• 検索結果がありません。

T. Katsuyama: Exotic spesies of the genus Chloris in Japan / 勝山:日本で記録されたイネ科オヒゲシバ属の外来種

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "T. Katsuyama: Exotic spesies of the genus Chloris in Japan / 勝山:日本で記録されたイネ科オヒゲシバ属の外来種"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

日本で記録されたイネ科オヒゲシバ属の外来種

Exotic species of the genus Chloris (Poaceae) known in Japan

勝山輝男

1)

Teruo K

atsuyama1)

Abstract. The genus Chloris, including about fifty-five species, is biogeographically distributed from tropical to warm temperate zone, mainly in southern hemisphere. Among those species, eight species were known in Japan and all of them are exotic species. Chloris gayana and Chloris virgata are widely naturalized west of the Kantou district. Chloris pectinata and Chloris truncata were reported near woolen textile factories in Chiba and Mie Prefectures from 1955 to 1976. These two species are considered to have been imported from Australia in relation to raw wool material. Chloris barbata and Chloris radiata are rare in the main Japanese Islands, but are common in the Ryukyus and the Ogasawara Islands. In the Ryukyus Chloris divaricata has been also naturalized, and Chloris pycnothrix is newly found as an immigrant.

Key words: Chloris, Chloris pycnothrix, exotic species

はじめに

 オヒゲシバ属Chloris Sw. は世界の熱帯~暖温帯に約 55 種が知られている(Clayton and Renvoize, 1986)。茎は扁平で 葉鞘の背面は竜骨となり、花序は数個の総を掌状につけ、 各総は片側に2 列に多数の小穂をつけ、小穂は 2-3 小花 よりなり、最下(第1)小花は両性、上方の小花は雄性また は護穎のみに退化し、熟すと苞頴を残して小花が脱落す ることなどが属の特徴としてあげられる。日本には在来の ものはなく、木場(2003)は帰化植物としてシマヒゲシバ C. barbata Sw.、アフリカヒゲシバ C. gayana Kunth、クシヒゲ シバC. pectinata Benth.、コウセンガヤ C. radiate R.Br.、チャ ボヒゲシバC. truncate R.Br.、オヒゲシバ C. virgate Sw. の 6 種を取り上げた。このほか琉球からヒメヒゲシバ C. divaricate R.Br. の帰化が報じられている(大井, 1970)。  木場(2003)はクシヒゲシバ C. pectinata を除く 5 種につい ては、検索表と記載文を載せているが、クシヒゲシバにつ いては久内(1962)が名古屋への帰化を報じたことのみで、 形態についての記述は一切ない。日本でイネ科植物を調 べる際には長田(1989)がよく使われるが、長田(1989)に図 が掲載されているのはシマヒゲシバC. barbata Sw.、アフリ カヒゲシバC. gayana とオヒゲシバ C. virgate の 3 種に限ら 1)神奈川県立生命の星 ・ 地球博物館 〒250-0031 神奈川県小田原市入生田 449 Kanagawa Prefectural Museum of Natural History 499 Iryuda, Odawara, Kanagawa 250–0031, Japan katsu@nh.kanagawa-museum.jp れる。また、琉球で採集されたナガヒゲシバC. pycnothrix Trin. の標本が見出された。国内でのオヒゲシバ属植物の 情報は少なく、これまで必ずしも正確な同定がなされてい たとは思われない。そこで、国立科学博物館などの標本庫 に保管されているオヒゲシバ属植物の標本を再調査し、国 内への帰化の状況を知るとともに、同定のための検索表の 作成と形態の記述を行った。 方 法  神奈川県立生命の星・地球博物館(KPM)、国立科学博 物館(TNS)、東京大学(TI)、千葉県立中央博物館(CBM) の標本を調査し、産地、採集年月日、採集者名、標本番 号など、ラベルの情報を記録した。  木場(2003)に形態の記述のある 5 種については、全体 の大きさ、総の数や長さ、葉の長さや幅、小穂各部の大 きさなどが、記載の範囲に含まれているかどうか確かめ、 記載の範囲を超える場合には記録した。また、木場(2003) に形態の記述のない、ヒメヒゲシバC. divaricate、クシヒ ゲシバC. pectinata、ナガヒゲシバ C. pycnothrix の 3 種に ついては、標本をもとに記載文を作成した。  都道府県別の分布は太刀掛・中村(2007)をもとにして、 その後の文献記録や標本記録を追加した。 結果と考察  木場(2003)が取り上げた 6 種と琉球から報告のあっ

(2)

T. Katsuyama 28 た ヒ メ ヒ ゲ シ バC. divaricata の 他 に ナ ガヒゲ シ バ C. pycnothrix の帰化が確認された。  国内に広く帰化しているものは、アフリカヒゲシバC. gayana とオヒゲシバ C. virgate の 2 種で、関東以西の本州、 四国、九州、琉球、小笠原に広く帰化している。オヒゲシ バは戦前(1922 年の熊本県)から記録があるが、中国東北部 や朝鮮半島で採集された標本も多く残されており、当時の 中国大陸に広く帰化していたと思われる。アフリカヒゲシ バの日本への侵入は比較的新しく、1960 年代からである。 牧草として導入されたものが野生化したものと思われる。  クシヒゲシバC. pectinata(Fig. 1)とチャボヒゲシバ C. truncate は本州の限られたところで採集されたのみで、千 葉県や三重県では毛織工場周辺で採集されていることか ら、オーストラリアからの輸入原毛に随伴して入ってき たものと思われる。標本は1955 ~ 1976 年に採集された もので、定着はしなかったものと考えられる。  シマヒゲシバC. barbata とコウセンガヤ C. radiate は琉球 や小笠原では普通に見られるが、本土への帰化は稀である。 ヒメヒゲシバC. divaricataとナガヒゲシバ C. pycnothrix(Fig. 2) は南西諸島や大東諸島に帰化している。千葉県で1955 年に 採集されたヒメヒゲシバの標本が1 点残されているが、こ れは輸入原毛に混入して持ち込まれたものである。ナガヒ ゲシバはこれまで日本への帰化の報告はなかったが、奄美 大島(2007 年)、沖縄本島(2006 年)、西表島(2004 年)で採集 された標本が確認された。離れた3 島から採集されており、 すでに南西諸島に広く広がっている可能性がある。  各種の形態や帰化状況の詳細は種ごとの項で記述し た。オヒゲシバ属の種の分類は小花の構造や形態が検索 のキーとなる。日本への帰化が確認された8 種の小花を Fig. 3 に示し、各種への検索表を以下に示す。 A. 総は平開する B. 第 1 小花の護穎は切頭 ...チャボヒゲシバ C. truncata B. 第 1 小花の護穎の先は尖り、2 深裂し、その間から 芒が伸びる C. 第 2 小花は長さ 0.5mm 以下     ...ナガヒゲシバ C. pycnothrix C. 第 2 小花は長さ 1mm 以上 D. 多年草で地上匐枝を伸ばし、小穂は疎ら(3 ~ 7 小穂/cm)、総に圧着してつく     ...ヒメヒゲシバ C. divaricata D. 1 年草で直立、小穂は密(10 ~ 14 小穂 /cm)、総 にやや開出してつく ...クシヒゲシバ C. pectinata A. 総は斜上する B. 小穂は 2 小花 C. 第 1 小花の護穎は披針形で先は尖り、第 2 小花の 護穎は長さ1mm 以下 ...コウセンガヤ C. radiata C. 第 1 小花の護穎は倒卵形、第 2 小花の護穎は長さ 1.5-2mm...オヒゲシバ C. virgata B. 小穂は 3-4 小花 C. 第 2 小花は倒卵形、長さ約 1mm     ...シマヒゲシバ C. barbata C. 第 2 小花は長楕円形、長さ約 2mm     ... アフリカヒゲシバ C. gayana

Fig. 1. Chloris pectinata collected at the woolen textile factory in Ichihara City, Chiba Prefecture in 1955 (TNS-120177).

Fig. 2. Chloris pycnothrix collected in Amami-oshima Island, the Ryukyus (KPM-NA012926).

(3)
(4)

T. Katsuyama

30

1. シマヒゲシバ(ムラサキヒゲシバ、タイワンオヒゲシ

バ、クロコウセンガヤ)

Chloris barbata Sw., Fl. Ind. Occid. 1: 200 (1797).

Chloris barbata Sw. var. formosana Honda in Bot. Mag. Tokyo, 40: 437 (1926).

Chloris formosana (Honda) Keng, Clav. Gram. Prin. Sinicarum, 197 (1957).

Chloris inflata Link, Enum. Hort. Berol. Alt. 1: 105 (1821).

 1 年草。茎は直立または基部が倒れて節から根を出し、 高さ25-95cm。葉鞘は背が竜骨になり、口部は長毛があ る。葉身は長さ10-20cm、幅 2-4mm。総は 6-15 本、斜上し、 長さ2-9cm。小穂は 3-4 小花からなり、紫色を帯びること が多く、第1 小花は両性、上方の小花は護穎のみに退化 し不稔。苞頴は披針形で膜質、第1 苞頴は長さ約 1.5mm、2 苞頴は長さ 2-2.8 mm。第 1 小花の護穎は楕円形で長 さ約2mm、上半部に長さ 1-1.5mm の縁毛があり、先は長3-7mm の芒になる。第 2 小花の護穎は基部に明瞭な柄 があり、倒卵形で長さ1-1.2mm、先は長さ 3-7mm の芒が ある。第3 小花は丸く、長さ 0.8-1mm、芒は長さ 2-5mm。  熱帯アメリカ原産。世界の熱帯~暖温帯に広く帰化し、 畑地雑草になっている(竹松・一前, 1997)。琉球、小笠原 に帰化。本州(神奈川、三重)に一時帰化。  1951 年の沖縄県那覇市がもっとも古い記録である。本 州では1955 年の三重県からの報告がある(太田, 1997)。 長田(1989)や桑原(2008)に図が掲載されている。 標本 : 東京都. 小笠原村 父島 奥村, 25 Nov. 1968, 山崎 敬TI); 同 父島 洲崎 alt.10m, 6 Dec. 2003, 勝山輝男(KPM-NA0125855); 同 母島 静沢 alt.5m, 5 Jun. 2008, 菅澤桂子 7807 (KPM-NA0148169 & KPM-NA0148170); 同 母島 庚申塚, 10

Nov. 1990, 大野啓一(CBM-BS-168058 & 168059); 同硫黄 島, 13 Aug. 1997, 長谷川義人 15613-1(TNS-721377); 同 南 鳥 島, 5 Feb. 1987, 長谷 川義人(NA0076844 & KPM-NA0076872). 神奈川県. 横浜市港北区 牛久保町, 15 Sep. 1987, 小 崎 昭 則(KPM-NA1061054); 藤 沢 市 善 行, 31 Jul. 2001, 松本雅人(KPM-NA0127648). 沖縄県. 那覇市 西新町, 10 Oct. 1951, 天野鉄夫 6800(TNS-101602); 島尻郡南大東村 (南大東島)旧東 海軍棒 alt.30m, 24 Jan. 2011, 勝山輝男ほ か(KPM-NA0149419); 八重山郡竹富町(黒島)保里, 4 Nov. 1988, 皆川礼子 R-5895(TNS-01019486); 同(西表島)白浜, 25 Feb. 1992, 原 正利・米林 仲(CBM-BS-168058 & 230024). 2. ヒメヒゲシバ

Chloris divaricata R. Br., Prodr. 186 (1810).

 多年草。茎は倒れて節から根を出し、先は立ち上がり、 高さ15-40cm。葉鞘は背が竜骨となり、口部は無毛また は長毛がある。葉身は長さ5-15cm、幅 1-2mm。総は 3-7 本、開出し、長さ3-10cm、小穂をやや疎らに(片側に 3-7/cm)つける。小穂は 2 小花からなり、第 1 小花は両性、2 小花は不稔(護穎のみ)。苞頴は披針形で膜質、第 1 苞頴は長さ1.5-2mm、第 2 苞頴は長さ 2.5-3 mm。第 1 小 花の護穎は披針形で長さ3-4mm、背面はざらつき、上部 には縁毛があり、先は2 深裂し、その間から長さ 5-10mm の芒が伸びる。第2 小花の護穎は狭楕円形で長さ 1-2mm、 先は2 裂し、間から長さ 1-5mm の芒が伸びる。  オーストラリア原産。北アメリカなどに帰化。沖縄県 に帰化。本州(千葉)に記録がある。  1969 年に多和田真淳氏が島尻郡具志頭村で採集したも のを首里で栽培し、ヒメヒゲシバと名付け、大井(1970) が本種と同定し報告した。TNS-257398 はこの際の標本と 思われる。桑原(2008)は 1978 年の那覇市首里の植物を描 いている。千葉県植物誌(木村, 2003)ではヒメヒゲシバは 取り上げていないが、1955 年に日毛中山工場で採集され た標本(TNS-120179)が残されている。これは輸入原毛に 随伴して持ち込まれ、一時的に発生したものと思われる。 沖縄県以外からは最近の記録はない。 標本 : 千葉県. 市川市 日本毛織中山工場, 10 Sep. 1955, 岩 徹(TNS-120179). 沖縄県. 那覇市 首里, 栽培, 3 Nov. 1969, 多和田真淳(TNS-257398); 島尻郡北大東村(北大東島)ハマ ユウ荘付近, 7 Mar. 2005, 中山博子(KPM-NA0129786); 同 中 alt.60m, 26 Nov. 2011, 勝山輝男ほか(KPM-NA0149442 & KPM-NA0149449).

3. アフリカヒゲシバ(ローズソウ)

Chloris gayana Kunth, Révis. Gramin. 1: 293, pl. 58 (1830).

 多年草。茎は直立または基部が倒れて節から根を出し、 高さ50-150cm。葉鞘は背が竜骨になり、口部は長毛があ る。葉身は長さ10-30cm、幅 2-7mm。総は 5-16 本、斜上し、 長さ5-10cm。小穂はふつう 3 小花(稀に 4 小花)からなり、 淡褐色、稀に紫色を帯びる。苞頴は披針形、膜質でざら つき、第1 苞頴は長さ 1.5-2mm、第 2 苞頴は長さ 2.5-3 mm。1 小花は両性、護穎は長楕円形で長さ約 3mm、上半 部に長さ1-1.5mm の縁毛があり、先は長さ 5-10mm の芒 になる。第2 小花は雄性または稀に両性、長さ 2-2.5mm、 先は長さ2-3mm の芒がある。第 3 小花は護穎のみに退化 または稀に雄性で長さ1mm 以下。  南アフリカ原産の多年草。牧草として熱帯~亜熱帯の 各地に導入され、帰化して畑地雑草となっている(竹松・ 一前, 1997)。本州(群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、長 野、愛知、岐阜、三重、大阪、兵庫、山口)、四国(徳島、 香川、愛媛、高知(高知県牧野記念財団編, 2009))、九州(福 岡、長崎、大分(荒金, 2006)、宮崎、鹿児島)、琉球、小 笠原に帰化。  日本へは1960 年頃に入ったものと思われる。確認でき たもっとも古い標本は1962 年に三重県と愛媛県で採集さ れたものであった。文献記録も1960 年の名古屋市がもっ とも古い(久内, 1962)。長田(1989)や桑原(2008)に図が掲 載されている。 標本 : 埼玉県. 比企郡の森林公園, 27 Sep. 1971, 鈴木由 告(TNS-285601); 浦和市 三室, Oct. 1973, T.Kawasaki 4204TNS-656477, 657187 & 657582). 千葉県. 鴨川市 上, 19 Oct. 1990, 諏訪文二(CBM-BS-235386); 野田市 下三ヶ尾 利根運 河, 8 Oct. 2000, 長谷川義人 16797(CBM-BS-179781). 東京都. 小笠原村 父島 洲崎 alt. 10m, 6 Dec. 2003, 勝山輝男(KPM-NA0125854). 神奈川県. 藤沢市 遠藤, 17 Aug. 2001, 埜村恵 美子ほか(KPM-NA0122450 & KPM-NA0122451); 横須賀市 神明町, 6 Oct. 1986, 山内好孝(KPM-NA1061055); 横浜市鶴 見区 上末吉, 8 Sep. 1980, 森 茂弥(KPM-NA1061056). 三重. 度合群小俣町, 30 Aug. 1962, 太田久次(TNS-272439). 兵

(5)

庫県. 神戸市中央区 港島南, 22 Jul. 2001, 水田光雄 202084TNS-726744); 三原郡南淡町 阿万吹上町 田尻, 26 Oct. 1998, 丸井英幹 2949(TNS-699287). 山口県. 山口市 平川, 栽 培?, 30 Aug. 1964, 岡 国夫 20684(TNS-215281). 香川県. 加 麻良神社, 13 Aug. 1967, 真木弥太郎(TNS-292908). 愛媛県. 観音寺市 流岡, 1 Aug. 1962, 真木弥太郎(TNS-286587); 同, 18 Aug. 1965, 真木弥太郎(TNS-186431). 鹿児島県. 肝属郡 内之浦町 五郎ヶ元, 1 Aug. 1997, 長谷川義人 15567(CBM-BS-163420); 西之表市(種子島), 4 Jun. 1977, T.Kawasaki 4610 (TNS-661818); 大島郡喜界町(喜界島)宮原山, 19 Apr. 1998, 村上治道 407(TNS-689428); 大島郡宇検村(奄美大島)湯湾, 6 Oct. 2009, 中山博子・木村研一(KPM-NA0137595); 大島 郡知名町 新城, 28 Mar. 1984, 山内好孝(KPM-NA0076978); 大島郡与論町(与論島), 8 Aug. 1976, 岡 国夫 39703(TNS-369489). 沖縄県. 中頭郡西原町 千原 琉球大学キャンパス, 19 Mar. 2006, 木場英久(KPM-NA0124659); 国頭郡今帰仁 村, 2 Feb. 2006, 松本雅人(KPM-NA0127649); 石垣市(石垣 島)大川, 7 Mar. 1973, 古瀬 義 2594(KPM-NA0070124); 同 開, 22 Jun. 1972, 古瀬 義 42(KPM-NA0076319); 八重山郡竹 富町(黒島)東筋~南海岸, 27 Aug. 1972, 古瀬 義 924(KPM-NA0069342). 4. クシヒゲシバ(クシガタオヒゲシバ、クシカザグルマ)

Chloris pectinata Benth., Fl. Austral. 7: 612 (1878).

 1 年草。茎は直立し、高さ 30-40cm。葉鞘は背が竜骨と なり、口部は無毛。葉身は長さ5-20cm、幅 1-3mm、先は 尖る。総は5-6 本、開出し、長さ 8-10cm、小穂を密(10-14 個 /cm)につける。小穂は 2 小花からなり、第 1 小花は 両性、第2 小花は不稔(護穎のみ)。苞頴は披針形で膜質、1 苞頴は長さ約 1.5mm、第 2 苞頴は長さ約 4 mm。第 1 小花の護穎は披針形で長さ 4-5mm、上部には縁毛があ り、先は2 深裂し、その間から長さ 15-30mm の芒が伸びる。2 小花の護穎は狭楕円形で長さ 1.5-2mm、先は 2 裂し、 間から長さ5-10mm の芒が伸びる。  オーストラリア原産。本州(千葉、愛知)に一時帰化。  国内の記録は岩瀬 徹が 1955 年に市川市日本毛織で採 集したのが初めてとされる(木村, 2003)。TNS には岩瀬徹1955 年の同じ日に日毛中山工場で採集した Chloris sp. 2TNS-120179)と Chloris sp. 3(TNS-120177, Fig. 1)の 2 点の 標本があり、2 点ともに“Chloris divaricate R.Br. det. Kyoda, 1988”の Anotation がついていた。しかしこの 2 点の標本 は異なるもので、Barkworth(2003)の記述から前者はヒメ ヒゲシバC. divaricata、後者が本種と同定された。久内1962)は 1960 年に上田豊氏が名古屋市で採集したものを C. pectinata と同定し、和名をつけずに報告している。こ の名古屋産の標本は確認していない。したがって、本種 の確実な記録は前述の千葉県市川市のもののみであった。  和名のクシヒゲシバの最初の出典は不明であるが、杉 本(1973)が用いている。小滝・岩瀬(1962)など、千葉県 で本種が発見された当時はクシガタオヒゲシバの和名を 用いているが、木村(2003)、木場(2003)、太刀掛・中村2007)など、最近の出版物ではクシヒゲシバを標準和名 とているので、ここでも標準和名はクシヒゲシバを採用 した。Corner and Watanabe(1969)にはクシカザグルマの和

名で図とともに掲載されているが、描かれている図は第 2 小花の護穎の先が切頭に描かれており、チャボヒゲシ バC. truncata を描いたものと思われる。 標本 : 千葉県. 市川市 日本毛織中山工場, 10 Sep. 1955, 岩瀬 徹(TNS-120177 & CBM-BS-300731). 5. ナガヒゲシバ

Chloris pycnothrix Trin., Gram. Unifl. Sesquifl. 234 (1824).

 1 年草または多年草。直立または基部が倒れて節から 根を出し、高さ20-40cm。葉鞘は背が竜骨となり、口部に は長毛がある。葉身は長さ5-10cm、幅 3-5mm、先は鈍い。 総は4-6 本、開出し、長さ 4-6cm。小穂は 2 小花からなり、 淡褐色でときに紫色を帯び、第1 小花は両性、第 2 小花 は不稔(護穎のみ)。苞頴は披針形で膜質、第1 苞頴は長さ 1.5-2mm、第 2 苞頴は長さ 3-4 mm。第 1 小花の護穎は披 針形で長さ2-2.5mm、背面はざらつき、縁毛はなく、先は 2 裂し、その間から長さ 15-25mm の芒が伸びる。第 2 小 花の護穎は長さ1-1.5mm の柄があり、楕円形で長さ 0.5mm 以下、芒は長さ3-5mm。  日本新産。これまでに日本への帰化の記録はないが、ブ ラジル産のイネ科雑草を報じた橋本(1977)に和名がつけ られている。今回、琉球への帰化が確認された。Basel & Berlin(1981)や Gibbs Russell et al.(1991)に図が載っている。

 総が掌状に開出し、第1 小花の護穎は先が尖り、長い 芒があるため、ヒメヒゲシバC. divaricata やクシヒゲシバ C. pectinata に似るが、第 1 小花が著しく小さい(長さ 0.5mm 以下)。第1 小花が著しく小さいため、総が開出していな い未熟な個体はコウセンガヤC. radiate と紛れる可能性が ある。今回、本種と同定された標本(Fig. 2)もコウセンガ ヤに誤同定されていた。 標本 : 鹿児島県. 大島郡大和村(奄美大島)名音 alt. 25m, 27 Nov. 2007, 勝山輝男・田畑満大(KPM-NA0129265). 沖縄県. 名護市 屋我地島, 3 Jul. 2006, 松本雅人(KPM-NA0127650); 八重山郡竹富町(西表島)南風見田浜, 2 Oct. 2004, 馬場しの ぶほか(KPM-NA0126368). 6. コウセンガヤ(アメリカヒゲシバ、ヒゲシバ)

Chloris radiata R. Br., Prodr. 26 (1788).

 1 年草。茎は直立または基部が倒れて節から根を出 し、高さ20-70cm。葉鞘は背が竜骨になる。葉身は長さ 6-30cm、幅 2-6mm。総は 12-25 本、斜上し、長さ 4-11cm。 小穂は2 小花からなり、淡褐色。苞頴は披針形で薄膜質、1 苞頴は長さ約 1.5mm、第 2 苞頴は長さ 2.5-3 mm。第 1 小花は両性、護穎は披針形で長さ約 3mm、上半部に長 さ約0.5mm の縁毛があり、先は尖り、2 深裂し、その間 から長さ8-13mm の芒が伸びる。第 2 小花は長い柄があ り、護穎のみに退化し、長さ約1mm、先は 2 裂し、長さ 3-6mm の芒がある。  熱帯アメリカ原産の1 年草。熱帯~温帯に広く帰化し、 畑地や牧草地の雑草になっている(竹松・一前, 1997)。琉 球、小笠原に帰化。本州(群馬、東京、静岡、岡山)に一 時帰化。  琉球や小笠原への帰化は古く、1919 年に小笠原諸島の 父島、1912 年に大東諸島の沖大東島で採集された標本が

(6)

T. Katsuyama 32 残されている。なお、太刀掛・中村(2007)に神奈川県の 記録があるが、これは「神奈川県植物誌1988」によるも のでアフリカヒゲシバの誤同定であった(木場, 2001)。桑 原(2008)に図が掲載されている。 標 本 : 東 京 都. 江 東 区 砂 町, 31 Aug. 1949, 檜 山 庫 三TNS-82166); 小笠原村 父島 清瀬, Nov. 1910, 採集者不明TNS-20548); 同 袋 沢, 16 May 1974, 古 瀬 義 5829(KPM-NA0065945); 同 母 島, 5 Aug. 1927, 採 集 者 不 明(TNS-545236); 同 桑の木山, 26 Jun. 1976, 古瀬 義 11190(KPM-NA0074169). 沖縄県. 那覇市 上の山, Aug. 1949, 天野鉄夫 6801(TNS-99984); 同 西新町, 10 Oct. 1951, 天野鉄夫 6801 (TNS-101601); 島尻郡北大東村(北大東島), 27 Jan. 1948,

T.Kanashiro 5756(TNS-99986); 同 中野 alt.5m, 26 Jan. 2011, 勝 山輝男ほか(KPM-NA0149448); 同 沖大東島, 4-16 Jul. 1912, G.Yamada(TNS-99236); 島尻郡南大東村(南大東島), 20 Dec. 1985, J.Haginiwa JHO-28786(TNS-978786); 同, 30 Dec. 2001, 大野啓一(CBM-BS-230023).

7. チャボヒゲシバ(メヒゲシバ)

Chloris truncata R. Br. , Prodr. 186 (1810).

 多年草。高さ30-40cm。葉身は長さ 5-20cm、幅 1-3mm、 先は鈍い。総は8-10 本、開出し、長さ 8-18cm。小穂は 2 小花からなり、第 1 小花は両性、第 2 小花は護穎のみ に退化して不稔。第1 苞頴は長さ約 1.5mm、第 2 苞頴は 長さ約3 mm。第 1 小花の護穎は長さ 2-3mm、芒は長さ 6-8mm。第 2 小花の護穎は柄があり、倒卵形で、柄を除 いて長さ1-1.5mm、芒は長さ 5mm 以下。  オーストラリア原産。本州(千葉、愛知、三重、広島) に一時帰化。  国内への帰化の記録は久内(1962)の名古屋がもっとも 古い。その後、村田(1992)が三重県への帰化を報告し、 メヒゲシバの和名を新称した。桑原(1982)には Chloris sp.として 1960 年船橋市産の標本を描き、千葉県植物誌(木 村, 2003)ではこれをチャボヒゲシバとして引用している。 千葉県では毛織工場で採集され、三重県鈴鹿市旭ヶ丘や 小俣町にも紡績工場があり(太田, 1997)、これらの記録は オーストラリアからの輸入原毛に随伴して持ち込まれた ものと思われる。 標本 : 千葉県. 市川市 市川毛織工場, 14 Aug. 1965, 浅野貞 夫(CBM-BS-191701). 三重県. 鈴鹿市 旭ヶ丘, 18 Jul. 1976, 太田久次 11631(KPM-NA0132295); 度合群小俣町, 5 Aug. 1962, 太 田 久 次(TNS-272438); 同, 7 Oct. 1962, 太 田 久 次 (TNS-272437). 広島県. 福山市 大門町 津之下, 17 Jul. 1968, 高橋 茂(TNS-286067). 8. オヒゲシバ(セイヨウヒゲシバ、チョウセンオヒゲシ バ)

Chloris virgata Sw. , Fl. Ind. Occid. 1: 203 (1797).

 1 年草。茎は直立または基部が倒れて節から根を出 し、高さ20-50cm。葉鞘は背が竜骨になる。葉身は長さ 6-25cm、幅 4-7mm。総は 5-15 本、斜上し、長さ 3-8cm、き わめて密に小穂をつける。小穂は2 小花からなり、紫色を 帯びることが多く、苞頴は披針形で膜質、第1 苞頴は長さ 2-2.5mm、第 2 苞頴は長さ 3-3.5 mm、先は長さ 1-2mm の 芒になる。第1 小花は両性、護穎は倒卵形で硬く、長さ約 3mm、上半部に長さ 1.5-3mm の縁毛があり、先は長さ 10-15mm の芒になる。第 2 小花は不稔で護穎のみに退化し、 無毛、長さ1.5-2mm、先は切形、長さ 5-12mm の芒がある。  北アメリカ原産の1 年草。熱帯~亜熱帯に広く帰化し て畑地雑草になっている(竹松・一前, 1997)。本州(宮城、 栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、三重、大阪、 和歌山、京都、兵庫、岡山)、四国(高知(高知県牧野記念 財団編, 2009))、九州(福岡、熊本、宮崎)、琉球、小笠原? に帰化。  日本への帰化の記録は古く、熊本県(1922 年)、栃木県1930 年)、福岡県(1933 年)、愛知県(1942 年)などの標本 記録がある。戦前から中国東北部などに帰化し、多くの 標本が残されており、これらの古い記録は中国大陸から 持ち込まれた可能性がある。1990 年代や 2000 年代の神 奈川県での記録は、輸入乾草を扱っていた港湾や牛の肥 育を行っていた畜産農家の周辺で採集されたケースが多 く、輸入乾草からこぼれ落ちた種子から発生したと推定 される。今回の標本調査では琉球や小笠原で採集された 標本は確認できなかったが、初島・天野(1994)や島袋編1997)に戦後沖縄に帰化の記述、初島(2004)には種子島 と沖永良部島の記録がある。しかし、小笠原に関しては、 豊田編(2003)に記録はなく、太刀掛・中村(2007)の小笠 原の記録は確認できなかった。長田(1989)や桑原(2008) に図が掲載されている。 標本 : 栃木県. 足利市 足利駅前, 12 Oct. 1930, 関本平八TI). 千葉県. 千葉市 黒砂町, 25 Aug. 1967, 浅野貞夫(CBM-BS-178142); 我孫子市 岡発戸新田, 29 Oct. 1968, 斎藤吉永 (TNS-292031); 市川市 千原台, 6 Nov. 1992, 今井節子(CBM-BS-47418). 神奈川県. 横浜市中区 桜木町, 17 Oct. 1989, 吉 川アサ子(KPM-NA1102274 & KPM-NA1102276); 同 山下町 山下埠頭, 11 Sep. 1997, 山田文雄(KPM-NA0115815); 港北 牛久保町, 15 Sep. 1987, 小崎昭則(KPM-NA1061062); 同 中川中央, 15 Nov. 1995, 吉川アサ子(KPM-NA1108252); 藤沢市 辻堂, 19 Oct. 2008, 中山博子ほか(KPM-NA0133755); 相模原市 小山, 12 Oct. 2000(菅澤桂子 1235, TNS-773511); 淵野辺米軍基地, 25 Sep. 1986, 大場達之ほか(KPM-NA1061057); 同, 30 Oct. 1983, 太田泰弘(KPM-NA1061058), 海老名市 国分, 14 Aug. 1983, 弓削早苗(KPM-NA1061059); 海老名駅, 12 Sep. 1983, 羽野雅子(KPM-NA1061060 & KPM-NA1061061). 愛知県. 海部郡南陽村, 9 Sep. 1932, 稲垣 貫一(CBM-BS-116693); 名古屋市名古屋区 下之一色町, Sep 1942, 稲垣貫一(TI). 三重県. 四日市市 四日市港, 8 Oct. 2000, 太田久次(KPM-NA0122796). 京都府. 京都市左京区 岩倉三 宅町, 22 Aug. 1968, S.Okamoto(TNS-250818). 兵庫県. 加藤 郡東条町 岡本, 30 Oct. 2002, 岩本尚美 5433(TNS-745409). 岡山県. 倉敷市 児島塩生, 19 Oct. 1986, 小畠裕子(TNS-01091852). 福岡県. 北九州市門司区, 2 Nov. 1933, 鈴木貞夫 (TNS-489392); 福岡市, 15 Aug. 1947, 長田武正(TNS-99238). 熊本県. 球磨郡球磨村 神瀬, 10 Sep. 1922, K.Mayebara(TI). 謝 辞  北大東島の調査では城間盛男氏に大変お世話になった。 また、大阪府の植村修二氏、秋田県立大学の森田弘彦氏

(7)

からはクシヒゲシバやナガヒゲシバの情報をいただいた。 国立科学博物館、東京大学総合研究博物館、千葉県立中 央博物館の標本調査にあたっては、標本管理者にお世話 になった。この場をお借りして御礼申し上げる。本研究の 一部には日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B) (課題番号22300276 研究代表者:高桑正敏)を使用した。 引用文献 荒金正憲, 2006. 豊の国大分の植物誌 増補. 491pp. 自費出版.

Barkworth, M. E., 2003. Chloris. Flora of North America Editorial Committee ed., Flora of North America, North Mexico. Vol.25, pp.204-219. Oxford Univ. Press, New York.

Basel, E. H. and H. S. Berlin, 1981. Grass Weeds 2. 137pp. 22pls. CIBA-GEIGY, Switzerland.

Clayton, W. D. and S. A. Renvoize, 1986. Genera Graminum, Grasses of the World. Kew Bulletin Additional series, 13: 1-389.

Corner, E. J. H. and K. Watanabe, 1969. Illustrated Guide to Tropical Plants. 1147pp. Hirokawa, Tokyo.

Gibbs Russell, G. E., L. Watson, M. Koekemoer, L. Smook, N. P. Barker, H. M. Anderson and M. J. Dallwitz, 1991. Grasses of Southern Africa. 437pp. National Botanic Garden, South Africa.

橋本梧郎, 1977. ブラジルの畑地雑草(8). 雑草研究, 22: 90-95. 初島住彦, 2004. 九州植物目録. 鹿児島大学総合研究博物館研究 報告, (1): 1-343. 初島住彦・天野鉄夫, 1994. 増補改訂 琉球植物目録. 393pp. 沖縄 生物学会, 那覇. 久内清孝, 1962. 外来イネ科植物を記録する. 植物研究雑誌, 37: 144. 木村陽子, 2003. イネ科(タケ連を除く). 千葉県史料研究財団編, 千葉県植物誌. 711-787pp. 千葉県, 千葉. 木場英久, 2001. オヒゲシバ属. 神奈川県植物誌調査会編, 神奈川 県植物誌2001. 328-329pp. 神奈川県立生命の星・地球博物館, 小田原. 木場英久, 2003. オヒゲシバ属. 清水建美編, 日本の帰化植物, pp.276-278. 平凡社, 東京. 高知県牧野記念財団編, 2009. 高知県植物誌. 844pp. 高知県, 高知. 小滝一夫・岩瀬 徹, 1962. 帰化雑草の生態. 雑草研究, (1): 67-70. 桑原義晴, 1982. 日本イネ科植物生態図譜 Ⅲ. 84pp. 北陸植物の会, 金沢. 桑原義晴, 2008. 桑原義晴 日本イネ科植物図譜. 503pp. 全国農村 教育協会, 東京. 村田 源, 1992. 植物分類雑記 21. 植物分類地理, 43: 153. 大井次三郎, 1970. 沖縄島の新帰化植物 3 種. 植物採集ニュース, (48): 9. 太田久次, 1997. 改訂 三重県帰化植物誌. 246pp. ムツミ企画, 津. 長田武正, 1989. 日本イネ科植物図譜. 759pp. 平凡社, 東京. 島袋敬一編, 1997. 改訂版 琉球列島維管束植物集覧. 855pp. 九州 大学出版会, 福岡. 杉本順一, 1973. 日本草本植物総検索誌 Ⅱ 単子葉編. 630pp. 井上 書店, 東京. 太刀掛 優・中村慎吾編, 2007. 改訂増補 帰化植物便覧. 676pp. 比 婆科学教育振興会, 広島. 竹松哲夫・一前宣正, 1997. 世界の雑草 Ⅲ 単子葉類. 1057pp. 全国 農村教育協会, 東京. 豊田武司, 2003. 小笠原植物図譜(増補改訂版). 522pp. アボック 社, 鎌倉. 勝山輝男, 2012. 日本で記録されたイネ科オヒゲシバ属の外来種. 神奈川県立博物館研究報告(自然科学), (41): 27-33. (Katsuyama T., 2012. Exotic species of the genus Chloris (Poaceae) known in Japan. Bull. Kanagawa prefect. Mus. (Nat. Sci.), (41): 27-33.)

オヒゲシバ属 Chloris Sw. は熱帯から暖帯に約 55 種が知られ南半球に多い。日本では 8 種が記録されており、いず

れも外来種である。アフリカヒゲシバ Chloris gayana とオヒゲシバ Chloris virgata は関東地方以西に広く帰化してい る。クシヒゲシバ Chloris pectinata とチャボヒゲシバ Chloris truncate は 1955 年から 1976 年に千葉県や三重県の毛織 工場の周辺で採集された。これらはオーストラリアからの原毛に随伴して持ち込まれたものと思われる。シマヒゲ シバ Chloris barbata とコウセンガヤ Chloris radiate は琉球や小笠原諸島には普通に見られるが、日本本土では稀であ る。ヒメヒゲシバ Chloris divaricata とナガヒゲシバ Chloris pycnothrix は琉球に帰化し、ナガヒゲシバは本報告で日本 への帰化が初めて確認された。

(受付 2011 年 11 月 24 日;受理 2011 年 12 月 23 日)

(8)

Fig. 2.  Chloris pycnothrix collected in Amami-oshima Island, the  Ryukyus (KPM-NA012926).
Fig. 3.  Florets of eight species of Chloris.  Scale: 1mm.

参照

関連したドキュメント

成される観念であり,デカルトは感覚を最初に排除していたために,神の観念が外来的観

漏洩電流とB種接地 1)漏洩電流とはなにか

白山にちなんで名づけられた植物は、約20種 あります。ハクサンとつく以外に、オヤマリン

されていない「裏マンガ」なるものがやり玉にあげられました。それ以来、同人誌などへ

自閉症の人達は、「~かもしれ ない 」という予測を立てて行動 することが難しく、これから起 こる事も予測出来ず 不安で混乱

本論文での分析は、叙述関係の Subject であれば、 Predicate に対して分配される ことが可能というものである。そして o

事後調査では、ムラサキイガイやコウロエンカワヒバリガイ等の外来種や東京湾の主要な 赤潮形成種である Skeletonema

いずれも深い考察に裏付けられた論考であり、裨益するところ大であるが、一方、広東語