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淘薩W急風EW歴礎 難域政策研究篝ユーズレター 金 沢 大 学人濁社会綴究域2012.3,31N0。96
今回のニューズレターは、地域政策研究センターが3月に実施した公開セミナーの講演録と2月に実施した2つ の調査内容を掲載した。
公開セミナーでは、里海での水産業をテーマに講演会を行うとともに、参加者とのディスカッションを通じ、奥 能登でのこれからの漁業を考える機会を提供した。調査については、震災に関する東北調査と、6次産業化に関す る徳島県上勝町調査である。いずれも今の日本の重要なトピックである。地域の多様な課題解決を考える上で、何 らかの参考になればと思う。
東 京 海 洋 大 学 海 洋 科 学 部 准 教 授
濱 田 武 士
里海の漁業のこれからの可能性と課題
一異業種連携による新しいピジネスモデルの展開一
は じ め に
私 の 専 門 は 漁 業 経 済 で す が 、 ひ た す ら 浜 に 入 っ て 漁 業や魚の流通がどう成り立っているのかを調べまくる と い う 研 究 ス タ イ ル で す 。 今 日 お 話 し す る 異 業 種 連 携 の 事 例 も 、 そ う し て 全 国 各 地 で 調 査 し て き た 経 緯 で 見 つ け て き た も の で す が 、 そ こ か ら 皆 さ ん の 今 後 の 活 動 への示唆を得て頂ければと思っています。
異業種連携が台頭してきた背景
東日本大震災後、沿岸被災地の復興のなかで漁業権 をめぐる問題が話題になってきていますが、特に漁協 が漁業権を既得権益として独占してきたことに対する 批判が強まってきている気がします。漁業は−農業も 同様の面はありますが−自然への依存度が高い産業で す。そうした条件下で複数の漁業者が一緒の漁場を活 用するので、その利害調整をするために浜ごとのルー ル が 決 め ら れ て き ま し た 。 地 域 に よ っ て 異 な る ル ー ル をもち、それが地域の産業のあり方や流通のあり方を 規定してきたのであって、それを管理してきたのが漁 協だったのです。これらのルールはそれぞれに歴史的 な経緯をもって形成されてきて、そのなかで漁業を守 る役割を果たしてきたのです。そもそも戦後に漁協の 組織化が進められてきた背景には、それ以前に網元や 商人の支配下にあった漁業者を解放し、漁業者が主体 となって販売事業や市場を運営する仕組みを作るとい
⑬亀里山漁業のこれからの展望
里海の漁業のこれからの可能性と課題
一異業種連携ILよる新しいビジネスモデルの展開一
レポート
東日本大震災被災地の復興への課題
一 セ ン タ ー の 被 災 地 調 査 か ら − レポート
潜在的な地域資源の活用による地域振興の取り組み
一徳島県上勝町視察調査か1つ−
東京海洋大学海洋科学部 准 教 授 濱 田 武 士
金尺大学人間社会研究域経済学経営学系 教 授 武 田 公 子
金 沢 大 学 人 間 社 会 研 究 域 経 済 学 経 営 学 系 助 教 安 嶋 是 晴
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CURESNEWSLETTER) ①
せ、沿岸部の地域経済をしぼませていくわけです。
また、外食チェーンや大手スーパーが大量に安価に 仕 入 れ る た め に 、 魚 価 が ど ん ど ん 下 が っ て い く と い う 状況もあります。1990年代の大店法改正によって小売 業界が再編され、大型量販店の郊外への出店攻勢がお こりました。商業界でも人口にみあった売り場面積と いうものがあるはずだと思うのですが、過剰な大型店 が で き て し ま っ た な か で 競 争 が 激 化 し 、 低 価 格 競 争 へ と逼進することになってしまいました。こうした動き のなかで買い物ゾーンが町なかから郊外にシフトし、
商店街の衰退を招いています。今や鮮魚店の数はピー ク時の半分以下になっています。チェーンストアの店 舗面積当たりの職員数を見ますと、パート職員は横ば い で あ る 一 方 で 正 職 員 数 の 減 少 が 見 ら れ ま す 。 こ の こ
と は 、 専 門 性 を も っ た 職 員 が い な い 、 魚 売 り 場 に 魚 の 知 識 を 持 っ た 人 が い な い と い う こ と を 意 味 し て い ま す 。 水 産 物 は 鮮 度 や 活 力 が 勝 負 で す か ら 、 人 か ら 人 へ 魚と共に"活きの良さ,,を伝えることが肝心です。人が 売っていく、という雰囲気が重要なのです。しかし、
活きの良さを高く売る人々が現場から消え、小売は魚 売り場の演出を怠ってきたと言えます。鮮魚売場は本 来花形の売り場で、客を呼び込む宣伝効果を持ってい ます。最近ではスーパーもこのことに気づき始め、産 直を看板にイベント的に地魚を置いたり、対面販売方 式を復活させたりしています。
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出荷が難しく、上記のような流通を通さずに直接取引 をするとしても、安定的な取引は困難です。養殖なら ある程度は対応できますが。
流通の世界では安く買って高く売るというのが行動 原理です。実際生産者や出荷業者も高く売れる市場を 求めて日々異なるところに出荷しています。しかし近 年では、小売業界が大規模化したためにバイイングパ ワ ー が 強 く な る と い う 状 況 が あ り ま す 。 場 外 流 通 と いってスーパーが卸売や仲卸を通さずに買いつけるも のが増えてきて、卸売の力が弱くなっています。小売 の力が強いと、逆に卸業界にセンターフィ(スーパー の物流センターの使用料)や協賛金を求めたりする例 もあります。また、市場といいつつもせりを行わず、
事前相対といって、荷を確認して品定めすることなく 情報だけで取引をする例も多くあります。小売業者が 卸売業者に注文して、卸売業者が小売サイドの希望価 格で産地から品物を取り寄せて、売買を成立させると いうことです。つまり、市場における小売の支配力が 強くなっているということです。
生産者に対しては日々需給関係で厳しい価格付けが されていますが、卸売から仲卸・小売りのところでは 事前相対のような力関係で決まる価格付けがなされて いるのです。小売の過当競争が流通全体を支配してい る と い う こ と に な り ま す 。 流 通 全 体 が う ま く バ ラ ン ス 良 く 機 能 し て い れ ば こ う し た 問 題 は 生 じ な い の で す 流 通 シ ス テ ム の 問 題
魚価低迷の背景には、もうひとつ重要な問題があり ま す 。 水 産 物 の 流 通 は 、 獲 る 人 ・ 卸 す 人 。 売 る 人 の 三 者 の 競 演 で 成 り 立 っ て い ま す 。 し か し こ の 三 者 間 の パ ワ ー バ ラ ン ス が 大 き く 崩 れ て き て い る と い う 問 題 で す。
水 産 物 の 流 通 シ ス テ ム は 、 図 に 示 し た よ う に 極 め て 多くの段階から構成されています。生産者が産地卸売 業 者 に 売 り 、 そ こ か ら 加 工 業 者 を 経 て 消 費 地 卸 売 り 業 者 に わ た り 、 さ ら に 仲 卸 業 者 を 経 て 小 売 へ 、 と い う よ う に 6 つ の 段 階 を 経 て 消 費 者 に 届 き ま す 。 こ う い う こ とをしなければ魚は流通できない仕組みになっていま す 。 こ の よ う に 流 通 シ ス テ ム が 複 雑 に な っ た こ と に は 、 水 産 業 特 有 の 事 情 が あ り ま す 。 漁 業 は 日 々 の 天 候 や 状 況 に よ っ て 漁 獲 量 や 魚 の 品 目 が 変 わ る た め 、 計 画
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が 、 大 型 量 販 店 に よ る 商 業 支 配 が 強 く な っ て し ま っ て い る と こ ろ に 、 現 在 の 流 通 問 題 は あ る と 言 え ま す 。 定 時・定価・定量に仕入れをするというスーパーの行動 原理に全てが支配されるのです。本来消費地市場は小 売の要望に沿って全国から買い付けをする役割を担っ てきましたが、その力が弱くなっています。
事前相対のように現物を見ずに情報だけで買い付け をするのであれば、そもそも目利きの必要がなくなっ ていきます。良いものでも悪いものでも先に値段が決 まってしまう、良いものを持ってきても、小売の指し 値ですべて決まってしまうのです。良い品が高く売れ ないという寂しさが流通全体を覆っているわけです。
さらに、水産加工業者が海外に工場を移転させる動 きもあります。日本で獲れた魚を中国、タイ、ベトナ ム等に持って行って骨を抜くなどの加工を行い、それ が日本に戻ってきて売られるという状況です。産地の 中小加工メーカーが伝統的加工製品から退出するなど の動きもあり、全国の加工メーカーの数は激減してき ています。
新たな流通体制の構築へ
こうした状況に対抗するには、産地が小売りの垂直 的 支 配 構 造 か ら の 脱 却 を 図 っ て い く 必 要 性 が あ り ま す。実際、ここ10年くらいの間に、新たな流通体制の 構 築 を 目 指 し 、 水 平 的 ネ ッ ト ワ ー ク を 作 ろ う と す る 動 きが進んできています。産地・地元から地域経済を活 性化させるには、いかにして水平的なネットワークに 組み替えていくかが鍵となります。異業種連携はその 一つの手段といえるのです。
従来の流通システムは、確かに漁業者を守る役割も
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果たしてきたわけですが、逆に漁業者と消費者とを断 絶させるというデメリットをもっていました。漁業者 を防衛してきた産地の組合や市場の仕組みは重要では ありますが、これまでの仕組みのなかだけでは漁業者 の生活は守れなくなってきています。新規参入する漁 業 者 に は 、 独 自 の 流 通 を 考 え る 人 が 多 く な っ て き ま し た。
新たな流通システムの下では、漁業者はただ獲れば いいというのではなく、「売ること」を理解し、流通 を 理 解 し つ つ 獲 る と い う こ と が 求 め ら れ て き て い ま す。安定的な供給を求める小売と自然の中で暮らす漁 業者とが、お互いを理解し連携するなかで対等な関係 を構築していく、というのが異業種連携の基本です。
新しいビジネスを創るというよりは、漁業を発展させ ていくための条件づくりという視点が求められ、また 漁業者にも閉鎖性を打破していく努力が求められるの です。次に、こうした異業種連携の事例を幾つか紹介
していきたいと思います。
事例1チリメンの品質管理システムの構築
徳島県の和田島漁協ではシラス漁が行われており、
漁業者は釜茄、乾燥、選別といった作業を自ら行って チリメンに加工し、それを卸売業者や問屋に販売して いました。質の良いチリメンを作るには、鮮度のいい 状態でボイルする必要があります。韓国・中国の漁船 では船の上で茄でてしまうのですが、ここではそうし た大型船ではないため、とにかく水揚げ後いち早く加 工場に持って行く必要があります。大きなボイル施設 が必要なため、自家加工する漁業者には老朽化した施 設の更新が困難なところもでてきていました。しかも 輸入物との価格競争力に弱さがあり、チリメンの消費 量が減少してきたこともあって、廃業を考える漁業者 が増えてきていました。
こうした状況を踏まえ、卸売業者・問屋・漁業者が 共同出資して「アイランド・クラシック・フーズ」と いう株式会社が設立され、ここが加工を担う形をとる ようにしました。これによって漁業者は漁獲に特化す ることができ、設備負担や加工リスクが減ることで漁 家経営の安定が図られたのです。この会社が加工設備 を充実させることで加工品の品質を向上させることが できたのですが、さらに重要なことは、この会社の経
C U R E S N E W S L E T T E R )
営 を 透 明 化 さ せ た と い う こ と で す 。 漁 業 者 と 加 工 業 者 と は 本 来 懐 を 探 り 合 っ て 売 買 す る 関 係 で す か ら 、 お 互 いの経営状況をオープンにする関係にはないわけです が 、 共 同 出 資 し た こ の 会 社 は 経 営 状 態 を 漁 業 者 に 開 示 するようになりました。これによって、漁業者の努力 によってシラスの鮮度や品質が高まれば、チリメンの 売 り 上 げ に 寄 与 す る と い う 関 係 が 目 に 見 え る よ う に な っ た の で す 。 漁 業 者 と 卸 売 業 者 の 相 互 理 解 ・ 連 携 の な か で チ リ メ ン の 品 質 管 理 シ ス テ ム が 構 築 さ れ た と い
う事例です。
事 例 2 ハ モ の 加 工 技 術 を 活 か し た 販 売 の 拡 大 こ れ も 徳 島 の 事 例 で す が 、 そ も そ も 日 本 料 理 屋 の 板 前で、地元で漁食普及の取り組みをしていた方が、ヒ ロ ・ コ ー ポ レ ー シ ョ ン と い う ハ モ を 加 工 す る 会 社 を 設 立したのがきっかけでした。この方はもともと加工業 者 と い う わ け で は あ り ま せ ん で し た が 、 ハ モ を 加 工 し て真空パックでギフト商品を作り、関西方面の百貨店 に 売 り 込 も う と 考 え ま し た 。 そ の 際 、 鮮 度 の い い ハ モ を 手 に 入 れ る た め 、 漁 業 者 と 連 携 す る よ う に な り ま し た。
ハ モ は 、 底 曳 網 漁 の な か で 網 に か か っ て く る も の で す 。 底 曳 き は 長 距 離 を 曳 い て い け ば そ れ だ け 多 く の 魚 が網に入ってくるわけですが、その分魚は痛みます。
漁 業 者 は た く さ ん 獲 り た い か ら 、 ず っ と 長 い 距 離 を 曳 い て い き た い の で す が 、 加 工 業 者 と し て は 鮮 度 の 高 い 生 き た ハ モ が ほ し い わ け で す 。 そ こ で 会 社 で は 、 い い ハ モ を 獲 っ て も ら う た め に 、 経 営 の 透 明 化 を 図 り ま し た 。 漁 業 者 に 曳 網 時 間 の 短 縮 と 投 網 回 数 の 増 加 と い う 操 業 方 法 を 受 け 入 れ て も ら う に は 、 そ れ に よ っ て 質 の い い ハ モ が 揚 が り 、 販 売 価 格 の 上 昇 に 繋 が る と い う こ とを理解してもらう必要があるためです。この点は事 例 1 と 似 て い ま す が 、 こ こ で は ハ モ の 買 取 価 格 は 漁 期 前 に 取 り き め ら れ る こ と に な っ て い ま す 。 そ の な か で 、 会 社 か ら の 提 示 価 格 を 漁 業 者 に 納 得 し て も ら う た め の 経 営 透 明 化 が 意 味 を 持 っ た と い う こ と で す 。 こ の ことは、漁業者との信頼関係や共同事業者としての意 識を強くする効果があったといえます。
事 例 3 「 隠 れ た 地 魚 」 の 価 値 の 創 造
ひ た ち 市 の 久 慈 町 漁 協 と 商 工 会 議 所 の 飲 食 店 グ ル ー
(CURESNEWSLETTER)
プとの共同で、平成20年に「ひたち地域資源活用有限 責任事業組合LLP」が設立されました。ひたち市は 企業城下町ということもあって、接待等での料亭利用 が多く優れた板前が大勢いました。しかし地元の良い 魚はみな築地に行ってしまい、産地の魚に恵まれてい ませんでした。地元の魚を扱いたいという板前の要望 から、インパクトのあるここにしかない魚というのを 求めた結果、未利用魚に行き着いたのです。未利用魚 とは、見た目があまり良くなく、美味しいのに市場価 値 が 低 く な っ て い る よ う な 魚 の こ と で 、 リ ー マ ン シ ョ ッ ク ま え に は 一 時 期 未 利 用 漁 ブ ー ム と い う の も あ りました。この地域ではイラコアナゴやカンテンゲン ゲ、ニギスがそれにあたります。石川ではゲンゲやニ ギスは人気のある魚ですが、全国的な知名度は低いの です。
LLPは、これまで沖で獲れても売れないと思って 放流してきたこれらの魚を買い取って、これらを扱う 業者に卸すとともにそれを用いた名物産地料理を開発
しました。また飲食店共同のパンフレットを作って、
他店の独自メニューを紹介しあったり、未利用漁の食 べ方を解説したりしました。LLPから未利用漁を仕 入れる業者は当初の6社から今では15社にまで拡大し ています。未利用漁は安定供給にはならないので、バ ラ ン ス が 難 し い の で す が 、 極 め て 面 白 い 取 り 組 み に なっています。
成功に繋がる条件
こ の 他 に も 、 製 氷 機 械 メ ー カ ー と 養 殖 業 者 が 連 携 し、LLPを作って高品質の製氷システムを購入した LLP宇和鯛の例もあります。また、北海道の上ノ国 町でナマコの種苗生産を行う(有)海鮮倶楽部では、
町に種苗を販売し、これを漁協が放流・育成し、地元 漁業者が漁獲するという連携関係を構築しています。
ナマコは中国で漢方の材料として高額で取引されてい ます。
これらのように、成功に繋がる例は貴重ですが、要 はアイディアだと思います。これまで関係のなかった 人々が繋がって、お互いが理解を深めつつ新しいもの を作った事例です。いずれもさして大きな規模ではな く、実験的な段階ではあります。本格的に漁業がこれ だけで成り立って行くわけではありませんが、当面サ
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イ ド ビ ジ ネ ス と し て 取 り 組 ん で い く こ と に よ っ て 、 次 に繋げていくことができるのではないかと思います。
単なる原料供給一加工関係だけでなく、経営の透明化 等 に よ る 相 互 理 解 を 通 じ て 、 よ り よ い も の を 作 り だ す
ことに成功していると思います。
※ 編 集 部 注
本稿は、2012年3月17日、石川県生涯学習セン タ ー 能 登 分 室 ( 能 登 空 港 内 ) に お い て 開 催 さ れ た 、 奥 能登教室同窓会の公開セミナーの講演の内容です。能 登 の 里 山 里 海 が 世 界 農 業 遺 産 に 指 定 さ れ た な か で 、 里 海の水産業を地域の発展にどう繋げていくかが重要な 課題となってきています。このセミナーでは、漁業の 産業特性や流通の仕組み等を踏まえて、他業種とどの よ う な コ ラ ボ レ ー シ ョ ン が 可 能 か と い う こ と を 、 講 演 を 踏 ま え て と も に 考 え る 場 と し よ う と 企 画 さ れ ま し た 。 上 記 は 講 演 の 内 容 を C U R E S 編 集 部 の 文 責 で ま とめたものです。
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色
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金 沢 大 学 人 間 社 会 研 究 域 経済学経営学系
教 授
武 田 公 子
東日本大震災被災地の復興への課題
一 セ ン タ ー の 被 災 地 調 査 か ら −
は じ め に
2012年2月19日〜21日、地域政策研究センタース タッフ4名(武田、平田、安嶋、神崎)は、釜石市、
陸前高田市、石巻市等にて東日本大震災被災地の現地 調査を実施した。これまで筆者は、ボランティアとし て幾度か被災地を訪れてきたが、徐々に瓦礫が片づけ られ、整地が進んできている状況を目にする一方で、
どの地域も新たな建築物は全く見られず、明らかに復 興 が 遅 れ て い る 様 子 が 気 に な っ て い た 。 お そ ら く そ の 最大の原因は、復興計画の決定の遅れとその背景とし ての財源確保の見通しにあるものと推測していたが、
今回の調査ではその実態を知ること、また特に生業・
産業の復興や雇用創出の現状と課題を探りたいと考え た次第である。以下ではヒアリング内容を全てご紹介 することはできないが、上記の観点に関わって得られ た知見を概括し、若干の考察を加える。
1.雇用のミスマッチ問題と生業の再建に向けた課題 一 釜 石 市 に て −
(1)被害の状況と復興計画
釜石市では、震災前から釜石・大槌でまちづくり の 活 動 を 行 っ て き た N P O 法 人 「 @ リ ア ス N P O サ ポートセンター」代表の鹿野順一氏に話をうかがっ た。事務局のある鉄筋コンクリートの建物は2階部 分まで浸水して使用不可能となっているが、3階以 上は事務所・住宅として利用されている。@リアス は震災後に設立された「いわて連携復興センター」
の事務局を担っており、また緊急雇用対策の受け皿 ともなっている。
釜石市では、北部の唐丹地区・鵜住居地区の被害 が特に甚大であり、いずれの地区でも瓦礫撤去が進 んではいるものの、浸水域には家の土台を残して何
(CURESNEWSLETTER)
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釜 石 市 魚 市 場 周 辺 ①
謬抵‑零
〜
釜 石 市 魚 市 場 周 辺 ②
もない光景が広がっている。海岸部の地盤沈下が著 し く 、 沿 岸 に 士 襄 や 瓦 礫 が 山 積 み さ れ て い る 光 景 は 、 他 の 被 災 地 域 と 全 く 同 様 で あ る 。 市 の 中 心 部 で は、川沿いの地区と漁港側の被害が大きいものの、
市街地部分は一面に津波に渡われた状況ではなく、
局地的な建物被害が目立つ。これは湾口防波堤と製 鉄 所 敷 地 の 石 炭 ヤ ー ド と に よ っ て 波 が 遮 ら れ た た め である。とはいえ、鉄筋コンクリート造りの建物が 並ぶ商店街の1階部分が波に打ち抜かれ、その後背 の木造住宅が壊滅するという複雑な被害相を示して いる。残されたコンクリートの建物の撤去が遅れて いるように見えたが、この年度末に向けて急速にこ れらの解体作業が始まっているとのことである。
しかし、復興計画が確定版に至っていないため、
その後の再建の見通しはまだない。住民説明会を重 ね て い る も の の 、 市 街 地 で の 合 意 形 成 が 困 難 で あ り 、 な か な か 成 案 に 至 ら な い の だ と い う 。 少 し 前 ま で は 復 興 計 画 の ネ ッ ク は 財 源 問 題 だ っ た 。 復 興 計 画 の概要は6月頃には出来上がっていたが、国の二次
CURESNEWSLETTER)
補正、三次補正を待たねば財源の裏付けが確保でき ない状況だった。しかし11月に第三次補正が通過し た後は、国の施策が市町村の復興計画の遅れを追い 越すようになってきている、というのが鹿野氏の見 立てであった。
(2)雇用のミスマッチ
緊 急 雇 用 対 策 に つ い て は 、 当 初 よ り 雇 用 の ミ ス マヅチが指摘されてきた。鹿野氏の指摘では、これ は以下のような複数の要因によるのではないかとの ことである。第一には文字通り求職者のニーズが求 人に見合わないということである。求人があっても 避難所生活のなかで先の見通しがつかないために就 職を見送った例、雇用保険給付を受けつつ元の職場 の再開や関連職種の復興を待つ例等である。また緊 急雇用として提供されるものが、瓦礫撤去と見守り 活動がほとんどで、求職者の条件やニーズに合致し にくいこともある。第二には、仮設住宅の立地と通 勤手段の制約の問題である。用地確保の制約性か ら、仮設住宅は山間地に向かう道筋の奥の方に建て られており、自動車がないと移動できない。駐車ス ペースは1世帯に車1台と制限されており、通勤だ けでなく、保育所や買物への足の確保も難しい状況 にある。生活環境の変化を含めて、そもそも仕事を 始める前の支障が大きいのである。第三には、内陸 部や市外への流出問題である。比較的若い人々で は、一時避難先で再就職を果たす例が多くみられ、
その結果市内での求人が埋まらない。地元企業でも 100人規模の雇用が見込まれるところが夏ごろに事 業再開を果たしたが、震災前に勤めていた人の半分 しか戻らなかったという例もあるとのことだ。ま
鹿 野 氏 ヒ ア リ ン グ 風 景