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(1)

66

1998

東京都特別区における健康水準の構造分析

総 合 都 市 研 究

緒 言 研 究 方 法 結 果 考 察 今後の課題

1 .  

2 .   3 .   4 .  

典*キ*

夫ホ**傘 司***本*

5 .  

要 約

東京都の健康水準は全国値に比べ高水準であるが都市内部には地域差が見られる。そこ で本研究では、こうした健康水準の地域格差を是正してゆくための基礎資料を得るために、

東京都23特別区を対象とした平均寿命と三大主要死因の標準化死亡比の背後にある現象 の構造を主成分分析を用いて分析した。

主な結果は以下の通りである。

①東京都23特別区市町別平均寿命と主要死因の背後にある現象の構造を明らかにする ために主成分分析を用いて分析した結果、男女のがん標準化死亡比、心臓病標準化死亡比、

男性の脳血管障害標準化死亡比が第一主成分を構成し、女性の脳血管障害標準化死亡比が、

第二主成分の主要要因を構成した。これら二つの主成分によって、東京都23特別区別健 康指標構造の約

96

%が説明されることが明らかになった。

②八つの健康指標に関する主成分分析結果に基づいて、 23特別区別に主成分得点を求 めたところ区部聞に地域差が見られた。

③主成分得点と人口学的要因との相関は、第一主成分得点と、統計上有意な相関を示し たのは、年齢階級別人口や転出入人口、世帯比率であった。また、主成分得点と社会経済 的要因との相聞を求めた結果、第一主成分得点と、統計上有意な相関を示したのは第二次 産業人口比率や所得に関する要因であった。

今後こうした健康水準の地域格差を是正してゆくためには、更に詳細な背景要因との関 連性の究明や経年変化、居住年数の検討やコホート研究が必要とされるであろう。

*東京都立大学都市科学研究科(修士課程) 口東京都立大学都市研究所

***京都大学医学部大学院医学研究科(博士課程)

****東京都立大学都市科学研究科(博士課程)

*****東京都立大学都市科学研究科(修士課程修了)

(2)

4 8  

総合都市研究第

6 6

1 9 9 8

. 緒 言

WHO

欧州地域事務局は健康都市プロジェク卜の 基本方針

(1990)

のなかで「健康状態の不公平と 健康保持に必要な条件の不公平をなくしていくこ と」を謡っているが、都市における健康増進を図 るためには地域閣の健康格差の是正は必要不可欠 といえよう。

東京都の健康水準は全国値と比較すると高水準 を示す。しかし都市内部の健康水準には地域差が 見られることが星(1

982 . 1 983)

によって報告さ れている。こうした地域格差を是正してゆくため には、まずその格差要因を究明してゆく必要があ る。しかしながらこれまでに東京都

23

特別区を対 象とした平均寿命や、人口動態統計(1

996)

に報 告されるように今日では全死亡率の約

6

割を占める 三大主要死因である悪性新生物、心疾患、脳血管 疾患の標準化死亡比の背後にある現象の構造を主 成分分析を用いて分析した研究は見あたらな

L

そこで本論文では、東京都

23

特別区別、性別に みた平均寿命や主要死因の構造を明確にするとと もに、平均寿命や死亡率格差に寄与する原因を明 らかにする研究ための基礎資料を得ることを目的 とした。

2 . 研究方法

1)調査対象区市町村

調査対象地域は東京都

23

特別区である。データ の調査年次は、平均寿命と主要死因は厚生省から 報告された

1990

年の値であり、標準化死亡比は

1988

年から

1993

年の死亡率から求められた値を 用いた。人口要因と社会経済要因のデータは

1993

年に朝日新聞から報告された民力(1

993)

から抽

出した。

2 )

調査分析項目

男女別の平均寿命と三大死因別標準化死亡比を 従属変数に、人口学的要因と社会経済学的な要因 を説明変数として分析を行った。

男女別にみた平均寿命は、

1990

年のものであり

O

歳の平均余命を示す。がん、心臓病それに脳血管 障害を含めた慢性退行性疾患である三大主要死因 標準化死亡比の年次は、

1988

年から

1992

年まで

5

年間の死亡数を累積し、

1990

年の人口構成に よって標準化したものである。男女別標準化死亡

(STANDARD MORTALITY RATE) 

象地域人口の年齢構成割合の違いによる死亡率の 偏りを、間接法によって標準化したものである。

以上の分析項目のうち、平均寿命と標準化死亡 比のデータは、厚生省統計情報部から提供されて いる、

WISH(995)

を用いた(表1)。

説明変数である人口学的な要因は、国勢調査人 口、年齢階級別にみた各人口構成、昼間人口、住 民基本台帳、転入転出人口、国勢調査一般世帯と 単身世帯の単位人口当たりの比率

22

項目である(表

4) 。

社会経済学的な要因は、民力総合指数、単位人 口当たりでみた、民力水準、総面積、総事業所数、

就業者総数、一次産業人口、二次産業人口、三次 産業人口、小売商庖数、スーパーマーケット数、飲 食庖数、金融機関店舗数、農業粗生産額、工業出 荷額、商庖年問販売額、小売商店販売額、全国銀 行預金残高額、課税所得額、所得格差、地方税収 入額、地税収入伸び率、歳出総額、乗用車保有数、

新規住宅着工戸数の単位人口当たりの比率 24項目 である(表

4)

人口学的要因と、経済社会学的要因のデータは、

朝日新聞社から提供されている民力(1

993)

を用 表 1 調査分析した従属変数

1)男性平均寿命

2 )

女性平均寿命

3 )男性がん標準化死亡比

4)

女性がん標準化死亡比

5 )

男性脳血管障害標準化死亡比

6 )

女性脳血管障害標準化死亡比

7 )

男性心臓病標準化死亡比

8)

女性心臓病標準化死亡比

(3)

f

3 )

分析方法

①平均寿命や主要死因の背後にある現象の構造 を明らかにするために、多変量解析記述モデルの 一つである主成分分析を用いた。主成分の分析は、

男女別にみた平均寿命と三大死因標準化死亡比を 変数とした。主成分の分析には従属変数の単位が 異なるために、分散・共分散行列を用いた。

②求められた主成分得点と人口学的要因と社会 経済学的要因との関連性についてスピアマンの積 率相関係数を求めた。

以上の分析ソフトは、

SPSS7 . 5 . 1 1   f o r  Windows  (SPSS

社)と

HALBAU FOR WINDOWS V 1 .   5 

(現代数学社)を用いた。

3. 結 果

1)東京都23特別区別平均寿命と主要死因の構造 分析

東京都23特別区市町別平均寿命と主要死因の背 後にある現象の構造を明らかにするため、多変量 解析による記述モデルの一つである主成分分析を 用いて分析した。 その結果、男女のがん標準化死 亡比、男女の心臓病標準化死亡比と男性の脳血管 障害標準化死亡比が第一主成分を構成し、第一主 成分の寄与率は、

9 1 . 3

%であった。

また女性の脳血管障害標準化死亡比が、第二主 成分の主要要因を構成し、第二主成分の寄与率は、

5.0%

であった。第一と第二主成分との累積寄与率 が約96.4%であり、これら二つの主成分によって、

東京都23特別区別健康指標構造の約96%が説明 されることが明らかになった(表

2 )

2) 健康指標に関する東京都 23特別区別主成分分

1

に示した八つの健康指標に関する主成分分析 結果に基づいて、 23特別区別に主成分得点を求め た(表

3 .

図1)。

第一主成分得点が高得点を示した区は、荒川区、

足立区、台東区、江東区、墨田区それに葛飾区で あった。 それに対して、世田谷区、渋谷区、目黒 区、文京区、杉並区では、第一主成分得点は低値 を示した。

第二主成分得点が高得点を示した区は、千代田 区と中央区であった。それに対して、荒川区、練 馬区が低い第二主成分得点を示した。

3) 東京都 23特別区別主成分得点、と人口学的、社 会経済学的要因との関連性

ここでは、①東京都23特別区別主成分得点と人 口学的要因との関連性と②東京都23特別区別主成 分得点と社会経済学的要因との関連性について述 べる。

2 東京都 23特別区市町別健康指標に関する主成分分析

変薮 Z

1)男性平均寿命

2 )

女性平均寿命

3 )

男性がん標準佑死亡比 4)女性がん標準佑死亡比

5 )

男性脳血管障害標準化死亡比

6 )

女性脳血管障害標準佑死亡比

7 )

男性心臓病標準佑死亡比

8 )

女性心臓病標津他局亡比

固有値

累積国有値 寄与率(目) 累積寄与率(目) カイ

2 乗値 自由度

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(4)

5 0  

総合都市研究第

6 6

1 9 9 8

3

東京都

2 3

特別区市町別主成分得点、

( A n d e r s o n ‑R u b i n

法)

地 域 第一主成分 環 主 成 分 地 域 事一宝

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事 主 成 分

1 )

千代田区

0 . 2 1 9   2 . 5 0 6   1 3 )

渋谷区

‑ 1 .

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5  0 . 7 3 2   2  1 . 0 7 5   1 . 7 0 6   1 4

中野区

ー 1 . 0 8 1 0 . 0 6 6   3  ‑ 0 . 6 0 9   0 . 8 0 0  

1 1 6 5

並区

‑ 1 . 1 4 6   ‑ 0 . 6 5 2   4  ‑ 0 . 7 2 4   0 . 4 7 7   ‑ 0 . 4 0 9  

0 . 2 6 5 5  ‑ 1 . 1 8 6  

0 . 0 5 6 1 7   0 . 3 4 5   ‑ 0 . 0 8 7   6  1 . 2 2 1   1 . 0 9 7   1 8

1 . 5 4 0   ‑ 2 . 2 9 2   7  1 . 1 3 0  

0 . 8 9 7 1 9

‑ 0 . 1 0 2   0 . 1 0 1   8  1 . 1 3 3   0 . 6 6 2   2 0

練馬区

0 . 9 4 3 ー 1 . 1 7 1 9  0 . 0 8 0   0 . 0 2 6   2 1

足立区

1 . 2 9 4   ‑ 0 . 2 4 1   1 0   ‑ 1 . 2 2 9   ‑ 0 . 8 0 2   2 2

葛飾区

1 . 1 2 9   ー 0 . 9 4 5 1 1   0 . 0 9 0   ‑ 0 . 1 4 0   0 . 7 6 0   ‑ 0 . 2 3 7  

ー 1 . 3 1 3 ‑ 0 . 3 8 8  

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渋谷

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2

1

東京都

2 3

特別区別主成分得点

① 東 京 都

2 3

特別区別主成分得点と人口学的要因 との関連性

主成分得点と人口学的要因との相関をスピアマ ンの相関係数を求めて分析した。その結果第一主 成分得点と、統計上有意確率

1%

以下で正の相聞を 示したのは、年齢階級別人口で

10‑14

45‑49

歳、

50‑5 4

55‑59

歳であった。

一方、第一主成分得点と統計上有意確率

1%

以下

で負の相闘を示したのは、年齢別人口で

20‑24

25‑29

30‑34

歳と単位人口当たりでみた一般 世帯と単身世帯それに単位人口当たりでみた転入 人口と転出入口であった。

第二主成分得点と、統計上有意確率

1%

以下で正 の相関を示したのは、人口当たりでみた昼夜間人 口、それに人口当たりでみた転出人口であった。第 二主成分得点と、統計上有意確率

1%

以下で負の相

(5)

東京都23特別区主成分得点と人口学的要因との相関性

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東京都23特別区別水準主成分得点と社会経済学的要因との相関性

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(6)

5 2  

総合都市研究第

6 6

1 9 9 8

聞を示したのは、住民基本台帳人口の伸び率であ った(表

4)

②  東京都23特別区別主成分得点と社会経済学的 要因との関連性

主成分得点と社会経済的要因との相闘をスピア マンの積率相関係数を求めて分析した。その結果、

第一主成分得点と、統計上有意確率

1%

以下で正の 相闘を示したのは、第二次産業人口比率であった。

第一主成分得点と統計上有意確率

1%

以下で負の相 聞を示したのは、人口一人当たり課税対象所得額、

所得格差、人口一人当たり地方税対象額であった。

第二主成分得点と、統計上有意確率

1%

以下で正 の相聞を示したのは、一人当たりの民力水準、人 口当たりでみた総面積、人口当たりでみた総事業 所数、人口当たりでみた総従業者数、第三次産業 人口比率、人口当たりでみた工業出荷総額、人口 当たりでみた小売り総合商庖数、人口当たりでみ た飲食庖数、人口当たりでみた商店販売総額、人 口当たりでみた小売庖販売総額、人口当たりでみ た金融機関数、人口当たりでみた銀行預金残高額、

人口当たりでみた地方税収入額であった。

第二主成分得点と、統計上有意確率

1%

以下で負 の相聞を示したのは、第二次産業人口比率であっ た(表

5)

4 .

考 察

第一主成分得点が高得点を示した区は、荒川区 をはじめとする城東地区に多く、これに対して世 田谷区をはじめとする城西地区は負の第 a主成分 得点を示した。第一主成分得点が高得点の区は、平 均寿命が低い区であり、第一主成分得点が低い得 点、の区は、平均寿命が高い区であった。星(1

993)

は東京23区の健康水準の格差を死亡率によって比 較しているが、それによると各区の聞には大きな 差が見られ、東京城西地区の健康水準は、城東地 区よりも低い死亡率を示すことが指摘されている が、本研究においても同様の事象が示唆された。

第‑主成分とは異なった背景要因に支えられて いると考えられる第二主成分得点が高得点を示し

た区は、千代田区と中央区であった。それに対し て、荒川区、練馬区が負の第二主成分得点を示し

今後特別区別に見た平均寿命や死亡率の格差や その規定要因を検討していく場合には、城東地区 と城西地区の比較検討と荒川区、葛飾区、足立区 それに台東区に代表される区部と、世田谷区、渋 谷区、目黒区それに杉並区に代表される区部、そ れに千代田区や中央区に代表される区部毎にわけ た比較検討が必要とされるであろう。また今後の 課題として、これらの区部別に見た特性を検討し て健康格差を規定する制御要因を総合的且つ体系 的に明確にしていくことが求められる。

このような地域聞の健康較差をもたらす要因は、

一般的に社会経済的要因が関連すると考えられて いる。そこで求められた主成分得点と人口学的、社 会経済学的要因との関連を分析した結果、第一主 成分と統計上正の相闘を示したのは

45

‑59

歳間 での中年層の人口と第二次産業人口割合であり、負 の相関を示したのは

20

‑34

歳までの比較的若い 年齢階級の人口や転入・転出入口比率、一般・単 身世帯比率そして所得に関する要因であった。

一方、第二主成分得点と正相関した因子は、昼 夜人口比率と転出入口比率、民力指数や人口当た り総事業所数をはじめとする経済活動に影響され ると考えられる因子や所得に関連した因子であっ た。これに対して負の相聞を示したのは住民基本 台帳伸び率、第二次産業人口割合であった。

この結果から、青年層の人口、転入・転出人口 や所得が少なく壮年層人口が多く第二次産業従者 が多い区ほど第一主成分得点が高いことが明らか になった。そしてまた、昼夜人口比率が高く転出 人口が転入人口を上まわり、経済活動が活発で所 得が多く、第二次産業従事者が少ない区ほど第二 主成分得点が高いことが示唆された。

以上のことから推測されるのは、元気な若者の 流入によって若年者の死亡率が相対的に低くなる ために健康指標の水準が高くなる可能性である。武 田(1

996)

の報告によると人口

3

万未満の小都市

20

歳以上の若年男性の平均余命が伸び悩んでい る理由として、健康水準の高い若年男性が小都市

(7)

から東京のような大都市へ転入している可能性が あることが示唆されているが、こうしたことが本 研究においても影響を及ぼしていると考えられる。

またこれに対して都市部の壮年層の健康改善が 遅れていることが報告されているが、死亡率の改 善が停滞している大都市部の中高年男性について 著しい地域差が存在していることは、死亡率の東 京都や川崎市などの大都市住民について朝倉ら (1

982)や山崎ら(1 986)

によってすでに報告さ れている。このことは本研究における

45‑59

歳の 人口が多いことが、第一主成分得点と負の相闘を 示したことを裏付けている。

地域の健康格差に関する研究において所得と健 康水準の関連を指摘する報告は多くみられる。

F i s c e l l a

ら(1

997)

による、所得と死亡率に関す る研究では、地域の所得格差は地域の死亡率と大 きく関連するという報告を始め、

Kawautiら

(1

997)は一世帯当たりの収入の格差は主要死因死

亡率と強い相関関係にあることを報告している。今 回の報告においても所得に関連した要因は第一主 成分において負の相聞を示し先行研究を裏付ける 結果となった。

第二次産業就業者については、加藤ら(1

992)が

必ずしも健康的な習慣を持ち合わせていないこと を指摘していることからも、健康・生活習慣の違 いが直接的或いは間接的に健康水準に影響を与え ている可能性が示唆される。

5 . 今後の課題

今回明らかになった地域間の健康格差を解決し ていくためには、格差を規定する要因を明確にし、

それらの中で制御することが可能な要因の調査研 究を行ってゆくことが求められると考える。この ような要因を抽出するためには更に以下のような 研究が必要であろう。

今回の調査は、対象を

23

特別区別に分けて分析 したものにすぎない。また例え死亡率が低い

23

別区であっても、同一区内を細分化した地域別に 分析すれば、さらに大きな格差がみられることも 推測されることから、今後は市部や島艇の町村を

含めた分析と同一地区内内部の格差に関する研究 をすすめてゆく必要があるであろう。

また今回の報告で統計学的に検討した要因は、人 口学的な要因と社会経済的要因に関する一部の要 因である。生活習慣と健康との関連については、

Breslow (

1

980)

の研究をはじめ数多くの研究が すでに報告されている。食生活と健康との関連も 報告されている。また住環境家屋と精神的な健康 とに関連した研究で

Baker(1990)

は、精神性疾 患患者の重症度と家屋の貧困さとの関連を報告し ている。牧野(1

990)

は大気汚染物質は暴露から

10

年後以降の肺がん死亡率と高く正相関するとし ている。 これらの先行研究から健康水準を高める ためには、日常生活習慣や食生活、住居や空気を 含めた環境を健康の視点からみて改善したり整備 したりすることが重要であることが示唆される。こ うした健康格差を起因すると考えられる背景要因 を、説明変数に加えた詳細な分析研究が求められ るであろう。

またある要因が疾病や健康障害に影響を及ぼす にはタイムラグが見られることを考慮、し、

10‑30

年前の年次の説明変数と現在の健康水準との関連 についても分析することが必要であろう。この他 にも、経年変化や地域での居住年数の検討、コホー

ト研究が求められる。

参 考 文 献

1)朝倉隆司・山崎嘉比古「川崎市における中年期死亡 の地域差

J .

~日本公衆衛生雑誌J

2 9 .   p . 5 1 5 ‑5 2 2 .   1 9 8 2 .  

)加藤育子・富永祐氏他「職業別健康・生活習慣

J .

~日 本公衆衛生雑誌

J 3 9 .   p . 8 3 0 ‑8 3 8 .   1 9 9 2 .   3 

)高岡幹夫「横浜市における行政区別標準化死亡比と

社会因子との相関に関する研究

J .

~日本公衆衛生雑

誌 J 3 5 .   p . 4 7 5 ‑ 4 8 5 .   1 9 8 8 .  

4 )

武田俊平「小都市の若年男性に見られる平均余命伸 び率の低迷

J .

~日本公衆衛生雑誌J

4 3 .  p . 1 0 5 5 ‑ 1 0 6 2 .   1 9 9 6 .  

)星旦ニ他「東京都の中年期死亡の地域特性

J .

~東京 都衛生局学会誌J

7 0 .   p . 4 4 ‑4 5 .   1 9 8 2 .  

)星旦二他「東京都のがん死亡地域特性と社会経済指 標との相関性について

J .

~東京都衛生局学会誌J

7 1 .  

p . 2 2 ‑2 4 .   1 9 8 3 .  

(8)

5 4   総 合 都 市 研 究 第 6 6

1 9 9 8

7)星旦二「都市の健康水準と解決課題としての健康政 策 J , W 総合都市研究J J 5 0 ,  p . 1 3 7  ‑152 ,  1 9 9 3 .   8) 牧野国義・稲葉裕「東京都区部における部位別がん

死亡率と環境要因 J ,

~公衆衛生JJ

5 4  ( 3 ) ,  p . 1 8 9 ‑ 1 9 3 ,  1 9 9 0 .  

9  )山崎嘉比古他「中壮年期死亡と地域住民特性との関 連からみた首都圏の構造 J ,東京大学医学部保健社会 学教室編『大都市における中高年齢層の生活と健康 に関する調査研究J J p . 1 ‑9 ,  1 9 8 6 .  

1 0 )  

r

厚生省情報システム』厚生省統計情報部, 1 9 9 5 .   lD r 人口動態統計』厚生省大臣官房統計情報部, 1 9 9 6 1 2 )   r 民力 1 9 9 3 .11朝日新聞社, 1 9 9 3  

1 3 )   Baker F . ,  D o u g l a s  C . , Housing e n v i r o n m e n t s   and  community  a d j u s t m e n t   o f   s e v e r e l y   m e n t a l l y  

ill 

p e r s o n s " ,  Community M e n t .  H e a l t h  

J.

,  2 6  ( 6 ) ,  p p . 4 9 7  ‑5 0 5 ,  1 9 9 0 .  

1 4 )   Breslow  N . ,  Enstrom  J .   E . , P e r s i s t e n c e   o f   h e a l t h  h a b i t s  and t h e i r  r e l a t i o n  t o  m o r t a l i t y " ,  P r e v .  Med. ,  9 ,  pp.469‑483 ,  1 9 8 0  

1 5 )   F i s e c e l l a   K . ,   Franks P . , Poverty o r   income  i n e q u a l i t y   a s   p r e d i c t o r   o f   m o r t a l i t y   L o n g i t u d i n a l  c o h o r t  s t u d y ' ¥ BMJ ,  3 1 4  ( 7 0 9 6 ) ,  pp.1724‑1727 ,  1 9 9 7 .  

1 6 )   Judge  K. , Income  d i s t r i b u t i o n   and  l i f e   expectancy  a c r i t i c a l   a p p r a i s a l " ,  B r i t i s h   Medical J o u r n a l ,  3 1

1. 

pp.1281‑1285 ,  1 9 9 5 .   1 7 )   Kaplan G .  A . ,  Pamuk E .   R . ,   Lynch J .   W. , Cohen 

R .   D . ,  B a l f o u r   J .   L., I n e q u a l i t y   i n   income  and m o r t a l i t y  i n   t h e  U n i t e d  S t a t e s :   a n a l y s i s   o f   m o r t a l i t y   and p o t e n t i a l   pathways" ,  B r i t i s h  

l e d i c a lJ o u r n a l ,  312 ,  pp.999‑1003 ,  1 9 9 5 .   1 8 )   Kawachi    , . I Kennedy B P . , The r e l a t i o n s h i p  

o f   income i n e q u a l i t y   t o   m o ω r t 句 a l

1

t y : d o s e  t h e   c h o ω i c e   o f   i n d i

c a t o ω r matter? 

&  M e d i c i n e ,  4 5   ( 7 ) ,  pp.1121‑1127 ,  1 9 9 7 .   1 9 )   Tsouros  AD. , Word  H e a l t h   O r g a n i z a t i o n  

H e a l t y   C i t y s   P r o j e c t   ,  A P r o j e c t   Becomes a  Movemen t " ,   WHOIEURO ,  1 9 9 0 .  

Key  Words 

(キー・ワード)

Standard  Mortality  Rate  (標準化死亡比). Tokyo  (東京). P r i n c i p a l   Component 

Analysis 

(主成分分析).

Regional  Difference (地域格差). Income (所得)

(9)

An An

a l y s i s  o f H e a l t h  I n d i c e s  i n  t h e  2 3  W a r d s  o f T o k y o  

C h i e  Ueno¥Tanji H o s h i * *

, 

Y o s h i n o r i  F u j i w a r a

R i k i o  T a n i g u c h i  *  a n d  K o j i  T a k a b a y a s h  

* G r a d u a t e  S t u d e n t ,  Tokyo M e t r o p o l i t a n  U n i v e r s i t y  

* * C e n t e r  f o r  Urban S t u d i e s ,  Tokyo M e t r o p o l i t a n  U n i v e r s i t y  

* 叫

G r a d u a t eS t u d e n t ,  Kyoto U n i v e r s i t y  

* * * * M a s t e r  o f  Urban S c i e n c e ,  Tokyo M e t r o p o l i t a n  U n i v e r s i t y   C o m p r e h e n s i v e  Urban S t u d i e s ,  No.66 ,  1998 ,  pp

.4

7‑5 5  

The pu

o s eo f  t h i s  s t u d y  was f i r s t l y ,  t o   c 1 a r i f y  t h e  d i s t r i b u t i o n  a n d  t h e  s t r u c t u r e  o f  t h e   S t a n d a r d  M o r t a l i t y  R a t e  (SMR) f o r  c a n c e r ,  h e a r t  d i s e a s e  a n d  c e r e b r o v a s c u l a r  d i s e a s e  i n  t h e  23  w a r d s  o f  T o k y o ;  a n d  s e c o n d l y ,  t o   d e t e r m i n e  SMR's c o r r e l a t i o n a l  f a c t o r s  w i t h  t h e s e  h e a l t h   i n d i c a t o r s .  

The c o r r e l a t i o n a l  a n d  p r i n c i p a l  component a n a l y s e s  w e r e  p e r f o r m e d  u s i n g  i n d i c e s  f o r  main  c a u s e s  o f  d e a t h  d u r i n g  1 9 8 8  a n d  1 9 9 3 ,  a n d  l i f e  e x p e c t a n c y  i n  1990 i n  t h e  2 3  w a r d s  o f  T o k y o .   D a t a  were o b t a i n e d  f r o m  a l l   2 3  w a r d s ,  w i t h  a n a l y t i c  c o v e r  r a t e   o f  100%. Demographic a n d   s o c i o e c o n o m i c   d a t a   w e r e   o b t a i n e d   f r o m   t h e   MINRYOKU D a t a b a s e   p r o v i d e d   by  A s a h i   Shimbun i n  1 9 9 3 .  

The main r e s u l t s  w e r e  a s  f o l l o w s :  

1 )   P r i n c i p a l  component a n a l y s i s  i n d i c a t e d  t h a t  SMR  f o r  c a n c e r  o f  b o t h  s e x e s ,  f o r  h e a r t  d i s e a s e   o f  b o t h  s e x e s  a n d  f o r  c e r e b r o v a s c u l a r  d i s e a s e  o f  men

, 

were p r o v i d e d  i n  t h e  f i r s t  p r i n c i p a l   component w i t h  a n  a c c o u n t a b i l i t y  o f  more t h a n  9 1   %.  SMR f o r  c e r e b r o v a s c u l a r  d i s e a s e  o f   women was p r o v i d e d  i n  t h e  s e c o n d  p r i n c i p a l  component w i t h  a c c o u n t a b i l i t y  o f  more t h a n   5%. 

2 )   T h e r e  was a  l a r g e  d i f f e r e n c e  i n  p r i n c i p a l  component p o i n t s  b e t w e e n  w a r d s .   3 )   The f i r s t  p r i n c i p a l  component was s i g n i f i c a n t l y  c o r r e l a t e d  w i t h  a g e  a n d  i n c o m e .  

F u r t h e r  s t u d i e s  a r e  n e e d e d  t o   c 1 a r i f y  n o t  o n l y  t h e  d e s c r i p t i v e  h e a l t h  s t a t u s  b u t  a l s o  t h e  

r e l a t i o n s h i p  b e t w e e n  t h e  main c o n t r i b u t o r y  f a c t o r s  a n d  m o r t a l i t y  d i s c r e p a n c i e s  i n  t h e  23 w a r d s  

ofTokyo. 

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