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1.はじめに 1990年代のコンピュータ像として,拡張性と柔軟性に富

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(1)

NDC 007.63, 548.2

情報工学科ネットワークシステムの構成について

岡 田 正* 河 合 雅 弘*

(平成2年8E23日受付)

Organization of the Network System lnstalled in the Department of Electronics and Computer Engineering

Tadashi OKADA* and Masahiro KAwAI*

(Received August 23, 1990)

 A local area network is installed in the Department of Electronics and Computer Engineering to serve for a computer−

environment education, We organize the network system with five workstations manufactured by three makers, four X Window terminals, twelve personal computers and Ethernet (leBASE5) cable, Particulars of a selection of the system components, a distinctive feature of the whole system, and a function of the each component are reported with computing performance measured by bench mark tests.

1.はじめに

 1990年代のコンピュータ像として,拡張性と柔軟性に富 み優れたユーザインタフェースを持つ「やわらかいコン ピュータ」が提唱されている1)。このようなコンピュータ を単一のシステムで実現するのは困難であり,著しい発展 を遂げつつあるパソコンからメインフレームまでを組み合 わせて,有機的に統合化したシステムを構築する必要があ る。規模の異なる自社製品を統合するSAA(System Ap.

plication Architecture)2)や,異なるベンダの製品を含めて 統合するDCE(Distributed Computing Environment)3)は,

この方向を目指した試みであるといえる。理想像との琵巨離 はあるものの,ベンダも規模も異なる機種をネットワーク で結んだシステムが,すでに数多く動いているし,意欲的 な高専の構想もある4)。

 このような新しいコンピュータ利用環境の進展に連れ て,教育機関においても早急な対応が迫られている。規模 の異なるコンピュータを,ネットワークで結合するという 環境に対応していくためには,従来の言語教育を中心とし た教育では不十分である。ネットワーク対応のコンピュー タ環境を整備し,この上で標準化された開放システムの利 用技術を学ぶ教育を取り入れる必要がある。筆者らはこの ような教育を「コンピュータ環境教育」と呼び,コンピュー タ教育の一方の柱にしなければならないと考えている。

 昭和61年度に発足した情報工学科においては,コン ピュータ環境教育の必要性は他学科以上に強い。情報工学 科の核となるコンピュータシステムの導入にあたって,多 様なコンピュータをネットワークで結合したシステムを導 入することが,当初から構想されていた。その後の種々の 議論を経て,ワークステーションとパソコンとによる

LAN(Loca1 Area Network)が,平成元年度までに2段 階に分けて導入された。マルチベンダと開放システムを目 指したこのネットワークシステムは,3種類5台のワーク ステーション,4台のカラーXウィンドウ専用端末(X端 末),12台のパソコンを,Ethernetで結合したものである。

 本論文は,情報工学科に導入されたネットワークシステ ムについて,その概要を述べたものである。導入の目的と 経緯及びシステム構成と機能を,主にハードウェア面から 報告する。これによって,今後導入される同様なネットワー

クシステムの参考に供するとともに,資料として利用でき ることを目指してまとめた。

* 情報工学科

2.導入の目的と経緯

 コンピュータ関連の幅広い分野をカバーする教育課程を 持つ情報工学科にとって,中核となるコンピュータシステ ムの導入は急務であった。学科内教職員の業務に利用でき,

1.で述べた学生のコンピュータ環境教育へも適用できる こと目的に,最:新システムの導入を議論してきた。その結 果,既にあるハードウェア資源を活用しながら,データの 共有・分散やコミュニケーションを行うために,ネット

(2)

津山高専紀要第28号(1990)

ワーク環境で結ばれたコンピュータシステムを導入するこ とが決まった。また,ネットワークシステムの導入に当たっ て,規模やベンダの異なる多様なコンピュータの接続可能 な,開放アーキテクチャを基本方針とした。

 当初,専用サーバでパソコンをつないだ,いわゆるパソ コンネットを検討した。しかし,このクラスのLANでは 処理能力や発展性で問題があり,より高機能のシステムで なければ学科内の要求を満たせないことが判った。そこで 昭和62年度は,将来ネットワークに接続するための端末用 として,教官一人当たり一台のパソコンを購入し,サーバ を含めたネットワーク全体の導入は先送りにすることに

なった。

 一方,検討.を進めている期間は,RISC (Reduced Instruction Set Computer)プロセッサ搭載型や100万円台 の低価格型など,次々と新しいワークステーションが出現

し,著しい発展を見せた時期である。この結果,従来価格 的に無理と思われたワークステーションベースのLAN を,予定予算(学科新設費用の単年度分)内で導入する目 処がついた。開放システムの中心にワークステーションを 置くことは,2つの理由から好都合であると思われる。.一

つは,ワークステーションの価格対性能比が優れており,

実社会で利用されている高性能なシステムが安価に導入で きること,今一つは,ハードウェア・OS(Operating System)・通信アーキテクチャ・マンーマシンインタ

フェースのすべての面で標準化が進んでおり,コンピュー タ環境教育にふさわしいことである。

 このような経緯から,最終的にワークステーションを中 心にしたLANを導入することにして,詳細な仕様の検討 を行った。特定ベンダの特定機種の機能に依存せず,将来 に渡って多様なワークステーション・パソコン等に接続可 能な共通ネットワークを考慮しながら,

  1.ネットワーク仕様

  H.ノード端末と接続用ハードウェア/ソフトウェア   皿.ワークステーション

の3つのレベルについて,機能・機種を決める必要がある。

 ワークステーションベースであれば,1.について Ethernetが標準となっている。将来性・拡張性を含めて問 題なく,ネットワークはEthernetに決めた。ネットワー

ク総延長は,情報工学科棟の1階から4階まで張ることか ら,10BASE5(thick wire)のりーピー骨なしの最大長500m

表1 情報工学科ネットワークシステムの基本仕様

ネットワーク基本仕様

Ethernet 10BASE 5       ターミネータ1組付き         総距離500 m lchトランシーバとケーブル10m  教官室10組と実験室4組       計14組 パソコン端末接続用の基本仕様

EXOS10698E        11組

 接続ボード EXOS298E

 ソフトウェア FTP,漢字telnet, TCP/IP

EXOS−POWER UNIT一 2      11台 EXOS10691E       1組  接続ボード EXOS291E

 ソフトウェア FTP,漢字telnet, TCP/IP

EXOS PC−NFS      12組  NFSクライアントソフトウェア

ワークステーション関連の基本仕様 ワークステーション台数:2台

CPU:68030またはRISCで数値演算コプロセッサ付きのこと 主メモリ:2台とも8MB以上のこと

ハードディスク:1台目300MB以上,もう1台は200MB程度を持つこと バックアップ用カートリッジテープメモリ装置を備えること

ディスプレイ:2台ともカラーのこと OS:Unix 4.2BSDまたは上位互換のこと

日本語処理:他のワークステーションおよびMS−DOSのファイルとの互換性を保てること 周辺装置:レーザプリンタ1台を備えていること

(3)

情報工学科ネットワークシステムの構成について  岡田・河合

とした。

 皿.のノード端末としてパソコンがすでに導入済みであ り,これらをEthernetに接続するものとして,多くのパ ソコンに対応していて実績がありソフトウェアの豊富な,

EXOSシリーズ(ジャパンマクニクス社)に決めた。

EXOSシリーズは, O S I(Open Systems lnterconnec.

tion)のトランスポート/ネットワーク層に相当する

T C P / 1 P (Transmission Control Protocol/ lnternet

ProtocoDまでを,標準でサポートしている。今回はさら に上位の層まで共通にし,ディスクの共有化を実現できる よう,NFS(Network File System)も同時に組み込む ことにした。

 最後に,IH.のワークステーションを検討した。導入後 に行う予定の業務に,特定機種に絞らなければならないよ うなものはない。むしろ多様なワークステーションを比較 しながら使用できる方が,情報工学科のコンピュータ環境

教育にふさわしいと思われた。そのため,大まかなガイド ラインのみを提示し,具体的な機種は納入先に任せること にした。

 こうした検討を経て,表1のような基本仕様がまとまっ た。これをもとに,4種類のワークステー一・ションの組み合 わせで,5社の業者によって入札が行われた。その結果,

SPARCstation 1(Sun Microsystems製)とNWS−1460(ソ ニー製)の組み合わせを中心にしたシステムが納入される ことになった。

 その後,卒業研究に当てる費用の一部を使って,ワーク ステーション2台(いずれもNWS−1460)とX端末4台(い ずれもXstation 17,日本電算機製)とを導入することが 決まった。また,本システムの導入に合わせるように,日 本ディジタルイクイップメント㈱の御好意により,ワーク ステーション(DECstation 2100)を寄贈していただける ことになった。これらを含めて,全体像を3.で説明する。

D㏄stati㎝21〔n SP騰tati㎝1闘聡一1妬0      閲隠一1460      PC−98DIRへ

PCぞ8D1軌Xstati。n17

・青青塾

□團

teminaωr

@ PC−9∈OlVX     PC−90〔旺RρL         PC−98DIRへXstati㎝17       Xstation17

3F □ 口    □

□.

2F         Ethernet 10BASE5         tr・nsc。i》・r oC−980鰍    PC一田01隔     『MR−6D 1℃窃011斌     1℃一咲【)IRへ

□ □    □ □ □

PC窃01Rへ PC−i熟〕1Rへ 闇器一1㈹  Xstati㎝17

□ □

F

teruinator

図1 情報工学科ネットワークシステムの構成

3.全体構成とシステム概要

 情報工学科ネットワークシステムの全体構成を,平成2 年7月現在で図1に示す。情報工学科棟の1階と4階の西 端にターミネータを置き,この間を各部屋の壁と各階の床

に穴を開け,イエローケーブルで結んである。ケーブルが 露出しているが,設置場所の変更が容易に行え,学生に提 示し易く教育効果が上がるものといえる。

 共用のワークステーション3台と関連機器は,4階の サーバ室に設置されており,ここでネットワークの管理を

(4)

津山高専紀要 第28号 (1990)

行う。各階の教官研究室には,端末用としてパソコン(PC

−9801とFMR−60)が置かれ,各居室からUnixシステム を業務に利用できる。

 一方,学生の利用のための設備が,現状では卒業研究用 を中心に準備されている。ワークステーション・X端末の 設置された5つの部屋があり,マルチタスクのウィンドウ

環境が,ネットワーク上で利用できる。卒業研究を通して,

多様な応用に向けて準備が進んでいる。また,学生実験用 の2つの実験室からも,パソコンを通してアクセスできる ようになっている。しかし,今のところ一般学生が自由に 利用できる環境は準備できておらず,この方面の利用は今 後の課題である。

表2 情報工学科共用ワークステーションの基本仕様

製 造 元 Digital Equipment Sun Microsystems ソ  ニ  一 斗 品 名 DECstation 2100 SPARCstation 1 NWS−1460  プロセッサ

猿Zコプロセッサ

@動作周波数

@公称MIPS値  、  王メ.モリ

 R2000

@R2010

P2.5MHz P0.4MIPS WMバイト

SPARC IU rPARC FPU

@20MHz

P2.5MIPS WMバイト

 68030

@68882

@25MHz

R.9MIPS WMバイト  ハードディスク

tロッピーディスク Jートリッジテープ

540Mバイト X5Mバイト

   650Mバイト R.5インチ1.44Mバイト

@  150Mバイト

   416Mバイト R.5イ.ンチ1.44Mバイト

ディスプレイ 19インチカラー P280×1024ドット

16インチカラー P280×1024ドット

14インチカラー P024×768ドット プリンタ グラフィック漢字プリンタ

@  180×180dpi

A4専用レーザビーム S00dpi 8ページ/分

OS ULTRIX Ver.3.1 (4.2/

S.3BSD十SystemV3.0)

Sun OS 4.0.3 (4.2/

S.3BSD十SystemV3.0)

NEWSつS

i4.3BSD)

ウィンドウ DEC Windows SunView XWindows

日本語処理 日本語VMS V5.1BLIC JLE sj 2 言語処理系 C/Fortran C C/Fortran77/Lisp

@ /Pasca1

4.各部の基本性能と機能

 4−1.ワークステーション

 ネットワーク上で共用される3台のワークステーション について,導入後の基本機能を表2に示す。現在のワーク

ステーションに採用されている代表的なCISC

(Complex Instruction Set Computer)プロセッサ(68030)

とRISCプロセッサ(SPRACとR2000)を搭載した

機種で,標準的なコンピュータ環境教育に対応できる構成 となった。各ワークステーションは,すべて主メモリ8M バイト,ハードディスク400Mバイト以上を持ち,一つの 学科内の利用であれば十分対応できるものと考えている。

 3機種の操作・管理環境としては,Unixの4.3BSDを ベースにしたOSが入っており,基本的な互換性はとれて いる。また,ネットワーク関係では,どの機種もEthernet・

TCP/IP・NFSを標準でサポートしており,同じよ

うに利用できる。一方,ウィンドウシステムは,各機種で 異なっている。次節で述べるX端末は,導入時点では,X

ウィンドウを標準とするNW S 一1460をホストとしている。

どの機種にどのウィンドウを搭載するかを,今後の利用状 況を見ながら検討し決定していかなければならない。

 次に,ワークステーションの基本的な処理能力を調べる ために,簡単なベンチマークを行った。比較対象は,表2 の共用ワークステーションと,本校電子計算室のスーパー

ミニコン(MS−175,日本電気製)及びパソコンPC9801 RA(386十38716MHz>であるD言語としてCとFOR−

TRANを使用し,整数演算用と浮動小数点演算用とに分け て比較を行った。測定条件や,ベンチマークプログラム5>一8>

の詳細は,表3の脚注を参照願いたい。

 ベンチマークの結果を,表3に示す。結果をまとめると,

次のことがいえる。

○ 整数演算の計算速度は,スーパーミニコンを除き,

(5)

情報工学科ネットワークシステムの構成について 岡田・河合

表3 ワークステーション,スーパーミニコン,パソコンの計算速度比較

整数演算ベンチマーク 浮動小数点演算ベンチマーク

MIPS値

機   種 (公称値・ま

 Dhry    .

m回/秒]

Sieve m秒]

Float

m秒]

Savage

m秒]

たは推定値)

.C .C .f .C .f .C .f

17241 12.5 2.8 2.3

SPARCstation 1 12.5 (5.3) (5.1) (6.9) (4.5) 6345 43.9 46.8 11.6 9.5 2.7 2.2

NWS−1460 3.9 (2.0) (1.4) (1.4) (1.7) (2.0) (3.9) (4.7)

16666 17.8 18.9 1.0 1.0 1.3 1.3 DECstation 2100 10.4

(5.1) (3.6) (3.4) (19.4) (19.4) (8.0) (8.0)

130.4 4.4 2.0

MS−175 3 (0.49) (4.4) (5.2)

2 3250 63.5 19.4 10.4

PC980工RA (387−on) (1.0) (1.0) (エ.0) (LO)

2 361 128

386(16MHz)

(387−off) 同上 同上 (0.054) (0.081)

PC9801RA 830 274.5 1471 5!4

0.5

V30(8MHz) (0.26) (0.23) (0.013) (0.020)

1.測定上の注意

(1).cはCコンパイラ,.fはFORTRANコンパイラでコンパイルし実行した結果である。

(2)ワークステーションとスーパーミニコンは,標準添付の言語処理システムを使用し,パソコンは,Turbo C   v2.0(メモリモデルはLargeモデル)を使用した。

(3)結果欄の(〉内の数字は,PC9801RA(386+38716MHz)の結果を1として,演算速度を相対的に表示し   たものである。

(4)ワークステーションとスーパーミニコンの測定では,ログインユーザ数1として,timeコマンドでCPU時   間を測定した。一方パソコンでは,ストップウォッチにより経過時間を測定した。

ll.ベンチマークプログラム5>一8)

(1)整数演算用には,次のプログラムを使用した。

Dhry, c:文字処理・整数演算を主体としたDhrystoneベンチマークのプログラム。このプログラムを1秒間に何   回繰り返し実行したかを表示。

Sleve. cとSieve. f:エラトステネスのふるいによる8ユ90までの素数の計;算を,1000回繰り返す。この処理時問を表示。

②.浮動小数点演算用には,次のプログラムを使用した。

Float. cとFloat, f:倍精度の実数の四則演算(加減乗除)を60万回繰り返す。処理時間を表示。

Savage. cとSavage. f:tan(),atan(),exp(),log(),sqrt()の各数学関数の演算を,25000回繰り返す。こ   の処理時間を表示。

 MIPS値とよく合っており,導入したワークステー  ションの計算速度は,パシコンに比べ数倍速い。

○ ワークステーションの浮動小数点演算速度について  は,パソコン(387付き)に比べ,四則演算(加減乗除)

 で1.7〜19.4倍,数学関数の演算で3.9〜8.0倍である。

○ スーパーミニコンの整数演算速度はパソコンより遅い  が,浮動小数点演算ではパソコン(387付き)の4.4〜

 5.2倍である。しかし,RISCプロセッサを搭載した

 ワークステーションに比べると同程度か,やや遅い程度  の計算速度である。

 以上の結果から,情報工学科の中核システムとして,十 分な性能を持ったワークステーションが導入できたものと 考えている。

 4−2.Xウィンドウ専用端末

 Xウィンドシステムは,Unixにおける統合操作インタ フェースとして,ほぼ標準となったウィンドウシステムで

(6)

津山高専紀要第28号(1990)

ある。X端末はこのXウィンドウシステム向けの専用端末 であり,現在,Unixとウィンドウの使える価格対性能比 の高いコンピュータとして,急速に普及している9>。

 X端末はサーバークライアント型のアーキテクチャに基 づいて動作しており,ホストで走るアプリケーション(ク ライアント)からの指示によって,ディスプレイやキーボー

ド・マウスの入出力処理だけを実行する。従って,Unix を乗せる必要がないので安価でありながら,描画性能の優 れた端末が実現できる。また,制御プログラムをすべてホ ストコンピュータからロードして立ち上がるので,異なっ たホストを切り換えて使ったり,バージョンアップに簡単 に対応できるなど,保守性に優れている。

 今回導入したXstation17(日本電算機製)は, C P Uに 68030(25MHz)を使い,主メモリ4Mバイト(増設後),

17インチカラービットマップディスプレイ,内蔵フォント ROMを備えるX端末である。描画性能を示すxstonesが 43,572と,現在市販されているX端末では最も高く9),ホ ストのワークステーションでXサーバを動かすより高速な 処理が行えるものである。

 4−3.パソコンからの利用

 パソコンとネットワークを接続するEXOSシリーズ は,エクセラン社によって開発された実績のあるシステム である。接続用ボードは,CPU80186とLAN用コプロ セッサ82586を使い,インテリジェントサーバとして種々 の処理を分担する。このボードは2〔A〕(標準)と大き な電流を必要とするので,拡張バスの電源が不足するPC

−9801シリーズには外部専用電源を準備した。パソコンは,

本ボードを通してTCP/IPでネットワークを利用す

る。このためのプログラムを走らせると,基本的な実行環 境が常駐するようになる。これによって,標準的プロトコ ルによる交信だけでなく,トラフィック管理(ネットワー ク上の統計量やパケット流量の制御など)と他のユーティ リティのロード・実行ができることになる10)。

 上記の環境のもとに,より高次のネットワーク利用を可 能にするよう,各種のユーティリティが用意されている。

代表的なものは,次の通りである。

O IPのリモート端末プロトコルTELNET(特徴:パ  ソコンをリモートホストの仮想端末として使用,パソコ  ンの日本語処理機能を使って漢字入力可,4つまでのホ  ストと同時に接続可能,ホスト漢字コードがEUC/

 DEC/JIS/シフトJISのいずれであっても設定  可能,セッションを開いたままでDOSコマンド実行可)

○ パソコンとワークステーション間でのファイル転送

○ リモートホストのコマンド実行

○ リモートホストに接続されているプリンタへの出力  さらに,NFSクライアントプログラムを利用すること

で,ネットワーク透過なファイルシステムを構築できる。

従って,UnixとMS−DOSを統合し,自由度の高いネッ トワークが実現できる環境が準備できた。今後全体のシス テム構成の詳細を検討した上で,これらの機能を組み込ん でいく予定である。

5.あ と が き

 情報工学科に設置されたネットワークシステムについ て,導入の目的と経緯,全体構成と各部の機能等を,主に ハードウェア構成を中心に報告した。3種類の代表的な ワークステーションを,Ethernetを通してX端末とパソコ ンから利用するという,マルチベンダの標準的なシステム 構成になった。本システムは標準的な構成で,取り立てて 述べるほどの特徴を持たない。このことは逆に,コンピュー

タ環境教育にとって利点になるものといえよう。

 現在,最低限の環境設定は完了し,各端末から基本的な 利用ができるようになっている。続いて,教職員間のコミュ ニケーションと学生のコンピュータ環境教育に回けて,本 格的な利用環境の整備に取り組んでいる段階である。これ らの成果は,稿を改めて報告したい。また,異なったワー クステーションを結合した本システム上で,機種の特徴の 把握やデータ交換の問題点等の利用経験を蓄積し,将来導 入されるであろう学校内ネットワークの運用に活かしたい

と考えている。

 本システム導入までには,情報工学科教官各位による熱 心な討議が行われ,多くの会社の担当者から種々の情報を 提供して頂いた。本システムに関係された,これら多くの 皆様に,この場を借りて感謝いたします。

1)日経エレクトロニクス,488(1989−12−11)143.

2) E. F, Wheeler and A. G. Ganek : IBM Syst. J., 27 (1988)

  250.

3)日経エレクトロニクス,502(1990−6−11)121.

4)宮川ほか:高専教育,13(1990)9.

5)インフォメーション,7−9(1988−9)50.

6)インフォメーション,8−7(1989−7)70.

7)日経バイト,39(1987−11)110.

8)島崎:情報処理,31(1990)313.

9)日経エレクトロニクス,499(1990−5−14)155.

10)LANWorkPlaceTMユーザーズ・ガイドMS−DO

  S版Rev. B(3分冊),(1990−1).

参照

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