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Academic year: 2022

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氏 名 居原田 真史 授 与 し た 学 位 博士

専攻分野の名称 薬学

学位記授与番号 博甲第4107号

学位授与の日付 平成22年3月25日 学位授与の要件 博士の学位論文提出者

(学位規則第5条第1項該当)

学位論文の題目 ほ乳類SLC17A1 及び5アニオン・トランスポーターの機能に関する 研究

論 文 審 査 委 員 教授 森山 芳則 教授 檜垣 和孝 准教授 合葉 哲也

学位論文内容の要旨

SLC17 ファミリーのトランスポーターは薬物動態や化学伝達において重要な役割を果たして

いると考えられている。SLC17A5 はアスパラギン酸やグルタミン酸を輸送した事から、小胞型 興奮性アミノ酸トランスポーター、VEAT と名付けた。アスパラギン酸については生体内に D 体も存在する事が報告されていたが、D-アスパラギン酸についてはまだ解析が進んでおらず、

輸送体をはじめ、放出機構についてもわかっていなかった。そこで VEAT について詳細に解析 したところ、VEATが D-アスパラギン酸も輸送している事がわかった。またINS-1E細胞に D- アスパラギン酸が存在し、これが脱分極刺激により開口放出される事も明らかにした。これらの ことから、D-アスパラギン酸は、VEATによって分泌小胞内に濃縮され、開口放出される事によ り機能していると考えられる。

一方SLC17A1であるNPT1はナトリウム依存的なリン酸トランスポーターとして見つかり、

その後の研究で有機アニオントランスポーターとしても機能している事が報告されていた。しか し、良い輸送活性測定系が無かったため、駆動力を含めその詳細はよくわかっていなかった。そ こでNPT1の輸送活性測定系を構築し、輸送メカニズムと基質特異性について解析した。

NPT1を昆虫細胞を用いた大量発現系により精製し、これを再構成したプロテオリポソームへ の基質の取り込みを調べる、という方法により輸送活性を測定した。代表的な有機アニオンであ るPAHを用いてNPT1を解析したところ、NPT1は膜電位差を駆動力としてPAHを輸送するこ とがわかった。さらに、この輸送には4 mM以上で最大活性を示す塩素イオン要求性がある事や 138番目のアルギニン(R138)が輸送に必須である事を明らかにした。そしてこれらの特性はリン 酸輸送には見られず、NPT1はそれぞれ異なるメカニズムによって有機アニオンとリン酸を輸送 していると考えられる。

ではNPT1が実際にどのような物質を基質にしているかを考えた。そしてSNPの解析の報告 から尿酸が基質の候補に挙がった。そこで尿酸を輸送するか調べると、予想通り膜電位差を駆動 力として輸送した。塩素イオン要求性を示し、R138が輸送に必須であった事などから、輸送メ カニズムも PAH 輸送と同様であるといえる。これにより、NPT1が新たな尿酸トランスポータ ーである事がわかった。NPT1 はこの他にも同様のメカニズムでアスピリンなどの親水性 NSAIDsも輸送した。

これらの結果から、NPT1 は膜電位差を駆動力として塩素イオン依存的に尿酸や親水性

NSAIDsを輸送する多基質性有機アニオントランスポーターであることがわかった。

(2)

論文審査結果の要旨

尿酸はプリン代謝の酸化最終生成物である。尿酸は強力な還元剤および酸化防止剤であ る一方、血中の尿酸濃度が高くなると高尿酸血症や痛風の原因となる。このため尿酸の体 内動態は厳密に制御されており、複数のトランスポーターが存在している。腎臓から尿へ 排出するトランスポータ−は不明であった。居原田は、SLC17A1およびA5についての機能解 析を行う中、SLC17A1が膜電位依存性に尿酸を排出する機能を有することを発見した。ま たこの解析方法を通風を発症するSNP変異体にも応用し、その輸送欠損の程度を定量的に明 らかにしつつある。さらに、居原田は、このトランスポーターの輸送活性を詳細に解析し、

このトランスポーターが尿酸以外に、アスピリンやサリチル酸のようなアニオン性薬物の 最終段階の排出体としても機能していることを発見した。

また、SLC17A5はアスパラギン酸のトランスポーターであり、D アスパラギン酸の分泌 小胞への濃縮と開口放出に関わるトランスポーターであることを見いだした。すなわち、

培養β細胞の分泌顆粒中にDアスパラギン酸が濃縮していること、その濃縮にSLC17A5が 関与することを見いだした。これは D 体アミノ酸が化学伝達をしていることを示す初めて の直接的な証拠である。一連の成果は、薬物動態学的にも生理学的にも重要であり、博士 論文にふさわしいものである。

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