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マンモグラフィ装置を利用した拡大撮影法の検討 利用統計を見る

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市立千歳市民病院医誌 第6巻 第1号 (2010) 55

マンモグラフィ装置を利用した拡大撮影法の検討

放射線科 幸野 信之

はじめに

 1990年ごろに行われていた拡大撮影は、被写体をフ ィルムから遠ざけることで拡大画像を得るという方法で、

幾何学的に被写体そのものを拡大し、撮影するというもの であった。この方法を行うことで、微細な構造物の描出が でき、診断に有用な撮影法であった。近年、画像の電子化 が進み目的とする部分を自由に拡大・縮小し、観察を行っ ている。コンピュータで拡大すると、画像が粗くなり、ボ ケた画像を観察することになりかねない。

 マンモグラフィ撮影装置は、微小なものを描出する能力 が高く、通常の画像より解像度が高い。また、幾何学的に 拡大撮影を行うことが可能である。そこで、この機能を用 い拡大撮影を行った画像と、コンピュータで拡大した画像 を比較し、どちらが高画質な画像を得られるか検討したの で報告する。

理論

 拡大撮影法は、X線の拡散を応用し、フィルム上に拡大 像を得る方法で、X線典型の焦点の大きさF、焦点被写体 間距離をa、被写体フィルム間距離をb、被写体の大きさ AB、フィルムに投影される大きさA B とすると、

式:A B =[1+b/a]AB

となる関係式が成り立つ。焦点Fは、画像のボケと密接に 関係し、焦点が大きくなれば、画質が劣化する。拡大率は、

[1+b/a]となり、被写体とフィルム問距離が大きくなれば 拡大率が大きくなる。

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Fig.1拡大撮影法の原理

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使用機器  撮影装置:

1.CRシステム

  UD 150B−30(島津メディカル)

  FCRシステム(富士フィルムメディカル)

2,マンモグラフィ装置

  Senographe DS Depister(GE横河メディカル)

  画像観察装置:ZIOワークステーション(ザイオ)

  画像評価用ファントム:TEST CHART S−10.1t

方法

1.CRシステムにて、 TEST CHARTファントムを1、!.5、

  1.8倍の拡大撮影を行った。

2.マンモグラフィ装置を使用し、TEST CHARTファント   ムを1、1,5、1.8倍の拡大撮影を行った。

3.1と2から得られた画像をも画像観察装置にて、技師   3名で、視覚評価を行った。

結果

1.

2.

CRシステムは、拡大率1倍、1.5倍、1.8倍とも3.13 LP/㎜まで観察できた。(Fig,2,3,4)

マンモグラフィ装置は、拡大率1倍で3.13LP/mm、1.5 倍で4.00LP/mm、1.8倍で4. 00LP/㎜まで観察できた。

(Fig. 2, 3, 4)

考察

 拡大撮影法を使って、CRシステムとマンモグラフィ装 置でどちらがより細かなものまで描出可能か検討した。ど

ちらがどのくらい細かく描出できるかを判断するために、

簡易的に測定できるTEST CHARTを用いた。このTEST CHART は、白と黒の線がどこまで分離できるかを観察することで、

その画像の描出できる能力(解像力)を測定できる。例え ば、0.5LP/mmを描出できた場合、1㎜厚を分離できる能力 があると判断される。

 今回の測定では、マンモグラフィ装置で4.00LP/㎜まで 描出できたことから0.125㎜の描出能があると考えられ

た。

 また、TEST CHARTを用いた解像力の測定では、人の目で 測定するため、視力や周囲の観察状況で結果が影響されや すく、正確な値を示さないことが多い。他の方法で測定

した1倍の解像力は、CRシステムで20LP/㎜(25μmの描 出能)、マンモグラフィ装置で50LP/mm(100μmの描出能)

(2)

56 放射線科 幸野 マンモグラフィ装置を利用した拡大撮影法の検討

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図2拡大率1.0倍

図3拡大率1.5倍

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図4拡大率1,8倍

(3)

市立千歳市民病院医誌 第6巻 第1号 (2010) 57

図5−11倍における胸骨の比較:マンモグラフィ装置で撮影した方が胸骨の把握が容易である。

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図5−2 1.5倍における指骨の比較ニマンモグラフィ装置で撮影した方の骨構造が明瞭に描出される。

(4)

58 放射線科 幸野 マンモグラフィ装置を利用した拡大撮影法の検討

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図5−3 1.5倍における頚椎の比較:マンモグラフィ装置で撮影した方の骨構造が明瞭に描出できる。

となっている。この結果からマンモグラフィ装置による撮 影は、CRシステムの4倍の解像力があると言える。これ は、Fig.5に示す臨床画像が示すように、マンモグラフィ 装置の方が高解像力で描出されていることがわかる。

 また、拡大撮影法は、その原理からX線を発生する焦点 の大きさが画質に大きく寄与することが知られている。C Rシステムとマンモグラフィ装置を比べると、焦点サイズ はCRシステムで0.6㎜、マンモグラフィ装置で0,!mmと なっており、画像を劣化させる要因であるボケの量はマン モグラフィ装置の方が少なくできる。

 このマンモグラフィ装置は、フラットパネルディテクタ

(FPD)という検出器で画像を出力している。このFPDの 持つ100μmを描出する能力と、画像のボケを少なくでき る小さな焦点により、CRシステムより高解像力な画像を 出力できると考えられた。電子カルテが導入され、モニタ ーで診察を行っているが、単にパソコンの性能に頼った観 察を行うのではなく、病巣を高解像力で撮影し、その画像

を観察することで、より質の高い画像を提供できると考え られる。微細な描出が必要な場合には、CRシステムによ る撮影よりもマンモグラフィ装置を使用して、撮影を行う べきと考えられた。

結語

 マンモグラフィ装置を用いた拡大撮影法は、CRシステ ムより高解像力で画像を描出でき、有用な撮影方法である。

参考文献

 1) 加藤稔.医用画像工学.東京:医療科学社,1992:

    58−62

 2) 江副正輔,田島聖正,森山有相.X線撮影技術学.

    第3版.東京:南山堂,1992:294−296  3) Senographe DS Depisterの特徴. GE横河メディ     カル(株)

参照

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