長崎大学工学部研究報告 第29巻 第5
2
号 平成1
1年離散渦法 による単独翼か ら発生す る空力騒音の予測
33
佐 々木 壮 ‑ *・林 秀千人*
児 玉 好 雄 *
Pr e di c t i onofAe r odyna m i cNoi s eGe ne r a t e d f
romI ndi vi dua lBl a debyDi s c r e t eVo r t e xMe t hod
by
So u i c h iS AS AK I , Hi d e c h i t oHAYAS HI a n dYo s h i oKODAMA
Th edi s c r e t ef r e qu e n c ynoi s e( DFN)wh i c hi saki n dofa e r odyna m i cn oi s ei sc l os e l yc onn e c t e dwi t hK… a n vor t i c e st h a tf oml Sa tt het m il i nge dg ei nt ot h ewa ke. I nt hi spa p er , Wepr opos e dac onv e ni e n tme t hodt opr e di c tofDFN t ha tba s e dno tont h ee xp enme nt sbu tont hes i mpl enowc a l c ul a t i on,t ha ti s , di s c r e t ev or t e xme t ho d. Fr omt hi sme t h
od,t h ewa kec h a r a c t e r is t i c sa ndt h enuc t ua t i onsofc i r c ul a t i ona r ou ndt h ebodyc oul d
bec a lc ul a t e di ngoo da g r e e men tw it h e xpe r ime n t s . Th es ou r c edi s t r ibu t i onofDFNi sa lmos tga t h e r e dt ot h et r a i l i nge dg e, a L nda tt het hi c kbl a d ei ti se x t e n de d t odi r e c t i onoft h el e a di nge d g e.Th ep r e di c t i or LOft h eDFNus i n gt h ec a l c ul a t e da nds u gg e s t e dqu a nt it i e sma ke sa b ou t
±3 dBa c c u r a c y.
Ke y Wor ds:Ka rma nVor t e x, Ae r odyna mi cAc ous t
ic, Wa k e, Nume r ic a lAna l ys i s ,Bl a d e
1
.序論新エネルギーと して注 目を集めている風 力発電の試 作用 ブ レー ドによるテス ト(1)において ,高周波域 に極 めて高 い レベル を持つ離散周波数騒音
( DFN)
が確認 され問題視 されてい る.DFNは高 レイノルズ数領域 でカルマ ン渦 を発生す る際 に生 じる周期性騒音で ,後 流の変動現象 と密接 に関係す る. このDF
N の発生機 構 は ,工学的に興味深 い現象 として単独巽 を用いて数 多 く研究 されてお り,様 々な視点か ら物理 モデルが提 唱 されている.深野 ら(2)は ,軸流送風積 か ら発生す る 騒音解明 を目的 と して ,一様流 中の二次元平板か ら発 生す る騒音 と後流渦の関係 につ いて検討 を して きた.また ,秋下 ら
( 3)
は後縁 カ ッ ト巽 における音源面密度の 弦長方向分布 は ,後流渦騒音 に特徴的な後縁 に向かって急増す る傾向 を示 し,後流渦騒音の寄与 は乱流渦騒 音 よりも支配的であることを示 した.
しか し,従来の研究 は実験 による現象の把握 と騒音 に関係す る諸量の研究 が主 にな され,
Li ght hi l l ( 4 ) (
5)
やcur l e ( 6
)らの研究 に基づ いた音 に関す る代数方程式 に ,これ らの特性 を代人 して騒音 を予測す ることに終始 し ていた.一方 ,数値解析 による計算結果に基づいた空 力騒音の予測はかな り進歩 して きたが ,依然 として現 象の議論 が単純 な形状 に限 られてお り
( 7)
,その有効性 につ いて は乏 しい状 況 に あ る. これ までの研究 で ,DFN
の騒音予測理論 は音源 と考 え られ る物体表面上 の変動現象の範囲 を実験 で定義 した相互相関によって 確立 されつつ ある.今後は実機への応用 を考慮 し,数 値計算支援 による簡便な騒音予測法の開発 が必要であ平成
1 0
年1 0月 22
日受理'機械 システム工学科 (
De p a r t me ntofMe c ha ni c a lSys t e msEn g in e e r ing)
34 佐 々木壮一 ・林 秀千人 ・児玉 好堆
る.
本研究 は,単独業か ら発生す る空力鼻音 を設計段階 で簡便に見積 もるために,ポテンシャル流れの代表的 な計算法である離散渦法の シ ミュレーシ ョン結果 を用 いて騒音の予測 をす る.まず ,実際の現象 を把握す る ために風洞実巌で後流の性質 を詳細に調査 し,物体形 状 が後流形成の メカニズムに及ぼす影響 を考察す る.
次 に数値計算では,実鼓結果 を参考に して離散渦法に よる後流の近似 を行い ,実験 による測定が困難な物休 周 りの循環変動 と業弦長方向の圧力変動の分布 を求め る.また ,離散渦法による計算結果 を用いた単独糞か ら発生す るDFN の予測式 を導出 し,授業 した物理量 を用いて高精度に予測 が出来 ることを示す.
2,
主 な記号a
.:音速m/ s b
:スパ ン長 さ mmb l
R :後流の半値幅 mm c :業弦長 mmC
L
:揚力係数 D :#fS mmd p, . , B ( X)
:無次元圧力変動の二乗平均値 か● :代表寸法 mmf c
':
循環変動の無次元周波数fw' :後流の速度変動の無次元周波数 J。 :スパ ン方向相関長 さ mm
l s
:弦長方向相関長 さ mmp。:最小可聴音庄 pa
r
:音源 と戟測点の距離 mRe:
レイノルズ数S PL
.:音圧 レベル dB∫J:ス トローハル数
J
● :渦点 が放出 してか らの無次元時間U
. :主流速度n Js
〟 :主流方向速度
m/ s
u.
:速度欠陥m/ s
a, 〜
:最大速度欠陥n Js
〟'
:主流方向速度変動「 :物体周 りに配置 した渦点の無次元循環 rs:物体周 りの無次元循環
F s:
物体周 りの無次元循環変助の実効値㌔ :後流渦点の無次元循環
q:
渦 中心粘性核で:後流渦の減蓑パ ラメーター V .'動粘性係数
m 2 / S
3.
測定装置及び実験方法 3.1 実験装置図
1
は本実験で用いた風洞装置の測定部の概略図を 示 している.風洞装置は吸い込み式で ,主流の乱れ度は測定部 において0.5%以下 と小 さい.供 試 案 は幅 350mm高 さ350mmの ノズル出口か ら190mm下流 に取 り付 け られ ,230mmの幅 を持つ上板 と下板の間で押 さえられ る.流速の測定は
,
Ⅰ型熱線センサを使用 しトラバ ース装置により移動 させなが ら行 った. これに 基づいて後流の速度 u,速度変動 〟 を計測 した.餐音 の測定は,DFN の性質が双極子音源であることか ら, その指向性が最 も強いと考 えられ る翼弦方向に対 して 垂直方 向の ,後縁 か ら500mm離 れ た位置 で行 った.
なお ,本実験 における翼弦長
C
を基準 とした レイノ ル ズ 数 は ,U。 =19. 2m/
Sの と きRe
≒ 7.6× 104,Uo =2 7. 7
rn /
Sの ときRe ≒
1.1×105で ある.MIcrophe r I + unl t i J h M
Fi g. 1S c h e ma t icv i e wo ft e s ts e c t i o n
3.2 供託賞
図
2
は供試業の断面図 を示 したものである.使用 し た供試案は平板業 ( NFt y pe)
とくさび型震 (NW t yp e)
で ,全て翼弦長Cは6
0mm,スパ ン長 さbは230mmの 二次元業である.糞は両 タイプとも,巽厚Dが3mm, 6mm,12mm,24mmの 4種類で合計 8枚である.以 下 に お い て ,それ ぞれ 平 板 業 の甥 合 はNFO360, NFO660,NF1260,NF2460,くさび型糞ではNWO360, NW側 ,NW1260,NW2460と呼ぶ.いずれの業 も後 縁が垂直 に切断 されてお り,はく離点が後縁 に固定 さ れ る.また,流れの現象 を単純 にするために業の迎 え 角は Ooに限定 した.Fi g. 2Bl a d es e c t i o n
離散渦法による単独業か ら発生す る重力巌音の予測
3.3
離散渦法離散渦法 は差分法や有限要素法等 と比べて計算手順 が比較的簡単で あるとい う利点 を有 し,高 レイノルズ 数 における種 々の物体周 りの計算でかなりの成功 を収 めている
( 8×9)
図
3
には離散渦 法 による渦点 の分布 が示 され て い る.複素平面上 において ,一様流 中に置かれた物体表 面上 にN個の渦点 rJを分布 させて物体 を近似す る・は く離点での渦の導入については諸説 がある
( 1 0)
. ここ では ,物体表面上 にある渦 は境界層の強 さを近似 して いるもの と考 え,は く離せん断層 は この境界層か らは がれ たの もので あることか ら,図3
に示す後縁A,ち
の渦 がその まま後流 に放出 され るもの と仮定す る.後 縁A,Bか ら放 出 され るは く離渦 よ り成 る後流 をそれ ぞれm個の渦点rw, L L
,rWB
丘の列で表す.この時 ,流れ 場の複素 ポテンシャルW( Z)
は式(1)
で与 えられ る..
〟
W' Z '‑Uか
妄言 rJog
'Z‑zj'.
1 ■
'妄
言 t r‑ l og( Z I Z ‑ ) 'r
帆dog( I ‑I‑ )
I(1) 式(1)を基に ,物体表面上の渦点 rlは ,流れが物体 に 沿 う条件 とKel vi n
の定理 か ら連立一次方程式 を解 くことで求め る.
後流の放出渦の時間変化 を追跡す るための時間間隔
dt
は ,一周期 中に含 まれ る渦点の数N w
とタイムステップ
mt
を定義 して ,式( 2)
で与 えた.dt
‑意志 / m , ( 2 ,
ここで,S
,はス トローハル数でS , =0・ 2
‑定 と した.今 回 はパ ラメ トリックに検討 を した結果,N w =40,mt =2
の条件 を採用す ることに した.1.0
0
9‑
1. 0
;ゝ、
0
‑1.0
I l
lNF1
, j26 C 0 f ‑
l; S r J n
…! . q + t , t k.
J* . I . . 5 。 . ' ▲ '
ー1.0
0
1.02. 0 3. 0
x/ D
Fi g. 3 Di s t r ibu t i onofdi s c r e t evor t e xpoi nt s bydi s c r e t ev or t e xme t hod
3 5
図
3
で示 され る後流 を近似す る渦点 r…
,rub
.は , 旋回速度の大 きさが渦の 中心か らの距離 に反比例す る自由渦であり,放出渦の相互の距離 が近擦す ると非現 実的 な速度 が誘起 され ることになる. ここでは流体の 粘性 に よる渦の拡散効果 を考慮 して ,式
( 3)
の様 に旋 回速度 を定義 した.Y。‑
去 ry ( r y ,o)
ve
‑嘉ry ( r y<O)
( 3)
ここで,r
w
は後流渦の循環強 さ.rv
は渦の 中心か ら の半径,
Jは渦 中心粘性核 を表す.
Jは文献(8)
を参考 に して ,動粘性係数V
,渦点が放出 されてか らの無.次 元時間 J・の関数 と して ,6‑0 . 2 4
巾 与 えることにした.
渦放出モデル を計算する場合 ,一般 に物体 に作用す る流体力は実験値 に比べて大 きくなる. これはは く離 点か ら発生 した渦点の循環が減蓑無 しで後流へ流れ去
るの に対 し.実際 は後涜 中で乱れや粘性 などの影響で , 渦度 が減衰す るためであると考 えられてい る.本報 に お いて も,この渦度 の減衰 を考慮 す るために ,文献
( 9)
で提案 されてい る式( 4)
で表 され る減衰渦 モデル を 用いて計算す る.ry‑r w e x p ( ) ( 4 )
ここで,Tは減衰率 を決定す るパ ラメーターで ある.
ここで は文献
( 9)
を参考 に ,渦の減衰パ ラメーターをT= 1 3. 5 D/ U.
と与 えることに した.4.
実験結果及び考察4.1
風洞実験4.1.1 DFNの測定 と音圧 レベルの補正
図
4
には平板巽の音圧 レベルS PL
の スペ ク トル分 布 が示 されてい る.BGN
は風洞の暗騒音である. こ の時の主流速度 は27. 7 m/
Sで レイノルズ数 は巽弦長C
を基準 と してRe =1 1 0 00 0
であ り,流れの状態 は層流 か ら乱流へ変化す る遷移領域 となっている.この時風 洞内の音響の反射や干渉の影響 は補正 されていない.いず れの巽 も明確 な音圧 レベルの ピー ク値 が現 れ ,
DF
Nの存在 を示 している.図
1
に示 され る測定部は ,吸 い込み式風洞であるた めに四方 をアク リル板 で取 り囲 まれている.そのため , 風洞 内部で複雑な音響の反射 が生 じてお り.騒音計で 測定 を しただけでは実測値の正確な評価 は難 しい.そ36
1 00 90
Cq
; 80 70 60
佐々木壮一 ・林 秀千人 ・児玉 好雄
Fi g.4 Sp ec t r um di s t r ibu t i onoft hea e r o dyn a m ic noi s ef ore a c hbl a de
こで今回は ,風洞内 と屋外で音響出力の等 しいホワイ トノイズ をスピーカーか ら発生 させ ,各々の関係 か ら 全周波数帯域 に渡 って最小二乗法により音圧 レベル を 補正 した. この調査で ,音響の共鳴や干渉の影響 は最 大で約
1 5 d B
程であ り,これが実測値 と実際の値 との 間の誤差 となっていることが分かった.図
5
は ,平板美の主流速度 Uoと最小二乗法 による 補正後のDF
Nの音圧 レベルSPLの関係 を示 した もの
である.図中の実線 は ,音圧 レベルが主流速度の6
乗 に比例 す る と仮 定 した と きの 関係 で あ る.一般 に , DFNの音圧 レベル は双極子型音源で あ り,主流速度 の6
乗 に比例す るとい う特徴 を有 している.騒音の ピ ークの値 は実線 と良い相関関係にあり,廉音 が主流速 度の6
乗 に比例す ること,す なわち音源 は双極子型で あることが分 か る. また,最小二乗法の線形補正 よっ て実線 と良い相関が得 られていることか ら,今回の補 正が有効である事 を裏付 けている.そこで ,実測値 として用いる全騒音データに対 して同様の補正 を行 い共 鳴や干渉の影響 を取 り除いた.
9 0
■●
p
O宅
807 0
l
I
l l l lllO N
FO3 6 0
△ N
FO66 0
‑ sp
L∝t l P l r l
l lll
1 0 1 uom/ s 1 02
Fi g.5 Re l a t i ons hi pb e t we e nm i nf low v e l oc i t y a mds ou ndpr e s s ur el e v e l
4.1. 2
後流特性図
6
に,
Ⅰ型熱線 センサによ り測定 した平板糞 とく さび型業の後流近傍の主流方向速度変動u'
の等高線 を示す.いずれの業形状 も,
xID≒1 . 0
付近で変動値 が 最大 とな る島状 の分布 が ,上下対称 の形 でy =
0の位置 を中心 として見 られ る. これは ,渦 が物体後方 に発 生す ることによる後流の乱れである.この時 ,速度変 動の最大値 は
〟 か ≒1 . 0
の位置で平板業の方 が くさび 型業 よりも高 い. これは,たとえ翼厚が同 じで も業形 状 が異 なれば ,後流 に違 いが生 じることを示 して い る.0.5
ミ 0
‑0.5
‑ 1
‑1 ‑
0
.50 0. 5 1 1 . 5 x / D
( a)NFt ype
ー 1 ‑ 0. 5 0 0. 5 1 1. 5 x / D
O) )NW t yp e
Fi g. 6Cont ou r ma poft h ev el oc i t yf luc t ua t i onsi nt hewa ke
図
7
は ,後流の速度分布 か ら求めた後流のせん力の 分布 を示 した もので ある.x=1.OD以下の比較 的物体 に近い位置のせん断力は,y/ D ≒0. 5
付近で くさび型巽 の方が強い. これは くさび型業の場合 ,後縁角部の流 れ は物体 に沿 って放出す るために外側 に向かっている が ,後縁直後か ら後流へ向か う流れの向 きが主流の影 響で内側へ押 さえられ る事 によると考 えられ る.離散渦法による単独累か ら発生す る重 力騒音の予測
3 7
1. 0 0. 8 Zo. 6 i
‑a0.4ヨ.
0. 2
0l
l
U
o
=27.7m/ S
l‑一一・ . NF ( l x = 0. 5 D)
D=6mmO
NF( x=
1.OD) C=60mm一 一 〇
一 NF¢=1.5D)+
NW (x=0.5D)一 一 ■
ト NW (x=1.OD) + NW¢三
1.5D)o o・ 2 0 ・ 4 y/ D O・ 6 0・ 8
1・OFi g. 7Di s t r ibu t i o no fi n t e n s i t yf o rs h a r e i n gf o r c e
i nt h ewa k e
図
8
は後流の半値幅b . J
2の弦長方向の分布 を示 して いる.半値幅の値 は ,くさび型某の方 が平板某 よ りも 小 さい. これは前述の現象 と同様 に ,くさび型業の場 合 は主流 との混合 による強いせん力の影響 で ,幅の狭 い速度分布 が表われた ことに対応す る. また ,その巽 弦方向の分布 は ,異後縁直後 か らx/ D<1. 0
とx/ D>1. 0
との領域 に分 け られ る.
〟か<1. 0
の部分 は後縁角か ら は く離せん断層 が発達 をす る部分で あ り,〟か>1. 0
は 両せん断層が互いに干渉 し後流 を形成す る領域 を示す ものである.また図は省略 したが,その変化が生 じる 翼弦方向の位置 は ,主流方向速度 〟及び速度変動〟'
の分布 か ら求めた後方 よどみ点の位置 と一致 した.O
NFO660 I‑A‑ NF1260
+
NW O660 Uo=27.7m/ S
「▲‑
NWl260
l C=60mm0
1.02. 0
r / D
Fi g. 8Di s t r ib u t i o no fh a lfwi d t hi nt hewa k e
図
9
に後方 よ どみ点 にお ける速度 欠陥の分布 を示 す.速度欠陥の分布 は相似則 が成立すれば ,式( 5)
として表 され る.
一
一 牡 =e x p ト 0・ 693( 2 y / b l a ) 2 1
〟 h
( 5 )
今回の実巌結果で ,速度欠陥の分布 が遠距離場の後流 だけでな く,後方 よどみ点の位置か ら相似 になること
1
w t
nJt㌔ 5
ー 2. 0 ‑ 1 . 0
Oy/ b 1 / 2
1 . 0 2 . 0 Fi g. 9Ve l o c i t yd e f e c ta t t h er e a rs t a g n a t i o np o l n t
i nt h ewa k e
が明 らかになった. また ,同位置での半値幅の
2
倍の 値2b 1 ,
2は ,死水領域 の境界 に形成 され るせん断層 が 最 も発達 し後流渦 を形成す る所で ,拡散が始 まってい ない状態の速度分布の幅である. この ことよ り,後方 よどみ点での2b l
/2は最 も発達 した後流渦 の広 が りを 代表す る最適 な値 であると考 えられ る.4.2
数値 実験4.2.1
離散渦法による後流特性図
1 0
は ,離散渦法において後流 中に放出す る渦点の 初期導入位置 を示 している.渦点の空間的な導入位置 につ いての定説 はな く,試験的計算結果 を吟味 しなが ら妥当な値 を見つ ける必要がある. ここでは特に ,く さび型巽の渦放出位置 について ,図 中の後縁 か ら物体 に沿 って放 出す る条件( a
),後縁 か ら水平 に放 出す る 条件( b)
,後縁 か ら内側 に向かって放 出す る条件( C)
お よび( d)
の4
つ を設定 した.各条件 におけるB
点 を基 準 とした渦点の導入位置は ,表1
に示す通 りである.N Ft y p e 0 .5 D N W t yp e
\
YJ f
∴Fi g. 1 0Co n d i t i ono fi n i t i a lv o r t e xi n t r o du c t i o n Ta b l e
1.P o s i t i o no fi n i t i a lv o r t e xi n t r o d u c t i o n
Co n d i t i o n X ツ ( a ー 0. 05 か I( 0 . 5 D/ C)
仲)
0. 05 か 0. 0
r c ) 0. 05 D ‑ I( 0 . 5 D/ C)
I..∫
) ) )
負Ub C JnU
1日■tHhHJJl r rHI H n=1 日
3 8
佐 々木壮一 ・林 秀千人 ・児玉 好雄図11は震周 りの循環変動のスペク トル分布 を示 した ものである. ここで ,循環変動の値 は物体周 りに配置 した渦点の循環の総和 を各時刻 につ いて とってい る.
スペ ク トル解析 は最大 エ ン トロピー法 を用いてお り, 縦軸の dr
ME
uは循環の変動値 に相 当す る.平板業 は( b)
の条件 で安定 した渦 を放 出す る. く さび型業 は ,( a)
と( b)
の条件では ,後流 に放出す る渦 が不規則 になり卓越 した ピーク周波 数 が見 られ ない. しか し
,( C)
の条件では後流 に放出す る渦の規則性 が安定 し,それ よりも内側 に初期渦 を斗人 した場合 も周期性 は保 たれ る.そ こで ,初期渦導入位置 は本実験の結果か ら条件( 也)
を適用す ることに した.Fi g.ll Spect r um di s t r i but i onofci r cul a t i on f L uc t ua t i onsf ort h ee a c hc ondi t i ons
図1
2
に は ,実験値 の後流速度 変動 の無次元周波数 fJ と離散渦 法の物体周 りの循環変動 の無次元周波数 fc'の比較 が示 され てい る.美浜値 と計募債 の変動周 波数 は ,物体形状 に依 らず非常によ く一致す る. これ は ,離散渦法が流れの非定常現象 を良好 に再現 し,大 規模 な計算 を行 うことな く単純 な形状の変動流れの周 波数 を算定で きる事 を裏付 けている.0 0 0
04 3 2
1. A /D 3
J‑3. I
L
l
● ■NF
t y pe
l lJ ■ NW t y p e iC=60mm
1・ Of 2 W ・ 0 =/ W 3 8uo 4・ 0 5・ 0 Fi g.1 2 Compa r is o nbt we e nme a s u r e df r e qu e nc y
a ndc ompu t a t i ona lf r e qu e n c y
図1
3
は ,糞序Dが6mmの業の後流の半値幅b 1 ,
2の弦I 一〇‑NFO660(EXp.)
‑D‑NWO660(
Ex p. )
+ NFO660(
Comp. )
‑ NWO660(
Comp. )
Uo =2 7 . 7 r r ds
C=60mmI D=6mm
0 1. 0 2. 0 x/ D
Fi g.1 3 Comp a r is ont Xt w e c ne xp e r ime n t a lha l fwi dt h a nd c ompu t a t i ona lh a lfw id t h
長方向の分布 を示 したものである.図中の白抜 き記号 は実簾値の値 を,黒塗 り記号 は離散渦法 による数値実 巌の結果 を示 している.離散渦法の後流 は ,実点 の着 果 と同様 に ,平板真の半値編 が くさび型真 よりも大 き
く後流渦の特赦 を再現 している. これは ,渦点の導入 位置 を翼厚 よ りも内側に設定 した事で ,強いせん断層 の存在 を近似 したため と考 えられ る. また,AD≒
1 . 0
の位置 を境 にその分布 が変化 してお り,は く離せん断 層の発達 と後流の形成の関係 も再現 している.4.2.2
物体周 りの循環図1
4
は翼厚Dが3mmと6mmの平板真の周 りの循環 変動 を示 した ものである. ここで循環 rs
の値 は ,物 体上 に配置 した渦点の稔和 を各時刻 について とってい る.菓周 りの循環 は周期的に変動 してお り,物体 に揚 力変動 が生 じている様子 を示 している. また ,翼厚が 大 きくなる程周期が長 く振幅の大 きな変動 となってい る. これ よ り,後流渦 と同様 に大 きな強 い循環 が物体 周 りに形成 されていることが分かる. この循環の変動 値 が適切 な値 として取 り扱 うことがで きるな らば ,潔 野 らの予測で必要 とした速度変動の実駿値 を用いるこ とな く,物体周 りの循環 を用いた予測モデル を適用す ることが可能 になる.0. 2 0
w l 0. 2 L o. 2 0
‑ 0. 2
] l l l
NFO360l l
l l
0 1 . 0 2. 0 3. 0 4. 0 5. 0
J
Fi g.1 4 Fluc t ua t i onsofc i r c ul a t i ona r oundf l a tpl a t e
離散渦法による単独業か ら発生す る重力寮音の予測
図1
5
には物体周 りの循環変動の実効値Fs
の美厚比 による変化 が示 されている.図 中の白抜 き記号 は ,文 献( 2)
の後流渦 の特性 を用 いた実験 的 な近似式 による 平板某の循環変動量の括乗 を示 している.平板業の循 環 は ,くさび型糞 よりも大 きく見積 もられ る傾向 を示 す. しか し,平板美の近似式 による循環値 は離散渦法 の値 よりも大 きく見額 もられ る.実際 ,この近似式 を 用いた最終 的な鼻音の予測では ,予測値の音圧 レベル が実測値 よ りも高 く見積 もられ る.今回の離散渦法 に よる循環 は ,渦粘性の効果 と満点の移動 に伴 う減衰効 果 を考慮 したために ,近似式の値 より実際 に近い と推 定 され る.l l
1〇‑Re f . ( 2)
l Uo
=27.l7m/ S
+ NFtyp e
C =60mm
0 0. 1 0
.20
.3 0.40. 5
D/CFi g.1 5 Re l a t i ons hi pb e t we e nt h et hi c knes sr a t i oa ndt he nu c t ua t i onsofc i r c u一 a t i on
4. 2. 3
弦長方向相関長 さ図1
6
は物体表面上の各点 における圧力変動の時間に 関す る二乗平均値d p Ⅶ ( I)
の分布 を示 した ものである.全ての巽で後縁の圧力変動 が最大にな り,前縁 に向か ってその値 が急激 に小 さくなってい く傾向 を示す. ま た ,巽厚比D/Cが大 きくなる程圧力変動分布 が前方 へ広 がってい る. これ は秋下 ら
( 3)
が指摘 した よ うに , 音源面密度が後縁付近で急増 し後流の幅 と共 に増加す(x
)su JJ d p
l
D / C
NFNW I
l0. 0
5 ++
0 .1
0 ++
0 . 2
0 + +0 . 4
0 ‑‑●一一一O‑
̲ 1 ‑ 0
.50
∬/ C
Fi g.1 6 Di s t r ibu t i onofp r e s s u
renuc t ua t i onsont hebl a de s u r f a ce
39
る傾向 と一致す る.す なわち ,音源 は某後縁 に集 中 し ているが ,震坪比 が大 きくなると弦長方向に多少の分 布 をもっていることを示す ものである.
ここで ,後述の鼻音予測式 において分布音源 を考慮 した弦長方向相 関長 さLsとして ,式
( 6)
を操業す る.L・‑恕
( 句
ここで
L s
,は音響学的考察 に基づ く弦長方 向相関長 さ で ,深野 らはC>九/ 4
な らばE s , =九/ 4 ,C<九/ 4
な らばL s F C2 / ( ル4)
と定義 している.式( 6)
は ,前述の圧力変動 値d
pr ms ( x)
を重み関数 として用 いることで ,流力的考 察 に基づ く音源の分布 を考慮 したものである.この モ デル を用いることで ,弦長方向に音源の分布 を考慮 し た鼻音予測が可能 と考 えられ る.4.3
尊書予測図
1 7
は阜音発生の耗念図で ある.DFNは物体周 り の循環変動 によって生 じる物体表面上の各点の圧力変 動 が音源 となり,その音源は後縁側 に集 中 しているも ののある分布 を持 っている. また ,某厚比が大 きくな ると物体周 りに強い循環 を生 じるために,弦長方向の 圧力変動の範囲が広 がる. これ らの変動現象は ,確 か に後流渦の放出 と密接 に関係 しているが ,音源は物体 表面上の流れの圧力蜜動 によるものである.深野 らは, 物体周 りの循環 が後縁 か ら放出 され る渦の循環 と等価 であると して ,騒音の予測式 を実験 的に定めている.しか し,これは後流渦の循環の見積 もりに単純 な仮定 を していること,実巌 的に求め る諸星 を含むこと,ま た物体表面の音源分布 を考慮 しないなど不完全な点 も 残 っている.
dp (XI
Fi g. 1 7 Mo de loft heDNFs our c ef ort hep l a t e
本研究では,実験では得 ることが困難であった物体 周 りの流れの諸星 を離散渦法によって算定す ることが40 佐々木壮一 ・林 秀千人 ・児玉 好堆
可能 となった.これ らの値 を用いることで実験的な近 似や誤差 を最小限にとどめた,より高精度 な予測がで きると考 えられる.以下の患音予測では,離散渦法に より得 られ る糞周 りの循環変動 r
s
を後流渦の循環の代わ りに直接用 いる. また ,弦長方 向相 関長 さ Lsに は式
( 6)
によって算出 され る音源の分布 を考慮 した値 杏,変助周波数fは物体周 りの循環の時間変動 を周波 数分析 した値 を用 い ,スパ ン方向相関長 さ L,のみ実 淵値 を用いる.sha r l a nd(
ll)は ,後縁 か ら放出す る渦 によって発生す る音響パ ワーの予測式 として式( 7 )
を捷実 している.wD‑
意
J‑ L ・ U /' Z ' S c d z
(7)ここでpoは空気密度
,a
。は音速である. また,s
iは 相 関面積であ り,スパ ン方向相関長 さL p
と弦長方向 相関長 さ Isの横で表 され る. これは音源 とな る圧 力 変軌 こ一定の範囲 をとり,この範囲外 をsc =
0 とす る もので ある.C上 ( I )
は揚 力の時間変化で ,式( 8)
を表 し ている.CL ( 1 ) = 2 r. s
in ( ot++ )
U. C ( 8)
r
s
は物体周 りの循環変動の振幅で ある.物体周 りの 循環変動 を実効値 で表 す と,揚 力の時 間平均値 は式( 9)
で与 えられる.[ 署 】 2 ‑ . 6 J P ( 去 ) ( 9,
双康子型の音 は流れ と直角方向で最大値 p2m とな り, 音響パ ワーとp
2
.naxの関係 は式( 1 0)
で与 えられ る.W
‑号忘 p'‑ ( 1 0,
ここで
,
Tは音源か ら槻測点 までの距離である.また 定義により,音圧 レベルSPLは式 ( l l )
で表 される.SPL = 1 01 0g . 0 ( P T J P. ) ( ll )
p
.は最小可聴音圧で2 . 0×
10・ 5 Pa
である.式( 7 ) 〜( l l )
より,r点での発生者の音圧 レベルは,式
( 12)
で表 され る事になる.SPL= 1 0 1 0 g 1 . 1 三p o a F o J P r d T . e U . 向 ( 1 2,
図
1 8
は巌音の音圧 レベルの予測値 を,実験値 と比較 したものである.横軸は風洞試巌によって得 られた音 圧 レベルの実測値 を,縦軸 は予測値 を示 している.図 中の○ は深野 らの予測値 を,● と雷は式( 1 2)
にる予測 値 をそれ ぞれ示 してお り,この時の主流速度 机 は ,1 9. 2 m/
S,2 7. 7 m
/S,および45. 0 m/
Sで ある.図中の各点 は,異なる糞厚比で予測 を行 った篇乗である.数値解 析の予測値 は業形状 と主流速度 によらずほぼ±3dBの 誤差で予測す ることがで き,深野 らの と比較 して精度 の向上が図 られている.1(p973!p91d)tip
T J S 00
卯8U○M
C Z N )C F ● ■C N Q W A
P..L71 ○
● ■
60
7 0 8 0 9 0
SPL dB ( me a s ur e d)
1
00Fi g. 1 8 Re l a t i ons hi pbe t we e nme s u r e dSPLa n d pr e di c t e dSPL
5.
結論後縁 が切 り立 った物休 を通過す る流れの特性 と
DFN
音源の関係について ,風洞実巌 と離散渦法による数値 計算 を行 い ,以下の結論 を得 た.(1
)後流渦の形成 は ,物体形状 に依存 した後流のせ ん断層の強 さによって影響 を受 けることを実験的に 明 らかに した.(2
)後方 よどみ点 における後流の半値幅の2
倍の値 は,物体形状の差異に依 らず後流渦の大 きさを表す ことがで きる.(3
)離散渦法による流れの数値解析 において ,循環 変動量 と変勤周波数の物体形状の違いに依 る傾向を 再現す ることが出来た.(4
)物体表面上の圧力分布 は後縁で最 も大 きく,そ離散渦法による単独実か ら発生す る空力騒音の予測
の弦長方向の広 が りと大 きさともに巽厚比 に依存 し た分布 を持つ. これが離散周波数廉音の弦長方向成 分の音源 と考 えられ る.
(5
)離散渦法 による解析手法 と今 回提案 した音源の 分布 を考慮 した鼻音予測 は ,約±3dB
の精度 で騒 音を予測す ることがで きた.
参 考 文 献
1)二井 ・五反田,小型風 力 ター ビンの空力離散周波 数騒音の周波数 と音源位置
,1 998
環境工学総合 シン ポジウム詩論,No. 98‑ 6,11 5,pp. 9 4‑ 9 6
2
)深野 ・ほか3
名 ,一様流 中に沿 って置かれた平板 巽 か ら発生す る離散周波数鼻音 に関す る研究 ,概論 ,51 ‑ 46 8 ,B(
昭00‑ 8),p p. 2505 ‑ 251 2
3
)秋下 ・他2
名 ,後流 うず廉音 と某面圧力変動の相 関について ,概論 ,441 3 87
(昭53111 ),p p. 3797
‑3 805 4) M . J . Li gh t h i
ll ,Ons ou ndGe ne r a t e dAe r o dyna m iC a ll y
I .Ge n e r a lThe o
ry,Pr o c.oft h eRoya lSo c.A211 ( 1 951 )
,41
pp. 564
5)M. I . Li gh t h i
ll ,Ons ou ndGe n e r a t e dAe r o dyna m iC a ll y I
I. P t o c. Roya lSoc. , A222( 1 95 4) , pp.1
6)N. Cu r
le ,Pr o c. oft h eRoy a lSoc . ,A231 ( 1 955 ) , pp. 5 05
7)稲室 ・葉山 , 3次元cFD
解析 による円柱 エオルス音の予測について
,1 9 98
環境工学 シンポジウム謙 論,No. 9 8‑ 6 ( 1 9 98),pp. 43‑ 4 6
8)
坂田 ・他2
名 ,うず放出モデル を用いたは く離 を 伴 う非定常流れの‑解法 (第一報 ,単独正方形注 ま わ りの流れ),概論,49‑ 440(
昭58‑4),pp. 801 ‑ 807
9)稲室 ・足立 ,うず放出モデル を用 いたは く離 を伴う非定常流れの‑解法(第二報 ,単独円柱 まわ りの 流れ),概論