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中央学術研究所紀要 第29号 L078深田伊佐夫「大都市周辺地域における土地の有効利用に関する研究-2」

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(1)

大都市周辺地域における土地の有効利用

に関する研究一Ⅱ

一青梅市・飯能市・横浜市の都市近郊森林保全の事例一

目次 1 . は じ め に 2.農業基本法改正の動向と中山間地域 3.事例調査 4.総括 謝辞 文献 1 . は じ め に

深 田 伊 佐 夫

第1報では、大都市周辺地域の土地有効利用の可能性を考察する一環と

して、都市近郊林に隣接する中山間地域森林を対象に育林上の諸課題につ

いて検討した。 その結果、昨今の社会・経済情勢から人工造林地の保育作業を中断した

針葉樹と、利用目的を失って放置された二次自然林の現状およびそれを原

因とする土地利用上の問題点が、いくつか抽出された。 また、当初検討・考察の対象として大都市に隣接する中山間地域の森林 (78)

(2)

大都市周辺地域における土地の有効利用に関する研究一Ⅱ

を意識していたが、調査をすすめる過程で、地域区分でいう「都市的地域」

.「平地農業地域」と「中間農業地域」との間に存在する「都市近郊林」

にも、中山間地域の森林がもつのと同質の問題が存在することが明らかに なった。

もうひとつの課題は、1999年7月に国会で成立をみた、「食糧・農業・

農村基本法」=(以下、改正基本法と称す。)にもり込まれた中山間地域 直接支援制度の導入についてである。 都市近郊林は改正基本法により条件不利地域として支援対象となる中山 間地域と条件的に差異のない地域でありながら、地域区分上の問題から地 方自治体単位での支援対象から除外される地域も存在する。

本報告吉では、上述の結果をふまえて、東京首都圏の都市近郊林の圏域

に属する森林(林分および地域単位)の事例調査を中心に、①大都市周辺

地域の土地有効利用の促進と利用秩序回復、②都市近郊林のもつ諸機能の

再評価などの課題にアプローチしたい。

事例調査の分析手法としては、各地域の調査結果から、①共通課題・個

別課題を抽出し、②それらの課題の発生機構を解明することを主旨とした。

同時に改正基本法の動向についても考察する。 2.改正基本法の動向と中山間地域 (1)基本法改正の背景と概要 旧基本法は1961年に成立したもので、基本理念として「生産性と所得の 農工間格差の是正」を掲げて、生産性向上や省力化を主軸に各種の基盤整 備もすすめられた。 しかし、その後の社会経済環境の変化により、①食料自給率低下②農 業者の高齢化と後継者の不足③農地面積の減少④農村の活力低下など の事態が発生した。 合わせて1995年に成立した世界貿易機関(WTO)により、国際的な農 (79)

(3)

図 − 1 改 正 農 業 基 本 法 の 概 念 1999年7月13日付日本農業新聞 国内の農業生産性の向上と輸入と備蓄を適切に組み合わせ、災害・ 凶作・輸入の途絶えなどの非常時においても、合理的な価格で安定供 給が図られるようにする。 (80) 食 料 の 安 定 供 給 の 確 保 多 面 的 機 能 の 十 分 な ● 良 質 な 食 料 の 合 理 的 な 発 揮 価 格 で の 安 定 供 給 ③ 国 土 の 保 全 、 水 源 の か ⑨ 国 内 農 業 生 産 を 基 本 と ん 養 、 自 然 頂 塊 の 保 全 、 し 、 輸 入 と 備 蓄 を 適 切 良 好 な 景 観 の 形 成 、 文 に 組 み 合 わ せ 化 の 伝 承 等 ② 不 測 時 の 食 糧 安 全 保 障 国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展

、 /

〉 ▲ & / ② 股 梁 の 生 産 性 の 向 上 ⑪農業生産の逃択的拡大と脳 炎総生産の地大 ●膿産物の価格の安定 ●農産物の流血の合理化等 ④家族脳業経営の発展と自立 経 営 の 育 成 ⑮ 協 業 の 助 長 産物市場での生産・流通改革=農産物自給率の向上を主とした市場原理の 徹底が強調された。’) 以上の背景から改正基本法は成立し、「食糧の安定供給の多面的機能の 十分な発揮・農業の持続的な発展・農村の振興」を主旨に、つぎに示す4 つの基本理念をあげている。 ① 食 糧 の 安 定 供 給 の 確 保

− 1

国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展 j J

、 /

農② 業 の 持 続 的 な 発 展 揃献と事意uL1腸灘卿裟の羅立 ● 画 然 掘 涼 剃 能 の 醐 糊 湘 進 生 藤 性 と 生 活 水城(所得) の畿工問格差 の 是 正 偶業の発展と農業 槌率誉の地位の向二 基本法が目指すもの 旧農業基本法 食料・農業・農村基本法 食料・多面的機能 禽蜘の安定供給の確柳 う面的機能の-:-分な 化の恒求等 農 業

農村

ポ イ ン ト ポ イ ン ト ⑯裁本計画坊識定孟・食謬自篭串脚目涯繊定 ⑭倒洲署11i祝の食料砿賛の陽WF 争堕ましい農箕1m造の孫寺と料譜絢鍔の隈蹴 ⑦市営M而而を通I訓;反塊wR価WW戒と溌嘗安定対流 ● 自 認 婚 頴 蛍 能 毎 虹 狩 蝿 進 農業の拙典 喫茶の発展の処豊蝦して ④獣異の竺隆呉叫の塾碓 ⑨鉱室謂腫の釜俄等橿祉の向‘

(4)

大都市周辺地域における土地の有効利用に関する研究一Ⅱ

② 多 面 的 機 能 の 発 揮

農業のもつ多面的機能は、食糧供給と農林生態系の保全に大別でき

る。

改正基本法の理念では、食糧供給の充実化のための農業生産活動と

国土保全・水源かん養・景観保全などを両立させることを指向してい

る。

③農業の持続的な発展

ここでは、営農のための基盤整備推進と、人材育成および技術普及

による農業生産性の向上が課題となっている。 ④ 農 村 の 振 興

農村振興上の土地利用適正化と生活基盤整備、中山間地域の営農条

件不利解消および都市と農村の交流を通して農村の振興をはかること

を主旨としている。

以上4点が、改正基本法の理念としてあげられていることがらであ

る。31。(図−121を参照) (2)改正基本法と中山間地域対策

改正基本法では、農村振興のための理念と政策のなかで、中山間地域等

の振興の2項目が設けられている。

基本法に中山間地域対策が明文化されたことは、今回がはじめてである。

その主旨は、第35条に規定されている農業生産条件が不利な地域を中山

間地域とした上で、地域特性に応じた新規作物導入、地域特産物の生産と

販売、生活基盤整備および生産条件不利に対する経済的支援等がもりこま

れているo5)

しかし、現時点ではこの対策のなかに、森林保全および林業振興に関す

る直接的な表現はみられない。 したがって、地域区分としての中山間地域と、そこで営まれる広義の意 (81)

(5)

味での農業のなかに、森林保全と林業をどのように位置づけるかが大きな 課題になる。

なお、1999年8月に国民森林会議(会長・大内力・東京大学名誉教授)

は「当面する林政問題への緊急提言」を発表した。 同提言は、国内の森林と林業がかかえる諸問題、すなわち社会・経済環

境の変化にともない、適切な維持管理を行わなかったために、人工林が本

来果たすべき経済的・公益的機能が失われつつある現状に対して、今後10

年を目標とした短期計画と、20∼50年を目標とした長期計画の2つの部分 から成立している。 結論的には、木材自給率向上と、そのための林業労働力拡大を目標に、

森林法・林産物法・森林協同組合法の3つを「林政基本法」として統合す

るために、諸提言を行うものとしている。 そのなかで、中山間地域対策として、予防治山・保安林対策・林業労働 力・生産流通システムおよび地域振興に結びつく環境整備等があげられ、 短期計画にもりこむと共に、改正基本法で示す中山間地域対策の重点課題 として施策化することを提言している。6) 以上が、改正基本法の動向と中山間地域対策との関連についての概要で ある。 改正基本法は、2000年4月1日付で施行された。

農林水産省が明示した政策によれば、中山間地域の急傾斜農地(条件不

利地域)に対して、傾斜区分と耕地面積に応じた営農支援金を、直接農家 へ支払う制度が導入される。 (3)中山問地域における森林と都市近郊地域における森林 一般的にいう中山間地域の概念は、第1報にて述べたが、大都市近郊地 域にも中山間地域が存在する。 そこでは、中山間地域がもつ「過疎」と、大都市がもつ「過密」という (82)

(6)

大都市周辺地域における土地の有効利用に関する研究一Ⅱ 2つの問題を同時に解決しなければならない状況が生まれている。 東京多摩地域を例にみれば、都内で中山間地域指定を受けている3つの

市町村のうち、あきる野市は市域東部(旧秋川市域)の都市化の進行と市

域西部(旧五日市町域)の森林保全という2つの課題を持ち合わせている。 他の2町村=奥多摩町・桧原村は、町村域の土地利用形態は、おおむね 森林地帯ではあるが、都市部からの距離が60∼75kmのところに位置し、 市街地拡大による諸影響を受ける可能性を持っていると考える。 また、これらの地域に隣接する東京都青梅市では、市域東部の丘陵地域 では区画整理をともなう宅地開発の誘導や、軽工業団地造成による企業誘 致が推進されている反面、市域面積10,401haの70%(約7,280ha)を占め る森林地帯では、上述の中山間地域の指定を受けた3つの市町村と類似し た土地条件と森林環境におかれているとみられる。 同じく隣接する日の出町も、中山間地域の指定を受けていないが、町域 面積7,334haの68%(約1,918ha)は森林である。 同町は、1990年代後半より多摩地区のゴミ最終処分場をめぐる自然環境 と社会環境の変化にともなう諸問題の発生で、全国的に注目されている。 以上の状況から判断して、大都市近郊地域において森林地帯をもつ市町 村や、その森林地域では、巾山間地域の指定の有無に関係なく、①地域的

条件②森林環境③都市圏(市街地)拡大の影響という3つの要素につ

いて、類似性と共通性をもち、それらを素因・誘因とする諸問題に直面し ていると考える。 3 . 事 例 調 査 (1)事例対象地域 本報告書では、大都市近郊の森林の現状についてとりあげる。 事例対象地域としては、東京都青梅市東部丘陵地域、埼玉県飯能市東部 丘 陵 地 域 お よ び 神 奈 川 県 横 浜 市 を 選 定 し た 。 (83)

(7)

表 − 1 調 査 対 象 地 域 自 治 体 の 森 林 状 況 森 剃 ご 面 稚 1.:間地域 瀧 | : U 粍 名 ① 総 面 積 h a ⑳森牌面積ha ①×ユ00<%) 指定:,抑.稲・(○〉 育祢繭 :0.40コ 7.280 0.0 あきる鵬:1J 『サ00フ 2,39二 32.6 ○〈i::肉:『臓地Xj 飯能『:7 二3,000 9,1()〔) 0.<) W の 慨 町 2,808 二,918 68.3 奥多摩│、 22.560 22,547 99.5O(全域〉 桧原イリ 二0,542 9,749 93.0○(全域〉 横 浜 巾 43,700 1,3]8 3.0 * 横 浜 市 の 森 林 面 積 は 、 保 存 樹 林 地 お よ び 地 域 開 発 行 為 に と も な う 保 全 協 定 緑 地 の 面 積合計。 2000年4月、各向治体聞き取りによって深H1作成。 選定事由は、市街地の拡大と森林の保全という共通の地域事情をもち、 今回の考察をすすめていく上での課題をかかえている点が把握できると判 断したからである。 各地域の森林状況は、表−1に示す通りである。 いずれの地域も、1960年代からはじまった東京の市街地拡大の過程にお いて、開発可能地域の限界線として意図的に森林が保存されて来た。 しかし、形状としての緑地帯と森林は存在しても、その保育状況の面か らみた場合、森林の生態的および経済的な価値が充分に発揮されていない のが実状である。 したがって、この点に着目して考察する。 (2)青梅市東部丘陵地域での事例 l)地域概要 東京都心部より西北方向へ40∼60kmの範囲に市域をもつ青梅市は、 総面積10,401haのうち70%にあたる7,280haが山林で占められている。 このうち、標高150∼200mに位置する東部丘陵地域は、挟山丘陵 西端の一部と霞丘陵の地形面に属する。 (84)

(8)

上 部 亜 層 大 都 市 周 辺 地 域 に お け る 士 地 の 有 効 利 用 に 関 す る 研 究 一 Ⅱ

□ i ” 2 = 3 巨 三 4 醗 鰯 5 国 6 癖 7 函 8

1 : 沖 積 層 2 : 後 武 蔵 野 段 丘 堆 積 物 3 : 武 蔵 野 段 丘 堆 積 物 4 : 豊 岡 牒 暦 5 : 仏 子 粘 土 層 6 : 飯 能 牒 屑 7:二俣尾砂岩喋岩帯8:雷電山古生層帯(1)関東火山灰は便宜上省略してある(2)基盤岩類の区分は 藤本治義(1932,1933,1936)による 図−2青梅市および飯能市東部丘陵地域地質略図 青梅市役所編(1981年)青梅市の自然Ip、55より 前 ) − 億年前) (1.9∼1.95 (2.8億 石 神 層 立 ヶ 谷 層 沢 井 層 沢 井 層 年前 俣 尾 増 成 木 層 成 木 層 電 電 山 層 紀 (3.45億 年 年前) 図 − 3 青 梅 市 地 質 層 序 図 青梅市役所編(1981年)青梅市の向然Ip、49より 北 小 曾 木 層 下 部 亜 層 下 部 亜 層 ,苛水山層 (3.45億 -(1.9∼1.96 (85) (2.8億』 2.25億 中生代

古生代

三畳紀 = 豆

祇炭紀

L 郡 ; 部 部 1, ■ 。 典l〈 ■■ 60 1 , 部 血 部 1 , 部 旗 砦 統 小 坂 ホ 鍋il:続 坂 本 沢 氷;::統 柴 木 統 狭.:ざ紬 L“置統 鬼 丸 統

(9)

地質は、秩父古生層を基盤に河成牒層・関東ローム層が堆積してい る。 同丘陵の東端(埼玉県飯能市および入間市との境界付近)では、層 厚10m程度の飯能喋層の堆積がみられる。 地質概念と地質層序関係は、図−2および図−3に示す通りである。 今回の事例としては、同地域で比較的森林面積の多い、今井1丁目 ・小曽木1丁目をとりあげる。 両地域は市域東部に位置し、埼玉県飯能市および入間市に隣接して いる。(図−4参照) 東京都心部からの交通立地にも恵まれ、JR青梅線(小作駅).同八 高線(東飯能駅・金子駅)・西武池袋線(飯能駅.東飯能駅)の駅勢 圏に入るとともに、国道'6号線・青梅街道・首都圏中央自動車連絡道 (青梅I.c)にも近接している。 1999年11月1日に発表された青梅市都市計画マスタープランにより、 両地域の平地部分の土地利用計画は、住宅開発および軽工業団地.流

通業を中心とした企業誘致が、計画化をともなう区画整理のもとに施

行されることになっている。 森林を有する傾斜地部分は、「長期的視点で開発を誘導する地域」 として、将来的には何らかの開発行為への対応を意識しているものの、

現時点では市街化調整地域および第’種風致地区に準じた保全地域に

指定し、開発行為の規制を行っている。7)(写真一’、2参照) 2)森林環境 今井’丁目および小曽木’丁目の森林の主要な林相は、①保育作業 を継続中のスギ・ヒノキ造林地②保育作業を中断したスギ.ヒノキ 造林地③コナラ・クリ等の広葉樹林で亜高木層を形成する二次自然 林の3林分である。 当地は、標高180∼220m、比高30∼50m程度のゆるやかな地形の森 (86)

(10)

(87)

4①⑪

図 事例対象地域地図一① 青梅市東部丘陵地域 飯 能 市 東 部 丘 陵 地 域 大 都 市 周 辺 地 域 に お け る 土 地 の 有 効 利 川 に 関 す る 研 究 一 Ⅱ

(11)

ざ』 (88) 写真−1青梅市東部丘陵地域の景観① 青梅市木野下1丁Uより南方を望む2000年4月 写 真 − 2 青 梅 市 東 部 丘 陵 地 域 の 景 観 ② 青梅市木野下2丁112000年3月

(12)

大都市周辺地域における土地の有効利用に関する研究一Ⅱ 林であり、いわゆる「里山」と呼ばれる地域である。 歴史的には、西川林業地帯の一角として建築用丸太材生産も行われ ていたが、同時に二次自然林の活用が日常生活の一環として、なされ ていた地域でもある。

特筆すべきことがらとしては、1940年代後半に軍事目的(戦闘機代

替燃料採取)のために植林されたアカマツ造林地が9齢級に達した

1985年前後に、松くい虫(マツノマダラカミキリの媒介によるマツノ ザイセンチュウよって引き起こされる枯損被害)の加害により、おお むね枯死したことがあげられる。当地域での推定枯死面積は約lOOha である。 次に、スギ・ヒノキ造林地の施業状態について述べる。林分の内訳 は、15∼20年生(3∼4齢級)および40∼50年生(8∼10齢級)が中 心で、前者林分の保育作業は、比較的適切に行われているが、後者林 分は保育作業を中断した箇所が多い。 この林分の施業進捗状況の差異は、15∼20年生(3∼4齢級)造林 地の90%を、宗教法人立正佼成会が所有し、宗教林育成の視点から保 育作業を継続していることが事由である。 また当地で、25∼30年生(5∼7齢級)造林地の林分が欠落してい るのは、1950年代の拡大造林時代に造林されて、現在8∼10齢級に達 している林分の林木が、2∼3齢級に達した1960年代後半に、産業構 造や社会・経済環境の変化により木材需要が減少したために、新規造 林が抑制されたからである。 なお、現在15∼20年生(3∼4齢級)に達した造林地の大半は、上 述の松くい虫被害踏地を更新する目的で造林されたものである。 3)事例−1:保育作業を継続中の造林地 保育作業を継続中の造林地の事例は、宗教法人立正佼成会所有山林 での造林活動をとりあげる。 (89)

(13)

(90) 同会は、1966年に当地に青少年育成のための研修施設を建設したの を機に、将来の宗教活動拠点の構築を視野に、土地の取得を展開した。 すなわち、施設建設の3年前の1963年から1979年までの間に、青梅市 東部および飯能市東部の2市にまたがる丘陵地帯に、約300haの土地 を取得した。 1978年には、教団の「青梅基本構想」が策定され、各種の宗教施設 ・教育施設の建設と育林事業の推進が計画されたが、最終的には育林 事業のみが継続されている。林況と土地利用状況は、スギ・ヒノキ3 ∼4齢級造林地43ha,同10齢級造林地20ha、二次自然林l90ha、施設 ・茶畑・原野等57haとなっている。 通常の保育作業は専従職員4名・青梅市シルバー人材センター会員 12名および枝打ち専門の期間限定労働者(毎年1月∼3月、新潟県十 日町市より就労)5名の計21名により実施されている。 人工造林地のうち、15∼20年生(3∼4齢級)に相当する林木は、 1985年前後に松くい虫により被害を受け枯死したアカマツの9齢級造 林地の30%程度を更新したものである。 更新に際しては、同会の地方布教組織である「教会」の壮年・青年 会員が中心に奉仕作業を展開、1980年∼1994年までに、地ごしらえ・ 植林・下刈り・つる切り・どろ枝打ち(裾枝払い)等の一連の造林・ 保育作業を「青梅緑化活動=Green&Life青梅」をテーマに7万名の 参加を得て行った。 40∼50年生(8∼10齢級)に相当する人工造林地の林木は、同会が 土地を取得する以前に、前所有者が造林したもので、おおむね1940年 代後半から展開された拡大造林政策の一環として施業されたもので、 当時は、地域の共有林として位置づけられたものが多い。 現在、事例対象地域の造林地で体系的な保育作業が継続されている のは、立正佼成会が所有する山林のみである。

(14)

大都市周辺地域における上地の有効利川に関する研究一、 これは、宗教法人所有により宗教林を育林する目的が掲げられてい ることに起因するからであり、特殊な事例である。(写真−3) 4)事例−2:保育作業を中断した造林地 一方で、保育作業を中断した造林地も存在する。これらの造林地も、 松くい虫の被害を受けたアカマツ造林地の更新を目的に、ヒノキを造 林した、15∼20年生(3∼4齢級)の造林地である。所有形態は個人 所有で、l林分の面積は0.5∼lha程度である。 幼齢林当時初期の保育作業(下刈り)までは順調に実施されたが、 その後の除伐・間伐・枝打ち等が中断したため、林分内の密度調整が 不充分となり、樹・冠のうっ閉・材木の生長不良と枯死・下層植生の消 失・林床の劣化がみられる。 個人所有の人工造林地は、おおむね上述のような状態になっている。 保育作業を中断せざるを得ない事由の素因と誘因については、第1報 で明らかにしたが、以下に2所有者個人に対し、聞き取り調査を行っ たので、その結果を記する。 i)M・Y氏(入間市寺竹在住) 1985年に、アカマツ枯死地の更新策として1,000本を植林。幼齢 木の時期には下刈りを行っていたが、その後の保育作業は中断した。 所有林の総面積は0.9ha、造林地施業面積は0.3haである。所有 山林は、自宅から西方へ2km離れた青梅市小曽木1丁目地内であ る。「アカマツが枯死した造林地の生存しているアカマツの優良木 は材木店へ販売した。不良木は、山へ伐り捨てにして、その後にヒ ノキを1,000本(3,000本/ha相今'1)植林した。」とのことである。(写 真−4) ii)H・I氏(青梅市小曽木在住) 同氏は山林の地目をもつ土地を3ha所有し、うち0.5haのスギ林 分を対象に施業している。林齢は45∼50年である。現在は、特に保 (91)

(15)

写 真 − 3 保 育 作 業 を 継 続 中 の ヒ ノ キ 15年生の造林地 青梅市小曽木1丁目2000年3月 写 真 − 4 保 育 作 業 を 中 断 し た ヒ ノ キ 15年生の造林地 青梅市小曽木1丁目1999年3月 育 作 業 は 行 っ て い な い が 、 幼 齢 林 時 代 の 保 育 作 業 も 行 っ て い た た め 、 比較的生長状態は良好である。 本来の生業は、養豚や茶│刺も扱う農業であったが、1985年から所 有地の一部を活用して、ゴルフ練習場を開業し、これが主業になっ ている。合わせて、1998年から練習場脇に自家製野菜の無人販売用 のログハウス型ボックスを設置した。(写真−5) 5)二次自然林の事例 二次自然林の林相は、2つに大別できる。ひとつは、コナラ.クリ ・イヌシデ等を中心とした従来の落葉広葉樹.高木林、もうひとつは、 ヒサカキ.リヨウブ等が高密度に繁茂した落葉・常緑広葉樹の低木林 である。 前者の林分は、樹高に対して直径が細い林木の割合が多い。これは、 かつての同地域の生活体系に、薪炭材等の採取が組み込まれ、適度な (92)

(16)

大都市周辺地域における土地の有効利用に関する研究一Ⅱ 密度調整が図られていたものが、その後の生活体系の変化により林木 の利用が中断したからである。 これに対して後者は、アカマツが枯死した後に更新処置が実施され なかったために、広葉樹の低木類が乱雑に繁茂し形成された林相であ る。いずれの場合も、適度な密度調整が行われた林分に、適正な林木 の生長が期待できる。 しかし、現実には最近の社会・経済状勢から利用目的が見い出せな いことと、さらに木材、特に国産材の需要減少などの問題から、現況 のまま放置されることになる。(写真−6) 6)青梅市東部丘陵地域での事例総括 当地域は市街地に隣接していること、特定の法人所有の造林地面積 の割合の多いことが特徴である。 森林保全の面から当地域の森林を検討すれば、個人所有の造林地と 二次自然林の保育作業の継続は、現在の諸環境下では極めて困難であ ると考える。このことは、地域の開発条例でいう緑地保全の理念とは、 相反する状況になっている。すなわち、森林保全をするためには、森 林の保育が必要不可欠である。 当地域は、地形的には多摩ニュータウンなどの大規模開発が行われ ている地域と同様の丘陵地帯であり、換言すれば宅地開発可能地域と みなすこともできる。 しかし、都内および首都圏近郊地域全体の土地利用秩序維持の面か ら、当地域の緑地保全の有用性は高いと考える。 現在、当地域の人工造林地を対象にした、造林補助制度による間伐 作業が、森林組合の請負により2000年次より開始された。また、市内 の自然保護団体のボランティア活動による二次自然林の間伐作業も始 まっている。しかし、両者とも育林技術の基本である除間伐木の選木 ・ 下 層 植 生 の 保 全 、 伐 採 方 法 等 の 面 で 不 充 分 な 対 処 が 目 立 っ て い る 。 (93)

(17)

(94)

写 真 − 5 H ・ I 氏 の 経 営 す る ゴ ル フ 練 習 場 と ロ グ ハ ウ ス 型 ボ ッ ク ス 青梅市小曽木1丁目2000年4月

写 真 − 6 二 次 自 然 林 ( ク リ ・ コ ナ ラ ) の 林 相 青梅市藤橋1丁目2000年3月

(18)

大 都 市 周 辺 地 域 に お け る 土 地 の 有 効 利 用 に 関 す る 研 究 一 Ⅱ 写 真 − 7 除 間 伐 木 の 選 木 に 問 題 の あ るヒノキ50年生林分 青梅市今井1丁Ⅱ2000年4月 揮 し て い る と は 限 ら な い , 保 全 の た め の 保 育 作 業 の 体 系 化 ・継続性・技術伝承・後継者育 成が課題である。(写真−7) 同じ青梅市内でも、標高の高 い西部山岳地帯では、施業が実 施された人工造林地の割合が多 く、今回の事例でとりあげた東 部 丘 陵 地 帯 と は 状 況 を 異 に す る が、保全のための保育作業の継 続という面では、共通の課題を もつと考える。 しかし、景観として存在する 森林空間が、必ずしも森林の果 た す べ き 機 能 と 役 割 を 充 分 に 発 (4)飯能市東部丘陵地域での事例 l)地域概要 飯能市は、東京都心部より北西方向へ40∼60kmの範囲に市域をも ち、人口87,000人を有する都市である。総面積は13,000ha、うち70% にあたる9,lOOhaが山林である。 地形的には、関東平野と関東山地の境界線に位置し、東部の台地・ 丘陵と西部山地から成る、西高東低の形状を呈している。 地質的には、秩父古生層を基盤に第三紀諸層・関東ローム層という 層序関係を形成し、前項でふれた青梅市と類似した地質構造を成して いる。事例対象地域である東部丘陵地域の地質概念と地質層序関係は、 図−2および図−5に示す通りである。特に、飯能喋層の層厚が50∼lOO (95)

(19)

(96) 図 − 5 飯 能 市 地 質 層 序 図 飯能市建設部編(1996年) 飯能市開発防災マップ解説書P,12より mと厚いことが特徴である。芯’ 事例対象地域として選定した、同市阿須・落合・岩測地区(図−4 参照)は、市街地中心部から南方へl∼2kmに位置する。市街地拡 大の影響を受けつつも、市街化調整地域として既存の宅地以外は山林 となっている。 しかし、このエリア内ではミニ開発によるスプロール化現象の発生、 悪質な土地ブローカーによる架空の大規模宅地造成の企画など、現在 大都市周辺で発生している土地利用上の諸問題が集約されている。 なお、同3地域では1998年度から2004年度にかけて、国土調査法に 基づく地籍調査が、飯能市建設部により実施されている。また、2000 年度から2001年度にかけて、同地区を通過する東京電力・飯能連絡線 送電線の全面建替工事が施行されるなど、地域の土地管理上に大きな 変化が予想される公共事業が展開されている。 地 質 時 代 斬睦﹄代第汽紀、斬第裳紀 r目 イC 器.・世、 ︲・ロf・〃町。 時 化 未 詳 宗 新 史斬箪、・鮮新止叩. ジュラ紀! イ 『 炭 地 層 名 崖錐堆積物 谷 底 低 地 堆 積 物 関東1i・・ム屑 段 丘 堆 積 物 仏r・粘.弓層 飯能喋層 矢嵐凝灰樵層 秩父::’・油.生層 貫入沸類 構 成 地 質 ・雛、砂、iコーーム、雑i .:課ユルム質な粘::、 腐食::、喋寸砂を含む ・火:1灰 il唱楼、禰灰、砂磯 砂喋、泥署対砂署 砂、牒 沈礎、凝灰満 チ ャ 、 } 砂岩・粘板渦 凝 灰 苦 塩慕性火.11鍔頬 zjl火潅 ・ 百 黒一 へ B ・ひん鱈 里安分,イijj世 に地 平野部 平野部・巽陵上I;私 11i地・鐙陵地

(20)

に都市周辺地域における土地の有効利川に関する研究一Ⅱ

ここでの事例は、上述の土地利用上の諸問題を中心にとりあげる。

2)森林環境

当地の代表的な林相は、クリ・コナラ等の二次自然林と、保育作業

を中断したスギ・ヒノキ造林地である。すなわち造林地は、西川林業

地帯の流れを引く、足場丸太生産を主目的に当初は施業されたが、そ

の後施業の中断した50年生('0齢級)程度の、スギ.ヒノキ林分であ

る。9)

したがって、造林地の保育状態は良好とはいえず、長年保育作業を

中断したため、林分のうっ閉度が高く、その結果林床植生は消滅し、

表層土壌が流失する等、林床の劣化が著しい。保育状況が比較的良好

な'5∼20年生(3∼4齢級)のスギ.ヒノキの林分も存在するが、こ

れらの大部分は青梅市東部丘陵地域の事例でもとりあげた、立正佼成

会の所有する造林地である。 写 真 − 8 ア カ マ ツ が 枯 死 し た 林 分 の 林 相 飯能市・青梅市の行政堺付近 飯能市岩測入山2000年4川 二次自然林については、現在 の利用目的が判然としないこと から、密度調整が不足となり、 林木自体の生長不良の状態がみ られ、樹高に対して胸高直径の 小さい林分が多い。 推定50年生(10齢級)のアカ マツ造林地の松くい虫の被害を 受けた痕跡地も尾根部分に散見 できる。(写真−8)

3)ミニ開発・廃棄物処分場の問

題 1999年2月、埼玉県所沢市内 で、廃棄物処理業者から排出さ (97)

(21)

れるダイオキシン類の問題がクローズアップされた。当地でも、類似

する問題が存在し、4社の廃棄物処理業者が建築廃材の焼却を行って

いる。各社とも1981年∼85年にかけて創業し、次のような手順で処理

を実施している。①市街化調整区域内の山林に直径10m∼20m、深さ

3m∼5m程度の穴を掘る②その掘り下げた残土は他業者へ販売し

③穴の中で建築廃材等を焼却する④灰で穴が満杯になると残土で

埋め戻し⑤場所を移動して①∼④のプロセスをくり返している。

1998年9月に4社のうちl社は、警察の家宅捜索を受けて休業、他

の3社も大型焼却炉を設置して、一応の環境基準を満たす手続を整え

てはいるが、実際には上述の処理方法を併用しているのが現状である〔

処理業者の1つK建材社長のK氏は「行政やマスコミは我々のこ

とを環境基準が云々と言って攻めるが、これだけ出る廃材を公共の場

で責任をもって処理してくれるしくみがあるのか。」との意見をもっ

ている。 (98)

:P 写 真 − 9 建 築 廃 棄 物 処 理 業 者 飯能市落合2000年5月

(22)

大都市周辺地域における土地のイ」.効利用に関する研究一Ⅱ

この種の問題は、東京を中心とした首都圏各地で生ずる廃棄物を処

理業者が行政に代わり、都市周辺部の森林地帯に入り処理している問

題と、森林としての機能を果たすべき森林が、昨今の社会・経済情勢

から、その機能を果たせないで放置されている問題など2つの方向軸

が交点をなすところに発生していると考える。(写真−9)

4)架空の土地利用計画問題 1998年1月下旬、飯能市落合・岩測地区の地権者に対し、「飯能七 国タウン」と称する総開発面積ll8haの大規模宅地開発についての現 地説明会が行われ、その後も業者による個別訪問も開始された。 しかし、この計画は①当面解除の予定がない市街化調整区域内での

計画である②埼玉県建設局・飯能市建設部等に全く情報が入ってい

ない③計画書に全国農協中央会系列のJA設計の名が出ているが、

地 元 へ 説 明 に く る 業 者 は 実 態 の な い 複 数 の 土 地 ブ ロ ー カ ー で あ る ④ 写真−10正面の山林が架空の宅地開発事業の対象地 飯能市美杉台からの遠景2000年3月 (99)

(23)

(lOO)

図 − 6 架 空 の 土 地 利 用 計 画 1998年2月8日付「新飯能」P.lより

(24)

大都Ilj周辺地域における土地の有効利用に関する研究一Ⅱ 従って開発の事業主体や推進団体も不明なのが実状である。(図−6参 照) その後の調査により解明されたことは、①計画の出所は、全国農協

中央会と農林中央金庫で②その上層部が発案した「都市近郊の遊休

地の有効活用」を具体化するために、中央会・農住開発部とJA設計

がシュミレーションを作成③その事例に飯能市の該当地域が選定さ

れた④計画が正規の手続きを経ないで複数の土地ブローカーの手に

渡り、地元住民に土地買収の話が伝えられた。の5点である。その後、 2000年までの間に業者による地元住民への説得が個別に行われている が、計画に賛同する地権者は殆んど存在せず、計画自体は表面上休止 状態である。(写真−10)この間、地元関係機関や地権者に対する聞き 取り調査を行ったので、その結果を示すと下記の通りである。 ①飯能市建設部開発指導課指導係長 市として計画を認識したのは、住民が持参した説明会資料による。 現在の都市計画マスタープランでは、同地域は開発規制地域であり、 開発行為は許可できない。 ②いるま野農協美杉台支店長 計画の最初の出所は、JA中央会であるが、当農協は一切関与し ていない。土地利用の構想が、ブローカーの手に渡り今回の事態に なった。開発が許可になれば、それなりの地域へのメリットも考え られるが、現実には不可能であろう。 ③ 飯 能 市 岩 測 地 区 自 治 会 長 市の水道部に勤務していたので、都市計画の詳細について知って いるが、この地区は大規模な開発行為は不可能な場所であると同時 に、開発すべき場所ではない。大規模な開発が行われれば、上・下 水道、電気、ガスをはじめ、学校や公共施設の整備も視野に入れな ければならない。副会長とも話し合った結果、地域に有益な計1111iで (101)

(25)

はないと判断し、会員にもその旨伝えた。 以上が、架空の土地利用計画についての概略である。 5)飯能市東部丘陵地域での事例総括 ここでの事例は、森林保全と密接な関係をもつ、土地利用上の問題 をとりあげた。保全地域でありながら、保全を推進するための具体的 な施策が未整備なために、土地利用目的もあいまいになり、今回とり あげたような諸問題が発生した。2例とも農住混在の無秩序な開発や 不良造成などによる環境悪化という意味で共通性をもつ事例である。 交通の便がよく、都心からの距離が近いことから、急激な市街地の 拡大と人口増加が進行しており、保全地域に指定された森林の位置づ けと保育の体系化が急務である。なお、同市西部の山岳地帯は、現在 も厳しい経営環境の下に林業が営まれており、東部丘陵地域とは性格 を異にする森林が存在する。 (4)横浜市内の都市近郊の森林保全事例 l)地域概要 横浜市は、神奈川県庁所在地として人口339万人を有する大都市で ある。 1960年代後半から、東京のベットタウンとして宅地開発が展開され た。特に、港北ニュータウン・多摩田園都市・港南ニュータウン等の 大 型 プ ロ ジ ェ ク ト に よ る 、 い わ ゆ る ニ ュ ー タ ウ ン 開 発 は 、 市 内 の 農 地 と森林を宅地へ転化していった。人口増加=市街地拡大と森林および 耕地面積の変化を緑被率として表−2に示すと、その変遷は地区によ り若干の相違はあるが、緑被率の低下が著しいことが解明できる。 同市では主管部門の緑政局を中心に、都市農業地域の保全と、自治 体と市民が一体となった森林保全が行われている。また、港北ニュー タ ウ ン や 多 摩 田 園 都 市 の 位 置 す る 港 北 エ リ ア で は 、 第 1 報 で ふ れ た 、 (102)

(26)

表 − 2 横 浜 市 区 別 緑 被 度 の 変 遷 (単位:%) 横浜市緑政局編(1999年)よこはまの緑P,28より 17.2 23.3 27.7 50.9 52.2 大都Ili周辺地域における土地の有効利用に関する研究一Ⅱ 園都市論の理念の一部を活用し、都市農業のための生産緑地が保存さ れているのも特徴である。市域面積は43,700ha,地形的には臨海部か ら丘陵部まで各種の地形構造をもち、起伏に富んだ形状を呈している< 近年の宅地開発の進行にともない、原地形の観察が│木l難になりつつあ る。市域の基本的な地形概念と地質層序関係は、図−7に示す通りで ある。横浜市での事例は、同市の森林保全の概略および鶴見区内の「獅 子ヶ谷市民の森_│の現状をとりあげる。 (103) M7 戸 プ . 又 分 鶴児1頁 神奈ハ:基 西 ヌ F‘.メ 南 〆 港・御ヌ 係.右ヶ拳:X ■ = = ■ ■ ..× 肥,』,‐ i1群:'50恋│; に9751 20.9 27.4 11.7 雌.6 34.4 31.9 40.2 43.9 :17棚:57イ!勇 <ユ982} 』8.(〉 26.2 ユユ.9 二6.5 23.9 28.4 6.9 42.0 淵jr63イ1畠 廷988 二7.0 25.9 司一 ﹃一 ・7, ー 甲 ■ 凸 20.4 24.8 5.3 40.3 平成4竺 二992 ユ5.5 24.3 ユ0.9 .:5.8 :7.8 3.8 焔.3 、旦成9年 『1997 15.3 23.0 11.4 ユ5.2 21.3 32.5 16.1 機字灰 q ソ 33.6 29.6 28.2 金択区 港診:上:塁 緑 ヌ 青葉・叉 都築里 ノ『塚:X 栄I又 永灰 瀬 容 X 4 5 . 8 4 2 . 9 令市 50.2 49.6 58.2 一一学研一■一一ー■一一ー 一一韻己デーヂーーー■ま鹿 ■一誤串課串F産 38.7 34.7 50.9 '14.0 倦 一 . ろ 5 2 . 6 ハ コ へ 45.4 8.8 42.6 47.7 47.4 40 37.4 34.2 fに.5 45.0 43.3 50.7 40.3 36.C 33.2 35.3 42.2 41.6 15.9 38.4 33.'1 33 弧.8 50.2 37.8 38.二 40.4 40.7 44.3 。.と; 32.3

(27)

(104) 図 − 7 横 浜 市 東 部 地 質 層 序 図 1978年および2000年に現地訓査により深出作成 2)森林環境 同市の市街地面積の拡大と森林面積の減少は、比例傾向にある。そ のため市では意図的に緑地保全を制度化してきた。その性格をまとめ れば、以下の4点である。①緑地保全地区の設定②市街地の景観保 全③市民参加型の森林保全④水源かん養および土地保全を指標と した開発規制が、それに当たる。 緑地保全の当初の目的は、急激な市街地の拡大が、しばしば自然環 境との間に不調和な状態を招き、スプロール化現象の発生、地盤災害 の発生などの原因をつくり出していた時期に、その防止策として出発 した。その後は、緑地資源を日常生活の中で活用する方向が重視され ている。同市の森林保全は、上述の4つの性格の中に、①円海山緑地 特 別 保 全 地 区 ② 都 市 緑 地 保 全 地 区 ③ ふ れ あ い の 樹 林 ④ 緑 地 保 全

地区⑤市街地緑の景観確保事業⑥水源の森設置事業⑦市民の森

事業の4つの保全地区指定と3つの保全事業を施行している。いずれ も、市が該当する土地を買収もしくは、10年単位で貸借契約を締結し、 年 代

第四猫和

第 浄 ・ がLJ 抑積世 洲:: l ′ 、 積 仙 鮮新世 低 地 表 北 層 沖積粘:z層 沖積砂層 :浦層群基盤瑳層 碇 陵 関東u−ム 層 洪積粘五層 洪積砂層 備 考 i':二院肥らん堆積物#>含む 牒 層 も 含 む 堆稽11;雌ご下部層より、多嘩:ルム・卜 未宥了I・ム・武蔵野順・ム・市j:iri-ム の 4 種 に 分 類 す る 不透水層を形成する 地域iこより砂磯層を形成 凝灰詩 丘陵南 て い る ・砂器・泥濡・シルト端で形成 部 ・ 臨 海 部 で は 、 地 上 に 露 為 し

(28)

宋 栄 × 、 ■ 港 南 緑 金 泳 磯 子 熊1,,1』 噸谷 磯琴. 令 状 港 北 栄 金 沢 港 北 神 奈 川 〆 塚 戸塚 R-DT ノヒ・』 港 北 胆 I.■ロ ノ('二J 宋 制〈 k都市周辺地域における土地の有効利川に関する研究一Ⅱ 表−3横浜市市民の森一覧 平成10年3月末現在 地 凶 名 飯 能 捷 も の 旗 郷 〃 ⅡP I鹿曲 F 永 谷 〃 保 〃 釜 利 谷 4 峯 〃 iliI了・ケ谷〃 瀬 谷 〃 氷 収 沢 ‘ 金 沢 〃 '.、机城j1Z4 瀬 . 〃 称 塙 寺 〃 熊 野 神 推 〃 豊 顕 歩 〃 ま さ か り が 淵 〃 ・ライ:、iノッヒの森 欠 指 1 , 『 鮭 の 森 綱 島 〃 而 積 〈ha〉 5.8 63 ]9.8 9.4 12.4 18.6 18.8 45.3 87.8 4.5 465 9.5 5.2 2.3 6.4 3.2 5.] 6.0 分 〃 誰 2 9 . 0 .Aと二 淘 本 宿 〃 6.5 公:I│荒ノ.択〃 6△<) 新 治 〃 58.7 合計23箇所 437.8 場 所 開詞年jj:: 栄iメ:飯島川 昭承47.4.5 栄Ⅸ上郷町 47.4.℃ 港1伽ヌ下永谷my 47.4.1』 緑 X i 保 町 47.11.4 金沢又釜利容町 48.11 磯j畠区峯崎. 19.上<).8 鶴九lx獅fケパコ簿 50.4.26 瀬 谷 区 瀬 谷 町 51.4.24 磯j亀・区氷取沢、『 52.4.12 鋤延釜測谷雌、栄ヌ!抑町 58.8.2 港.!とXだ、{1,,1時 52.ユ0.皇 栄Ⅸ上郷町 54 金沢亘金沢町 54.7.11 港北連師岡Ⅲ、樽町 55.7.19 iqll奈;:│区:シ沢!ナliir 58.4.23 戸 塚 ヌ 汲 沢 町 59.10.25 jf塚区俣肝町 62.5.30 旭│又矢垢町 平成3.4 港北区綱島F'1 ユC,26 旭区矢棉M』 6.3.26 旭区席本宿町 9.1 栄区公;jIlHl 弓0.5.24 緑区新浩llKT Iと定 横浜市緑政吋編(1999年)よこはまの緑P,48より (105)

(29)

繕e幽侶や心伴二e

③1国碧営碧踊梗軍蹄画−国

(30)

大都市周辺地域における土地の有効利用に関する研究−, 後者の例では固定資産税相当額を地権者に交付する措置がとられてい る。’01'') 3)獅子ケ谷市民の森の事例 横浜市内には、現在20ヶ所の「市民の森」が設置されている。その 内容は、表−3に示す通りで、総面積438ha・地権者数320名となって いる。(表−3参照) この制度は、1972年に「横浜市緑地保存特別対策事業」として出発 した。すなわち面積51,a以上の樹林地を、保存すべき緑地として市 民に開放するのが趣旨で、長期間にわたり市が地権者との間に賃借契 約と税制上の優遇措置を与え、管理面では地域毎に組織された市民に

よる「○○市民の森愛護会」が、日常管理を担うしくみになっている。

今回、事例としてとりあげた獅子ケ谷市民の森は、JR鶴見駅から 西南へ3kmの地点に位置する。標高30∼50m程度の丘陵地山林l7ha から成る。(図−8参照)現在の主な林相は、カシ類・コナラ・クリ等 の二次自然林となっているが、アカマツ・ヒノキ・スギを造林した痕 跡も散見できる。谷地部分には、この地域特有の重炭酸ソーダ質の湧 水(綱島鉱泉と同質)もみられ、その湧水を活用した親水空間が整備 されている。 周辺には、市が指定した都市農業を目的とした生産緑地も存在し、 葉菜類や根菜類の栽培が行われている。 また、当地の崖部は急傾斜地崩壊危険区域に指定された箇所も存在 し、宅地造成等を行う場合は一定の条件を満たした上での実施もしく は、開発禁止の枠が設定されている。

森林の保全と共に文化財の保存もなされており、隣接地に約200年

前に建設された「旧横溝家住宅」が、横浜市農村生活館として開館し

ているのも特徴である。 リ│、子ヶ谷市民の森は、森林保全・農地保全・開発規制区域設定・文 (107)

(31)

(108)

写真−11市民の森周辺の景観 横浜市鶴見区獅子ヶ谷2000年3月

写真-12市民の森の林相(スギ造林地の痕跡)

(32)

大都市周辺地域における土地の有効利用に関する研究一Ⅱ

化財保存の4つの機能を兼備して、エリア全体の広義の意味での森林

保全を実施しているとみなされる。(写真11∼12)

4)横浜市内の事例総括

横浜方式とも換言できる同市の森林(緑地)保全は、市街地の急激

な拡大への対応として出発し、現在は市民への付加価値の高い環境財

の供給へと、その性格が変化しつつある。保全に際して、市民参加を

重視しているのも特徴である。そこで課題となるのは、育林技術の伝

承と後継者の育成である。現在同市では、これらの課題への対応の1

つとして、「横浜市子ども植物│刺」を会場に、子どものための園芸・

育林講座(期間1ヶ年・’5回開催)が、「みどりんぐスクール」とし

て開講されている。同園は、旧木原生物学研究所の施設を横浜市が譲

り受けて開園した、子どものための自然教育・野外活動の場である。

制度としての保全および技術面の伝承を同時に実施するところに、本 来的な森林(緑地)保全の機能が発揮されると考える。 4.総括 第Ⅱ報では、主に都市近郊林がかかえる課題について、3つの地域を事 例に考察した。 以下、その結果をまとめることにする。

①都市近郊林の大半は、人工造林地・二次自然林共に、保育作業が中

断したために、本来果たすべく機能が発揮されていない。

②上記の事由により、緑地として保全されている区域の森林の質が低

下している。

③特定の法人所有林や地方自治体が、一定の思想のもとに森林管理を

実施している林分は、比較的良好な林相を保っている。

④市民参加型の育林活動では、育林のための基本的な知識と技術の伝

承と修得が急務である。 (109)

(33)

⑤都市近郊林を制度化した保全地域に指定する際は、育林も視野に入

れて市街地の無秩序な拡大防止と森林の保全を同時に達成すべきで

ある。 の5点である。’2113)14’ なお、引き続き第Ⅲ報では、大都市に隣接するI│」山間地域での事例をと

りあげ、大都市周辺地域における土地の有効利用の立場から考察する予定

である。 謝 辞 本報告書作成にあたり終始ご指導賜わりました、東京農業大学教授杉浦孝蔵 先生、ご助言を頂きました前H本大学教授井東澄雄先生、目白学園中学校・高 等学校教諭西木敏夫先生、各種行政資料をご提供下さいました青梅市役所・飯 能市役所・横浜市役所・飯能市森林組合、聞き取り調査にご協力下さいました 各地区の地権者の方々、編集・レイアウトをお手伝い下さった立正佼成会サー ビス事業センター伴文隆氏に対しまして、厚く御礼申し述べます。 文 献 l)平塚貴彦(1999):直接支払制度の発足∼背景・意義・課題∼:農業と経済 1999年10月号:pp,5∼12:富民協会 2)日本農業新聞編(1999):21世紀の農政大改革一食料:農業・農村基本法の すべて−:口絵:全国新聞情報農業協同組合連合会 3)伊藤雅一(1999):自治体農政からみた直接支払制度∼先行事業の経験をふ まえて∼:農業と経済1999年10月号:pp、22∼30:富民協会 4)梶井功(1999):新基本と農政改革一その理念と体系:農業と経済1999年12 月号臨時増刊号:pp、6∼14:富民協会・毎日新聞社 5)1999年7Ⅱ13日付、日本農業新聞に掲載の改正基本法条文 6)国民森林会議編(1999):当面する林政課題への緊急提言:ppol∼20:国 (110

(34)

大都市周辺地域における土地のイj,効利用に関する研究一Ⅱ 民 森 林 会 議 7)青梅巾(1999):青梅市都市計画マスタープラン:pp52∼71:青梅市役所 都 市 開 発 部 都 市 計 画 課

8)飯能市(1996):飯能市開発防災マップ解説書:pp.’∼11:飯能市役所

9)魚住佑司(1995):Ⅱ本の大都市近郊林一歴史と展望一:ppl66∼190:日

本 林 業 調 査 会 10)横浜市緑政局(1997):横浜市緑の基本計画:pp、72∼77:横浜市 11)横浜市緑政局(1998):平成10年版緑政局事業概要:pp、8∼9:横浜市 12)清水夏樹・・佐藤洋平(2000):都市近郊農業地域における平地林減少の要 因:農村計画学会誌Vol・’8−4:pp、265∼274:農村計画学会 13)林地問題研究会編(1996):都市近郊林の保全と利用:pp、13∼76:日本林 業 調 査 会 14)地域農林経済学会編(1999):地域農林経済研究の課題と方法:pp、256∼ 258:富民協会 (111)

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