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乳幼児の睡眠状況と養育環境

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Academic year: 2021

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(1)

乳幼児の睡眠状況と養育環境

     ユ

宮下弘子  宮原   ユ      

春美   川崎 千里

要旨 保育園の乳幼児を対象に夜間の睡眠状況と養育環境との関連を検討した.

新生児期に光線療法などの処置を受けたものが非良眠群に有意に多かった.母親の身 体的,社会的背景と児の睡眠状況の関連は認められなかった.良眠群は入眠時刻,覚 醒時刻ともに非良眠群より早く,保育園を親の都合などで休園する比率が有意に少な かった.児の生活リズムを保障することが睡眠に対してよい影響を与えるのではない かということが示唆された、

      長崎大医療技短大紀7:145−147,1993

Key worαs:睡眠一覚醒リズム,Day−by−day plot法,養育環境,多相性睡眠,

     単相性睡眠

1.はじめに

 ヒトは乳幼児期には多相性睡眠を示すが,

発達にともなって睡眠一覚醒リズムが単相化 していくD.睡眠一覚醒リズムの確立にあたっ ては,家族の生活リズムや養育環境が及ぼす 影響は大きいといわれている2〕3)4).今回,

保育園の乳幼児を対象に夜間の睡眠状況と養 育環境との関連を検討したので報告する.

2.対象および方法

 N市内の2ケ所の保育園に通園する園児の 母親50名に対し,質問紙により日常の児の睡 眠状況,睡眠環境,周産期の児の状況および 出産前後の母親の生活状況などを調査した.

あわせて児,母親,父親の家庭での睡眠状況

を7日間連続してDay−by−day plot法で記録 することを依頼した.有効回答は39名,回収 率78%であった.対象児は男児25名,女児14 名,月齢は6〜28ケ月,平均18.8±5。9ケ月

であった.

3.結果および考察

 1)月齢別睡眠時間

 対象児の月齢を6ケ月毎に区切り,Day−by−

day plotの記録より,入眠時刻,覚醒時刻,

夜間睡眠時間の月齢による違いをみた.12ケ 月以降の児では入眠時刻,覚醒時刻ともに月 齢が進むにつれて遅くなる傾向がみられる

(図1).12ケ月以前の児では入眠時刻が遅く,

かっ夜間睡眠時間が短くなっているのは多相 性睡眠の名残りであり,睡眠が昼間の時問帯

長崎大学医療技術短期大学部看護学科 長崎大学医療技術短期大学部一般教育

一145一

(2)

宮下弘子他

入 眠

22;OO

21:00

20:0σ

覚 1材

醒8:00

時 刻

7:00

6:00

  ,パ「『薔一r

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      覚醒 6          1

      饅眠崇

6〜 12− 18 } 24削

  月齢

田夜  間 9総  睡  眠 B  時  問

図1 月齢別睡眠状況

にも分散しているためと思われる.

 2)睡眠状況

 対象児の睡眠状況にっいて,母親の主観的 な判断から目覚め,寝つき,眠りの良否にっ いて質問した.目覚め,寝っき,眠りのいず れも「よい」と答えたものは18名であり,す べての項目に「悪い」と答えたものが4名で あった.睡眠状況と養育環境との関連をみる にあたって「眠りの良否」を指標とした.そ して質問紙で眠りの様子が「よい」と答えた 22名を良眠群,それ以外の17名を非良眠群と して検討した.なお,良眠群の平均月齢は 18.6ケ月,非良眠群は19ケ月であった.

 3)良眠群と非良眠群の睡眠時間

 調査期間7日間の児の入眠時刻覚醒時刻,

夜間睡眠時間の平均はそれぞれ,良眠群20時 59分,6時53分,9時間40分,非良眠群21時

表1 新生児期の処置の有無と睡眠状況

人(%)

良 眠 群

N=22

非 良眠群

N=17

処置なし 19(86.4) 9(52.9)

処置あリ 3(13.6) 8(47.1)

P《o.05

20分,7時13分,9時間37分であり,両群と も睡眠時問はほぼ同じであった.良眠群は非 良眠群に比べ,入眠時刻,覚醒時刻ともに早

い傾向にあったが有意差はなかった。

 4)児の背景と睡眠状況

 児の背景と睡眠状況の関連を出生時体重と 新生児期の処置の有無とで検討した。出生時

の体重では両群ともほとんど差はみられなかっ たが,新生児期になんらかの処置を受けたも のが非良眠群に有意に多かった(表1).出 生後のある期間の環境周期の良否が睡眠や内 分泌機能などのサーカディアンリズムを規制 することが示唆されている5).今回の対象児 に行われていた処置としては,光線療法や保 育器収容などであるが,いずれも1〜2日間 のものであり,サーカディアンリズムに影響 を及ぼすほどの恒光環境であったとは考えに くい.環境要因以外の周産期の要因があるの かもしれないが,今回の調査では特定できな

かった.

 5)母親の背景と児の睡眠状況  (1)母親の身体的な背景と児の睡眠状況  妊娠中の睡眠状況の良否,妊娠経過,分娩

経過の異常の有無と児の睡眠状況の良否をみ た.妊娠中毒症や貧血など妊娠経過に問題の あるものが非良眠群に多い傾向がみられたが,

統計的な有意差はなかった.

 (2)母親の社会的な背景と児の睡眠状況  対象児の母親全員がフルタイム,パートタ

イム,交替勤務などさまざまな仕事を持って いたが,出産後の復職時期,就業形態の違い

・一146一

(3)

乳幼児の睡眠状況と養育環境

表2 良眠群と非良眠群の家族の睡眠状況

入眠嚇劃

表3 良眠群と非良眠群の保育園欠席状況

Nは出席廷べ日数

良 眠 屏

N躍22

葬 良 磯 群

 N謬17

良 眠 縛

N旨153

葬 良 眠 群

 N=118

児 20時59分± 9分 21時20分± 9分    鵯の都合による休圃

3日(1.96%》

10日(8.47%)

母 23時08分±18分 22時58分土12分     本人の病気による体■

9日(5.85%》

5日{4.24%)

父 23時36分±15分 23時16分士13分

P<0,01

覚醒時刻

}E A N±S E

良 眠 群

N霜22

非 良 眠 騨

 N=17

児 6時53分土 7分 7時14分士10分

母 6時20分±10分 6時43分± 7分

父 6麟54分± 8分 7時11分士14分

M E A N±S E

で児の睡眠状況に差はみられなかった.

 6)良眠群と非良眠群の家族の睡眠状況  児と父母との生活時間の違いと睡眠状況と の関連を調査期間中の児,父母の入眠,覚醒 時刻より検討した.児の入眠時刻は良眠群の ほうがが早かったのに対し,父母の入眠時刻 は良眠群のほうが遅い傾向にあった(表2).

このことは,児と父母の生活時間が一致する ことよりも,児の生活時間がまもられている ことの方が大切なのではないかと推察される.

 また,就寝環境と睡眠状況の関連を独立し た寝室の有無や就寝時の部屋の明りなどと検 討したが関連はみられなかった.

 7)良眠群と非良眠群の保育園欠席状況  児の生活リズムと夜間の睡眠状況の関連を みるために,調査期間中の児の保育園欠席日 数を延べ出席日数との比率で検討した.児の 病気のため休園する比率は両群ともあまり差

P<0,01

はみられないが,親の都合等で休園する比率 が非良眠群に有意に多かった(表3).親の 都合等による休園は,児の生活リズムを乱す

ことにっながり,夜間の睡眠状況に影響を与 えているのかもしれない.今回の調査は対象 者数が少ないが,児の生活リズムを保障する

ことが睡眠に対してよい影響を与えるのでは ないかということが示唆された.

 なお,本稿の要旨は第39回日本小児保健学 会で発表した.

文  献

1)N.KLEITMAN:SLE:EP AND WAKE−

 FULNESS,The University of Chicago  Press,Chicago,1963.

2)高橋清久,高橋康郎:サーカディアンリ  ズム,中外医学双書,東京,1980,pp54−

 58.

3)鳥居鎮夫編:睡眠の科学,朝倉書店,東  京,1990.

4)日浦恭一,橋本俊顕,宮尾益英:施設収  容児の睡眠の特徴,周産期医学,1983,

 13:2109−2113㎏

5)島田三恵子,高橋清久,松岡恵,瀬川昌  也,日暮眞,赤松洋:未熟児室退院児の  睡眠覚醒リズムの同調および保育環境と  の関連(第1報),小児保健研究,1993,

 52:500−506.

一147一

参照

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