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「総合設計制度における容積率緩和と公開空地の効果に関する考察」

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総合設計制度における容積率緩和と公開空地の効果に関する考察

<要旨> 我国では都市計画法及び建築基準法に基づく容積率規制が敷かれている一方で、いくつかの容 積率の緩和に関する制度が設けられており、総合設計制度はそのうちの一つである。 本論文では、総合設計制度を用いることによる容積率の緩和及び公開空地の創出等が、実施し た計画地の周辺地価に与える影響について、ヘドニック・アプローチにより定量的に分析を行っ た。 分析の結果、総合設計制度を用いることによる容積率緩和が周辺地価に与える影響は、用途地 域により異なこと、さらには公開空地が周辺地価に対して明確な効果を与えていないことが判明 した。 こうした結果を踏まえ、今後、総合設計制度を現状の社会に適応した制度とするためには、用 途地域に合わせた適切な制度設計が必要であることを結論付けた。

2011 年(平成 23 年)2 月

政策研究大学院大学 まちづくりプログラム

MJU10051 鎌田泰広

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第1章 はじめに 第2章 研究の背景 (1) 建築基準法に基づく集団規定 (2) 容積率緩和を受ける制度 (3) 総合設計制度について 1. 概要 2. 手続きの流れ 3. 公開空地について 4. 東京都における総合設計制度の実績 第3章 都心部における容積率等に関する理論分析 (1) 容積率の関する理論分析 (2) 総合設計制度を活用するインセンティブ 第4章 総合設計制度が周辺地価に与える影響に関する理論分析 (1) 容積率緩和と公開空地との関係性 (2) 用途地域による効果の差異 (3) 住宅地域による効果 第5章 総合設計制度における容積率緩和と公開空地が周辺地価にもたらす影響に関する実証 分析 5-1.用途地域別の効果 (1)分析方法 (2)分析結果と考察 5-2.住宅地域における総合設計制度の効果 (1)分析方法 (2)分析結果と考察 第6章 まとめ (1) 容積率緩和の効果 (2) 公開空地創出の効果 (3) 総合設計制度に関する政策提言 (4) 本研究の課題

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1 章 はじめに

現在、我国では土地利用に関する規制が数多く課されおり、それらの根拠としては、社会的に 適切ではない土地利用を制限することや都市環境を保全するための配慮であるとされている1 土地利用を制限する規制の成立過程や変遷を概観すると、規制の算定基準は必ずしも明快ではな いものの、近隣外部不経済や混雑外部不経済といった市場の不完備性によってもたされる市場の 失敗の是正を目的にした規制であると予想できる2。しかし、これらの規制は主に都市計画の立 場から実施されているため、経済学的視点に立ったときに、様々な矛盾や問題点が見えてくる。 一般的に人口の集中する都心部では土地を高度利用し、郊外では低密度で豊かな居住環境を確 保することが望まれることから、各種の規制を課した際にも、ある程度それらを踏まえた上で規 制内容が定められていると考えられる。しかし、現在の都市の状況や様々な都市問題に適応した 規制内容とは言い難いものとなっており、中でも容積率規制にはその傾向が顕著に表れている。 従来容積率規制をする意義は、近隣外部不経済や混雑外部不経済への対策とする意見が有力であ るが、実情は環境悪化や交通混雑を抑制するだけでなく、その他の経済活動をも抑制してしまっ ている。その結果、都心のオフィス賃貸料のみならず、住宅家賃までも大幅に上昇させ、本来な らば都心に立地できる企業や都心の潜在的居住者を排除している 2といった見解も示されてい る。 容積率規制に関しては、一定の条件を満たした場合にだけ容積率を緩和することができる、い くつかの制度が創設・導入されている。総合設計制度はその制度のうちの一つであり、一定条件 を満たした公開空地を創出することにより容積率規制を緩和するものである。容積率規制に関し ては、前述の通り、近隣外部不経済や混雑外部不経済に対する是正が主な目的とされている。本 稿では,当該制度の活用によって創出される公開空地は混雑外部不経済する機能は小さく,また、 近隣外部不経済に対して、どの程度の効果があるのか非常に不透明であるという立場で,分析を 行い,考察を行うものである。 ______________________________________ 1矢口和宏(2004) 2唐渡広志(2006)

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2 章 研究の背景

(1)建築基準法に基づく集団規定 単体規定、集団規定という名称は通称であり、建築基準法の中に明文化されているものではな い。形式的には法第2 章が単体規定、法第 3 章が集団規定と呼ばれている。 単体規定は、全ての地域に適用される個々の建物の安全・快適を図る規定であり、その内容は、 建築物の敷地の衛生・安全の基準(法19 条)、建築物の構造の安全基準(法 20 条、21 条)、建 築物の防火基準(法22~27 条)、建築物の衛生・安全の基準(法 28~33 条)、建築物の避難施 設等の基準、昇降機(法34~35 条の 3)などに関する規定である。したがって建築物が建てら れる地域に関わらず一様に規制され、原則として棟を単位として適用される。 一方、集団規定は都市計画の規定とリンクし、都市計画区域等内に建つ建築物を対象として、 原則として敷地を単位として適用される。その内容はまず、道路又は壁面線に関する基準(法 42~47 条)、用途地域に関する基準(法 48 条~51 条)、建築物の面積、高さ及び敷地内の空地 に関する基準(法52 条~60 条の 2)であり、その他、防火地域制に関する基準(法 61~67 条 の2)や、地区計画等の区域(法 68 条の 2~8)がある。 建築基準法のいわゆる集団規定は、都市計画区域内等において建築物の形態、用途、接道等に ついて制限を加えることにより、建築物が集団で存している都市の機能の確保や良好な市街地環 境の確保を図っているという位置付けである。 建築物の面積、高さ及び敷地内の空地に関する基準(法52 条~60 条の 2)には、容積率制限 (法52 条)、建蔽率制限(法 53 条)、絶対高さ制限(法 55 条)、道路斜線制限(法 56 条 1 項 1 号)、隣地斜線制限(法56 条 1 項 2 号)、北側斜線制限(法 56 条 3 号)等がある。 本論文で は、法52 条における容積率制限を緩和する制度について分析を行う。 (2)容積率緩和を受ける制度 容積率緩和に関する制度とは、建築基準法、都市計画法等における用途地域による容積率制限 は公共施設に対する負荷を調整するとともに、建物による空間占有度を制御することを通じて市 街地環境を確保するために定められているという基本認識の下で、公共施設が整備済みである、 又は確実に整備が見込まれるなど一定の要件が満たされることで公共施設への負荷を調整する とともに、有効な空地の確保等による市街地環境の整備・改善への貢献に応じて、用途地域によ る容積率制限を緩和するとともに、斜線制限等をも緩和することを可能とする制度である。容積 率緩和に関する制度の代表的な制度として、「再開発等促進区を定める地区計画」「特定街区」「高 度利用地区」「総合設計制度」などがある。本論文では、総合設計制度に着目し、その効果につ いて実証分析を行う。

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(3)総合設計制度について

1.概要 敷地単位の具体の建築計画につき、特定行政庁の許可による手続きにより、公共施設負 荷調整と空間占有度制御を担保し、容積率制限を緩和する制度として総合設計制度(建築 基準法59 条の 2)がある。 法令上の規定としては、総合設計制度は、その敷地内に政令で定める空地を有し、敷地 面積が政令で定める規模以上である建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防災上及び 衛生上支障がなく、且つ、その建蔽率、容積率及び各部分の高さについて、総合的な配慮 がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認め、建築審査会の同意を 得て許可することにより、容積率制限、第一種・第二種低層住居専用地域内の絶対高さ制 限及び斜線制限を緩和できる制度で、1976年の建築基準法改正により創設された。建 設省住宅局監修(1991)によると。「交通上、安全上、防災上及び衛生上支障がなく」とは、 「市街地環境にとって、例えば、大規模な建築物の建設による自動車等の交通の処理、火 災時の避難、消火活動、日照、採光、痛風等の環境などの観点から支障がないこと」とさ れている。3 2.手続きの流れ 手続きの流れとしては、以下の通りである。容積率を緩和させる手法において、総合設計制 度は、特定行政庁の許可という比較的簡便な手続きにより敷地単位で適用される。一方他の手法 については、都市計画変更等を伴うことにより、住民説明会や図書の縦覧などが必要となるため、 手続きにかかる機会費用が高い。 3 和泉『容積率緩和型都市計画論』を参考とした 特定行政庁(建築主事) 事業者(設計者) 建築審査会 建築審査会の同意を求める 建築確認申請 詳細設計 許可申請 実施設計 基本設計 必要に応じて事前相談 必要に応じて事前相談 (審査の結果)同意又は不同意 (同意の場合は)認可通知 工事着手 建築確認通知 図1 総合設計制度手続きフロー3

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- 4 - 3.公開空地について 総合設計制度における公開空地は、用途や形状などに応じて係数が設けられており、係数 の高い公開空地を多く設けることに応じて容積率緩和を受けられることとなっている。ただ し、容積率緩和には上限が設けられている。公開空地の分類や係数については、各特定行政 庁により異なるが、ここでは、横浜市の要綱を基に公開空地の分類を整理する。 歩道・通り抜け(青空) 一般的(青空) 内部空間(広場状) 内部空間(広場状・通路状) 一団の緑地 水辺に面するもの(青空) 図2 公開空地の分類(横浜市建築局建築環境課 HP より) 種別 係数 1 歩道の用に供する公開空地 1.2~2.0 2 通り抜け歩道の用に供する公開空地 1.2~2.0 3 一般的公開空地 0.5~1.2 4 内部空間の公開空地 0.8~1.5 5 一団の緑地 1.0~1.2 6 水辺に面する公開空地 1.5 ※係数は公開空地の利用形態によって異なる。例え ば一般公開空地の場合、非青空公開空地であれば 0.8、青空公開空地のうち、地下 1.5m 以上、3.0m 未満であれば 0.5、地上 1.3m 未満、地下 1.5m 未満 であれば 1.0、地上 1.3m 未満、地下 1.5m 未満、単 位面積 500 ㎡以上、最低幅員 10 以上で 1.2 の係数 を用いることとなる。 図3 公開空地別算定係数(横浜市建築局建築環境課 HP より)

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- 5 - 4.東京都における総合設計制度の実績 東京都における総合設計制度の実績を以下に示す。港区、千代田区、中央区などにおいて は、他の区に比べて多くの総合設計制度活用実績があり、各行政手続きや公開空地の創出な どの機会費用を上回る利益を見込んだ事業者が、積極的に容積率の緩和を受けている。対照 的に城北地域や城東地域においては、実績が尐なく、総合設計制度を活用するインセンティ ブが働きにくい地域といえる。 1 4東京都都市整備局市街地建築部建築企画課HP を参考にした 0 10 20 30 40 50 60 S51 S53 S55 S57 S59 S61 S63 H2 H4 H6 H8 H10 H12 H14 H16 H18 H20 昭和51年から平成20年までの総合設計実績件数 千代田区 95 中央区 89 港区 161 新宿区 34 文京区 17 台東区 19 墨田区 15 江東区 29 品川区 50 目黒区 10 大田区 13 世田谷区 13 渋谷区 40 中野区 6 杉並区 5 豊島区 21 北区 5 荒川区 7 板橋区 8 練馬区 5 足立区 6 葛飾区 5 江戸川区 10 23区外 11 合計 674 図5 東京都区別許可実績4 100 件以上実施 50 件以上実施 20 件以上実施 図4 東京都年度別許可実績4

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3 章 都心部における容積率等に関する理論分析

(1)容積率に関する理論分析 第 2 章において、総合設計制度の実績を記したが、ここで都心部における容積率に関する理 論分析を行う。総合設計制度の実績からも明らかであるが、都心部であるほど容積率緩和を受け るインセンティブが働いており、都心から離れるに連れてそのインセンティブは減尐する。また、 郊外では指定容積率を超える建物自体が尐ないことから、容積率と総効用との関係は図6のとお りとなる。観測値が都心部であるほどAの曲線に近づき、郊外に近いほどCの曲線に近づく。容 積率の上昇に伴い総効用が上がる傾向にあるが、一定値を超えた段階で総効用を下げることとな る。これは、容積率が増大することによる近隣外部不経済や混雑外部不経済の影響が考えられる。 各地域で総効用の最大値を取る値で指定容積率を定めることが最も社会的総効用の上がる状態 と言えるが、実情としては、現在の社会のニーズに適合していない容積率規制が敷かれている。 図6 指定容積率と総効用の関係 (2)総合設計制度を活用するインセンティブについて (1)で示した通り、図6で示す曲線Aの状態に近い程、総合設計制度等の容積率緩和の手法 を用いるインセンティブが働きやすい。しかしながら、各容積率緩和の手法にはそれぞれ機会費 用がかかる。そこで事業者は、B/C等の分析を行って総合設計制度を活用するか否かの判断に 直面する。ここで考えられるコストとしては、建設に係るすべての費用に加えて、公開空地の創 出及び維持管理、さらには行政手続きにかかる機会費用などが考えられる。一方、便益としては、 元々の容積に加えて増加した分の容積を加えた床面積から得られる利益などが考えられ、これら を比較分析することとなる。 総効用 容積率 C;郊外部 A;都心部(都心3 区など) F;指定容積率 B;都心部(城北地域など)

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4 章 総合設計制度が周辺地価に与える影響に関する理論分析等

(1)容積率緩和と公開空地との関係性 容積率規制は前述の通り、交通環境と周辺環境への影響を考慮した上での規制であるが、総合 設計制度で定める容積率規制の緩和に対する公開空地の創出が意味するところは、容積が増加す ることによる周辺環境の悪化を公開空地の創出により相殺する意味合いが期待されている。周辺 環境の悪化等の効果が周辺地価に反映されるものとし、総合設計制度が行われることにより期待 される地価の変動を、図7及び図8に示す。容積率増加は、周辺環境の悪化により、P1 から P2 に周辺地価を下げる(図7)。一方、公開空地の創出により周辺環境の悪化を改善することによ り、周辺地価を再びP2 から P1 に戻す(図8)。総合設計制度が効率的に機能しているのであれ ば、上記の反応が見られ、結果的に周辺地価の変動は見られないことが期待される。 なお、周辺環境の悪化としては、周辺へ与える建物の圧迫感や景観的な要素が考えられる。ま た、交通環境への影響については、公開空地の性質上、考慮されていないものと捉える。 (2)用途地域による効果の差異 総合設計制度は、どの用途地域においても活用することができ、その実績を重ねてきた。元々 高い容積率が設定されている業務・商業施設が中心の商業地域と、低い容積率が初期設定されて いる居住施設を中心とした住宅地域とでは、総合設計制度が周辺地域へ与えている影響は異なる ことが予想される。商業地域における容積率に関する先行研究では、主に交通に関する影響やオ フィス需要などと関連した内容の先行研究が行われており、商業地域における容積率規制の緩和 については正当化されるべきとの傾向にある。 総合設計制度を活用している物件についても、容積率緩和について上記と同様の傾向が見られ るのであれば、図9に示すとおり、容積率の増加により商業地域においては、周辺地価を上げる ことが予測される。 【図8総合設計制度活用による公開空地増加に伴う周辺地価の変動 】 Q1 Q2 公開空地 P1 P2 周辺地価 【図7総合設計制度活用建築物の容積率増加に伴う周辺地価の変動 】 Q1 Q2 容積率 P1 P2 周辺地価 総合設計制度が効率的に機能している場合

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- 8 - (3)住宅地域による効果 住宅系用途地域においては、図10に示す通り、都市計画法上 7 つに分類される。いずれも 居住環境を維持することを目的とし、地域に合わせて建築用途の制限が設けられているが、中で も第1 種低層住宅専用地域と第 2 種低層住宅専用地域においては、それぞれ「低層住宅に係る 良好な住居の環境を保護するため定める地域(都市計画法第9 条第 1 項)」、「主として、低層住 宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域(都市計画法第9 条第 2 項)」としており、 建築用途が他の住宅系用途地域に比べて厳しく制限されている。 一方、準住居地域や第1 種、第 2 種住居地域においては、一定規模を超えない事務所・店舗 や大学・病院、ホテルなどの用途が許容されているため、比較的柔軟な活用が行われている。 住宅地域において総合設計制度が活用された際の周辺地価へ与える効果は、商業地域とは異な り、さらに、低層住宅専用地域においては、他の住宅地域に比べて厳しい用途制限が設けられて いることからも、総合設計制度の活用による周辺環境への影響が大きいことが予測される。 【図9 総合設計制度活用建築物の容積率増加に伴う周辺地価の変動 】 Q1 Q2 容積率 周辺地価 商業地域 全用途地域 第1種 低層住居 専用地域 第2種 低層住居 専用地域 第1種 中高層住居 専用地域 第2種 中高層住居 専用地域 第1種 住居地域 第2種 住居地域 準住居地域 床面積の合計150㎡以下 床面積の合計500㎡以下 上記以外の物品販売行を営む 物品販売店舗・飲食店 (1) (2) (3) (3) (1) (2) (2) (2) ホテル、旅館 カラオケボックス等 大学、病院等 立てられる商業系施設 店舗飲食店 上記以外の事務所等 ボーリング場、スケート場、水泳場等 営業用車庫 料理店等 図10 住宅地域の分類

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第5章 総合設計制度における容積率緩和と公開空地が周辺地価にもたらす影

響に関する実証分析

これまで論じてきたように、現況の社会に対して必ずしも適正な容積率規制や用途地域規 制が行われていない中で、容積率緩和の手法の一つである総合設計制度の活用により生じる 容積率緩和と公開空地の創出が周辺地価に与える影響について、以下の 2 つの実証分析を 行いその効果を検証する。 5-1.用途地域別の効果 総合設計制度は、用途地域に係らず施工されている中で、前述のとおり、商業地域においては、 集積のメリット等から容積率緩和が周辺地価にプラスの効果をもたらしていることが実証され ている。さらに、指定容積率の設定値は用途地域ごとに大きく異なっているため、総合設計制度 の活用が周辺地価に与える効果には、差異が生じている可能性がある。 これらを踏まえ、次の仮説の下で、総合設計制度が周辺地価に与える効果を検証する。 仮説1:総合設計制度が周辺地価に与える影響は、その用途地域により異なるのではないか? 1.分析方法 (1) 計測の目的 総合設計制度が周辺地価に与える影響について、用途地域別に分類し、総合設計制度を 活用したことによる容積率の増加及び公開空地の創出の効果について検証を行う。 (2) データ内容 計測データは、東京 23 区内における総合設計制度が実施された物件を対象とした。総 合設計制度に関する基本情報については、東京都都市整備局HP 等に掲載されているデ ータを用いて分析を行う。 (3) 推計モデル式 公示地価を被説明変数として、総合設計制度を活用することによって生じる容積率や公 開空地の変動等を説明変数として推計モデルを設定した。 <推計モデル式> ln(公示地価)=α0+α1(各用途地域ダミー(総合設計制度))+α2(ln 総合設計制度活用 後の容積率×各用途地域ダミー)+α3(ln 公開空地面積×各用途地域ダミ ー)+α4(コントロール変数)+ε α0~α4:パラメータ ε:誤差項

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- 10 - <被説明変数> ln 公示地価(円/㎡) 被説明変数として、平成22 年度の地価公示価格を対数にして用いる。 <主な説明変数> ① ln 公示地価面積 各公示地価ポイントの土地面積(㎡)を対数に変換して用いた。土地面積が 大きいほど、土地利用の自由度が高まることから、係数の符号は正になると推測 される。 ② ln 指定容積率 各公示地価ポイントの指定容積率(%)を対数に変換して用いた。指定容積率 が大きいほど、土地利用の自由度が高まることから、係数の符号は正になる と推測される。 ③ ln 最寄駅までの距離 各公示地価ポイントから最寄駅までの道路距離(m)を対数に変換して用いた。 最寄駅までの距離が大きいほど利便性が減尐することから、係数の符号は負にな ると推測される。 ④ ln 東京駅までの距離 公示地価ポイントから東京駅までの距離(m)を GIS により計測。東京駅までの 距離が大きいほど利便性が減尐することから、係数の符号は負になると推測される。 ⑤ 工業地域ダミー、住宅地域ダミー(公示地価) 公示地価ポイントが属している用途地域を分類し、ダミー変数として用いる。基 準を商業地域としている。 ⑥ 商業地域ダミー、工業地域ダミー、住宅地域ダミー(総合設計) 総合設計制度が各用途地域で行われることによるダミー変数。各用途地域ごとに、 総合設計制度が活用された際の周辺地価に与える影響を測る。 ⑦ ln 緩和容積率×商業地域ダミー、工業地域ダミー、住宅地域ダミー 総合設計制度の活用による増加した容積率と用途地域ダミーの交差項を用い ることにより、それぞれの用途地域における、容積率増加の効果を測る。 ⑧ ln 公開空地面積商業地域ダミー、工業地域ダミー、住宅地域ダミー 総合設計制度を活用したことにより創出された公開空地の面積と用途地域ダ ミーとの交差項を用いることにより、それぞれの用途地域における、公開空地面 積の増加による効果を測る。

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- 11 - 2.分析結果と考察 (1) 分析結果 ln(公示地価) 係数 標準誤差 ln(敷地面積) 0.330 *** 0.016 ln(指定容積率) 0.247 *** 0.037 ln(最寄駅距離) -0.102 *** 0.008 ln(東京駅距離) -0.406 *** 0.025 住宅地域ダミー(公示地価) -0.075 *** 0.017 工業地域ダミー(公示地価) -0.299 *** 0.021 商業地域ダミー(総合設計制度) -0.044 0.033 住宅地域ダミー(総合設計制度) 0.302 0.209 工業地域ダミー(総合設計制度) -0.901 0.557 ln 総合設計容積率×商業地域ダミー(公示地価・総合設計) 0.070 * 0.042 ln 総合設計容積率×住宅地域ダミー(公示地価・総合設計) -0.169 0.112 ln 総合設計容積率×工業地域ダミー(公示地価・総合設計) 0.102 * 0.056 ln 総合設計容積率×商業地域ダミー(公示地価・総合設計) -0.027 0.035 ln 総合設計容積率×住宅地域ダミー(公示地価・総合設計) 0.026 0.054 ln 総合設計容積率×工業地域ダミー(公示地価・総合設計) 0.183 0.160 定数項 6.332 *** 0.180 修正済み決定係数0.702 サンプル数 1664 注)***、**及び*は、それぞれ 1%、5%、10%で統計的に有意であることを示す。 (2) 考察1;容積率緩和の効果 ① 商業地域 商業地域では周辺地価は容積率の増加に伴い、周辺の地価を上昇させていることが 10%有意で示された。これは、商業地域における容積率の増加によって、新たな床が創 出されることとなり、当該地と周辺地域が共にメリットのある状態を生んでいる結果と 考えられる。集積のメリットとの見方も可能だが、建築用途を住宅としているケースも あることから、第3 章(1)で述べたように、指定容積率の初期設定が、総合設計制度 を活用した土地に対して適切ではなかったことに起因する要素も多分に含んでいるこ とが予想される。また、工業地域についても同様の傾向が見られた。 ② 住居地域 一方、住宅地域においては、有意ではなかったが、マイナスの符号が得られた。これ は、商業地域や工業地域の用に、容積率の増加が必ずしも周辺の地価を上昇させていな いことを表し、場合によっては地価を下落させている可能性があることを示す。 なお、有意な数値が得られなかった原因としては、第4 章(3)で述べたように、住 宅地域の中でも、建築用途が細かく分類されていることによる影響が考えられる。

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- 12 - (3) 考察2;公開空地の創出 用途地域に係らず、公開空地の面積が周辺地価に与える影響は有意な結果は得られな かった。これは、公開空地の立地や形状から、以下の状態を生み出していることに起因 するものと考える。 ① 公開空地が機能していない 公開空地については、形状により、建物内の敷地にしか見えず、周辺道路からの接 続が困難な形状となっているケースがある。また、総合設計制度では看板により当 該地が公開空地であることを示すことが義務付けられているが、景観的な意味合い から、人目に付かない位置に設置されているケースが多く見受けられる。これらの 場合、公開空地はほとんど使われることがなく、周辺地価に影響を与えることもな い。よってこのケースでは、プラスの効果もマイナスの効果も生まれていない可能 性がある。 ② 公開空地が機能している 建物周辺の狭小な歩道を補い、道路と一体的に歩道状空地などが整備されているケ ースにおいては、周辺地価に対してプラスの作用をしている可能性が考えられる。 特に通勤、通学路等では有効に機能している可能性が高い。 ③ 公開空地があることにより副作用が生じている ベンチ等を整備している公開空地においては、浮浪者などの問題が生じているケー スがいくつか見受けられる。また、公開空地は誰でも自由に通行、利用ができるた め、地域の特性により、外部不経済が生じるような利用をされ、周辺地価に対して マイナスに作用している可能性がある。 (4) 考察3;総合設計制度活用の効果について 商業地域や工業地域では総合設計制度の活用による容積率の増大が、周辺の地価に対 してプラスの効果があり、容積率増加の効果は用途地域により異なることがわかった。 さらには、公開空地の創出は用途地域に係らず周辺地価に対して影響を及ぼしていない ことがわかった。これらから、総合設計制度による容積率増大が周辺地域へ及ぼす外部 不経済に対する措置であるはずの公開空地の創出が、周辺地域に対してプラスの影響を 与えておらず、さらには容積率の増大自体が商業地域や工業地域では、外部不経済を上 回るプラスの効果を周辺地域に与えていることがいえる。この実証結果により、容積率 緩和の効果及び公開空地の創出の効果については、実証結果より制度の根拠が希薄であ ることが導かれた。 5-2.住宅地域における総合設計活用の効果 5-1 において実証したとおり、総合設計制度の活用による周辺地価に与える効果は、用途 地域により異なることが分かった。しかしながら、住宅地域においては、容積率の増大に伴い マイナスの傾向にあったものの、その有意性は 10%に満たなかった。そこで、総合設計制度 が実施される前後 3 年間の周辺地域における公示地価を用いて、住宅地域における詳細な分

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- 13 - 類を行い、総合設計制度を活用することによる効果を分析する。 また、住宅地域は第4 章(3)で述べたとおり、7 種類に分類され、中でも低層住宅専用 地域においては、「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」として、居 住環境を守るための厳しく建築用途が制限されている。一方、他の住宅地域においては、多様 な建築用途に活用することが許容されていることについても着目する。 これらを踏まえ、次の仮説の下で、総合設計制度が周辺地価に与える効果を検証する。 仮説2:低層住居専用地域においては、総合設計制度による周辺地価に与える影響が異なるので はないか? 1.分析方法 (1) 計測の目的 住宅地域に対象を限定し、総合設計活用による容積率緩和及び公開空地創出の効果を検 証する。住宅地域を低層住宅専用地域とその他住宅地域を分類して、総合設計制度の周辺 地価へ与える効果の差異を明確にする。また、総合設計制度が活用されることによる影響 範囲も併せて検証する。 (2)データ項目 ① ln 公示地価(円/㎡) 総合設計制度実施建築物の施工時期の前後3 年間の地価公示価格の対数を用いる。 ② ln 公示地価面積(㎡) 各公示地価ポイントの土地面積(㎡)を対数に変換して用いた。土地面積が大きいほど、 土地利用の自由度が高まることから、係数の符号は正になると推測される。 ③ ln 指定容積率(%) 各公示地価ポイントの指定容積率(%)を対数に変換して用いた。指定容積率が大きい ほど、土地利用の自由度が高まることから、係数の符号は正になると推測される。 ④ ln 最寄駅までの距離(km) 各公示地価ポイントから最寄駅までの道路距離(m)を対数に変換して用いた。最寄駅 までの距離が大きいほど利便性が減尐することから、係数の符号は負になると推測され る。 ⑤ ln 前面道路幅員(m) 各公示地価ポイントの前面道路幅員(m)を対数に変換して用いた。道路幅員が 12m 未満の場合、道路幅員に応じて実行容積率が制限されること、狭小な道路だと交通利便 性が低下することなどから、係数の符号は正になることが推測される。 ⑥ 奥行/間口 間口が2m、3m 程度の旗竿敷地はその利用率が低下すると考えられる。そこで、奥行 /間口を設定し、当該敷地の利用効率を表す指標とした。係数の符号は負になることが 推測される。

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- 14 - ⑦ 0-100 ダミー、100-200 ダミー 総合設計制度実施建築物から0~100m、100~200m の間に公示地価があるダミー変数 を用いて、住宅地域において総合設計制度が実施された際の、公示地価に与える影響を 見る。また、総合設計制度実施箇所からの距離が近いほど、総合設計制度が実施された ことによる影響を大きく受けるものと推測される。 ⑧ 0-100 ダミー×低層住宅専用地域ダミー、100-200 ダミー×低層住宅専用地域ダミー 低層住宅専用地域における総合設計制度が実施されることによる効果を計測するため に、総合設計制度実施建築物から0~100m、100~200m の間に公示地価があるダミー 変数と低層住宅専用地域ダミーとの交差項を分析に加える。 ⑨ 0-100 ダミー×ln 増加容積率、100-200 ダミー×ln 増加容積率 住宅地域における総合設計制度活用による容積率増加が周辺公示地価に対する効果を 図るため、0-100 ダミー、100-200 ダミーと ln 増加容積率との交差項により計測す る。 ⑩ 0-100 ダミー×ln 公開空地面積、100-200 ダミー×ln 公開空地面積 住宅地域における総合設計制度活用により創出された公開空地の面積が周辺公示地価 に対する効果を図るため、0-100 ダミー、100-200 ダミーと ln 公開空地面積との交 差項により計測する。 ⑪ 年度ダミー 総合設計制度が実施された前後 3 年間における公示地価を利用したため、年度ダミー を用いた。 ⑪ 地域ダミー 観測できない要因による影響を考慮し、区部を 6 つに分け、都心地域を基準とするダ ミー変数を用いた。地域の分け方は、以下の通りである。 都心地域:千代田区、中央区、港区 副都心地域:新宿区、文京区、渋谷区、豊島区 城東地域:台東区、墨田区、江東区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区 城南地域:品川区、目黒区、大田区 城西地域:世田谷区、中野区、杉並区、練馬区 城北地域:北区、板橋区 ⑫ 総合設計実施ダミー 総合設計制度が実施される前後の影響を見るために総合設計実施ダミーを用いた。

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- 15 - 2.分析結果と考察 (1) 分析結果 ln(公示地価) 係数 標準誤差 ln(敷地面積) 0.250 *** 0.023 ln(指定容積率) 0.301 *** 0.059 ln(最寄駅距離) -0.126 *** 0.035 ln(前面道路幅員) 0.055 0.039 奥行/間口 -0.074 *** 0.019 (0m-100m)ダミー 3.523 * 2.105 (100m-200m)ダミー 1.949 1.439 (0m-100m)ダミー×低層住宅専用地域ダミー -0.082 * 0.047 (100m-200m)ダミー×低層住宅専用地域ダミー 0.027 0.114 (0m-100m)ダミー×ln 増加容積率 -1.766 ** 0.745 (100m-200m)ダミー×ln 増加容積率 -0.995 0.705 (0m-100m)ダミー×ln 公開空地面積 -0.222 0.270 (100m-200m)ダミー×ln 公開空地面積 -0.012 0.270 定数項 4.632 *** 0.211 年度ダミー yes 地域ダミー yes 総合設計制度実施ダミー yes 修正済み決定係数0.697 サンプル数 438 注)***、**及び*は、それぞれ 1%、5%、10%で統計的に有意であることを示す。 (2) 考察1;総合設計制度の影響範囲 実証結果より、0-100m ダミー変数に係る説明変数においては有意な数値を表してい るが、100-200m ダミー変数に係る説明変数については、有意な数値を表していない。 これは、総合設計制度実施による影響範囲が100m 圏外に対しては影響を及ぼしていな いことを示す。この影響範囲の設定については、総合設計制度の効果をB/C 等で評価す る際には非常に重要な要素となる。なお、本論文ではデータ数の制約上、100m 単位で の検証となっている。 (3) 考察2;住宅地域における効果 住宅地域における総合設計制度の効果については、0-100m ダミーが有意にプラスで あったことから、住宅地域においては、100m 圏内においては、総合設計が実施される ことにより、周辺地価を有意に上昇させる効果があることを示した。しかし、容積率の 増大に関しては、0-100m ダミーとの交差項が有意にマイナスであたったことから、容 積率の増大が過剰に行われた場合においては、総合設計制度の活用が、周辺地価を下げ

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- 16 - る可能性がある。これは、住宅地域においては、第4 章の(3)で述べたとおり、住宅 地域は居住空間としての設定がされているものの、準住居地域などにおいては、様々な 建築用途に用いることが容認されていることが影響していると考えられる。また、住宅 地域の中でも、指定容積率は様々であり、特に準住居地域などにおいては、住居地域の 中では高く設定されていることが多いことなども要因として考えられる。 (4) 考察3;低層住宅専用地域における効果 低層住宅専用地域と 0-100m ダミーとの交差項は有意にマイナスであることから、 他の住宅地域に比べて、低層住宅専用地域では、総合設計制度が実施されることにより、 マイナスの作用があることが分かる。 ただし、低層住宅専用地域で総合設計制度が活用された際に、周辺地価を下げている か否かについては、0-100m ダミーが有意にプラスであること、容積率の増大に関して は 0-100m ダミーとの交差項が有意にマイナスであることを加味した上で評価する必 要がある。

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第6章 まとめ

ここまで述べてきたとおり、総合設計制度における容積率緩和と公開空地の効果を検証するた めに、用途地域の違いや総合設計制度実施建築物からの距離の違いによる影響を踏まえて、公示 地価に注目した分析を行った。本節では、これらの分析のまとめと、それを踏まえた政策提言を 行うと共に、本研究の課題について述べる。 (1) 容積率緩和の効果 商業地域においては、総合設計制度実施建築物付近の公示地価は、容積率が増加する 程地価が増加することがわかった。これは、商業地域においては、総合設計制度の活用 による容積率増加が周辺に対してマイナスの影響を発生させていないことを示し、公開 空地創出を義務化させる意味を希薄にしている。 また、住宅地域においても、総合設計制度実施建築物付近の公示地価は、上昇してい ることがわかった。しかし、住宅地域の中でも低層住宅専用地域においては、その上昇 は有意に低い。 これらから、容積率緩和の効果は用途地域により顕著に異なる上、とりわけ低層住宅 専用地域に関しては、容積率の増加率により、周辺公示地価下げている可能性がある。 (2) 公開空地創出の効果 いずれの公開空地であっても、周辺地価に対して有意な効果を示さなかった。これは、 公開空地が周辺の地価に対して影響を与えないのか、又は、プラスの影響を及ぼす公開 空地とマイナスの影響を及ぼす公開空地が混在している可能性を示している。 (3) 総合設計制度に関する政策提言 提言1:総合設計制度においては、用途地域等に合わせた詳細な制度設計が必要である。 容積率緩和の効果が用途地域により異なることから、総合設計制度は用途地域ごとに詳 細な制度設計が必要となる。また、公開空地が周辺地域に与える影響について詳細な検 証を行い、効果的な公開空地の規模や形状について適切な制度を設ける必要がある。 提言2:総合設計制度の活用が望ましくない地域の設定が必要である。 低層住宅専用地域のように、緩和する容積率により、周辺地価に対してマイナスの影響 を及ぼす可能性のある地域においては、総合設計制度の活用自体を見直すことも含めて 詳細に検討する必要がある。 提言3:特定行政庁の裁量による指導の改善が必要である。

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- 18 - 総合設計制度が活用されることによる事後評価等を適切に行い、指導に反映させる必要 がある。 (4) 本研究の課題 ・当該研究では、用途地域により総合設計制度が周辺地価に与える影響について実証し たが、適正な制度設計を行うためには、用途地域以外の詳細な条件を加味した実証分 析が必要となる。 ≪考えられる詳細な条件公開空地の形状、総合設計制度の建築物の形状及び用途、周 辺住宅地の特性etc≫ ・総合設計制度を行った土地自体の地価は上昇することを加味した上で、B/C等の検証 が必要となる。また、現行の用途地域及び容積率規制が適正か否かの確認も併せて考 慮する必要がある。

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- 19 - 謝辞 本稿の作成にあたり、梶原文男教授(主査)、中川雅之客員教授(副査)、北野大樹助教授(副 査)、田尾亮介講師(副査)から丁寧なご指導をいただいたほか、福井秀夫教授(プログラムデ ィレクター)、西脇雅人助教授、安藤至大客員准教授、鶴田大輔客員准教授をはじめ、関係教員 及び学生の皆様からも大変貴重なご意見をいただきました。ここに記して感謝申し上げます。な お、本稿は個人的な見解を示すものであり、筆者の所属機関の見解を示すものではありません。 また、本稿における見解及び内容に関する誤りは、すべて筆者の責任にあることを申し添えます。 【参考文献】 ・矢口和宏(2004)『土地利用規制の経済分析-容積率規制を中心に-』ライフデザインレポー ト,4-15 頁 ・唐渡広志(2006)『容積率規制改革の便益と費用』 日本経済研究, NO.53, 42-71 頁 ・八田達夫(2006)『都心回帰の経済学』 ・浅見泰司(2010)『環境貢献都市 東京のリ・デザイン』 ・中川雅之(2008)『公共経済学と都市政策』 ・福井秀夫(2007)『ケースからはじめよう 法と経済学』日本評論社 ・金本良嗣(1997)『都市経済学』東洋経済新報社 ・和泉洋人(1998)『容積率緩和型都市計画』信山社 ・肥田野登・亀田未央(1997)『ヘドニック・アプローチによる住宅地における緑と建築物の外 部性評価』第32 回日本都市計画学会学術研究論文集,457-462 頁 ・谷下雅義・長谷川貴陽史・清水千弘『景観規制が戸建住宅価格に及ぼす影響』計画行政 ・高暁路・浅見泰司(2000)『戸建住宅地におけるミクロな住環境要素の外部効果』住宅土地経 済2000 年秋季号,28-35 頁

・Giaolu Gao・Yasushi Asami(2001)『The External Effects of Local Attributes on Living Environment in Detached Residential Blicks in Tokyo』Urban Stadies,38:3,487-505 ・N.G.マンキュー(2005)『マンキュー経済学ミクロ編』東洋経済新報社 ・高木任之(2002)『イラストレーション都市計画法』学芸出版社 ・高木任之(2001)『都市計画法を読みこなすコツ』 ・和泉洋人(1998),「都市計画策定による土地資産価値増大効果の計測」『都市住宅学』 No23,211-220 頁 ・ 和泉洋人(1999),「地区計画による容積率緩和がもたらす土地資産価値変動効果の計測」『都 市住宅学』No.27,143-152 頁

参照

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