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大渡 敦・田崎 栄治・八谷 健司長崎大学教育学部産業技術科

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Academic year: 2021

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(1)

長崎大学教育学部自然科学研究報告 第23号 125‑132 (1972)

TVからオシロスコープへの改造とその特性

大渡 敦・田崎 栄治・八谷 健司

長崎大学教育学部産業技術科 (昭和46年10月30日受理)

The Character of Rebuilding TV Receiver to Osilloscope

Atsushi OWATARI, Eiji TASAKI, and Kenji HACHIYA

Technological Laboratory, Faculty of Education.

Nagasaki University, Nagasaki

(Received Oct. 30, 1971)

125

Abstract

The purpose of this study is to remodel Black‑and‑White TV Receiver into the Osilloscope in order to make practical application of widevideo and enable many students all at once to understand the electric phenomena easily in the middle school Science and Technology.

In spite of the fact that it is inevitable due to the response of Braun Tube to be limited within the Audio Frequency, the remodeling would be quite simple and cheap.

1.まえがき

われわれの物に対する欲求本能は,それが満されると次の高い要求が生れて,向上してゆく が,一挙に過大要求になると却って実現できないことがある.

この研究はオシロスコープの使用分野から高度な性能よりも,広い視野の映像面と経済性を 重点に改造を試みたもので,これは中学校などにおいてオシロスコープは電気学習の波形観測 用視覚教具として理科,技術,家庭科の電気計測に欠くことのできない最も利用度が高いもの である。

*長崎市立丸尾中学校(Maruo Middle Shool)

**松浦市立御厨中学校(Mikuriya Middle Shool)

(2)

 しかし現在ほとんどの中学校で使用しているのは75mmの小さい映像面のブラウン管オシ ロスコープで,こ,れは・小グルーラoの実験観測としての利用にとどまり,1学級40〜50名全体を 対象にした一斉指導では,うしろになった生徒はほとんど観測できない難点がある。また市販 きれておる,メーカー製品のTVブラウン管オシロスコープは性能はよいが高価で,中学校の 教育予算では容易に購入できない状態にあると言われておる。

 今回の試作研究は容易に確保できる,白黒テレビを簡単に一部改造して,最も安価なワイド オシ・スコープとして再生し,波形観測に便利で実用的な教具器材として活用することを目標 にした。

2。原

垂直入 垂直軸

減衰器 垂直軸

増  幅

   同  期

錘幅器

水平入力

高圧電源 x 時問軸

発生器 ホ平軸

増  幅

7ラウソ

第1図 オシロスコープのブロックダイ1ヤゲラZ、

r チューナー

音声中問

周波増幅 FM検波 増  幅蟻周波

1高周波 周波数l l増 幅 変 換I L________J

中間周波

増  幅 検  波 映像増幅

同期分離 垂直偏向

〃レ160ぬ

な.%4碓

 酬

直流分

再  生

水平偏向 高圧整流 1o〜 κ1

第2図TVのブロックダイヤグラム

 第1図は計測用ブラウン管オシロスコープのブロックダィヤグラムを示す。』計測用B管は静 電偏向型であるから,TV用B管の電磁偏向型に比して,その周波数特性は偏向板による構造 上からも非常によいわけである。しかし映像面の大きさば15cm以下のものが多く,B管の単

価も高い。

 第2図はTV受像機のブロッークダィヤグラムを示す。第1図の計測用ブラウン管オシロスコ ープとの特性を比較対称すると表1(一X2)のようになる。1

 静電偏向方式に比して電磁偏向方式は周波数範囲が狭い。それは偏向コィルの、インピータン スZαおよび各出力変成器のインピーダンスZ亡が真空管回路方式では整合の関係から大きくな るため,巻線の浮遊容量をC・とすると,その共振周波数f。は,f。中%πゾz蕊(H.)となり平坦な 周波数範囲は20KH.までの可聴周波数範囲となる。 もし高い周波数特性(50KH,)を望むと

(3)

TVからオシロスコープヘの改造とその特性 127

表 1 固  路

時間軸

水平偏向

垂直軸

垂直偏向 図面

1 2 1 2

偏向方式

静電V/m

電磁AT/m

静電V/m

電磁AT/m

周 波 数   Hz

DC一一20MHz

15750

D C一一200MHz

60

共振周波数   fo

60一・ 80KHz

15一一・20KHz

インピーダンスZ C or L

2.5pF 15.4(90。)

  mH18.5(1100)

2.5pF 45.4(goo)

  mH12.8(1100)

R(9)

21.5 55.6

45.6 17.0

偏向電流

 (A)

0』65

0.77

0.56 0.86

きはトランジスター増幅器でOT Lに設計することになる。

 TVでは水平偏向周波数は15750(H,)に,垂直偏向周波数は60(H・)に設計されてあり・偏 向コイルのインダクタンスLも一般に水平偏向コイルの方が小さく,共振周波数f。は高く選 ぶ。対称的にオシ・スコーフ。は垂直軸(現象測定)の周波数が高くなるように設計される。し たがってTVをオシ・スコープに再生するには,偏向コイルを900回して,垂直偏向コィルを 時間軸とし,水平偏向コイルを垂直軸(現象測定)用にして測定周波数帯域を広げる。

 第1図のオシロスコープの高圧電源回路方式に比し,第2図のTV回路方式では水平偏向電 源と高電圧回路が相重合されておる。この回路は第1図のように高電圧回路と水平偏向回路を 分離しなくてはならないことになる。

3.電子回路の工作と実験

前記の原理に従い,第3図(3)のTV受像機の配線図の一例について改造の手順を示すと

       ピ  ぼだ       ドンドア ま

       縣         媒饗  。     議

.欄鵡、

冨鎌難、鑑、,蕪戴遽難難鎌旨、蕪

驚☆嚢嬢幾難簿!・鱗/・

         第3図TV受像機の配線図

(4)

 〔A〕高圧電源回路

 最下段の位相弁別回路と水平偏向発振回路間の入出力結線を切離し,水平偏向コイルおよび 垂直偏向コイルの接続ソケットを抜取り電源を入れて,B管上にスポットが出るか否かを試験 する。もし出ない時は,

 (1)別の水平偏向コイルを元のフライバックトランスの水平出力側に接続して負荷する。イ ンピーダンス整合ができると発振が正常に戻り,スポットは現れる。

 (2)水平偏向発振回路のC R定数を変化して,発振周波数f為を上昇してゆくとフライバッ クトランスの2次高圧E2は E2=k・2πfん・N2・L(V)が上昇しスポットが現れるようにな る。上式において,kは比例定数,N。は2次巻線回数,1ρは水平出力管のプレート電流を示

す。

 注,このスポットを出す調整に当っては,TVの輝度調整(BRIGHT)ツマミを回して暗くしておく。

  もし高輝度に電子ビームが集中するとB管の螢光面が焼損する。

 (B〕時間軸発生回路

 第3図における上より5段目の同期増幅・積分回路・垂直偏向発振・垂直偏向出力(4)では 垂直同期信号60(H.)に同期する垂直偏向回路である。そのため任意な同期信号に合すことは できない。すなわち測定周波数範囲が限定されており,第4図に示すような可変周波数の時問

κ箋

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2例恥 πの

》一 ミ《 50

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バ1

母  c2

1      量 ε

一CR発振一→1一崎醗発生一一1一時間軸肋一       第4図1時間軸発生回路

+B

軸発生装置(5 炉必要になる。使用真空管はTV受像機によく使用されているものを活用する ようにした。そのため古い真空管ハンドブック(6)が役立っ。

 (1)第4図においでC R発振部はウィーンブリッジ形発振回路で,その発振周波数fはf=

 1    (H・)となり,周波数の可変範囲が広くとれるのが有利である。この発振器から同期 2πRIC!

信号を得るのが目的であって波形のよい正弦波でなくてもよく,安定な可変周波数が得られれ ばよく・学稼で実験用の低周波発振器があればそれを利用し・ この部分は省略できる・図中 丁厄は計器用サーミスタで周波数の安定化作用をする。

      む

 (2)時問軸発生回路で, aおよびbの充電曲線はCα=E(1一ゴ彌),CFE(1一・ε曽隔),

もし時定数がT・=C・R¢,Tり=qRひでT・くTひならば第5図に示すa,b曲線のように第4 図C2の端子電圧が上昇する。この図示する曲線のかたむきは時定数丁。,Tひに関し,C、R。<

Cδ恥の大きい方がゆるやかとなる。したがってE,を放電電圧,E2を放電停止電圧とすると,

充電時間t,,t3はt,くt3となり・,C2:R2の値により充電時間をかえることができる。また放電

(5)

TVからオシロスコープヘの改造とその特性 129

時問t2,t4は t=C2Rvlo9、E一/E2(sec)で

Rvは秘図の6AB8の三極管のグlbド抵抗

および,カソード抵抗を含む抵抗で,放電時間 t2,t4は共通でt2=t4である。 またCR発振 部からの同期トリガパルスeδを印加すると放 電開始時間を制御して充電時間t/1,t・を変化 することができる。第4図の時間軸発生部では のこぎり波の充電電圧(立上り電圧)の周波数

fを,

    f二1/t,≒E/R2C2(E,一E2)(Hz)

C2とR、によって変化するようにしたもので

ある。

 (3)上記ののこぎり波電圧を時間軸出力管で 電力増幅して,時問軸偏向コイルに印加して電 子ビームを第6図のように水平に掃引すること になる。図中0.005Cへと矢印で示したのは,

第3図の垂直偏向出力回路の出力トランス2次 側に結線されてある0.005μFの蓄電器を通し

ε

ε2

  1  1   1一一

α  6

__ ___ ____  !

       .1       /

 1  8

毛、ろ

第5図のこぎ1)波の波形

第6図時問軸基線

てTV,B管の第1グリッドに負のパルス電圧を印加して,帰線消去をするためである。

 〔C〕現象軸増幅器

6θ〃8ぜ 6脳鹸

  、

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一  一  .  9   一

    〇 も隔

現堺軸偏向γル      ま

+Bi

+82

E

第7図現象軸増幅器

 第7図は微小な電気現象入力を,TV,B管の映像面一杯に振らすために増幅する測定用増 幅回路で,入力電気現象の波形をひずみなく増幅するには,プッシュブル増幅回路が優れてお

り,これを使用しておる。

 第8図は各正弦波入力電圧に対する出力電圧波形を示すもので,この直線性は一応満足でき るものである。しかしこの回路の周波数特性が第9図に示すように予期以上に悪く,矩形波入 力電圧が第10図のように大きくひずんでおり,周波数特性が好くない。

 (D)リサージユ図形(7)

 第4図において,CR発振部のグリッドをアースして発振を停止し,ロータリスイッチをb 点に回し,a点よりAC60(Hz)を加え,第7図の現象軸増幅器には別の被測定周波数を加え

(6)

っOHz

240Hz

〕000Hz

120Hz

500Hz

ろ000Hz

第8図各正弦波形のオシ・ゲラフ

派z2

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融数

第9図現象軸増幅器の周波数特性

(7)

TV  7t ‑  ] 7  II ‑ 7"‑. )LT i j, ̲ ; : ) '   151 

l 20 Hz 

500HZ 

i  I O l  /(1'  'j 1,,.j  ‑・'. i'J!' Hi/'.  ) t ) T J 17 ) 7 

24 O Hz 

700HZ 

450 

l:l 

l :7   900 

,5 

11 }  *, Hz :  ;'Ifj  ) ‑'   l'kl  ・'‑

900 

l:l 

l:5 

90D 

(8)

るとB管上に第11図のようなリサージュ図形が画かれる。これは水平軸(時間軸),60(Hz)に 対する,垂直軸(現象軸)入力周波数が正数倍のリサージュ図形を示す。、この、匹サージュの方 法は周波数の測定を最も正確に,かつ簡単にできることでよく知られておる。.!

 〔E)改造に利用するTV受像機

 TV受像機をオシロスコープに改造するにあたって必要なことは,

 (1)最低具備条件

  a 映像は完全でなくてもよいが,・高圧回路が完全で,ラスターが出る。

  b 輝度調整ができる。

  c 水平,垂直発振回路が正しく動作し,利得調整が完全にできる。

 (2)TV受像機の種類

  a プリント配線のものは改造作業が困難であるが,・オ、シログラフとしても電気的特性は   よい。

  b トランスレス式TVの場合,ヒータ回路の構成上,不用になる真空管を安易に取り除    くことができない。取り除く真空管のヒータ抵抗の全抵抗値を別の抵抗器で置換せなく   てはならない。その点,トランス式またはセミトランス式TVは工作がしやすい。

  c トランジスタ式TVは電子材料の特性から,周波数特性のよいオシロスコープに改造   できる確立が高い。

4.ま』と.め

 TVブラウン管は電磁偏向コイルのインピーダンスや加速電圧の関係かちも,静電偏向形の B管のように,よい周波数特性は得られないのは当然であるが,今回のは予期程になく好くな かったが,可聴周波帯域まではのばされる見込である。

 ブラウン管の映像面が75mm B管と14型TV B管とでは長さにして4倍,面積にして16倍 大きくなり,特に中古TVが立派に改造でき映像の輝度も高く,それが非常に安価なのは中学 校経費に照して大きな魅力であり,これらは中学校の視覚教具として利用の条件に適合したも のと思われるら

参考文献

新テレビジョン技術教科書168『P旧本放送協会 NE C電子管規格一覧表 1964.9 日本電気

標準テレぜ配線図の見方・考え方 258P 大井脩三 誠文堂 標準テレ1ビ配線図の見方・考え方 40−57P 大井脩三 誠文堂 ごオン嬉堺面」プの設計と取振吟 74一 92F、藤巻安次 誠文堂

N脚鰻LE興丁皐oNlgTuBEHANDB・・K196磁文堂

オrジ巌ζう」プの輩計ど取扱い422瑠124P㌔藤巻安次 誠文堂1』、

参照

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