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看護職員の需要と供給に関する一考察⑴

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看護職員の需要と供給に関する一考察⑴

玉 川 淳

目 次

Ⅰ.はじめに

Ⅱ.看護職員確保対策の沿革

Ⅲ.看護職員就業者の現状と需給の見通し 1.看護職員就業者の現状

2.看護職員の需給の見通し(以上本号)

Ⅳ.看護職員の需要把握にかかる課題 1.看護職員の需要とは

2.地域的な拡がりの範囲 3.専門性等に応じた需要

Ⅴ.看護職員の供給にかかる課題 1.確保対策のアプローチ 2.就業分野に特化した確保対策

Ⅵ.おわりに

Ⅰ.はじめに

健康な暮らしは誰しもが願うものと思われ るが,人が生存を続けていく上で,疾病にか かるリスクは不可避でもある。このため,疾 病の診断・治療を担う医療は,人々の生活に 欠かすことのできない基盤的なサービスとい う位置付けが与えられる。

我が国では,広く国民が必要な医療サービ スを受けることができるよう,これまで医療 保険制度を始めとする様々な制度の整備が進 められてきた。ここで留意すべきなのは,医 療保険によって給付を受けることができる医 療サービスの実質的な内容は,医療供給体制 によって大きな影響を受けるということであ

る。

医療供給体制については,医療が行われる 場所という物的な要素と,医療従事者という 人的な要素に大別して考えることが可能であ る。

このうち,医療が行われる場所については,

近年では在宅医療も進展がみられるものの,

依然として大きな比重を占めているのは病院 や診療所といった医療機関であり,病床や医 療設備がその重要な構成要素である。

一方,医療従事者については,医師,歯科 医師,薬剤師,看護師,診療放射線技師,臨 床検査技師,理学療法士,作業療法士などの 医療関係職種から構成される。

医療従事者の中でも,医療供給体制との関

(2)

係で最も焦点が当てられるのは,医師の配置 のあり方の問題である(1)。何故ならば,医師 は患者の治療に当たるチームのリーダーとし て医療全般に関わるとともに,診断を通じて 医療需要の存否を判断するという役割を果た すべき立場にあると考えられるからである。

他方,看護職員(2) についても,医師ととも にあらゆる医療現場において必要とされる基 盤的な人材であり,現に病院で就労している 者のうち最も多くの人数を占めている(3)

このため,看護職員については,医療法(昭 和 23 年法律 205 号)に基づく配置基準が具 体的に定められるとともに(4),診療報酬制度 においても入院基本料の算定に当たって7対 1看護など看護職員が当該医療機関にどの程 度勤務しているかが評価の対象になってい る。

したがって,看護職員の需要と供給に関す る課題について検討することは,医療供給体 制のあり方を考察していく上でも重要な意義 があるものと考える。

ところで,医師も看護職員もともに医療専 門職ではあるが,相違する特徴もある。こう した点を整理しておくことは,需要や供給の 検討に際しても参考になるものと考えられ る。

前述したとおり,医師は,患者の診断治療 に関し,医学的な最終判断を行うという役割 を担っている。このため,一人の医師として 実務に携わるまでに習得すべき医学的な知識 は量的に膨大なものが必要とされ,医学的な 理解の深さも求められる。必然的に十分な修 業年限のカリキュラムを修了することが欠か せない。

これに対して,看護職員は,次節以降で取

り上げるように多様な医療現場で必要とさ れ,かつ相当数の人員の配置が求められてき たことも影響して,免許取得に至るまでの教 育課程が一元化されていないのが現状であ (5)

なお,医師については,医学部入学定員の 抑制が行われていたが(6),看護職員の養成課 程については,そのような方針が導入された ことはこれまでなかった。

就業形態に関しては,看護職員の場合,多 様な医療現場で就業しているものの,その中 でも基幹的な位置を占めているのは病院の病 棟業務である。そこでは,夜勤を含む交代制 勤務が原則とされており,チームの一員とし て就業することが前提となっている(7)

また,法律上女子に限定される助産師 を除き,性別に関して看護職員の法制的な取 扱いには差異が設けられていないが,従前か ら女性が多い職業であった(8)。このため,夜 勤を含む交代制勤務が中心となっている就業 場所において,出産,育児等のライフイベン トへの対応について勤務管理上,どのように 就労形態等の工夫を図ることができるかが課 題となっている(9)

このように,医療関係の専門職といっても,

医師と看護職員とでは異なる特徴も見受けら れる。これらの違いがその需要と供給にどの ような影響を与えるのか。そもそも,一般的 な就業者の需要と供給と,医療従事者の需要 と供給とでは,どのような点が相違している のか。看護職員の需要と供給に固有の課題と しては,如何なるものが存在するのか。医療 供給体制のあるべき姿を論じるに当たって は,これらの問題への回答も用意しておくべ きであろう。

(3)

看護職員の需要と供給に関する課題に対す る具体的な考察は,現在の看護職員の就業状 況や近い将来の見通しに関する正確な情報に 基づいて行われるべきである。また,現在の 就業状況が創出されたのは,時代の要請に応 じて講じられてきた各種施策の積重ねの結果 であることも留意すべきである。

このため,本稿では,看護職員の確保対策 に関する沿革を概観した上で,看護職員の就 業者の現状を紹介し,これまでに示されてい る今後の看護職員の需要と供給の見通しにつ いて説明した後,看護職員の需要把握にかか る主な課題について検討し,続いて看護職員 の供給にかかる主な課題についても論じるこ ととする。

なお,本稿において現行制度の評価など意 見にわたる部分については,筆者個人の見解 である。

Ⅱ.看護職員確保対策の沿革(10)

看護職員の中で最初に法令に基づく資格化 が行われたのは助産師であり,明治 32 年に 産婆規則が制定された(11)

我が国の看護については,明治維新の際の 彰義隊の傷病兵に対する救護をその嚆矢と し,西南の役,日清戦争,日露戦争を経て著 しい進歩発達がみられた。看護婦の増加に伴 い,これを全国的に規制する必要が高まった ことから,大正4年に内務省令として看護婦 規則が制定された(12)

第二次世界大戦後,保健婦,助産婦,看護 婦の資質の抜本的な改善を図るため,連合国 総司令部(GHQ)公衆衛生福祉部と厚生省の 間で協議が重ねられ,昭和 22 年には,国民医

療法(昭和 17 年法律 70 号)に基づく委任命 令として,保健婦助産婦看護婦令(昭和 22 年 政令 124 号)が制定された。

国民医療法は昭和 23 年に廃止されたが,

保健婦助産婦看護婦令の内容は新たに制定さ れた保健婦助産婦看護婦法(昭和 23 年法律 203 号)に引き継がれた(13)。同法においては,

養成課程や試験の違いによって甲種看護婦と 乙種看護婦が規定されたが,昭和 26 年の同 法の一部改正(14) によって甲種と乙種の区別 が廃止されるとともに,中学卒業後修業年限 2年の養成所を経て都道府県知事の試験を受 ける准看護婦の制度が新設された(15)。看護職 員に関する資格法制としては,この時代に形 成された枠組みが現在に至るまでほぼ維持さ れている。

他方,医療保険制度においては,昭和 33 年 に基準看護制度が創設され,病院の看護 体制の充実が図られるようになった。その一 方で,看護婦の労働条件の改善を要求するス トライキも全国各地の病院で行われるように なった。

このような状況の下で,昭和 36 年には国 民皆保険が達成され,公費負担制度の充実も あって,国民の受診量が増大したことに伴い,

医療機関の整備も急速に進展し,看護職員の 需給の不均衡が顕在化することとなった。

このため,厚生省は,昭和 37 年度から看護 学生に対する就学資金の貸与制度を開始し,

昭和 38 年度からは看護職員の養成施設の整 備費に対する国庫補助を拡充した。

さらに,昭和 35 年に厚生大臣の諮問機関 として設置された医療制度調査会は,昭 和 38 年に中間報告として医療制度全般に ついての改善の基本方策と題する答申を

(4)

行った。同答申において,看護婦確保につい ては,看護婦の需給計画を立て,そのための 奨学金制度,施設整備,運営費に対する財政 援助,未就業者の活用対策を促進すべきこと が提言された。

また,昭和 38 年には,全日本国立医療労働 組合から人事院に対し国立病院及び国立療 養所に勤務する看護婦,准看護婦,助産婦の 夜間勤務規制などに関する行政措置要求が 提出された。これを受けて,人事院は,全国 28 か所の国立病院と国立療養所で 2000 人以 上の看護婦,准看護婦について調査を行い,

昭和 40 年に判定を示した。同判定は,1か 月約8日を月間平均夜勤日数の目標とするこ と,計画的に1人夜勤の廃止に向かって努力 すべきであること等を内容とするものであっ (16)

この夜勤2人以上月平均夜勤回数月 8回以下は略してニッパチと呼ばれ,

多くの医療機関では看護婦などの処遇につい て公務員における取扱いを1つの標準として いたことから,全国的にニッパチ闘争が展開 されるようになった。

昭和 42 年度には,未就業看護婦講習会が 国の予算で始められ,さらに,昭和 45 年度か らは民間看護婦等養成所に対する運営費補 助,昭和 47 年度からは看護婦等共同利用保 育施設に対する補助が開始された。

このように様々な施策が講じられるように なったものの,引き続き看護職員の不足は大 きな社会問題であったことから,厚生省は,

厚生大臣の私的諮問機関であった社会保障 長期計画懇談会(座長;有沢広巳東京大学名 誉教授)において,昭和 49 年に看護婦需給 5か年計画をとりまとめた。この第一次需

給計画においては,同年末に 39 万3千人の 就業者数を昭和 53 年末に 49 万人とすること を目標としていた(17)

上記需給計画に沿って看護職員確保を図る ための対策の一環として,昭和 50 年度から,

全都道府県にナースバンクが設置され,就業 希望者に対して新しい医学・看護等の情報を 提供するとともに,職場復帰を一層容易にす るための無料職業紹介事業が開始された。

その後,人口の高齢化,医学・医術の進歩 に伴う医療需要の増大等の問題,看護職員の 勤務条件改善に対応するために看護体制検 討会が設置され,昭和 54 年には新たな護婦需給計画が策定された。この第2次看 護需給計画においては,昭和 60 年末に 66 万 4千人の就業者を確保することを目指してい (18)

医療資源の地域的偏在の是正と医療施設の 連携の推進を目指した昭和 60 年の医療法の 一部改正(19) により,各都道府県に医療計画 の策定が義務付けられ,2次医療圏ごとに必 要病床数等が定められることとなったが,結 果として改正法の施行を前にいわゆる駆け込 み増床が発生し,著しい看護職員不足を招く こととなった。

このため,平成元年に新たな看護職員需 給見通しを策定したが,地方の医療ニーズ が多様化してきたこと等から,同需給見通し においては,都道府県の必要看護職員数を ベースとして,都道府県ごとの需要及び供給 の見通しをとりまとめることとなった(20)

平成2年に高齢者保健福祉十か年戦略

(ゴールドプラン)が策定されるとともに,

週 40 時間労働制等の労働条件改善に伴って 更なる看護職員の需要が見込まれることとな

(5)

り,看護職員の不足問題は社会的にも大きな 問題となった。

このような状況の下,平成2年に厚生省に 設置された保健医療・福祉マンパワー対策 本部は,平成3年に中間報告をとりまとめ た。同報告においては,看護婦等の確保を図 るため,社会的評価の向上,夜勤等の労働条 件の改善,養成力の強化,就業の促進等につ いての各般の施策を講ずるとともに,平成元 年に策定された看護職員需給見通しの見 直しに着手する必要があると提言された。併 せて,需要が高い職種を中心に,保健医療・

福祉人材確保についての法的措置も含めた対 応も今後検討する必要があると指摘された。

上記の中間報告を受けて,平成3年末に護職員需給見通しの見直しが行われ,平成 12 年における需要総数を 115 万9千人と見 込み,需給を均衡させていくことが目標とさ れた(21)

さらに,平成4年には,急速な高齢化の進 展や医療の高度化等の状況に対応して,国民 の保健医療に資する視点から,看護婦等の人 材確保のための措置を講じようとする看護婦 等の人材確保の促進に関する法律(平成4年 法律 86 号)が制定された(22)

平成9年に成立した医療法の一部を改正す る法律(平成9年法律 125 号)により,都道 府県が定める医療計画において医師及び歯 科医師並びに薬剤師,看護婦その他の医療従 事者の確保に関する事項が必要的記載事項 とされることとなった(23)

平成 12 年には,介護保険制度の実施状況 や第4次医療法改正など医療提供体制の変革 期であることを踏まえ,平成 17 年までの5 年間を見通し期間とする第五次の看護職員需

給見通しが策定された(24)

これに続き,平成 17 年末には,平成 18 年 から平成 22 年までを見通し期間とする第 六次看護職員需給見通しが策定された(25) もっとも,第六次看護職員需給見通しの策 定から間もない平成 18 年度の診療報酬改定 において,入院基本料における7対1看護が 新たに導入され,これが医療現場における看 護職員確保に大きな影響を及ぼしたものとみ られている(26)

平成 22 年末には,平成 23 年から平成 27 年までを見通し期間とする第七次看護職員 需給見通しが策定されているが(27),その内 容については,次節で紹介する。

以上が,看護職員の確保対策に関するこれ までの沿革である。

これを要約すれば,関係する資格制度が 徐々に整備され,終戦を迎えた頃から医療需 要の増大に配慮した看護職員の養成が急速に 進められ,その後,国民皆保険が達成され,

医療機関の整備や労働環境の改善に伴って看 護職員の需要も更に増大することとなり,こ れに応じて養成強化を中心とした各種施策が 講じられ,その中で需給見通し(計画)とい う計画的な手法も導入された。医療機関の病 床規制も実施されるようになったが,ゴール ドプラン以降,介護・福祉分野における需要 も急増するとともに,看護の質の向上が求め られる中で,医療の高度化等に伴う看護職員 に対する需要は,少子高齢化の一層の進展を 迎えつつも増加し続けている状況である。

(6)

Ⅲ.看護職員就業者の現状と需給の見 通し

1.看護職員就業者の現状

平成 22 年現在の看護職員の就業者数は 147 万 421 人であり,職種別にみると看護師 が 99 万 4639 人(67.6%)で最も多く,次い で准看護師が 38 万 9013 人(26.5%),保健師 が5万 4289 人(3.7%),助産師が3万 2480 人(2.2%)となっている(28)

就業場所別の就業者数については,病院が 最も多く 91 万 1400 人(62.0%)(29),続いて診 療所が 30 万 9296 人(21.0%)で,以下は居 宅サービス等が4万 2946 人(2.9%),介護老 人保健施設が4万 1367 人(2.8%),市町村が 3万 4723 人(2.4%),介護老人福祉施設が3 万 2231 人(2.2%),訪問看護ステーションが 3万 301 人(2.1%),社会福祉施設が2万 590 人(1.4%),看護師等学校養成所・研究機 関 が 1 万 5943 人(1.1%),事 業 所 が 1 万 1251 人(0.8%),保健所が 8502 人(0.6%)

などとなっている。

看護職員全体でみれば就業者数は,平成 20 年から平成 21 年の1年間で3万 6439 人,平 成 21 年から平成 22 年の1年間で3万 6649

人増加をしている。

これを増減の要因別にみると,新規に資格 を取得して就業した者が約4万7千人あった 一方で,離職した者が約 12 万8千人(30),再就 業をした者が約 11 万8千人(31) あったことか ら,全体では約3万7千人の増加となってい る。

また,看護職員の免許を有していながら,

看護職員として就業していない者(いわゆる 潜在看護職員)も少なからず存在しており,

平成 14 年の厚生労働省の推計では,約 55 万 人に達していたものと考えられていた(32)

昭和 35 年当時における看護職員数は 24 万 4097 人であったので,看護職員就業者数は,

この半世紀の間に約6倍にも増加したことと なる。さらに,これを看護師だけの就業者数 の推移でみれば,昭和 35 年には 10 万 5800 人であったので同期間に約 9.4 倍に増加した ことが分かる(表1)。

なお,10 年ごとの看護職員数の推移をみる と,昭和 45 年に 34 万 9251 人(10 年間で 10 万 5154 人の増),昭和 55 年に 56 万 4177 人

(同じく 21 万 4926 人の増),平成2年に 83 万 4190 人(同じく 27 万 12 人の増),平成 12 年に 116 万 5319 人(同じく 33 万 1129 人の

表1 看護職員の就業者数と病院の病床数の推移

看護職員の就業者数

(人) 看護師の就業者数(再掲)

(人) 病院の病床数

(床)

昭和35年 244,097(100.0) 105,800(100.0) 686,743(100.0)

昭和45年 349,251(143.1) 139,239(131.6) 1,062,553(154.7)

昭和55年 564,177(231.1) 261,613(247.3) 1,319,406(192.1)

平成2年 834,190(341.7) 420,844(397.8) 1,676,803(244.2)

平成12年 1,165,319(477.4) 679,955(642.7) 1,647,253(239.9)

平成22年 1,470,421(602.4) 994,639(940.1) 1,593,354(232.0)

注)( )は,昭和35年を100とした指数である。

出典:看護職員(看護師)の就業者数は,厚生労働省医政局調べ。病院の病床数は,医療施設調査

(7)

増)で,平成 22 年までの 10 年間に 30 万 5102 人の増となっている。

前述のように,看護職員の就業場所で最も 多いのは病院であった。同期間の病院の病床 数の推移をみると,昭和 35 年に 68 万 6743 床であったのが,昭和 45 年に 106 万 2553 床

(昭和 35 年を 100 とすると 155),昭和 55 年 に 131 万 9406 床(同じく 192),平成2年に 167 万 6803 床(同じく 244),平成 12 年に 164 万 7253 床(同じく 240),平成 22 年に 159 万 3354 床(同じく 232)となっている。

したがって,看護職員数の増加については,

平成2年頃までは病院の病床数の増加への対 応がかなりの程度寄与していたものと考えら れる。これに対し,同時期以降に医療計画に 基づく病床規制もあって病床数が微減となる 中でも引き続き看護職員数が顕著な増加を続 けてきたのは,主として医療の高度化等に対 応したものであったと考えられる。

続いて,地域別の就業の動向についても概 観することとしたい。人口 10 万対比の看護 職員数(33) は,全国平均では 1030 人となって いる。これを都道府県別にみると,看護職員 数が多い5県を挙げれば,高知県(1663 人),

鹿児島県(1652 人),長崎県(1588 人),宮崎 県(1584 人),熊本県(1573 人)となってい る。これとは逆に看護職員数が少ない5都県 としては,埼玉県(692 人),神奈川県(694 人),千葉県(711 人),東京都(833 人),愛 知県(851 人)となっている。したがって,最 も多い県と最も少ない県では,2.4 倍もの開 きがみられることとなる。

しかしながら,病床 100 床当たりの医療従 事者数でみると,看護師・准看護師の合計数 は,最大で長野県の 56.6 人から,最小は茨城

県の 45.5 人までとなっているものの,その 開きは 1.24 倍にとどまっている(34)

このように,各都道府県の看護職員数は,

当該都道府県の病床数に極めて大きな影響を 受けていることが分かる。

他方,欧米諸国の医療供給体制の状況と比 較をすると,人口千人当たりの臨床看護職員 数については,日本は 9.5 人となっており,

ドイツの 11.0 人,フランスの 8.2 人,英国の 9.5 人,米国の 10.8 人と際立った差異はみら れない。しかしながら,人口千人当たりの病 床数が日本は 13.7 床であるのに対し,ドイ ツは 8.2 床,フランスは 6.6 床,英国では 3.3 床,米国では 3.1 床とかなり少なくなっ ていることから,病床百床当たりの臨床看護 職 員 は,ド イ ツ が 133.2 人,フ ラ ン ス が 123.6 人,英国では 283.2 人,米国では 350.8 人にも達しているのに対して,日本は 69.4 人と相当少ない状況にある(35)

2.看護職員の需給の見通し

前節で述べたように,厚生労働省(旧厚生 省)では,医療提供体制等を踏まえた需給見 通しに基づいて看護職員の確保を図るため,

看護職員確保に資する基本的資料として概ね 5年ごとに看護職員需給見通しを策定してき た。

ここでは,直近の需給見通しである第七次 看護職員需給見通しについて,その概要を紹 介することとしたい。

同需給見通しの策定方法については,地域 の医療提供体制の確保を担う都道府県が,そ れぞれの地域の実情を踏まえ,看護職員の需 要数・供給数の積上げを行い,厚生労働省が とりまとめることとされた。

(8)

需要数については,都道府県が病院等に対 して調査を行い(36),これに対し,病院等は,

各施設における看護の質の向上や勤務環境の 改善などの要因に関し実現可能と判断した人 数を回答し,その集計結果を基に算定された。

他方,供給数については,再就業者数の現 状等を踏まえつつ,政策効果も加味して推計 された。

その結果,看護職員の需要見通しについて は,平成 23 年の約 140 万4千人から平成 27 年には約 150 万1千人に増加すると見込ま れ,約 6.9%の伸び率となっている。

これに対し,看護職員の供給見通しについ ては,平成 23 年の約 134 万8千人から平成

27 年には約 148 万6千人に増加するものと 見込まれ,約 10.2%の伸び率となっている。

この結果,供給見通しの需要見通しに対す る割合は,平成 23 年に 96.0%,平成 27 年に は 99.0%となり,全国規模ではかなりの程度 満たされるものと見込まれている(37)(表2)。

この需給見通しを着実に実現していくため には,定着促進を始めとして,養成促進,再 就業支援にわたる看護職員確保対策について 一層の推進を図っていくことが必要不可欠で あると,第七次看護職員確保需給見通しに関 する検討会報告書は指摘している。

看護職員の離職率が改善されないと,養成 を促進しても需給状況の改善を図ることはで 表2 第七次看護職員需給見通し

(単位:人,常勤換算)

区 分 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年

需要見通し 1,404,300 1,430,900 1,454,800 1,477,700 1,500,900

① 病院 899,800 919,500 936,600 951,500 965,700

② 診療所 232,000 234,500 237,000 239,400 242,200

③ 助産所 2,300 2,300 2,400 2,400 2,400

④ 訪問看護ステーション 28,400 29,700 30,900 32,000 33,200

⑤ 介護保険関係 153,300 155,100 157,300 160,900 164,700

⑥ 社会福祉施設,在宅サー

ビス(⑤を除く) 19,700 20,400 20,900 21,500 22,100

⑦ 看護師等学校養成所 17,600 17,700 17,700 17,800 17,900

⑧ 保健所・市町村 37,500 37,600 37,800 38,000 38,200

⑨ 事業所,研究機関等 13,800 14,000 14,100 14,300 14,500 供給見通し 1,348,300 1,379,400 1,412,400 1,448,300 1,486,000

① 年当初就業者数 1,320,500 1,348,300 1,379,400 1,412,400 1,448,300

② 新卒就業者数 49,400 50,500 51,300 52,400 52,700

③ 再就業者数 123,000 126,400 129,600 133,400 137,100

④ 退職等による減少数 144,600 145,900 147,900 149,900 152,100 需要見通しと供給見通しの差 56,000 51,500 42,400 29,500 14,900

(供給見通し/需要見通し) 96.0% 96.4% 97.1% 98.0% 99.0%

注)四捨五入のため,各項目の数値の合計等は一致しない。

出典:厚生労働省

(9)

きない。看護職員の定着促進のための施策と しては,平成 24 年度予算においては,病院内 保育運営事業(38),看護職員の就労環境改善事 (39),新人看護職員研修事業(40) などが実施 される。

また,養成促進のための施策としては,看 護師等養成所運営事業(41) 等がある。

さらに,再就業支援のための施策としては,

中央ナースセンター事業(42) や潜在職員等復 職研修事業(43) が行われている。

看護職員需給見通しは,個々の医療機関等 に対して実施した意向調査も踏まえて策定さ れた比較的短期の需要予測であるが,より長 期的な看護職員の見込みについても,これま でいくつかの試算が実施され,その結果が公 表されている(44)

例えば,前述した第七次看護職員需給見通 しにおいても,厚生労働科学研究費補助金に よる研究課題地域の実情に応じた看護提供 体制に関する研究(研究代表者:伏見清秀)

の研究成果が紹介されている。

当該研究においては,社会保障国民会議に よる医療・介護費用シミュレーションの 医療提供体制に関する複数のシナリオを前提 として,平成 37 年における看護職員の需給 について推計が行われている。

現在のサービス提供体制を前提とするシナ リオの場合には,平成 37 年の需要数は,実人 員ベースで約 191 万8千人から約 199 万7千 人,一般病床を急性期と亜急性期・回復期等 に機能分化し,医療資源を一層集中投入する シナリオの場合には,約 183 万9千人から約 191 万9千人,供給数は,約 179 万8千人と いう推計結果が示されている。

このほか最近公表されたものとしては,平

成 23 年にまとめられた社会保障・税一体改 革成案に係る推計がある。

社会保障・税一体改革成案について(平

成 23 年7月1日閣議報告)の別紙2として 社会保障改革の具体策,工程及び費用試算 があり,その中に医療・介護等で重点化に伴 うマンパワー増強(2,400 億円),医療・介護 従事者 2011 年 462 万人程度→2025 年 704∼

739 万人程度(1.6 倍程度)という記載がある。

この試算の基となっているのが,第 10 回 社会保障改革に関する集中検討会議(45) に提 出された医療・介護に係る長期推計であ る。

同推計ではパターン1とパターン2の2つ の表が示されているが,このうちパターン1 では,看護職員について,実人員ベースで平 成 27 年度に現状投影シナリオでは 151∼158 万人,改革シナリオで 155∼163 万人,平成 37 年度に現状シナリオで 172∼181 万人,改 革シナリオで 195∼205 万人という推計結果 が示されている(46)

医師の需要と供給については,平成 18 年度厚 生労働科学研究費補助金日本の医師需給の実 証的調査研究(主任研究者:長谷川敏彦)の研 究総括中間報告が,医師の需給に関する検討会 報告書(平成 18 年7月)に参考資料として掲載 されている。泉田信行医療サービス供給体制 社会保障と経済3 社会サービスと地域(東 京大学出版会,2010 年)など量的な状態につい て分析したものも少なくない。また,国の医師 養成政策の変遷については,芝田文男医師不足 問題の考察―国の医師養成政策の変遷と京都府 の医師不足対策について産大法学 43(3・4)

(2010 年)1250-1215 頁が詳しい。医師の人材 確保について法律学の立場から論じたものとし

(10)

ては,国京則幸地域医療の展開のための医療の 人材確保の課題について社会保障法 26(2011 年)144-158 頁がある。

本稿において看護職員とは,看護師のほか,

保健師,助産師と准看護師を合わせたものを意 味する。これは,看護師等の人材確保に関する 法律(平成4年法律 86 号)2条1項で規定する 看護師等と同義である。なお,保健師助産師 看護師法(昭和 23 年法律 203 号)において, 護師とは厚生労働大臣の免許を受けて,傷病 者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は 診療の補助を行うことを業とする者(5条), 健師とは厚生労働大臣の免許を受けて,保健 師の名称を用いて,保健指導に従事することを 業とする者(2条),助産師とは厚生労働大 臣の免許を受けて,助産又は妊婦,じょく婦若し くは新生児の保健指導を行うことを業とする女 (3条),准看護師とは都道府県知事の免 許を受けて,医師,歯科医師又は看護師の指示を 受けて,第5条に規定することを行うことを業 務とする者(6条)をいうと規定されている。

厚生労働省平成 21 年医療施設調査によれ ば,看護職員は常勤換算で 46.7%と病院の従事 者の約半数を占め,医師(10.5%),臨床検査技 師(2.6%),薬剤師(2.4%)など各職種の中で最 大の人数となっている。

医療法施行規則(昭和 23 年厚生省令 50 号)19 条2項2号。

前掲注2のとおり,看護職員には,看護師のほ か,保健師,助産師,准看護師が含まれている。

のみならず,看護師免許取得のための教育課程 としては,4年制大学,修業年限が3年である短 期大学,看護師養成所,5年制の一貫教育校,准 看護師取得者を対象とする2年制の看護師養成 所と多岐に分かれている。法の規定をみても,

国内の学校の卒業者について,医師法(昭和 22 年法律 201 号)は,学校教育法に基づく大学にお いて,医学の正規の課程を修めて卒業した者(11 条1号)だけに医師国家試験の受験資格が認め ているのに対して,保健師助産師看護師法 21 条 は,1号から4号までのいずれにも看護師国家

試験の受験資格を認めている。

⑹ 今後における行政改革の具体化方策につい (昭和 57 年9月 24 日閣議決定)において,

特に医師及び歯科医師については,全体とし て過剰を招かないように配意し,適正な水準と なるよう合理的な養成計画の確立について政府 部内において検討を進めることとされた。

日本看護協会2011 年病院看護実態調査に よれば,一般病棟で実施されている夜勤体制は,

二交代が 59.6%と最も多く,次いで三交 42.6%,変則二交代10.4%であった(複数 回答可)。また,同調査によれば,一般病棟の常 勤看護職員の三交代(変則を含む。)の平均夜勤 回数は 7.7 回であった。

厚生労働省平成 20 年保健・衛生行政報告例 によれば,就業している看護職員の約 94.8%が 女性である。

近年は,医師についても女性比率が増大して おり,同様の課題が顕在化してきている。

本節の記述については,看護制度の変遷看 護六法 平成 24 年版(新日本法規,2012 年),

看護問題研究会編知っておきたい看護婦確保 対策の基礎知識 ’93―看護婦等の人材確保法逐条 解説(ぎょうせい,1993 年),保健師助産師看護 師法 60 年史編纂委員会保健師助産師看護師法 60 年史(2009 年)等に依拠している。

明治 32 年勅令 345 号。

大正4年内務省令9号。同規則は,看護婦の 定義,免許制,看護婦試験,業務の制限等につい て定めている。当該規則が制定されるまでは,

各都道府県の取締規則による規制が行われてい た。なお,保健婦については,昭和 16 年に保健 婦規則(昭和 16 年厚生省令 36 号)が制定された。

看護婦規則では,廃業した場合の免許返納を 定める等いわゆる業務免許という考え方がとら れていたが,保健婦助産婦看護婦令や保健婦助 産婦看護婦法では,就業実態と関係なく,登録後 は終身有効とする身分免許という考え方をとっ ていた。

昭和 26 年法律 147 号。

准看護婦制度創設の背景については,平成8

(11)

年 12 月にとりまとめられた准看護婦問題調査 検討会報告書を参照。

国立病院等では昭和 45 年度から3年計画で 2,637 人の看護婦を増員し,その結果2人夜勤の 比率は国立病院で 50%,国立療養所で 33%が達 成された。さらに昭和 57 年には,国立病院での 二・八夜勤の比率は約 83%に向上した。

実績としては,昭和 53 年末に 47 万9千人と なりほぼ達成されたものと考えられている。な お,同計画については,西三郎看護は病院に限 られるものではない―看護婦需給計画につい てのコメント―季刊社会保障研究 Vol. 10,

No. 1(1974 年)34-39 頁が当時の欧米諸国の就 業状況との対比も含め論評している。

昭和 60 年に看護職員は 66 万8千人となり,

同計画の目標はほぼ達成されたものと考えられ ている。

医療法の一部を改正する法律(昭和 60 年法律 109 号)。医療計画に係る規定については,昭和 61 年8月1日に施行された。

平成6年の就業者数を 93 万5千人とするとい う見通しであった。なお,従来の需給計画にお いては,全国レベルで総需要数を推計し,これに 必要な供給数を確保するという手法により策定 されていた。

平成 12 年の就業者数は,116 万5千人であっ た。同需給見通しについては,中村吉夫看護職 員の需給見通しと今後の課題看護学雑誌 59(6)

(1995),566-569 頁も参照。

同法の主な内容は,①看護婦等の確保の促進 に関する基本指針の策定,②看護婦等の確保の 促進に関する関係者の責務に係る所要の規定の 整備,③看護婦等の確保のための態勢の整備,④ ナースセンターの指定からなる。詳細について は,田河慶太看護婦等の人材確保の促進に関す る法律法律のひろば 45(9)(1992),39-44 頁,

田河慶太看護婦等の人材確保の促進に関する 法律ジュリスト 1007(1992),125-128 頁,阿萬 哲也看護婦等の人材確保の促進に関する法律 公衆衛生 57(1)(1993),46-49 頁,池永敏康高 齢社会に向けた看護婦等の確保―看護婦等の人

材確保に関する法律時の法令 1444,6-32 頁を 参照されたい。なお,同法は,平成 13 年の一部 法改正(保健婦,助産婦,看護婦,准看護婦とい う名称を保健師,助産師,看護師,准看護師に変 更することを内容)により,法律名が看護師等 の人材確保の促進に関する法律に変更されて いる。

現行の医療法 30 条の4第2項7号では, 師,歯科医師,薬剤師,看護師その他の医療従事 者の確保に関する事項と規定されている。同 規定については,医療計画について(平成 19 年7月 20 日医政発第 0720003 号厚生労働省医政 局長通知)において,法第 30 条の4第2項第7 号の医療従事者の確保については,医師,歯科医 師,薬剤師,看護師等の医療従事者について,将 来の需給動向を見通しつつ養成を進め,適正な 供給数を確保するとともに,地域的な偏在や診 療科間の偏在への対応を進める必要があること。

その際,医療提供施設相互間における連携体制 を構築する取組自体が偏在解消への対策になる こと(中略)。これらを踏まえ,都道府県におい ては,法第 30 条の 12 第1項に基づき,地域医療 対策協議会の活用等により医療従事者の確保に 関する事項に関し必要な施策を定めるための協 議を行い,そこで定めた施策を医療計画に記載 するとともに,公表し,実施していくことが必要 であること。とされている。

策定の方法等については,看護職員の需給に 関する検討会において検討された。需要見通 しでは,平成 17 年の就業者数を 130 万1千人で,

全国の需給がほぼ均衡するものと見込んでいた が,実際の就業者は 130 万8千人であった。な お,需要数については,看護職員の就業場所別に 推計をしている。

策定の方法等については,第六次看護職員需 給見通しに関する検討会(座長;宮武剛埼玉県 立大学教授)において検討された。短時間労働 者が増大していることから,第六次看護職員需 給見通しにおいては,需要見通し・供給見通しと も,短期労働者(パート,アルバイト等)等につ いては常勤換算を行うこととした。この結果,

(12)

平成 22 年の需要見通しは 140 万6千人,供給見 通しは 139 万1千人に達するものと見込まれた。

これに対し,実績については,平成 21 年の供給 見通しを常勤換算で 135 万6千人と見込んだも のの,同年の就業者数(実人員)143 万4千人を 衛生行政報告例の実人員と常勤換算の就業者数 の比率で常勤換算すると,132 万5千人にとど まっている。これは,需給見通しの策定過程の 途中で常勤換算の導入されることとなったため,

調査時点で常勤換算への十分な把握ができか なったためではないかと考えられている(第七 次看護職員需給見通しに関する検討会報告書)。

なお,助産師については,再掲として需給見通し を策定している。

7対1入院基本料の影響や対応等については,

小野太一看護師需給施策病院 Vol. 66(4)

(2007),298-300 頁を参照されたい。

策定の方法等については,第七次看護職員需 給見通しに関する検討会(座長;尾形裕也九州 大学大学院教授)において検討された。

! 厚生労働省医政局調べ。就業者数については,

実人員ベースのものである。

" 厚生労働省看護職員就業実態調査(平成 23 年)によれば,就業している看護職員のうち病院 の病棟に勤務している割合は,25 歳未満では約 87%,25 歳から 29 歳で約 77%,30 歳から 34 歳 で約 61%,35 歳から 39 歳で約 43%,40 歳以上 はほぼ 40%強となっている。

# 日本看護協会2011 年病院看護実態調査に よれば,平成 22 年度の常勤看護職員の離職率(年 度の平均常勤職員数に占める当該年度退職者の 割合)は 11.0%で,前年度と比較して 0.2 ポイ ントの減少であった。なお,同年度の新卒看護 職員の離職率(新卒新規採用者数に占める当該 年度新卒退職者の割合)は 8.1%で,前年度と比 較して 0.5%の減少であった。

$ 再就業者のうち,約5万3千人がハローワー ク,約7千人がナースセンターという無料職業 紹介所を通じて再就業している。

% 中田喜文・宮﨑悟日本における潜在看護師数 の推定とその世代・年齢分布の特徴社会保険旬

報 No. 2343(2008),29-37 頁では,平成 16 年末 時点の潜在看護職員数は 64 万 5969 人と推計さ れている。同推計は,厚生労働省の推計とは異 なり,看護師・准看護師別の潜在者数や潜在率も 推計しており,これによれば,看護師の潜在率が 28.28%であるのに対して,准看護師の潜在率は 47.16%に達している。

' 看護職員数は平成 22 年現在であるが,人口は 総務省統計局発表による平成 20 年 10 月の人口 で計算されている。

( 厚生労働省平成 20 年医療施設調査,厚生労 働省平成 20 年病院報告より算定。

) OECD Health Data 2011 に基づく。フランス と米国については,実際に臨床に当たる職員に 加え,研究機関等で勤務する職員を含む。

* 第七次看護職員需給見通しの策定について

(平成 21 年8月 28 日医政発 0828 第1号厚生労 働省医政局長通知)の別添第七次看護職員需給 見通し策定方針では,全数調査を基本とする施 設として,病院,有床診療所,介護老人保健施設,

訪問看護ステーション,助産所,介護老人福祉施 設,看護師等学校養成所,保健所,市町村,その 他行政機関を挙げている。これに対し,無床診 療所,介護保険関係施設等(介護療養型医療施設,

介護老人保健施設,介護老人福祉施設以外),地 域包括支援センター,社会福祉施設,事業所(行 政機関以外),研究機関については,既存統計資 料の活用又は抽出調査でも可とするとしている。

+ 地域による偏在や医療機関の規模等による偏 在がなお残り得るものであることについては,

第七次看護職員需給見通しに関する検討会報告 書でも指摘されている。

, 子どもを持つ看護職員や女性医師などの離職 防止及び復職支援のための病院内保育所の運営 等に対する補助事業。平成 24 年度予算額は,医 療提供体制推進事業費補助金 250 億円の内数と なっている(平成 23 年度予算額は,18 億3千万 円であった。)。

- 医療機関における看護職員の確保及び定着を 図るための医療機関等で行う看護職員の雇用 の質向上の取組みに対する補助事業。

(13)

. 新人看護研修ガイドラインに沿った研修を行 う病院等や新人看護研修を推進するための都道 府県の取組みに対する補助事業。平成 24 年度予 算額は,医療提供体制推進事業費 250 億円の内 数となっている(平成 23 年度予算額は,11 億8 千万円であった。)。

/ 看護師養成所における教育内容の向上を図る ための専任教員や実習経費など養成所の運営に 対する支援や助産師養成所,看護師養成所2年 課程(通信制)の新設の準備に必要な専任教員等 配置経費に対する補助事業等。平成 24 年度予算 額は,45 億1千万円。

0 未就業看護職員の就業促進を図るために,求 人・求職状況の提供や無料職業紹介などを行う ナースバンク事業等に対する補助事業。平成 24 年度予算額は,1億1千万円。なお,都道府県 ナースセンターの経費については,平成 10 年度 から一般財源化されている。

1 潜在看護職員や潜在助産師等の再就業の促進 を図るため,最新の知識や技術等に関する臨床 実務研修に対する補助事業。平成 24 年度予算額 は,医療提供体制推進事業費 250 億円の内数と なっている(平成 23 年度予算額は,2千万円で あった。)。

2 本文で紹介するもの以外では,例えば,平成 20 年にとりまとめられた社会保障国民会議の最 終報告においては,医療・介護費用シミュレー ションとして医療提供体制に関する複数のシ ナリオを前提とした 2025 年段階における推計結 果が示されている。これによれば,現状投影シ ナリオでは,2025 年の看護職員の必要量は 169 万6千人から 176 万7千人,改革シナリオは3 パターン推計されているが,このうち B2 シナリ オでは 194 万7千人から 202 万9千人が 2025 年 の看護職員の必要量と推計されている。また,

川越雅弘看護師・介護職員の需給予測季刊社 会保障研究 Vol. 45,No. 3(2009 年)214-228 頁 は,2025 年時点の推計看護師数(病院,有床診療 所,無床診療所,在宅サービス(介護),居宅系 サービス(介護),特養・老健(介護)における看 護師と准看護師の合計)を 157 万 6149 人と推計 している。

3 同会議は,平成 23 年6月2日に開催された。

4 平成 37 年度の改革シナリオの看護職員の 195 万∼205 万人に,医師,介護職員,医療その他職 員,介護その他職員を合計した人数が社会保障 改革の具体的策,工程及び費用試算にも記載さ れている 704∼739 万人である。

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