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論 文 要 旨 2016

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博士論文審査結果の要旨

博士論文審査委員会

主 査 本橋健司

審査委員 秋元孝之

審査委員 蟹澤宏剛 審査委員 椛山健二

審査委員 小山明男

氏 名 川村 康晴

論文題目

建築用仕上塗材の二酸化炭素透過性及び透湿性が中性化抑制効果に与える影響に関する

研究

〔論文審査の要旨〕

本研究では鉄筋コンクリート造建築物の仕上材料として代表的な建築用仕上塗材及び塗 料(以下、仕上材)を研究対象とし、コンクリート中性化抑制効果を評価している。仕上 材のコンクリート中性化抑制効果を支配すると考えられる二酸化炭素透過性に着目し、迅 速で簡便な評価方法を確立した。この方法は、従来利用されているガス透過性試験装置等

と異なり、個々の仕上材製品の二酸化炭素透過度測定が迅速・簡便に実施できる。

次に、多種類の仕上材を施工したコンクリート試験体の促進中性化試験を実施し、各種 仕上材の中性化抑制効果を評価した。そして、中性化抑制効果が、二酸化炭素透過度と従 来から中性化抑制効果との関連性が認められている透湿度(水蒸気透過度)のいずれと相 関性が高いかを検討した。その結果、中性化抑制効果は、仕上材全体を対象とすると、透 湿度との相関性がより高いことを確認した。そこで、新シリーズの実験を行い、透湿度の 低い仕上材を施工した場合には、促進中性化で発生した水分に起因してコンクリートの含 水率が高くなること、その影響により中性化が抑制されることを明らかとした。結論とし て、二酸化炭素濃度の低い実際の環境下では、二酸化炭素透過度と中性化抑制効果との間 に高い相関性が認められると推測した。

申請者である川村康晴君は2011午4月〜2014午3月博士課程(後期) (地域環境システム 専攻)に在籍し、満期退学のあと更に研究を進め、論文博士として学位請求論文をとりま

とめた。論文の主要部分である仕上材の二酸化炭素透過性の迅速簡便な評価試験方法に関

しては日本建築学会の技術報告集に掲載されている。また、もう一つの主要部分であるコ

ンクリートの促進中性化試験における二酸化炭素透過度と透湿度との影響分析についても

日本建築学会の技術報告集に掲載が決定している。更に、本研究は各種学会大会(国際学

会における英語での口頭発表1件を含む)で口頭発表されている。最終審査(公聴会)は

2016年2月13日13:00〜15:00に実施された。約1時間申請者から論文内容の発表があり、続

いて質疑応答を行った。その結果、中間審査での指摘事項も修正され、質疑応答も的確で

あり、内容についても審査員全員一致で合格とした。なお、意味を明確にするため、論文

題目を申請時のものから一部修正した。

(2)

(様式第6号)

論 文 要 旨

2016 年 3 月 11 日

※報告番号 第 号 氏 名 川村 康晴

主論文題名

建築用仕上塗材の二酸化炭素透過性及び透湿性が 中性化抑制効果に与える影響に関する研究

内容の要旨

性 能 規 定 化 の流 れ の 中で 、 建 築 物 の耐 久 性 にも 性 能 明 示 が要 求 さ れつ つ あ り 、 また 、 地 球 環 境 問 題 等を 背 景 とし、 環 境 負 荷を 低 減 するた め 、 鉄 筋コ ン ク リート 造 建 築 物の 耐 久 性を向 上 さ せ 長 期耐 用 化 を進め る 動 き が強 ま っ ている 。 鉄 筋 コン ク リ ート造 建 築 物 の多 く は 、外壁 に 仕 上 げ が 施 さ れ て お り 、 塗 料 及 び 建 築 用 仕 上 塗 材 は も っ と も 一 般 的 な 外 装 の 仕 上 材 で あ る。

仕 上 材 は 躯 体保 護 効 果の 一 つ と し てコ ン ク リー ト の 中 性 化抑 制 効 果を 有 し て い る。 市 場 に は 多 種 多 様な 仕 上 材があ る た め 、そ れ ぞ れの中 性 化 抑 制効 果 の 評価は 不 十 分 であ る の が現状 である。

コ ン ク リ ー ト造 建 築 物の 長 期 耐 用 化及 び 性 能明 示 化 へ の 動き の 中 で、 製 品 ご と の中 性 化 抑 制効果の評価は重要性を増してくると考えられる。

こ れ ま で に も仕 上 材 の中 性 化 抑 制 効果 を 評 価す る 方 法 と して 、 コ ンク リ ー ト の 促進 中 性 化 試 験 や 仕 上材 の 透 気性を 評 価 す るこ と で 中性化 の 抑 制 効果 を 予 測しよ う と す る試 み が 種々検 討 さ れ て いる 。 し かしな が ら 既 往の 方 法 には、 そ れ ぞ れ一 長 一 短があ り 、 多 種多 様 あ る 仕上 材 の 中 性 化抑 制 効 果を 評 価 す る には 精 度 と効率 の 面 で 十分 と は いえな い 。 仕 上材 の 二 酸化炭 素 透 過 性 の評 価 方 法を確 立 す る こと で 、 鉄筋コ ン ク リ ート 造 建 築物の 耐 久 設 計手 法 を 提案で き れ ば 、 合理 的 な 建築物 の 耐 久 性能 の 設 計が容 易 と な り建 築 物 の長期 耐 用 に 大き く 寄 与する と考えられた。

本研究では、最も基本的な耐久性の評価指標であるコンクリートの中性化を劣化対象とし て、仕上材の二酸化炭素透過性を効率よく定量的に測定する方法を提案する。

また、促進中性化試験による仕上材の中性化抑制効果を確認した。促進中性化試験の中で 試験体の含水率が増加することを確かめ、仕上材の透湿性が含水率へ影響を与えることを示 した。その結果、促進中性化試験での評価では、仕上材の中性化率と透湿性の間に相関性が 出ることを示し、促進中性化試験がもつ潜在的な問題を示唆した。

本論文は、8章から形成されており、各章の概要は以下のとおりである。

第1章は序論であり、本論文における研究の背景と目的を示した。また、本研究が対象と する塗料及び建築用仕上塗材の範囲について示した。

※印欄記入不要

(3)

(様式第6号)

論 文 要 旨

2016 年 1 月 12 日

※ 報告番号 第 号

氏 名 川村 康晴

第 2 章 で は 、主 に 仕 上材 の 中 性 化 抑制 効 果 に関 す る 既 往 文献 、 中 性化 抑 制 効 果 の評 価 方 法 に 関 す る 既往 文 献 の調査 を 行 っ た。 調 査 の結果 、 仕 上 材の 多 様 性から 製 品 ご との 抑 制 効果を 評 価 す る ため 、 簡 易で迅 速 な 評 価方 法 を 提案す る 必 要 性を 見 出 した。 文 献 調 査か ら 仕 上材の 二 酸 化 炭 素の 透 過 性を評 価 す る 方法 の 確 立する 必 要 性 、二 酸 化 炭素透 過 性 と 透湿 性 と の中性 化抑制効果へ及ぼす影響を示す必要性を確認した。

第 3 章 で は 、カ ッ プ 法、 ボ ッ ク ス 法を 用 い て仕 上 材 の 二 酸化 炭 素 透過 性 を 評 価 する 方 法 の 開 発 及 び 試験 を 行 った。 二 酸 化 炭素 の 吸 収剤と し て 使 用し た 水 酸化カ ル シ ウ ムの 反 応 に水分 が 大 き く 影響 す る ことを 明 ら か にし 、 調 湿条件 、 試 薬 量の 条 件 などを 整 え 、 ボッ ク ス 法とし て二酸化炭素の透過性を定量的に評価できる方法を提案した。

第 4章 では 、 仕上 材の 透 湿性 に関 係 する 実験 と して 、

JIS

法 に準拠 し た透 湿カ ッ プ法 を用 い た 透 湿 性の 評 価 を行う と と も に、 二 酸 化炭素 透 過 性 のデ ー タ と比較 し 仕 上 材の 種 類 ・形状 が透湿性、二酸化炭素透過性に与える影響を考察した。

第 5 章 では 、 仕 上材の 促 進 中 性化 試 験 を行い 仕 上 材 の中 性 化 抑制効 果 に つ いて 評 価 を行い そ の 傾 向 を明 ら か にした 。 ま た 、今 回 評 価を行 っ た 仕 上材 の 中 性化深 さ の 推 移よ り 、 仕上材 の 中 性 化 の抑 制 効 果を中 性 化 率 とし て 示 した。 ま た 、 薄塗 材 E など製 品 ご と に中 性 化 率 が異 なることを明らかにし、仕上材の製品ごとに中性化抑制効果を確認する必要性を示した。

第 6 章 では 、 含 水率の 測 定 を 行い な が ら、仕 上 材 の 促進 中 性 化試験 を 行 っ た。 促 進 中性化 試 験 の 中 でコ ン ク リート の 含 水 率が 増 加 するこ と を 確 かめ た 。 また、 湿 度 条 件ご と に コンク リ ー ト の 平衡 含 水 率の測 定 を 行 い、 促 進 試験中 の コ ン クリ ー ト の含水 率 が 高 湿度 条 件 下での コンクリートの含水率のように高い状態で推移していることを確認した。

第 7 章 では 、 第 3章か ら 6 章 まで の 結 果を踏 ま え 、 促進 中 性 化試験 に お け る仕 上 材 の中性 化 抑 制 効 果と 仕 上 材の透 湿 性 お よび 二 酸 化炭素 透 過 性 との 関 係 をもと め 、 透 湿性 と 仕 上材の 中性化抑制効果には全体的に高い相関を示すことを明らかにした。

ま た 、 仕 上 材の 透 湿 性が コ ン ク リ ート の 中 性化 抑 制 効 果 への 影 響 を及 ぼ す 過 程 とし て 、 促 進 中 性 化 試験 に お けるコ ン ク リ ート の 含 水率と 透 湿 性 とに 相 関 がある こ と を 明ら か に した。

ま た 、 促 進中 性 化 試験に お い て は中 性 化 のなか で 発 生 する 水 分 の影響 を 受 け 、透 湿 性 の寄与 が大きくなることを確認した。

第8章では、総括として各章で得られた知見をとりまとめ今後の課題を示した。

※印欄記入不要

参照

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