教材研究 増幅回路実習盤
技術科研究室小室一比古
水戸市立第3中学校谷中正實
ll一 序 論
県下の中学校に澄いて,技術e家庭科男子向き第3学年に:おける電気領域の教材はほとんどが教材会社 からの購入物によってまかなわれている現状である。その原因として,①学校の施設・設備の問題,②予 算の問題,③教師の不適合配置,④教師の労働過重等が主なるものであろう。それらをふまえた上で少し
でも学習効果を上げる為に考えだされたものが本研究内容である。
2 教材開発の観点
新しい教材を開発する場合に,扱う題材の学習効果が充分に満足できる内容を持たねばならない。教科 書には増幅器を中心とした題材が置かれ,インターホンやラジオが取り上げられている。しかし現実には 前述のようにこれらは教材店からのキッ5の組立て学習に論わb,学習内容と製作品との間にかなりの回 路的な差があり,理論と実技とが結びあわない。これはラジオに論いて特にその差が見られる。まだイン ターホンの方が学習効果があがる。だが,これも学習の発展性や創造性また生徒の興味の広がbと,現実 社会とを考慮すれば不満足なものである。これらの点を考えるならば,理論と実技の結びつきを持たせた
ラジオ学習を題材に設定すべきであろう。
(1)教材の選定
・題材に:そくしたもの。
・学校の実状に合ったものQ ・教師が考案したもの。
・汎用部品で製作できるもの。
・学校の予算で準備できるもの。
このような観点から教材を開発したとしても,次のような学習の目標を達成されるものでなければ意味 をなさないQ
(2)学習の目標とすべき内容 ・増幅の原理を理解する。
・増幅回路と回路素子との関連とその働きを理解する。
・電子の働きを知る。
・製作を通して理論の理解を深め,応用力と発展性を身につける。
3 実 習 盤
(1)回 路
図1にあるように,電圧増幅回路と電力増幅回路各一段のトランジスタ2石のA級増幅回路である。
図1 増幅器回路
2SB5島 2SB56
出①ら0 竃 k瞬 養鰻 繧◎◎
9
卜噸 ﹀①
o◎う Tよ
×騨 o絢
×麟 図。 w一◎騨
写真 1 写真 2
写真1,2,はその実物である。実習盤と部品箱が一体となり,一r組のセットに:なっている。このよう に組み合せることにより,部品の管理と整理の合理化を計っている。さらに附属回路として次のものうミある。
図2 ラジオ回路 写真 3
AMee
鯛34A
智
雛 灘.
一7 2 一一
$P
図3 インターホン回路
$P一
増幅器.
写真 4
これらは実習盤の増幅器の応用として学習内容に入れられるQ図2と写真3はラジオ回路であり,
同調・検波の原理を学習するものである。また図3と写真4はインターホン回路であるQこれによb,増 幅回路の応用と発展の学習効果を上げるように:してある。
羅 学 習
実習盤を使用しての授業について,指導案の 部を記載する。
指導案資料
第3学年1・2組 技術・家庭科(男子向き)学習指導案
指導者 谷 中 正 実
1題材インタホンの製作 2 題材設定の理由
ラジオ,テレビをはじめ,カセット,ステレオ,インタホンなどの普及はめざましく,産業社会はも とより,r般家庭にも深く浸透し,その利用は広範臨かつ多様化してきている。これらの電気機器の 基本的な構成要素となっている増幅器をとりあげ,そのしくみやはたらきを理解させるとともに,増幅
の意味を正しく把握させ,また正しい使用法を習得させるとともに,のぞましい選択や利用のしかたを 考えさせることは,極めて重要なことといえる。
そこで,ここでは,これらの音響機器の中から,トランジスタによるインタホンを取b上げ,製作を 通じて,これらの学習をすすめることにした。その主な理由は,次の通りである。
(1)製作のための費用が比較的に安く,生徒の個人製作題材とすることが可能である。
(2)作品は,一般家庭に澄いて,十分に実用的価値があb,継続して使用することができる。
(3)回路は,比較的簡単で,かつ増幅器の基本的要素を含んで懸り,回路のしくみやはたらきの学習は,
そのまま生きた設計学習となり得ること。
(4) トランジスタは,インタホンの必要とする諸条件によく適合し,その特質を十分に生かして装置を
設計し,製作できるためs教材の統一性を満足させることができる。
3 目 標
(1)低周波増幅器の回路のしくみと働き,to xび回路要素の働きと使用法について理解させ,インタホ ンの設計ができるようにする。
(2)回路計などの測定器によb,各部品や回路の点検をしながら,組み立てや調整,試験などが,正し く安全にできるようにする。
(3)音響機器の:適切な選択のしかたができるようにする。
(4)日常生活や産業の中で,電気の果たしている役割について考えさせる。
4 指導計画 (42時間取り扱い)
(1) 日常生活と音響機器…一……・・1時間
(2)低周波増幅器のしくみ………2時間
(3)準 備………G時間
(4)回 路 の 設 計……・……20時間 ア電源回路 (6)
イ。電圧増幅回路 (6)
ウ.電力増幅回路 (5)
・回路のしくみと働き①
・回路要素の働き①
・部品とりつけと回路構成① ・回路のはたらき ①体時)
・増幅器のまとめ①
エ.インタホンの回路 (3)
(5)インタホンの製作と点検調整……り4時間
(6)電気と生活…・……・………・………2時間
(7)整理と反省………2時間
5.本葬の指導
① 目 標 スピーカを働かせるために,電力増幅回路が電力を増幅し,大きな音として再生する しぐみを,実験によって知らせる。
(2)展 開
学習活動・内容 時間 i分) 教具・資料 指導上の留意点 評 価
1.小さな音が;大きな音に 5 ラジオ ・ 電力:増幅回路を通った音は 。 「なぜ音が大 変化する状態を聞かせ, 増幅器実習盤 大きく聞こえるが,それは, きく聞こえるの そのしくみについて考え どのようなしくみに:なってい か」について,
る。 るのか,課題意識を与える。 課題意識をもつ
2 電力増幅回路の中のR 10 増幅器実習盤 。実習盤は,あらかじめ用意し, ことができたか。
E2の働きを調べる。 すぐに実験ができるよう準備 して叩く。
回路図本文参照 。RE2に可変抵抗器を用いて
一74一
学習活動・内容 時間 i分) 教具・資料 指導上の留意点 評 価 その大きさと,電流,音との
関係をとらえさせる。
RE2の大きさ コレクタ電流 音の大きさ
大 小 小
小 大 大
(1)RE2を可立抵抗器で加 大型テスタ回 。 実験から, RE2は小さい 。 スピーカから
減して,スピーカから出る 路図 方がよいことに気づかせる。 出る音の大きさ 音の大きさを調べる。 オシロス:コー しかし,小さすぎるとトラン は,RE2 の大
(2)RE2の大小による波形
フ。ジスタを過熱させ,不良にす きさによってち
のちがいを,オシロスコー ることを補説する。 がうことが理解
プで観察する。 。 抵抗値のちがいは,大型テス できたか。
タでジ生徒に:見えるようにする。 (実験)
3 出力変成器の働きを調べ 。 出力変成器の働きを,想起
る○ するようにしむける。
(1)出力変成器を用いたとき ラジオ ・ グループ毎に回路図を見て,
の音の大きさと,出力変成 (グループ) 入力や出力の関係を確かめな 器を用いないときの音の大 掲示資料 がら実験するよ うにする。
きさのちがいを調べる。 (回路図) ・実験の結果は, 全く異るこ 。 スピーカから とを耳で確かめさせ,音を大 出る音を大き く きくするたは, 出力変成器が, するには出力変 だいじな働きをしていること 成器が必要であ
に気づかせる。 ることが理解で
。 入力源には, ラジオのイヤ きたか。
ホンジャックを用いる。 (問答)
(2)出力変成器を用いたと 0・H・P ・ 回路要素で学習 した出力変
きと用いないときとでは T・P 成器を,実際の回路の中で確 なぜ音の大きさがちがう 吟声図) かめさせる。
のか考える。
ア.出力変成器の1次側 増幅器実習盤 ・ 電流を求めるにはどうした と2次側を比較し,電 (グループ) らよいか,方法を考えさせる。
流について考える。 試験発振器 。 入力信号はゴ 交流であるこ ・ 出力変成器の イ.出力変成器を用いな (グループ) とにふれ確認する。 て次側と2次側 フ電圧を測定す いときのスピーカ端子 回路計 。 回路構成には, クリップを ることに:より,
の電圧を測定し電流を (グループ) 用意し,手軽に操作できるよ 電流を求めるこ とができたか
求める。 学習カード うにして診く。 (測定,計算,
発
表)
学習活動・内容 時間 i分) 教具・資料 指導上の留意点 評 価
・ 出力変成器の{次側電流と用 いないときのスピーカ端子の電 流は,どちらも等しいのに,前 者の場含はスピーカから出る音 が,大きく聞こえることに,は
つきり気づかせる。
・ 電流測定値のちがいも,グル 一プ毎に発表させる。
エ.出力変成器の1次側 投影用電流計 ・ スピ初のボイスコイルを能塞 ・スピーカが能塾 2次側での電流のちが よく働かせるためには,出力変 よく働くために:
いを,教師実験によつ 成器を用いて,小電流を大電流 は,出力変成器
て確かめる。 に変えることが必要であること を用いて,小電
を,実験によってわからせる。 流を大電流に変
・ 電圧増幅回路で波形を観察し えなければなら たときも,入力信号に対し出力 ないことを実験 側の波形が大きくなっていたが, を通して確かめ 音が小さい。ところが電力増幅 ることができた 回路の出力変成器2次側からは, か。
スピーカを通して大きな音が聞 (実験・問答)
こえてきた。その理由は何かを,
はっきりとらえさせる。
4 本時のまとめをする。 5 ◎ 増幅器を通った音声を聞かせ
る。
・ 実験の終わりには,実習盤・
発振器のスイヅチを切るように 指導する。
。 潮時は夕増幅器にマイクロホ ンやラジオ,プレーヤを用いて 信号を入れ,音がよく出ないグ ループや音質の悪いグループな どがあるときは,その原因を考 えさせ,調整することを予告す
る。
一一V 6 一一一