佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 六 十 九 号 一 〇 二
わ
が
国
の
社
会
福
祉
教
育
の
今
日
的
課
題
と
専
門
職
の
動
向
社
会
福
祉
学
科
中
村
永
司
一 、 産 業 化 、 都 市 化 に お け る 社 会 福 祉 教 育 の 課 題 e 家 族 と 地 域 社 会 を と り ま く 社 会 的 現 実 家 族 が そ の 構 成 員 で あ る 生 活 主 体 者 と し て の 個 人 と 、 そ の 個 人 の 生 活 諸 要 求 を 満 す た め の 機 能 集 団 を 包 摂 す る 地 域 社 会 と を 結 び つ け る 媒 介 的 な 役 割 を に な わ さ れ て い る 以 上 、 家 族 の 地 域 社 会 に お け る 位 置 づ け や そ の 関 係 は 、 密 接 な 相 互 互 換 的 、 補 完 的 な 状 況 を 維 持 し て い る も の と 理 解 さ れ る 。 し た が っ て 家 族 は 地 域 社 会 の サ ブ シ ス ラ イ ム と し て 存 在 し 、 不 離 不 可 分 の 関 係 を も っ て 地 域 社 会 の 政 治 、 経 済 、 文 化 の 動 向 に 直 接 か か わ り 、 影 響 し 、 影 響 さ れ て き た 。 し か し わ が 国 の 場 合 、 高 度 経 済 成 長 政 策 が も っ と も 体 系 的 な 型 を と っ て 現 わ れ た 一 九 六 〇 年 代 以 降 、 家 族 と 地 域 社 会 と の 機 能 的 な 相 互 交 換 関 係 は 、 崩 壊 の 危 機 に さ ら さ れ て き た 。 特 に め ざ ま し い 動 き は 労 働 力 の 地 域 問 、 産 業 間の 移 動 で あ っ て 、 産 業 機 構 は 家 族 や 地 域 社 会 か ら 膨 大 な 数 の 労 働 者 の 調 達 を は か り 、 女 子 労 働 者 を も 家 族 か ら 引 き 出 し 、 ま さ し く 現 代 家 族 の 機 能 を し て 、 労 働 力 の 排 出 と そ の 再 生 産 の み を 中 心 的 な 役 割 に す る よ う な 観 を 与 え た 。 そ の こ と は と り も な お さ ず 家 族 や 地 域 社 会 の 文 化 や 共 属 性 、 連 帯 性 を 奪 い 、 個 人 を 家 族 か ら 引 き 離 し 、 さ ら に 家 族 O を 地 域 社 会 か ら 分 離 さ せ る こ と を 意 味 し た 。 か く し く 家 族 や 地 域 社 会 は 、 既 存 の 家 族 関 係 や 役 割 関 係 、 地 域 社 会 関 係 を 自 ら 変 え ざ る を え な い 状 況 に 立 た さ れ た 。 こ の よ う に 家 族 や 地 域 社 会 の 構 造 、 機 能 、 文 化 に 著 し い 変 化 を 及 ぼ し た 要 因 は 、 ま さ し く 現 代 社 会 に お け る 近 代 化 、 産 業 化 、 都 市 化 と い わ れ る 諸 現 象 で あ る 。 す な わ ち 近 代 化 に よ る ﹁ 合 理 的 な 価 値 の 優 位 、 機 能 的 分 化 、 業 績 主 義 、 個 人 の 身 分 的 、 地 域 的 束 縛 か ら の 解 放 ﹂ に よ っ て も た ら さ れ た も の は 、 家 族 の 構 造 や 形 態 の 単 純 化 と 機 能 の 縮 少 化 で あ っ た 。 そ の 結 果 、 家 族 成 員 の 結 合 力 が 弱 ま り 、 対 立 や 葛 藤 が 生 じ や す く な り 、 そ れ を 受 け と め る は ず の 地 域 社 会 の 環 境 条 件 は 、 貧 弱 で あ っ て 、 家 族 生 活 の ぜ い 弱 性 や 混 乱 を く い と め る べ き 防 衛 基 盤 に な り え な い 。 そ れ は 地 域 の 伝 統 文 化 の 崩 壊 と そ れ に と も な っ て 生 じ る 社 会 連 帯 性 の 喪 失 、 地 域 住 民 の 相 互 の 依 存 関 係 の 解 体 、 地 域 社 会 資 源 の 不 備 な ど に よ っ て 生 じ る も の と 考 、え ら れ る 。 ま た 産 業 化 に よ る ﹁ 生 産 構 造 の 機 械 化 、 高 度 の 組 織 化 と と も に 技 術 の 向 上 、 合 理 主 義 、 地 域 的 、 階 層 的 移 動 の 高 度 化 な ど 、 広 い 領 域 に わ た る 社 会 構 造 の 変 化 ﹂ は 、 人 口 の 向 都 現 象 、 核 家 族 化 、 都 市 的 生 活 様 式 へ の 変 化 、 住 宅 難 な ど の 生 活 問 題 を 引 き 起 し た 。 特 に 家 族 の 機 能 は 高 度 な 社 会 化 に よ り 、 増 々 縮 少 化 さ れ 、 そ の 縮 少 さ れ た 分 だ け 、 地 域 社 会 へ の 依 存 度 は 高 め ら れ た は ず で あ っ た が 、 実 際 は 地 域 社 会 を 越 え て 職 場 環 境 へ の 密 着 性 を 強 め て い っ た 。 (大 ・ 中 企 業 の 労 働 者 へ の 生 活 保 障 、 福 利 厚 生 は 手 あ つ い も の に な っ て い る ) さ ら に 都 市 化 に よ る ﹁ 都 市 生 活 様 式 わ が 国 の 社 会 福 祉 教 育 の 今 日 的 課 題 と 専 門 職 の 動 向 一 〇 三
佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 六 十 九 号 〇 四 の 変 化 と 拡 散 、 お よ び 人 間 関 係 の 変 質 ﹂ は 意 識 面 で は 合 理 主 義 ・平 等 主 義 が 強 調 さ れ た が 、 そ れ が 家 族 の 不 安 定 性 を 招 ② き 、 夫 婦 ・ 親 子 関 係 の 対 立 、 葛 藤 、 親 族 扶 養 問 題 を 提 起 せ し め た 。 同 時 に 地 域 社 会 は 孤 立 無 縁 化 し た 家 族 を つ な ぎ と め 、 社 会 的 に 有 効 な 手 だ て を も っ て 、 具 体 的 に 支 援 す る 力 を ほ と ん ど も っ て い な い 。 総 じ て 近 代 化 、 産 業 化 、 都 市 化 は 、 過 密 、 過 疎 問 題 、 住 宅 、 交 通 問 題 、 さ ら に 生 活 基 盤 の 未 整 備 に よ る 都 市 家 族 の 孤 立 化 、 家 族 成 員 の 分 散 化 を も た ら し 、 経 済 生 活 面 で は 消 費 者 物 価 の 高 謄 に よ る 生 活 不 安 の 増 大 、 共 働 き 家 庭 の 増 加 な ど 、 社 会 構 造 上 の 問 題 や 矛 盾 を 表 面 化 さ せ た 。 地 域 社 会 に あ っ て は 、 地 域 住 民 の つ な が り の 稀 薄 化 に よ り 、 地 域 的 連 帯 の 基 盤 が 失 わ れ 、 地 域 社 会 の 集 団 や 団 体 へ の 参 加 も そ こ な わ れ 、 地 域 集 団 そ の も の が 弱 体 化 す る こ と に よ っ て 、 各 種 の 行 事 が 乏 し く な り 、 生 活 習 慣 、 伝 統 的 文 化 様 式 、 価 値 基 準 の 喪 失 を 生 じ さ せ た 。 こ の こ と は 個 々 の 家 族 文 化 や 価 値 体 系 を 分 断 、 多 様 化 さ せ る ば か り で な く 、 地 域 社 会 そ の も の の 解 体 を も 進 め る 結 果 と な っ た 。 わ れ わ れ の 最 大 の 関 心 は 、 こ れ ら の 家 族 、 地 域 社 会 問 題 か ら 生 み お と さ れ る 貧 困 、 障 害 、 疾 病 、 住 宅 、 及 び 地 域 生 活 環 境 の 劣 悪 性 、 家 族 内 人 間 関 係 の も つ れ な ど に 直 面 し て い る 児 童 、 病 人 、 身 障 者 、 老 人 な ど に 対 し て 金 銭 的 、 物 的 手 段 に よ る 、 経 済 的 扶 養 や 身 の 回 り の 世 話 や 看 護 の 問 題 を 明 ら か に し 、 さ ら に 社 会 関 係 や 人 間 関 係 の 疎 外 に よ る 自 殺 、 貧 困 、 非 行 、 暴 力 、 離 散 な ど の 人 格 病 理 や 情 緒 的 安 定 の 喪 失 な ど の 、 諸 問 題 の 発 見 や そ の 生 成 の メ ヵ ニ ズ ム を 追 求 し 、 有 効 で 適 切 な 社 会 福 祉 的 援 助 を 提 供 し う る よ ③ う に す る と こ ろ に あ る 。 そ う し て 個 々 の 家 族 生 活 を 保 護 、 強 化 し て 、 家 族 成 員 の 社 会 的 機 能 を 高 め 、 同 時 に 地 域 住 民 の 基 本 的 ニ ー ド で あ る 、 健 康 で 文 化 的 な 必 要 最 低 限 の 生 活 基 般 皿 の 整 備 と 確 保 を め ざ し て 、 展 開 さ れ る 地 域 社 会 ミ ニ マ ム の 発 想 と 論 理 の 追 求 を 進 め る も の で あ る 。
口 わ が 国 の 社 会 福 祉 の カ リ キ ュ ラ ム 上 の 問 題 点 わ が 国 の 大 学 教 育 で こ れ ら の 問 題 に 直 接 対 処 し う る 教 科 は 、 家 族 福 祉 論 、 地 域 福 祉 論 、 コ ミ ュ ニ テ ィ ー オ ー ガ ニ ゼ ー シ ョ ン 、 ソ ー シ ャ ル ア ク シ ョ ン 、 地 域 福 柾 計 画 、 地 域 ケ ヤ ー な ど に 集 約 さ れ る が 、 他 に こ れ ら の 問 題 の 周 辺 を 担 う 教 科 と し て 児 童 福 祉 論 、 老 人 福 祉 論 、 障 害 者 福 祉 論 、 医 療 福 祉 論 、 産 業 福 祉 論 、 婦 人 福 祉 論 な ど 上 げ ら れ る 。 こ れ ら は い ず れ も 社 会 福 祉 カ リ キ ュ ラ ム の 特 殊 部 門 に 位 置 づ け ら れ て い る も の で あ る 。 こ れ ら の 家 族 及 び 地 域 生 活 問 題 に 対 応 す る 上 記 教 科 目 の 性 格 や 内 容 は 、 少 く と も 住 民 主 体 の 原 則 で 進 め ら れ な け れ ば な ら な い 福 祉 教 育 を 、 大 学 の 自 治 の 原 則 を 先 行 さ せ る こ と に よ っ て 、 住 民 不 在 の 教 育 に な っ て し ま っ て い る 。 こ れ は わ が 国 の 教 育 体 系 が 実 学 を 軽 ん じ 、 理 論 を 重 ん じ る 伝 統 的 な 学 風 に 支 配 さ れ て い る た め で あ る 。 わ が 国 の 社 会 福 祉 の 教 育 内 容 上 の 問 題 点 は 、 歴 史 的 に ア メ リ カ の 教 育 形 態 を 導 入 し て 以 降 、 い ま だ 日 本 の 実 情 に 合 っ た も の に な り き っ て い な い こ と で あ る 。 そ の た め に 福 祉 教 育 の 基 礎 が 機 能 、 技 術 主 義 的 傾 向 に 強 く 、 社 会 問 題 対 策 と し て の 社 会 福 祉 認 識 や 社 会 科 学 的 認 識 と の 問 で 、 い ま だ 統 一 的 な 見 解 が 出 さ れ て い な い 。 社 会 問 題 へ の 認 識 を 高 め 、 そ れ を 攻 略 す る た め の 知 識 の 体 系 を 、 カ リ キ ュ ラ ム に ど の よ う に 構 築 す る の か 、 さ ら に 住 民 の 主 体 性 を 考 慮 し 、 住 民 の 生 活 要 求 を 堀 り お こ し 、 そ の 要 求 を 福 祉 教 育 に ど う 吸 収 さ せ 、 展 開 さ せ て い く か は 、 ま だ 合 意 の 域 を 出 て い な い 。 そ れ と 同 時 に 教 科 の 内 容 の 系 統 性 の 問 題 や ミ ニ マ ム な 知 識 量 、 教 育 方 法 な ど 、 い ず れ も 共 通 の コ ン セ サ ン ス は 得 ら れ て い な い 。 い ず れ に し ろ 今 後 の 社 会 福 祉 教 育 に 期 待 さ れ る も の は 、 基 本 的 に 個 人 の 生 活 権 保 障 の 確 保 を 前 提 と し て 、 ケ ー ス ワ ー ク 、 グ ル ー プ ワ ー ク が 犯 し て き た 個 人 を 個 人 と し て 把 握 、 処 遇 す る の で な く 、 家 族 や 地 域 社 会 関 係 の 脈 略 で 理 解 し 、 生 活 体 系 の 全 体 の 中 に わ が 国 の 社 会 福 祉 教 育 の 今 日 的 課 題 と 専 門 職 の 動 向 一 〇 五
佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 六 十 九 号 一 〇 六 位 置 づ け る よ う な カ リ キ ュ ラ ム の 統 合 化 や 再 編 成 が 要 求 さ れ よ う 。 日 社 会 福 祉 教 育 の 展 開 ① 地 域 ( 福 祉 ) 文 化 論 、 地 域 福 祉 経 済 論 の 設 定 に つ い て 個 人 i 家 族 -地 域 社 会 の 統 合 化 と 、 こ れ ら が 有 す る 社 会 生 活 問 題 の 解 決 を 教 育 的 実 践 で 試 み る 方 法 は 、 い ま だ 試 論 の 域 を 出 て い な い 。 産 業 化 、 都 市 化 の 動 向 に 従 っ て 、 家 族 的 、 地 域 的 連 帯 の 基 盤 が 弱 め ら れ 、 家 族 や 地 域 共 同 体 の 秩 序 の 解 体 が 進 行 す る 中 で 、 新 た な ﹁ 地 域 住 民 の 意 識 の 統 合 体 ﹂ と し て 地 域 社 会 を 再 認 識 す る 動 き が 顕 著 で あ る 。 地 域 社 会 の 基 礎 を 形 成 す る も の は 、 地 域 性 と 地 域 社 会 感 情 の 両 特 性 で あ る が 、 特 に 地 域 社 会 感 情 は 、 地 域 社 会 の 文 化 や 習 俗 、 そ し て 地 域 生 活 の 利 害 関 心 に よ っ て 強 め ら れ る 。 す な わ ち 地 域 社 会 は 、 社 会 感 情 の 構 成 要 素 た る 文 化 や 習 俗 、 利 害 関 係 に よ っ て ﹁ 人 間 性 の 回 復 の 場 、 情 緒 的 安 定 の 場 、 共 通 の 利 害 価 値 の 次 元 ﹂ で 把 握 さ れ る も の で あ る 。 ④ そ う し た 意 味 で 、 こ れ ら 文 化 や 習 俗 、 利 害 関 心 は 、 地 域 社 会 形 成 上 の 不 可 欠 の 要 件 で あ る 。 文 化 の 機 能 は 社 会 の 維 持 存 続 的 側 面 と 成 員 の 欲 求 充 足 の 側 面 の 両 者 を 含 み 、 習 俗 は 地 域 性 を 特 徴 づ け る も の で あ る 。 さ ら に 地 域 社 会 の 利 害 関 心 は 、 地 域 内 の 住 民 を 物 的 、 心 理 的 に も 相 互 に 密 着 さ せ 、 特 に 地 域 内 の 生 産 基 盤 や 組 織 、 消 費 生 活 に 密 接 に 関 わ っ て い る 。 そ れ に 家 族 も 必 然 的 に 地 域 文 化 や 習 俗 に 影 響 さ れ 、 地 域 経 済 に 直 接 か か わ っ て い る 。 そ こ で 、 こ の 地 域 社 会 を 成 立 さ せ る 条 件 や 要 素 を み な お し 、 そ れ ら を 媒 体 と し て 地 域 社 会 の 再 編 と 家 族 機 能 の 回 復 を は か る 方 法 と し て 、 地 域 (福 祉 ) 文 化 論 と 地 域 福 祉 経 済 論 を カ リ キ ュ ラ ム に 編 成 さ せ る 必 要 が あ る 。 ④ 地 域 (福 祉 ) 文 化 論 の 必 要 性 は 、 過 去 に 伝 統 的 文 化 様 式 の 欠 落 に よ っ て 、 家 庭 で の 子 供 の 養 育 規 準 を 失 わ せ 、
個 々 の 家 族 を 孤 立 化 さ せ 、 そ の 上 家 族 内 人 間 関 係 を 稀 薄 化 さ せ 、 ひ い て は 地 域 社 会 解 体 の 原 因 に も な っ た こ と を 反 省 し て 、 地 域 的 連 帯 を 確 保 し 、 一 定 の 地 域 社 会 に お け る 家 族 成 員 の 一 人 一 人 が 、 ア イ デ ン テ ィ テ ィ ー を 獲 得 し う る よ う に 地 域 社 会 を 再 編 成 さ せ る た め の も の で あ る 。 流 動 的 な 現 代 社 会 に あ っ て 、 地 域 共 同 体 的 秩 序 か ら 解 き は な た れ た 個 人 が 、 地 域 住 民 の 意 識 の 統 合 体 と し て 新 な 地 域 社 会 づ く り を 目 ざ し て 、 地 域 へ の 依 存 と 協 力 を 獲 得 す る た め の 原 点 と し て 、 同 じ 地 域 社 会 に 生 き る 者 同 志 の 共 感 と 共 属 意 識 を 支 え る た め の 地 域 文 化 の ほ り お こ し と 振 興 は 、 地 域 的 連 帯 を 深 め る 重 要 な 鍵 を 提 供 し て く れ よ う 。 ⑤ 地 域 社 会 へ の 共 属 意 識 や 連 帯 に か か わ る 地 域 文 化 の 基 盤 は 地 域 に 根 ざ し た 生 産 と 消 費 の 経 済 的 循 環 や 自 治 体 の 地 域 経 済 政 策 、 予 算 使 途 な ど に 、 ド ッ キ ン グ さ れ て 始 め て 強 化 さ れ る も の で あ る 。 地 域 社 会 の も た ら す 家 族 経 済 生 活 の 便 益 、 生 活 物 資 の 供 与 や 講 買 条 件 の 整 備 な ど 地 域 固 有 の 経 済 政 策 を 点 検 し ﹁ 効 果 的 な 経 済 循 環 を 復 活 さ せ る よ う な 地 域 経 済 シ ス テ ィ ム の 再 建 、 安 定 し た 雇 用 機 会 の 創 出 、 消 費 購 買 チ ャ ン ス の 拡 大 や 消 費 者 保 護 の 条 件 整 備 な ど ﹂ を す す め る こ と に よ り 、 地 域 住 民 の 地 域 経 済 生 活 の 基 礎 強 化 を は か り 、 快 適 な 生 産 i 消 費 生 活 を 送 る た め に 、 0 地 域 の 経 済 の 理 論 や 知 識 に 精 通 し て お く 必 要 が あ る 。 そ の た め に 地 域 福 祉 経 済 論 な る カ リ キ ュ ラ ム を 設 定 し 、 地 域 社 会 経 済 の サ イ ク ル を み な お し 、 地 域 の 経 済 的 生 活 基 盤 の 強 化 と 再 建 を は か ら な け れ ば な ら な い 。 そ れ は も ち ろ ん 地 域 社 会 と 国 家 を 貫 く 経 済 政 策 に 依 拠 し 、 そ の 原 理 を 追 求 し つ つ 、 家 族 の 保 護 と 地 域 の 再 出 発 を 主 眼 に お い て 展 開 さ れ な け れ ば な ら な い こ と は 言 う ま で も な い 。 ② 社 会 福 祉 実 習 に つ い て 社 会 福 祉 は す ぐ れ て 実 学 的 、 実 践 的 な 性 格 を 有 し て い る た め 、 フ ィ ー ル ド ワ ー ク を 重 要 視 さ れ 、 実 習 は 不 可 欠 の わ が 国 の 社 会 福 祉 教 育 の A コ 日 的 課 題 と 専 門 職 の 動 向 3 一 〇 七
佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 六 十 九 号 一 〇 八 要 件 と な っ て い る 。 従 来 の 実 習 内 容 や 形 式 は 、 社 会 福 祉 施 設 や 機 関 で の 社 会 福 祉 の マ ン パ ワ ー の 確 保 と 、 質 的 鍛 練 を 目 的 と し て 展 開 さ れ て き た 。 こ の よ う な 大 学 や 学 生 自 身 、 あ る い は 実 習 施 設 に み か え り が あ る よ う な 実 習 内 容 か ら 脱 却 し て 、 家 族 や 地 域 社 会 に 貢 献 で き る よ う な 実 習 方 法 を 検 討 し な け れ ば な ら な い よ う に 考 え る 。 そ の た め に は 家 族 、 地 域 問 題 が 認 識 さ れ 、 地 域 住 民 の 基 本 的 欲 求 -経 済 的 安 定 、 職 業 的 安 定 、 家 族 関 係 の 安 定 と 住 宅 の 保 障 、 教 ⑥ 育 の 機 会 、 社 会 的 協 同 の 機 会 、 文 化 娯 楽 の 機 会 1 の 充 足 及 び 疎 外 状 況 を 点 検 し 、 社 会 福 祉 サ ー ビ ス の 供 給 過 程 を み な お し 、 さ ら に 生 活 環 境 、 地 域 社 会 関 係 の 実 態 を 分 析 し て 、 問 題 の 提 起 を 行 い 、 地 域 の 生 活 改 善 に 結 び つ け ら れ る よ う な 理 論 的 、 研 究 的 な 社 会 調 査 実 習 の 導 入 を 強 調 し た い 。 ③ 大 学 教 育 機 関 と 地 域 社 会 大 学 教 育 機 関 の 地 域 社 会 へ の 貢 献 と し て 、 社 会 福 祉 計 画 の 推 進 と 実 践 化 の た め の モ デ ル の 開 発 、 研 究 資 料 の 提 供 、 大 学 施 設 の 開 放 (聴 講 制 度 、 卒 業 教 育 制 度 、 公 開 講 座 ) 、 大 学 と 現 場 の 実 践 家 と の 共 同 研 究 な ど 行 い 、 地 域 住 民 や 行 政 、 施 設 職 員 と の 共 同 を は か り 、 福 祉 の 向 上 に 資 す る よ う に 努 力 す る 。 ま た 大 学 は 地 域 社 会 に あ る す ぐ れ た 実 践 家 を 招 い て 、 講 義 を 依 頼 し 、 で き れ ば 大 学 と 施 設 、 機 関 と の 人 事 交 流 を 制 度 化 さ せ て 、 両 者 の 発 展 を 期 待 し た い と こ ろ で あ る 。 わ が 国 の 学 問 の 基 本 的 な 特 徴 は 、 実 践 の 科 学 に 対 す る 認 識 が 低 く 、 理 論 の 構 築 と 体 系 化 、 準 拠 枠 の 設 定 と 学 的 根 拠 の 追 求 な ど を 旨 と し て 展 開 さ れ て き た 。 社 会 福 祉 も そ の 傾 向 に 動 か さ れ 、 学 と し て 確 立 さ せ る こ と に 重 点 が 置 か れ 、 現 代 社 会 の 生 き て い る 社 会 的 な 問 題 や 課 題 に 十 分 に 対 応 し 切 れ な い と こ ろ が あ る 。 そ れ は わ が 国 の 教 育 体 系 が 国 立 大 学 を 中 心 と し て 進 め ら れ 、 国 立 大 学 の 水 準 に 収 れ ん さ れ て 、 ア カ デ ミ ッ ク な 論 理 追 求 を 先 行 さ せ 、 現 実 的 な 問 題
に 対 す る 柔 軟 性 に 欠 け る き ら い が あ る か ら で あ る 。 わ が 国 の 文 部 行 政 は 、 社 会 福 祉 の よ う な 現 実 的 な 生 活 問 題 に 対 処 す る 学 問 領 域 の 発 展 、 開 発 に は 消 極 的 で あ る 。 い ま だ 国 立 大 学 に は 社 会 福 祉 系 の 学 部 も 学 科 も 開 設 さ れ て い な い 。 と こ ろ で わ が 国 の 社 会 福 祉 系 の 大 学 、 大 学 院 の 学 科 に お け る カ リ キ ュ ラ ム を 設 定 す る 大 学 規 準 協 会 の カ リ キ ュ ラ ム 0 は 、 家 族 、 地 域 社 会 の 再 組 織 化 に 関 す る 論 点 を 網 羅 す る よ う に 編 成 さ れ て は い な い 。 そ の 点 早 晩 の 内 に 変 更 せ ざ る を え な い で あ ろ う 。 近 年 特 に ヨ ー ロ ッ パ ( 英 国 ) の 社 会 福 祉 の 動 向 に 影 響 さ れ て 、 家 族 、 地 域 社 会 の み な お し を お こ な い 、 家 族 、 地 域 社 会 の 機 能 の 補 強 、 開 発 を 志 向 す る こ と に よ っ て 地 域 の ボ ラ ン テ ィ ア の 組 織 を 養 成 し 、 そ れ を 住 民 の 二 i ズ に 結 び つ け る よ う な 動 き が あ る 。 特 に 、 老 入 世 帯 に 対 す る 給 食 サ ー ビ ス や 入 浴 サ ー ビ ス 、 在 宅 ケ ヤ i 、 地 域 ケ ヤ ー な ど の 制 度 化 を 試 み る こ と に よ っ て 、 日 本 型 の 福 祉 の 実 践 を 開 拓 、 実 行 す る 動 き が 活 発 に な っ て き た 。 し か し こ れ ら の 動 向 を 大 学 の カ リ キ ュ ラ ム に ど う 位 置 づ け 、 定 見 を ど う 獲 得 す る か 、 そ の 方 策 は 簡 単 に み 出 し え な い 。 生 活 者 の 論 点 に 立 ち 、 彼 ら の ニ ー ズ に ダ イ ナ ミ ッ ク に 対 応 で き る カ リ キ ュ ラ ム の 編 成 が 望 ま れ る 。 そ れ と 同 時 に 、 近 年 特 に こ の よ う な 日 本 の 社 会 風 土 に 適 合 し た 、 日 本 型 社 会 福 祉 の 必 要 性 と 共 に 、 最 近 社 会 福 祉 界 で 、 活 発 な 動 き と な っ て い る も の が 、 専 門 職 の 実 現 へ の 強 力 な 要 求 と 働 き か け で あ る 。 お よ そ 社 会 福 祉 教 育 の 当 面 の 目 的 は 教 育 主 体 の 知 識 の 高 度 化 と 先 進 理 論 の 構 築 に あ る こ と は 言 う に 及 ば ず 、 そ れ に も 増 し て 重 要 な こ と は 教 育 対 象 に 対 す る 知 識 技 術 の 修 得 や 実 践 的 行 為 、 方 法 の 伝 授 に あ る 。 そ れ は ひ と え に 専 門 職 の 価 値 基 盤 に 支 え ら れ た 専 門 職 の 規 準 の 設 定 と そ の 実 現 化 に あ る 。 次 に わ が 国 の 専 門 職 の 現 状 と 動 向 を さ ぐ っ て み た い 。 わ が 国 の 社 会 福 祉 教 育 の 今 日 的 課 題 と 専 門 職 の 動 向 一 〇 九
佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 六 十 九 号 一 一 〇 二 、 日 本 の 専 門 職 の 現 状 で の 問 題 点 と 動 向 O 専 門 職 の 概 念 専 門 職 ( p r o fe s s io n ) と い う 言 葉 の 意 味 で あ る が 、 わ れ わ れ は ﹁ 専 門 的 技 能 ﹂ ﹁ 専 門 的 知 識 ﹂ ﹁ 専 門 家 集 団 ﹂ な ど 、 専 門 と い う 用 語 を 日 常 し ば し ば 使 用 し て い る が 、 ﹁ 専 門 職 ﹂ と は 何 か 。 そ の 概 念 、 属 性 に つ い て 明 確 化 す る こ と な く 、 安 易 に 使 っ て き た 。 そ の た め に 専 門 職 に 対 す る 一 定 の 定 見 も 、 社 会 的 合 意 も 得 ら れ な い ま ま に 今 日 に 到 っ て い る 。 そ こ で 専 門 職 と い う 用 語 の 概 念 枠 を 把 握 し 、 専 門 職 と い わ れ る 職 業 の 現 状 で の 問 題 点 を 明 ら か に し て い き た い 。 プ ロ フ ェ ッ シ ョ ン と 同 類 の 意 味 を 有 す る 言 葉 に ス ペ シ ャ リ ス ト と い う 言 葉 が あ る 。 英 国 で は 一 般 的 ソ ー シ ャ ル ワ ー カ i (g e n e r ic . S o c ia l w o r k e r ) と は 別 に ω ℃ ① 9 巴 房 ≦ o 蒔 Φ 同 と い う 専 門 職 が あ る 。 ス ペ シ ャ リ ス ト と は 障 害 児 者 、 未 婚 の 母 、 戦 傷 病 者 、 犯 罪 者 、 そ れ ら の 家 族 な ど 、 そ れ ぞ れ の 対 象 を 限 定 し て 固 有 の 領 域 を 専 門 に 処 遇 す る 者 を 指 し て い る 。 こ の 場 合 の ス ペ シ ャ リ ス ト と い う 言 葉 は ﹁ 一 つ の 部 門 の 活 動 や 仕 事 を 集 中 し て 行 う 人 ﹂ と い う 意 味 ⑧ で あ る が 、 こ の ス ペ シ ャ リ ス ト と い わ れ る 職 種 は わ が 国 に は 存 在 し な い 。 わ が 国 に お い て 専 門 職 と い わ れ る ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー は 、 ス ペ シ ャ リ ス ト の よ う に 一 つ の 部 門 、 一 つ の 対 象 領 域 に の み か か わ っ て い る わ け に は い か ず 、 障 害 者 は も ち ろ ん 、 同 時 に 老 人 、 病 人 、 生 活 困 窮 者 、 養 護 及 び 保 育 に 欠 け る 児 童 に 対 処 し な け れ ば な ら な い の が 現 状
で あ る 。 用 い ら れ る 方 法 、 技 術 も 、 ケ ー ス ワ ー ク 、 グ ル ー プ ワ ー ク 、 コ ミ ュ ニ テ ィ ワ ー ク の 多 様 な 領 域 を 含 め て 、 仲 介 、 調 停 、 幹 旋 、 助 言 、 忠 告 な ど 、 あ ら ゆ る 手 段 を 駆 使 し な け れ ば な ら な い 。 そ う し た 意 味 で は 英 国 の ス ペ シ ャ リ ス ト と い う 概 念 か ら 、 わ が 国 で 使 用 さ れ て い る 専 門 職 11 専 門 家 と い う 概 念 は 生 れ て こ な い 。 ス ペ シ ャ リ ス ト と い わ れ る 概 念 の 本 来 的 な 意 味 は 、 熟 練 家 的 、 職 人 的 属 性 を 含 み 、 永 年 同 じ 対 象 を 扱 い 、 同 じ 手 段 を 講 じ る こ と に よ っ て 、 お の ず か ら そ の テ ク ニ ッ ク が 体 得 さ れ る と い う 意 味 で あ っ て 、 体 得 さ れ 、 習 得 さ れ た 経 験 知 は 、 何 回 も く り 返 し て 用 い ら れ て 習 熟 し て い く も の で あ る 。 し か し こ の 語 義 が 示 す よ う に 、 ス ペ シ ャ リ ス ト と い う 概 念 か ら 発 展 的 で 改 革 的 な イ メ ー ジ は 生 れ て こ な い 。 あ く ま で も 現 状 維 持 的 で 、 一 つ の こ と に 習 熟 す る 技 で あ っ て 閉 鎖 的 、 非 伝 播 的 な 特 質 を 有 し て い る 。 そ の 点 プ ロ フ ェ フ シ ョ ン と は も っ と 枠 の 大 き な 概 念 を 意 味 し て い る 。 そ こ で 本 題 を 展 開 す る 上 で プ ロ フ ェ ッ シ ョ ン と い う 概 念 の 基 本 的 な 枠 組 を 整 理 す る 必 要 を 感 じ る の で 、 い さ さ か 古 典 的 で は あ る が 、 代 表 的 な 米 国 の 定 義 を 参 考 に し つ つ 、 プ ロ フ ェ ッ シ ョ ン の 概 念 枠 を 明 ら か に し て お き た い 。 ア ー ネ ス ト ・ グ リ ン -L` ` =L (E , G r e e n w o o d ) は 、 専 門 職 の モ デ ル を 次 の 五 つ の 構 成 要 素 に 分 類 し て 説 明 し て い る 。 ① 体 系 的 理 論 -体 系 的 な 調 査 研 究 を 通 し て 理 論 を 組 み 立 て 、 同 時 に 専 門 的 技 術 に つ い て 確 固 た る 根 拠 を 与 え る べ き 有 効 な 理 論 で あ る こ と 。 ② 専 門 的 権 威 専 門 的 場 面 に お い て ク ラ イ エ ン ト と ワ ー カ ー と の 関 係 が 、 そ の 枠 か ら は み 出 さ な い よ う に 機 能 を 実 践 す る 専 門 的 な 権 威 、 ③ コ ミ ュ ニ テ ィ の 認 可 コ ミ ュ ニ テ ィ に よ る ワ ー カ ー の 権 力 と 特 権 の 承 認 、 ④ 規 制 的 な 倫 理 綱 領 ー ク ラ イ エ ン ト と ワ ー カ ー や 同 僚 と の 関 係 を 規 制 す る 自 己 規 制 的 綱 領 、 ⑤ 専 門 職 文 化 社 会 的 価 値 や 規 範 及 び 文 化 な ど の 専 門 家 集 団 ( ワ ー カ ー 協 会 ) に よ る 支 持 。 グ リ ー ン ウ ッ ド は こ の ⑨ 五 つ の 構 成 要 素 を 具 備 し た も の を 専 門 職 と 名 づ け て い る 。 わ が 国 の 社 会 福 祉 教 育 の 今 日 的 課 題 と 専 門 職 の 動 向 一 =
佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 六 十 九 号 = 二 ま た バ ー ト レ =` ト (B a r t le tt ) は 専 門 職 の 概 念 を よ り 単 純 化 し 、 二 つ の 本 質 的 な 属 性 を 上 げ て い る 。 す な わ ち ① 高 度 に 一 般 化 さ れ 、 体 系 化 さ れ た 知 識 の 構 築 、 ② 個 人 の 私 利 よ り も 地 域 社 会 の 利 益 を 優 先 さ せ る こ と 。 さ ら に 専 門 職 の 中 核 と な る 二 つ の 機 能 と し て 実 践 と 教 育 を 上 げ 、 そ の 他 の 機 能 と し て 倫 理 綱 領 の 制 定 、 従 事 者 の 供 給 、 広 報 活 動 、 蔑 的 サ 占 ス の 領 域 に 従 事 し て い る 者 と の 協 力 関 係 構 成 メ ン バ 蓬 の 利 益 に 応 じ る こ と な ど を 上 げ て い % 同 時 に 彼 女 は ソ ー シ ャ ル ワ ー ク の よ う な 専 門 職 が 、 実 践 的 、 効 果 的 に 作 用 す る た め に は 、 援 助 過 程 で 社 会 的 行 動 と 社 会 的 条 件 の 性 格 を 適 切 に 理 解 す る か ど う か に よ っ て そ の 質 は 高 め ら れ る と し て い る 。 ま た 専 門 職 と し て の 知 識 の 総 体 を 構 築 す る た め に 、 ソ ー シ ャ ル ワ ー ク の タ ー ゲ ッ ト を 確 認 し 、 そ れ と 思 考 と を 組 織 化 し て い く 必 要 性 を 強 調 し て い る 。 わ が 国 に お い て 、 考 橋 正 一 氏 は 専 門 職 の 属 性 を 次 の よ う に 整 理 さ れ て い る 。 ① 高 度 の 学 問 的 ( 科 学 的 ) 基 礎 と 理 論 的 基 礎 の 上 に 立 っ て い る こ と 。 ② 目 的 が 実 践 的 で あ る こ と 。 ③ そ れ を 発 表 す る 知 的 技 術 的 能 力 を も つ こ と 。 ④ 公 共 の 利 益 と 福 祉 に 貢 献 す る こ と 。 ⑤ 水 準 の 向 上 と 利 益 の 増 進 の た め 、 組 織 体 を 形 成 す る こ と 。 ⑥ 社 会 的 に 高 い 評 価 ⑪ を 得 て い る こ と な ど で あ る 。 以 上 の グ リ ー ン ウ ッ ド 、 バ ー ト レ ッ ト 、 考 橋 正 一 氏 の 専 門 職 に 対 す る 知 見 及 び 概 念 を み て き た わ け で あ る が 、 共 通 の カ ラ ゴ リ ー に 集 約 す る と 次 の よ う に 要 約 さ れ よ う 。 ① 理 論 と 技 術 の 習 得 の た め に 長 期 間 の 高 度 の 教 育 制 度 の 整 備 、 ② そ れ に み あ っ た 資 格 制 度 の 確 立 、 ③ ク ラ イ エ ン ト の 問 題 の 原 因 の 追 求 と 問 題 解 決 の 技 術 の 確 保 、 ④ 問 題 解 決 の た め の 共 通 の 知 識 と 技 術 の 原 理 の 採 用 、 ⑤ 専 門 職 団 体 の 存 在 と 倫 理 綱 領 の 必 要 性 な ど で あ る 。 こ の よ う な 専 門 職 の 枠 組 に 対 し て 、 一 部 は 実 践 さ れ 、 あ る い は 志 向 さ れ 、 ま た 端 緒 に つ い た 専 門 職 と 称 せ ら れ る も の に 、 M ・ S ・ W 、 P ・ S ・ W 、 公 的 扶 助 ワ ー カ ー な ど の 中 に み ら れ る も
の が あ る 。 こ れ ら の 専 門 職 と い わ れ る 実 践 家 の か か え る 専 門 職 化 へ の 志 向 性 は 、 各 種 の 問 題 に よ っ て と ざ さ れ 、 現 実 と の ギ ヤ ッ プ は 著 し い 。 現 業 に あ る ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー の か か え る 問 題 を 点 検 し 、 現 時 点 で の 専 門 化 へ の 実 際 活 動 を 追 っ て み る 。 ⇔ 専 門 職 の 実 像 こ こ で は 専 門 職 の 実 像 を 明 ら か に す る 手 段 と し て 教 育 学 の 専 門 分 野 で あ る が 、 リ ー バ ー マ ン (L ie b e r m a n ) 6 専 ⑫ 門 職 の 特 性 を 勝 野 尚 行 氏 の 所 論 を 貸 り て そ の 内 容 を 検 討 す る 。 な ぜ な ら リ ー バ ー マ ン の 専 門 職 像 と そ の 属 性 分 析 は 専 門 職 者 を 対 依 頼 人 (c li e n t ) 関 係 と 対 行 政 的 関 係 と の 二 つ の 側 面 か ら と ら え 、 最 終 的 に は 基 本 的 人 格 の 保 障 を 目 的 と し て お り 、 ソ ー シ ャ ル ワ ー ク の め ざ す 目 的 や 範 疇 、 対 象 を 射 程 に 入 れ た 専 門 職 の 要 件 を 十 分 に そ な え た 論 述 で あ る と 考 え ら れ た か ら で あ る 。 ① 固 有 、 明 確 、 必 須 の 社 会 的 役 務 専 門 職 に は 固 有 の 社 会 的 役 務 11 職 能 が あ る 。 こ の 集 団 の 職 能 に つ い て 社 会 的 合 意 が な い と 訓 練 、 倫 理 、 報 酬 に 合 意 が 得 ら れ ず 、 専 門 化 は 遅 れ る と い わ れ る 。 勝 野 氏 に よ る と 専 門 職 の 概 念 は ④ 社 会 的 役 務 に か か わ る 職 能 関 係 概 念 で あ っ て ワ ー カ ー の 存 在 概 念 で は な い 。 ㊥ 専 門 職 の 職 務 ー 社 会 的 役 務 の 提 供 対 象 は 、 人 間 そ の も の で あ り 、 人 間 の 福 祉 を 直 接 の 目 的 と し て い る 。 ㊦ そ の 対 象 は 特 定 の 人 間 で な く 、 す べ て の 人 間 に 役 務 提 供 が な さ れ 、 無 差 別 平 等 の 原 則 に 立 っ て い る 。 し か も ソ ー シ ャ ル ワ ー ク の 対 象 が 人 間 で あ り 、 そ れ も 個 人 の 生 活 の 保 障 と 同 時 に 社 会 そ れ 自 体 の 発 展 を 期 待 す る よ う な 働 き か け が な け れ ば な ら な い 。 し か し 職 能 に つ い て の 合 意 に 欠 け る こ と と 、 ワ ー カ ー の 中 わ が 国 の 社 会 福 祉 教 育 の 今 日 的 課 題 と 専 門 職 の 動 向 一 = 二
佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 六 十 九 号 = 四 に は 専 門 職 概 念 を 職 能 関 係 概 念 と し て と ら え ず 、 ワ ー カ ー の 社 会 的 存 在 に か か わ る 存 在 概 念 11 位 置 づ け と し て と ら え て い る こ と に よ る 不 一 致 が 専 門 職 化 へ の 統 一 を は ば ん で い る 一 因 に な っ て い る の で は な い で あ ろ う か 。 ② 役 割 遂 行 に お け る 知 的 技 術 の 強 調 専 門 職 労 働 は 知 的 技 術 を 追 求 し 、 知 的 活 動 に 支 え ら れ て 展 開 さ れ る も の で あ る 。 そ の た め に は 専 門 職 労 働 者 が ﹁ 自 己 の 労 働 の 知 的 性 格 11 科 学 性 を 不 断 に 高 め て い か な い か ぎ り 、 専 門 職 労 働 者 は 人 間 の 福 祉 を 不 断 に 増 進 し て い く こ と が で き な い ﹂ と い わ れ る よ う に 専 門 職 の 知 的 、 科 学 的 性 格 を 必 須 の も の と す る 。 ③ 長 期 間 の 専 門 的 訓 練 専 門 職 労 働 が 知 的 技 術 を 習 得 す る た め に は 、 長 期 間 の 専 門 的 な 訓 練 が 必 要 で あ る 。 大 学 教 育 は も と よ り 、 就 職 後 も ポ ス ト グ ラ ジ ュ エ イ ト 教 育 の 機 会 が 保 障 さ れ 、 知 的 専 門 的 訓 練 を 提 供 さ れ る よ う 要 請 さ れ る 。 そ う し た 意 味 で 全 国 及 び 各 県 単 位 の 社 会 福 祉 協 議 会 や 専 門 団 体 の 主 催 す る 研 修 会 、 講 習 会 は も と よ り 、 各 種 の 研 究 教 育 機 会 へ の 出 席 を 保 障 す る こ と は 、 専 門 職 の 確 立 要 件 を 満 す も の で あ る 。 ④ 個 々 の 実 践 者 及 び 全 体 と し て の 職 業 集 団 の 広 範 囲 の 自 律 性 専 門 職 と よ ば れ る も の は 自 分 自 身 が 適 切 と 思 っ た 判 断 を 行 動 化 す る 自 由 を も っ て い る 。 す な わ ち ク ラ イ エ ン ト の 問 題 に 対 し て 自 己 の 高 度 な 知 的 判 断 を 適 用 し う る 自 由 な 裁 量 が 保 障 さ れ て い る 。 こ れ は 個 々 の ワ ー カ ー の 自 律 性 だ け で な く 、 専 門 職 者 集 団 に も 自 己 の 職 業 を 規 制 す る 自 律 性 が 存 在 す る 。 特 に 後 者 は 集 団 自 身 と 個 々 の ワ ー カ ー の 業 務 、 機 能 を 点 検 し 、 賃 金 、 身 分 を も 決 定 す る 自 由 を 含 ん で い る と 考 え ら れ る 。 ⑤ 専 門 職 の 自 律 性 の 範 囲 内 で な さ れ る 判 断 お よ び 遂 行 さ れ た 行 為 に つ い て の 実 践 者 た ち に よ る 広 い 個 人 的 責 任
の 受 容 。 こ れ は 専 門 職 労 働 者 の 実 践 の 自 由 裁 量 に よ る 自 律 性 の 拡 張 に 対 す る 歯 止 め 案 で あ る 。 ワ ー カ ー は 自 己 の 知 的 判 断 に も と ず い て 実 践 さ れ る 行 為 に は 、 自 分 の 判 断 に 責 任 を も た な け れ ば な ら な い 。 な ぜ な ら 専 門 職 労 働 は ﹁ 人 間 を 労 働 対 象 と す る 専 門 職 労 働 者 の 知 的 判 断 の 如 何 は 、 人 権 の 直 接 的 侵 犯 に も な り か ね な い か ら で あ る ﹂ 。 す な わ ち ワ ー カ ー と し て の 専 門 職 労 働 は ク ラ イ エ ン ト の 人 権 保 障 に 直 接 責 任 を 負 う も の で な け れ ば な ら な い 。 ま し て ク ラ イ エ ン ト の 処 遇 に お い て 初 歩 的 知 識 に よ る 素 人 的 判 断 は ク ラ イ エ ン ト を し て 誤 っ た 行 為 に 導 く お そ れ が あ る 。 ⑥ 職 業 集 団 に 委 ね ら れ た 社 会 的 役 務 の 組 織 化 お よ び 実 行 の 原 理 と し て 、 実 践 者 た ち の 経 済 的 利 益 よ り 提 供 さ れ る 役 務 の 強 調 職 業 や 集 団 に は 個 人 の 願 望 や 感 情 を 超 え て 一 定 の 義 務 を 果 す よ う に 組 織 化 さ れ て い る 。 そ う し た 組 織 さ れ 、 統 制 さ れ た 集 団 原 理 に 従 っ て な さ れ る 実 践 は そ こ か ら 生 れ る 。 社 会 福 祉 の 専 門 職 業 化 は 二 つ の 基 準 に よ っ て は た さ れ る 。 す な わ ち ﹁ 社 会 的 に 認 定 さ れ た 資 格 要 件 に よ っ て 境 界 づ け ら れ た 仲 間 を 準 拠 集 団 と し て 行 わ れ る ﹂ 専 門 要 件 と ﹁ そ の 仕 事 に 従 事 す る 者 に 対 し て 、 継 続 的 な 生 計 維 持 機 会 を 与 え る ﹂ 職 業 要 件 の 両 者 を か ね そ な え た も の が 専 門 職 業 化 の 条 件 を み た 嘱 ④ に 関 連 し て 専 門 職 の 自 立 性 は 専 門 職 の 自 治 組 織 な し に は 耋 ら れ ず 懇 の 存 在 と 運 動 に よ つ て 始 め て 確 保 さ れ る 。 す な わ ち 専 門 職 集 団 は ﹁ 専 門 職 者 の 入 職 、 除 籍 の 基 準 を 定 め た り 、 実 践 を 亠口同 い 水 準 に 引 き 上 げ た り 、 そ の 社 会 的 、 経 済 的 な 地 位 を 引 き 上 げ た り す る た め の 、 あ る 種 の 整 然 た る 手 続 ﹂ を 具 備 し て い な け れ ば な ら な い 。 こ れ は ワ ー カ ー の 恣 意 的 実 践 の 危 険 を 予 防 し 、 専 門 職 的 標 準 と 規 準 を 提 供 す る こ と に よ っ て 、 客 観 性 を 高 め る 枠 組 み を 与 え る こ と に な る 。 わ が 国 の 社 会 福 祉 教 育 の 今 日 的 課 題 と 専 門 職 の 動 向 一 一 五
佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 六 十 九 号 一 一 六 ⑦ 実 践 者 た ち の 包 括 的 な 自 治 組 織 専 門 職 者 の 入 職 、 除 籍 の 基 準 を 定 め 、 そ の 活 動 内 容 、 役 務 を 規 定 し 、 同 時 に 質 的 水 準 を 高 め 、 社 会 的 、 経 済 的 地 位 を 引 き 上 げ る た め に は 自 ら の 力 に よ る 組 織 を 必 要 と す る 。 そ う し た 意 味 で M ・ S ・ W の よ う な 協 会 の 必 要 性 は 不 可 欠 で あ る 。 ⑧ 曖 昧 で 疑 わ し い 点 が 具 体 的 事 例 に よ っ て 明 確 に さ れ 、 解 釈 さ れ て き た 倫 理 綱 領 専 門 職 集 団 が 専 門 性 を 自 認 す る 以 上 、 集 団 自 体 と 成 員 の 行 動 を 内 部 か ら 規 制 す る 倫 理 綱 領 を も っ て い る こ と が 前 提 で あ る 。 そ れ は 高 い 規 準 の 専 門 職 的 行 動 を 強 制 す る 必 要 が あ る か ら で あ る 。 例 え ば M ・ S ・ W の 協 会 に は す で に 倫 理 網 領 を そ な え て い る が 、 そ れ を 会 員 一 人 一 人 が 受 肉 化 し て 実 践 す る ほ ど そ れ に 対 し て 同 化 し て い る と は い え な い 。 以 上 が リ ー バ ー マ ン の 専 門 職 を 規 定 す る 見 解 で あ る が 、 そ の 内 ① ② ③ ⑥ が 対 依 頼 人 関 係 に 対 す る 専 門 職 サ ー ビ ス の 特 殊 性 を 示 し た も の と さ れ 、 ④ ⑤ ⑦ ⑧ が 対 行 政 関 係 の 側 面 か ら み た 専 門 職 労 働 者 の 亨 受 す べ き 諸 権 利 で あ る と さ れ る 。 ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー が 専 門 職 と し て 確 立 さ れ る た め に は 、 こ の 見 解 の 一 つ 一 つ を 点 検 し て 、 ど う す れ ば 実 際 的 、 現 実 的 に 各 項 目 が 生 か さ れ る の か 、 そ の 問 題 、 内 容 の 具 体 的 分 析 と 実 践 上 の 課 題 を 明 確 化 す る こ と に よ っ て 専 門 職 と し て の イ メ ー ジ が 具 体 化 さ れ よ う 。 日 専 門 職 の 実 践 上 の 課 題 現 場 ワ ー カ ー の 福 祉 職 の 制 度 化 が 果 さ れ る 必 要 が あ る 。 そ れ は 資 格 認 定 、 教 育 、 研 修 、 配 置 基 準 、 財 源 保 障 な ど の 制 度 の 確 保 と 体 系 化 を 必 要 と す る 。 ま ず 資 格 認 定 制 度 に つ い て は 周 知 の ご と く ﹁ 社 会 福 祉 士 法 案 ﹂ の 棚 上 の 問 題 や
特 に M ・ S ・ W に お け る ﹁ 医 療 福 祉 士 法 案 ﹂ の 動 向 を 見 定 め る 必 要 が あ る と 思 わ れ る 。 ﹁ 医 療 福 祉 職 制 度 化 ﹂ に 関 す る 請 願 は 、 衆 参 両 社 会 労 働 委 員 会 で 採 択 さ れ 、 国 会 に お い て 田 中 美 智 子 議 員 に よ っ て 提 起 さ れ た が 、 末 だ 法 制 化 に 到 っ て い な い 。 資 格 の 法 制 度 化 へ の 契 機 を 与 え る も の と し て 、 ワ ー カ ー の 指 導 に 対 す る 点 数 化 へ の 実 現 の 動 き が 活 発 化 し て き た 。 そ の 動 き は 一 九 八 二 年 四 月 一 日 付 で 労 災 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 医 療 費 の 算 定 基 準 の 改 正 が 行 わ れ 、 ﹁ 医 療 社 会 復 帰 指 導 管 理 料 ﹂ の 徴 収 及 び 八 三 年 二 月 一 日 よ り 老 人 保 健 法 に 基 づ く ﹁ 退 院 時 指 導 料 ﹂ の 新 設 な ど で あ る 。 こ れ ら 一 連 の 動 き は ワ ー カ ー の サ ー ビ ス が 現 行 の 診 療 報 酬 体 制 の 中 に 組 み 込 ま れ る こ と に な っ た が 、 点 数 化 は ワ ー カ ー の あ り 方 、 展 開 さ れ る 労 働 の 内 容 に 関 わ ら せ て 統 一 的 に 考 え ね ば な ら な い 問 題 を 提 起 さ せ た 。 医 療 制 度 の 内 包 せ る 問 題 を ぬ き に し て 、 健 康 へ の 痛 み 料 と し て の 措 置 を 見 過 す わ け に は い か な い 。 次 に 問 題 に な る の は 専 門 技 術 を ど う と ら え る か 。 こ の 疑 問 に 応 え る こ と が ワ ー カ ⋮ の サ ー ビ ス や 労 働 の 意 味 を 決 定 づ け る こ と に な る よ う に 思 わ れ る 。 実 践 場 面 に お い て 、 専 門 技 術 に 対 す る 態 度 が 対 象 者 観 に 反 映 さ れ る た め 、 専 門 技 術 に 対 す る 一 定 の 定 見 が 得 ら れ な い の が 実 情 で あ る 。 そ も そ も 専 門 職 の 実 務 過 程 で は 、 知 的 技 術 を 必 要 と す る 。 技 術 は 客 観 的 法 則 性 の 意 識 的 適 用 と い わ れ る よ う に 一 ⑮ 定 の 法 則 に つ ら ぬ か れ た 思 惟 を 基 盤 に し て 展 開 さ れ る も の で あ る 。 そ の 法 則 的 思 惟 に よ っ て 導 か れ る 対 象 は 、 社 会 的 、 経 済 的 構 造 や 組 織 の よ う な マ ク ロ の 次 元 の も の か ら 個 体 の 行 為 、 意 識 な ど の ミ ク ロ の 次 元 の も の ま で あ る 。 し か し 社 会 福 祉 実 践 に お け る 社 会 的 、 経 済 的 構 造 か ら 析 出 さ れ る 法 則 の 意 識 的 適 用 に よ る 技 術 は 、 未 だ 定 着 し た 理 論 や 知 識 は 見 出 し え ず 、 個 体 構 造 か ら 剔 出 さ れ た 技 術 理 論 が 先 行 し て い る の が 現 実 で あ る 。 わ が 国 の 社 会 福 祉 教 育 の 今 日 的 課 題 と 専 門 職 の 動 向 一 一 七
佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 六 十 九 号 一 一 八 今 日 の 社 会 福 祉 技 術 の あ り 様 は 、 個 人 が 、 社 会 的 経 済 的 な 規 定 に お し こ め ら れ な が ら も 、 常 に そ れ を 克 服 し ょ う と す る 個 体 の 意 識 や 動 機 を 補 強 す る 力 を そ な え る も の と し て 存 在 す る 。 す な わ ち 現 体 制 の 社 会 的 、 経 済 的 な 矛 盾 と 問 題 を 認 識 し つ つ 、 そ の 矛 盾 や 問 題 に 立 ち 向 う と い う よ り 、 そ れ ら の 問 題 の 中 で 最 大 限 個 人 の 能 力 の 活 用 と 資 源 の 利 用 を は か る こ と に よ っ て 、 社 会 生 活 へ の 適 応 を 可 能 に す る よ う な 働 き か け が 、 技 術 の 本 態 と し て 理 解 さ れ て い る 。 つ ま り 技 術 は 個 人 の 主 観 的 営 為 に 働 き か け 、 主 体 的 実 践 の く り か え ⑯ し か ら 得 ら れ た 動 作 様 式 と し て 把 握 さ れ て い る 。 そ れ は 社 会 福 祉 実 践 が 対 依 頼 人 関 係 を 基 軸 と し て 展 開 さ れ 、 社 会 的 、 全 体 的 問 題 が 個 別 、 具 体 的 な 問 題 に 環 元 さ れ 、 ま さ に そ の 個 別 具 体 的 な 問 題 に 関 心 が 集 中 し て 、 そ こ で 用 い ら れ る 知 識 、 技 術 の 開 発 と 発 展 を 期 待 さ れ て い る か ら で あ る 。 こ の よ う な 現 状 を 払 拭 し て 個 別 的 、 具 体 的 な 事 例 か ら 社 会 的 、 全 体 的 な 問 題 に つ な い で い く よ う な 方 法 、 技 術 の 開 発 に 合 せ て 解 体 化 し つ つ あ る 家 族 、 地 域 住 民 と 関 係 機 関 と の 連 携 や 連 帯 を 深 め 、 強 め る 方 法 、 技 術 の 発 展 こ そ が 急 務 で あ る 。 い ず れ に し ろ 専 門 職 と い わ れ る 職 種 の 近 年 特 に 強 調 さ れ る 特 質 は 、 一 定 の 知 識 、 技 術 、 技 能 の 総 体 と し て の 専 門 性 の 修 得 の み に 求 め る べ き で な く 、 直 接 人 間 を 対 象 に し て 、 人 間 の 人 権 を 保 障 す る 責 任 を 負 う と こ ろ に 、 専 門 職 と 自 認 し う る 論 拠 を 問 う こ と が で き る 。 そ の 理 由 は た と え ば 高 度 で 複 雑 な 知 識 や 技 能 を 要 求 さ れ る 労 働 技 術 者 、 会 計 士 、 建 築 設 計 士 な ど が 即 専 門 職 労 働 者 だ と 考 え ら れ な い よ う に 、 専 門 職 労 働 の 特 性 は ﹁ 人 間 人 権 の 保 障 を 直 接 0 の 目 的 と す る 労 働 で あ る と い う そ の 本 質 か ら 論 理 必 然 的 に 派 生 ﹂ し て く る と こ ろ に あ る 。 す な わ ち 専 門 職 と は 人 間 人 格 の 保 障 を 直 接 目 的 と す る 労 働 の 本 質 か ら 必 然 的 に 派 生 す る も の で あ っ て 、 単 な る 高 度 か つ 複 雑 な 知 識 や 技 術 の
修 得 に 依 拠 す る も の で は な い 。 例 え ば 医 療 ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー は 患 者 の 生 活 要 求 を 直 視 し て 、 生 活 権 、 労 働 権 、 就 学 権 な ど の 人 権 擁 護 の 認 識 に 立 っ て 、 不 当 な 権 利 の 侵 害 を 断 固 と し て 排 除 す る 姿 勢 の 中 に 専 門 性 は 位 置 づ け ら れ る も の で あ る 。 ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー の 基 本 的 姿 勢 と し て は 、 本 質 的 に ク ラ イ エ ン ト の 基 本 的 人 権 、 生 活 権 の 擁 護 を 前 提 と し て 、 時 に 応 じ て 行 政 や 体 制 の 改 善 へ の 活 動 を す る こ と も 要 求 さ れ る の で あ る 。 現 下 の 社 会 福 祉 の 実 践 上 の 問 題 は 、 今 日 の よ う に 生 活 問 題 が 複 雑 化 、 多 様 化 、 深 刻 化 し て く る に 従 っ て 難 ケ ー ス が 増 大 し 、 ク ラ イ エ ン ト 及 び ク ラ イ エ ン ト の 家 族 、 地 域 住 民 の 生 活 問 題 の 把 握 の 困 難 性 が 生 じ て く る 。 さ ら に ワ ー カ ー の 活 動 も 機 関 の 機 能 や 目 的 、 性 格 の 相 異 に よ っ て 異 り 、 ま た 業 務 の 多 忙 、 人 事 異 動 、 配 置 規 準 の 未 確 立 の 状 況 に あ っ て 、 専 門 職 化 へ の 業 務 の 客 観 性 、 普 遍 性 を 得 る の が 非 常 に 困 難 で あ る 。 ま さ に 実 践 分 野 の 問 題 対 象 の 複 雑 性 ⑱ と ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー の 勤 務 条 件 に よ り 分 断 、 不 統 一 を 内 部 に 宿 し て い る と い え よ う 。 ㈱ 専 門 職 と し て の 教 育 ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー (社 会 福 祉 サ ー ビ ス 提 供 者 一 般 ) の 専 門 教 育 の あ り 方 を め ぐ っ て 、 現 在 各 種 の 論 争 が あ る 。 教 育 、 内 容 、 形 態 、 期 間 、 機 関 な ど 多 様 な 論 議 が 出 さ れ て い る 。 従 来 専 門 職 と し て の ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー の 資 質 や 知 識 、 技 能 の 向 上 の た め に 、 こ れ ら の 教 育 属 性 の あ り 方 、 方 法 に つ い て 多 く の 検 討 が な さ れ て き た 。 し か し 専 門 職 の 内 的 、 外 的 特 性 を 規 定 す る ﹁ 専 門 職 養 成 の 専 門 職 統 制 ﹂ に 関 す る 形 態 、 機 能 、 要 件 に 関 す る 論 議 は 未 発 達 の ま ま で あ る 。 そ の た め 養 成 機 関 の 負 う べ き 専 門 家 養 成 の 権 限 、 機 能 や 教 育 課 程 内 容 に 不 一 致 を み せ 、 ひ い て は 卒 業 者 が わ が 国 の 社 会 福 祉 教 育 の 今 日 的 課 題 と 専 門 職 の 動 向 = 九
佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 六 十 九 号 一 二 〇 よ っ て 立 つ べ き 専 門 職 の ア イ デ ン テ ィ を 確 得 で き る 免 許 資 格 制 度 の 確 立 を も 瞹 昧 な も の に し て い る 。 言 う ま で も な く 英 ・ 米 に お い て は ﹁ 専 門 職 養 成 の 専 門 職 統 制 ﹂ の 制 度 化 は 早 く か ら 試 み ら れ 、 特 に 英 国 に お い て は 、 一 八 七 三 年 に ロ ン ド ン ・ オ ク タ ビ ア ン ヌ ・ オ ブ ・ ト レ ー ニ ン グ セ ン タ ー が ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー の 訓 練 の 開 始 を 端 に 、 一 八 九 七 年 C ・ 0 ・ S は 現 任 訓 練 委 員 会 を 設 立 し 、 四 期 二 年 間 の 長 期 講 習 会 を 開 催 し 、 以 降 一 九 〇 一 年 C ・ 0 ・ S は 全 国 レ ベ ル で の 社 会 福 祉 コ ー ス を 設 置 し 、 社 会 福 祉 専 門 学 校 へ の 移 行 を は か る の で あ る 。 そ し て 一 九 〇 四 年 に 病 院 社 会 事 業 家 協 会 が 設 立 さ れ 、 一 九 一 〇 年 に は 病 院 社 会 事 業 家 の 登 録 制 度 が 開 始 さ れ て い る 。 そ の 後 一 九 一 二 年 に は L ・ S ・ E に 社 会 福 祉 専 門 教 育 の 大 学 教 育 課 程 へ の 統 合 が は か ら れ た が 、 ア カ デ ミ ッ ク 志 向 の 教 育 活 動 に よ る 実 践 と 理 論 の 乖 離 を 批 判 さ れ 、 C ・ 0 ・ S は 再 び 一 九 一 五 年 に 独 自 の 十 二 ヶ 月 の 実 務 を 基 礎 に し た 専 門 訓 練 コ ー ス を 開 講 す る 。 こ れ を 機 に 大 学 教 育 に 不 満 を も つ 専 門 家 団 体 が 独 自 の 訓 練 コ ー ス を 開 始 し 、 資 格 認 定 制 度 の 確 立 に 努 力 す る の で あ る 。 こ と に ﹁ 専 門 職 養 成 の 専 門 職 統 制 ﹂ の 制 度 化 に 関 し .て 特 筆 ・す べ き は 、 一 九 五 〇 年 代 に な る と 各 種 の 専 門 家 団 体 が 定 期 的 に 会 合 を 始 め 、 家 族 ケ ー ス ワ ー ク 協 会 、 精 神 科 ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー 協 会 、 病 院 社 会 事 業 家 研 究 所 協 会 が 中 心 と な っ て 、 社 会 福 祉 専 門 教 育 、 訓 練 の 発 展 、 各 領 域 の 専 門 性 の 充 実 を 目 的 と し た 教 育 政 策 に 関 す る ワ ー キ ン グ ペ パ ー が 提 出 さ れ た こ と で あ る 。 そ の 結 果 、 一 九 五 九 年 に は 合 同 ソ ー シ ャ ル ワ ー ク の 訓 練 協 議 会 が 設 立 さ れ 、 専 門 教 育 に 関 す る 調 整 が は か ら れ た 。 一 九 六 二 年 に は 保 健 訪 問 社 会 事 業 法 に よ り 、 ソ ー シ ャ ル ワ ー ク 訓 練 協 議 会 が 設 立 さ れ 、 ワ ー カ ー の ,,,; 練 n -K S 認 可 業 務 の 権 限 と 資 格 付 与 業 務 の 任 に あ た る の で あ る 。 以 降 シ ー ボ ー ム 報 告 を 受 け て 一 九 七 一 年 中 央 ソ ー シ ャ ル ワ ー タ 教 育 、 訓 練 協 議 会 が 設 立 さ れ 、 ソ ー シ ャ ル ワ ⑲ ー ク の 教 育 、 訓 練 を 総 合 的 に 統 一 す る 機 関 が 設 立 さ れ た の で あ る 。
当 協 議 会 は 社 会 福 祉 専 門 教 育 課 程 の 水 準 の 保 持 と 教 育 機 関 の 教 育 課 程 の 認 可 と 監 査 、 及 び 資 格 認 定 の 業 務 を 行 っ て い る 。 わ が 国 の 場 合 こ の よ う な 機 能 を 担 う 機 関 に 匹 敵 す る も の は 、 社 会 事 業 学 校 連 盟 か 大 学 基 準 協 会 の い ず れ か で あ ろ う が 、 全 般 的 に 実 学 を 軽 ん じ る 大 学 教 育 環 境 に あ っ て 、 英 国 の よ う な 専 門 職 統 制 の た め の 新 た な 公 的 機 関 の 設 定 は 困 難 を き わ め よ う 。 現 状 で は 社 会 福 祉 教 育 が 教 育 機 関 ご と に 教 育 内 容 も ま ち ま ち で あ り 、 一 般 教 育 課 程 、 専 門 教 育 課 程 、 選 択 課 程 の 割 合 や 構 成 科 目 が ち が っ て お り 、 同 じ 科 目 で あ っ て も 異 な っ た 内 容 が 教 え ら れ て い る 。 ま た 教 員 を 専 門 職 メ ン バ ー と し て 認 め う る か ど う か 、 も し 専 門 職 と 認 め う る も の で あ れ ば 、 サ ー ビ ス 提 供 者 と し て の ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー の 専 門 職 条 件 に い か な る 要 素 を 附 加 す べ き で あ る か 未 だ 明 ら か で な い 。 い ず れ に し ろ 社 会 福 祉 サ ー ビ ス 提 供 者 の 専 門 職 に 関 す る 教 育 理 論 体 系 を 構 築 し 、 専 門 職 化 へ の 道 を 歩 む た め の 条 件 は 、 標 準 化 し た 知 識 技 術 の 提 供 が 必 要 で あ り 、 専 門 的 判 断 を し て い く た め の 準 拠 枠 と し て 専 門 職 モ デ ル の 設 定 を 急 務 と す る 。 そ れ は な に よ り も 次 の 要 件 を 満 す も の で な け れ ば な ら な い 。 ① ソ ー シ ャ ル ワ ー ク 全 体 に と っ て 共 通 し て い る 。 ② ソ ー シ ャ ル ワ ー ク の 価 値 と 目 標 か ら み て 意 味 が あ る 。 ③ 利 用 で き る 、 ま た 達 成 で き る 知 識 と 技 法 の 見 地 か ら み て 実 際 的 で あ る 。 ④ 他 の 専 門 職 の と り 組 ん で い る も の と 重 複 し な ⑳ い 。 こ の よ う な 要 件 を み た し た 専 門 職 モ デ ル を 設 定 す る 責 任 は 、 当 面 社 会 事 業 学 校 連 盟 の 責 任 に 負 う と こ ろ で あ る 。 さ ら に サ ー ビ ス 提 供 者 の 専 門 職 へ の 移 行 は 、 ソ ー シ ャ ル ワ ー ク の 知 識 や 技 能 に 合 せ て 、 職 業 的 ア イ デ ン テ ィ テ ィ を い か に 獲 得 す る か に か か っ て い る 。 職 業 的 ア イ デ ン テ ィ テ ィ は 、 個 人 的 ア イ デ ン テ ィ テ ィ ( 自 分 を 自 分 自 身 と 同 一 で あ る と 感 じ て い る こ と ) と 社 会 的 ア イ デ ン テ ィ テ ィ ( グ ル ー プ や そ の 世 界 観 と 一 体 で あ る と 感 じ て い る こ と ) わ が 国 の 社 会 福 祉 教 育 の 今 日 的 課 題 と 専 門 職 の 動 向 } 二 一
佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 六 十 九 号 一 二 二 を 前 提 と し て 成 立 し 、 そ れ は ﹁ 能 力 の あ る 援 助 力 の あ る 人 格 と し て 統 合 的 、 職 業 的 に 自 己 の イ メ ー ジ を と ら え る ﹂ こ と で あ 聰 。 こ の 職 業 的 ア イ デ ン テ ィ テ ィ を 全 面 的 に 補 強 し ・ 強 化 さ せ る も の は 資 格 免 許 制 度 の 確 立 で あ る 。 資 格 免 許 制 度 の 具 体 的 な 実 施 方 法 は 、 目 下 日 本 医 療 社 会 事 業 協 会 に よ る 独 自 の 免 許 交 付 の 手 続 規 定 が 検 討 さ れ て い る 。 参 考 引 用 文 献 ① 松 原 治 郎 編 集 ﹁ 現 代 の エ ス プ リ 、 コ ミ ュ ニ テ ィ ﹂ 至 文 堂 ② 光 川 晴 之 著 ﹁ 家 族 病 理 学 ミ ネ ル ヴ ァ 書 房 一 九 七 六 年 ③ 社 会 福 祉 の 基 礎 知 識 有 斐 閣 ④ 法 学 セ ミ ナ ー ﹁ 日 本 の 家 族 ﹂ 日 本 評 論 社 一 九 七 九 年 ⑤ 前 掲 書 ﹁ 日 本 の 家 族 ﹂ ⑥ 岡 村 重 夫 著 ﹁社 会 福 祉 学 (総 論 ) 柴 田 書 店 一 九 六 八 年 ⑦ 大 学 規 準 協 会 ﹁社 会 福 祉 教 育 の カ リ キ ュ ラ ム ﹂ ⑧ L o n d o n B o r o u g h o f Is li n g to n S o c ia l D e p a tm e n t 6 資 料 よ り ⑨ シ ン ポ ジ ュ ー ム 七 三 年 ﹁ 社 会 福 祉 の 専 門 職 と は 何 か ﹂ 鉄 道 弘 済 会 一 九 七 二 年 ⑩ H ・ M ・ バ ー ト レ ッ ト 著 、 小 松 源 助 訳 ﹁社 会 福 祉 実 践 の 共 通 基 盤 ﹂ ミ ネ ル ヴ ァ 書 房 一 九 七 八 年 ⑪ 考 橋 正 一 著 ﹁ 新 社 会 事 業 概 論 ﹂ ミ ネ ル ヴ ァ 書 房 一 九 七 七 年 ⑫ 勝 野 尚 行 著 ﹁教 育 専 門 職 の 理 論 ﹂ 法 律 文 化 社 一 九 七 六 年
⑬ 松 本 三 和 夫 著 ﹁産 業 社 会 に お け る 科 学 の 専 門 職 業 化 の 構 造 ﹂ 思 想 岩 波 房 一 九 八 三 年 ⑭ 日 本 医 療 社 会 事 業 協 会 会 報 よ り ⑮ 武 谷 三 男 ﹁弁 証 法 の 諸 問 題 ﹂ 頸 草 書 房 一 九 七 四 年 ⑯ 中 川 米 造 ﹁医 療 的 認 識 の 探 究 ﹂ 医 療 図 書 出 版 社 一 九 七 六 年 ⑰ 勝 野 尚 行 前 掲 書 ⑱ 日 本 福 祉 大 学 ﹁社 会 福 祉 主 事 の 現 状 と 課 題 ﹂ 一 九 八 二 年 ⑲ 京 都 国 際 社 会 福 祉 セ ン タ ー ﹁ 社 会 福 祉 専 門 教 育 の 課 題 ﹂ 一 九 八 二 年 ⑳ H ・ M ・ バ ー ト レ ッ ト 前 掲 書 ⑳ 京 都 国 際 社 会 福 祉 セ ン タ ー 同 右 書 わ が 国 の 社 会 福 祉 教 育 の 今 日 的 課 題 と 専 門 職 の 動 向 一 二 三