、という矛盾を捉えさせることができ

た。

資料3 生徒が学ぶ必然性のある学習課題の設定

疱瘡地蔵岩の全体の写真

(略)

Aの部分を拡大

した碑文の写真

(略)

一揆の発生件数を示した地図

(略)

(6)

―7―

生徒の思考が継続するよう、生徒自身に十分

に自分の考えを構築させたい。そのために自分

の考えを書く時間や考える時間を1時間の中で

十分確保することを心がけている。

そして、予想をもとに課題追究をするための

ポイント(=視点)を整理する。そうすることで、

生徒にとって視点がもて、それを足場に自分の

考えをつくることができる。

また、1枚プリントなど追究資料をもとに課

題追究をしている。資料の事実に線を引き、そ

こから分かることを資料に直接記入することで、

自分の考えがより明確になる。また、資料を1

枚にまとめることで、事実と事実をつなげて考

基礎的・基本的な知識、概念や技能の習得と

ともに、それらを活用して思考力・判断力・表

現力を高めることを大切にしていきたいと考え

る。特に、言語活動を伴った活動を意図的に位

置付け、仲間と練り合うことでより深い思考と

確かな判断ができ、新たな見方や考え方が獲得

できると考える。また、そうした学びこそが生

えることができるようになる。

【課題追究のポイント】

徒の実感・納得を伴った学びとなり、新たな追

究の意欲となっていくと考える。そこで、導入

から課題化を含めて、以下の図表のように、1

単位時間を授業を組織化し、追究を深める手立

て【追究①~③】を講じた。特に追究③では、

教師の意図的な指導を行った。

項目 ポイント 地 理 自然的条件 地形・気候・位置 社会的条件 産業・歴史・人口・文化・都市機能 他 地 域 と の 結 び付き 貿易・交通 人々の営み 思い・苦労 歴 史 人々の営み 為政者(天皇、貴族、武士、政府)・ 民衆(庶民、農民、国民) 出来事の関係 過去・現在・未来 時代の特徴 風潮・思想・他国との関係 公 民 社会 家族・地域・生産者・政府・国際社会 人々の営み 自分・住民・消費者・国民・日本人 規則性の意味 制度・機能・法律 今後の課題 問題点・対策

資料5 仲間と練り合い高め合う場の工夫 ~言語活動の充実~

追究①

追究②

深める 発問・疑問

追究③

資料4 身に付けた知識・技能を活用して、個人追究する場の設定

参照

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