経 腹 壁 的 超 音 波 断 層 法 に よ る前 立 腺 計 測
第1報: 前立腺肥大症患者における前立腺腺腫 の
超音波計測値 と摘 出重量 との比較
秋田大学医学部泌尿器科学教室(主任: 士田正義教授)
能登
宏光
木津
典久
菅谷
公男
西沢
理
原 田
忠
土田
正義
EVALUATION OF PROSTATIC WEIGHT BY TRANSABDOMINAL ULTRASONOGRAPHY (1st Report)-Comparison of Calculated Weight by Ultrasound
with Actual Weight of Operative Specimen
Hiromitsu Noto, Norihisa Kizu, Kimio Sugaya, Osamu Nishizawa, Tadashi Harada and Seigi Tsuchida
Department of Urology, Akita University School of Medicine (Director: Prof. S. Tsuchida)
Determination of the prostatic weight by suprapubic-transvesical ultrasonography was performed in 18 patients with benign prostatic hypertrophy. In all cases, the surgical capsule and the adenoma of the prostate were well visualized.
The weight of the whole prostate and the adenoma were computed using the formula of the ellipsoid object. And these calculated weights were compared with the actual weight of surgically removed adenoma.
There was a good correlation (r=0.943) between the sonometrically estimated weight of the whole prostate and the actual weight of the adenoma. However, the sonometrically estimated weights were 29. 2+12.2 (Mean+S. D.) g greater than the actual weights.
On the other hand, there was a highly significant correlation between the adenomal weight deter-mined by ultrasound and the postoperative weight of the adenoma. An average error of 9.5% and a correlation coefficiency of 0.973 were obtained.
要 旨: 前立 腺 肥大 症患 者18名 を対象 として, セ ク タ走査 型探 触 子 を用 いて, 経 腹壁 的 に前 立腺 の超 音波 計 測 を行 った. 前 立腺 を楕 円体 と仮 定 し, 前立 腺 の前後, 左右 お よび上 下径 を楕 円体 体積 の公 式 に代 入 して体 積 を求 め, そ れ に前 立腺 の比 重1.05を 掛 けて重量 を算 出 した. 全症 例 で, 前立 腺 の外科 的被 膜 と腺 腫 とを識 別 す る こ とが で きた. 前 立腺 全体 の超 音波 計 測値(X1) と実際 の摘 出腺腫 重量(Y)と は良 い相関 を示 した が(r=0.943), 計測 値 の方 が実測 重量 よ りも29.2± 12.2(Mean±S. D.)g大 きか った. これ に対 して, 前立 腺腺 腫 そ の ものを測定 した時 の超 音波 計測 値(X2) と手術 に よる摘 出腺腺 重量(Y)と の 間 には, 極 めて 良 い相関 関係(r=0.973)が あ り, 回帰 方程式 はY= 1.029×2-0.593で, 平 均計 測誤 差 は9.5%で あ った. 1. 緒 言 高齢 化 社会 が 進 むに つれ て, 前 立腺 肥 大症 は泌 尿器 科 領 域 にお い て重要 な疾 患 とな って きてお り, 超 音 波 断層 法 を用 いた 前立 腺 集 団検 診 で も50歳 以上 の受 検 者 の うち18∼29%は 前 立 腺肥 大症 で あ った とい う1)2). 前 立腺 肥 大症 患者 の 診療 を行 う場 合, 腺腫 の大 き さ をあ らか じめ客 観 的 かつ正確 に評価 で きれ ば, 治療 経 過 の 観察 あ るい は手術適 応 や術 式 を決 め る うえで, 有 用 な情報 とな る. そ のため, これ まで前 立腺 の重 量計 測法 と して, 触診法3), カテーテル法4), 内視鏡検 査法5), 尿道 内圧 測定 法6), X線学的 検 査 法7)8)および 超音 波 断 層法9)10)など様 々な方 法 が考 案 され て きた. 中 で も,
1968年 に渡 辺 ら11)が開 発実 用化 した 経直 腸 的超 音 波断 層 法 を用 いて, 前立腺 の連続 平行 断面 積 か ら体積 を算 出す る方 法 は, きわ め て信頼 性が 高 い と考 え られ て い る, しか し, これ まで の超音 波断 層法 に よる前立腺 計 測 の報 告 の 多 くは, 外腺 を も含め た前 立腺 全 体を 計測 して, 手 術 に よ り摘 出 した前 立腺 腺腫 と比較 検討 した もので あ り, 腺 腫 その もの を直接 計測 した報 告 は少 な い. そ の理 由 と しては, 前立 腺 の描 出 に もっ と も優 れ て い る経 直 腸的 ラジ アル走査 法 を用 いて も, 前立腺 の 全 ての 断面像 で 外科 的被 膜 と腺腫 とを明 瞭 に描 出す る こ とは 困難 なた め であ る. 一 方, 私 た ちは セ クタ走査 法 を用 いて, 経 腹壁 的 に 前 立腺 の超音 波 断層 法 を行 って きたが12), 前立腺肥 大 症 例 で は前立 腺 の 内腺 と外腺 の識 別 が可 能で, 少 な く とも最大 断面 像 で は これ らを明瞭 に区別 で き, 各 々の 前 後, 左 右 お よび上下 径 を計 測す るこ とが可能 な こ と が分 った. 前 立腺 肥大 症例 で は, 肥 大 が高 度 に な るほ ど前 立 腺 断面 は 円形 に近づ くといわ れて い る9)11). そ こで, 私 た ちは前 立腺 腺腫 の 計測 法 として計測 法 の簡 便 さ も考 慮 し, 前 立腺 を楕 円体 と仮 定 して, 超 音波 で 計 測 した 前立腺 内腺 の各最 大直 径 を, 楕 円体体 積 の公 式 に直 接 代入 して体積 を 求め る方法B)を 採用 す る こ と とし, その結 果 を手術 に よ り摘 出 した 前立 腺腺 腫重 量 と比較 した ところ, 臨 床 的 に有 用 と考 え られ たの で報 告 す る. 2. 対 象 お よび方 法 対象 は前立腺 肥 大症 の診 断 で, 被 膜 下前 立腺 摘 出術 を行 った 患者18名 で あ る, 術前, 患老 を膀 胱 に尿 が 約200cc前 後 貯 留 した状 態 で 診察 台 上 に仰 臥 位 とし, 図1に 示 す よ うに セ クタ走 査 型 探 触 子 を恥 骨上 部 正 中線 上 に 当 て, 膀 胱 をwin-dowと して前 立 腺 の横 断 面像 と縦 断面 像 を 描 出 した. 超音 波 計測 は, 前立 腺 全 体 と腺 腫 の両 方 に 対 して 行 った, 前立腺 の体積 は, 図2に 示 す よ うに前 立腺 の 最 大横 断 面像 で最 大左 右径(a)を, 最 大縦 断面 像 で最 大前 後 径(b)と 上下 径(c)を 計 り, そ れ らの値 を楕 円体 体 積 の公式 V=4r/3xa/2xb/2xc/2 abc/6 =0.523xabc に直 接 代 入 す る こ と に よ り算 出 し た. また, 前 立 腺 の 比 重 は 約1.05で あ るから9), 前立腺の重 量 は, W=1.05XV =0.55Xabc で 得 られ, そ の 値 を 前 立 腺 摘 出 標 本 重 量 と比 較 検 討 し た, 超 音 波 診 断 装 置 は, 横 河RT3000を 用 い, セ ク タ 電 子 走 査 型 探 触 子(3.5お よ び5MHz)を 使 用 し て, ポ ラ ロ イ ドフ ィル ムType667に 記 録 した, 3. 結 果 18例 全 例 で, 少 な く と も最 大 横 お よ び 縦 断 面 像 で は 図1 前立腺の経腹壁的超音波走査法 図2 前 立腺 の体 積 計 測法 4 a b c V ellipsoid=372.2.2 r/6a-b-c =0.52xabc
前立 腺 の 外科 的被 膜 と腺 腫 とを識 別す る ことがで き, 腺腫 の最 大前後, 左右 お よび上下 径 を計測 す る こ とが 可能 であ った. 前 立腺 全 体 お よび腺腫 の超 音波 計測 に よる推 定 重量 と摘 出腺 腫 重量 とを表1に 示 す. 前立 腺 全体 の超音 波 に よる推 定 重量 は, 83.1±34.8(Mean± S. D.)gな の に 対 し, 前 立 腺 腺 腫 の超 音 波 計 測 値 は 52.9±27.5gで, そ の 差 は30.2±12.1gで あ った. ま た, 手 術 に よ り摘 出 した 腺 腫 重 量 は53.8±29.1gで あ った. 前 立 腺 全 体 を 計 測 し て 求 め た 推 定 腺 腫 重 量(Xl)と 摘 出 腺 腫 重 量(Y)を 比 較 す る と, 図3に 示 す よ うにr= 0.943と 高 い 相 関 係 数 を 示 した が, 回 帰 方 程 式 はY= 0.785×1×11.367で, 超 音 波 計 測 値 の 方 が 実 際 の 腺 腫 重 量 よ り も29.2±12.2(Mean±S. D.)g大 き か った. 一 方, 直 接 前 立 腺 腺 腫 を 計 測 し て 求 め た 推 定 腺 腫 重 量(X2)は, 図4に 示 す よ うに, 摘 出腺 腫 重 量(Y) 表1 前立腺全体 および前立腺腺腫 の超音波計測値 と 摘 出腺腫重量 との関係 図3 前立腺全体 の超音波計測値 と摘出腺腫重量 との 関係 図4 前立腺腺腫 の超音波計測値 と摘 出腺腫重量 との 関係 表2 前立腺腺腫の超音波計測値 と実測値 との関係
との 間 に相 関係 数r=0.973と さ らに高 い相 関 関 係 が あ り, 回帰直 線 はY=1.029×2-0.593で あ った. 各症 例 ご とに腺 腫 の超音 波 に よ る推 定重量 と実測重 量 を比 較 した ところ, 表2に 示 す よ うに推定 値 と実 測値 とが 一 致 した症 例 が1例, 推 定値 が 小 さか った症例 が9例, 推 定 値 が大 きか った症例 が8例 で あ った. 全 体 では推 定重 量 と摘 出重量 との差 は-1.94±6.78gで あ り, ま た超 音波 に よる計測 誤 差 は, 0∼21.8%, 平均9.5%で あ った. 4. 考 案 前 立腺 肥 大症 患者 の診療 で, 手術 適応 の決 定や 術式 を経 尿 道的 前立 腺切 除 術(transurethral resection of prostate: TUR-P)と す るか前 立腺 摘 出術 を行 うか の 選 択 をす る時, 前立 腸 の大 きさ形 状 を正 しく把握 す る こ とが必 要 で あ る. 前 立腺 疾 患 の画像 診 断 として, 超音 波 断層法 は, 前 立 腺 の形 状 を客 観的 か つ再 現性 を もって描 出 で き, し か も外科 的 被膜 と腺 腫 との 区別 も可能 な ことか ら, 現 在, 最 良の方 法 と考 え られ てい る. た しか にCTス キ ャ ンも, 前 立腺 の断面 形状 を 周囲臓 器 との 関係 を も含 め て捉 える こ とがで きるが, 前立腺 の外 科 的被膜 と腺 腫 の識 別 は困難 であ る. 前 立腺 の超 音 波走 査法 には, 経 腹壁 的, 経会 陰的, 経 直 腸的 お よび経尿 道 的方法 が あ る. 中 で も経 直腸 的 ラジ アル走 査法 に よる断層 像 は鮮 明 であ り, 前 立腺 の 質 的 診 断 とい う点 に関 して は も っと も優 れて い る. し か し, 特 殊 な装 置 が必要 で あ るため, ど こで で も手 軽 に行 えな い とい う欠 点 があ る. これ に対 して, 経腹 壁 的 走 査 法 は, 通 常 の腹 部 用 超 音 波 診 断 装 置 を 用 い て ベ ッ トサ イ ドで も簡 単 に施 行で き, セ クタあ るい は コ ンベ ックス型探 触子 を用 いれば, 膀胱 をwindowと し て前 立腺 の 全体 像 を 自由 な角 度 か ら描 出す る ことがで きる とい う利 点 が あ る12). 超 音波 断 層法 に よる前 立腺 計測 法 として は, 前立 腺 の連 続平 行 断面 像 の面積 を 計測 し, そ の総 和 に断面 像 の間 隔 を剰 じて体積 を 求め る方法(slice法)9)と, 前 立 腺 を球や 楕 円体 と仮 定 して, そ れ らの体積 の公 式 か ら 体 積 を 算 出す る方法(ellipsoid法)10)13)があ るが, 主 と して 前者 は経直 腸的 ラ ジアル走査 法, 後 者 は経 腹壁 的 セ ク タ走 査 法 で用 い られ てい る. 前 立腺 は, 正 し くは球 や楕 円体 とは異 な るため, 理 論 的 に はslice法 に よ る体 積 計 測法 が もっ と も正 確 な 値 を示す こ とはい うまで もな い. 渡 辺 ら9)は, 経 直腸 ラ ジ ア ル 走査 法 で0.5cmお きに探 触 子 を 引 き抜 きつ つ 前 立 腺 水 平 面 断 層 像 を 描 出 し, 前 立 腺 を0.5cm幅 の切 片 と して 体 積 を 算 出 し た と ころ, 超 音 波 計 測 に よ る体 積 値(V)は 被 膜 下 前 立 腺 摘 出 標 本 重 量(X)と の 間 に, 回 帰 方 程 式Y=0.97X+1.9(r=0.986)と い う高 い相 関 関 係 が 得 られ た と述 べ て い る. Bartschら14)も0.25 cm間 隔 で 前 立 腺 断 面 像 を 描 出 し て 前 立 腺 の 体 積(Y) を 計 測 し た と こ ろ, 前 立 腺 摘 出重 量 やTUR-P切 除 切 片 重 量(X)と の 間 に, Y=0.96X×3.93(r=0.995) と 良 い 相 関 が 認 め ら れ た と い う. し か し, 一 方 で は Hastakら15), 宮 崎 ら16), 伊東ら17)の よ うに, 前 立 腺 腺 腫 重 量 は, 超 音 波 に よ り計 測 した 前 立 腺 全 重 量 か ら正 常 前 立 腺 重 量 を 減 じた 値 と ほ ぼ 一 致 す る とい う報 告 が あ り, 木 村 や18), 中村ら19)も超 音 波 計 測 値 は摘 出前 立 腺 重 量 よ り も大 きい 値 を 示 した と述 べ て い る. そ の 相 違 は, 超 音 波 で 前 立 腺 の 全 体 像 を 計 測 し た か腺 腫 そ の も の を 計 測 した か に よ る と考 え られ るが, 前 立 腺 の す べ て の 水 平 断 面 像 で 腺 腫 を 明 瞭 に 描 出 す る こ とは 困 難 で あ る20). ま た, ラ ジ ア ル 走 査 法 だ と前 立 腺 の上 下 径 を 正 確 に 計 る こ と が 難 し く, 多 数 の 断 面 像 の 面 積 を 測 定 し な け れ ば な ら な い た め, 前 立 腺 体 積 の 計 測 に は あ る程 度 の 時 間 を 要 す る. こ れ に対 し て, ellipsoid法 は 前 立 腺 の 最 大 前 後, 左 右 お よ び上 下 径 を 計 測 す る だ け で 簡 単 に 体 積 を 計 算 で き る と い う利 点 が あ る. Abu-YousefとNarayana13) は, 経 腹 壁 的 走 査 法 に よ り前 立 腺 肥 大 症 例 の90%で 外 科 的 被 膜 を 明 瞭 に描 出 で き た と述 べ て い る が, 今 回 検 討 し た 症 例 で は, 少 な く と も前 立 腺 の 最 大 断 面 像 で は 全 例 で 外 科 的 被 膜 と腺 腫 と の識 別 が で き, 前 立 腺 腺 腫 の 前 後, 左 右 お よ び 上 下 径 の 計 測 が 可 能 で あ っ た. Henneberryら2l)は, 前 立 腺 全 体 の前 後 径 と左 右 径 と の 平 均 値 を 直 径 と し て 球 の 体 積 の 公 式V=4/3πr3か ら体 積 を 求 め る方 法 を 採 っ て い る が, 超 音 波 に よ る推 定 重 量 と 手 術 標 本 重 量 と の 間 に 相 関 係 数 はr=0.95で あ った と い う. Abu-YousefとNarayana13)は 前 立 腺 腺 腫 の 最 大 前 後, 左 右 お よ び 上 下 径 を 計 測 し てellip-soid法 に よ り前 立 腺 重 量 を 推 測 した と こ ろ, TUR-P に よ る切 除 標 本 重 量 と良 く一 致 した と報 告 し て い る. ま たWalzら22)に よ る と, 手 術 前 に超 音 波 で 計 測 し た 前 立 腺 全 体 積 値(X)は, 術 後 の 前 立 腺 体 積 と切 除 標 本 体 積 と の 和(Y)と の 間 に, 高 い 相 関 関 係(r=0.979) が あ った と い う. 今 回 私 た ち は, ellipsoin法 に よ り前 立 腺 全 体 と前 立 腺 腺 腫 の 重 量 を 推 計 し, 被 膜 下 前 立 腺 摘 出 術 に よ り得 られ た 腺 腫 重 量 と比 較 検 討 した. そ の 結 果, 前 立 腺 全
体 を計 測 した場 合 は, 実 際 の腺 腫 重量 と有意 な相 関関 係(r=0.943)に あ ったが, 超 音波 計測値 と実 測値 との 差 は29.2±12.2(Mean±S.D.)gで, 全 例超 音波 計測 値 の方 が大 き く, 腺腫 重 量 を過大 評価 して しま うこ と が 明 らか とな った. 宮 崎 ら16)は, TUR-Pの 切 除組 織 予 測重 量 は, 超 音波 計 測 に よる前立 腺全 重量 か ら正常前 立 腺 重 量20∼25gを 減 ず れ ば求 め られ る と述 べ て お り, また, Walz22)は, TUR-P後 に は切除重 量 とは無 関 係 に20∼35cm3の 前 立 腺 が残 る と報 告 して い る. 今 回 の検 討 で は, 前 立腺 全 体 を計測 した時 の前立腺 予 想 重量 と実際 の腺腫 重 量 との差は, 29.2±12.2(Mean± S. D.)gで, 日本人 の正 常前 立 腺重 量 といわ れ て い る 15∼20g前 後23)よりもや や大 きか った. これ に対 し, 前 立 腺腺 腫 そ の ものを計測 した時 の予 想腺 腫 重 量 は52.9±27.5(Mean±S. D.)g, 摘 出腺 腫 重 量 は53.8±29.1gで, 計 測 値 の差 は-1.9±6.8gと 両 者 は良 く一 致 し, 推 計学 的 に も相 関係 数r=0.973で あ り, 回 帰方程 式 もY=1.029X-0.593と, ellipsoid法 で 計測 した重 量 をそ の ま ま推定 腺腫 重量 と して良 い と 考 え られ る. また, 各症 例 の計 測誤 差 も0∼21.8%, 平 均9.5%で あ り, 経 腹壁 的 超音 波走 査法 の非 侵襲 性 と 簡 便性 とを合 わ せ考 え る と, 臨 床的 に十 分有 用性 を持 つ と思わ れ る. 5. 結 論 前立 腺 肥大 症 で被 膜 下前 立腺 摘 出術 を行 った患 者18 例 を対 象 に, 術 前 の経 腹壁 的超 音波 断層 法 に よる前立 腺 腺腫 重 量 計測 値 と, 摘 出腺腫 重量 と比 較す る ことに よ り, 前 立腺 超 音波 計 測 の有用 性 を検討 した. 1)超 音 波 に よる前立 腺 重量 計測 は, 横 断面 像 か ら前 立 腺 の左 右径 を, 縦 断 面像 か ら前後 径 と上下 径 を測定 し, そ れ らを楕 円体 体 積 の公式 に代 入 して 求め た体積 値 に, 前 立腺 の比重1.05を 剰 じて算 出 した. 2)全 症例 で 少 な くと も最大 断面 像 では, 前 立腺 の外 科 的 被膜 と腺 腫 とを識 別 す る こ とが可 能で あ った. 3)前 立 腺 全 体 を 計 測 した と き の 重 量 計 測 値 は (X1), 摘 出腺 腫 重量(Y)と 有意 な相 関関 係 にあ った が(r=0.943), 29.2±12.2(Mean±S. D.)g過 大評価 して しま うこ とが 明 らか とな った. 4)前 立腺 腺 腫 を計測 した ときの重量 計測 値(X2)は 52.9±27.5(Mean±S. D.)gで, 摘 出腺腫 重量53.8± 29.1gと 比 較 す る と相 関 係 数r=0.973, 回 帰 方 程 式 Y=1.029×2-0.593と い う関係 が得 られ た. 各 症例 の 計 測 誤差 も0∼21.8%, 平 均9.5%で, 超音 波計 測値 を そ の まま推 定腺 腫 重量 として臨床 的 に問題 ない と考 え られ た. 本論 文 の 要 旨は, 日本超 音 波 医学 会 第46回 研 究 発 表 会 に お い て報 告 した. 文 献 1)渡 辺 決, 大江 宏, 斉 藤雅 人, 板 倉康 啓, 中尾 昌 宏: 経 直 腸的 超 音 波 断層 法 を用 い た前 立 腺 集 団検 診 の 現 況. 日泌 尿 会誌, 76, 913-920, 1985. 2)佐 々木秀 平, 森 田 隆, 西本 正, 能 登 宏光, 木津 典 久, 菅 谷公 男: 前 立腺 触 診 と経 腹 壁 的 超 音 波 診 に よ る前 立腺 集 団 検 診 の試 み. 秋 医誌, 37, 48-52, 1985,
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