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台湾における荒茶取引市場制度導入の可能性 共生基盤学専攻

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2020 年 1 月 29 日

台湾における荒茶取引市場制度導入の可能性

共生基盤学専攻 共生農業資源経済学講座 食料農業市場学研究室 童信融

1. 問題の所在

茶は嗜好品的性質があり,生葉から荒茶への一次加工,製品への仕上げ加工(再製)がなされる ため,農産物としては特殊な流通機構を有している。過去,再製問屋の流通支配により,茶流通 は一般に「前近代的」「遅れた」と認識されてきた。日本では,荒茶集出荷過程の合理化要求を背 景に,農協共販活動の展開・産地市場の設置といった流通構造の再編が見られた。それに対して 台湾では,1980 年代以降の多くの研究で茶市場開設の必要性が論じられているにもかかわらず,

茶市場の形成は依然として進んでいない。大量で安価な外国産茶が輸入され,茶の栽培面積・生 産量が引き続き減少傾向にある中で,茶流通再編の必要性が浮上している。

2. 課題の設定と論文構成

本研究では,茶市場システムの形成論理やその意義の考察を中心として,流通構造再編の全般 的な観点から台湾における茶市場制度導入の可能性を明らかにすることを課題とする。

この課題に接近するため,まず第

1

章では、文献に基づく日台比較を行い,それぞれの茶生産 と流通の特徴を明らかにする。第

2

章では、日本で荒茶取扱量の最も多い鹿児島県茶市場を取り 上げ,鹿児島県経済連茶事業部,県茶業会議所茶市場,県茶商協同組合,JAかごしま茶業の関係 者への聞き取り調査に基づき,茶市場システムの形成論理を明らかにする。その上で,第

3

章で は台湾の主要産地として,飲料茶産地の南投県名間郷,中級茶産地の新北市坪林郷,高級茶産地 の新竹県北埔郷(白毫烏龍茶)と南投県魚池郷(日月潭紅茶)を取り上げ,農会,農家,茶商,茶 業改良場等の関係者に現地調査を行い,生産・流通の特質を把握した上で,茶市場開設の可能性 を検討し,流通再編の課題と方向性を明らかにする。

3. 結論

分析の結果,鹿児島産地流通の近代化過程における荒茶取引市場制度の構築には,効率的な集 出荷,公正な取引の仕組み,の

2

点が必要であることが見出された。

台湾では,製茶業管理規則の撤廃の結果,自販が中心の自園自製の事業形態が一般化し,生産 から流通まで零細であり,集散地向け出荷体制の不安定性,取引における安全性の低下などの問 題が生じている。このような問題があることを踏まえると,荒茶取引市場制度の導入は,中小流 通主体の集出荷の利便性確保の観点でされなければならない。

したがって,多様かつ個別性の高い茶流通に応じた集散地市場としての荒茶市場開設が理想的 と考えられる。また,その形成においては,共販体制の構築や仲卸制度の導入が必要であり,台 湾における茶流通は「農家・茶工場―農会・産銷班―荒茶取引市場―仲卸業者―茶商・小売業者

―消費者」へと構造を再編する方向で,合理化が図られるべきと考えられる。

参照

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