氏名・(本籍)
学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位論文題目 論文審査委員
西 田 修 徳(群馬県)
工 学 博 士
工博甲第 1 号 昭和55年8月 7 日 学位規則第7条第1項該当
不均一不純物分布をもつMOS構造の電気的特性の研究
(委員霞)山本達夫
教 授 山田祥二 教 授 松本欣二 助教授 助川徳三 助教授 安藤隆男 教 授 藤安 洋
論文内容の要 旨
緒 呂
イオン注入技術はMOS素子製作技術として広範囲に利用されており,近年の超大規模集積回路 の開発に不可欠な半導体素子製作技術としての地位を確保している。イオン注入技術のMOS素子 製作の代表的な応用はチャネルドープによるMOS型電界効果トランジスタのしきい値電圧の詭整 である。チャネル部にイオン注入したMOS素子の電気的特性の解析は,一般に不均一不純物分布 をもつMOS構造の問題として取り扱われている。この場合,理論解析の困難さは基本的にはMCS 構造の半導体表面近傍でのポテンシャル分布を求めなければならないことにある。不均一不純物分 布の場合,一般解を容易に得ることができないので,適当な境界条件のもとで電子計算機を用いる ことによって始めて数値解を得ることができる。しかしながら,このような方法は実用上簡便に利 用できないと言う欠点がある。
MOS型電界効果トランジスタの電気的特性に及ぼすイオン注入効果についての実験および理論解 析は,主にしきい値電圧を代表とする強反転特性について行なわれてきた。この場合,提出され亡 理論解析は特定のパラメータに限定してかなり断片的に行なわれ,その都度適当な廃析モデルを用
いて行なわれてきているのが実状である。また,弱反転領域におけるイオン注入の電気的特性に及 ぼす効果についての解析はほとんど末検討である。従って,現在MOS素子の強反転特性,弱反転 特性に及ぼすイオン注入効果を総合的に解析し得る簡便な理論解析法を提案することが非常に重要
な課題となってきている。この場合,しきい値電圧に関しては物理的に意味のある定義を行なわな ければならない。これらの要求を満たすのが本研究の目的である。
解析モデルは電荷の準中性条件が成立していると言う仮定のもとで,空乏層近似に基づき,空乏
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層幅を明確に定義して不純物の不均一性から生ずる空乏層端での電界および拡散ポテンシャルと,
空乏層近似の限界の1つである空乏層端近傍での多数担体の電荷交換に関係した電圧とを考慮して いる。半導体容量は微分容量で定義し,強反転開始電圧として半導体の表面ポテンシャルがバルク のポテンシャルと空乏層端でのポテンシャルとの和で定義した。また,しきい値電圧は強反転開始 電圧に相当するゲート電圧として定義した。
実験に用いた試料は<100>面方位をもつP型シリコン単結晶にゲート酸化膜を通して3lpイオ ンを加速電圧100keV,ドーズ量をパラメータにして注入したものである。ここで提出した解析モ デルの有効性を論ずるのに重要なデバイス定数であるゲート酸化膜厚,不純物分布,界面準位密度 の測定に際して,充分な測定精度を得るために細心の注意を払った。理論解析結果と比較するため に求めた実験結果は,MOSダイオードについては容量一電圧特性の注入量依存,MOS型電界効果 トランジスタについてはしきい値電圧の注入量依存,基板バイアス効果,温度依存,弱反転領域の 電圧一電流特性の逆傾斜係数の注入量依存,基板バイアス効果である。求めた実験結果を要約する
と次の通りである。
i)容量一電圧特性の注入量依存:最小容量はイオン注入量とともに減少し,しかも同一表面ポテ ンシャルでの容量,ゲート電圧は注入量とともに減少する。
迫)しきい値電圧の注入量依存‥しきい値電圧はイオン注入量とともに負方向に移動し,その変動 量は主に最大空乏層幅の変化による空乏層内の正味の電荷量の変化によって支配される。
由)しきい値電圧の基坂バイアス効果:基板バイスアが充分大きい領域でのしきい値電圧の基板バ イアス依存はイオン注入を行なっていない場合のそれに近づく。しかしながら,基板ベイ7スが 小さくなるとしきい値電圧の基板バイアス存在は注入量によって大きな相違を示す。即ち,しき い値電圧と強反転開始での表面ポテンシャルの平方根との関係は注入量とともに非線形になり,
その依存性は弱くなる。
i\r)しきい値電圧の温度依存‥しきい値電圧は注入量に関係なく温度に対して減少関数となる。し かしながら,その温度依存は注入量とともに小さくなく。
日 通傾斜係数の注入量依存‥logん5−VGg曲線は注入量とともにVGg軸の負方向に移動し,同 時に逆傾斜係数は小さくなる。
\▼i)逆傾斜係数の基阪バイアス効果‥基板ノミイアスが充分大きい領域では,逆傾斜係数の基板バイ アス依存はイオン注入を行なっていない場合のそれに近づく。しかしながら,基板バイアスが小 さくなると注入量によって大きな相違が生じ,逆傾斜係数の基板バイアス依存は注入量とともに 小さくなる。
不純物分布が電荷の準中性条件を満たしている限りでは,以上求めた実験結果と廟析モデルから 得た理論結果とは良く一致した。このことから強反転開始電圧,しきい値電圧の定義も含めて提出
した解析モデルが有効であると結論づけることができる。
本研究ではゲート電極下の半導体表面近傍に基坂と異型の不純物を導入した場合について論じた が,同型の不純物を導入した場合についても本研究で提出した解析モデルが有効であることは言う
までもない。
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