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ウイクセル効果と資本 −ウイクセル資本理輪における若干の問題点−

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(1)

ウ イ ク セ ル 効 果 と 資 本   − ウ イ ク セ ル 資 本 理 輪 に お け る 若 干 の 問 題 点 −

児 玉 元 平

ウイクセルの資本理論乃至分配理論をして︑彼以前の理論よりもより近代的ならしめているものは︑生産函数とい

l

う概念の陽表的な導入である当彼は︑生産函数に一次の同次性を仮定して使用している︒ヒックスも︑ウイクセルが生

産函数を明示的に使用している点を指摘しているが︑分配の生産函数理論の創設者の中に︑ウイクセルを含めていな

い︒ヒックスはいう︒﹁ヂェボンズ︑マーシャル︑ワルラス︑パレート︑メンガー︑ベエームーバヴェルクには生産

函数は存しない︒ウイクセルにある︒しかし︑彼は注意深くそれを資本のない生鹿のモデルに限定している︒⁝⁝分 2 配の生産函数理論の創設者は︑ウイクステッド︑エヂウォースとピグーであった可﹂ところで︑ウイクセルは︑最初

その生産函数における資本の代りに︑生産期間という概念を使用した︒この生産期問という概念はベエーム・バグエ

ルクより継承されたものであり︑資本家的生産における時間的要素の演ずる役割を強調するために使用された概念で

あった︒資本の本質は︑この生産過程における時間的要素と結び付いたものであった︒ウイクセルによれば︑﹁この

生産期問という新しい概念は︑経済学の最も複雑な問題︑いままで説明されておらない問題を組織的に解明すること 3 を目的とする︒﹂そ㍉サしまたこの概念は経済的諸力の作用する一般的方向について十分に明確な見通しをあたえるこ

(2)

経 営 と 経 済

S

佳 ﹁なんらの量的評価を試みているものではないのである︒﹂それでも︑生産期間の測定性は一九三 O とを目的とし︑

年代の資本理論における論争の中心テ i マ!となった︒そして︑また︑この激しい論争の割合にその帰結が相対的に

不毛的であった︒生産期聞をめぐる長き論争に︑或る感味で︑終止符をうったと考えられるカルドアは︑平均生産期

h u

聞はある場合にも意味ある概念であるが︑それは動態的経済には不適切な概念であることを指摘している︒

現代の資本理論においては生産期間という概念はあまり使用されなくなっている︒ヒックスはかつてつぎのように

述 べ

た ︒

﹁資本の研究に進む者は殆んどことごとくがどこか或る段階でベエ i ム・パヴエルクの理論の犠牲となる︒

資本主義生産を時間を要する生産として定義すること︑用いられた資本畳を用いられた時間量の指標として定義する

乙と︑利子下落の生産構造に及ぼす効果を︑用いられた時間量の増加にあるのもとして定義する乙とーーすべてこれ

ら の 思 想 は ︑ 一見打克ち難い表面上の明断さをこの主題にあたえている︒この理論は︑それに対して申立てることの

できる比較的明白な具論には︑非常によく対抗できる︒が︑進むにつれて︑困難は加わってゆく︒ ﹁生産に要した時

間﹂の定義はますますむづかしくなる︒だから︑大抵の人々は︑それの代りとなるものは大してもたないで︑結局は

h u

この理論を放棄するの止むなきことを悟るのである︒﹂代替的な理論を見出すためには︑まず︑オーストリア理論に

おける真理の核心を発見しなければならない︒ 一般的にいって︑オーストリア理論のめざすものは︑生産計画の性格

を示す指標であった︒平均生産期間︑投資期間の概念はその分析用具の一つであった︒それは︑彼等の取扱った単純

な場合には有効であった︒しかし︑ 一般的な有効性を要求しようとした時彼等の理論のもつ限界が明白となった︒こ

れが︑ヒックスのあたえた批判であったいヒックス自身は︑利子と生産計画との関係を分析するにあたって︑余剰流

門 t 列の平均期間という概念を展開している︒最近においてはデュ l イは︑生産期間という概念は︑資本理論より追放す

べきであると主張している︒彼は生産期間という概念は︑資本財評価についてそしてまた資本蓄積と技術進歩や節約

(3)

を規制する要因を追求するには有効な概念ではないとし︑利子の取得︑資本財の生産性の問題は生産期間の概念を資

円 む

本理論に導入せずとも論ずる乙とができるとしている︒ロパ l ト・ソロ l の﹁資本理論と収益率﹂もまた乙の傾向を

n u  

代表しているものと考えてよいであろう︒もっとも︑現代の理論がすべて生産期間の概念をもって測定不能の概念と

して放棄しているわけでは附ぃ︒たとえば︑ドルフマンは生産期間の概念を浴槽定理

g s g σ

§ 8 3 5

の比愉をも

って積極的に活用している︒しかし︑計量性を重視する今日の理論的傾向は︑相対的に結実性のすくない生産期間と

いう概念を排して︑より容易な途をたどりながらも深く資本問題を追求しうる分析用具の発見に努力している点にあ

るといってよい︒われわれは︑この小論において︑ウイクセル資本理論においてなされた資本畳表示の方法に関連す

る若干の問題点を考察するであろう︒

ウイクセル資本理論の展開は︑これを概略的にいって三つの段階を経過している︒第一の段階は︑

び地代﹂において展開された資本分析である口乙の段階ではいウイクセルは平均生産期間の概念を積極的に使用して

いる︒第二の段階は﹁経済学誌義﹂における資本分析であり︑この段階では︑生産期間の概念についてはやや懐疑的

である︒第三の最終的段階は︑ウイクセルがオ l カ l マンの﹁実物資本と資本利子﹂の論評として発表した論文

( H ω

ω ω )

において展開された資本分析である︒固定資本財が取扱われている︒そこで︑われわれもまたこの三つの段階を ﹁価値︑資本及

通じて資本量表一万に関連する問題を吟味しよう︒

土地を自由財とする定常的経済を想定し︑各個の企業における消賀財の生産函数は同一であると仮定し︑労働一単

位当り年生産物の価値を p ︑生産期間(絶対的生産期間)を t ︑年当り賃金率を w ︑利子率を i で示さう︒生産函数

ウ イ

ク セ

ル 効

果 と

資 本

(4)

経 営 と 経 済

l ま

H U

H

同 ( 仲 )

(ω‑H) 

で示さう︒乙の函数はつぎの性質をもっ︒

︑ ( 仲 )

o d

︑ ( 仲 )

︿

o d

( ω

・ ω )

資本は労働にたいする前払として必要に応じて均一的に支払われるものと仮定されている D

A 川 司 ││ウイクセルはこれをまた資本の投資期間と定義している

d I

1 1

1

¥

ω

である︒いま︑単利計算では利子総額は

そこで︑平均生産期間

~勺

o  < +  

+ N  

三 食

u d ︿ 片

山 ー

( M ・

ω )

賃金支払額はさア労働者一人あたりの生産物の価値は

(j)  1 1  

+  当

ω ¥ c ;  

( ω

・ ム )

γ

7 2 :

山 卜

)

( ω

・印)

いま︑資本家的企業者は所与の w の下で利子率 i を極大ならしめる最適生産期間を選択するものと仮定しよう︒右の

式 よ

り ︑

1 1  

ド コ

( 司 ld

︿ )

者 仲 ( M ・ 0)

この式を t について微分して極大化条件を求め'る︒

(5)

炉斗、

ド. . . . .  

r 、 r 、

r + ‑ r + ‑

1...  ... 

t0 1 巧 λ

r + ‑ 1 1  

( ω

・吋)

( ω

・ ∞

)

この式の左辺は︑生産期間の変化にもとづく労働者一人当りの年生産物の変化を示し︑これは︑迂回生産の限界生産

物とよばれる︒これは︑期間当りの利子額にひとしい︒乙れを付加的資本当

¥ ω

で 除

し た

も の

︑ ( 件 )

当 ¥ ω

HH

( ω

・ C )

は︑資本の限界生産物を示し︑これは︑利子率にひとしい︒これは︑ミクロ的経済の水準における結果である︒とこ

ろで︑ウイクセルは︑乙のミクロ的水準の結果を︑そのままマクロ的水準に・つつして︑資本の社会的限界生産物は利

子率にひとしいという表現におきかえてはならないという︒乙れが︑所謂ウイクセル効果の指摘である︒このウイク

セル効果の指摘によって︑ウイヲセルは︑チユ i ネンやベエ l ム・パヴェルクによって無視されたミクロ分析とマク

ロ分析との聞のギャップを明確にしようとしたのである︒ウイクセルはつぎのように述べている﹁周知のごとく︑

チ ユ

i ネンは︑平均賃金は最後の労働者の生毘物に依存すると述べたと乙ろの彼の有名な命題に類似した利子率の法

則を樹立した︒この法則によれば︑利子率の水準は︑最後に投資された資本部分の生産性に依存する︒乙の定理とベ

エ l ム・パヴルクの定理との一致は明らかであり︑且つベエ l ム・パヴエルクの正しく強調するところである︒ただ

︑乙こで留意しなければならぬことは︑それは︑常に個別的企業者の問題であるという乙とであり︑その場合︑賃金

はあたえられたものであり︑またそう仮定されねばならぬ︒乙の定理は︑国民資本の増加︑またそれによって生ず

円 切

る余剰収益には決して適用できない︒﹂また︑別の個処で︑利子率は生産物の最終的増分と生産の最終的拡大を可能

にする生活資料の額との関係より導き出さるべきであるというベエ l ム・パヴエルクの言葉を批判して︑ウイクセル

ウ イ

ク セ

ル 効

果 と

資 本

(6)

経 営 と 経 済

‑‑L / ¥  

はつぎのように述べている︒ ﹁しかし︑さらに限定がなければ︑この言葉は人をして誤解せしめ易い︒不変の賃金率

でという言葉をこれに付加する必要がある︒そして可能にするという言葉は生ぜしめるというような言葉によって代

置されるべきである︒しかし︑その場合︑この叙述は︑最高可能な利子水準に達しているという事実の結果を単純に

示しているのにすぎず︑利子の性質をこれ以上に明らかにしているものではない︒しかし︑乙の文章のいいまわしか

ら︑もし︑国民資本の増大が︑生産期間の延長を生ぜしめるならば︑労働者の数が不変であると︑乙の生産期間の延

長からえた余剰収益を問題の資本増加によって除したものが︑近以的に利子の水準をあたえるであろうと信ぜしめる

かもしれぬ︒乙れは明らかに誤りである︒乙の割算の結果は︑常に利子より小であり︑さらに︑それが最小限の変化

の問題であっても︑一定量だけ小である︒このことは︑国民資本のこの増加は︑賃金の上昇をともなって部分的に資

本を吸収し︑乙の結果︑現実になされた生産期間の延長は︑賃金率が不変であれば可能である生産期間の延長よりも

常に小であるという事実と関係しているのである︒﹂ ﹁もし︑われわれが︑社会の総資本の増加(減少)を考察する

刑 υ ならば︑その結果として生ずる社会の総生産物の増加(減少)が利子率を規定するということは決して真実ではない

o U

マクロ的経済の水準では国民資本の増加は︑一部分は︑賃金の上昇に吸収される結果︑資本の社会的限界生産物と利

子率とが離反するというのが︑ウイクセル自身によるウイクセル効果の説明である︒ウイクセル効果は︑完全競争的

なマクロ経済における社会的資本についてのみ生起する現象であり︑他の生産要素については発生しないのである︒

ウイクセルは︑このような資本の社会的限界生産物と利子率との聞に生ずる離反的現象についてその理由を﹁経済学

講義﹂の段階において説明している︒ ﹁この奇妙な離反(資本の社会的限界生産物と利子率との聞の)説明は全く単

純である︒労働と土地とはそれぞれ︑それ自身の技術的単位(労働日︑労働年月︑年当りエ l カ)で測定されるが︑

資本は交換価値の和として計算される︒換言すれば︑各特定資本財は︑それ自身にとって外生的な単位で測定される︒

(7)

もし資本もまた技術的な単位で測定せられるべきであるならば︑この欠陥は是正され︑各生産要素の社会的限界生産

力と個別的限界生産力との一致は完全となる︒しかし︑その場合︑生産資本は︑道具︑機械︑原料等というような汐

数のカテゴリーに配分されねばならぬ︒そこで︑生産における資本の役割について統一的な取扱いは不可能となる︒﹂

労働と土地については︑ウイクセル効果は発生しない︒﹁労働と土地については︑限界生産力の法則は︑全体として

の経済にもまた︑全ての私的企業にも共に適用される︒ユ l ルは︑その一般的根拠の一つとして︑労働と土地の用役

はそれ自体としては直接に貯えることはできない︒それらは︑実物資本の形態においてのみ貯えることができるから

川 げ 山 戸 であるとしている︒第一段階の分析で取上げた資本は生活基本としての流動資本であるが︑その場合でも︑資本価値

測定の問題がウイクセル効果の基底にあることは明白であり︑賃金率の変化と資本価値変化との関係が吟味されねば

な ら

な い

ここで︑われわれは︑ マクロ的経済の水準に移行しよう︒経済の労働量を A で一不じ︑所与とする︒労働者一人の雇

用に必要な資本は A 一雇用に必要な総資本は﹀者仲

¥ ω

である口社会の実物資本存在量を K で示し

所与とする︒ウイクセルではこの K は生産物で測られている︒そ乙で︑完全一雇用の均衡条件は︑

開 ハ

U ﹀

d i ¥ ω

4 2 ¥ ω

で あ

る か

ら ︑

( ω

‑ H O )  

で示される︒四つの独立方程式︑四つの未知数P︑ w ︑ i ︑ t が存在する︒モデルは一見完結しているように見える 0 ・ 5

)

の式はまた通常新賃金基金説とよばれる賃金決定の仕方を示している︒即ち︑乙の式では︑賃金水準は全労

働者数と平均生産期間との積でもって生存基本を除した商として規定せられる口これが︑古き賃金基金説とことなる

ところは︑平均生産期間という資本家的生産プロセスに関連する概念が陽表的に取り入れられているという乙とであ

って︑賃金率がたんに固定的な数量の商としてきまるのではなくて︑あくまで︑資本家的行動の様式に依存する関係

ウ イ

ク セ

ル 効

果 と

資 本

(8)

経 営 と 経 済

J¥ 

を明らかにしているのである︒

国民生産物を Y

で 示

す と

d ‑

H

﹀ 同 ( 仲 )

( ω

・ 一

戸 )

こ れ

を ︑

A について微分して︑

Q)IQ) 

> ‑ 1 ペ

日 向 ( 仲 ) +

﹀ で ( 仲 )

p".1p". 

> ‑ I

c‑t・

( ω

MM)

( M ・ 5

)

よ り

H H  

Hω)

乙 れ

よ り

(ω‑Hkp) 

これは︑労働の増加にもとづく一人当り労働で測られた資本の減少︑したがって︑生産期間の縮少にもとづく生産量

の減少分を示している︒そこで︑労働者一人の追加によって生じた国民生産物の純増分は︑

匂 ペ

匂﹀

ー 同 ( 仲

) l

氏 ︑

( H )

(ω‑M

印 )

こ れ は

( ω

・ 0 により︑賃金率にひとしい︒労働の社会的限界生産物は賃金率にひとしい︒生産函数に示された生産期

問 t は労働で測られた一人当り資本に対応する︒これはまた︑

る︒ところで︑経済の存在資本量は生産物で測定されている︒ ロビンソンで実質資本比率と称せられたものに相当す

つ ぎ

に ︑

0 ・

HH)

を K について微分して︑

(9)

一色ヱ ‑=A 一生 L̲ (2.16)  θK 

~~

d  K 

器地 Q. l-J--\J v' 凶:!!剖悩 ~~F 莞~i\.kドニl'(ð

~ν }J ~'凶:!!診ベ J判ベ JQ1108$ 回以 4ヰユド閥会三~l'(ð O

dK= ←立五 -dw 十一立 ~-d t  (2.).7)  。 t

/1

十 (t d  w 十 w d  t  )  (2ω 

o.l::2. 0 ニド:!!' d  p=f'(t)d  t  (2.19) 

A  ~!r-=AI 瓦 r_(~ 江主 1 

‑→一日・•

d  k‑L  2(;t  d  w+wd  t  )」

2f'(t)d  t  tdw+wdt  (2.20) 

11  (2.21) 

dw= ー( t  f"  (  t  )d t) 

ド崎l'(ð~ミ~i\ '組 *8 点.q H~~ 臣民告{世 j~:!!'

θY  2f'  (  t  )  a  K  w‑t 2 f"(  t) 

ベ J .t6l'(d

O

~卜 4→時:!!' (2.22)  (2.23) 

f'(t)d  t  wdt  2  f('  t  )  w  (2.24)  α 

心、マそ\ギミ 1史民~...IJ出*

Jh 

(10)

経 営 と 経 済

であるから︑仮定によりて(仲)︿ O を考えれば

匂 ペ

¥ 喝

︒同

J B

資本の社会的限界生産物は利子率よりも小となる︒もし︑賃金率を一定とすれば︑資本の社会的限界生産物は利子率

( M

‑ M

印 )

と一致する︒しかし︑ マクロ的経済の水準では︑賃金率を変数として取扱うならば︑社会的資本の増加は︑賃金率を

上昇せしめる︒賃金率の変化は︑資本価値を変化せしめる︒乙れが︑ウイクセル効果である︒このような効果を資本

分析の表面ではっきりと指摘したところにウイクセルの重要な寄与があった︒ウイクセルによるウイクセル効果(こ

の用語はウ l ルによって初めて使用された)の指摘を最も高く評価するロビンソンはつぎのように述べている︒

﹁ ウ

イクセルによって発展させられた説明によれば︑商品で測った資本存在量の価値は︑単に所与であるにすぎない︒所

与の資本の価値によって提供せられる雇用量は︑実質賃金率に依存する︒賃金率がより低い場合には︑所与の型の機

械の価値はより小さい︒(ウイクセルだけがこの点を明らかにしているのであって︑このことは︑新古典派学説の教

義のなかには適切に取り入れられていなかったように思われる︒﹂ロビンソンはまた︑ ﹁ウイクセルが指摘するのは

生産期間の長さそれ自身では︑資本の労働に対する比率を決定するものではない︒けだし︑一定の生産方法に必要な

資本の価値は︑実質賃金率に依存するからである︑ということである︒これは︑生産期間の長さは︑実質資本比率を

示す過度に単純化された方法であるという反論以上に︑ベエ l ム・パヴエルクの理論に対するはるかに根本的な批判

である︒ウイクセルのとの点乙そ︑資本の蓄積及び賃金利潤の決定に関する全理論の鍵である

o

労働者数を一定と M

して︑社会的資本の増加は一部分は賃金率に吸収されて︑それだけ生産期間の延長を阻害する︒乙れが︑賃金吸収効

果︑生産期間延長阻害効果として解釈したウイクセル効果である口ロビンソンやリットルはまた生産費の側面からウ

イクセル効果を眺めている︒ロビンソンによれば︑ ウイクセル効果は︑実質賃金率の上昇によって資本財の再生産費

(11)

刑 制

川げ刷

がその歴史的費用を越えて高くなることだと定義せられる︒ロビンソンとリットルについては既に別稿で考察したか

ら︑本論では言及しないであろう︒

ウイクセル効果︑資本の社会的限界生産物と利子率との聞の離反は︑利子率を生産期間或いは投下労働量に関係せ しめ︑資本の社会的限界生産物は︑生産物で測られた資本価値に関係せしめている結果生じるのである︒ここに︑あ らためて資本価値の測定が問題となる︒そのまえに︑われわれは︑ベエ l ム U ウイクセルモデルとウイクセル効果を

グラフで要約的に示してお乙う︒

第 1 図で︑生産力函数は仮定によって上方に凸形となる︒曲線開¥﹀は直角双曲線で︑

K  wt 

王国 τ

完全雇用では︑ w と t とは逆の関係を示す︑足民金率が上昇すれば︑ K によって供給され る消費財の流量はより大なる率で減少し︑生産期間は縮少する︒労働の限界生産物曲線

( Z

H J

) はつぎのようにして求められる︒たとえば︑生産期間を任意の点

r でえらぷと

しよう︒乙の点より上方に垂直線をえがき︑生産力曲線との交点

E 点を求める︒この E 点で生産力曲線との接線をとり︑これが縦軸と交わる点を巧

H

と す

る ︒

~n 1 

F 当 リ

H

( r

) l r

問︑

( t )

( ω

‑ M O )  

で あ る

H 巧 点より垂直線開ごに向って横軸に平行な直線をえがきこれが

E H

線と交

わる点を e 点 と す る ︒

r o

の 一

品 さ

が こ

r に対応する労働の限界生産物を示す︒この ようにして︑各生産期間に対応する e 点の軌線が労働の限界生産物曲線をあたえる口こ

P4 ・1 のグラフで︑話回で示される賃金水準は同¥﹀曲線と冨司﹀曲線との交点より求められ

ウ イ ク セ ル 効 果 と 資 本

(12)

経 営 と 経 済

る賃金水準一Wよりも高い︒弓 H

の水準では個別的企業では

r

が最適生産期間である︒合理的な行動仮定では生産期

間 F

を選択しようとするであろう口確かに賃金率の上昇は他の条件を一定とする限り︑最適生産期間を延長せしめ

る︒しかし︑

マクロ水準では社会的資本

K

一定という制約条件がある︒そこで話回の水準では生産期間

F

である場 者同では F ︿ r

であるから︑労働の需要は不足し︑賃金

率は低下するであろう︒もし︑一Wの水準以下の賃金率であるならば︑労働の超過需要が生じ賃金率は上昇するであろ 合にのみ所与の資本ストックの量は完全雇用をあたえる口

ぅ ︒

一 w

と 一 t とが均衡賃金率と均衡生産期間を示す︒均衡賃金率は生産力函数を所与とすれば︑

一人当りの資本が大で

あるほど高い︒利子率は日

H M 問︑(同)¥当であるから︑生産力線の勾配は

ト ‑ + ,

r‑ 、

<+ 

1 1  

¥ ¥  

t0 

1 1  

010  月(巧│

( ω

・ ω

吋 )

利子率の水盤的より低くなる︒またで

( C V O

であるか

ぎり︑即ち︑生産期間の延長が生産的であるかぎり利子率は零とはならない︒更に︑賃金率は生産期間が零である場 合よりも正である場合の方がより高いから︑労働者は資本と協働することによって︑且つ資本の蓄積によって利益を

的 M

うける︒ウイクセルはつぎのようにいっている︒﹁資本家的貯蓄者は根本的には労働の味方である︒﹂資本の増加は

その効果が急激な労働力の増加をともなわないかぎり︑資本利子の低落と賃金率の上昇を惹起せしめる︒もっとも︑ である︒賃金率水準が高ければ︑生産期間は

よ り 長 く ︑

所得の分配率という点からいえば︑資本蓄積の効果はそれほど簡単なものではない︒賃金率の上昇は必ずしも労働所 得分配率の上昇を意味するとはかぎらないのである︒資本蓄積と所得の絶対的分配︑相対的分配との関係を吟味し︑

資本理論と所得分配理論とを総合せしめた意味で︑ウイクセルの資本理論は︑また近代マクロ的分配理論への一つの

川 V W

出発点とも考えるべきである︒ウイクセル効果は第

2

図で明らかにすることができる︒横軸には絶対的生産期間では

(13)

なく︑平均生産期間を測る︒賃金水準が話︒であると︑平均生産期間は

したとしよう︒生産期間の延長と賃金率の上昇が生じる︒新しい均衡点は吃点

o z  

にきまる︒ところで︑社会的資本が増大

出 2 図

C  N 

WJ 

で示される︒この場合︑平均生産期間(寸日円 ¥ U ) の延長は ζ

豆 ︑

で あ

る ︒

これに吸収される資本は︑総資本 O

当 悼

の 豆

のうち

Z C

C 宮

︑ で

あ る

M' 

巧 ︒

HCZ は︑賃金上昇に吸収される口即ち︑社会的資本の増大は︑労働力を一

定とするかぎり︑賃金率を引上げ︑この上昇した賃金率は延長した生産期間だ

けでなく︑全生産期間にわたって支払はねばならない︒利子率の式はむ・

ω 3

であたえられたさ

eb

はグラフでは冨

C の豆︑に相当する口そこで︑利子率

は 句

︑ の

︑ と

MH)

冨 ρ の冨︑の比で示される︒資本の社会的限界生産物の式は 0

の式で示された︒

E d

︿ ¥ ω

はグラフでは話︒ヨ HCZ に相当する︒そこで︑資本

の社会的限界生産物は︑旬︑の︑と(者︒巧 HCZ+ 冨 C の豆︑)の比で示される︒

資本の社会的限界生産物は利子率よりも小である︒

既述のごとく︑ウイクセルモデルでは︑社会的資本の存在量は生産物で測ら

れ︑所与と仮定されている︒ウイクセル効果はこの仮定と関連する︒ここに︑ウイクセルの分析にたいするいろいろ

ハイエクはつぎのよ

うに批判する︒ な批判が成立する︒まず︑ウイクセルが社会的資本の価値量を所与と仮定したことにたいして︑

﹁それが︑与件として存在する形態における非耐久的資源のストックは一定量の資本ではない︒なん

となれば︑資本は︑それを構成する諸要素の相対価値が決定された後においてのみ︑単一の大きさとして表現しうる

からである︒そして︑このような相対価値は︑明らかに︑投資期間を決定すると同じ均衡をもたらす諸力の結果なの

ウ イ ク セ ル 効 果 と 資 本

(14)

経 営 と 経 済

である︒われわれが︑出発点としなければならぬ最初の与件は︑端的にいって︑この非耐久的資源ストックを構成す

一つの価値量としての資本の量は︑投資期間

る要素の目録であり︑且つそのすべての技術的特性の目録なのである︒

と全く同様に︑与件でなく決定せらるべき未知数にぞくする︒﹂同じよな批判はまたルッツによってもあたえられて

﹁均衡においてはじめて決定されるものであるから

最初からこれを既知であるという仮定を保持しようとしてもそれは不可能である︒﹂そこで︑ルッツは︑ウイクセル

の場合には方程式が一つ不足しているという︒このような批判から︑ルッツは︑ベヱ l ムリウイクセル的モデルにつ いる︒ルッツによれば︑生存基本としての社会的資本の価値は︑

いてつぎのような評価をあたえている︒ ﹁ウイクセル︑また彼以前にはベエ l ム・パヴエルクのはたした業績は︑均

衡の条件を明らかにすることである︒しかし︑彼等は︑この均衡を︑彼等のえらんだ与件の助けを借りて完全に決定

することに成功していないのである︒﹂ルッツによれば︑生存基本としての社会的資本の価値は︑予想収益の資本化

によって求められるべきである︒そのためには︑利子率と生産期間の長さがまずあたえられねばならぬ︒しかし︑こ

れらは均衡において決定されるものである︒したがって︑資本の価値は与件とみなすことはできず︑ 一つの未知数な

のである︒しかるに︑ベエ l ム U ウイクセルモデルではこの未知数を決定するに必要な方程式が不足しているのであ

さらに前進した批判はガレニャ l ニによってあたえられる︒ウイクセルは社会資本の存在量 を生産物で測定した K る ︒

結果︑彼の分配理論を循環論に落し込ましめたのである口﹁可処分資本量がえられなければ︑均衡状態を知ることは

できない︒また︑均衡状態が成立たなければ︑可処分資本量を知ることはできない︒﹂生産物で測った資本は所与と

することはできない︒それは︑労働の賃金率︑利子率等に依存するから︑この価値は分配の結果きまり︑分配の決定

要因とはなりえないのである︒ガレニャ l ニは︑資本の社会的限界生産物と利子率との不一致としてのウイクセル効

(15)

果は︑利子率を生産期間あるいは投下労働量に関係せしめ︑資本の社会的限界生産物を︑生産物で測られた資本価値

に関係せしめているから︑生ずるのであって︑経済の資本存在量を生産物でなく︑平均期間あるいは投下労働量で測

定するならばウイクセル効果は解消するという︒そこで︑ガレニャ l ニの分析をもう少し考察しよう︒ウイクセルの

モデルはつぎの式で要約される︒

同 )H

同 ( 寸 )

( ω ‑ M

∞ )  

H u u d

︿(一戸+日叶)

( ω ‑ M

C )  

同 │

1

1

仏 1

0 . .

〉 寸 │ 甘 認 し

t ‑ : J  

h ・ . .

( ω

・ ω O )

( ω

・ ω

同 )

こ こ

で ︑

T は平均生産期間を示す︒他の記号の意味は以前と同じである︒ K は生産物で測られた社会的資本の存在量

で所与と仮定される︒ガレニャ l

ニ は

0 ・ 臼 ) に 代 え て

問 ︑

1

﹀ ︑

( ω

・ ω ω )

‑の式をあたえる

D

問︑は労働量で測られた資本である︒分配上の変化から独立しているから︑生産物で測られた場合

におけるグ資本の価値はそれ自身が分配の変化にともなって変化するので︑分配の決定因として用いることはできな ぃ d という批判から免れている︒ここで︑ガレニャ l ニは利子率について 0 ・ 8

)

よ り

1 1  

( ω

・ ω ω )

この式の分子は︑平均生産期間の長さを一年だけ延長して︑或いは平均して一人の労働者を援助する資本のうちに合

ウイクセル効果と資本

一 五

(16)

経 営 と 経 済

の式によって測定された資本の限界 まれた労働量を一年労働だけ増してえられる P の 増 分 を 示 す ︒ こ れ は ︑ ︐

c ‑ S )

生産物を示している︒そこで︑ w で除すことによって利子率にひとしくなり︑ウイクセル効果は成立しないことにな

る︒さらにガレニャ l ニはいう︑もし︑ウイクセルのごとく 0 ・

ωH)

を 使 用 す る と ︑

1 1  

+  巧

[ > [ [ >  

~I 司

→ 

( ω

・ ω k H )

また︑資本の限界生産物は同¥﹀

u w

と す

る と

︑ [ > 1 [ >  

+  当

b  巧

E 1 2  

→  + 

b  当

→ 

( ω

・ ω

印 )

となり︑資本の社会的限界生産物は利子率より小となる﹁このガレニャ l ニの証明は別段新しいものではない︒われ

われが既に証明したところであった︒しかし︑ガレニャ 1 ニはさらに進んで労働の限界生産物についても同じような

ことを証明している︒即ち︑労働量が A から(﹀

+ H )

に増加したと仮定する︒ A が非常に大きい数と仮定すると

人 中 ( 寸

1 ↓ 件 円

)

1 ー

w f

( ω

・ ω

白 )

だけ平均生産物を減少せしめる︒そこで︑総生産物の減少は︑

(﹀十回)

t I   4  

1 1  

↓ 

( ω

・ ω

吋 )

そこで︑労働の限界生産物を

d

︿︑

1

凶 ︐

( ω

・ ω

∞ )

と お

こ う

0 ・ ω

O )

より求めた利子率を

( ω

‑ M U )

に 代

入 し

て ︑

(17)

1 1  

/ ー ¥

ト J

、 、 →  ー ー ‑

1 1  

+  巧

( ω

・ ω ω )

こ の

式 よ

り ︑

H H

U l

巳 . I

p".

寸│甘

( ω

・品())

と な

り ︑

d︿HHd︿

( ω ‑ K

H H )  

労働の限界生産物は賃金率にひとしい︒ガレニャ l ニによれば︑これ

・ u u 0 S ︑

) の K を使用したからであって 0

・ 臼

)

労働の限界生産物は賃金率より大となるという︒かくて︑ガレニャ l

ニ に

と っ

て は

の k を使用すれば︑

﹁ 方

程 式

0 ・ ωω)の導入によってこの理論が獲得する論理的一貫性は︑ただ資本をこのようなタ l ムで測定するときにのみ︑

w と i とが論理上︑労働と資本の限界生産物によって決定されること証明できるという事実のうちに示されている︒

﹂と結論する︒ウイクセルにとっては既述のごとく︑労働にはウイクセル効果は生じないのである︒それは︑資本に

ついてのみ生ずるのであった︒

ウイクセル自身も︑乙のウイクセル効果を解消せしめる方法を︑後年︑オ!カ l マンの固定財を取扱ったモデルを

論評する段階

l

l オ l カ l マン問題の数学的分析

l l

i l カ l マンによると で︑流動資本についても適用している︒オ

その期聞につくられた具体的な資本︑即ち賃金上昇に吸収された部分を差いた資本を使用すれば︑チユ 1 ネンの法則

は社会的資本に妥当する︒ウイクセルはこれを流動資本についてつぎのように証明する︒本質的にはガレニャ i

ニ の

方法と同一であるロ即ち

ウ イ

ク セ

ル 効

果 と

資 本

(18)

経 営 と 経 済

J ¥  

b  同

1 1  

t01~

: : 2 ) l 江 市

(

kpM)M

k v 問 ︑

l

り (

仏当日+己件当

) 1

1 ﹀ ⁝ 勺

良 ︑

H 山

r (

仏 伴 者 )

( ω

・ 品

ω )

乙 れ

で ﹀

問 ︑

( 件

) 円

四 円

を 割

る と

0 . .

1

0 . .  

吋ペ

( ω

・ kHhp)

となり︑利子率と一致する︒ウイクセルは﹁オ l カ!マンは具体的資本の増加を計算することができれば︑この場合

にのみ︑チユ l ネン命題は社会的資本にたいしても妥当しうるという︒もし︑常にこの具体的資本をはあくすること

ができれば︑この場合︑このことは恐らく正しいことが証明されるであろう︒﹂と述べている叶しかし︑ウイクセル

は資本分析を通じて一貫して経済の資本存在量を生産物で測り所与と仮定した︒

ウイクセルは︑生産函数では資本を生産期間で︑経済の資本存在量は生産物で測り所与と仮定した︒単利計算︑流

動資本︑唯一の本源的生産要素として労働のみが仮定された︒ところで︑労働以外に土地が導入された場合︑生産函

数に示される資本を単一の生産期間で測ることが可能であろうか︒労働についての平均生産期間(投資期間)寸ヘ

土地については↓ ω とおこう︒労働者一人当りの土地を b ︑土地の単位当り年地代を r とする︒平均生産物の価値は︑

℃ 14

︿

( H +

片 寸

H ) +

吋 ず

( H +

片 斗

M N )

( M

・ h p 印 )

M U H (

さ + 吋

σ )

十円 ( さ 寸 同 十 吋 σ

叶 イ )

( ω ‑ A O )  

(19)

この式で(者同正十円 σ

叫 ︐

N )

は生産物の価値で一不され一人当りの資本を示す D

こ の 二 つ の 吋

H と 吋

ω とから単一の

T

を求めるためには︑

ョ ー さ ︑

H

︐ HE

十 円

σ

斗 ω

ト 者 十 円

σ

( ω

kp

吋 )

の式が成立しなければならない︒ T

は賃金率と地代に依存する︒生産期間は分配の結果に依存する︒労働と土地が一

定の比率で生産プロセスを通じて投入されるならば︑叫︐

HHH

↓ ω ︑ そこでこれは

T にひとしい︒そうでなくとも︑

w  と

r との比がコンスタントであれば︑

↓ 

4 A  

( ω ‑ A

∞ )  

よ り

w と r

とは独立した単一の生産期間

T

を求める乙とができよう口しかし︑仮定は︑生産物の賃金と地代への分 配という分配理論の決定せらるべき問題を最初から一定と想定することであり︑不合理な仮定というべきである口土 地が導入された場合︑経済の資本存在量を労働資本間

H

土 地 資 本 間

ω

に分割してみよう口利用可能な労働を

A ︑土地

を B

として一定とする︒均衡においてみたさるべき方程式体系は︑

回 f││Uσ  ﹀

(ω‑kpmv) 

H U

1

(

σ

・寸

T

同 ︐

N )

〆問、、/戸、、

t V ,   tV 

(J]  (J] 

1‑'  0 

、.../、.../

H V H d

︿

( H

+

︑ H ︐

H )

+

吋 σ(H+

日 寸

M H )

2 l :  

H H H d

︿

P i :  

H

日 吋

σ

( M

‑ U M )  

ウイクセル効果と資本

(20)

経 営 と 経 済

二 O

H 円

( H +

N)H

( ω

・ ω ω )

同 ハ

H H

﹀ 叶

H

( ω

・印仏)

N 同 日

H 回

寸 閉

( ω

・印印)

八個の独立方程式と︑七個の未知数 p ︑ i ︑ w ︑ r ︑ b ︑寸?寸ぬが存在する︒そこで︑この体系を解くためには︑

利子率を︑投下労働で測られた資本と︑投下土地用役で測られた資本とについて︑二つに分けねばならないであらう D

ウイクセル資本分析の第二の展開段階である﹁経済学講義﹂では︑単利計算の例にかえて︑複利計算の例が示され

る︒プド i 酒の最適成熟期間が問題の中心となる︒複利計算のモデルでは︑単利計算のモデルと異なって︑ウイクセ

ル効果には利子率の勤きが重要となる︒しかし︑ウイクセルは︑まだ︑この段階では逆のウイクセル効果︑即ち資本

の社会的限界生産物が利子率よりも大となる可能性は考えていないようである︒ブド!酒のみを生産する封鎖的経済

で︑ブド i 酒の原料であるブド l 汁が︑資本の使用なくして労働と土地用役のみによって生産され︑ブド l 汁がブド

ー酒としての価値をもつためには単なる時間的経過︑即ち︑貯蔵期間のみが必要であるとする︒経済過程は再帰的で

完全に連続的である︒毎年︑ブド l が栽培され収穫され︑酒にして貯蔵される︒社会資本は貯蔵期間を異にしたプド

!酒のみから成立つ︒ブド l 酒の価格は貯蔵期間の増加函数である︒そこで︑生産者にとっての問題は︑プド l

酒 の

最適貯蓄期間を見出すことである︒ブド I 酒の価格を W ︑貯蓄期間を t

で 示

す と

巧 H

同 ( 件 )

( ω

H

)

(21)

土地は自由財とする︒ブド l 汁の生産費は投入労働の賃金にひとしい︒ ブド!汁の価格を︿︒とすると複利計算で

はつぎの関係が成立する︒

巧 H

︿ ︒ ︒ ︑

( ω

・ ω )

P は瞬間的利子率を示す︒個別的生産者にとっては所与の︿︒の下で p を極大ならしめる最適貯蔵期間を求めること

である︒上述より︑

H 一 0 2

世 陀

四 │

( ω

・ ω )

これを t について微分して︑

巳 . 1 p , .  

.‑+い'c

l ι l 件三当 o 。 q  

ミ ヨ

o o  q  

( ω

・ hp)

巧 │ 宅

1 1  

向 巧

m  o 

│。

1 1  

"c 

( ω

・臼)

乙れは極大化の一階条件である︒二階条件は︑

一 巧

一 巧 ︑

? l

門 目 当

3 ・ ここでま FIll‑‑u

︿︿︑

‑l

色 丹

: d

められる︒ここまではミクロ的水準の分析である︒マクロ経済的水準ではもはやく︒は所与ではない︒︿︒を経済の

巧 二

宅 ︑ 一

円 四 回 巧

門同件目刷 H 巧︑を示している︒以上の式より︑所与の︿︒の下で︑ t ︑ w ︑Pの大きさが求

c コ

( ω

・ 0 )

ウイクセル効果と資本

(22)

経 営 と 経 済

年収穫のプド l 汁の総価値とし︑生産︑在庫︑販売は連続的であると仮定すると︑必要な資本価値は︑

4 F

3 b

刈 凶

1 4

︿ "

l ︿

︿ ︒ ︐

d .

U F

I ‑

‑ I

l e

‑ ‑

︐ t

ー も

︐ ︑ ︒

( ω

・吋)

経済の存在資本量を K で示すと︑均衡では

同日

巧 [

l ︿

︑ ︒

( ω

・ ∞ )

ここで︑ウイクセルはいっている口 ﹁もし︑社会的資本が正確にこれにひとしいならば均衡は存在するであろう︒も

し︑これよりも大︑また︑これよりも小であるならば︑均衡は撹乱されるであろう︒ ︿︒の価値は上昇し或いは下落

も に

し︑個別的見地からは︑最も有利な貯蔵期間は新しい均衡に達するまで変化するであろう︒明らかに︑ K の増大とと

(  九 t ︑ W

の 増

大 ︑

p の低下が生ずるであらう o

( ω

・ ω )

よ り

︑ ︑

H u

‑ o

m 巧

! 日

o m .

︿ ︒

( ω

・ ω )

内 同 巧

L 4

'

も 仏 仲 + 同 仏

︑ 日

│ 1

1 1

1 1

k l

︿

( ω

‑ H O )  

さらに

( ω

・ 3

を 利

用 し

て ︑

巧I~ + 

p . .  

"d  1 1  

巧 1 2

♂I~

( ω

・ 一

戸 )

p . .  

闘 も

1 1  

I

p . .  

5 1 5  

( ω

HM)

(23)

︑の微分を求めると︑

0 . .  

"tl 

Z ヨ

ミ ヨ

君 主

= 言

。 ー

Hω)

円 同 ︿

D d

︿ d 司 ︑

l d

く J

司 ︑

‑ ‑ z u l i l i

‑ ‑ I l l l

仲 己 仲

︿ ︒

d

︿ 以

(ω‑Hk

日 )

( 巧

君 ︑

l d 司 ︑

t

︑ )

︿

O が極大化の条件であった︒そこで︑仏︿ o と色丹は同じ符号をもち︑号と仏︿︒とは反対の

符号をもっ︒さらに貯蓄期聞について含と色︑とは反対の符号をもっ︒また︑去と仏間とは同一符号をもっ︒

これはつぎのように証明される口 K を t について微分して︑

¥ ︻ 同

d

︑ ぐ

' J

﹃ / 門 目

︑ ア ー l i l i

‑ ‑ z i

‑ ‑ 一 巧 1 5

‑ i l l

‑ ‑

己 宵 / 弘 仲 色 丹

r c

¥

仏 門

円 凶 件

ω

(ω‑HU) 

( ω

‑ E

)

よ り

0 . .

1

0 . .  

山 ♂

弘 ︑ ー

門同件︒

( ω

HO)

4 ︑

'

!

│ │

1 iul 団

︑ 仲

D ︿ 1 1 1 1 1 円 同

↓ 門 官 門 同 伴

( ω

・ 一 口 )

そ こ

で ︑

( ω

・ 5 )

は ︑

門 日

d ﹃

門 日 開 ハ

l‑

円 四 件

門 回 一 行

門 目 ︑

円 回 一 行

ミ│ヨ

。 〈

〆声、、 トー」

+  、

守 宇

、.../

L‑.J 

( ω

H

∞ )

こ の

式 で

︑ l i l l

︿ ‑

4 7

3 0

3 V

3 2

+

ご)であるから︑

円 回 一 行

ウイクセル効呆と資本 プド l 酒の貯蔵期間の延長とともにその価値が

(24)

経 営 と 経 済

二 四

増大するかぎり︑

( ω

M

∞)は正となり︑社会資本の価値は増大する︒ウイクセル効果を見ょう︒

司 ー も 同 ハ + ぐ ︒

( ω

・ H ω )

を K について微分して︑

0.

1

0 . 品

開 l 三 !

日︑+同

. 1 0.

1

b

. . 10.

同 I~

( ω

‑ M O )  

乙の式の右辺第二項は利子効果︑第三項は利子効果︑第三項は賃金効果を示している︒ウイクセル効果はこの二つの

効果のバランスできまる︒ロビンソンが﹁資本財の再生産費は︑より高い賃金率の効果が︑より低い利子率の効果を

相殺する以上のものであるかどうかによって︑より大ともなり︑より小ともなりうる︒﹂という場合︑この二つの効

果を指摘しているのである︒

( ω

‑ M H )  

で あ

る か

ら ︑

0.

1

0. 

同│君!

1 1  

"'t:l 

P 尽

( ω

M M )

ここで︑同

V H

. ︿

0 ・

︑ i l l

‑ ︿ O

で あ

る か

ら ︑

品 開

門 同 巧

門 日

"'t:l 

( ω

・ ω ω )

資本の社会的限界生産物は利子率より小となる︒利子率効果を陽表的に取り上げねばならぬことは明らかであるが︑

( 同

! 仲

. ︿

︒ )

と ll

ーとがどのようよ直をもとりうるから︑離反はどのような大きさでも

仏関

T イ ウイクセルはこの場合︑

(25)

考えていなかったようである︒

円 四 巧

とりうることを指摘しているが︑逆のウイクセル効果︑即ち

1 1 1

﹀ ︑

品 開

となる可能性は乙の分析の段階ではいまだ

校利計算の場合に生ずるウイクセル効果はつぎのグラフで示される︒横軸に貯蓄期間を測り︑縦軸にブド l 酒の価値

を 測

る ︒

A 曲線は世界市場におけるプド l 酒のそれぞれ d 異なった貯蔵期聞に対応する価格を示している︒

たえられた賃金で示されたブド l 汁の生産賀を示し︑ ︿︒︒曲線は複利曲線で

前例では︑ブド l 汁をつくるまでに労働と土地用役が投入され︑以後は自然

的な成熟にまち︑資本はその期間労働と土地用役を維持するのに使用される︒ところで︑ウイクセルはもう一つの例

をあげている︒ブド l 汁は自然発生的であるがブド l 酒をつくるのに労働と土地が使用される︒而も異時点において

使用される︒この場合︑生産函数には各個の要素の投資期間が労働量と土地用役量と並んであらわれる︒

巧 U

( ω ・

σ ・

r

‑ F ) ( ω

・ ω

仏 )

a は 労 働 投 入 量 ︑ b は投入土地用役量︑ r は労働の投資期間︑ F は土地の投資期間を示す︒

第 3 凶 C 

V

V o 

W はブド l

酒 の

価 値

ウ イ

ク セ

ル 効

果 と

資 本

︿ ︒ は あ

あ る

B 点で均衡が成立する︒最適貯蔵期間は r 点で示される︒資本の価値は︑

︒ ︿

︒ 回

r で示される︒任意貯蓄による社会的ノ資本の増加があったとしよう︒

労働量を一定とすれば︑賃金率は上昇し︑利子率は低下するであろ︒そこで︑

新しい︑複利曲線︿

H

の 曲 線 が 示 さ れ ︑ A 曲線との接点 D で新しい均衡は成

立する口最適貯蔵期間は句点で示される︒貯蔵期間の延長に使用された資本

は r

切 り

r である︒この場合利子率はり司

¥ r 開 口

F である︒資本の社会的

限 界

生 物

は ︑

ロ 司

¥ ︿

︒ ︿

H

+ 団

r 出

口 t で示され︑利子率よりも小である︒

二 五

(26)

経 営 と 経 済

一 一 ム ハ

い ま

p を利力とすると︑乙の W から賃金︑地代︑利子が支払はねばならぬから︑

d ︿

u t

m w

o

H H

+

σ o t

( ω

‑ M U )  

w は

賃 金

r は地代を示す

o

の極大化条件として︑ p

。 ) I Q)

ω│ ミ !

︒ '

も ↓

l l d

( ω

‑ M O )   匂 一 時 十

︒ ー も

H N

l

吋 匂 σ

( ω

‑ M

吋 )

︒ 出

r l D

m

凶 当 ︑

︒ も

r .

匂 巧

匂 同

M l b

σ

︒ も 昨 日 山 .

( ω

・ 8

)

は割引された労働の限界生産物が賃金率にひとしいことを示し︑

( ω

・ ω

∞ )

( ω

‑ M U )  

を う

る ︒

( ω

・自)は割引された土地の限界

生産物が地代にひとしいことを示し

・ ( ω ω

∞ )

( ω

‑ M U )

は利子率が両要素の投資期間の限界生産物を投入要素費用

で割ったものにひとしいことを示している︒六個の方程式と︑ w ︑ r ︑ r ︑ t ︑ p ︑Wの六個の未知数が存在がする口

ところで︑ウイクセルでは︑生産函数は一次の同次が仮定されているから︑

( ω

・ M

g

は独立的な方程式ではない︒そ

こで︑生産要素の完全使用︑

( A

は経済における所与の労働︑ B は土地を示す)

ω

日﹀

( ω

ω O )

σ 日出

( ω

・ ω 一戸)

(27)

吏に経済の資本存在量は生産物で測って所与として均衡で︑

1 1  

p) 

~ o  。

D

p . .  

. . . . .  

十 0" 

。 ~

e

‑ e  

p . .  

. .

. .  

~

( ω

・ ω ω )

この所で︑ウイクセルは︑既に現代の資本理論において︑技術の再スイッチ問題として論ぜられる問題に就いて︑

つの暗示的な言葉を述べている︒即ち︑ウイクセルでは︑賃金率が上昇し︑利子率が低下するにつれて︑

長い平均生産期間の技術が使用されるようになる c 生産の技術はより迂回的︑より資本集約的となる︒ここで︑ウイ 一 般 に よ り

﹁資本の増加は︑他の条件ひとしいならば︑賃金と地代との両方の減少を同時に生ぜしめうるとはア

プリオリ i 的には考えられないように思われる︒もっとも︑この問題はさらに深く吟味する必要があるけれども︒﹂ ク セ ル は い う ︒

ウイクセルはこの例でも経済の資本存在量を生産物で測り︑所与と仮定している︒二つの投資期間が生産函数に合

まれている︒そこで︑資本価値所与の仮定についてまた批判が成立つ︒資本の価値は︑投資期間︑相対価格が決定し

なければ確定しない︒分配の結果からは独立的ではない︒そこで︑分配の決定要因とはなりえない︒ルッツはいう口

﹁ も

h と匂とが既知であれば︑勿論生存基本の価値計算は可能である︒しかし︑乙れを任意に仮定するわけにはい

かない︒なぜならば︑それは投資期間を決定することになるからである︒他方︑生存基本の価値が既知であるという

仮定を保持しようとしても︑それはまた不可能である︒この価値は均衡においてはじめて決定されるからである︒﹂

ウイクセルは﹁経済学講義﹂において︑流動資本について︑生産函数に含まれる資本表示に関してもう一つのモデ

川山司 ルをあたえている︒このモデルは﹁大部分の資本は貯えられた労働と土地との結合からなりたっている︒﹂というウ

イクセル的思考を最もよくあらわしている︒生産函数としてつぎのごとく示される︒

ウイクセル効果と資木

二 七

参照

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