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事件番号 判決 日付 参考文献

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(1)

〈判例 研 究 〉

主 婦 を 強 姦 目的 で 殺 害 した 上 姦 淫 し、 さ ら に、 そ の 場 で 生 後llヶ 月 の 同女 の長 女 を も殺 害 す る な ど した 当 時18歳 の被 告 人 に つ き、 第1審 判 決 の 無 期 懲 役 の 科 刑 を維 持 した 控 訴 審 判 決 が 量 刑 不 当 と して 破 棄 さ れ た 事 例 一 光市母子殺害事件上告審判決 一

事件番号 判決 日付 参考文献

最 高 裁 判 所 第3小 法 廷 判 決 平 成14年(あ)第730号 平 成18年6月20日

判 例 タ イ ム ズ1213号89頁 、判 例 時 報1941号38頁 、LLI 登 載

川Wa‑・

事実 の概要 〕

旨〕

釈 〕

(1)本 判決の量刑 に関す る判断方法 (2)量 刑因子

(3)本 判決 における加重 的量刑事1青

(4)第1審 お よび原審 にお ける減軽 的量刑事i青に対す る本判決 にお ける検 討 (5)罪 刑均衡 と一般予 防

〔事 実 の 概 要 〕

本 件 犯行 当時18歳 にな って問 もない少 年 で あっ た被 告 人 が 、平 成11年4月14 日の 白昼 、 配 水 管 の検 査 を装 って 上 が り込 ん だ 山 口県 光 市 内 の アパ ー トの一 室 にお いて 、 当時23歳 の主 婦(以 下 「被 害 者 」 とい う。)を 強 姦 し よ う と した が 、

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激 し く抵 抗 され た た め、 被 害 者 を殺 害 した上 で姦 淫 し、 その後 、 同所 に お いて 、 激 し く泣 き続 け る当 時11か 月 に な る被 害 者 の長 女(以 下 「被 害 児 」 とい う。)を

も殺 害 し、 さ らに、 その 後 、 同所 にお い て被 害者 管 理 の現 金 等 在 中 の 財 布1個 を窃 取 した 、 とい う殺 人 、 強 姦 致 死 、窃 盗 の 事案 で あ る。

本 判 決 は刑 事 訴訟 法411条2号 に よ り量 刑 不 当 を理 由 に原 判 決 を破 棄 し、 同法 413条 本 文 に よ り本 件 を原 裁 判 所 に差 し戻 したの で 、以 下 、 量 刑 問題 に着 目 して 事 実 の概 要 を説 明 す る。

第1審 判 決(山 口地 判 平14・3・22)は 、検 察 官 に よ る死 刑 の求刑 に対 して、

本 件 の罪 質 、 身 勝 手 で短 絡 的 な 動機 、 残 忍 で 冷 酷 な犯 行 態様 、 結 果 の 重 大 性 、 遺 族 の 峻 烈 な被 害 感 情 、 社 会 的 影 響 の大 き さ等 を考 慮 す る と、被 告 人 の刑 責 は 極 め て 重大 で あ り、 死 刑 の選 択 が 可 能 な被 告 人 に対 して は、 死 刑 を選 択 す る こ と も十分 検 討 され るべ きで あ るが 、殺 人 につ いて は計 画 的 で な く、殺 人 ・傷 害 の前 科 が な く、犯 行 当時18歳30日 の少 年 で 内面 の未 熟 さが 顕 著 で あ り、 不 遇 な 家 庭 環 境 や 反 省 の情 が 芽 生 え て い る こ とな どに照 らす と、 矯 正 教 育 に よ る改 善 更 正 の可 能 性 が な い とは い い難 い こ と、 近 時 の 裁判 例 との比 較 、 少 年 法 の 立 法 趣 旨等 を総 合 的 に考 慮 す る と、 罪 刑 の均 衡 や 一 般 予 防 の見 地 か ら も極 刑 が や む を得 な い とまで は い えず 、被 告 人 に対 して無 期 懲 役 を もって 、矯 正 に よ る罪 の 償 い を させ るの が相 当 で あ る と した。

これ に対 して 、検 察 官 か ら控 訴 が あ った が 、原 判 決(広 島 高判 平14・3・14) は、 第1審 判 決 の量 刑 判 断 を維 持 して 、検 察 官 の控 訴 を棄 却 した 。 これ に対 し て 、検 察官 は、永 山事件 に関 す る最二 判 昭58・7・8刑 集37・6・609お よび そ の後 の 死刑 を維 持 した最 高 裁 判 例 に違反 し、 量 刑 不 当で あ る と主 張 して 、 上 告 した。 本 判 決 は、 この上 告 を受 けて 、量 刑 不 当 を理 由 と して原 判 決 を破 棄 し、

本 件 を原 裁 判 所 に差 し戻 した もの で あ る。

〔判 旨 〕

(1)死 刑 は、 究極 の しゅ ん厳 な刑 で あ り、 慎 重 に適 用 すべ き もの で あ る こ と は疑 いが ない。 しか し、 当審判 例(最 高 裁 昭和56年(あ)第1505号 同58年7月 8日 第 二 小 法 廷 判 決 ・刑 集37巻6号609頁)が 示 す よ うに、死 刑 制 度 を存 置 す

(3)

る現 行 法 制 の下 で は、 犯 行 の罪質 、動 機 、 態様 殊 に殺 害 の 手段 方 法 の執 よ う性 ・ 残虐 性 、 結 果 の重 大 性 殊 に殺 害 され た被 害 者 の 数 、 遺 族 の被 害 感 情 、 社会 的影 響 、 犯 人 の年 齢 、 前 科 、犯 行 後 の 情 状 等 各 般 の情 状 を併 せ 考 察 した と き、 その 罪 責 が 誠 に重 大 で あ って 、 罪 刑 の 均 衡 の見 地 か らも0般 予 防 の 見 地 か ら も極 刑 がや む を得 な い と認 め られ る場 合 に は、 死 刑 の選 択 をす るほか な い もの とい わ な け れ ば な らない 。

これ を本 件 につ いて み る と、 被 告 人 は、 強姦 に よって で も性 行 為 を した い と 考 え、 布 テー プや ひ もな どを用 意 した 上 、 日中若 い主 婦 が 留 守 を 守 る アパ ー ト の居 室 を物 色 して被 害 者 方 に至 り、 排 水 検 査 の作 業 員 を装 っ て 室 内 に上 が り込 み、 被 害 者 の す きを見 て 背 後 か ら抱 き付 き、 被 害 者 が 驚 いて 悲 鳴 を上 げ、 手 足 を ば たっ かせ るな ど激 し く抵 抗 す るの に対 して、 被 害 者 を姦 淫 す るた め殺 害 し よ う と決 意 し、 その 頸 部 を両 手 で 強 く絞 め 付 けて 殺 害 し、 万 一一の ぞ生 に備 えて 両 手 首 を布 テ ー プで 緊 縛 した り、 同 テ ー プで 鼻 口部 をふ さ ぐな ど した 上 、臆 す る こ とな く姦 淫 を遂 げ た 。 さ らに、被 告 人 は、 この間 、 被 害 児 が被 害 者 にす が りつ くよ うに して激 し く泣 き続 けて い た こ とを意 に も介 しな か った ぼか りか 、 上 記 犯 行 後 、 泣 き声 か ら犯行 が 発 覚 す る こ とを恐 れ 、殺 意 を もって 、 被 害 児 を 持 ち上 げ て床 にた た き付 け るな ど した上 、 な お も泣 き なが ら母 親 の遺 体 に は い 寄 ろ う とす る被 害 児 の 首 に所 携 の ひ もを巻 い て 絞 め付 け、被 害 児 を も殺 害 した もの で あ る。 強 姦 を遂 げ るた め被 害 者 を殺 害 して 姦 淫 し、 更 に い た い けな 幼児 まで も殺 害 した各 犯 行 の罪 質 は甚 だ悪 質 で あ り、2名 の尊 い命 を奪 った 結 果 も 極 め て 重 大 で あ る。 各 犯 行 の動 機 及 び 経 緯 に酌 むべ き点 はみ じん もな く、 強 姦 及 び 殺 人 の強 固 な犯 意 の 下 に、何 ら落 ち度 の な い被 害 者 らの 生 命 と尊 厳 を相 次 いで 踏 み に じ った 犯行 は、 冷 酷 、 残 虐 に して非 人 間 的 な所 業 で あ る とい わ ざ る を得 な い 。 さ らに、被 告 人 は、 被 害 者 らを殺 害 した後 、被 害 児 の死 体 を押 し入 れ の天 袋 に投 げ入 れ 、 被 害 者 の死 体 を押 し入 れ に隠 す な ど して 犯 行 の発 覚 を遅 らせ よ う と し、被 害 者 の財 布 を窃 取 して い る な ど、 犯 行 後 の情 状 も良 くな い 。 遺族 の被 害 感 情 は しゅん烈 を極 め 、 これ に対 し、 慰 謝 の措 置 は全 く講 じ られ て い な い。 白昼 、 ご く普 通 の 家庭 の 母 子 が 自 らに は何 の 責 め られ るべ き点 もな い の に 自宅 で惨 殺 され た事 件 と して社 会 に大 きな衝 撃 を与 えた 点 も軽 視 で きな い。

以上 の諸 点 を総 合 す る と、 被 告 人 の 罪責 は誠 に重大 で あ っ て、 特 に酌 量 すべ

(4)

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き事 情 が な い 限 り、死 刑 の選 択 を す るほか な い もの とい わ ざ るを得 な い。

(2)そ こで 、特 に酌 量 す べ き事情 の有 無 につ いて検 討 す るに、原 判 決 及 び そ の是 認 す る第1審 判 決 が 酌 量 す べ き事情 と して 掲 げ る事 情 の うち、 被 害 者 らの 殺 害 につ い て 計 画性 が な い とい う点 につ い て は、確 か に、 被 告 人 は、 強 姦 にっ い て は相 応 の 計 画 を巡 らせ て い た もの の、 事 前 に被 害者 らを殺 害 す る こ とまで は予 定 して お らず 、被 害 者 か ら激 しい抵 抗 に遭 い、 また 、被 害 児 が 激 し く泣 き 叫 ぶ とい う事 態 に対 応 して殺 意 を形成 した もの に とど ま る こ とを否 定 で きず 、 当初 か ら被 害 者 らを殺 害 す る こ とを も計 画 して い た場 合 と対 比 す れ ば、 そ の非 難 の程 度 に は差 異 が あ る。 しか しな が ら、被 告 人 は、 強 姦 とい う凶悪 事 犯 を計 画 し、 その 実行 に際 し、 反 抗 抑 圧 の 手段 ない し犯行 発 覚 防 止 の た め に被 害 者 ら

の殺 害 を決 意 して 次 々 と実 行 し、 それ ぞれ 所 期 の 目的 も達 して い るの で あ り、

各 殺 害 が偶 発 的 な もの とい え な い こ とは も とよ り、 冷 徹 に これ を利 用 した もの で あ る こ とが 明 らか で あ る。 して み る と、 本 件 に お い て殺 害 につ いて の計 画 性 が な い こ とは、 死 刑 回避 を相 当 とす るよ うな特 に有 利 に酌 む べ き事情 と評 価 す

る に は足 りな い もの とい うべ きで あ る。

また 、原 判 決及 び第1審 判 決 は、 被 告 人 が 、 それ な りに反 省 の情 を芽 生 え さ せ て い る と見 られ る こ とに加 え、犯 行 当時18歳 と30日 の少年 で あ った こ と、 犯 罪 的傾 向 も顕 著 で あ る とは い え な い こ と、 そ の生 育環 境 にお いて 同情 す べ き も のが あ り、 被 告 人 の性 格 、 行動 傾 向 を形 成 す る につ い て影 響 した 面 が 否 定 で き な い こ と、 少 年 審 判 手 続 に お け る社 会 的 調 査 の結 果 に お い て も、矯 正 教 育 に よ る可塑 性 が 否 定 され て い な い こ と、 そ して 、 これ らに よれ ば矯 正 教 育 に よ る改 善更 生 の 可能 性 が あ る こ とな どを指 摘 し、 死 刑 を回避 す べ き事 情 と して い る。

しか しなが ら、 記録 に よれ ば、 被 告 人 は、 捜 査 の ご く初 期 を除 き、 基 本 的 に犯 罪 事 実 を認 め て い る もの の 、 少 年 審 判 段 階 を含 む原 判 決 まで の 言 動 、 態 度 等 を 見 る限 り、 本 件 の罪 の深 刻 さ と向 き合 って 内省 を深 め得 て い る と認 め る こ とは 困難 で あ り、被 告 人 の反 省 の程 度 は、 原 判 決 も不 十 分 で あ る と評 して い る と こ ろで あ る。 被 告 人 の 生 育 環 境 につ い て も、 実 母 が被 告 人 の 中学 時 代 に 自殺 した り、 そ の後 実 父 が 年 若 い外 国 人 女 性 と再 婚 して本 件 の約3か 月前 に は異 母 弟が 生 まれ るな ど、 不 遇 な い し不 安 定 な面 が あ っ た こ とは否 定 す る こ とが で きな い が 、 高校 教 育 も受 け る こ とが で き、 特 に劣 悪 で あ っ た とまで は認 め る こ とが で

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きな い。 さ ら に、 被 告 人 に は、本 件 以 前 に前 科 や 見 るべ き非 行 歴 は認 め られ な いが 、 い ともたや す く見 ず 知 らず の主 婦 をね らっ た強 姦 を計 画 した 上 、 その 実 行 の過程 にお い て、 格 別 ち ゅ うち ょ した様 子 もな く被 害 者 らを相 次 いで 殺 害 し、

その よ うな 凶 悪 な 犯 行 を遂 げ なが ら、 被 害 者 の財 布 を窃 取 した 上 、 各 死 体 を押 し入 れ に隠 す な どの 犯 跡 隠ぺ い工 作 を した上 で逃 走 し、 さ らに は、 窃 取 した財 布 内 に あ っ た地域 振 興 券 を友 人 に見 せ び らか した り、 これ で カー ドゲ ー ム用 の カー ドを購 入 す るな ど して い る こ とに徴 す れ ば、 そ の犯 罪 的 傾 向 に は軽 視 す る

こ とが で きな い もの が あ る とい わ な けれ ばな らな い。

そ うす る と、結 局 の とこ ろ、本 件 に お いて 、 しん酌 す るに値 す る事 情 とい え るの は、被 告 人 が犯 行 当時18歳 に な って 間 もな い少 年 で あ り、 その 可塑 性 か ら、

改 善 更 生 の 可能 性 が 否定 され て い な い とい う こ とに帰 着 す る もの と思 われ る。

そ して、 少 年 法51条(平 成12年 法 律 第142号 に よ る改 正前 の もの)は 、 犯 行 時 18歳 未 満 の少 年 の行 為 につ いて は死 刑 を科 さ な い もの として お り、 そ の趣 旨 に 徴 す れ ば、 被 告人 が 犯 行 時18歳 に な っ て 間 もな い少 年 で あ った こ とは、死 刑 を 選 択 す るか ど うか の判 断 に 当 た っ て相 応 の考 慮 を払 うべ き事情 で は あ るが 、 死 刑 を回避 す べ き決 定 的 な事 情 で あ る とまで はい えず 、本 件 犯 行 の罪 質 、動 機 、 態様 、 結 果 の 重 大性 及 び遺 族 の被 害 感情 等 と対 比 ・総 合 して 判 断 す る上 で考 慮 す べ き一 事 情 に とど ま る とい うべ きで あ る。

以 上 に よれ ば、 原 判 決 及 び その 是 認 す る第1審 判 決 が酌 量 すべ き事 情 と して 述 べ る とこ ろは、 これ を個 々 的 にみ て も、 また 、 これ らを総 合 して み て も、 い まだ 被 告 人 にっ き死 刑 を選 択 しな い事 由 として 十 分 な理 由 に当 た る と認 め る こ とはで きな い の で あ り、原 判 決 が 判 示 す る理 由だ けで は、 その 量 刑 判 断 を維 持 す る こ とは 困難 で あ る とい わ ざ るを得 な い。

(3)そ うす る と、原 判 決 は、 量 刑 に当 た っ て考慮 す べ き事 実 の評価 を誤 っ た 結 果 、 死 刑 の選 択 を回 避 す るに足 りる特 に酌 量 す べ き事 情 の存 否 につ い て審 理 を尽 くす こ とな く、被 告 人 を無 期 懲 役 に処 した第1審 判 決 の量 刑 を是 認 した も の で あ って 、 その 刑 の量 定 は甚 だ し く不 当 で あ り、 これ を破 棄 しな けれ ば著 し

く正 義 に反 す る もの と認 め られ る。

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:/

〔評 釈 〕

(1)本 判 決 の量 刑 に 関 す る判 断 方 法

本 判 決 は、 ① 量 刑 事情 に よっ て被 告 人 の量 刑 が死 刑 に値 す る こ とを説 明 す る と とも に、 ② 死 刑 を回避 す べ き酌 量 事 情 の有 無 を判 断 し、 その 事情 が な い こ と を論 じて い る。

① の点 につ い て は、第1審 判 決 は、被 告 人 の刑 責 は極 め て 重大 で あ り、 死 刑 を選 択 す る こ とも十分 検 討 され るべ きで あ る とす る中間 判 断 を示 して い るが 、 その 中間 判 断 に お い て死 刑 に値 す る と して は い な い。 原 審 判 決 も、 第1審 判 決 の 量刑 に関 す る 「判 断 方 法 に誤 りはな い」 と して い る。 本 判 決 と第1審 ・原 審 判 決 との相 違 は、 本 判 決 が 酌 量 事 情 とは別 に、 酌量 事 情 の 検 討 以前 に被 告 人 の 量 刑 の程 度 を先 行 的 に判 断 し、 死刑 相 当 とす る量刑 判 断 を示 して い る点 で あ る。

被 告 人 が本 件 と同様 に未成 年 で あ っ た永 山事 件 に関 す る最 高 裁 判 所 判 決(最 判 昭58・7・8刑 集37・6・609)で 示 され た判 断 方 法 は、 量 刑 の重 大性 を認 め て い る もの の、 必 ず しも先 行 的 に量 刑 に関 す る中間 判 断 を示 して 、 それ が 死 刑 に 当 た る と して い るの で は な く、 被 告 人 に とっ て不 利 益 な 事情 を列挙 して い る に とど まって い る にす ぎな い。 量 刑 の基 本 原 理 が 責 任 相 応 刑 で あ る とす れ ば、

被 告 人 の 量 刑 の程 度 を まず 明 らか にす る こ とが 必 要 で あ る。 本 判 決 の 量 刑 に関 す る判 断 方 法 は先 行 的 に量 刑 の程 度 につ い て の 中間 判 断 を示 し、 そ の 中 で 死 刑 相 当 の量 刑 を認 めて い る点 に、 量 刑論 上 の正 しい判 断 方法 を み る こ とが で き る。

しか し、 この よ うな判 断 方 法 は本 判 決 で初 め て採 用 され た ので は な く、 す で に 最 二 小判 平11・12・10(判 時1701・166)に よって採 用 され た もので あ る。したが っ て、 判 断方 法 の 点 にっ いて い え ば、 本 判 決 は先 例 を 踏 襲 して い るにす ぎな い。

(2)量 刑 因 子

本 判 決 は、 量 刑 因 子 につ き、 「死 刑 制 度 を存 置 す る現 行 法 制 の 下 で は、 犯 行 の 罪 質 、 動機 、 態様 殊 に殺 害 の 手段 方 法 の執 よ う性 ・残 虐 性 、 結 果 の 重大 性 殊 に 殺 害 され た被 害 者 の数 、 遺 族 の被 害感 情 、社 会 的 影 響 、 犯 人 の年 齢 、 前 科 、 犯 行 後 の情 状 等 各般 の情 状 を併 せ 考 察 」 す る と して い る。 この こ とは、 す で に永 山判 決 にお い て示 され た 最 高 裁 判 所 の考 え方 で あ る。 いか な る量 刑 因 子 が量 刑

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を加 重 し、 ま た は減 軽 す る方 向 に働 くの か は、 必 ず し も一 般 的 に説 明 され て い ない が 、 量 刑 因子 は原 則 的 に は加 減 的 で あ る。

犯 行 の罪 質 」 とは、 被 告 人 の犯 行 の悪 質性 を意 味 す る。本 判 決 は、 この 量刑 因子 に関 す る本 件 被 告 人 の量 刑 事 情 と して 同 人 の一・連 の犯 行 に言 及 した うえ、

各 犯 行 の罪質 は甚 だ 悪 質 」 で あ る と評 価 して い る。 この量 刑 因子 は、 本件 で は 量刑 を加 重 す る方 向 に お い て考 慮 され て い るが 、 事 件 に よっ て は減 軽 的量 刑 因 子 で あ る場 合 も考 え られ るか ら、 「犯 行 の 罪質 」 は加 減 的 量刑 因 子 で あ る。

犯 行 の動機 」 とは、 犯 行 の 目的 ・意 図 を意 味 す る。 本 判 決 は、 この量 刑 因 子 に関 す る本 件 被 告 人 の量 刑 事 情 と して 強 姦 目的 、 犯 行 発 覚 の お それ に言及 した うえ、 「各 犯行 の動 機 … に酌 むべ き点 は み じん もな く」 と述 べ て い る。 この こ と か ら本 判 決 は犯 行 の動 機 を加 減 的 量 刑 因 子 と して理 解 して い る こ とが わか る。

犯 行 の態様 」 とは、 犯 行 の手段 方 法 を意 味 す る。 犯 行 の態様 の執 よ う性 ・残 虐性 ・冷 酷 性 が増 加 す れ ば 量刑 を加 重 す る こ とは い う まで もな い 。執 よ う性 ・ 残 虐性 ・冷 酷 性 が 減 少 す れ ぼ量刑 を減軽 す るで あ ろ う。 した が って 、 犯 行 の態 様 も加 減 的 量 刑 因子 とす る こ とが で き る。 残 虐 性 は被 害 者 の側 の落 ち度 や 年 齢 な どを も考 慮 して決 定 され るべ きで あ る。

結 果 」 とは、構 成 要 件 内 の結 果 だ けで は な く構 成 要 件 外 の結 果 を含 む と解 す べ きで あ る。 前 者 として、 た とえ ば 「被 害者 の数 」、後 者 として 、 た とえ ば 「 族 の被 害 感情 」 や 「社 会 的影 響 」が 量刑 因子 とされ る。 被 害者 の数 の増 減 に よっ て量 刑 は加 重 ・減 軽 の方 向 に振 れ る と思 われ るの で、 被 害者 の数 も加 減 的 量 刑 因 子 で あ る。 また、 遺 族 の被 害 感 情 や 社 会 的影 響 は場 合 に よ って は軽 減 的 に も 考慮 され る と思 われ るの で 、加 減 的 量 刑 因 子 で あ る とい え るで あ ろ う。

犯 人 の年齢 」 とは、 形 式 的 に は暦 年 齢 を指 す が 、実 質 的 に は精 神 的成 熟 度 や 理解 度 、 可 塑 性 な どの要 因 が 量刑 要 因 とされ る。 一・般 的 には、 犯 人 の 歴 年齢 が 高 くなれ ば量 刑 は重 く、 それ が低 けれ ば軽 くな る よ う に思 わ れ る。 ま た、 実 質 的 にみ て 精 神 的成 熟 度 や 理 解 度 が 増 せ ば量 刑 は重 く、 それ が低 けれ ば軽 くな る よ うに考 え られ る。 可 塑 性 につ い て は、 それ が 高 い とき は量 刑 は減軽 的 に、 そ れ が低 い と きは加 重 的 に判 断 され るで あ ろ う。 犯 人 の年 齢 は加 減 的 量 刑 因 子 で あ る。

前 科 」 とは、 犯罪 歴 で あ り、 同種 の前 科 と異種 の前 科 を 区別 で き る。前 科 は

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一 般 的 に量 刑 を加 重 す る方 向 に働 くと考 え られ る。 と くに同種 の前 科 は加 重 的 量 刑 因 子 と して 重 視 され る よ うに思 わ れ る。 広 く 「犯 罪 的傾 向」 を量 刑 因 子 と す る こ とも許 され るで あ ろ う。

犯 行 後 の情 状 」 とは、構 成 要 件 的結 果 が 発 生 した後 の被 告 人 の態 度 を意 味 す る。 これ に は犯 行 現 場 に お け る事後 的 態 度 と犯 行 現 場 を離 れ た後 の態 度 が含 ま れ る。 犯 行後 の情 状 は加 減 的量 刑 因 子 で あ る。

その他 の量 刑 因子 として、 「犯 意 の強 固性 」 を あげ る こ とが で き る。 犯 意 の 強 固性 とは、 いか な る事 情 に遭 遇 して も犯 意 を放 棄 せ ず 、 犯 行 に執 着 す る こ とを 意 味 す る。 本 判 決 は 「強 固 な犯 意 」 とい う表 現 を用 いて い るが 、 そ の意 味 を説 明 して い な い。 しか し、 こ こで述 べ た 意 味 に理 解 して 差 し支 えな い で あ ろ う。

犯 意 の 強 弱 に よっ て量 刑 が 加 重 ・減 軽 の 方 向 に振 れ る と思 われ るの で、 犯 意 の 強 固性 は加 減 的 量 刑 因子 で あ る。

犯 行 の計 画性 」 は、犯 行 前 の行 為 者 の態 度 と して、 量 刑 因子 とされ るべ きで あ るが 、 前 記 列 挙 中 の量 刑 因子 の 中 に含 まれ て いな い。 本 判 決 は、 これ を量刑 事情 との関係 で 酌 量 すべ き事 情 と して検 討 対 象 に して い るので 、 量 刑 因子 に含 めな い趣 旨で 列 挙 しな か っ た ので はな い で あ ろ う。 「生 育環 境 」 につ い て も同様 で あ る。

(3)本 判 決 に お ける加 重 的 量 刑 事 情

と ころで 、 量 刑 因 子 に具 体 的 な量 刑 事 情 を当 て は め量 刑 判 断 を示 す こ とが必 要 で あ る。 その 場 合 、 量 刑 判 断 の第 一 ス テ ップ と して 、 量 刑 を加 重 方 向 に導 く 事情(以 下 「加 重 的量 刑 事 情 」 とい う。)に よって 死 刑相 当 か どうか を判 断 す る こ と、 す な わ ち前 述 の 中間 判 断 を示 し、 そ の第 ニ ス テ ップ と して 、 減 軽 的量 刑 事情(酌 量 す べ き量 刑 事 情)の 有 無 を考 慮 して 中間判 断 を修 正 す る こ とが で き

るか ど うか を判 断 す る こ とが 必 要 で あ る。

本 判 決 は、 「犯 行 の罪質 」 に当 た る量刑 事 情 につい て、 「被 告人 は、強 姦 に よっ て で も性 行 為 を した い と考 え、 布 テ ー プや ひ もな どを用 意 した 上 、 日中若 い主 婦 が 留守 を守 る アパ ー トの 居 室 を物 色 して被 害 者 方 に至 り、排 水 検 査 の作 業 員 を装 っ て室 内 に 上 が り込 み 、被 害 者 のす き を見 て背 後 か ら抱 き付 き、被 害 者 が 驚 い て 悲鳴 を上 げ、 手足 を ばた っ か せ るな ど激 し く抵 抗 す るの に対 して 、 被 害

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者 を姦 淫 す るた め殺 害 し よ う と決 意 し、 その頸 部 を両 手 で 強 く絞 め付 け て殺 害 し、 万 一・の ぞ生 に備 えて 両 手 首 を布 テ ー プで緊 縛 した り、 同 テ ー プで 鼻 口部 を ふ さ ぐな ど した上 、 臆 す る こ とな く姦 淫 を遂 げた。 さ らに、被 告人 は、 この 間 、 被 害 児 が 被 害 者 にす が りっ くよ うに して 激 し く泣 き続 けて い た こ とを意 に も介

しなか っ た ば か りか 、 上 記 犯 行後 、 泣 き声 か ら犯 行 が 発覚 す る こ とを恐 れ 、殺 意 を もっ て、 被 害 児 を持 ち 上 げて 床 にた た き付 け るな ど した 上 、 な お も泣 き な が ら母親 の遺 体 に は い寄 ろ う とす る被 害 児 の首 に所 携 の ひ もを巻 い て絞 め付 け、

被 害 児 を も殺 害 した もの で あ る。 強 姦 を遂 げ るた め被 害 者 を殺 害 して 姦 淫 し、

更 に いた い けな幼 児 まで も殺 害 した 各 犯行 の罪 質 は甚 だ悪 質 で あ り、」 と述 べ て い る。

本 判 決 は、 「構 成 要 件 内 の結 果 」 で あ る被 害 者 の 数 につ い て 、 「2名 の尊 い命 を奪 った結 果 も極 め て重 大 で あ る。」 と述 べ 、被 害 者 の数 が2名 で あ る こ とを重 視 し、 これ を加 重 的量 刑 事 情 と して い る こ とは明 らか で あ る。 しか し、被 害者 が1名 で あれ ば死 刑 に 当 た らな い とい う趣 旨で な い こ とは、 い う まで もな い。

さ らに、本 判 決 は、 「構 成 要件 外 の結 果」 で あ る遺族 の被 害感 情 につ い て、 「 族 の被 害 感 【青は しゅ ん烈 を極 め、 これ に対 し、 慰 謝 の 措 置 は全 く講 じ られ て い な い。」 と述 べ 、 これ を加 重 的量 刑 事情 と して い る。 また、 本 判 決 は、 社会 的影 響 につ いて も、 「白昼 、 ご く普 通 の 家庭 の母 子 が 自 らに は何 の責 め られ るべ き点 もな い の に 自宅 で惨 殺 され た事 件 と して社 会 に大 きな衝 撃 を与 え た点 も軽 視 で きな い。」 とのべ 、 これ を加 重 的量 刑 事情 と して い る。

本 判 決 は、 「犯 行 の動機 」 に当 た る量刑 事情 につ いて 、 「強姦 に よ っ てで も性 行為 を した い と考 え、」、 「被 害者 を姦 淫 す るた め殺 害 しよ う と考 え」、 「泣 き声 か ら犯 行 が 発 覚 す る こ とを恐 れ 、」 と述 べ 、 「各 犯 行 の動 機 … に酌 む べ き点 は み じ ん もな く」 と して、 本 件 犯行 の 動機 を加 重 的量 刑 事 情 と して理 解 して い る。

本 判 決 は、 「犯 行 の 態様 」 に 当 た る量 刑 事 情 につ いて 、 「布 テ ー プや ひ もな ど を用 意 した 上 、 日中若 い主 婦 が 留 守 を守 るアパ ー トの居 室 を物 色 して被 害 者 方 に至 り、 排 水 検 査 の作 業 員 を装 っ て 室 内 に 上が り込 み、 被 害 者 の す き を見 て 背 後 か ら抱 き付 き、 … そ の頸 部 を両 手 で 強 く絞 め付 けて 殺 害 し、 万0の ぞ生 に備 えて両 手 首 を布 テ ー プ で 緊縛 した り、 同 テ ー プで 鼻 口部 をふ さ ぐな ど した 上 、 臆 す る こ とな く姦 淫 を遂 げ た。 …被 害児 を持 ち上 げて 床 に た た き付 け るな ど し

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た上 、 な お も泣 き なが ら母 親 の遺 体 に は い寄 ろ う とす る被 害 児 の首 に所 携 の ひ もを巻 いて絞 め付 け、被 害 児 を も殺 害 した もの で あ る。」 と述 べ 、 「何 ら落 ち度 の な い被 害 者 らの 生 命 と尊 厳 を相 次 い で踏 み に じった 犯 行 は、 冷酷 、 残 虐 に し て非 人 間 的 な所 業 で あ る とい わ ざ るを得 な い。」 と して 、 本件 犯 行 の態様 を加 重 的量 刑 事情 と して 考 慮 して い る。

本 判 決 は、 「犯行 後 の情 状 」 に あ た る量 刑 事 情 につ い て 、 「被 害者 らを殺 害 し た後 、被 害 児 の死 体 を押 し入 れ の 天袋 に投 げ入 れ 、 被 害 者 の死 体 を押 し入 れ に 隠 す な ど して 犯 行 の発 覚 を遅 らせ よ う と し、 被 害 者 の財布 を窃 取 して い るな ど、

犯行 後 の情 状 も良 くな い。」 と述 べ 、 犯 行 現場 にお け る事 後 的情 状 を加 重 的量 刑 事情 と して い る。 これ に対 して、 犯 行現 場 を離 れ た後 の情 状 で あ る 「反 省 の情 」 につ い て は、 減 軽 的量 刑 事 情 とす る こ とが で き るか ど うか の検 討 対 象 と して い

る。

本 判 決 は、 「犯 行 の計 画 性 」 な どの犯 行 前 の情 状 にっ い て も、 減軽 的量 刑 事情 とす る こ とが で き るか ど うか の 検 討 対 象 と して い る。

とこ ろで 、 本 判 決 が死 刑 相 当 とす る量 刑 判 断 にお い て主 に重 視 した加 重 的量 刑 事 情 につ い て は言 及 せ ず 、 「以 上 の諸 点 を総 合 す る と、 被 告 人 の 罪 責 は誠 に重 大 で あ って、 特 に酌 量 す べ き事 情 が な い 限 り、 死 刑 の選 択 をす る ほか な い もの とい わ ざ る を得 な い。」 と述 べ る に と どまっ て い る。 量刑 にお いて は、 その性 質 上 、 各 量 刑事 情 に対 す る総 合 評価 に よ るほか な いが、 被 害 者 の側 の事情 と して、

そ の数 とそ の 年齢 、被 害 者 に落 ち度 が な い こ とな どが 重視 され た と思 わ れ る。

被 害 者 の数 は、 判 例 の量 刑 判 断 に とっ て従 来 か ら重視 され て きた量 刑 要 因 で あ るだ け に(第 二 東 京 弁 護 士 会 死 刑 問題 研 究 小 委 員 会 に よ る 「死 刑 判 決 の 量刑基 準 の考察 」 自由 と正 義42巻10号55頁 以下 、 前 田雅 英 「死刑 と無期 の 限界 件 の最 高裁 判 例 の意 味」(上)判 例 評 論506号162頁 以下 、 同(下)判 例 評 論507 号164頁 以下 、川 崎 一 夫 「死 刑 と無 期 刑 の選 択 基 準」 創 価 法 学25巻1・2合 号33頁 以 下)、 本 件 に お け る被 害 者 の数 が 複 数 人 で あ った こ とが 死 刑相 当 の判 断 にか な りの程 度 に影 響 を及 ぼ した とい え るで あ ろ う。 しか し、 本 件 の他 の 量 刑 事 情 を考慮 した 場 合 、 被 害 者 が 単数 で あ っ た とす れ ば、 死 刑 相 当 とす る判 断 が で きな い とまで は断 言 で きな い。 もち ろん 、 これ は仮 定 の事 情 を基 礎 にす る議 論 で あ るか ら、 これ 以 上 の論 及 は慎 まな けれ ば な らな い。 な お、 本 判 決 と同 じ

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判 断 方法 に よっ た と思 われ る前 掲 最 二 小 判 平ll・12・10は 被 害 者 が 単 数 の場 合 に死 刑 相 当 の判 断 を して い るの で 、被 害 者 の 単複 は死 刑 と無 期 刑 を分 け る絶 対 的基 準 で な く、他 の量 刑 要 因 に 当 た る量 刑事 情 に対 す る評 価 と総 合 して判 断 さ れ るべ き もの で あ る。 また、 遺 族 の しゅん烈 な被 害 感 情 が そ の判 断 に どの程 度 に影 響 を及 ぼ した の か は必 ず しも明 白で はな く、微 妙 な問題 を含 ん で い る よ う に思 わ れ る。

(4)第1審 お よ び原 審 に お ける 減 軽 的 量 刑 事 情 に対 す る本 判 決 に お け る検 討 原 判 決 お よび第1審 判 決 が 無 期 刑 を選 択 した とき に考 慮 した 量 刑 事 情 につ い て、 本 判 決 は、 「被 害 者 らの殺 害 にっ いて 計 画 性 が な い とい う点 」、 「被 告 人 が 、 それ な りに反 省 の情 を芽 生 え させ て い る と見 られ る こ とに加 え 、犯 行 当時18歳

と30日 の 少年 で あ っ た こ と、 犯 罪 的傾 向 も顕 著 で あ る とはい え ない こ と、 そ の 生 育 環 境 に お い て 同情 す べ き ものが あ り、 被 告 人 の性 格 、行 動傾 向 を形 成 す る につ い て影 響 した面 が否 定 で き な い こ と、 少 年 審 判 手続 にお け る社 会 的 調 査 の 結 果 に お い て も、 矯 正 教 育 に よ る可 塑 性 が 否 定 され て い な い こ と、 そ して 、 こ れ らに よれ ば矯 正 教 育 に よ る改 善 更 生 の 可 能 性 が あ る こ とな どを指摘 し、 死 刑

を回避 すべ き事 情 と して い る。」 と述 べ た うえで 、 と くに酌 量 す べ き事情 に関 し て検 討 を加 え て い る。

本 判 決 は、 被 害 者 らの殺 害 にっ いて 計 画性 が な い とい う点 につ い て、 「当初 か ら被 害者 らを殺 害 す る こ とを も計 画 して いた場 合 と対 比 すれ ば、 その 非 難 の程 度 に は差 異 が あ る。 しか しな が ら、被 告 人 は、 強 姦 とい う凶悪 事 犯 を計 画 し、

その 実行 に際 し、 反 抗 抑 圧 の 手段 な い し犯行 発 覚 防 止 の た め に被 害 者 らの 殺害 を決 意 して 次 々 と実 行 し、 それ ぞ れ所 期 の 目的 も達 して い るの で あ り、各 殺 害 が偶 発 的 な もの とい え な い こ とは も とよ り、冷 徹 に これ を利 用 した もの で あ る こ とが 明 らか で あ る。 して み る と、本 件 にお い て 殺 害 につ いて の計 画 性 が な い こ とは、死 刑 回避 を相 当 とす る よ うな特 に有利 に酌 むべ き事 情 と評 価 す る に は 足 りな い もの とい うべ きで あ る。」 と述 べ て い る。 したが って、 計 画1生 とい う量 刑 要 因 は加 減 的 量刑 要 因 で あ っ て 、計 画 して い る場 合 は量 刑 を加 重 し、無 計画 の場 合 は量 刑 を減 軽 す る方 向 に働 くこ とが 一搬 論 と して 是 認 され て い る。 この 量 刑 要 因 に当 た る本 件 の量 刑 事 情 をみ る と、全 犯 行 の うち一 部 が 事 前 に計 画 さ

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れ 、 一・部 は現 場 にお いて 事 前 の 計 画 な く行 われ た こ とが わ か る。 この よ うな場 合 、 事 前 の計 画 の な い行 為 を事 前 の計 画 の あ る行 為 と切 り離 して減 軽 的 量 刑 事 情 とす る こ とが で き るの か とい う問題 が 生 ず る。 事 前 の計 画 の な い行 為 が まっ た く偶 発 的 に行 わ れ た とい うので は な く、 事 前 の計 画 の あ る行 為 を遂 行 す る こ

と との 関連 にお いて 、 た とえ ば、 事 前 の計 画 の あ る行 為 を遂 行 す るた め に支 障 にな っ て い る情 況 を排 除 す るた め に行 うな どの 関連 性 な い しは利用 関 係 が あ る 場 合 に は、必 ず し も これ を減 軽 的 に考 慮 す る こ とはで き な いで あ ろ う。 本 判 決

は、 この点 に着 目 して、 「被 告 人 は、 強姦 とい う凶悪 事 犯 を計画 し、 その 実 行 に 際 し、 反抗 抑 圧 の手 段 な い し犯 行 発覚 防止 の た め に被 害 者 らの殺 害 を決 意 して 次 々 と実 行 し、 それ ぞれ 所 期 の 目的 も達 して い るの で あ り、 各 殺 害 が偶 発 的 な もの とい え な い こ とは も とよ り、 冷徹 に これ を利用 した もの で あ る こ とが 明 ら か で あ る。 して み る と、 本 件 に お いて殺 害 につ いて の計 画 性 が な い こ とは、 死 刑 回 避 を相 当 とす る よ うな特 に有 利 に酌 む べ き事情 と評 価 す る には足 りな い も

の とい うべ きで あ る。」 として い る。 この よ うな判断 は正 当 な もの と して支 持 で き るで あ ろ う。

本 判 決 は、 「犯 行後 の情 況 」 因 子 に当 た る本 件 の量 刑 事 情 として 、犯 行 現 場 を 離 れ た後 の 「反 省 の情 」 を検 討 対 象 として い る。 反 省 の情 とい って も、 そ の程 度 が 問題 とされ るべ きで あ る。 反省 の情 が犯 した 罪 に深 刻 に 向 き合 うこ とに よっ て湧 出 す る もの で な けれ ば、 これ を死 刑 回避 の た め の減 軽 的 量 刑 事 情 とす る こ とはで きない。 本 判 決 は、 この 点 に着 目 して 、 「記録 に よれ ば、 被 告 人 は、捜 査 の ご く初 期 を除 き、 基 本 的 に犯 罪 事 実 を認 め て い る もの の 、 少 年 審 判 段 階 を含 む原 判 決 まで の 言 動 、 態 度 等 を見 る限 り、 本 件 の 罪 の 深 刻 さ と向 き合 っ て 内省 を深 め得 て い る と認 め る こ とは 困難 で あ り、 被 告人 の 反 省 の程 度 は、 原 判 決 も 不 十 分 で あ る と評 して い る ところで あ る。」 と述 べ て い る。減 軽 的量 刑 事 情 とす るた めに は、 「罪 の深 刻 さ と向 き合 って 内省 を深 め得 て い る」程 度 に達 す る反省 の情 を要 求 す る本 判 決 の判 断 は正 当 で あ る。

本 判 決 は、 「生 育環 境 」 因 子 に 当 た る本 件 の量 刑 事 情 につ いて 、 「実 母 が被 告 人 の 中学 時 代 に 自殺 した り、 その後 実父 が 年 若 い外 国 人 女 性 と再 婚 して 本 件 の 約3か 月前 に は異 母 弟 が 生 まれ るな ど、不 遇 な い し不 安 定 な面 が あ った こ とは 否 定 す る こ とが で きな いが 、 高校 教 育 も受 け る こ とが で き、特 に劣 悪 で あ った

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とまで は認 め る こ とが で き な い。」 と述 べ 、減 軽 的 量 刑 事情 とは認 め なか っ た。

人 格 形成 過 程 にお い て犯 行 へ と決 定 づ け るほ どの 特 に劣 悪 な」 生 育環 境 の 有 無 が 問 題 とな るが、 本 判 決 は、 「不 遇 な い し不 安 定 な面 」 を認 めて い るが 、 「 に劣 悪 な」 生 育環 境 とは認 め なか った 。 生 育 環 境 が 「特 に劣 悪 な 」場 合 に は、

そ の こ とに よ って人 格 形 成 が 歪 め られ 、 規範 的 な判 断 に よっ て正 しい 方 向 へ と 決 定 づ け られ な い程 度 に達 して い な けれ ば、 これ を減 軽 的量 刑 事 情 と して取 り 上 げ る こ とはで きな い と思 わ れ る ので 、 本 判 決 の判 断 は支 持 され るで あ ろ う。

本 判 決 は、 「犯 人 の年齢 」 因子 に当 た る本 件 の 量刑 事 情 につ い て、 犯 行 当時18 歳 に な っ て間 もな い 少年 で あ り、 そ の可 塑性 か ら改 善 更 生 の可 能 性 が 否 定 され

て いな い こ とは 「しん酌 す る に値 す る事 情 」 で あ る こ とを認 め た うえで 、 「死刑 を回 避 すべ き決 定 的 な事 情 で あ る とまで は い えず 、 本 件 犯 行 の 罪質 、 動機 、 態 様 、 結 果 の重 大 性 及 び遺 族 の被 害 感 情 等 と対 比 ・総 合 して判 断 す る上 で考 慮 す べ き一事 情 に とどま る とい うべ きで あ る。」 と述 べ 、 これ を減軽 的量 刑 事 情 とは 認 め なか っ た。

少 年 法(平 成12年 法律 第142号 に よ る改正 前 の もの)は 、 「死 刑 と無 期 刑 の緩 和 」 に関 す る51条1項 に お いて 、 「罪 を犯 す とき18歳 に満 た な い者 に対 して は 死刑 を もって 処 断 す べ き ときは、 無 期 刑 を科 す る。」 と規 定 して い る。 これ は、

犯行 時18歳 未 満 の少 年 に対 して 死 刑 を言 い渡 す こ とを禁止 す る趣 旨で あ るか ら、

犯行 時18歳 以 上 の少 年 で あ った 者 に対 す る死 刑 宣 告 を禁止 す る もの で は な い 。 本件 の被 告 人 は犯 行 時 に基 準年 齢 以 上 で あ り、 この 者 に死 刑 を言 い渡 す こ とに つ い て は、法 律 上 の支 障 は な い。 問題 は、 犯行 時 、基 準年 齢 をわず か に30日 を 超 え た にす ぎ な い者 で あ っ た とい う事 情 を、実 質 的 な観 点 か ら斜 酌 し、 減 軽 的 量刑 事情 とす るか ど うか で あ る。

少 年 法 が 死 刑 緩 和 を規 定 す る理 由 には 、 二 つ の こ とが 考 え られ る。 法 律 的理 由 と して は、 犯 行 時18歳 未 満 の少 年 は精 神 的 に未 成 熟 で あ り、18歳 以 上 の者 と 同 じ よ うに十 全 の 責任 能 力 を認 め る こ とが で きな いの で 、 限 定 責 任 能 力 者 に準

じて取 り扱 う とい う考 え方 で あ り(団 藤 重 光 『刑 法 綱 要 総 論 ・改訂 版 増 補 』559 頁参 照)、 刑 事 政 策 的理 由 として は、 犯 行 時18歳 未 満 の者 に は、可 塑 性 に よ る改 善更 生 を期 待 で き るの で 、 死 刑 を 回避 す べ きで あ る とす る考 え方 で あ る。 本 判 決 は、 刑 事 政 策 的理 由 との 関 係 で 被 告 人 の犯 行 時 の 年齢 を取 り上 げ、 これ を本

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..

件 で は他 の 量刑 事情 と対 比 させ 、 総 合 的 に判 断 して 死 刑 を回 避 す る決 定 的事 情 とは な らな い と して い る。 しか し、本 判 決 は、 法律 的 理 由 につ い て は言 及 して い な い。刑 法 は、刑 事 責任 年 齢 に関 す る41条 にお いて 、 「14歳に満 た な い者 の行 為 は、 罰 しない。」 と規 定 し、14歳 未満 とそれ 以上 とを 区別 し、前 者 を責 任無 能 力者 、 後 者 を責任 能力 者(限 定 責 任能 力 者 として 扱 わ れ る者 を含 む。)と して形 式 的 に 区別 して い るので 、 少 年法51条1項 の規 定 も18歳 未 満 と18歳 以上 とを区 別 し、 前者 を限 定 責 任 能 力者 、 後 者 を責 任 能 力 者 と して 取 り扱 う こ とを形 式 的 に認 めて い る と解 す る こ ともで き る。 した が って 、 本 件 被 告 人 は犯 行 時 の 年齢 で は限 定 責 任 能 力 者 と して の取 扱 い を受 け る こ とはで きな い ので 、本 判 決 は こ の こ とに言 及 して い な くて も、 なん らの 問題 もそ こに は存 在 しな い とい うべ き で あ る。

(5)罪 刑 均 衡 と一 般 予 防

本 判 決 は、 「その罪 責 が 誠 に重 大 で あ っ て、 罪 刑 の均 衡 の見 地 か らも一 般 予 防 の見 地 か ら も極 刑 が や む を得 な い と認 め られ る場 合 に は、死 刑 の選 択 を す るほ か な い」 と して い る。 罪刑 の均衡 とは、 罪責 相応 の刑 とい う意 味で あ る。 「罪 責 」 は、 量 刑 因 子 に 当 た る量 刑 事情 に基 づ い て決 定 され る責 任 を意 味 す る と思 われ

る。 これ は犯 罪 成 立 上論 じ られ て い る 「責 任 」 とは必 ず し も同義 で は な い。 こ れ を量 刑責 任 と呼 ぶ こ と もで き るで あ ろ う。 「罪 刑 の均 衡 の見 地 か らも」 とい う の は、 一 般 予 防 的観 点 を考 慮 に入 れ な い で、 量 刑 責 任 の み を考慮 して 量 刑 を し た と して も極 刑 に値 す る量 刑 責 任 を認 め る こ とが で き る とい う趣 旨で あ ろ う。

これ に対 して 、 「一般 予 防 の見 地 か らも」 とい うの は、一 般 人 を犯 罪 か ら遠 ざ け る とい う観 点 を意 味 す るが 、 罪 責 相 応 の刑 を前 提 と しな い限 り、 一 般 予 防 は 単 な る見せ しめ に よって 犯 罪 防 止 を企 図 す る こ とに な りか ね ない の で、 「一般 予 防 の見 地 」 は 「罪刑 の 均衡 の見 地 」 に従 属 す る と考 え られ るべ きで あ る。 本 判 決 は両 見地 の 関係 につ いて 述 べ て い な いが 、 「以上 の諸 点 を総 合 す る と、被 告 人 の罪 責 は誠 に重 大 で あ って 、 特 に酌 量 す べ き事 情 が な い限 り、 死 刑 の選 択 をす るほ か な い もの とい わ ざ るを得 な い。」 と して い るの で、 「一 般 予 防 の見 地 」 が

罪 刑 の均 衡 の見 地 」 に従 属 す る こ とを認 め て い る よ うに思 わ れ る。

とこ ろで、0般 予 防 につ いて は、 厳 格 にい えば 、 二 つ の意 味 を考 え る こ とが

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で き る。 立 法 に よ る0般 予 防 と司 法 に よ る一般 予 防で あ る。 立 法 に よ る一 般 予 防 とは、 法 律 を もっ て犯 罪 と刑 罰 を規 定 す る こ とに よっ て、 一一般 人 が 犯 罪行 為 に手 を染 め な い よ う にす る こ とを意 味 す る。 立 法 に よ る一 般 予 防 は、 現実 に犯 罪 が 行 われ る以前 に一 般 的 に一・般 人 を対 象 に法 律 に よ り予 告 され た 刑 罰 の威 嚇 力 の効 果 と して犯 罪 防 止 を期待 す る もの で あ るか ら、 これ をL般 的一般 予 防」

と呼 ぶ こ とが で き る。 これ に対 して 、 司法 に よ る一一般 予 防 とは、 裁 判 にお いて 被 告 人 に対 して刑 を宣 告 す る こ とに よっ て、 宣 告 刑 の威 嚇 力 の効 果 と して 一一般 人 を犯 罪 か ら遠 ざ け よ う とす る こ とを意 味す る。 司法 に よ る一一般 予 防 は、 具体 的 な被 告 人 に対 す る宣 告 刑 に よ る一・般 予 防 を意 味 す るか ら、 これ を 「特別 的一 般 予 防」 と呼 ぶ こ とが で き る(「 特別 的0般 予 防 」 の観 念 にっ いて は、川 嫡 一一夫

『体 系 的量 刑 論 』164頁 以下 参 照) 。特 別 的一般 予 防 は特 別 予 防 と区別 して理 解 さ れ な けれ ばな らな い。

本 判 決 が述 べ て い るL一 般 予 防 の見 地 」 は、 明 らか に特 別 的 一 般 予 防 の観 点 を意 味 して い る。特 別 的一一般 予 防 は、 法 秩 序 の 防衛 に とって 必 要 最 小 限 に考 慮 され るべ き観 点 で あ る。 こ こで 法 秩 序 の 防衛 」 とい うの は、 均 衡 の とれ た刑 法 的制 裁 に よって 国 民 の法 に対 す る忠実 性 を維 持 ・強化 す る こ とを意 味 して い る(川 崎 ・前 掲 書170頁 参 照)。 裁 判 官 が 法 秩 序 の防衛 」 論 に よって量 刑 す る こ とが許 され るの は、 司法 の機 能 に対 して 重大 な 危 険 が あ り、 しか も国 民 の法 感情 が無 条 件 に法秩 序 の 防衛 を必 要 と して い る場 合 に限定 され るべ きで あ ろ う。

その 限度 を超 えて 特 別 的一 般 予 防 を重視 す る こ とは、 見 せ しめ 的効 果 を もた ら す こ とに な り、 許 され るべ き こ とで はな い。 しか し、 軽 す ぎ る量 刑 は、法 秩 序

の弛 緩 を招 来 す る こ とに な りか ね な い。 この程 度 の こ とを犯 して も、 この程 度 の刑 で 済 む とい う考 え が0般 人 の 心 中 に芽 生 えれ ば、 法 秩 序 は必 ず弛 緩 し、法 秩序 を維 持 す る こ とは 困難 とな る。本 判 決 で は、 罪 責 相 応 の刑 罰 が死 刑 で あ る と判 断 され て い るの で、 特 別 的一一般 予 防 に関 す る問 題 につ い て ナ ー バ ス にな る 必 要 もな いが 、 罪 責 相 応 の 刑罰 が無 期 刑 で あ る場 合 に特 別 的一 般 予 防 の見 地 を 強調 して死 刑 を選 択 す る こ との な い よ うに注 意 しな けれ ばな らな い。 ともあ れ、

本 判 決 に お け る量 刑 は、今 日にお け る最 高 裁 判 所 の死 刑 と無 期 刑 の選 択 に関 す る量 刑 方法 ・量 刑 基 準 を知 る うえ で参 考 とな る こ とは疑 いの ない と ころで あ る。

(本学 法学部教授)

参照

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文書番号 制定日 改訂日.

9, Tokyo: The Centre for East Asian Cultural Studies for Unesco.. 1979 The Meaninglessness

氏名 生年月日 本籍 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付

氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目