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44 明治大学図書館情報学研究会紀要 No.3, 2012 るためには, 提供する資料 情報を印刷媒体からネ ットワーク情報資源へと移行すること, それに伴い, インターネットやイントラネットを活用したサービスの提供が強く求められていることが読み取れる これらは, 専門図書館の職務内容を情報技術の利

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<研究ノート>

サービス対象者・機関種別に見た専門図書館の職務内容調査

青柳 英治

*

長谷川 昭子

** 本稿の目的は,質問紙調査によって,主にサービス対象者と機関種別の観点から,専門 図書館で提供されている資料・情報サービスに関わる職務内容を明らかにすることである。 その結果,(1)職務の実施状況については,従来型のサービスを実施している機関が多 いこと。このことは,機関種別の検討でも同様の状況であること。(2)サービス対象者別 の状況については,内部に対して利用支援を含め所蔵する資料・情報の利用促進を積極的 に行っていることなどが明らかになった。 はじめに 情報技術の進展や経済環境の変化に伴い,今日, 専門図書館の役割は変化しつつある。こうした状況 下で,機関の種別を問わず専門図書館が,親機関の 意思決定や事業運営に寄与するためには,その構成 員に対し,有益な資料・情報サービスを提供する必 要がある。 専門図書館の職務内容に関する研究は,次章で示 すように,主に特定の機関種を対象として行われて きた。そのため,本稿の目的は,文献調査と質問紙 調査を用いて,専門図書館全般で提供されている資 料・情報サービスに関わる職務内容を明らかにする ことである。 本稿は 4 章からなる。第1章では,専門図書館の職 務内容に関する先行研究を明らかにした。第2章では, 文献調査から導き出した職務内容をもとに実施した質 問紙調査の概要を示した。第3章では,質問紙調査の 結果について,各機関で実施されている職務内容,サ ービス対象者別,そして,機関種別の状況などを明ら かにした。第4章では,まとめを述べた。なお,本稿で は,質問紙調査の概要と結果を中心に述べることとし, 文献調査から導出し,質問紙調査で用いた職務内容に 2012 年 1 月 8 日受理 * あおやぎ えいじ 明治大学文学部 ** はせがわ あきこ 日本大学文理学部(非常勤) ついては,別稿で改めて詳述する。 1. 先行研究 専門図書館界では,1990 年代以降,職務内容に関 する議論が行われるようになった。この時期には, 情報技術を活用した資料・情報サービスの提供のあ り方が検討され始め,特に情報技術を活用した情報 発信のあり方に関する議論が中心となっていた。例 えば,栗田淳子(1994) 1),近藤一志(1995) 2),後藤 輝雄(1998) 3)らは,親機関や利用者に対する情報発 信の意義と必要性を主張している。栗田は,組織内 で専門図書館の存在意義を確立し,存続させる手段 として,情報発信を位置づけている。具体的には, 「報知力を高める」ものとして,新着案内,コンテ ンツサービス,SDI サービスなどを挙げており,今 後は,ネットワークを使った情報発信の必要性を指 摘している。また,京藤松子(1997)4)は,情報を 利用者の目的に応じて加工・編集し,付加価値を付 けて提供することを今後の専門図書館の職務として 挙げている。同様に,豊田恭子(2000) 5)は,増え続 けるネットワーク情報資源に対して,利用者が情報 を見つけやすいように情報を組織化することの重要 性を説いている。高山正也(2010)6)は,こうした 付加価値を有する情報提供に成功することが,企業 内専門図書館の存在価値を向上させることにつなが ると述べている。以上のように,これまで検討され てきた事項から,専門図書館の存在意義を向上させ

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るためには,提供する資料・情報を印刷媒体からネ ットワーク情報資源へと移行すること,それに伴い, インターネットやイントラネットを活用したサービ スの提供が強く求められていることが読み取れる。 これらは,専門図書館の職務内容を情報技術の利 活用の側面からのみ捉えており,職務内容を網羅 的・体系的に明らかにしたものではない。職務内容 を包括的に明らかにした研究には,次の二点が挙げ られる。山﨑久道(2003) 7)は,製薬会社の資料部門 におけるサービス活動を事例として,そこでの職務 内容を考察している。また,青柳英治(2007) 8)は, 質問紙調査と聞き取り調査によって,企業内専門図 書館での資料・情報提供サービスに関わる職務内容 の実情を明らかにしている。ただし,これらは,特 定の機関種を対象としているため,専門図書館全般 の職務内容を明らかにしきれていない。 2. 調査の概要 調査の方法には文献調査と質問紙調査を用いた。 まず,文献調査によって,専門図書館の資料・情報 提供サービスに関わる職務内容を分析した。その結 果,親機関に対して資料の閲覧や貸出といった従来 型のサービスに加えて,情報技術を活用した発信型 表 1 質問紙調査で用いた職務内容 職務内容 (1) 資料(図書,雑誌,新聞など)の選書 (2) 商用データベース,電子ジャーナルの選定 (3) 資料(図書,雑誌,新聞など)の保存年限の設定 (4) 図書館システム等(エクセル,アクセスなどを含む)による   図書や雑誌など所蔵資料の目録作成 (5) 資料・情報部門の内外で作成される資料の収集と管理 (6) 資料・情報の閲覧サービス (7) 窓口,カウンター(自動貸出機を含む)での資料の貸出・返却 (8) 資料,文献の複写(セルフコピーを含む) (9) 資料の予約 (10) 利用者からの問い合わせ(所蔵資料の確認を除く)に対する    回答(レファレンス業務) (11) 所蔵・入手した資料・情報に加工・分析を施し利用者へ提供 ・ 資料・情報部門独自の印刷物の作成・提供 (12) 特定テーマの資料・情報の探し方(パスファインダー など) (13) 特定テーマの雑誌記事索引,図書書誌・新聞リスト (14) 抄録,解題 (15) 利用案内,新着資料案内など (16) 他機関との資料の相互貸借 ・ インターネット・イントラネットを使ったサービス (17) OPACによる図書や雑誌などの書誌事項と所蔵情報の提供 (18) 資料・情報部門独自のコンテンツ,データベースの作成 (19) レファレンス事例データベースの作成 (20) 資料・情報部門の内外で作成される資料を電子化して提供 (21) 利用案内,新着資料案内の提供・配信(SDIサービス,コンテ ンツシートサービス,メールマガジン,ブログ,ツイッ    ター,RSSサービスなど) 利 用 支 援 (22) 資料・情報部門が所蔵・契約する情報資源(図書,雑誌,    データベースなど)の使用方法の教育・指導(講習会の開催    など) 収 集 ・ 組 織 化 提   供 の資料・情報サービスの提供を試みようとしている 状況を把握できた。表 1 は,文献調査によって導き 出した 22 の職務内容を示したものである。 次に,職務内容をもとに質問紙調査を実施した。 質問紙調査では,資料・情報の提供に関わる職務内 容の中でも,特に,資料・情報の収集・組織化と利 用者支援に関する職務内容に重点を置き,調査項目 を構成した。調査項目には,職務内容ごとに実施状 況(実施・一部実施・実施せず)とサービス対象者 (内部・外部(すべて)・外部(限定的))を設定し, 選択による回答方式とした。 調査の対象とする機関種は,『ALA 図書館情報学 辞典』の「専門図書館」の定義をもとに,専門図書 館協議会が発行する『専門情報機関総覧』(以下,『総 覧』という)で採用している区分を参照のうえ選定 した。表2 は本調査で参照した機関種を示している。 表 2 本調査で参照した機関種 『ALA図書館情報学辞典』の機関種 『 総 覧 』 の 機 関 種 営利企業 民 間 企 業 体 私法人 団 体 ( 社 団 法 人 , 財 団 法 人 ) 協会 学 会 ・ 協 会 国 ・ 独 立 行 政 法 人 ・ 公 共 企 業 体 地 方 議 会 ・ 地 方 自 治 体 外 国 政 府 機 関 その他の特殊利益集団 - 機関が設立し維持し運営する図書館 国 際 機 関 , そ の 他 政府機関 その結果,本調査では,10 機関種(国(政府機関), 独立行政法人,地方議会,地方自治体,財団法人, 社団法人,民間企業,国際機関,外国政府機関,そ の他法人)を対象とすることにした。 調査対象の機関は,本調査の実施時に最新版であ った『総覧』の 2009 年版を核としながら,網羅性 を高めるため2009年版に未掲載の機関で2006年版 に掲載されている機関も合わせて抽出した。 3. 調査の結果 2011 年 5 月 24 日に 1,023 機関に対し, 2011 年 6 月 15 日を回答期限として質問紙を郵送した。その 結果,669 機関から回収できた。このうち,閉鎖や 回答辞退などの理由で十分な結果が得られなかった 85 機関を「非該当」として集計から除いた。有効 回収数は 584 機関(有効回収率 57.1%)であっ た。 本稿では単純集計とクロス集計を中心に行い,ま ず,回答機関の属性を把握する。次に,各機関で実

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施されている職務内容,サービス対象者別,そして, 機関種別の状況などを明らかにする。 3.1 機関の属性 (1) 機関種の内訳 質問紙を回収できた機関の機関種別(前が実数: 後が比率,以下同じ)の上位は,民間企業(128: 21.9%),地方自治体(121:20.7%),財団法人(83: 14.2%),独立行政法人(81:13.9%)の順であった。 機関が所在する都道府県の上位を見ると,東京都 (215:36.8%),神奈川県(47:8.0%),大阪府(39: 6.7%),茨城県(27:4.6%),愛知県(24:4.1%) の順であった。1 位と 2 位との差が著しく,専門図 書館が東京に集中している状況がわかる。これらの 都府県について,機関種ごとの内訳を見ると,いず れも民間企業が上位(神奈川県(23:48.9%)と大 阪府(14:35.9%)は 1 位,東京都は 2 位(47:21.9%)) を占めていた。本調査では,民間企業からの回答が 多く,こうした民間企業の本社機能が大都市圏に多 数所在していることが影響していると考えられる。 また,茨城県では,独立行政法人(17:63.0%)が 最多であった。本調査での回答が比較的多い機関種 であること,国の研究機関が多数,茨城県に所在し ていることが影響していると考えられる。 (2) 公開状況 公開の状況は,公開(302:51.7%),限定公開 (161:27.6%),非公開(121:20.7%)であり,限 定公開を含めると公開機関が約 80%と多数を占め ていた。機関種ごとの内訳を見ると,公開機関では, 地方公共団体(81:26.8%)と独立行政法人(54: 17.9%),限定公開機関では,財団法人(32:19.9%) と地方公共団体(26:16.1%)が上位を占めていた。 これらの機関は,いずれも公的機関であり,地域に 公開されていることが多いため,附設されている専 門図書館も公開につながったと考えられる。一方, 非公開機関では,民間企業(90:74.4%)が多数を 占めていた。民間企業に附設される専門図書館は, 利用対象者を内部の関係者に限定していることが多 いことが影響していると推察できる。 (3) 機関名称 機関の名称は,図書室(館)・ライブラリー(163: 27.9%),情報センター(情報室,情報管理)(79: 13.5%),資料室(63:10.8%),調査課・室(61: 10.4%)の順であった。 これらの名称について,機関種ごとの内訳を見る と,国(21:61.8%),独立行政法人(23:28.4%), 財団法人(41:49.4%)・社団法人(16:50.0%)で は,図書室(館)・ライブラリーが半数以上の比率を 占めていた。民間企業では,図書室(館)・ライブラ リー(29:22.7%)と情報センター(28:21.9%) が同比率を占めていた。地方議会では,調査課・室 (52:94.5%)が大多数を占めていた。いずれの機 関種においても図書室(館)・ライブラリーという従 来型の名称を冠しているところが多いことがわかる。 (4) スタッフ数 図 1 は,正規職(社)員と非正規職(社)員を合 せたスタッフ数の状況を示したものである。スタッ フ数が 2 人以上 3 人未満の機関が最多であり,次い で 3 人以上 4 人未満,1 人以上 2 人未満と続く。機 関種ごとのスタッフ数の平均を見ると,国が 8.5 人, 独立行政法人が 5.1 人であり,国および国に準ずる 機関のスタッフ数が多い。次いで,財団法人が 4.0 人,民間企業が 3.9 人と続く。地方議会,地方自治 体,社団法人は,それぞれ 3.4 人である。地方議会 と地方自治体は,他の機関種に比べて事業環境が厳 しいと考えられる民間企業よりもスタッフ数が少な い9) 図 1 正規・非正規を合せたスタッフ数 3.2 職務内容の実施状況 表 3 は,機関種の区分をせずに職務内容ごとの実 施状況を示したものである。まず,サービス対象者 の区分をせずに状況を検討する。実施率の高い職務 には,「(6) 資料・情報の閲覧サービス」「(4) 図書館 システム等による資料の目録作成」「(10) レファレ ンス業務」「(7) 資料の貸出・返却」「(8) 資料・文献 10 911 18 12 12 1119 29 47 72 106 126 97 5 0 20 40 60 80 100 120 140 欠損値 20人以上 15人~19人 11人~14人10人 9人 8人 7人 6人以上~7人未満5人 4人 3人以上~4人未満 2人以上~3人未満 1人以上~2人未満1人未満

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表 3 職務内容 の実施状況と サービス対象 者の内訳 数値:機関数 (注)実施状況 ごとの%は有効 回収数 58 4 機関 が母数。サービ ス対象者別の% は実施状況ごと の小計が母数。 小 計 % 小 計 %値% (1 ) 資料 の選 書 - - --- - 39 4 67. 5 ---- -- 11 2 19. 2 75 12. 8 (2 ) 商用 DB ,電子 Jの選 定 - - --- - 16 3 27. 9 ---- -- 87 14. 9 334 57. 2 (3 ) 保存 年限 の 設定 - - --- - 26 9 46. 1 ---- -- 17 2 29. 5 143 24. 5 (4 ) シス テ ム で 目録 作成 - - --- - 43 2 74. 0 ---- -- 10 2 17. 5 50 8. 6 (5 ) 内 外の 資料収 集・ 管 理 - - --- - 26 5 45. 4 ---- -- 12 8 21. 9 180 30. 8 (6 ) 閲覧 サー ビ ス 103 19. 9% 308 59. 6% 106 20. 5% 517 88. 5 13 22 .8% 17 29. 8% 27 47. 4% 57 9. 8 8 1. 4 (7 ) 貸 出 ・返 却 187 46. 5% 100 24. 9% 115 28. 6% 402 68. 8 47 51 .6% 13 14. 3% 31 34. 1% 91 15. 6 90 15. 4 (8 ) 資 料・ 文 献の 複写 114 28. 7% 189 47. 6% 94 23. 7% 397 68. 0 51 45 .9% 31 27. 9% 29 26. 1% 111 19. 0 75 12. 8 (9 ) 資料 の予 約 127 50. 0% 80 31. 5% 47 18. 5% 254 43. 5 41 50 .0% 17 20. 7% 24 29. 3% 82 14. 0 244 41. 8 (1 0) レ フ ァレ ン ス 業 務 110 26. 4% 258 61. 9% 49 11. 8% 417 71. 4 33 38 .4% 27 31. 4% 26 30. 2% 86 14. 7 78 13. 4 (1 1) 情報の 加工 ・分析 30 46. 2% 25 38. 5% 10 15. 4% 65 11. 1 44 50 .0% 23 26. 1% 21 23. 9% 88 15. 1 425 72. 8 (1 2) 資料・ 情報の 探し方 37 54. 4% 23 33. 8% 8 11. 8% 68 11. 6 31 49 .2% 22 34. 9% 10 15. 9% 63 10. 8 451 77. 2 (1 3) 索 引 ・リス ト 36 45. 0% 36 45. 0% 8 10. 0% 80 13. 7 47 57 .3% 25 30. 5% 10 12. 2% 82 14. 0 417 71. 4 (1 4) 抄録, 解 題 7 35. 0% 12 60. 0% 1 5. 0% 20 3. 4 10 41 .7% 10 41. 7% 4 16. 7% 24 4. 1 538 92. 1 (1 5) 利用案 内, 新着 案内 134 44. 5% 134 44. 5% 33 11. 0% 301 51. 5 52 50 .0% 39 37. 5% 13 12. 5% 104 17. 8 176 30. 1 (1 6) 相互貸 借 52 32. 1% 41 25. 3% 69 42. 6% 162 27. 7 31 29 .5% 10 9. 5% 64 61. 0% 105 18. 0 313 53. 6 (1 7) O PA Cで の書 誌・ 所 蔵情報 の提 供 81 36. 3% 118 52. 9% 24 10. 8% 223 38. 2 15 28 .3% 28 52. 8% 10 18. 9% 53 9. 1 302 51. 7 (1 8) 独 自 コ ンテ ンツ・ DB 作 成 53 41. 1% 62 48. 1% 14 10. 9% 129 22. 1 35 47 .3% 29 39. 2% 10 13. 5% 74 12. 7 366 62. 7 (1 9) レ フ ァレ ン ス DB 作 成 39 68. 4% 14 24. 6% 4 7. 0% 57 9. 8 37 69 .8% 8 15. 1% 8 15. 1% 53 9. 1 470 80. 5 (2 0) 資料の 電子 化 18 31. 0% 32 55. 2% 8 13. 8% 58 9. 9 32 36 .4% 49 55. 7% 7 8. 0% 88 15. 1 428 73. 3 (2 1) 新着資 料案 内の提 供・ 配 信 67 45. 3% 65 43. 9% 16 10. 8% 148 25. 3 78 56 .1% 49 35. 3% 12 8. 6% 139 23. 8 292 50. 0 (2 2) 使用方 法の 教育・ 指導 67 78. 8% 10 11. 8% 8 9. 4% 85 14. 6 74 77 .9% 9 9. 5% 12 12. 6% 95 16. 3 399 68. 3 内部 +外部 (す べ て )・ % 内部 +外部 (限 定的) ・% 実 施 して い る 一 部実施 して い る 実 施せず 内部 のみ ・% 内部 +外部 (す べ て )・ % 内部 +外部 (限 定 的 )・ % 内部 のみ ・%

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の複写」などがあり,従来型のサービスが多かった。 一方,実施率の低い職務には,「(14)抄録・解題の作 成」「(19)レファレンスデータベースの作成」「(20) 自部門の内外で作成される資料の電子化」「(11)資 料・情報に加工・分析を施し利用者へ提供」などが あり,発信型の資料・情報サービスが少なかった。 次に,実施している職務の内訳としてサービス対 象者別の状況を比率の観点から検討する。内部のみ に提供している比率の高い職務には,「(22) 資料・ 情報の使用方法の教育・指導」「(19)レファレンスデ ータベースの作成」「(12)特定テーマの資料・情報の 探し方」「(9) 資料の予約」などがあった。このこと から,利用支援を含めて所蔵する資料・情報の利用 促進を積極的に行っている状況が見て取れる。なお, 一部実施している職務のうち,内部のみに提供して いる比率の高い職務についても1 位と2 位の職務で 同様の傾向が見られた。 内部と外部(すべて)に提供している比率の高い 職務には,「(10) レファレンス業務」「(14)抄録・解 題の作成」「(6) 資料・情報の閲覧サービス」「(20) 自部門の内外で作成される資料の電子化」などがあ った。このことから,外部に対しても,所蔵する情 報資源を積極的に発信する姿勢が見られる。 最後に,実施している職務と一部実施している職 務を数値の観点から検討する。全体では,「実施して いる」職務数の方が,「一部実施している」職務数 よりも多かったが,特に,次の2 つの職務について は,一部実施している職務数の方が多かった。一つ は,「(11) 資料・情報に加工・分析を施し利用者へ 提供」する職務(実施 65:一部実施 88)であった。 もう一つは「(20)自部門の内外で作成される資料を 電子化」して提供する職務(実施 58:一部実施 88) であった。この2 つの職務は,情報技術を活用した 先端的なサービスであると捉えられる。そのため, 一部実施している状況を詳細に調査することによっ て,実施の方向に向かう可能性を検討することがで きると考えられる。 3.3 機関種別に見た職務内容の実施状況 表 4 は,機関種別に見た職務内容の実施状況を示 したものである。機関種については,調査時に 10 機関種としたが,設置母体の観点から,類似の機関 種を括ることによって 4 機関種とした。なお,国際・ 外国政府機関は,対象機関数が少ないため民間企業 に含めた。 まず,実施している職務のうち,実施率の高い職 務について検討する。4 機関種すべてにおいて,「(4) 図書館システム等による資料の目録作成」「(6) 資 料・情報の閲覧サービス」「(10) レファレンス業務」 が,順位は異なるものの,上位 5 位までに含まれて いた。特に,「(6) 資料・情報の閲覧サービス」は, 4 機関種すべてにおいて実施率が最も高い職務であ った。また,4 機関種のうち 3 機関種において,「(7) 資料の貸出・返却」「(8)資料・文献の複写」が,順 位は異なるものの,上位 5 位までに含まれていた。 以上のことから,いずれの機関種においても, 資 料・情報提供サービスの中でも,特に,資料の組織 化,閲覧・レファレンスといった従来型のサービス を重視した職務が実施されていることを把握できた。 実施している職務について,実施率の平均値を機 関種ごとに比較したところ,民間企業・その他 (42.8%),国・独立行政法人(46.5%),社 団・財団・その他法人(37.7%),地方議会・地 方自治体(30.1%)の順であった。 機関種別に実施している職務内容を検討する と,民間企業・その他では,「(18)独自コンテン ツ・データベースの作成」と「(22) 資料・情報の 使用方法の教育・指導」の実施率が他より高く, また,国・独立行政法人では,「(16) 資料の相互 貸借」の実施率が他より高かった。この三つの職 務について,機関種による実施の差をクラスカ ルーウォリスの順位和検定により検証したところ, 有意な差が認められた(χ2値は順に,33.799, 92.849,83.168,df=3,p<0.0001)。 4. まとめ 本調査では,専門図書館全般で提供されている資 料・情報サービスに関わる職務内容の実情を検討し た。質問紙調査の結果から,次のことが明らかとな った。①職務の実施状況については,従来型のサー ビスを実施している機関が多いこと。このことは, 機関種別の検討でも同様の状況であったこと。②サ ービス対象者別の状況については,内部に対して, 利用支援を含め所蔵する資料・情報の利用促進を積 極的に行っていること,内部と外部(すべて)に対 して,所蔵する情報資源を積極的に発信する姿勢が 見られること。③実施している職務数が一部実施し ている職務数より多い状況下で,情報技術を活用し た先端的なサービスである 2 つの職務は,一部実施 している職務数の方が多かったこと。④機関種別に

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(1 ) 資料 の選 書 89 63 .6 % 81 70 .4 % 114 64 .8 % 110 71 .9 % 32 22 .9 % 20 17 .4 % 31 17 .6 % 29 19 .0 % 19 13 .6 % 14 12 .2 % 29 16 .5 % 13 8. 5% (2 ) 商用 D B , 電子 Jの選 定 64 45 .7 % 51 44 .3 % 18 10 .2 % 30 19 .6 % 30 21 .4 % 25 21 .7 % 14 8. 0% 18 11 .8 % 46 32 .9 % 39 33 .9 % 144 81 .8 % 105 68 .6 % (3 ) 保存 年限 の設 定 83 59 .3 % 41 35 .7 % 82 46 .6 % 63 41 .2 % 41 29 .3 % 44 38 .3 % 45 25 .6 % 42 27 .5 % 16 11 .4 % 30 26 .1 % 49 27 .8 % 48 31 .4 % (4 ) シ ス テ ム で 目録 作成 113 80 .7 % 96 83 .5 % 114 64 .8 % 109 71 .2 % 17 12 .1 % 16 13 .9 % 39 22 .2 % 30 19 .6 % 10 7. 1% 3 2. 6% 23 13 .1 % 14 9. 2% (5 ) 内外 の資 料収 集・ 管理 43 30 .7 % 67 58 .3 % 83 47 .2 % 72 47 .1 % 46 32 .9 % 20 17 .4 % 34 19 .3 % 28 18 .3 % 50 35 .7 % 27 23 .5 % 55 31 .3 % 48 31 .4 % (6 ) 閲覧 サー ビ ス 127 90 .7 % 108 93 .9 % 151 85 .8 % 132 86 .3 % 12 8. 6% 6 5. 2% 20 11 .4 % 19 12 .4 % 0 0. 0% 1 0. 9% 5 2. 8% 2 1. 3% (7 ) 貸出 ・返却 109 77 .9 % 91 79 .1 % 105 59 .7 % 98 64 .1 % 15 10 .7 % 13 11 .3 % 38 21 .6 % 25 16 .3 % 16 11 .4 % 11 9. 6% 33 18 .8 % 30 19 .6 % (8 ) 資料 ・文献 の複 写 106 75 .7 % 101 87 .8 % 82 46 .6 % 109 71 .2 % 25 17 .9 % 8 7. 0% 50 28 .4 % 28 18 .3 % 9 6. 4% 6 5. 2% 44 25 .0 % 16 10 .5 % (9 ) 資料 の予 約 68 48 .6 % 62 53 .9 % 51 29 .0 % 75 49 .0 % 22 15 .7 % 15 13 .0 % 21 11 .9 % 24 15 .7 % 48 34 .3 % 38 33 .0 % 104 59 .1 % 54 35 .3 % (1 0) レ フ ァ レ ン ス 業務 109 77 .9 % 102 88 .7 % 100 56 .8 % 108 70 .6 % 20 14 .3 % 8 7. 0% 32 18 .2 % 26 17 .0 % 11 7. 9% 5 4. 3% 43 24 .4 % 19 12 .4 % (1 1) 情報 の加 工・ 分析 20 14 .3 % 11 9. 6% 15 8. 5% 20 13 .1 % 33 23 .6 % 9 7. 8% 16 9. 1% 32 20 .9 % 87 62 .1 % 94 81 .7 % 144 81 .8 % 100 65 .4 % (1 2) 資料 ・情報 の探 し方 31 22 .1 % 10 8. 7% 12 6. 8% 15 9. 8% 21 15 .0 % 9 7. 8% 12 6. 8% 21 13 .7 % 87 62 .1 % 96 83 .5 % 152 86 .4 % 116 75 .8 % (1 3) 索引 ・リ ス ト 22 15 .7 % 11 9. 6% 15 8. 5% 32 20 .9 % 27 19 .3 % 16 13 .9 % 17 9. 7% 24 15 .7 % 91 65 .0 % 88 76 .5 % 142 80 .7 % 96 62 .7 % (1 4) 抄録 , 解題 4 2. 9% 3 2. 6% 2 1. 1% 11 7. 2% 8 5. 7% 4 3. 5% 3 1. 7% 9 5. 9% 127 90 .7 % 108 93 .9 % 170 96 .6 % 133 86 .9 % (1 5) 利用 案内 , 新着 案内 76 54 .3 % 64 55 .7 % 82 46 .6 % 81 52 .9 % 23 16 .4 % 18 15 .7 % 32 18 .2 % 32 20 .9 % 41 29 .3 % 33 28 .7 % 62 35 .2 % 40 26 .1 % (1 6) 相互 貸借 18 12 .9 % 66 57 .4 % 32 18 .2 % 47 30 .7 % 32 22 .9 % 26 22 .6 % 27 15 .3 % 21 13 .7 % 89 63 .6 % 23 20 .0 % 117 66 .5 % 84 54 .9 % (1 7) O P A C で の書 誌・ 所蔵 情報 の提 供 59 42 .1 % 83 72 .2 % 33 18 .8 % 49 32 .0 % 14 10 .0 % 13 11 .3 % 9 5. 1% 17 11 .1 % 65 46 .4 % 19 16 .5 % 133 75 .6 % 86 56 .2 % (1 8) 独自 コ ン テ ン ツ ・D B 作成 47 33 .6 % 29 25 .2 % 19 10 .8 % 37 24 .2 % 24 17 .1 % 10 8. 7% 19 10 .8 % 24 15 .7 % 65 46 .4 % 75 65 .2 % 137 77 .8 % 89 58 .2 % (1 9) レ フ ァ レ ン ス D B 作成 23 16 .4 % 14 12 .2 % 3 1. 7% 18 11 .8 % 18 12 .9 % 10 8. 7% 7 4. 0% 19 12 .4 % 99 70 .7 % 91 79 .1 % 165 93 .8 % 115 75 .2 % (2 0) 資料 の電 子化 18 12 .9 % 19 16 .5 % 13 7. 4% 10 6. 5% 27 19 .3 % 28 24 .3 % 19 10 .8 % 17 11 .1 % 93 66 .4 % 68 59 .1 % 143 81 .3 % 124 81 .0 % (2 1) 新着 資料 案内 の提 供・ 配信 47 33 .6 % 42 36 .5 % 28 15 .9 % 32 20 .9 % 41 29 .3 % 36 31 .3 % 31 17 .6 % 35 22 .9 % 52 37 .1 % 37 32 .2 % 117 66 .5 % 86 56 .2 % (2 2) 使用 方法 の教 育・ 指導 41 29 .3 % 24 20 .9 % 10 5. 7% 11 7. 2% 36 25 .7 % 30 26 .1 % 11 6. 3% 19 12 .4 % 61 43 .6 % 60 52 .2 % 155 88 .1 % 123 80 .4 % 実施せず 地方議会・ 自治 体・ % 法人 ・% 民間企業・ その 他・ % 国・ 独立 行政 法人 ・% 地方議会・ 自治 体・ % 法人 ・% 民間企業・ その 他・ % 国・ 独立 行政 法人 ・% 地方議会・ 自治 体・ % 法人 ・% 民間企業・ その 他・ % 国・ 独立 行政 法人 ・% 実施 して い る 一部 実施 して い る 表 4 機 関 種 別 に 見 た 職 務 内 容 の 実 施 状 況 数値:機関数 (注) 実施状況ごとの機関種別の %は 各機関種の有効回収数の合計 を母数としている。

(7)

職務内容の状況を見たところ,民間企業・その他, 国・独立行政法人において,実施している職務の状 況のいくつかに有意差が見られたことである。 おわりに 本調査によって,一定数の情報技術を活用した発 信型のサービスを実施する機関を把握できた。今後 は聞き取り調査を実施することによって,職務内容 の状況について,さらに検討を深めていきたい。な お,本稿は,2011 年 11 月 12 日に行った第 59 回日 本図書館情報学会研究大会での発表をもとにしてい る。 謝辞:本調査の実施には 2010~2012 年度科学研究 費補助金 基盤研究(C)(課題番号:22500222)の助 成を受けた。 注・引用文献 1) 栗田淳子「情報発信と図書館:日本情報アクセスポイン トとしての立場から」『専門図書館』No.150, 1994, p.33-42. 2) 近藤一志「図書館の PR:情報発信」『専門図書館』No.155, 1995, p.36-39. 3) 後藤輝雄「利用者が期待する専門図書館の機能と今後の ありかた」『専門図書館』No.172, 1998, p.7-12. 4) 京藤松子「期待されるライブラリアン像: 変革する情報 環境のなかで」『専門図書館』No.162, 1997, p.32-35. 5) 豊田恭子「図書館の再生と繁栄にむけて」『情報の科学と 技術』Vol.50, No.6, 2000, p.328-333. 6) 高山正也「今,求められている専門図書館とは何か:ガ バナンスに役立つ専門図書館」『情報の科学と技術』 Vol.60, No.1, 2010, p.2-5. 7) 山崎久道「インターネット環境下における企業内情報セ ンターの今後の方向:利用者志向の改革に向けて」『紀要 社会学科』Vol.13, 2003, p.143-159. 8) 青柳英治「企業内専門図書館における情報専門職の職務 に関する一考察」『日本図書館情報学会誌』Vol.53, No.3, 2007, p.127-146. 9) 専門図書館協議会編『専門情報機関総覧』の 2009 年版 では,専任・兼任,常用雇用のパート・アルバイト・人 材派遣を含めたスタッフ数は,民間企業 4.1 人,地方議 会・地方公共団体 4.8 人であった。

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