リー群の表現
「リー群」の最後で触れた群の表現を見ていきます。具体的に
SU (2)
を使い、他のはほぼ触れていないです。数 学の細かことはだいぶ省いてますが、言い回しが数学よりになっています。物理の話はほぼしていないです。ここで群やリー群と言っているのは線形リー群
(行列による群)
です。線形リー群としなくても共通する部分はあ りますが、一般化をあまり考慮せずに進めているので、線形リー群と思ってください。線形リー群であることを 強調するときは線形リー群と書いています。A, B
は線形リー群、X, Y はリー代数に含まれるものとしています。Iは単位行列です。ベクトル空間の基本的な部分は知っているとしています。
ここでの話は有限次元です。
群
G
は大雑把には演算規則を持つ集合で、Gからあるベクトル空間上の線形演算子の群D(G)
へ持っていけば、そのベクトル空間上で群
G
の性質による具体的な計算が可能になります。これが表現(representation)
で、Gか らD(G)
への写像を指します。例えば、ある群G
に含まれる元(要素)g
を表現Π
によってΠ(g)
という行列にし ます。素粒子での例としてハドロンでの随伴表現があります。陽子と中性子の
2
重項を作ると、それは「ヤン・ミル ズ理論」で触れたようにSU(2)
変換に対して不変です。なので、群としてはSU (2)
の話が出てきます。このとき3
次元ベクトル空間であるアイソ空間が作られ、そのベクトルをパイオンπ
として、(π1 , π 2 , π 3 )が当てられます。
このベクトル空間での表現が随伴表現と呼ばれるものに対応します。SU
(2)
のリー代数su(2)
の随伴表現は3
次元 ベクトル空間上での回転になり、アイソ空間における(π 1 , π 2 , π 3 )
の回転を与えます。つまり、核子のSU (2)
不変性から
su(2)
の随伴表現に行くことでパイオンが導入されます。他にも、u, dクォークに対するsu(2)
の随伴表現からでも
(π 1 , π 2 , π 3 )、u, d, s
クォークのsu(3)
の随伴表現からは8
個のメソン、クォークのカラーのsu(3)
の随伴 表現からは8
個のグルーオンが出てきます。このように随伴表現にすることで、元の対称性の変換だけからはすぐには分からない性質が自然と出てきます
(変換から直接見ていく例として「湯川理論」や「線形シグマモデル」参照)。これは随伴表現に限定した話でなく、
他の表現でも分かることがあったります。これが素粒子をやるときにリー群をやらされる理由でもあって、リー群 の構造から粒子の関係が繋がっていきます。大体は随伴表現だけですみます。
表現を見ていきます。準同型写像
(homomorphism)
の定義をここでもしておきます。群G
があり、Gから別の 群H
への写像をF
とします。g1 , g 2
をG
の元としてF (g 1 · g 2 ) = F (g 1 ) ◦ F (g 2 )
となるなら、Fは準同型写像と呼ばれます
(F (g)
はH
の元)。左辺はG
での積、右辺はH
での積として区別する ために「·」,「◦」を使っていますが、これ以降省いていきます。簡単に言えば、準同型写像は群の積の構造を残 す写像です。
V
はベクトル空間を表し、一般線形群GL
がベクトル空間V
上で与えられていることをGL(V )
と表記しま す。ある群G
をGL(V )
に変換する準同型写像Π
があるとき、ΠとV
の組(Π, V )、もしくは Π
を群G
の表現(representation)
と言い、V を表現空間と言います。つまり、群G
からΠ(G) ∈ GL(V )
としてGL(V )
に持って いったとき、Π(G)はベクトル空間V
のベクトルv
にΠ(G)v
と作用し、V での線形変換となります。また、V の 次元を表現の次元、V が実ベクトル空間なら実表現、複素ベクトル空間なら複素表現と呼びます。というわけで、表現は群
G
からベクトル空間上の線形演算子(線形変換)
への写像です。リー代数に対しては、リー代数の行列
X
によるe tX から
Π(e tX ) = e tπ(X)
として、準同型写像
π
を定義します。これによってΠ
からπ(X) = d
dt Π(e tX ) | t=0 (1)
として求められます。
表現のよく出てくる例が基本表現と随伴表現です。基本表現は
Π(A) = A
となる表現で、ベクトル空間はn × n
行列の群
(GL(n, V ))
ならn
次元空間です。つまり、群の行列そのものを線形演算子とする表現です。随伴表現はリー群
G
の行列A
とそのリー代数g
の行列X
によってΠ(A)X = AXA − 1
としたものです。Πはリー代数によるベクトル空間での表現で、Π(A)はリー代数の行列によるベクトル空間上で の線形演算子です。
大雑把に実用的に言えば、表現で知りたいのは、基本表現でのベクトル空間を別のベクトル空間に持っていった とき、リー群
G
もしくはリー代数g
の行列(基本表現での線形演算子)
がどうなって、それがそのベクトル空間で どのように作用しているのかです。後で使うので関数の変換を導入しておきます。ベクトル空間上の関数を
f
とし、その関数によるベクトル空間 をW
とします。群G
に対して(Π, V )
と与えられている表現があり、これを関数のベクトル空間W
による別の表 現(Π ′ , W )
に移したとします。このとき、Gの元をg
として、V にいるベクトルv
とW
にいる関数f
は(Π ′ (g)f )(v) = f (Π − 1 (g)v)
と与えられます。Π
′ (g)はW
での線形演算子で、群の行列X, Y
に対してΠ ′ (XY ) = Π ′ (X)Π ′ (Y )
となります。
これは座標変換に対応します。3次元空間上の座標
x
の座標変換をT
とすれば、変換はx ′ = T x
です。そして、T
の座標変換による関数の変換をf ′ = A T f
とし、3次元空間上の点に対してf ′ (x ′ ) = f (x)
とすれば、f ′ (x ′ ) = (A T f )(x ′ ) = f (T − 1 x ′ )
となり、同じ形になります。さらに
x ′′ = Sx ′として同じことをすれば、Π′ (XY ) = Π ′ (X)Π ′ (Y )
を示せます。
具体的な行列を使った例として
SL(2, C )
を見ます。SL(2, C)の基本表現のベクトル空間は2
次元複素ベクトル 空間です。これを2 × 2
エルミート行列によるベクトル空間に持っていきます。エルミート行列をM (M = M † )、
SL(2, C )
の行列をA
とします。2× 2
エルミート行列の自由度は2 × 2
複素行列の自由度2 × 2 × 2 = 8
から非対 角成分からの2
と対角成分からの2
が減った4
です(M = M †で非対角成分は片方から決まり、対角成分は実数)。
なので
M = (
a 1 x 1 − ix 2
x 1 + ix 2 a 2 )
= (
x 0 + x 3 x 1 − ix 2
x 1 + ix 2 x 0 − x 3 )
対角成分を
a 1 = x 0 + x 3 , a 2 = x 0 − x 3としています。実数x 0 , x 1 , x 2 , x 3を係数に展開すると
M = x 0
( 1 0 0 1
) + x 1
( 0 1 1 0
) + x 2
( 0 − i i 0
) + x 3
(
1 0
0 − 1 )
= x 0 σ 0 + x 1 σ 1 + x 2 σ 2 + x 3 σ 3
となって、エルミート行列は
4
次元でのパウリ行列σ µ = (I, σ i )
で書けます。つまり、エルミート行列は4
元パウ リ行列を基底にする4
次元ベクトル空間にいます。この4
次元ベクトル空間の内積(計量)
は行列式からdet M = (x 0 + x 3 )(x 0 − x 3 ) − (x 1 − ix 2 )(x 1 + ix 2 ) = x 2 0 − x 2 1 − x 2 2 − x 2 3
と与え、x
µ
のミンコフスキー空間での内積となります。これに対して、SL(2, C)
の行列A
をAM A †と作用させ
たものの行列式はdet A = 1
から
det(AM A † ) = det A det M det A † = det M
このため
M
とAM A †は同じ計量(ミンコフスキー計量)
を持ちます。なので、AM A†
もミンコフスキー空間上に
います。よって、Π(A)M = AM A †と与えればΠ(A)
は2
次元エルミート行列によるベクトル空間上で作用する
ことから、SL(2, C)
の2
次元エルミート行列による表現となります。
Π(A)
は2
次元エルミート行列によるベクトル空間上で作用する ことから、SL(2, C)
の2
次元エルミート行列による表現となります。
SU (2)
とsu(2)
を使って表現の話を進めていきます。SU(2)を複素数の多項式によるベクトル空間に持っていくことを考えます。まず、複素数
z 1 , z 2による多項式
p(z 1 , z 2 ) =
m,n ∑
i,j=0
a ij z 1 i z j 2 = a 00 + a 10 z 1 + a 01 z 2 + a 11 z 1 z 2 · · · a mn z m z n
を用意します
(a ijは複素数)。この多項式を足し合うと
p(z 1 , z 2 ) + p ′ (z 1 , z 2 ) =
m,n ∑
i,j=0
a ij z 1 i z j 2 +
m,n ∑
i,j
a ′ ij z 1 i z 2 j =
m,n ∑
i,j
a ′′ ij z 1 i z 2 j = p ′′ (z 1 , z 2 )
a ′′ ij = a ij + a ′ ijとしています。p(z1 , z 2 )
のスカラー倍はそのままca ij = a ′ ijとなり、これらから
cp(z 1 , z 2 ) + dp(z 1 , z 2 ) = (c + d)p(z 1 , z 2 ) c(p(z 1 , z 2 ) + p ′ (z 1 , z 2 )) = c(p + p ′ )(z 1 , z 2 )
が言えます。つまり、m, nで指定される多項式
P mnは複素ベクトル空間を作ります。この基底はz i 1 , z 2 jの組み合
わせによって
z 1 , z 2 , z 1 z 2 , z 1 2 , z 2 2 , . . .
これは
0 ≤ k ≤ n
とすれば、zn 1 − k z 2 k
で表せてz n 1 , z 1 n − 1 z 2 , z 1 n − 2 z 2 2 , . . . , z 1 z n 2 − 1 , z 2 n
というわけで、SU
(2)
をこの多項式によるn + 1
次元複素ベクトル空間P n (C 2 )
に持っていきます。z1 , z 2
を変数 に持つ多項式の関数をp n (z 1 , z 2 )、2
次元複素ベクトル空間V
のベクトルをv = (z 1 , z 2 )
とします。SU(2)
の行列 をA、もとの表現 (Π, V )
を基本表現、変換後を(Π n , P n (C 2 ))
とします。これは関数の定義から(Π n (A)p n )(v) = p n (Π − 1 (A)v)
基本表現は恒等変換なので、Π
− 1 (A) = Aから
(Π n (A)p n )(v) = p n (A − 1 v)
右辺の括弧内は、SU
(2)
の行列はユニタリーなので(「∗」は複素共役)
A = (
α β
− β ∗ α ∗ )
, A − 1 = (
α ∗ − β β ∗ α
)
( | α | 2 + | β | 2 = 1)
と書くことすれば
A − 1 v = (
α ∗ − β β ∗ α
) ( z 1
z 2
)
= (
α ∗ z 1 − βz 2
β ∗ z 1 + αz 2
)
これは
p n (z 1 , z 2 )
がp n (α ∗ z 1 − βz 2 , β ∗ z 1 + αz 2 )
になることなので(Π n (A)p n )(v) = p n (α ∗ z 1 − βz 2 , β ∗ z 1 + αz 2 )
=
∑ n
k=0
a k (α ∗ z 1 − βz 2 ) n − k (β ∗ z 1 + αz 2 ) k
2
項定理を使えば(α ∗ z 1 − βz 2 ) n − k (β ∗ z 1 + αz 2 ) k
=
n − k
∑
s=0
(n − k)!
s!(n − k − s)! (α ∗ z 1 ) n − k − s ( − βz 2 ) s
∑ k
r=0
k!
r!(k − r)! (β ∗ z 1 ) k − r (αz 2 ) r
=
n − k
∑
s=0
∑ k
r=0
(n − k)!
s!(n − k − s)!
k!
r!(k − r)! α r (α ∗ ) n − k − s ( − β) s (β ∗ ) k − r z n 1 − (s+r) z s+r 2
= ∑
k
′D (n) kk′z 1 n − k′z k 2′ (k ′ = s + r)
z k 2′ (k ′ = s + r)
これから、D
(n) kk
′が今の表現(n + 1
次元複素ベクトル空間)における(n + 1) × (n + 1)
行列となります。また、量 子力学の本ではn = 2j, k = j − m, m ′ = j − s − r (j = 0, 1/2, 1, . . . . , m = − j, − j + 1, . . . , +j)
としていること が多いです。最初に触れたようにリー代数の表現
π
は(1)
で与えられます。su(2)は3
つの行列なので、それをS i (i = 1, 2, 3)
として(1)
に入れれば(π n (S i )p n )(v) = d
dt (Π n (e tSi)p n )(v) | t=0 = d
dt p n (e − tSiv) | t=0
最右辺へは恒等変換だからです。ベクトル
v = (z 1 , z 2 )
の成分をv a (a = 1, 2)
として、aに対しては和をとるよう にしてd
dt p n (e − tSiv)
t=0 = d
dt (e − tSiv) a
∂p n (v ′ )
∂v a ′
t=0 (v a ′ = (e − tS
iv) a )
= ( − S i e − tSiv) a
∂p n (v ′ )
∂v a ′
t=0
= − (S i v) a ∂p n
∂v a (v) ( ∂p n
∂v a (v) = ∂p n (v ′ )
∂v ′ a
t=0
)
= − (S i ) ab v b
∂p n
∂v a
(v)
よって、p
n
と(v)
を省いてπ n (S i ) = − (S i ) ab v b
∂
∂v a S iは
S 1 = 1 2
(
0 − i
− i 0 )
, S 2 = 1 2
( 0 − 1
1 0
)
, S 3 = 1 2
( − i 0 0 i
)
なので、リー代数の表現は
π n (S 1 ) = − (S 1 ) ab v b
∂
∂v a
= − (S 1 ) 12 v 2
∂
∂v 1 − (S 1 ) 21 v 1
∂
∂v 2
= i 2 (z 2
∂
∂z 1
+ z 1
∂
∂z 2
) (2a)
π n (S 2 ) = − (S 2 ) ab v b
∂
∂v a
= − (S 2 ) 12 v 2
∂
∂v 1 − (S 2 ) 21 v 1
∂
∂v 2
= 1 2 (z 2
∂
∂z 1 − z 1
∂
∂z 2
) (2b)
π n (S 3 ) = − (S 3 ) ab v b ∂
∂v a
= − (S 3 ) 11 v 1 ∂
∂v 1 − (S 2 ) 22 v 2 ∂
∂v 2
= i 2 (z 1 ∂
∂z 1 − z 2 ∂
∂z 2
) (2c)
このときも、当然
[π n (S 1 ), π n (S 2 )]
= i 4 (z 2
∂
∂z 1
+ z 1
∂
∂z 2
)(z 2
∂
∂z 1 − z 1
∂
∂z 2
) − i 4 (z 2
∂
∂z 1 − z 1
∂
∂z 2
)(z 2
∂
∂z 1
+ z 1
∂
∂z 2
)
= i 4 (z 2 2 ∂
∂z 1
∂
∂z 1 − z 2
∂
∂z 2
+ z 1
∂
∂z 1 − z 1 2 ∂
∂z 2
∂
∂z 2
) − i 4 (z 2 2 ∂
∂z 1
∂
∂z 1
+ z 2
∂
∂z 2 − z 1
∂
∂z 1 − z 1 2 ∂
∂z 2
∂
∂z 2
)
= i
2 ( − z 2 ∂
∂z 2
+ z 1 ∂
∂z 1
)
= π n (S 3 )
のようになっていて、リー代数の交換関係は変更されません。
この
P n (C 2 )
でのsu(2)
の表現が何を表しているのかはπ(S 3 )
を見れば分かります(π nはn
と無関係なのでπ
と書いていきます)。このπ(S 3 )
はz n 1 − k z 2 kを固有ベクトルにします。実際に
π(S 3 )z 1 n − k z 2 k = i
2 z 1 z k 2 ∂z 1 n − k
∂z 1 − i 2 z 1 n − k z 2
∂z k 2
∂z 2
= i
2 (n − k)z 1 n − k z k 2 − i
2 kz 1 n − k z 2 k
= i( n
2 − k)z n 1 − k z 2 k
n/2
をスピンのs
とすれば固有値はs, s − 1, s − 2, . . . , − s (0 ≤ k ≤ n)
というスピンの話でよく出てくるものにな ります。なので、これはsu(2)
のP n (C 2 )
でのスピン表現と呼ばれます。スピンが出てきたところで、量子力学での角運動量の話と同じようなことをしてみます。P
n (C 2 )に限定する必
要がないので、一旦リー代数の表現を(π, V )
として、ベクトル空間をP n (C 2 )
にせずベクトル空間V
とします。
π(S i )
からJ 3 = iπ(S 3 )
J + = iπ(S 1 ) − π(S 2 ) J − = iπ(S 1 ) + π(S 2 )
π(S i )
はS iの交換関係に従っているのでJ +とJ −の交換関係は
J −の交換関係は
[J + , J − ] = (iπ(S 1 ) − π(S 2 ))(iπ(S 1 ) + π(S 2 )) − (iπ(S 1 ) + π(S 2 ))(iπ(S 1 ) − π(S 2 ))
= − π 2 (S 1 ) − π 2 (S 2 ) + iπ(S 1 )π(S 2 ) − iπ(S 2 )π(S 1 )
− ( − π 2 (S 1 ) − π 2 (S 2 ) − iπ(S 1 )π(S 2 ) + iπ(S 2 )π(S 1 ))
= 2iπ(S 1 )π(S 2 ) − 2iπ(S 2 )π(S 1 )
= 2i[π(S 1 ), π(S 2 )]
= 2iπ(S 3 )
= 2J 3
同様に
[J 3 , J + ] = J + , [J 3 , J − ] = − J −
これらは量子力学での角運動量演算子の話で出てくるものと同じ形です。なので、似た手順を行っていきます。
J 3 = iπ(S 3 )
で、π(S3 )は定義からV
上での線形変換です。ベクトル空間には線形変換に対する固有ベクトル
が存在するはずなので、それをψ、その固有値を b
とします(J 3 ψ = bψ)。そして、J 3 (J ± ψ)
を見ると
J 3 (J ± ψ) = [J 3 , J ± ]ψ + J ± J 3 ψ = ± J ± ψ + bJ ± ψ = (b ± 1)J ± ψ
となって、J
± ψが(b ± 1)
の固有値を持つ固有ベクトルになります。そして、J+
をN
回作用させた場合では
J 3 (J + N ψ) = [J 3 , J + N ]ψ + J + N J 3 ψ = J + [J 3 , J + N − 1 ]ψ + [J 3 , J + ]J + N − 1 ψ + bJ ± N ψ
= J + [J 3 , J + N − 1 ]ψ + J + N ψ + bJ ± N ψ
= J + 2 [J 3 , J + N − 2 ]ψ + J + [J 3 , J + ]J + N − 1 ψ + (b + 1)J + N ψ
= J + 2 [J 3 , J + N − 2 ]ψ + (b + 2)J ± N ψ
つまり、J
+
の作用でJ 3の固有値は+1
ずつ大きくなっていきます。なので、J+
は上昇(raising)
演算子と呼ばれ
ます。そして、線形代数の話から、異なる固有値を持つ固有ベクトルは線形独立なので、基底ベクトルとすること
ができます。そうすると、固有ベクトルの数はそのベクトル空間V
の次元より多くならないので、このJ +を作
用させる回数には上限があり、それが固有値の上限になります。今の場合で言えば、Nを最大とすれば、固有ベ
クトルJ + N ψ
の固有値j = b + N
です。そして、上限の固有ベクトルより上はいないので
J + N ψ
の固有値j = b + N
です。そして、上限の固有ベクトルより上はいないのでJ + J ± N ψ = 0
とします。上昇演算子が作用して
0
になる固有ベクトルを、表現における最高ウェイト(highest weight)
ベクトル と言います。これだと上限が与えられただけなので、今度は下限を与えます。
J −では1
ずつ減っていくので、同様に考えて、最大の固有値の固有ベクトルJ + N ψ
にJ −をk
回作用させた固
有ベクトルとして、J− k J + N ψ
を与えられます。kは最大の固有値j = b + N
から0
になる1
個前までの回数とすれ
ば、j− k
がJ − k J + N ψ
の固有値で、J− k+1
では
k
回作用させた固 有ベクトルとして、J− k J + N ψ
J − k+1 (J + N ψ) = 0
となります。J
−
は下降(lowering)
演算子と呼ばれます。
J −の作用する回数に対応するように固有ベクトルを
ψ 0 = J + N ψ
ψ l = J − l (J + N ψ) = J − l ψ 0
ψ l+1 = J − l+1 (J + N ψ) = J − l+1 ψ 0
ψ k+1 = J − k+1 (J + N ψ) = J − k+1 ψ 0 = 0
と書きます。ψ
l
のJ 3の固有値は
J 3 ψ l = J 3 J − l (J + N ψ) = (j − l)ψ l (j = b + N )
ψ lにJ −が作用すれば
J − ψ l = ψ l+1
J +が作用すれば
J + ψ l = J + J − l ψ 0 = [J + , J − l ]ψ 0 + J − l J + ψ 0
= (
J − [J + , J − l − 1 ] + [J + , J − ]J − l − 1 )
ψ 0 (J + ψ 0 = 0)
= (
J − [J + , J − l − 1 ] + 2J 3 J − l − 1 ) ψ 0
= (
J − 2 [J + , J − l − 2 ] + J − [J + , J − ]J − l − 2 + 2J 3 J − l − 1 ) ψ 0
= (
J − 2 [J + , J − l − 2 ] + 2J − J 3 J − l − 2 + 2J 3 J − l − 1 ) ψ 0
= (
J − 2 [J + , J − l − 2 ] + 2[J − , J 3 ]J − l − 2 + 2J 3 J − l − 1 + 2J 3 J − l − 1 ) ψ 0
= (
J − 2 [J + , J − l − 2 ] + 2J − l − 1 + 4J 3 J − l − 1 ) ψ 0
= J − 2 [J + , J − l − 2 ]ψ 0 + (
2 + 4(j − l + 1) ) J − l − 1 ψ 0
= J − 3 [J + , J − l − 3 ]ψ 0 + J − 2 [J + , J − ]J − l − 3 ψ 0 + (
2 + 4(j − l + 1) ) J − l − 1 ψ 0
= J − 3 [J + , J − l − 3 ]ψ 0 + 2J − 2 J 3 J − l − 3 ψ 0 + (
2 + 4(j − l + 1) ) J − l − 1 ψ 0
= J − 3 [J + , J − l − 3 ]ψ 0 + 2([J − 2 , J 3 ] + J 3 J − 2 )J − l − 3 (J + N ψ) + (
2 + 4(j − l + 1) ) J − l − 1 ψ 0
= J − 3 [J + , J − l − 3 ]ψ 0 + 2(2 + J 3 )J − l − 1 (J + N ψ) + (
2 + 4(j − l + 1) ) J − l − 1 ψ 0
= J − 3 [J + , J − l − 3 ]ψ 0 + 2(2 + j − l + 1)J − l − 1 ψ 0 + (
2 + 4(j − l + 1) ) J − l − 1 ψ 0
と続いていきます。これを続けていくと
l
に対してJ + ψ 1 = 2J 3 (J + N ψ) = 2jψ 0
J + ψ 2 = (2 + 4(j − 2 + 1))J − (J + N ψ) = (4j − 2)ψ 1
J + ψ 3 = (2(2 + j − 3 + 1) + (2 + 4(j − 3 + 1))J − (J + N ψ) = (6j − 6)ψ 1
と求まっていきます。これは
l = 1
で2j、l = 2
で4j − 2、l = 3
で6j − 6
なのでJ + ψ l = (2jl − l(l − 1))ψ l − 1
これに
l
がk + 1
とすれば、ψk+1 = 0から
0 = J + ψ k+1 = (2j(k + 1) − (k + 1)k)ψ k
よって、jと
k
の関係はj = 1 2 k
k
は整数として与えているので、2jが整数です。このためsu(2)
でのスピンに対応する量になります。そして、J3
の固有値
j − l
の固有ベクトルψ lは0 ≤ l ≤ 2j
で与えられます。固有ベクトルψ lはそれぞれが線形独立なので、
これらによってベクトル空間の基底にできます。よって、固有ベクトルの数
2j + 1
が今の表現におけるベクトル 空間V
の次元になり、表現は(π j , V j )
となります。具体的に
P n (C 2 )
を当てはめてみます。(π, Pn (C 2 ))でのπ(S i )
の(2a)〜(2c)
から
π − (S) = iπ(S 1 ) + π(S 2 ) = − z 1 ∂
∂z 2
(3a)
π + (S) = iπ(S 1 ) − π(S 2 ) = − z 2 ∂
∂z 1
(3b)
というのを作ります。π
±
の符号を揃えるためにJ +の符号を反転させています。これらをz n 1 z 2 mに作用させると
− z 1
∂
∂z 2 z n 1 z 2 m = − z 1 n+1 z m 2 − 1 (4a)
− z 2
∂
∂z 1
z n 1 z 2 m = − z 1 n − 1 z 2 m+1 (4b)
そうすると、ψ
l
にあたるのはπ − (S)
を作用させる対象なのでz l 2です。z2 n
より上の項はいないとして、nが上限
とします(z 2 nがψ 0 )。上限が n
なので、0≤ l ≤ 2j
から、n= 2j
です(
上でのk = 2j)。そうすると、z 2 nにπ − (S)
をl
回作用させたものが基底を構成するので(l
の範囲は0 ≤ l ≤ n)
ψ 0 )。上限が n
なので、0≤ l ≤ 2j
から、n= 2j
です(
上でのk = 2j)。そうすると、z 2 nにπ − (S)
をl
回作用させたものが基底を構成するので(l
の範囲は0 ≤ l ≤ n)
(π − (S)) l z 2 n = ( − z 1 ∂
∂z 2
) k z 2 n = ( − 1) l n!
(n − l)! z l 1 z 2 n − l
これが
P n (C 2 )
でのψ lで、これによって基底が作られます。よって、jを使えば(π, P n (C 2 ))
は(π 2j , P 2j (C 2 ))
と
なります。これは(π, P n (C 2 ))
で出てきたs
がj = n/2
として出てきています。ちなみに、Pn (C 2 )
の次元はn + 1
です(0
からn
までの多項式のz 1 n z 2 n − l (0 ≤ l ≤ n)
が基底だから)。次に群の既約
(irreducible)
と完全可約(completely reducible)
の定義を与えます。その前に、ベクトル空間に関 する直和の定義を簡単に示しておきます。ベクトル空間V, V ′のデカルト積はV × V ′で、V のベクトルをv、V ′
のベクトルをv ′とすれば、V × V ′に含まれるものは(v, v ′ )
と書かれます(V
のベクトルとV ′のベクトルによる
組)。このとき、(v, v′ )
に対して和とスカラー倍の演算を
v、V ′
のベクトルをv ′とすれば、V × V ′に含まれるものは(v, v ′ )
と書かれます(V
のベクトルとV ′のベクトルによる
組)。このとき、(v, v′ )
に対して和とスカラー倍の演算を
× V ′に含まれるものは(v, v ′ )
と書かれます(V
のベクトルとV ′のベクトルによる
組)。このとき、(v, v′ )
に対して和とスカラー倍の演算を
′ )
(v 1 , v ′ 1 ) + (v 2 , v ′ 2 ) = (v 1 + v 2 , v 1 ′ + v 2 ′ ) , c(v, v ′ ) = (cv, cv ′ )
として加えたものを、記号「⊕」を使って直和
V ⊕ V ′と定義します(V
とV ′の共通部分は0
のみ)。直和はデカ
ルト積にベクトルの演算規則を加えたものなので、V ⊕ V ′はデカルト積と同じように(v, v ′ )
の組で表します。つ
まり、V ⊕ V ′において、V を(v, 0)、V ′を(0, v ′ )
としたとき、演算に従って(v, v ′ )
になるということです。そし
て、V ⊕ V ′での(v, 0) + (0, v ′ ) = (v, v ′ )
は、V, V′
のベクトルを指定して足したものがV ⊕ V ′と言っているので、
0
のみ)。直和はデカ ルト積にベクトルの演算規則を加えたものなので、V⊕ V ′はデカルト積と同じように(v, v ′ )
の組で表します。つ
まり、V ⊕ V ′において、V を(v, 0)、V ′を(0, v ′ )
としたとき、演算に従って(v, v ′ )
になるということです。そし
て、V ⊕ V ′での(v, 0) + (0, v ′ ) = (v, v ′ )
は、V, V′
のベクトルを指定して足したものがV ⊕ V ′と言っているので、
(v, 0)、V ′を(0, v ′ )
としたとき、演算に従って(v, v ′ )
になるということです。そし
て、V ⊕ V ′での(v, 0) + (0, v ′ ) = (v, v ′ )
は、V, V′
のベクトルを指定して足したものがV ⊕ V ′と言っているので、
(v, 0) + (0, v ′ ) = (v, v ′ )
は、V, V′
のベクトルを指定して足したものがV ⊕ V ′と言っているので、
V, V ′で見ればv + v ′です。なので、直和はv + v ′と思えばいいです。
v + v ′と思えばいいです。
ベクトル空間
V
に含まれるベクトルから、W1 , W 2 . . . , W k
というベクトル空間が作れるとし(W iはV
の部分
空間)、直和によって
V = W 1 ⊕ W 2 ⊕ . . . ⊕ W k
と書けるとします。これは
V
のベクトルをv、W iのベクトルをw iとすれば、v= w 1 + w 2 + . . . + w kと対応し
ます。
= w 1 + w 2 + . . . + w kと対応し ます。
直和の話の分かりやすい例が行列です。実数の
n × n
行列をM
としてM = 1
2 (M + M T ) + 1
2 (M − M T )
と書いたとします(T
は転置)。これは(M + M T ) T = M + M T , (M − M T ) T = − (M − M T )
なので、第一項は対称行列、第二項は反対称行列になります。それぞれを
S, T
とすれば(1/2
も含ませて)
M = S + T
これは
M
は、対称行列S
と反対称行列T
の和で書けることを言っています。
M
は実数の行列によるベクトル空間M (V )、S
は対称行列によるベクトル空間S(V )、T
は反対称行列による ベクトル空間T (V )
に含まれています。そして、M はS
とT
の和で書けるために、SとT
を指定して足せばM
が求まる、つまり、S(V)
とT (V )
の行列(ベクトル)
を指定して和の演算を入れればM (V )
の行列になると言って います。よって、M(V )
はS(V )
とA(V )
の直和M (V ) = S(V ) ⊕ A(V )
で書けます。S(V
)
とA(V )
はM (V )
の部分空間です。この話を群に持っていきます。群
G
の表現を(Π, V )
とします。このとき、ベクトル空間V
に含まれるものによっ て、ベクトル空間W (V
の部分空間)が作れるとします。このW
に含まれるベクトルw
は変換Π(X )w
によって、また
W
のベクトルになると定義します。言い換えれば、Π(X)wはw
の性質を変えないということで、この意味 で不変な部分空間と呼ぶことにします。そして、V が不変な部分空間を持つとき、その表現Π
は可約(reducible)
と呼ばれます。可約でないなら既約(irreducible)
と呼ばれます。不変な部分空間
W i (i = 1, 2, . . . . , k)
があり、Wi
の表現Π iが既約で、V が
V = W 1 ⊕ W 2 ⊕ . . . ⊕ W k
と書けるとき、V の表現は完全可約
(completely reducible)
と言います。V がこのように不変な部分空間の直和で かけないなら(不変な部分空間が V
しかないとき)、既約です。なので、完全可約な表現は既約な表現の直和で書 ける場合です。また、可約はV
が不変な部分空間の直和だけでないときと言えます。この話はそのままリー代数 でも言えます。証明はしませんが、群G
が既約なら、そのリー代数g
も既約という性質を持っています。
su(2)
での表現(π, P n (C 2 ))
が既約なのか完全可約なのか調べます。知りたいのは多項式のベクトル空間P n (C 2 )
が不変な部分空間W
による直和に分解できるかです。Pn (C 2 )は多項式の集まりなので、その部分空間も多項式
です。なので、部分空間W
のベクトルw
は、ai (i = 0, 1, . . . , n)のどれかが0
でないとして
0
でないとしてw = a 0 z n 1 + a 1 z 1 n − 1 z 2 + a 2 z n 1 − 2 z 2 2 + · · · + a n z 2 n
と書けます。部分空間
W
はπ(S i )
に対して不変です。
π(S i )
による(3a),(3b)
を使います。a i ̸ = 0 (i ≤ k 0 )
でのw
にπ + (S)
をk 0回作用させると、(4b)
から、(π + (S)) k0
はz 1 nをz 1 n − k0に下げるので、作用させたとき消えないのはz 1 , z 2が
z 1 nをz 1 n − k0に下げるので、作用させたとき消えないのはz 1 , z 2が
z 1 , z 2が
a k0z 1 k0z 2 n − k0
z 2 n − k0
の項だけで
(π + (S)) k0w = ( − 1) k0(k 0 !)a k0z 2 n − k0+k
0 = ( − 1) k0(k 0 !)a k0z n 2
(k 0 !)a k0z 2 n − k0+k
0 = ( − 1) k0(k 0 !)a k0z n 2
+k
0= ( − 1) k0(k 0 !)a k0z n 2
z n 2
これは、a
k
0̸ = 0
なので、(π+ (S)) k
0w
はz 2 nの0
でない係数を作ることを言っています(z 2 nの項がある)。今知り
たい部分空間は表現での変換に対して不変としたものなので、(π+ (S)) k
0w
によってz 2 nになることから、W には
z 2 nがいなければいけません。
+ (S)) k
0w
によってz 2 nになることから、W には
z 2 nがいなければいけません。
z 2 nがいることが分かったので、今度はπ − (S)
をz 2 nにk
回作用させます。そうすると
k
回作用させます。そうすると(π − (S)) k z 2 n = ( − 1) k n(n − 1)(n − 2) · · · (n − k + 1)z 1 k z 2 n − k = ( − 1) k n!
(n − k)! z 1 k z 2 n − k
となって
(π − (S)) k z 2 nは0
でないz k 1 z n 2 − kの係数を作ります。これはW
にz 1 k z 2 n − kがいることを言っています。こ
の結果から、W には0 ≤ k ≤ n
に対してz 1 k z 2 n − k がいることになります。これは元のP n (C 2 )
の基底と同じなの
で、部分空間W
はP n (C 2 )
そのものです。よって、Pn (C 2 )
は不変な部分空間の直和に分解できないので、su(2)
の表現(π(S), P n (C 2 ))
は既約です。
W
にz 1 k z 2 n − kがいることを言っています。こ
の結果から、W には0 ≤ k ≤ n
に対してz 1 k z 2 n − k がいることになります。これは元のP n (C 2 )
の基底と同じなの
で、部分空間W
はP n (C 2 )
そのものです。よって、Pn (C 2 )
は不変な部分空間の直和に分解できないので、su(2)
の表現(π(S), P n (C 2 ))
は既約です。
P n (C 2 )
の基底と同じなの で、部分空間W
はP n (C 2 )
そのものです。よって、Pn (C 2 )
ついでに証明なしに
Schur
の補題を示しておきます。群G
の2
つの表現を(Π 1 , V 1 )、(Π 2 , V 2 )
とし、両方とも 既約だとします。群G
に含まれるものはA
とします。このとき、V1
からV 2への写像ϕ
が
ϕΠ 1 (A) = Π 2 (A)ϕ
を満たすとき、ϕは
0
かϕ(V 1 ) = V 2 (同型写像)
です。そして、(Π1 , V 1 ) = (Π 2 , V 2 ) = (Π, V )ならϕ
は線形変換で
あり(V
上での変換だから)、ϕ= cI (c
は複素数)になります。これをSchur
の補題と言います。さらにSchur
の
補題を使うことで、可換群の既約な表現は1
次元というのが導けます。そして、su(2)での表現(π j , V j )
は既約で、
su(2)
の全ての既約な複素表現(有限次元での)
は(π j , V j )
と等価になっていることも分かります。最後にリー代数の複素化
(complexification)
を示します。ここで言う実数と複素数はリー代数によるベクトル空 間が実ベクトル空間なのか複素ベクトル空間なのかです。ただし、線形リー群G
のリー代数g
は、スカラー倍が 実数で与えられているので、実ベクトル空間になっています。先に実ベクトル空間の複素化を見ておきます。複素化は実ベクトル空間
V
から、V
でのベクトルv 1 , v 2による線
形結合v 1 +iv 2をベクトルとするベクトル空間V Cを作ることです。記号的にはテンソル積⊗
によってV C = C ⊗ V
と書かれます。Cは複素空間で、基底が1, i
の2
次元実ベクトル空間です(複素平面は 1, i
を基底とする2
次元実
ベクトル空間だから)。
V Cを作ることです。記号的にはテンソル積⊗
によってV C = C ⊗ V
と書かれます。Cは複素空間で、基底が1, i
の2
次元実ベクトル空間です(複素平面は 1, i
を基底とする2
次元実
ベクトル空間だから)。
V Cが複素ベクトル空間になっていることを簡単に示しておきます。線形結合v 1 + iv 2によるベクトル空間がV C
なので、VC
は直和でのV ⊕ V
に積の演算(複素数によるスカラー倍)
として(a +ib)(v 1 , v 2 ) = (av 1 − bv 2 , bv 1 +av 2 )
を与えたものと同じです(a, b
は実数)。実際にV ⊕ V
の組(v 1 , v 2 )
をv 1 + iv 2として計算すれば
V C
なので、VC
は直和でのV ⊕ V
に積の演算(複素数によるスカラー倍)
として(a +ib)(v 1 , v 2 ) = (av 1 − bv 2 , bv 1 +av 2 )
を与えたものと同じです(a, b
は実数)。実際にV ⊕ V
の組(v 1 , v 2 )
をv 1 + iv 2として計算すれば
(a + ib)(v 1 + iv 2 ) = av 1 + iav 2 + ibv 1 − bv 2 = av 1 − bv 2 + i(bv 1 + av 2 ) = (av 1 − bv 2 , bv 1 + av 2 ) i(v 1 , v 2 ) = i(v 1 + iv 2 ) = − v 2 + iv 1 = ( − v 2 , v 1 )
このように
(v 1 , v 2 )
に複素数の計算が与えられます(他にも複素共役とかも与えなければいけませんが省きます)。
なので、V
C
は複素ベクトル空間です。同じようにリー代数にも複素化を定義します。これは、実ベクトル空間でのリー代数
g
のX, Y
による組(X, Y ) = X + iY
を用意して、(a + ib)(X + iY ) = aX − bY + i(bX + aY ) (X + iY ) + (X ′ + iY ′ ) = (X + X ′ ) + i(Y + Y ′ )
[X + iY, X ′ + iY ′ ] = [X, X ′ ] − [Y, Y ′ ] + i([X, Y ′ ] + [Y, X ′ ])
というように演算規則を与えればいいです
(a, b
は実数)。この(X, Y )
によるリー代数g Cが、リー代数g
の複素
化です。
表現の複素化もあります。リー代数
g
からgl(V )
への準同型写像π
があるとします。このとき、gの複素化g C
から
gl(V )
への準同型写像π Cがあって、このπ Cがg
のX, Y
に対して
g
のX, Y
に対してπ C (X + iY ) = π(X) + iπ(Y )
を満たすとき、π