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ドイツにおける廃棄物政策と循環型経済構想

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Title

ドイツにおける廃棄物政策と循環型経済構想

Author(s)

小野, 隆弘

Citation

長崎大学教養部紀要. 人文科学篇. 1996, 37(1), p.17-38

Issue Date

1996-07-31

URL

http://hdl.handle.net/10069/15362

Right

http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp

(2)

ドイツにおける廃棄物政策と循環型経済構想

小野隆弘

Abfallpolitik und Kreislaufwirtschaft in Deutschland

Takahiro ONO I.現代産業社会における廃棄物問題とリサイクルの課題 (1)環境問題とゴミ問題 (2) 「リサイクル」と「循環」 Ⅱ.ドイツにおけるゴミ問題の現状と法制度の展開 (1)廃棄物バランスシート (2)廃棄物管理における法制度の展開 Ⅲ.循環型経済システムの制度デザイン Ⅳ.循環型経済にむけての公共政策:経済的手法の組み込み (1)廃棄物管理の政策デザイン (2)フアーバー/シュテファン/ミビヤエリスの排出課徴金と直接規制の連結案 (3)事業者責任と費用負担ルール:日独比較の試み I.場代産業社会における廃棄物問題とリサイクルの課題 (1)環境間最とゴミ間罷 現在、ゴミ1)問題は産業社会の最も緊急の課題のひとつに挙げられよう。しかも、 それは産業社会の経済的失敗ゆえにというよりは、まさに成功ゆえの逆説的帰結と でもいえるものである。市場的産業社会は膨大な物質的豊かさをもたらしたが、生 産物が消費された以後、モノが廃棄される過程は経済システムの観察対象にあがる ことは従来ほとんどなかった。産業化としての経済活動は、有価な資源・原料から 不要となった廃棄物を排出する一連の過程ともいえるが、ゴミをはじめから生産の 目的にする人はいないのであって、本来は生産物そのものであったものがゴミとし てでてくる。ゴミとして廃棄されたものが、自然生態系の物質循環の枠内で自然に

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浄化される範囲であれば、不要物も物質として循環し、環境破壊につながることは ないが、廃棄が自然環境の限界にぶつかり、環境が無際限に利用できる自由財では なくなってしまえば、何らかの社会的なゴミ処理システムを組み込まなければなら ない。 環境が自由財として、誰もが無料で利用できる財ではなくなり、環境の有限性が 自覚されたとしても、ゴミ処理が市場システムに委ねられ、有料のゴミ処理システ ムが導入されたわけではない。まず、ゴミは自治体が無料で回収し、公共サービス として処理してきた。それは、ゴミ処理サービスが、市場の失敗、公共財として把 握され、排除不可能で、共同消費のために市場機能には適合しないと理解されてき たからである。政府が廃棄処理をおこない、社会的には実際に費用負担がかかって いるとしても、個々の主体は直接には何ら支払うことなく、利用できる限り、この 社会的費用は意識されないために、個々人にはゴミの排出を抑制し、減量しようと するインセンテイヴは働かなくなる。 この廃棄過程の忘却に人類が深刻になるのは、戦後、大量生産と大量消費のマク ロ的回路が確立し、未曾有の高度成長が達成され、結果として大量廃棄がゴミ問題 として社会問題になることによってであった。まず、量的な問題としては、ゴミの 急増に対してゴミ処理能力が追いつかず、ゴミ焼却施設やゴミの最終処分場である 埋め立て地の逼迫に象徴される。ゴミ量の増大原因は、 ①情報化の進展による紙ゴ ミの急増、 ②容器・包装財の増大、特に使い捨て容器の増大、 ③粗大ゴミの大型化 と量的増大などが指摘される。さらに注目されるのはゴミ質の変化であり、 ①プラ スチック・紙・有害廃棄物など、焼却・埋立困難なゴミの増大、 (塾一般廃棄物と産 業廃棄物あるいは有害廃棄物との区別・境界のあいまい化などによって、社会的に 信頼できるゴミ処理システムの確立が非常に困難になってしまったことである。結 果として、ゴミの不法投棄や地域間移動が横行するスキャンダルが頻発するまでに なったのである。 ゴミ処理を公共サービスとしておこなわう現行システムのもとでは、ゴミの増大 を与件として捉え、排出された後のゴミを処理するという考え方が支配してきたが、 いまや市場システム自体が何らかの責任と負担を負わなければならない段階にきた と思われる。 ゴミ問題は程度の差はあれ基本的には国際的に共通な現象となっており、ほぼ 1970年代以降、各国のゴミ処理システムは法制度を中心に整備されてきたが、特に 90年代に入ってからのドイツの廃棄物政策は国際的な注目を受けている1991年の 「包装廃棄物の発生回避に関する政令」は容器・包装廃棄物に焦点をしぼり、事業 者責任での回収・再資源化システムの確立を目指しているが、フランスを介して、

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わが国の1995年の「容器包装に係る分別収集および再商品化の促進等に関する法律」 に大きな影響を及ぼしている。さらにドイツは1994年に「循環経済・廃棄物法」を 制定し、廃棄物処理の考えにたいし新たな方向づけを与えている。廃棄過程だけに 注目し、排出された廃棄物をどのように処理するかではなく、廃棄という視点から 物質の循環全体を見渡し、生産・消費という経済の仕組みそのものの制御が時代の 緊急な課題と捉えられている。 本稿では、ドイツにおけるこのリサイクル社会、循環型経済の構想の歴史的な展 開と具体的な政策内容を検討し、わが国の廃棄物政策にとっての意義を考察する試 みである。 (2) 「リサイクル」と「循環」 この新しい廃棄物政策はとくにヨーロッパで進展しているが、ドイツではなぜ 「循環経済(Kreislaufwirtschaft)」という用語を使用し、わが国で一般的な「リ サイクル(recycle)社会」という言い方が避けられるのか。ドイツにおけるこの 概念問題は、単なる用語の問題を超え、政策理念の問題としていくらか自覚的に把 握されている。しかも、この用語の意識的な使用はかなり歴史があり、すでに1978 年の政府の環境問題専門家審議会(SRU)報告において、 「リサイクル」概念の 使用を避けるべきだという指摘がなされていたといわれる(S!F : 16)。英語を原 語とする「リサイクル」も循環の運行を意味し、生産物ないしその一部の循環形式 での使用と利用の更新と規定でき、 「循環」概念と同義といってもさしつかえない とも考えられようが、問題は、 「リサイクル」概念が「利用の多様な形態」を意味 してしまう点にあった。 ①製品の使用継続中のリサイクル(製品のリサイクル)、 ②生産ゴミのリサイクル(マテリアル・リサイクル)、 ③再生品のリサイクル(マ テリアル・リサイクル)、が類型として区別されるが、さらに、重要な形態上の区 別として、 「(再)使用(Verwendung)」と「(再)利用(Verwertungl)」の差異 が指摘される。 「再使用」とは、副産物なり廃棄物を原型に保ったままで使用する もので、もとの用途に使用する場合と、別の用途に使用する場合がある。 「再利用-再資源化」とは、副産物・廃棄物を原料として用いることで、もとの原料に戻す場 合と、別の用途の原料に戻す場合とがある(S/F : 16-19)。 敷街していえば、この用語上の問題は、 「廃棄物管理のヒエラルキー」 (郡蔦95b : 48)を規定することを通じて、廃棄物管理の理念と政策目標に関連するのである。 確かに、用語間の境界づけはあいまいで、不確定な場合が多いとはいっても、相互 の差異を自覚することは重要な意味をもっている。 「リサイクル」は、 reduce, reuse, recycleという狭義では、廃棄物の発生を前提にした上で、排出されたもの

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を再利用するものであり、排出されたものをゴミとして処分あるいは処理しない分 だけ、ゴミ処理量を減量化することになるけれども、ゴミの発生自体を回避したり、 抑制したりするものではない点を確認しておかなければならない。 「廃棄物管理のヒエラルキー」の政策理念上の優先順位は、まず廃棄物の「発生 回避(Vermeidung)」であり、ゴミの発生を生産・流通段階で無くすことを意味 するので、 「廃棄物管理(Abfallwirtschaft)」から「循環経済(Kreislaufwirts-chaft)」への政策転換の基軸をなすものである。さらに、 「減量化(reduce)」、 「再使用(reuse)」、 「リサイクル」への順で政策の優先順位がつけられるし、 「リ サイクル」のなかでは、 「マテリアル・リサイクル」と「ケミカル・リサイクル」 と「サーマル・リサイクル」の順位で位置づけられることもある2)0 ドイツにおいて、廃棄物の発生回避への要求が最初に提起されたのは、すでに 1975年の連邦政府の廃棄物管理のプログラムであったといわれる(K/L/J : 47) が、つぎに、ドイツの廃棄物の現状と法制度の展開を検討しよう。 Ⅱ.ドイツにおけるゴミ問題の環状と法制度の展開 (1)廃棄物バランスシート まず、ドイツの廃棄物の現状を概観することにしよう。データとしてはRSUの 1990年の方が新しいが、排出から処理への流れが措かれている[F/S/M95]の図 を利用しておきたい。 年間耗排出1 2億3030万トン【35.3] 家 庭. 蔀 布 排 気 物 2 9 .6[ 2 .6 ] 汚 泥. コ ン ポ スト . 鉱 さ い 4 .1[ 0 .7 エ ネ ル ギ I- 鉱 業 1 6 .4日 .0 〕 製 造 業 6 6 .1[ 8 .6 】 そ の 内 素 材 部 門. 生 産 財 4 0 .0【4 .3 貸 本 財 1 0 .0【2 .2 】 消 Ⅰ 財 5 . 1 [ 0 .9 1 食 品. 時 好 品 l l .0【1 ー3 ] 建 投 集 1 1 4 ー1[ 2 2 .4 】 公共 的排 気物 処 理 8 6.1 2 2.0] その 内 4 3.8 寮庭 ご み埋 立地 30 .2 残 土 . 連投 鹿 財埋 立 地 3.4 その他 の 埋立 地 7.5 焼 却地 紋 コ ンポ ス ト化 0 6 その他 施 設 0.6 企 集外 で民 間 の残 土 . 6 0 6 建設 廃 財埋 立地 企 業内 処理 3 4.8 【3.1】 埋立 地 3 0.6 焼 却 4.2 有書 廃棄 物 処理 施 披 ll .8 再商 品 化産 業 . 中 古 商 業 3 1.9 【4 .6 統計 上 の誤 差 5 .1 [0.6 (出典) F/S/M95 ; S. 48-49. 園①西ドイツにおける廃棄物の排出と処理

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[F/S!M]のデータは1984年までしかないので、まず、ドイツの年間排出量の数 値を連邦統計局の時系列でいくらか敷街すれば、次のようになる(RSU91 : 151) 都生 市 廃 秦 物 日 つ 一 戸_ 部 産 表②年間排出量の姓努 1980年1984年1987年 3170万トン2960万トン3100万トン 2億710万トン1億9750万トン2億560万トン ドイツでは年々3000万トンの家犀ゴミと2億トンの産業廃棄物、合わせて2億 3000万トンの廃棄物が排出され、 80年代においてその増減はほとんどなく、安定し ている。わが国の事情を比較のために挙げておくと、 1991年現在で全国の年間排出 量はゴミ(厳密な法規定では一般廃棄物からし尿を除くもの)で5,077万トンで、 産業廃棄物は3億9800万トンになっている。また平成不況にいたるまでの増加率は 大きく、その点でドイツの廃棄物排出量の安定ぶりは注目に値する。 つぎに、西ドイツでは73.2%の廃棄物が埋立処分されているが、埋立地の残余年 数は約7年にすぎないと予想される。ゴミの再利用率はなお14%にすぎないが、こ の拡大は現状の環境政策のもとでは期待されていない。また焼却規模は5 %にすぎ ず、日本と比較すれば焼却と埋立との割合がほとんど逆転しているともみえる。 わが国の場合、処理対象ゴミ全体の約75%は焼却されている1984年のドイツの現 状から出発すると、その内の圧倒的部分、 1億7000万トンは埋め立てられているが、 新親に埋め立て地を開発することは、住民の反対もあり、ますます限界にぶつかる、 という量的聞落に限っても新たな対応を要請されている。 (2)廃棄物管理における法制度の展開 廃棄物の排除から循環型経済に向けての法制度の大きな変容はここ最近20数年間 における出来事にすぎないが、このプロセスをケラーは「第3牡代」の廃棄物法で ある1994年の「循環経済・廃棄物法」に至る歴史として捉えているので、ここでも それに倣い検肘を進めることにしよう(KO:9-18),

1. 1972年6月: 「廃棄物の処分に関する法律(Gesetz iiber die Beseitigung von

Abfallen) 」

戦後の高度成長の成功によるGNPの増大にともなって`ゴミの排出量が増え続 けたことが背景にあるが、この立法の直接の契機は、当時はすでに成長の限界が いわれ、これ以後の低成長期への移行期であったにもかかわらず、ゴミ排出量の 規模の方は増大し続けたことによる。したがって、すでに60年代の後半には、ゴ

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ミ処理に関するまとまりのない法律を整序する必要がでていたのであり、ゴミの 国境を超える移動と国際的なゴミ取引とゴミ処理のスキャンダルの横行が駆り立 て、廃棄物の大量な排出に対して回収し捨て場をみいだすこと、つまり「廃棄物 を生活圏から排除(Beseitigung)」 (後藤: 74して、衛生処理することが主眼 であった。 34条といういくらか短い連邦法は、はじめは家庭ゴミだけを対象とし たが、その後有害な廃棄物の処理の問題などから1976年、 1982年、 1985年の改正 を重ねた(D!M : 83-84),

2. 1986年8月: 「廃棄物の発生回避及び処理に関する法律(Gesetz iiber die

Vermeidung und Entsorgung von Abf互Iien)」

廃棄物の排出量の増大に対してますます不足する埋立処分地問題を背景に、ま た再生不可能な資源の使用の拡大を契機にして、廃棄物の発生回避と再利用を優 先するという原則を政治的に提示することが80年代の課題となった。確かに、こ の法によってゴミ処理の根本的なパースペクティブの転換、従来のゴミ処分の以 前に、まず第-に発生回避、第二に再利用という原則が唱われてはいる(第1粂 a)し、技術的に可能で市場が存在し、過度の費用がかからなければ、他の処理 に対し再利用を優先的に図るべきことが定められている(第3粂)。しかし、埋 立地の計画促進にみられるように、なお直線的なゴミ処理の強化が図られた。そ の原因になったのは、廃棄物概念(第1章1項)の主観的なあいまいさにあり、 ヨーロッパ共同体の明解な規定とは矛盾するものでもあった。そこでは、廃棄物 とは、 「所有者が片付けようとするか、あるいはその整序された処理が一般の福 祉を守るために、特に環境保全のために提供される移動可能な物体」であり、こ の物体が第三者に委託され、 「再利用される場合にも、その物体あ去いはそれか ら生成した素材やエネルギーが経済循環に与えられるまでは廃棄物である」、と 規定していた。したがって、再利用の理由で取り引きされ、自己の処理義務を容 易に逃れることを促しもした。ただ、その後の廃棄物法の改革にとって、特に重 要と考えられたのは、第14条の規定である。この条項で、有害物質や特別な汚染 の畏れがある財に対して政令を定めて、引き取り義務とデポジットの受け入れ義 務を課すことが可能になったからである(第1項)。しかも、特定の財ごとに目 標と達成時期をさだめることができ、具体的な施策を促していた(第2項) (以 上、 D/M:84-87,後藤: 73-75), この14条を根拠にしてはじめに引き取り義務を課したのは、使用済み原油に対 しての政令であるが、世界的に話題になり、日本の95年法の起因をなしたのは包 装・容器廃棄物を対象に成立した次の政令であり、 90年代の循環型経済構想の中 心的なコンセプトを用意したのである。

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詛1991年6月: 「包装・容器廃棄物の発生抑制に関する政令(Verordnung iiber die Vermeidung von Verpackungsabf互Iien)」

1986年の新廃棄物法以来、もはや排除による規制ではなく、廃棄物の発生その ものを防止することが試みられ、ゴミの発生回避と再利用はゴミ管理政策の二本 柱(wolf : 364)となっていたが、そのための有効な具体策をなお欠いていた。 そこで都市ゴミのなかで容積比で50%、重量比で30%を占める包装廃棄物に焦点 を絞って、重要な一歩が踏み出された。 包装廃棄物処理の目標が、まず第1条で宣言される。容器は素材として再利用 する際に何の負荷ももたらさないで、環境保全的な物質から生成されなければな らず(第1項)、包装ゴミがその発生を回避されるために、まず発生量を制限し、 次に技術的に可能ならば再使用可能な材質でなければならないし、再利用の可能 性が存在しない限り素材として再利用されなければならない(第2項)。さらに 重要なことは、引き取り義務と再利用率-リサイクル率の数億目棟とを結びつけ たことによって、ゴミを出す前に回避するための政策的な具体的手だてが確保さ れたことである。 また、デポジット制皮が義務づけられたが、その一方で業務委託という形でそ の義務は免除され得るので、政令が成立する前にすでに関連業者600社ほどは、 共同出資で「デュアル・システム・ドイチュランド(DSD-DualesSystem Deutschland)」という回収と再利用・処理を代行する会社を設立した。これに よって、従来はゴミ処理サービスは公的な自治体によるものだけだったが、民間 の自己制御システムができたことによって、二元的(デュアル)な、公共部門と 市場部門が並在する処理システムになった。また、リターナブル容器は預り金を 引き取るために小売り店等で回収されるので、 DSDはワンウェイ容器の回収だ けに特化し、しかもDSDに加入することでデポジット義務を免れることができ るために、批判も多く聞かれる。この政令の意義なり問題点なりはIV(3)で、ふれ ることにしたい3)0 こうして、環境法の経済化の流れは、包装政令によってはじめて生産額域に直 接的に制御目標を設定することが可能になったが、廃棄物概念のあいまいさから 生産過程での残余物とゴミとの混用がなされ、線のマークが付いた包装廃棄物の 大量輸出が問題となったので、さらに、つぎの法律が制定された。 3. 1994年9月: 「廃棄物発生の少ない循環経済の促進及び廃棄物の環境保全上の 管理の保障に関する法律(Gesetz zur Forderung einer abfallarmen

Kreis-laufwirtschaft und Sicherung der umweltvertr互glichen Entsorgimg" von Abf互Iien) 」

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一般には「循環経済・廃棄物法」と略称される(以下では「循環経済法」と略 す)。 90年のRSU報告が、すでに86年法の基本的改正の必要を指摘(D!L : 87) していたように、廃棄物処理の状況はさらに危機的な様相を示すようになり、廃 棄物の排出を抑えた生産方法の開発や再利用の促進など、残余物を減らす試みは 従来不十分にしか達成できなかったし、またDSDも財政危機など問題を残して いた2)O そこで、 93年に「残余物の発生回避、二次原料の有効利用および廃棄物の適正 処理に関する法律案」が提案され、廃棄物処理のさらに包括的な概念が探られる ことになった。その第1章で、現行の法律の基本骨格が規定され、残りの部分は、 既存の法を適正化し、体系化したものであった。 94年法の目的は、従来の廃棄物処理の考えから一歩をふみだし、生産者・消費 者のところで、廃棄物が発生することを回避・抑制し、廃棄過程の解消を目指し た生産物責任を唄い、使い捨て経済から環境保全型経済への転換をはかるもので あったO副次的には、 EUの指針との調整が重要な課題となったO ケラーLK6]、 [D/M]、 LB/R]、後藤の検討にしたがえば以下のような点に おいてその特徴を把握することができよう。 (1)廃棄物概念の拡張: 「残余物(Riickstande)」概念の導入 EUの概念に合わされ、従来の、 86年法第1条の主観的で、不明確な概念は 放棄された(D!M : 89),生産・流通過程の各段階では、意図せざるかたちで、 あるいは不可避的に、使用できなかったりあるいは無駄になる部分が生じるの が普通であるが、この経済活動にともなって発生するあらゆる原材料や製品な どで、その所有者が自ら片付けたり、そうしようとし、または片付けなければ ならないものを「残余物」と定義した。例えば、生産段階での材料屑、規格外 の不良品など、また流通・消費段階では、期限切れや売れ残り商品などを含む が、これによって廃棄物の概念対象が拡大され、廃棄物として実際に顕在化す る前の段階で、廃棄物の予備群を捉えておこうとするものであった。後藤によ れば、 "ものの流れ"の川下頚城-廃棄段階で排出する廃棄物だけでなく、川 上である生産・流通や川中である消費段階でも発生する潜在的廃棄物をも含む 広義の把握になっている(後藤:77),ケラーの図示を借りれば次のような関 係になる(KO:ll), 残余物 EUでの

:選考

「廃棄物」概念 再利用可能性二次原料 二次原料として 再利用できないもの EUでの「再利用されるべき廃棄物」概念 廃棄物 EUでの「処分されるべき廃棄物」概念

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したがって、廃棄物概念は、狭義では残余物のなかで利用可能でないものに 限定されることになる。すなわち、まず、残余物として把起されることによっ て、絶えずその有効利用が図られることを経て、その努力の後ではじめて廃棄 物が発生することになる。こうして、経済活動とゴミ処理とが相互に並存する ことはなくなり、 「ゴミの再利用」ということも、それ自体非論理的表現とな り、循環経済法は認識しない(KO:13)のであって、再利用のないゴミ処理 のあり方が模索される(K6:12),ただ、その際、物質としての回収・再生利 用だけでなく、燃料やエネルギーとしての再利用も同等の意義で容認している。 (2)循環経済の基本原則と生産物責任 循環経済の基本原則は第4条でふれられているが、まず1項で廃棄物処理の 優先順位を明示する。まず第一にゴミの発生それ自体を回避するvermei-den)ことであり、第二に物質およびエネルギーとしての利用が併記される0 次に同2項で廃棄物を発生回避する方策として、特に施設内での物質の循環利 用と廃棄物発生の少ない生産物設計ならびに廃棄物発生が少なく、有害でない 製品の購入に消費者の行動が向けられることが指摘されている。 さらに第3部で生産物のライフサイクル全体に対する管理責任が規定される。 第22条で製品の生産者ならびに販売者は循環経済の目標を達成するために、生 産物責任をもつとされ、製品の使用後において発生する廃棄物に対しても環境 に適正な方法での利用と処分が保証されることが求められている。具体的には、 ①繰り返し使用可能で耐久性がある製品であること、 ②製造においてはできる 限り再生資源を優先的に投入すること、 ③有害な物質を含む場合はその表示を すること、 ④製品には返還・再使用・利用の可能性あるいはその義務ならびに デポジット制について表示すること、 ⑤製品ならびに使用後の廃棄物の引き取 りとそれを再利用あるいは処分すること、と指示されている。 ただ、この規定がどのような生産物にどのような形式で具体化されるかは、 包装リサイクル法のような政令による肉づけが必要であり、その点でプログラ ムであって、以下の(3X4)とは異なる、といわれる. (3)ゴミ処理サービスの民営化 包装リサイクル法は、従来の自治体による公共的ゴミ処理の一元的システム をD S Dとの二元的システムへと転換したが、 94年法もゴミ処理の事業者責任 制を導入するために、二元的システムの拡充・継承を目指している。その際、 事態がすすめば、公共的部門は維持されるべきかどうかという間麓が生じよう。

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(4)技術的に認知されたゴミ処理施設の承認の簡略化 94年の時点では、もはや膨張し続けるゴミの山が法改革の原因ではない、と ケラーはいう(KO : 9),都市ゴミの排出量は最近ほほ10年の間約3000万トン で落ち着いていて、むしろ新法を必要にしたのはとりわけ廃棄物処理施設の不 足である1977年にはなお1355の埋立地が存在していたが、その10年後の1987 年にはわずか332のゴミ処理施設しか残されていなかった、という(KO : 9) そこで現状では12年もかかっていた承認手続きの短縮がはかられる。その意味 での規制凄和であり、官僚主義からの脱却を目指しているOまた、埋立ての技 術についてみても、 「処分」の段階では、埋立ての技術的な手続きを何ら検討 することなく、ゴミは公共の処分場に外部化されていたけれども、特別な管理 を要するゴミの大量な発生は埋立てにおける技術基準をインミッション防止法 にならって規定することになった(Wolf:363)。こうして「特別管理廃棄物 (TA Abfall)」についての規制も強化された。 ところが、なお批判にさらされたのは、従前の構想に対してみれば退歩とも いえ、本質的に妥協の産物と受け取られたからであり、これまでの延長であっ て、根本的な革新が期待できないという見解も根強く残されている(D!M : 91), 循環型経済に向けての具体的な問題や戦略については章を改めて検討するが、 70年代は国家の経済への外からの制御が環境政策の主要な局面であり、 80年代 は、さらに経済システムそのものの制御が焦点になり、 90年代は、その上で企 業と消費者自体の・行動療式の変化が求められてきた(Pfriem:28)と、位置 づけることもできよう。 Ⅲ.循環型経済システムの制度デザイン 「循環経済・廃棄物法(1994年)」の基本的コンセプトをみてきた。この法によっ て廃棄物の発生回避に向けられた法政策上の明確な位置づけがなされたとはいえ、循 環型経済システムの細部にわたる具体像を描くことはなおできない。基本的にいえる ことは、廃棄物量を与件として処理にあたるのではなく、発生回避を優先するという ことにとどまらず、さらに廃棄物管理が経済管理そのものに関わることにどのように 対処すべきか、という方向に重心は移ってきていることである。 「廃棄物管理(Ab-fallwirtschaft)に代わって循環型経済(Kreislaufwirtschaft)を.′」というスロー ガンが、廃棄物処理の視点がいまや生産計画を規定する時代になってきたことを如実 に物語っている。廃棄物という産業社会の従来は影の部分からの問いかけが、現在、

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「廃棄物法の経済化」 (D/L :92)というような方向で産業的経済システムそのものの 改変-と、土台である生産額域へと政策の焦点を移してきたのである。 では、循環型経済とはどのような仕組みでどのような生産物をつくるのか、どこに 新しさがあるのか、と仮に問うても、循環経済の基本原則として規定されたような、 基本目標の優先順位のつけ方それ自体だけではもはやその内容を探り出すことはでき ない。必要なのは循環型に向けての、生産から消費を経て廃棄物に至る原理的な関連 を問うような戦略にある、といわれる(S!L:15).ヴオルニーほかが提示している <図②廃棄物管理の戦略>を借りて廃棄物管理の諸方策を類型的に整理しておくこと にしよう(Wollny:242-257), 廃 棄物 管理 の方 策 と有 効性 廃 棄物 量 ′原料使 用 量 施 策 の強 度 影 響 関 慕 製 品 の質 -製 品 の代 わ り にサ ー ビ ス 欲 求 を問 い 直 す \ ノレ 廃 棄物 属 性 ク リー ン技術 再 利用 引 き取 り -処理 組 織 処 理 方法 生産 技 術 生 産 の質 ゆ たか さモデ の地 平 (出典) Wollny; S.244 回②廃棄物管理の戦略 A処理責任を事業者に転移すること(引き取り義務) 生産物は使用後事業者に引き取られる。これによって、長期間耐用可能な製品か、 少なくとも完全に再利用できる製品が将来作られる、という(淡い)期待も出てこ ようが、まずは家庭ゴミから産業廃棄物へと廃棄物の流通経路の転換が実施される ことだと、冷静に判断されている。引き取られた廃棄物の処理は事業者の自己管理 に委ねられ、埋立、焼却あるいは再利用されることになる。すなわち、引き取り義 務だけでは、廃棄物の発生抑制につながるとは考えられてい'ないことに注目してお きたい。 B (再)利用義務 引き取り義務は利用義務と強制的に結びつけられてはじめて、ゴミ処分量の負担

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を軽減することができるといわれる(汚染者負担原則と予防原則の連結)。ただ、 ここにも問題はなお残るのであって、このリサイクルが生態系に有意味で、環境保 全を達成するには、さらに生産物の「廃棄物属性」 (基本的にはその耐用年数の長 さとリサイクル可能性によって測られる)に依存する。 C廃棄物の排出を抑制した生産の促進(クリーン技術) 環境技術は、廃棄物が排出された後で処理する環境技術であるエンドオブパイプ 技術と、廃棄物自体を出さないように努める回避・抑制技術であるクリーン技術と に区別される(F/S/M89: 71-74,郡鳥95a : 82-84),クリーン技術への転換は 生産方法の変更をともない、中・長期的な投資に支えられることが多い。循環型経 済にとって不可欠の技術的基盤であるクリーン技術にも、なお課題は残るのであっ て、産業廃棄物は減少するであろうが、最終生産物のゴミは減少するとはいえない。 というのは、需要が変わらなければ、同一の生産物が、廃棄物の排出をより抑えた、 高度の方法で生産されるようになるだけだから、と。 D生産物政策 そこで、経済活動の目標である生産物そのものを問うことによって、生産から廃 棄にいたる物質循環の新たなあり方を模索する。 Bでふれた生産物の廃棄物属性-エコ・デザインがさまざまな観点から検討され、耐用年数が長く、修理可能で、か つ組立可能な生産物を生産することによって、生産物ゴミが最小の物質の投入と小 さな環境負荷で済むなかで、発生を回避抑制される条件が創られる。ヴオルニー他 は、次のような要因に登除して挙げているが、相互に境界づけれるわけではなく、 すべての要因を考慮することが望まれる。 ①可能な耐用年数に対する事実上の耐用年数 ②修理可能性(既存の方法で/現在の経済的枠組みのもとで!未知の方法で) ③利用循環の頻度(ワンウェイ/リターナブル/任意に頻繁に) ④再使用可能性 ⑤再利用可能性、リサイクル可能性: 4要因(127) 1.解体の可能性(可能!破壊を免れてはいない!不可能) 2.利用の質的水準(ダウンリサイクルとリサイクル) 3.第一次製品と再生品との環境負荷内容の比較 4.処女原料の使用に比しての再利用過程における環境汚染 ①現代の商品の耐用性が、その原因にいくらか差異があっても、家具や本にみられ るように、昔に比べて驚くほど短くなっているoモノは、時間の経過に応じて老 朽化、腐敗するし、利用するにつれて消耗するが、素材、作り方、デザイン、流 行などによって耐用皮は大きく異なる。しかも、耐用性は生産物の物性だけでな

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く、社会的・技術的・経済的要素も大きな役割を果たすし、さらにいえば、 ②以 下の集合的表現ともいえよう。 ②例えば、修理とリサイクルの境界はどう捉えられるだろうか。双方とも製品の機 能の維持を図る策という点では一定重なっているが、修理は製品の個性を保持し ているが、リサイクルは産業的加工をともなう点に本質的違いがある(Wolly: 109-110), ③デポジット制度によるリターナブル・システムの維持・拡大をはかることは、 91 年の政令の主要な目的でもあった。環境保全的効果をみれば、容器の素材の差異、 たとえばぴんとPetとの違いより、ワンウェイかリターナブルの違いの方が大 きい、といわれる(S/L:24-26)。エコ・バランスシートの方法により各容器 の流通回数や輸送距離などが比較検討され、なお評価は別れている点はあるが、 リターナブルの優位は動かない。シェンケルは、ワンウェイは大企業の全国展開 の販売戦略に、リターナブルは地域に根ざした中小企業に連合的である、という。 (りリターナブル容器は再使用の典型的事例であるが、他には、中古市場やリサイク ル・マーケットなどの活性化に依存している。 ⑤再利用はもとのかたちを破砕したり溶融したりして原料や部品として使うか、熱 エネルギーとして利用するか、技術革新の進展につれてますます多様なあり方が 広がりもし、その環境適正性は各製品の素材的属性に応じて判断されなければな らない。 E経済政策としてサービスを促進すること 理想的な場合をいえば、求められている有用性は生産物の代わりにサービスによっ て提供され得る。これは生産物の長期耐用性とリサイクル可能性にとって、自動的 にとはいえないまでも、良好な条件を生み出すことになる。 この経済活動に対する根源的な組み替えをテーマに循環型経済を構想しているの は、ホッケルツほかの「モノづくりの経済(Fertigungswirtschaft)」に対する 「サービス経済」の環境保全上の優位性の主張である(H/P/H/S: 3 -14)同様 の主張は郡嵩にもみられる(郡蔦95b:59)。 「モノづくりの経済」では、できるだ け多量の生産物を生産し、販売することが目指され、必要以上の商品が市場にあふ れることになるK.E.ボールデイングにおけるカウボーイ経済のように、資源と いうインプットと廃棄先である環境との限度を考えなければ、フロー-スループッ トを増やすことが経済の目標となる。それに対して「サービス経済」においては、 商品は売られるのではなく、賃貸かリースされ、利用に供されるにすぎない。そし て消費者が利用する気がなくなれば、生産者に返される。いわば、使い捨てカメラ の全く逆の発想から成り立っている。現在でもすでに機能している部分でいえば、

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レンタルやリースであり、飛行機、鉄道など特に調達価格が高価で、かつ共同利用 が問題なく可能であれば、プールしてシェアすることが有効になる。したがって、 生産されたモノの価値は、販売され、モノの所有権が移転すること、そして結果と して消費の後廃棄されることを目的にはしなくなる。モノの有用性-使用価値が持 続することが大切であり、製品の耐久性、修理の簡便さ、分解と再組立ての容易さ などを高めることが目指される。したがって、経済の仕組みそのものが物質の廃棄 を否定的に評価することになり、物質の循環能力の向上とサービスの持続的享受が 経済を方向づけることになる。同じく、所有と使用あるいは利用の区分の認識を重 視するとはいえ、多辺田などのコモンズ論との相違は、サービス概念の拡張では財 の所有が公有か私有かという点は問う必要がなく、利用権の配分も多様な可能性を 想定することができる点にあろう。 したがって、 「サービスの経済」は物質の流れを緩やかにし、原料や資源を節約 し、環境保全的な役割を果たすだけでなく、雇用の面では、生産物部門の雇用を減 少させるが、サービス部門の新しくて魅力的な雇用を創出するし、現在の国際的な 産業立地競争のもとで生産物は海外の有利な立地をもとめるが、サービスはそれが 求められるところでのみ有用なので、産業が空洞化して雇用が流出することはなく、 長期に安定的となる(H/P/H/S : 13). Fそれぞれの欲求に対する社会的論餓 AからEまでの方策は既存の欲求が従来通り充足され得ることを前提にしている が、欲求そのものを問い直すことも可能であろう。ある特定の欲求を充たすことで どのような環境負荷が生じているのか、を検討するのが課題となる。具体的には移 動性、流行、容器包装などがテーマとなろう。また、実際にドイツの廃棄物管理の 方策では、 AとBそして部分的にはCまでが制御対象であり範囲であるにすぎない。 94年循環経済法は、以上のような経済システム全体を見据えた戦略を可能にする 橋頭壁を築いたのであって、包装容器廃棄物に限らず、またわが国の規定での一般 廃棄物にも限らず、生産物一般にその制御対象の範囲を広げ、なおかつ生産物のラ イフサイクルを通しての事業者の責任を唱い、発生源での廃棄物の回避・抑制を目 指している。 このようなさまざまな方策が内部の岐路をかき分けて実行に移されるためには、 公共政策の質が問われることになってきたが、どのような公共政策の手法が望まし いのであろうか、次に章を代えて検討する。

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Ⅳ.循環型経済にむけての公共政策:経済的手法の制度的組み込み (1)廃棄物管理の政策デザイン ドイツの90年代における廃棄物政策の急展開に実効性を与えてきたものは、汚染 者負担原則をはじめとする環境政策一般レベルでの原則の土台に支えられていると はいえ、何よりも事業者責任原則と費用負担のあり方とをリンクする具体的手法の 開拓にあるといえよう。最近の環境政策の基本的特徴は、世界的に多様な政策手段 の開発、採用にあるが、特に課税と課徴金と排出権取引に代表される経済的手段の 意義を強調する議論が目立っている。現在、廃棄物政策のなかで実施されている課 徴金制度は、ドイツにおいてはDSDにおける緑のマークの使用料徴収と、飲料容 器に対するデポジット・リファンド制度であり、日本においては多くの市町村で試 みだされたゴミの有料化策に代表されよう。 さて、環境政策の手段ということでは、まず法的な直接規制策と経済的手段とに 大別される4)。前者は、公害型の加害者・被害者が特定可能な、有害性の環境汚染 問題に対して特に必須な対策手段であり、後者は、生活環境型の加害者・被害者が 交錯しあい、有用性と有害性との境界もあいまいな環境問題において有効な手段と 一般に位置づけられている.しかし、両者はいつも相互に代替的な関係にあるので はなく、補完的に運用されることが必要で、また効果的な場合が多い。 (Kem; Wic;RSU91;Kem多辺田;植田96 ;など参照) 廃棄物政策の頚城でも、最近、市場経済的手段の役割が発生回避を促進するため の施策として強調されるようになってきたが、それがもてはやされる理由は、まず 直接規制の次のような欠点が指摘されるからである。 ①一律規制になり、したがっ て各企業ごとの差異が無視され、社会的費用の浪費をまねく、 (む汚染削減・防止技 術開発へのインセンテイヴが働かない、 ③許容範囲以内では自由に汚染物質の排出 を認めている、など。また逆に、課徴金制度の長所として、 (》環境汚染による社会 的費用を最小化できる、 ②汚染物質の排出削減・防止技術の開発に対するインセン チイヴを与え得る、 ③直接手段より執行が容易である、 ④新しい財源が得られる、 などの諸点が注目されている。もちろん、問題点も、 ①特にピグー税の場合、最適 なレベルの賦課料率を設定するのが困難である、 ②極めて多くの発生源の排出量を 行政機関がどのようにして把握するのか、不確定である、 ③汚染者間の公正の点で 問題が残る、など指摘されるが、費用負担を直接に事業者に負わせる仕掛けをつく ることができる点でとりわけ期待され、中でも課徴金制度は、多様な問題対象ごと に手軽に設計できるために制度化が進められてきた。 しかしながら、またOECDに代表される、経済的手段の利点を一方的に強調す

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る通説に対して、その行き過ぎを批判する見解も出てきているので、具体的な開溝 に即して検討を必要にするので、以下で、 [F!S!M]の排出課敷金の提案と、包装・ 容器廃棄物に関する日独の政策を比較してみることにしよう。 (2)フアーバー!シュテファン!ミヒヤエリスの排出課徴金と直接規制の連結案 フアーバー/シュテファン/ミビヤエリス[F/S!M]は、廃棄物処理方法を埋立、 焼却の外にも、リサイクルや発生回避にも広げた上で、バーデン・ヴユルテンベル ク州における廃棄物管理の将来シナリオを措いている。その際、かれらが前提にお いた仮定は、まず、有害廃棄物などゴミの質的問題は捨象して、量的問題に限定し ていること、次に、家庭ゴミだけではなく、圧倒的に排出量が多い生産部門でのゴ ミ、すなわち産業廃棄物を含めて検討対象にしていることにあるが、その上で、 5 つの産業部門を取り上げ、環境保全への投資行動-動学的プロセスが公共政策によっ てどのように誘発されるかに焦点を当て、基本的な環境政策手段である直接規制と 課徴金との政策効果を検討している。産業廃棄物は、 4つの処理方式、 ①再生業者 あるいは中古市場への譲渡、 ②企業内施設での処分あるいは減量化、 ③企業外の焼 却場での処分、 ④企業外の埋め立て地での処分が想定されるが、 n(i)でみたように、 ドイツの現状では埋め立てが7割程度で、焼却が非常に少ないという、日本とほぼ 反対の比率を示していた。そこで、廃棄物の処理費用、この場合埋め立て処分費用 が埋め立て地の逼迫のために上昇することを共通の起動因とした場合に、その影響 で起こり得る事態の進行が次の3つのシナリオとしてシミュレートされる5)O <シナリオ1 >は、廃棄物の発生回避も再利用も想定されず、埋立地の希少価値 もまだ廃棄物処分費用に反映されないという前提で、エンドオブパイプ技術だけの 対処によって何がおこるかが時点分析で予想される。 <シナリオ2 >は、埋立地が 将来拡大できなくなることによって、埋め立て価格がその希少性を反映して上昇す る場合に進行する事態が、期間分析で考察される。 <シナリオ3 >になってはじめ て廃棄物の発生回避とリサイクル策が視野に入れられ、クリーン技術導入に向けて 産業部門の中・長期的な投資活動の経過が考察され、ここで排出課徴金の有効性が 検討される。 シナリオ1 :焼却や埋め立ては、ゴミが排出された後から処理方法を模索するエン ドオブパイプ技術の典型的なものだが、廃棄物の排出を抑えた生産方法や新しい再 資源化の方法が想定できなくてどうなるか、ふたつの事例が想定されている。第1 には、埋立処分場の逼迫があってもゴミ処分コストに反映されない場合である。埋 立コストは社会的な適正価格以下、たとえばトン当たり68マルクになり、それに対 して焼却費の方は181マルクである。その結果、バーデン・ヴユルテンベルク州全

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体で年間3882万トンの廃棄物を排出し、 85%増大するであろう、と。第2の想定で は、廃棄物処分費用は埋立地が今後拡大することが困難になることを反映して、埋 立費用は335マルク-と大きく上昇する。しかし、この価格上昇でも廃棄物排出量 は3,6%しか減少せず、できるだけ焼却可能な廃棄物に代替する策が進み、埋立は 18%減る、とシミュレートする(F!S!M95:51-2), シナリオ2 :シナリオ1が静態的な予想であったのに対し、 ①埋立地は今後わずか しか拡大できない、 ②廃棄物の発生回避やリサイクル策は長期的にも考えられない、 ③廃棄物の州外への流出は不可能、という仮定のもとで、 10年間での産業部門の対 応が展望される。埋立費用は、まず84年の48マルクから86年の80マルクへと上昇す るが、その後89年までは変わらず、廃棄物を回避・再利用するインセンティブは何 らおこらない。しかし、埋立余地はますます逼迫してきて、埋立費用は90年以降急 激に上昇する。この価格圧力のもとで焼却が比較優位をもつようになり、 5年とい う短期間の間に埋立される廃棄物量は減少して500万トンだけになる。また、処理 費用の急上昇の影響はどの生産部門にも及ぶが、その程度の差は残る。最も強く影 響を受けるのは、生産規模に対して廃棄物排出量が最大な原材料・素材部門である。 エネルギーと鉱山からなるこの部門はこの期の終わりには輸入部門に陥る。それに 対して、投資部門の生産は増大し、唯一の輸出部門になる(F/S/M95 : 52-53), (八上松00L︰卓細)・W藁吾耕嘩匝叶 00 32 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998年 (出典) Faber;S.56 図③シナリオ3 ( l A i a ( i -j -珊 八 エ ) E y 薫 酎 或 牽 搬 嘩 シナリオ3 :排出課徴金の導入による廃棄物処理費用の上昇が、廃棄物の発生回避 や再利用をみちびく過程がテーマになる。その際、リサイクルが市場の動向に依存 しがちなのに比して、ゴミの発生回避の実現には産業のイノヴェーションへの投資

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行動に大きく依存すると理解され、その分、課徴金という経済的手段の意義が評価 される。埋め立て費用は全期間を通して上昇し、 1984年から90年のあいだには42マ ルクから72マルクへと上昇する。この間にはリサイクルはなお導入されていないが、 廃棄物排出量は3600万トンから1800万トンへと減少する1990年まではほとんど全 て埋め立てられる1992年に埋め立て費用は排出課徴金の導入によって、トン当た り197マルクへと飛躍的に上昇する。その結果、焼却が市場経済的にみて有利にな ると同時に、廃棄物の排出を前もって抑える生産方法の導入が強化される1995年 までには、埋め立て費用と焼却費用はトン当たり195マルクで落ち着く。埋め立て られる生産廃棄物は年間約500万トンに縮小する一方で、焼却による処分量は年間 700万トンへと増大する。埋め立て費用の飛躍的な上昇は、技術革新への強力なイ ンセンティブを与え、素材部門と投資部門を除く全ての産業は95年までに廃棄物の 排出を抑える技術を導入し、旧来の生産方法を完全に転換する。 95年から廃棄物は リサイクルによって再利用を図られ、経済循環へと戻される。同時に、埋立は固有 の処理形式としては放棄される。廃棄物問題が緩和することは直接にほとんどすべ ての部門の経済発展と輸出拡大をもたらす(F/S/M95 : 53-55), [F/S/M]は三つのシナリオを対比することによって、課徴金手段の政策効果を シミュレーションを試みた。簡略すぎる仮想実験にみえようが、注意しておくべき ことは、産業廃棄物を対象にして、廃棄物を発生回避するクリーン技術が産業の投 資活動によって開発・導入される動態的プロセスを措こうとしたことである。その ための政策手段としての比較でいえば、一律規制の限界をもつ直接規制に対して課 徴金制度が、環境を利用する価格を各事業主体に内部化し、開発-のインセンテイ ヴを与える点で汚染者負担原則に則り、より有効な手段と判断しているが、直接規 制を否定しているわけではない。課徴金は、四つの処理方式のうち埋め立て処分に 限定して課されるべきだとしているが、それは課徴金のなかで、排出課徴金が、投 入課徴金のようにすべての企業に同一の作用を与えることもなく、製品課徴金のよ うに製品価格上昇によって需要の減退をもたらす畏れも少ないので、より有効な手 段と評価するからだけでもない。埋め立て以外の処理方式がそれぞれ、再生業者に よるリサイクルの促進、熱エネルギーとしての利用を含め、ドイツで低評価されて いる焼却の見直し、企業内処理が最高の技術革新を開発する可能性という点で、有 意義なだけに、課徴金による抑制効果が働くことが避けられるべきだからである。 そして、この最後の要素、企業内におけるイノヴェーションの促進という点で直接 規制の政策意義があり、したがって、課徴金と直接規制は連結して使用されること が推奨されている6)0

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(3)事業者責任と費用負担ルール:日独比較の試み わが国も政府レベルで90年代に入ってようやく事業者責任を求める法的な整備が 進展してきた1991年の「再生資源の利用の促進に関する法律」の成立や「廃棄物 処理法」の抜本改正を経て、 1995年6月に「容器包装に係る分別収集及び再商品化 の促進等に関する法律」が成立した。ここで提起されている新しいゴミ処理・リサ イクルシステムは、分別収集から再資源化に関与する各主体の共同責任と責任分担 を基本理念としながら、一連の過程をシステムとして体系化するなかで再商品化に 関する事業者の義務を明確にした。ここを三91年のドイツ包装廃棄物法は、フランス を介してわが国に受容されることになり、再生資源市場の供給過剰から価格低迷を まねき、いわゆる逆有償現象を引き起こしていた再資源化の閉塞状況が打破され順 調なリサイクルへの展望ができたが、日独の制度の間には相互になお見逃せない懸 隔が存在している。もちろん、各国の歴史的・社会的背景が相達するなかで日本特 有の方式が提案されることに反対する理由は何もないが、循環型経済に向けての具 体策として評価される必要がある。 日本方式では、分別回収は、従来から一部の自治体と住民による集団回収が活発 におこなわれていた経緯もあり、市町村が消費者の協力のもとに行う。事業者はこ の回収され、 「分別基準適合物」に適合した容券廃棄物を引き取り、再商品化する 義務を負うとされる。その際、 DSDに倣って、指定法人やリサイクル業者に委託 することも可能な制度になっている。したがって、比較制度的な特徴づけをすれば、 ゴミの回収のレベルでは市町村に役割分担されたフランス方式に近いが、フランス ではその費用負担を事業者が分担する点で自治体と消費者が負担する日本方式とは 異なっている。日本方式では、事業者が廃棄物の引き取り再生義務を負うのは、あ くまで市町村によって回収されたゴミが厚生省令での「分別基準適合物」という基 準に適合した以後になる。そのため、 「容器包装ゴミの回収から再生までのすべて を事業者が責任をもつドイツ方式のような事業者による自己責任体制になっていな い。さらに、再商品化に要した費用の消費者への転嫁が想定されているために、容 器包装ゴミの発生そのものを回避するなどのコスト削減努力-の動機づけが働きに くい」。特にこの点では、中身メーカーだけでなく、容器メーカーにも再商品化義 務が広げられ、費用分担が分散したためなおさらである、という(以上、植田95 : 24-25), 植田によれば、ドイツDSD方式では、緑のマーク使用料が媒介になることによっ て、容器包装ゴミの回収から再生にいたる一切の費用は、その容器包装を製造・販 売した事業者が自己完結的に負担する仕組みになりうるので、少なくとも理論的に は、市場がリサイクルしにくい容器包装を淘汰していくメカニズムが働く、という

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(同:26-27)こうして、ドイツ方式は、リサイクルの促進に終わらず、リサイ クルにまわる容器・包装の量そのものを減らすインセンティブになり、循環型に向 けた一歩を踏み出したといわれる。 ドイツ廃棄物政策の特徴は、何よりも狭義でのリサイクルの次元に留まらず、廃 棄物の発生源における回避・抑制をうながし、経済システム全体の見直しに通じる 基本的政策理念を確立し、それに基づいてさまざまな具体的な施策を試みているこ とにあった。 91年政令の本来的目的は、ワンウェイ型の容器を回収しリサイクルを はかることに重点があるのではなく、事業者の引き取り義務と回収率の目標を設定 し、ゴミの発生自体を抑制・回避することにあった(政令のタイトルを確記せよ)0 また、たとえ現状の追認であっても、リターナブル容器の割合の維持・促進を目指 している点も強調されるべきである。したがって、 DSDに対する批判の中核に、 個々の事業者の自己責任ではなく、第三者への委託を通してリサイクルの回路が確 立することによって、まさに逆にゴミの排出量が増大する懸念の表明があったので ある8)。 ともあれ、ドイツにおいてリサイクルが意味をもち得るのは、それが循環型経済 システムの一貫として組み込まれている限りにおいてであり、その点でわが国の廃 棄物政策の現状とはなお一定の開きがあるといわざるを得ない。 吉主: 1) 「ゴミ」は法制上の概念としては、一般廃棄物からし尿を除いた廃棄物を指すが、本稿で は産業廃棄物をも含めて、物質の廃棄物を意味するものとして使用している。 2) (S/F:16-19) (郡ォ95a:48-54)を参照。また、山田の「使い捨て型」、 「静脈産業型」 ならびに「循環型」という廃棄物処理の三区分の明確な整理は示唆的である(山田: 55-58), 3) (H/W:58-76, RSU94 : 197-198,植田94,多辺田: 101-104)など多数。 4)ケムパーによれば、より基底的な環境保全の考え方としては、排出基準の哲学と環境の質 基準の哲学というふたつの理解があるという(Kern:68-69),前者は、 1グラムの有害 物質は、環境においてすでに1グラムだけ過剰になっていることだと捉え、すべての排出 装置はその時点での最新の技術水準に応じた発生回避技術を備えるべきだと要求する。他 方で、後者の考えは、排出は開溝でなく、インミシオンの高さ、すなわち直接に環境の質 そのものに焦点を当てる。目標の環境の質が達成される限り、どのようにして、またどこ で排出が減少しようが、さらに技術水準が維持されようがされまいが、開溝としない。経 済的手段はこの後者の哲学と連合的であり、この考えだけが予定された以上の環境保全の 可能性を自発的におこなうことができる点に注目する。 5)同様のシナリオを作成しての予測の試みは、 (Wollny :S.166-)を参照されたい。 6) (F/S/M95:50-51, 56-57),また、岡ならびに岡・諸富は、課徴金制度が直接規制の 補完的手段である点を理論的に基礎づけ、直接規制も動学的効率性の達成という意味での 有効性をもち得ることを強調している(岡:96;岡・諸富:96-7)< 7)植田(96: 114)によれば、緑のマーク手数料は外部費用としてのゴミ処理費用に厳密に

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対応しているのではなく、したがってポーモル-オーツ税の性格をもつのではなく、回収 率という目標率の設定によって、政策目標に向けての効果的な「モニタリング・システム」 と把逸している。 8) [K/L!J]は、 DSDをリサイクルのまやかしと捉えているDSD-の賛否の内容につ いては、 (K/L/∫) (植田94)が詳しい。 文献:

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